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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】空調システムの点検器具
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/89 20180101AFI20240409BHJP
   F24F 11/523 20180101ALI20240409BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20240409BHJP
   F24F 11/526 20180101ALI20240409BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F11/523
F24F11/56
F24F11/526
G01K1/14 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020117271
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014747
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 郁
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-91684(JP,A)
【文献】特開昭61-38470(JP,A)
【文献】特開平6-11394(JP,A)
【文献】特開平6-149363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸い込む吸込口および空気を吐き出す吐出口を有する室内機を含む空調システムにおいて、前記吸込口に吸い込まれる空気の温度を測定する第1温度計と、
前記吐出口から吐き出される空気の温度を測定する第2温度計と、
伸縮可能な柄部を有し、前記柄部の端部において第1枝部および第2枝部に分岐し、前記第1枝部の端部に前記第1温度計が配置され、前記第2枝部の端部に前記第2温度計が配置される保持具と、
を備える空調システムの点検器具。
【請求項2】
前記保持具は、前記第1枝部の端部および前記第2枝部の端部の間隔が調整可能である
請求項1に記載の空調システムの点検器具。
【請求項3】
前記第1温度計が測定する温度および前記第2温度計が測定する温度を記憶する記憶部
を備える請求項1または請求項2に記載の空調システムの点検器具。
【請求項4】
前記記憶部は、前記室内機について前記第1温度計が測定する温度および前記第2温度計が測定する温度を、当該室内機を識別する識別情報に関連付けて記憶する
請求項3に記載の空調システムの点検器具。
【請求項5】
前記空調システムの点検を行う点検員による前記識別情報の入力を受け付ける入力部
を備える請求項4に記載の空調システムの点検器具。
【請求項6】
前記識別情報を前記室内機から読み取る読取部
を備える請求項4または請求項5に記載の空調システムの点検器具。
【請求項7】
前記読取部は、前記室内機に付された符号化画像によって前記識別情報を読み取る
請求項6に記載の空調システムの点検器具。
【請求項8】
前記読取部は、無線通信によって前記室内機から前記識別情報を読み取る
請求項6または請求項7に記載の空調システムの点検器具。
【請求項9】
前記第1温度計が測定する温度および前記第2温度計が測定する温度の温度差が予め設定された許容範囲に含まれるかを判定する判定部
を備える請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の空調システムの点検器具。
【請求項10】
前記温度差が前記許容範囲に含まれると前記判定部が判定するときに、前記空調システムの点検を行う点検員に通知を行う通知部
を備える請求項9に記載の空調システムの点検器具。
【請求項11】
前記第2枝部の端部に配置され、前記吐出口から吐き出される空気の風速を測定する風速計
を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の空調システムの点検器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムの点検器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空調システムの例を開示する。空調システムは、室内機を備える。室内機は、設定温度などに基づいて空気調和を行った空気を送風する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-133145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などの空調システムに対して、正常に動作しているかの点検が行われる。ここで、室内機が天井などの高所に設けられている場合に、点検作業のために脚立などの足場が必要となることがある。また、室内機の下方に物がある場合に、点検作業の作業性が悪いことがある。このような場合に、点検作業の効率が悪くなる。