IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図1
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図2
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図3
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図4
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図5
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図6
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図7
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図8
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図9
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図10
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図11
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図12
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図13
  • 特許-ドキュメント表示装置及びプログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ドキュメント表示装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20240409BHJP
   G06F 16/54 20190101ALI20240409BHJP
【FI】
G06T1/00 200C
G06F16/54
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020117581
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015007
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】三輪 国大
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-218419(JP,A)
【文献】特開2008-217085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06F 16/50-16/587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントを表示する表示手段と、
前記ドキュメントからオブジェクトを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたオブジェクトの位置情報を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたオブジェクトの位置情報を含むメタデータを生成する生成手段と、
前記ドキュメントが前記表示手段に表示されたときのドキュメントの表示範囲から矩形領域を決定する矩形領域決定手段と、
を備え、
前記オブジェクトの位置情報は、前記矩形領域決定手段で決定された矩形領域の座標に基づく位置情報であることを特徴とするドキュメント表示装置。
【請求項2】
前記オブジェクトは図、写真、文章、表、グラフの少なくとも1つである請求項1に記載のドキュメント表示装置。
【請求項3】
前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作を検知する操作検知手段を備え、
前記矩形領域決定手段は、前記操作検知手段により検知された操作により変更された表示範囲から前記矩形領域を決定する請求項1または2に記載のドキュメント表示装置。
【請求項4】
前記操作検知手段は、画面のスクロール、拡大、縮小の少なくとも1つ以上の操作を検知する請求項3に記載のドキュメント表示装置。
【請求項5】
前記オブジェクトの視認性が良好かどうかを判断する視認性判断手段を備え、
前記矩形領域決定手段は、前記視認性判断手段によりオブジェクトの視認性が良好であると判断された場合に、前記矩形領域を決定する請求項1~4のいずれかに記載のドキュメント表示装置。
【請求項6】
前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作によって前記表示手段に表示されている前記オブジェクトが移動する場合の移動速度を算出する移動速度算出手段を備え、
前記視認性判断手段は、前記移動速度算出手段により算出されたオブジェクトの移動速度が閾値を下回っている場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する請求項5に記載のドキュメント表示装置。
【請求項7】
前記オブジェクトの種別を判定するオブジェクト種別判定手段と、
前記表示手段に表示されているオブジェクトのサイズをピクセルサイズとして算出するオブジェクトサイズ算出手段と、
前記オブジェクト種別判断手段により判断されたオブジェクトの種別に対応した閾値を取得するサイズ閾値取得手段と、
を備え、
前記視認性判断手段は、前記サイズ閾値取得手段により取得された閾値と、前記オブジェクトサイズ算出手段により算出されたオブジェクトのサイズを比較して、前記オブジェクトのサイズが閾値を上回った場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する請求項5に記載のドキュメント表示装置。
【請求項8】
ドキュメントを表示する表示手段を備えたドキュメント表示装置のコンピュータに、
前記ドキュメントからオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出されたオブジェクトの位置情報を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出されたオブジェクトの位置情報を含むメタデータを生成する生成ステップと、
前記ドキュメントが前記表示手段に表示されたときのドキュメントの表示範囲から矩形領域を決定する矩形領域決定ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記オブジェクトの位置情報は、前記矩形領域決定ステップで決定された矩形領域の座標に基づく位置情報であるプログラム。
【請求項9】
前記オブジェクトは図、写真、文章、表、グラフの少なくとも1つである請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作を検知する操作検知ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記矩形領域決定ステップでは、前記操作検知ステップにより検知された操作により変更された表示範囲から前記矩形領域を決定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項8または9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記操作検知ステップでは、画面のスクロール、拡大、縮小の少なくとも1つ以上の操作を検知する処理を前記コンピュータに実行させる請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記オブジェクトの視認性が良好かどうかを判断する視認性判断ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記矩形領域決定ステップでは、前記視認性判断ステップによりオブジェクトの視認性が良好であると判断された場合に、前記矩形領域を決定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項8~11のいずれかに記載のプログラム。