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、空調システムの点検作業の作業効率を高める点検器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空調システムの点検器具は、空気を吸い込む吸込口および空気を吐き出す吐出口を有する室内機を含む空調システムにおいて、吸込口に吸い込まれる空気の温度を測定する第1温度計と、吐出口から吐き出される空気の温度を測定する第2温度計と、伸縮可能な柄部を有し、柄部の端部において第1枝部および第2枝部に分岐し、第1枝部の端部に第1温度計が配置され、第2枝部の端部に第2温度計が配置される保持具と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る点検器具によれば、空調システムの点検作業の作業効率が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る空調システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る点検器具の構成図である。
図3】実施の形態1に係る点検器具の動作の例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る点検器具の主要部のハードウェア構成図である。
図5】実施の形態2に係る点検器具の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空調システム1の構成図である。
【0011】
空調システム1は、建物に適用される。空調システム1は、1つ以上の室内機2と、1つ以上の室外機3と、を備える。各々の室内機2は、建物の屋内に配置される。各々の室内機2は、例えば天井に配置される。各々の室内機2は、屋内の空気と熱交換を行う装置である。各々の室外機3は、建物の屋外に配置される。室外機3は、屋外の空気と熱交換を行う装置である。室内機2および室外機3は、図示されない配管を流れる冷媒などを通じて互いに熱交換を行う。空調システム1の点検を行う点検員は、点検器具4を用いて点検作業を行う。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る点検器具4の構成図である。
図2において、屋内からみた室内機2の例が示される。
【0013】
空調システム1において、室内機2を識別するアドレスなどの識別情報が各々の室内機2に割り当てられる。点検員は、例えば図面などを参照して室内機2の識別情報を把握する。
【0014】
室内機2は、吸込口5および吐出口6を有する。吸込口5は、屋内の空気を吸い込む部分である。この例において、吸込口5は、室内機2の中央に設けられる。吸込口5から吸い込まれる空気は、図示されないフィルタを通じて室内機2に取り込まれる。吐出口6は、屋内に空気を吐き出す部分である。この例において、室内機2は、4つの吐出口6を有する。各々の吐出口6は、吸込口5の周囲に配置される。各々の吐出口6および吸込口5は、間隔Wを空けて配置される。室内機2は、熱交換によって吸込口5から吸いこんだ空気の例えば加熱または冷却などの温度制御を行う。室内機2は、温度制御された空気を図示されないファンなどによって吐出口6から屋内に吐き出す。
【0015】
点検員は、吸込口5に吸い込まれる空気の温度および吐出口6から吐き出される空気の温度の測定によって、空調システム1における温度制御などの動作が正常に行われているかを点検する。点検員は、点検器具4を用いて温度の測定を行う。
【0016】
点検器具4は、第1温度計7と、第2温度計8と、保持具9と、処理装置10と、を備える。
【0017】
第1温度計7は、吸込口5に吸い込まれる空気の温度を測定する機器である。第1温度計7は、例えばサーミスタを含む。第2温度計8は、吐出口6から吐き出される空気の温度を測定する機器である。第2温度計8は、例えばサーミスタを含む。
【0018】
保持具9は、第1温度計7および第2温度計8を保持する部分である。保持具9は、棒状の柄部11を有する。柄部11は、棒状の部分である。柄部11は、例えばテレスコピック構造などによって伸縮可能に形成される。保持具9は、柄部11の一方の端部において第1枝部12および第2枝部13に分岐する。第1枝部12および第2枝部13は、例えば第1枝部12および第2枝部13がなす角度の調整などによって各々の端部の間隔を調整可能に形成される。第1枝部12および第2枝部13の各々の端部の間隔は、吐出口6および吸込口5の間隔Wに合わせて調整される。第1枝部12は、端部に第1温度計7を保持する。第2枝部13は、端部に第2温度計8を保持する。
【0019】
処理装置10は、点検器具4において情報を処理する装置である。処理装置10は、表示部14と、入力部15と、判定部16と、通知部17と、記憶部18と、を備える。
【0020】
表示部14は、情報を表示する部分である。表示部14は、例えばディスプレイである。表示部14は、例えば第1温度計7および第2温度計8が測定した温度を表示する。入力部15は、点検員からの情報の入力を受け付ける部分である。入力部15は、例えば押ボタンなどである。入力部15は、点検員が把握している識別情報の入力を受け付ける。表示部14および入力部15は、例えばタッチパネルなどであってもよい。