【請求項13】
前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作によって前記表示手段に表示されている前記オブジェクトが移動する場合の移動速度を算出する移動速度算出ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記視認性判断ステップでは、前記移動速度算出ステップにより算出されたオブジェクトの移動速度が閾値を下回っている場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する処理を前記コンピュータに実行させる請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記オブジェクトの種別を判断するオブジェクト種別判断ステップと、
前記表示手段に表示されているオブジェクトのサイズをピクセルサイズとして算出するオブジェクトサイズ算出ステップと、
前記オブジェクト種別判断ステップにより判断されたオブジェクトの種別に対応した閾値を取得するサイズ閾値取得ステップと、
を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記視認性判断ステップでは、前記サイズ閾値取得ステップにより取得された閾値と、前記オブジェクトサイズ算出ステップにより算出されたオブジェクトのサイズを比較して、前記オブジェクトのサイズが閾値を上回った場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する処理を前記コンピュータに実行させる請求項12に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機能、プリンタ機能、スキャン機能等を備えた複合機等の画像形成装置やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置等に適用されるドキュメント表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドキュメント表示装置のディスプレイに表示されたドキュメントを印刷する場合、印刷用紙に対応したコンテンツ位置を決める技術が特許文献1に提供されている。
【0003】
また、特許文献2には、ドキュメントをオブジェクトに分割し検索用のメタデータを付与する画像処理装置において、同一オブジェクトに対する表現が複数あった場合でも識別子を用いて関連付けを行い検索できるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-117950号公報
【文献】特開2011-192145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された技術を用いると、ドキュメント作成アプリケーションの1つであるエクセル(登録商標)の様に、用紙サイズとは関係なく編集できるアプリケーションでは、用紙サイズをはみ出る図、写真、文章、表、グラフ等のオブジェクトが存在してしまう可能性がある。
【0006】
この場合、ドキュメントを作成したユーザーは、はみ出たオブジェクトとはみ出ていないオブジェクトを一つの塊として、別ページの意識していない位置にオブジェクトが存在する様に判断してしまう。このため、オブジェクトを後でユーザーが検索する際、ディスプレイの画面表示によってユーザーが一つの塊として認識しているドキュメントと、A4、A3などの固定サイズの用紙に印刷されたドキュメントとでは、ユーザーの認識において、オブジェクトのドキュメント内での相対位置が異なる場合がある。
【0007】
また、エクセル(登録商標)などにある改ページプレビュー表示は用紙に印刷される領域が青色の線で表示されており、パーソナルコンピュータ等の画面上で認識しているオブジェクトの相対位置と、印刷されたオブジェクトの位置は一致しており、問題は発生しないが、標準の表示の場合、印刷時の用紙ごとに分割される領域が表示されておらず、画面表示を見たユーザーの記憶と印刷された用紙を見たユーザーの記憶ではオブジェクトの位置が異なる、という課題が発生する。
【0008】
このため、ユーザーがディスプレイの画面を見たときの記憶に基づいて画面上で意図するオブジェクトを見つけるといった作業に支障を来す。
【0009】
なお、特許文献2に記載の技術は、オブジェクトの位置を電子ファイル内の位置で特定しているため、ユーザーがディスプレイの画面を見たときの記憶に基づいて画面上で意図するオブジェクトを見つけるといった作業はやはり困難である。
【0010】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、メタデータに含まれるオブジェクトの位置情報を算出する場合に、ユーザーが表示手段の画面上で見たオブジェクトの位置に精度良く対応する位置情報を算出できるドキュメント表示装置及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)ドキュメントを表示する表示手段と、前記ドキュメントからオブジェクトを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出されたオブジェクトの位置情報を算出する算出手段と、前記算出手段により算出されたオブジェクトの位置情報を含むメタデータを生成する生成手段と、前記ドキュメントが前記表示手段に表示されたときのドキュメントの表示範囲から矩形領域を決定する矩形領域決定手段と、を備え、前記オブジェクトの位置情報は、前記矩形領域決定手段で決定された矩形領域の座標に基づく位置情報であることを特徴とするドキュメント表示装置。
(2)前記オブジェクトは図、写真、文章、表、グラフの少なくとも1つである前項1に記載のドキュメント表示装置。
(3)前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作を検知する操作検知手段を備え、前記矩形領域決定手段は、前記操作検知手段により検知された操作により変更された表示範囲から前記矩形領域を決定する前項1または2に記載のドキュメント表示装置。
(4)前記操作検知手段は、画面のスクロール、拡大、縮小の少なくとも1つ以上の操作を検知する前項3に記載のドキュメント表示装置。
(5)前記オブジェクトの視認性が良好かどうかを判断する視認性判断手段を備え、前記矩形領域決定手段は、前記視認性判断手段によりオブジェクトの視認性が良好であると判断された場合に、前記矩形領域を決定する前項1~4のいずれかに記載のドキュメント表示装置。
(6)前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作によって前記表示手段に表示されている前記オブジェクトが移動する場合の移動速度を算出する移動速度算出手段を備え、前記視認性判断手段は、前記移動速度算出手段により算出されたオブジェクトの移動速度が閾値を下回っている場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する前項5に記載のドキュメント表示装置。
(7)前記オブジェクトの種別を判定するオブジェクト種別判定手段と、前記表示手段に表示されているオブジェクトのサイズをピクセルサイズとして算出するオブジェクトサイズ算出手段と、前記オブジェクト種別判断手段により判断されたオブジェクトの種別に対応した閾値を取得するサイズ閾値取得手段と、を備え、前記視認性判断手段は、前記サイズ閾値取得手段により取得された閾値と、前記オブジェクトサイズ算出手段により算出されたオブジェクトのサイズを比較して、前記オブジェクトのサイズが閾値を上回った場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する前項5に記載のドキュメント表示装置。
(8)ドキュメントを表示する表示手段を備えたドキュメント表示装置のコンピュータに、前記ドキュメントからオブジェクトを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出されたオブジェクトの位置情報を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出されたオブジェクトの位置情報を含むメタデータを生成する生成ステップと、前記ドキュメントが前記表示手段に表示されたときのドキュメントの表示範囲から矩形領域を決定する矩形領域決定ステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記オブジェクトの位置情報は、前記矩形領域決定ステップで決定された矩形領域の座標に基づく位置情報であるプログラム。
(9)前記オブジェクトは図、写真、文章、表、グラフの少なくとも1つである前項8に記載のプログラム。
(10)前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作を検知する操作検知ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、前記矩形領域決定ステップでは、前記操作検知ステップにより検知された操作により変更された表示範囲から前記矩形領域を決定する処理を前記コンピュータに実行させる前項8または9に記載のプログラム。
(11)前記操作検知ステップでは、画面のスクロール、拡大、縮小の少なくとも1つ以上の操作を検知する処理を前記コンピュータに実行させる前項10に記載のプログラム。
(12)前記オブジェクトの視認性が良好かどうかを判断する視認性判断ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、前記矩形領域決定ステップでは、前記視認性判断ステップによりオブジェクトの視認性が良好であると判断された場合に、前記矩形領域を決定する処理を前記コンピュータに実行させる前項8~11のいずれかに記載のプログラム。
(13)前記ドキュメントの表示範囲を変更する操作によって前記表示手段に表示されている前記オブジェクトが移動する場合の移動速度を算出する移動速度算出ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、前記視認性判断ステップでは、前記移動速度算出ステップにより算出されたオブジェクトの移動速度が閾値を下回っている場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する処理を前記コンピュータに実行させる前項12に記載のプログラム。
(14)前記オブジェクトの種別を判断するオブジェクト種別判断ステップと、前記表示手段に表示されているオブジェクトのサイズをピクセルサイズとして算出するオブジェクトサイズ算出ステップと、前記オブジェクト種別判断ステップにより判断されたオブジェクトの種別に対応した閾値を取得するサイズ閾値取得ステップと、を前記コンピュータにさらに実行させ、前記視認性判断ステップでは、前記サイズ閾値取得ステップにより取得された閾値と、前記オブジェクトサイズ算出ステップにより算出されたオブジェクトのサイズを比較して、前記オブジェクトのサイズが閾値を上回った場合、オブジェクトの視認性が良好であると判断する処理を前記コンピュータに実行させる前項12に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)及び(8)に記載の発明によれば、ドキュメントが表示手段に表示されたときのドキュメントの表示範囲から矩形領域が決定され、この矩形領域の座標に基づいてオブジェクトの位置情報が算出され、算出された位置情報を含むメタデータが生成されるから、算出された位置情報は、表示手段に表示されたオブジェクトをユーザーが見たときのオブジェクトの位置に精度良く対応するものとなる。このため、ユーザーが画面上の記憶を基にオブジェクトを検索する場合等に、メタデータに含まれるオブジェクトの位置情報を有効に利用することができる。
【0013】
前項(2)及び(9)に記載の発明によれば、図、写真、文章、表、グラフの少なくとも1つについて、矩形領域の座標に基づくオブジェクトの位置情報が算出される。
【0014】
前項(3)及び(10)に記載の発明によれば、ドキュメントの表示範囲を変更する操作がなされると、この操作が検知され、検知された操作により変更された表示範囲から矩形領域が決定されるから、ドキュメントの表示範囲が変更されても、ユーザーが画面上で見たオブジェクトの位置に精度良く対応する位置情報を算出できる。
【0015】
前項(4)及び(11)に記載の発明によれば、画面のスクロール、拡大、縮小の少なくとも1つ以上の操作によってドキュメントの表示範囲が変更されても、変更に対応したオブジェクトの位置情報を算出することができる。
【0016】
前項(5)及び(12)に記載の発明によれば、オブジェクトの視認性が良好であると判断された場合は、画面上のオブジェクトの位置はユーザーの記憶に残ると考えられるから、矩形領域が決定されオブジェクトの位置情報が算出される。逆に言えば、画面上のオブジェクトの位置がユーザーの記憶に残らないような、オブジェクトの視認性が良好でない場合まで、矩形領域を決定してオブジェクトの位置情報を算出するという無駄な処理を防止できる。
【0017】
前項(6)及び(13)に記載の発明によれば、ドキュメントの表示範囲を変更する操作によって、表示手段に表示されているオブジェクトが移動する場合の移動速度が閾値を下回っている場合は、画面上のオブジェクトの位置はユーザーの記憶に残ると考えられるから、オブジェクトの視認性が良好であると判断され、矩形領域が決定される。
【0018】
前項(7)及び(14)に記載の発明によれば、オブジェクトの種別を判断し、判断されたオブジェクトの種別に対応した閾値と、算出されたオブジェクトのサイズを比較して、オブジェクトのサイズが閾値を上回った場合は、画面上のオブジェクトの位置はユーザーの記憶に残ると考えられるから、オブジェクトの視認性が良好であると判断し、矩形領域が決定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ドキュメント表示装置の一例としての画像形成装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係るもので、システムコントローラーの機能によって構成される制御部の構成を示すブロック図である。
図4】オブジェクトの位置情報の具体的な算出方法を説明するための図である。
図5】オブジェクトの位置情報の算出処理を示すフローチャートである。
図6図5のステップS05の座標更新処理を示すフローチャートである。
図7】(A)~(D)は、この発明の他の実施形態に係る矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理を説明するための図である。