【0021】
判定部16は、温度の測定結果に基づいて、空調システム1における温度制御などの動作が正常に行われているかを判定する部分である。判定部16は、第1温度計7が測定した温度および第2温度計8が測定した温度の温度差を算出する。判定部16は、算出した温度差が予め設定された許容範囲に含まれるかを判定する。許容範囲は、例えば温度差10℃を含む範囲である。許容範囲は、空調システム1の機種もしくは建物の構造、または室温などの環境条件に基づいて設定されてもよい。あるいは、温度差の許容範囲は、例えば入力部15を通じた点検員による入力などに基づいて設定されてもよい。算出した温度差が許容範囲に含まれるときに、判定部16は、空調システム1における温度制御などの動作が正常に機能していると判定する。
【0022】
通知部17は、判定部16の判定結果を点検員に通知する部分である。通知部17は、例えばビープ音などの音声を発することで点検員への通知を行う。
【0023】
記憶部18は、情報を記憶する部分である。記憶部18は、第1温度計7および第2温度計8が測定した温度を、識別情報に関連付けて記憶する。記憶部18は、第1温度計7が測定した温度および第2温度計8が測定した温度の温度差を記憶してもよい。記憶部18は、判定部16による判定結果を記憶してもよい。
【0024】
続いて、点検器具4を用いた点検作業の例を説明する。
【0025】
点検員は、例えば図面などを参照して、測定を行う室内機2の識別情報を入力部15から入力する。点検員は、第1枝部12および第2枝部13の各々の端部の間隔を、吐出口6および吸込口5の間隔Wに合わせて調整する。点検員は、保持具9の柄の長さを室内機2の高さに合わせて調整する。点検員は、保持具9の柄部11を持って第1枝部12および第2枝部13の側の端部を室内機2に向ける。点検員は、第2枝部13の端部を室内機2のいずれかの吐出口6に合わせる。このとき、第1枝部12の端部が室内機2の吸込口5に合わせられる。
【0026】
第1温度計7は、吸込口5に吸い込まれる空気の温度を測定する。第2温度計8は、吐出口6から吐き出される空気の温度を測定する。記憶部18は、第1温度計7が測定した温度および第2温度計8が測定した温度などを入力された識別情報に関連付けて記憶する。判定部16は、第1温度計7が測定した温度および第2温度計8が測定した温度の温度差を算出する。判定部16は、算出した温度差が許容範囲に含まれるかを判定する。通知部17は、判定部16による判定結果を点検員に通知する。
【0027】
点検員は、判定結果の通知を通知部17から受けることで、空調システム1における温度制御などの動作が正常に機能していることを確認する。点検員は、第2枝部13の端部を同じ室内機2の他の吐出口6に向けて点検を継続する。同じ室内機2の全ての吐出口6についての点検が完了した場合に、点検員は、空調システム1における他の室内機2についての点検を開始する。このように、空調システム1における点検作業が行われる。
【0028】
続いて、図3を用いて点検器具4の動作の例を説明する。
図3は、実施の形態1に係る点検器具4の動作の例を示すフローチャートである。
【0029】
ステップS1において、入力部15は、点検員からの識別情報の入力を受け付ける。その後、点検器具4の動作は、ステップS2に進む。
【0030】
ステップS2において、第1温度計7は、吸込口5に吸い込まれる空気の温度を測定する。第2温度計8は、吐出口6から吐き出される空気の温度を測定する。その後、点検器具4の動作は、ステップS3に進む。
【0031】
ステップS3において、記憶部18は、第1温度計7および第2温度計8による測定結果を記憶する。その後、点検器具4の動作は、ステップS4に進む。
【0032】
ステップS4において、判定部16は、第1温度計7が測定した温度および第2温度計8が測定した温度の温度差を算出する。その後、点検器具4の動作は、ステップS5に進む。
【0033】
ステップS5において、判定部16は、算出した温度差が許容範囲に含まれるかを判定する。判定結果がYesの場合に、点検器具4の動作は、ステップS6に進む。判定結果がNoの場合に、点検器具4の動作は、ステップS7に進む。
【0034】
ステップS6において、通知部17は、空調システム1における温度制御などの動作が正常に機能していることを点検員に通知する。その後、点検器具4の動作は、終了する。
【0035】
ステップS7において、通知部17は、空調システム1における温度制御などの動作に異常がある可能性を点検員に通知する。その後、点検器具4の動作は、終了する。
【0036】
以上に説明したように、実施の形態1に係る点検器具4は、第1温度計7と、第2温度計8と、保持具9と、を備える。第1温度計7は、空調システム1の室内機2において吸込口5に吸い込まれる空気の温度を測定する。第2温度計8は、当該室内機2において吐出口6から吐き出される空気の温度を測定する。保持具9は、伸縮可能な柄部11を有する。保持具9は、柄部11の端部において第1枝部12および第2枝部13に分岐する。保持具9において、第1枝部12の端部に第1温度計7が配置される。保持具9において、第2枝部13の端部に第2温度計8が配置される。