図8図7の実施形態に係る矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理を実施するための制御部の構成を示すブロック図である。
図9図7の実施形態に係るオブジェクトの位置情報の算出処理を示すフローチャートである。
図10】(A)~(D)は、この発明のさらに他の実施形態に係る矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理を説明するための図である。
図11図10の実施形態に係る矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理を実施するための制御部の構成を示すブロック図である。
図12図10の実施形態に係るオブジェクトの位置情報の算出処理を示すフローチャートである。
図13】(A)~(C)は、この発明のさらに他の実施形態に係る矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理を説明するための図である。
図14図13の実施形態に係る矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理を実施するための制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に従うドキュメント表示装置の一例としての画像形成装置100の全体構成を示す斜視図である。ここでは、画像形成装置100の典型例として、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、BOX機能といった複数の機能が搭載された複合機(MFP:Multi Function Peripheral)について例示する。以下、画像形成装置をMFPともいう。
【0022】
本実施の形態に従うMFP100は、原稿を光学的に読取って画像データを得るスキャナー部2と、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷するプリントエンジン6とを含む。MFP100の本体上面には、スキャナー部2に原稿を送るフィーダ4が配置され、下部には、プリントエンジン6に用紙を供給する複数の給紙部9が配置される。また、MFP100の中央部には、プリントエンジン6によって画像を形成された用紙が排紙されるトレー8を有する。
【0023】
MFP100の本体上面の前面側(ユーザが対向する側)には、操作パネル1が装着されている。操作パネル1は、MFP100を操作するための装置であり、ユーザーからの各種の指示、数字・文字・記号といった入力などの操作を受付けるための複数のキーと、表示手段としてのディスプレイ305とを含む。このディスプレイ305は、入力機能にはタッチパネルが使用され、ユーザー操作に応答した各種情報および/または各種操作を受付けるためのメニュー画面などをユーザーに対して表示するとともに、ユーザーによりタッチ操作された位置を取得し、当該取得した位置に応じた入力情報を取得する。また、ディスプレイ305にドキュメントを表示した状態で、パネルタッチにより画面のスクロール、拡大、縮小などの操作が可能となっている。
【0024】
図2は、MFP100の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2を参照して、MFP100は、システムコントローラー101と、メモリ102と、ネットワークインターフェース(ネットワークIF)103と、プリンターエンジン104と、出力画像処理部105と、記憶装置106と、撮像部107と、入力画像処理部108と、前述した操作パネル1などを含んでいる。システムコントローラー101には、メモリ102、ネットワークインターフェース103、プリンターエンジン104、出力画像処理部105、記憶装置106、撮像部107、および入力画像処理部108、操作パネル1の各々が接続されている。
【0026】
システムコントローラー101は、スキャンジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、およびプリントジョブなどの各種ジョブ、操作パネル1のディスプレイ305の表示等について、MFP100全体の制御を行う。システムコントローラー101は、CPU121(Central Processing Unit)と、ROM122(Read Only Memory)などからなっている。CPU121は、ROM122等に記憶された制御プログラムを実行する。ROM122は、MFP100の動作を行うための各種プログラムと、各種固定データとを格納している。システムコントローラー101は、所定の処理を行うことにより、メモリ102からのデータの読み込みや、メモリ102へのデータの書き込みを行う。
【0027】
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)であり、CPU121が制御プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶するためなどに用いられる。
【0028】
ネットワークインターフェース103は、システムコントローラー101からの指示に従って、ネットワークを介して外部機器との通信を行う。プリンターエンジン104は、出力画像処理部105にて処理された印刷データに基づいて用紙などへのプリント処理を行う。特にMFP100がプリンターとして動作する場合、プリンターエンジン104は画像を印刷し、MFP100が複写機として動作する場合、プリンターエンジン104は、撮像部107で読み取った画像を印刷する。
【0029】
出力画像処理部105は、画像の印刷を行う場合などに、その画像データの形式を印刷データに変換する変換処理を行う。
【0030】
記憶装置106は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)であり、MFP100の動作に関わる各種データ、表計算アプリケーション等の文書等作成アプリケーション、その他のデータを記憶する。さらに記憶装置106は、MFP100の操作パネル1のディスプレイ305に表示する画面の画像データや、文書等作成アプリケーション等により作成されたドキュメントを記憶している。撮像部107は、原稿の画像を読み取る。入力画像処理部108は、撮像部で画像を読み取った場合などに、その画像データの形式を変換する変換処理を行う。
[第1の実施形態]
図3は、システムコントローラー101の機能によって構成される制御部300の構成を示すブロック図であり、符号401は解析対象のドキュメントを示している。ドキュメント401は、文字、図、写真、グラフ、表などのオブジェクトで構成される電子ファイルであり、前述したように文書作成用アプリケーション、表計算用アプリケーション等により作成される。なお、以下の説明ではドキュメントを電子ファイルともいう。
【0031】
まず、ドキュメント401はドキュメント解析部302によって解析され、オブジェクト抽出部303で、ドキュメント401を、文字、図、写真、グラフ、表などドキュメントを構成しているオブジェクトに分割し、各オブジェクトを抽出する。その際、抽出したオブジェクト毎にその種別や色などの情報も取得する。なお、所定種別のオブジェクトのみに注目してこれらを抽出しても良い。
【0032】
その後、矩形領域決定部306によってドキュメン401が開かれ、操作パネル1のディスプレイ305の表示領域等の情報を表示制御部304より取得し、矩形領域が決定される。矩形領域及びその決定方法については後述する。
【0033】
オブジェクト抽出部303で抽出されたオブジェクトの位置について、決定された矩形領域の座標を基に、上下左右どの位置にあるかが、位置情報算出部307によって算出される。算出されたオブジェクトの位置情報や、オブジェクトの種別や色などその他の情報を含むメタデータをメタデータ生成部308が生成する。生成されたメタデータは、対応するオブジェクトと関連付けてメタデータ保存部309によりデータベース(DB)310に保存される。
【0034】
オブジェクトの位置情報の具体的な算出方法を、図4を参照して説明する。
【0035】
ドキュメント401のサイズが縦長である場合、ユーザーは、ディスプレイ305に表示されていないドキュメント401の下方領域を認知していないことがある。図4を例にとると、ドキュメント401の全体を基準とした場合、ドキュメント401に含まれる折れ線グラフのオブジェクト402の縦方向の位置はドキュメント401の中央である。しかし、ディスプレイ305の表示領域外にある領域はディスプレイ305に表示されていないためユーザーは認知できていない。
【0036】
そこで、ドキュメント401の全体を基準とするのではなくユーザーが認知している領域を基準として、オブジェクト402の位置情報を算出する。この場合、ユーザーが認知している領域として、太線で囲んだ矩形領域403を基準領域とする。この矩形領域403はドキュメント401がディスプレイ305に表示されたときのドキュメント401の表示範囲である。ドキュメント401の表示範囲は、図4の画面表示のままである限り、つまり表示範囲を移動、変更させる操作が行われない限り、ディスプレイ305の画面の矩形の表示領域に対応しており、左上の座標404と右下の座標405を対角線408とする矩形領域403である。
【0037】
その矩形領域403を基準として、折れ線グラフのオブジェクト402の矩形領域403内の位置を算出する。具体的には、オブジェクト402の横方向の位置を「中央」、縦方向の位置を「下」とし、それらの情報をメタデータ406に付与する。折れ線グラフのオブジェクト402以外の他のオブジェクトについても同様である。
【0038】
このようにこの実施形態では、ユーザーがドキュメント401をディスプレイ305に表示して見ている状態では、折れ線グラフのオブジェクト402はドキュメント401の表示範囲である矩形領域403の下部中央に位置している。従って、メタデータ406に付与されるオブジェクト402の位置情報で示される位置は、ディスプレイ305に表示されたオブジェクト402をユーザーが見たときの位置に精度良く対応する。このため、ユーザーがディスプレイ305の画面上の記憶を基にオブジェクト402を検索する場合等に、メタデータ406を有効に利用することができる。
【0039】
例えば、ユーザーがオブジェクト402を検索する際、ユーザーの記憶に従い、位置情報の検索ワードとして「中央」「下」を入力することによりオブジェクト402を検索する、といった利用方法が挙げられる。
【0040】
なお、オブジェクト402の位置情報を含むメタデータ406の生成、保存は、ドキュメント401が開かれてディスプレイ305に表示される毎に行われても良いし、複数回開かれた場合は、最新のメタデータ406のみが上書き保存されても良い。
【0041】
図5は、オブジェクト402の位置情報の算出処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ101のCPU121がROM122等の記録媒体に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。以降のフローチャートで示される処理についても同様である。
【0042】
ステップS01で電子ファイル(ドキュメント)401を読み込んだ後、ステップS02で、読み込んだ電子ファイルを解析し、ステップS03で、電子ファイルからオブジェクトを抽出する。
【0043】
次いでステップS04で、ディスプレイ305の表示領域を取得した後、ステップS05で座標更新処理を実施する。この座標更新処理については後述する。
【0044】
次にステップS06で矩形領域403を決定した後、ステップS07で、矩形領域403内のオブジェクト402の位置を算出する。そして、ステップS08で、算出したオブジェクト402の位置情報を含むメタデータ406を生成し、データベース310に保存する。
【0045】
次に、ステップS09で、他のオブジェクトについて、位置情報の算出、メタデータ406の生成が完了しているかどうかを判断する。完了していなければ(ステップS09でNO)、ステップS02に戻る。完了していれば(ステップS09でYES)、処理を終了する。
【0046】
図6は、図5のステップS05の座標更新処理を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS051で、ディスプレイ305の表示領域の水平方向の座標を保存し、ステップS058で、ディスプレイ305の表示領域の垂直方向の座標を保存する。ステップS051からはステップS052とステップS055に分岐し、ステップS058からはステップS059とステップS0512に分岐する。
【0048】
ステップS052では、水平方向の最大座標である最大水平方向座標と、今回の水平方向の座標を比較し、ステップS053で、今回の水平方向の座標が大きいかどうかを判断する。つまり、ディスプレイ305の表示領域に表示されるドキュメント401の表示範囲が、スクロール操作などにより水平方向の最大座標側(通常は右側)に変更された場合に、変更後の水平方向の座標(今回の水平方向の座標)と、変更前の最大水平方向座標を比較し、変更後の水平方向の座標が大きいかどうかを判断する。
【0049】
今回の水平方向の座標の方が大きい場合(ステップS053でYES)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲が、ディスプレイ305の表示領域を超えて水平方向の最大座標側に拡がったから、ステップS054で、最大水平方向座標を今回の水平方向の座標に更新する。ステップS053で、今回の水平方向の座標の方が大きくない場合(ステップS053でNO)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲はディスプレイ305の表示領域を超えていないから、最大水平方向座標は更新せず、ディスプレイ305の表示領域の最大水平方向座標が維持される。
【0050】
ステップS055では、水平方向の最小座標である最小水平方向座標と、今回の水平方向の座標を比較し、ステップS056で、今回の水平方向の座標が小さいかどうかを判断する。つまり、ディスプレイ305の表示領域に表示されるドキュメント401の表示範囲が水平方向の最小座標側(通常は左側)に変更された場合に、変更後の水平方向の座標(今回の水平方向の座標)と、変更前の最小水平方向座標を比較し、変更後の水平方向の座標が小さいかどうかを判断する。
【0051】
今回の水平方向の座標の方が小さい場合(ステップS056でYES)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲が、ディスプレイ305の表示領域を超えて水平方向の最小座標側に拡がったから、ステップS057で、最小水平方向座標を今回の水平方向の座標に更新する。ステップS056で、今回の水平方向の座標の方が小さくない場合(ステップS056でNO)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲はディスプレイ305の表示領域を超えていないから、最小水平方向座標は更新せず、ディスプレイ305の表示領域の最小水平方向座標が維持される。