【0037】
点検員は、伸縮可能な柄部11を持って床上から第1温度計7および第2温度計8を室内機2に向ける。このとき、第1温度計7および第2温度計8は、吸込口5側の温度および吐出口6側の温度を同時に測定する。これにより、室内機2が天井などの高所に設けられている場合においても、点検員は、脚立などの足場を必要とせずに空調システム1の点検作業を行える。また、室内機2の直下に机などの物がある場合においても、点検員は、室内機2の斜め下方の床上などから第1温度計7および第2温度計8を室内機2に向けることができる。これにより、空調システム1の点検作業の作業効率が高められる。また、空調システム1の点検作業は、室内機2および室外機3を連続的に動作させる試運転モードにおいて行われることがある。試運転モードにおいて、例えば室温が冷房運転の設定温度を下回った場合においても、冷房運転が継続される。例えば室温が暖房運転の設定温度を上回った場合においても、暖房運転が継続される。この場合においても、空調システム1の点検作業の作業効率が高められることによって試運転モードによる運転時間を短くできるので、空調システム1が空気調和を行う空間に滞在する人物の快適さが損なわれにくくなる。
【0038】
また、保持具9において、第1枝部12の端部および第2枝部13の端部の間隔が調整可能である。
【0039】
これにより、点検器具4は、吸込口5および吐出口6の間隔が異なる多数の室内機2に対して適用できるようになる。これにより、複数の種類の室内機2が設けられている空調システム1においても、点検員は、単一の点検器具4によって点検作業を行いうる。これにより、点検作業の作業効率がより高められる。
【0040】
また、点検器具4は、記憶部18を備える。記憶部18は、第1温度計7が測定する温度および前記第2温度計8が測定する温度を記憶する。
【0041】
これにより、点検員は、温度の測定後に測定結果を確認できるようになる。このため、点検員は、温度の測定中に測定値を都度確認しなくてもよい。これにより、点検作業の作業効率がより高められる。
【0042】
また、記憶部18は、室内機2について第1温度計7が測定する温度および第2温度計8が測定する温度を、当該室内機2を識別する識別情報に関連付けて記憶する。
また、点検器具4は、入力部15を備える。入力部15は、空調システム1の点検を行う点検員による識別情報の入力を受け付ける。
【0043】
複数の室内機2を含む空調システム1において、点検員は、温度の測定後においても、どの室内機2についての測定結果であったかが容易に確認できるようになる。また、点検作業の作業報告書などの作成が容易になる。
【0044】
また、点検器具4は、判定部16を備える。判定部16は、第1温度計7が測定する温度および第2温度計8が測定する温度の温度差が予め設定された許容範囲に含まれるかを判定する。
また、点検器具4は、通知部17を備える。通知部17は、温度差が許容範囲に含まれると判定部16が判定するときに、空調システム1の点検を行う点検員に通知を行う。
【0045】
これにより、点検員は、温度の測定中に測定値を確認することなく点検結果の良否を確認できる。これにより、測定の失敗などによる再測定が発生しにくくなるので、点検作業の作業効率がより高められる。
【0046】
なお、処理装置10の一部または全部の機能は、点検員が携帯している携帯端末に搭載されていてもよい。携帯端末は、例えばスマートフォンなどの可搬な情報端末である。このとき、点検器具4は、当該携帯端末との間で無線通信を行う通信部を有する。点検器具4の通信部は、例えばIEEE 802.11規格またはIEEE 802.15規格などに基づいて無線通信を行ってもよい。
【0047】
続いて、図4を用いて、点検器具4のハードウェア構成の例について説明する。
図4は、実施の形態1に係る点検器具4の主要部のハードウェア構成図である。
【0048】
点検器具4の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0049】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、点検器具4の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、点検器具4の各機能を実現する。
【0050】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置10、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0051】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0052】
点検器具4の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、点検器具4の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。点検器具4の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで点検器具4の各機能を実現する。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0054】