【0052】
ステップS059では、垂直方向の最大座標である最大垂直方向座標と、今回の垂直方向の座標を比較し、ステップS0510で、今回の垂直方向の座標が大きいかどうかを判断する。つまり、ディスプレイ305の表示領域に表示されるドキュメント401の表示範囲が垂直方向の最大座標側(通常は下側)に変更された場合に、変更後の垂直方向の座標(今回の垂直方向の座標)と、変更前の最大垂直方向座標を比較し、変更後の垂直方向の座標が大きいかどうかを判断する。
【0053】
今回の垂直方向の座標の方が大きい場合(ステップS0510でYES)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲が、ディスプレイ305の表示領域を超えて垂直方向の最大座標側に拡がったから、ステップS0511で、最大垂直方向座標を今回の垂直方向の座標に更新する。ステップS0510で、今回の垂直方向の座標の方が大きくない場合(ステップS0510でNO)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲はディスプレイ305の表示領域を超えていないから、最大垂直方向座標は更新せず、ディスプレイ305の表示領域の最大垂直方向座標が維持される。
【0054】
ステップS0512では、垂直方向の最小座標である最小垂直方向座標と、今回の垂直方向の座標を比較し、ステップS0513で、今回の垂直方向の座標が小さいかどうかを判断する。つまり、ディスプレイ305の表示領域に表示されるドキュメント401の表示範囲が垂直平方向の最小座標側(通常は上側)に変更された場合に、変更後の垂直方向の座標(今回の垂直方向の座標)と、変更前の最小垂直方向座標を比較し、変更後の垂直方向の座標が小さいかどうかを判断する。
【0055】
今回の垂直方向の座標の方が小さい場合(ステップS0513でYES)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲が、ディスプレイ305の表示領域を超えて垂直方向の最小座標側に拡がったから、ステップS0514で、最小垂直方向座標を今回の垂直方向の座標に更新する。ステップS0513で、今回の垂直方向の座標の方が小さくない場合(ステップS0513でNO)、ユーザーが見たドキュメントの表示範囲はディスプレイ305の表示領域を超えていないから、最小垂直方向座標は更新せず、ディスプレイ305の表示領域の最小垂直方向座標が維持される。
【0056】
こうして、ディスプレイ305の矩形の表示領域の4個の頂点の座標を、ドキュメント401の表示範囲の変更に応じて更新することで、矩形領域403の座標を決定したのち、図5のフローチャートにリターンしてステップS06に進む。
【0057】
上記の説明から理解されるように、ユーザーがディスプレイ305の表示領域に表示されるドキュメント401の表示範囲を変更する操作を行わなければ、ディスプレイ305の表示領域が矩形領域403となり、この矩形領域403の座標を基に、オブジェクト402の位置が算出される。
【0058】
一方、ユーザーがディスプレイ305の表示領域に表示されるドキュメント401の表示範囲を変更する操作を行った場合は、その変更に応じて矩形領域が変更される。この場合の矩形領域の決定方法とオブジェクトの位置情報の算出処理について、図7(A)~(D)を参照して説明する。
[第2の実施形態]
図7(A)に示すように、表計算アプリケーションで作成された、ディスプレイ305の画面の表示領域に収まりきらないサイズの縦長のドキュメント601があり、初期状態としてドキュメント601の左上が解像度1920×1080のディスプレイ305の表示領域602に表示されている。この時、水平方向の最小座標(最小水平方向座標)である点609のX座標はピクセルで0px、最大座標(最大水平方向座標)である点610のX座標は1920px、垂直方向の最小座標(最小垂直方向座標)である点609のY座標は0px、最大座標(最大垂直方向座標)である点611のY座標は1080pxを、それぞれ初期状態として保持している。
【0059】
ユーザーがドキュメント601を確認するため、図7(B)の矢印603で示すように表示範囲を右にスクロールすると同時に、操作検知部701(図8に示す)はスクロールの開始を検知する。右に200pxスクロールしたところでドキュメント601の右端が画面に表示されると、水平方向の最大座標である点612のX座標が1920+200で2120pxとして更新される。
【0060】
次に、図7(C)の矢印604で示すように表示範囲を下へスクロールし、下に1000pxスクロールしたところで、ディスプレイ305の表示領域の下端に、左上座標を原点としてX座標:1200px、Y座標:1300pxの点614を左上頂点とする縦1000px×横700pxの折れ線グラフからなるオブジェクト606が表示されたとする。すると、垂直方向の最大座標である点613のY座標が1080+1000で2080pxとして更新され、スクロールを停止すると操作検知部701は操作の停止を検知する。
【0061】
矩形領域決定部306によって更新された最小水平方向座標である点609のX座標0px、最大水平方向座標である点612のX座標2120px、最小垂直方向座標である点609のY座標0px、最大垂直方向座標である点613のY座標2080pxより、矩形領域決定部306は図7(D)に示すように、縦2120×横2080pxの矩形領域616を決定する。
【0062】
オブジェクト606の中心点615の座標は、オブジェクト606の原点614の座標(X座標:1200、Y座標:1300)に、オブジェクト606のサイズを2等分(1000/2、700/2)させた値を加算した座標 (X座標:1200+1000/2、Y座標:1300+700/2)=(X座標:1700、Y座標:1650)となる。
【0063】
その中心点615の座標が、矩形領域616のどの割合の位置にあるかによって、オブジェクト606のおおよその位置を算出特定することができる。図7の例では、 X方向の割合:1700px(点615)/2120px(点612), Y方向の割合:1650px(点615)/2080px(点613)≒X方向の割合:80%、Y方向の割合:79%となり、オブジェクト606の縦方向の位置関係を上中下3等分で、横方向の位置関係を左右2等分で表すと右下となり、図7(D)に示すメタデータ617の位置属性として、横方向位置:右、縦方向位置:下を付与する。
【0064】
図7のように、矩形領域616を垂直方向(Y方向)へ3等分割(上中下)し、水平方向(X方向)へ2等分割(左右)する場合に、オブジェクト606の中心点615が、どこに位置するかをメタデータ618の位置情報へ記載する場合の計算式を一般化すると、以下のようになる。
【0065】
X方向:((x+(X/2))/(W+ΔX))/m-1
Y方向:((y+(Y/2))/(H+ΔY))/n-1
ただし、W:ディスプレイの表示領域の横サイズ
H:ディスプレイの表示領域の縦サイズ
ΔX:水平スクロール量
ΔY:垂直スクロール量
X:対象オブジェクト横サイズ
Y:対象オブジェクト縦サイズ
x:対象オブジェクト原点水平座標
y:対象オブジェクト原点垂直座標
m:位置特定用水平分割数
n:位置特定用水平分割数
図8は、図7で説明した矩形領域616の決定方法とオブジェクト606の位置情報の算出処理を実施するための制御部300の構成を示すブロック図である。図8のブロック図は、オブジェクト抽出部303と矩形領域決定部306の間に操作検知部701が介在されている点を除いて、図3に示したブロック図と同じであり、同一構成ブロックについては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0066】
図8の例では、オブジェクト抽出部303で、ドキュメント601を、文字、図、写真、グラフ、表などドキュメントを構成しているオブジェクトに分割し、各オブジェクトを抽出する。その後、ユーザーがドキュメント601の表示範囲を変更する画面スクロール操作を行ったことを操作検知部701が検知し、矩形領域決定部306は、操作パネル1のディスプレイ305の表示領域等の情報と、操作検知部701が検知した操作を基に、矩形領域616を決定する。
【0067】
図9は、図7で説明したオブジェクト606の位置情報の算出処理を示すフローチャートである。
【0068】
図9のフローチャートは、図5のフローチャートのステップS04のディスプレイ305の表示領域の取得処理と、ステップS05の座標更新処理の間に、操作検知処理(ステップS11)が介在している以外は図5のフローチャートと同じであるので、同一の処理については同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0069】
図9のフローチャートでは、ステップS04で、ディスプレイ305の表示領域を取得した後、ステップS11で、ドキュメント601の表示範囲を変更する操作が行われたことを検知し、ステップS05では、ディスプレイ305の表示領域と操作の検知結果を基に、座標更新処理を実施する。
【0070】
以上説明した第2の実施形態では、ユーザーが画面スクロール操作を行って、ドキュメント601の表示範囲を変更した場合は、スクロール操作を検知することにより、変更した表示範囲から矩形領域616を決定する。決定された矩形領域616はユーザーが1ページの範囲と認識して記憶していると考えられるから、この矩形領域616の座標に基いてオブジェクト606の位置情報を算出することにより、ユーザーが画面上で見て記憶しているオブジェクト606の位置に精度良く対応する位置情報を算出でき、ユーザーが画面上の記憶を基にオブジェクト606を検索する場合等に、メタデータ617に含まれるオブジェクト606の位置情報を有効に利用することができる。
[第3の実施形態]
この実施形態では、画面上のオブジェクトの視認性が良好である場合にのみ、矩形領域を決定してオブジェクトの位置情報を算出するものである。オブジェクトの視認性が悪い場合は、そのオブジェクトはユーザーの記憶に残らないと考えられるためである。
【0071】
オブジェクトの視認性が良好である場合の一例としては、ディスプレイ305に表示されているオブジェクトのスクロール操作等による移動速度が、比較的遅い場合を挙げることができ、この例を図10を参照して説明する。
【0072】
図10(A)に示すように、表計算アプリケーションで作成された、ディスプレイ305の画面の表示領域902に収まりきらないサイズの縦長のドキュメント901があり、初期状態としてドキュメント901の左上がディスプレイ305の表示領域902に表示されている。
【0073】
ユーザー操作により、ドキュメント901を矢印903に示すように下へさらに右へ画面スクロールすると、操作検知部701(図11に示す)は、スクロールの開始を検知すると同時に移動速度算出部1001(図11に示す)は、単位時間あたりの画面移動量からオブジェクト907の移動速度を算出する。例えば1ms毎にスクロール量を算出し、1msあたり0.3px移動したとすれば、300px/sと算出する。
【0074】
この移動速度が、予め設定された閾値である例えば500px/sを下回っていれば、視認性判断部1002(図11に示す)はオブジェクト907の視認性が良好と判断し、矩形領域決定部306は図10(B)に示す矩形領域904を決定する。そして、決定した矩形領域904の座標情報を基に、オブジェクト907の位置情報を算出し、メタデータに付与する。矩形領域904の座標情報を基にオブジェクト907の位置情報を算出する方法は図7図9の第2実施形態で説明したとおりである。
【0075】
また、ユーザーが操作を更に続け、図10(B)の表示状態から、図10(C)の矢印905に示すように、ユーザーが下方にスクロール操作を行うと、移動速度が再度算出され、算出された移動速度が閾値を下回っていなければ、図10(D)に示すような表示範囲906の変更は無視され、図10(B)の矩形領域904は維持され、オブジェクト907の位置情報も維持される。これは、移動速度が速すぎるためオブジェクト907の位置がユーザーの記憶に残らないと考えられるからである。
【0076】
図11は、図10で説明した第3の実施形態における矩形領域904の決定方法とオブジェクト907の位置情報の算出処理を実施するための制御部300の構成を示すブロック図である。図11のブロック図は、オブジェクト抽出部303と矩形領域決定部306の間に、操作検知部701と移動速度算出部1001と視認性判断部1002が介在されている点を除いて、図3に示したブロック図と同じであり、同一構成ブロックについては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0077】
図11の例では、オブジェクト抽出部303で、ドキュメント601を、文字、図、写真、グラフ、表などドキュメントを構成しているオブジェクトに分割し、各オブジェクトを抽出する。その後、ユーザーがドキュメント901の表示範囲を変更する操作を行ったことを操作検知部701が検知し、移動速度算出部1001がオブジェクト907の移動速度を算出する。そして、視認性判断部1002が算出された移動速度と閾値を比較し、オブジェクト907の視認性の良否を判断する。具体的には、移動速度が閾値を下回っていれば、オブジェクト907の視認性が良好と判断する。視認性が良好と判断された場合にのみ、矩形領域決定部306は、操作パネル1のディスプレイ305の表示領域等の情報と、操作検知部701が検知した操作を基に、矩形領域904を決定する。
【0078】
図12は、図10で説明したオブジェクト907の位置情報の算出処理を示すフローチャートである。
【0079】
図12のフローチャートは、図5のフローチャートのステップS04のディスプレイ305の表示領域の取得処理と、ステップS05の座標更新処理の間に、操作検知処理(ステップS11)と、移動速度算出処理(ステップS12)と、移動速度と閾値との比較処理処理(ステップS13)と、操作完了かどうかの判断処理(ステップS14)が介在している以外は図5のフローチャートと同じであるので、同一の処理については同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0080】
図12のフローチャートでは、ステップS04で、ディスプレイ305の表示領域を取得した後、ステップS11で、ドキュメント901の表示範囲を変更する操作が行われたことを検知し、ステップS12で、オブジェクト907の移動速度を算出する。
【0081】
次いでステップS13で、算出した移動速度が閾値を下回っているかどうかを判断し、下回っていなければ(ステップS13でNO)、オブジェクト907の視認性が悪いと判断し、矩形領域904の決定を行うことなくステップS02に戻る。移動速度が閾値を下回っている場合(ステップS13でYES)、オブジェクト907の視認性が良好と判断し、ステップS05では、ディスプレイ305の表示領域と操作の検知結果を基に、座標更新処理を実施する。
【0082】