図5は、実施の形態2に係る点検器具の構成図である。
【0055】
この例において、各々の室内機2に符号化画像19が付される。符号化画像19は、識別情報を含む情報を符号化した画像である。符号化画像19は、例えば一次元バーコード、または二次元コードなどであってもよい。符号化画像19は、例えばISO/IEC 18004規格などに基づく二次元コードシンボルなどであってもよい。符号化画像19は、例えば室内機2のコーナーパネルなどに配置される。
【0056】
点検器具4は、読取部20を備える。読取部20は、室内機2の識別情報を読み取る部分である。この例において、読取部20は、符号化画像19を読み取るカメラを有する。読取部20のカメラは、例えば保持具9において柄部11の第1枝部12および第2枝部13が設けられる側の端部に配置される。この例において、読取部20のカメラは、第1枝部12の端部に配置される。
【0057】
点検器具4は、風速計21を備える。風速計21は、吐出口6から吐き出される空気の風速を測定する機器である。風速計21は、第2枝部13の端部に配置される。風速計21による風速の測定値は、例えば表示部14に表示される。風速計21による風速の測定値は、識別情報に関連付けて記憶部18に記憶されてもよい。風速計21による風速の測定値は、判定部16によって許容範囲に含まれるか否かを判定されてもよい。風速の許容範囲は、例えば空調システム1の機種などに応じて予め設定される。あるいは、風速の許容範囲は、例えば入力部15を通じた点検員による入力などに基づいて設定されてもよい。通知部17は、判定部16による風速についての判定結果を点検員に通知してもよい。
【0058】
続いて、点検器具4を用いた点検作業の例を説明する。
【0059】
点検員は、保持具9の柄部11を持って第1枝部12の端部を室内機2の符号化画像19に向ける。このとき、読取部20は、符号化画像19によって当該室内機2の識別情報を読み取る。
【0060】
その後、点検員は、保持具9の柄部11を持って第1枝部12および第2枝部13の側の端部を室内機2に向ける。点検員は、第2枝部13の端部を室内機2のいずれかの吐出口6に合わせる。このとき、第1枝部12の端部が室内機2の吸込口5に合わせられる。
【0061】
第1温度計7および第2温度計8は、吸込口5側および吐出口6側の温度を測定する。このとき、風速計21は、吐出口6から吐き出される空気の風速を測定する。
【0062】
点検員は、表示部14による風速の測定値の表示、または通知部17による通知などに基づいて、空調システム1における送風などの動作が正常に機能していることを確認する。送風が正常に機能していないときに、点検員は、例えば室内機2のフィルタの詰まりの対策などの対処を行う。
【0063】
なお、読取部20は、室内機2との間で無線通信を行ってもよい。このとき、室内機2は、無線信号によって自身の識別情報を読取部20に送信する。読取部20は、受信した無線信号に基づいて当該室内機2の識別情報を読み取る。読取部20および室内機2は、例えば近距離無線通信などによって情報を通信してもよい。
【0064】
また、処理装置10は、点検器具4を携帯している点検員の現在の位置に基づいて室内機2の識別情報を検出してもよい。点検員の現在の位置は、例えば保守員が携帯している携帯端末によって取得されてもよい。
【0065】
以上に説明したように、実施の形態2に係る点検器具4は、読取部20を備える。読取部20は、識別情報を室内機2から読み取る。
また、読取部20は、室内機2に付された符号化画像19によって識別情報を読み取る。
あるいは、読取部20は、無線通信によって室内機2から識別情報を読み取ってもよい。
【0066】
点検員による識別情報の入力を必要としないので、入力ミスなどの発生が抑えられる。また、識別情報の入力作業を必要としないので、点検作業の作業効率がより高められる。
【0067】
また、点検器具4は、風速計21を備える。風速計21は、第2枝部13の端部に配置される。風速計21は、吐出口6から吐き出される空気の風速を測定する。
【0068】
これにより、点検員は、空調システム1における温度制御などの動作が正常に機能しているかの点検と同時に、送風などの動作が正常に機能しているかの点検を行うことができる。これにより、空調システム1における状態がより正確に把握される。また、点検作業の作業効率がより高められる。
【符号の説明】
【0069】
1 空調システム、 2 室内機、 3 室外機、 4 点検器具、 5 吸込口、 6 吐出口、 7 第1温度計、 8 第2温度計、 9 保持具、 10 処理装置、 11 柄部、 12 第1枝部、 13 第2枝部、 14 表示部、 15 入力部、 16 判定部、 17 通知部、 18 記憶部、 19 符号化画像、 20 読取部、 21 風速計、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5