以上説明した第3の実施形態では、ドキュメント901の表示範囲を変更する操作によって、ディスプレイ305に表示されているオブジェクト907が移動する場合の移動速度が閾値を下回っている場合は、画面上のオブジェクト907の位置はユーザーの記憶に残ると考えられるから、オブジェクト907の視認性が良好であると判断され、矩形領域904が決定され、オブジェクト907の位置情報が算出される。逆に言えば、画面上のオブジェクト907の位置がユーザーの記憶に残らないような、オブジェクト907の視認性が良好でない場合まで、矩形領域904を決定してオブジェクト907の位置情報を算出するという無駄な処理を防止できる。
【0083】
なお、上記の例では、ユーザーによる操作がスクロール操作である場合を説明したが、画面の拡大操作や縮小操作が行われた場合に、単位時間当たりの画面移動量からオブジェクト1204の移動速度を算出し、オブジェクト1204の移動速度が、移動速度の閾値を下回っている場合に、矩形領域904を決定してオブジェクト907の位置情報を算出する構成であっても良い。
[第4の実施形態]
第3の実施形態では、オブジェクト907の視認性の良否を判断するために、表示範囲の変更時のオブジェクト907の移動速度を算出し閾値と比較したが、この第4の実施形態では、オブジェクトのサイズを閾値と比較して、視認性の良否を判断する構成となっている。
【0084】
図13(A)に示すように、表計算アプリケーションで作成された、ディスプレイ305の画面の表示領域1202に収まりきらないサイズの縦長のドキュメント1201があり、初期状態としてドキュメント1201の左上がディスプレイ305の表示領域1202に表示されている。
【0085】
ユーザー操作により、図13(B)の符号1203に示すように、ドキュメント1201が縮小されると、操作検知部701(図14に示す)は縮小の開始を検知し、オブジェクトサイズ算出部1304(図14に示す)は、縮小後のオブジェクト1204のピクセルサイズを算出する。
【0086】
サイズの算出と並行して、オブジェクト抽出部303によって抽出されたオブジェクト1204の種別を、オブジェクト種別判定部1301(図14に示す)で判定する。この例では、オブジェクト1204は折れ線グラフとして判定される。そして、折れ線グラフのオブジェクト1204に対応するサイズ閾値を、サイズ閾値取得部1302(図14に示す)がデータベース1303(図14に示す)等から取得する。データベース1303には、オブジェクトの種別毎にサイズ閾値が保存されている。
【0087】
算出したオブジェクト1204のピクセルサイズが、取得したサイズ閾値を上回っていれば、視認性判断部1002はオブジェクト1204の視認性が良好と判断し、矩形領域決定部306は図13(B)に示す矩形領域1205を決定する。この例では、決定した矩形領域1205はディスプレイ305の表示領域1202と同じ大きさである。そして、決定した矩形領域1205の座標を基に、オブジェクト1204の位置情報を算出し、メタデータ1206に付与する。矩形領域1205の座標を基にオブジェクト1204の位置情報を算出する方法は図7図9の第2実施形態で説明したとおりである。
【0088】
一方、図13(C)に示すように、ドキュメント1201の縮小率が大きいために、算出したオブジェクト1204のピクセルサイズが、取得したサイズ閾値を上回っていなければ、視認性が良くないと判断される。これは、オブジェクト1204のピクセルサイズが小さすぎるため、オブジェクト1204がユーザーの記憶に残らないと考えられるからである。この場合は、図13(C)に示すように、矩形領域1207は決定されず、従ってオブジェクト1204の位置情報も算出されず、メタデータ1208にはオブジェクト1204の位置情報は付与されない。
【0089】
なお、ドキュメント1201の縮小時に、単位時間当たりの画面移動量からオブジェクト1204の移動速度を算出し、オブジェクト1204の移動速度が、移動速度の閾値を下回っており、かつオブジェクト1204のピクセルサイズがサイズ閾値を上回っている場合に、矩形領域1207を決定しオブジェクト1204の位置情報を算出しても良い。
【0090】
図14は、図13で説明した第4の実施形態における矩形領域1205の決定方法とオブジェクト1204の位置情報の算出処理を実施するための制御部300の構成を示すブロック図である。図14のブロック図は、オブジェクト抽出部303と矩形領域決定部306の間に、操作検知部701とオブジェクトサイズ算出部1304と、オブジェクト種別判定部1301と、サイズ閾値取得部1302と、視認性判断部1002が介在され、さらにデータベース1303を有している点を除いて、図3に示したブロック図と同じであり、同一構成ブロックについては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0091】
図14の例では、オブジェクト抽出部303で、ドキュメント601を、文字、図、写真、グラフ、表などドキュメントを構成しているオブジェクトに分割し、各オブジェクトを抽出する。その後、ユーザーがドキュメント1201の表示範囲を縮小する操作を行ったことを操作検知部701が検知し、オブジェクトサイズ算出部1304がオブジェクト1402の縮小後のピクセルサイズを算出する。一方、オブジェクト種別判定部1301がオブジェクト1204の種別を判定し、サイズ閾値取得部1302が判定された種別に対応するサイズ閾値をデータベース1303から取得する。
【0092】
視認性判断部1002は、算出されたオブジェクト1402のピクセルサイズと取得されたサイズ閾値を比較し、オブジェクト907の視認性の良否を判断する。具体的には、オブジェクト1402のピクセルサイズが閾値を上回っていれば、オブジェクト1204の視認性が良好と判断する。視認性が良好と判断された場合にのみ、矩形領域決定部306は矩形領域904を決定する。
【0093】
以上説明した第4の実施形態では、ドキュメント1201の表示範囲を縮小する操作によって、ディスプレイ305に表示されているオブジェクト1204のピクセルサイズが、オブジェクト1204の種別に対応するサイズ閾値を上回っている場合は、縮小後のオブジェクト1204の位置はユーザーの記憶に残ると考えられるから、オブジェクト1204の視認性が良好であると判断され、矩形領域1205が決定され、オブジェクト1204の位置情報が算出される。逆に言えば、画面上のオブジェクト1204の位置がユーザーの記憶に残らないような、オブジェクト1204のサイズが小さすぎて視認性が良好でない場合まで、矩形領域1205を決定してオブジェクト1204の位置情報を算出するという無駄な処理を防止できる。
【0094】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、ドキュメント表示装置がMFP100である場合を説明したが、他の画像形成装置であっても良いし、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であっても良く、ドキュメントを表示部に表示できる装置であれば良い。
【符号の説明】
【0095】
1 操作パネル
100 MFP(ドキュメント表示装置)
101 システムコントローラ
121 CPU
122 ROM
300 制御部
302 ドキュメント解析部
303 オブジェクト抽出部
304 表示制御部
305 ディスプレイ(表示手段)
306 矩形領域決定部
307 位置情報算出部
308 メタデータ生成部
701 操作検知部
1001 移動速度算出部
1002 視認性判断部
1301 オブジェクト種別判定部
1302 サイズ閾値取得部
1304 オブジェクトサイズ算出部
401、601、901、1201 ドキュメント
402、606、907、1204 オブジェクト
403、616、904、1205 矩形領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14