(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】メール制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/00 20220101AFI20240409BHJP
H04L 51/08 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
H04L51/00
H04L51/08
(21)【出願番号】P 2020130033
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和利
(72)【発明者】
【氏名】和田 一博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-265775(JP,A)
【文献】特開2013-182482(JP,A)
【文献】特開2007-226552(JP,A)
【文献】特開2005-228277(JP,A)
【文献】特開2007-324710(JP,A)
【文献】特開2021-072026(JP,A)
【文献】特開2008-187280(JP,A)
【文献】特開2007-267248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/00
H04L 51/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元端末からの送信メールにファイルが添付されていた場合に、添付ファイルを暗号化して送信先端末に送信するメール制御装置において、
前記添付ファイルを暗号化する暗号化処理部と、
前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを前記送信先端末に送信するメール処理部と、
前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを保存する記憶部と、
前記送信元端末に、暗号化された前記添付ファイルを復号するための暗号化パスワードを通知するパスワード通知処理部と
を備え、
前記メール処理部は、
前記送信元端末から送信された前記暗号化パスワードを通知するパスワード通知メールを受信し、
前記記憶部に保存された前記送信メールの送信先アドレスと前記パスワード通知メールの送信先アドレスを比較し、
前記送信メールの送信先にあって前記パスワード通知メールの送信先にない特定の送信先アドレスに送信する前記送信メールの破棄を依頼するメールであって、1つの前記特定の送信先アドレス、または複数の前記特定の送信先アドレスが記載された破棄依頼メールを作成して、前記特定の送信先アドレスの送信先端末に送信する
メール制御装置。
【請求項2】
前記メール処理部は、
前記破棄依頼メールを前記送信元端末に送信し、前記送信元端末による前記破棄依頼メールの送信確認がされた後に、前記特定の送信先アドレスの送信先端末に送信する
請求項1記載のメール制御装置。
【請求項3】
前記メール処理部は、前記破棄依頼メールの送信結果を、前記送信元端末に通知する
請求項1または2記載のメール制御装置。
【請求項4】
前記メール処理部は、前記破棄依頼メールを、前記特定の送信先アドレスの送信先端末と前記送信元端末に送信する
請求項1から3の何れか1項に記載のメール制御装置。
【請求項5】
送信元端末からの送信メールにファイルが添付されていた場合に、添付ファイルを暗号化して送信先端末に送信するメール制御装置において実行されるメール制御プログラムであって、
前記添付ファイルを暗号化する暗号化ステップと、
前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを前記送信先端末に送信するステップと、
前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを保存する保存ステップと、
前記送信元端末に、暗号化された前記添付ファイルを復号するための暗号化パスワードを通知する通知ステップと、
前記送信元端末から送信された前記暗号化パスワードを通知するパスワード通知メールを受信する受信ステップと、
前記保存ステップで保存された前記送信メールの送信先アドレスと前記パスワード通知メールの送信先アドレスを比較する比較ステップと、
前記送信メールの送信先にあって前記パスワード通知メールの送信先にない特定の送信先アドレスに送信する前記送信メールの破棄を依頼するメールであって、1つの前記特定の送信先アドレス、または複数の前記特定の送信先アドレスが記載された破棄依頼メールを作成して、前記特定の送信先アドレスの送信先端末に送信する送信ステップと
を前記メール制御装置に実行させるメール制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末から送信された送信メールの添付ファイルを暗号化して送信するメール制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールに重要な機密情報が含まれている場合、電子メールの誤送信が大きな問題となる。このような誤送信に対応する手法の1つとして、重要な機密情報を電子メールで送信する場合、機密情報は添付ファイルに記載した後、パスワードで暗号化して送信メールに添付し、そのパスワードは送信メールとは別個のパスワード通知メールで、送信先に通知する技術がある。これにより、誤った送信先に対してパスワード通知メールを送信しなければ、添付ファイルを復号できないため、機密情報の漏洩のリスクを回避することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、電子メール中継装置が、送信元端末から送信された電子メールに添付された添付ファイルを暗号化した暗号化ファイルを送信先端末に送信するとともに、電子メールの送信元端末からの通知指示に基づいて、暗号化ファイルを復号するための暗号化パスワードを記したパスワード通知メールを生成して、電子メールの送信先端末に送信するように構成されている。
【0004】
特許文献1では、送信元端末からの添付ファイルを暗号化した暗号化ファイルを送信先端末に送付すると共に、送信先端末に対して別個の電子メールにより暗号化パスワードを通知できるので、正当な端末にのみ暗号化ファイルを復号させて、暗号化前の添付ファイルを取得させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、送信先端末に対して別個の電子メールにより暗号化パスワードを通知するようにすれば、メールの送信先に誤りがあった場合には、誤った送信先に対してパスワード通知メールが送信されないようにすることができる。しかしながら、送信元端末において、誤った送信先に対して別途、送信メールを破棄する依頼のメールを送信しなければならないため、送信元端末における作業負担が大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、送信メールの送信先に誤りがあった場合に、送信元端末における作業負担を軽減することが可能なメール制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかるメール制御装置は、送信元端末からの送信メールにファイルが添付されていた場合に、添付ファイルを暗号化して送信先端末に送信するメール制御装置において、前記添付ファイルを暗号化する暗号化処理部と、前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを前記送信先端末に送信するメール処理部と、前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを保存する記憶部と、前記送信元端末に、暗号化された前記添付ファイルを復号するための暗号化パスワードを通知するパスワード通知処理部とを備え、前記メール処理部は、前記送信元端末から送信された前記暗号化パスワードを通知するパスワード通知メールを受信し、前記記憶部に保存された前記送信メールの送信先アドレスと前記パスワード通知メールの送信先アドレスを比較し、前記送信メールの送信先にあって前記パスワード通知メールの送信先にない特定の送信先アドレスに送信する前記送信メールの破棄を依頼するメールであって、1つの前記特定の送信先アドレス、または複数の前記特定の送信先アドレスが記載された破棄依頼メールを作成して、前記特定の送信先アドレスの送信先端末に送信する。
【0009】
また、前記メール処理部は、前記破棄依頼メールを前記送信元端末に送信し、前記送信元端末による前記破棄依頼メールの送信確認がされた後に、前記特定の送信先アドレスの送信先端末に送信してもよい。
【0010】
また、前記メール処理部は、前記破棄依頼メールの送信結果を、前記送信元端末に通知してもよい。
【0011】
また、前記メール処理部は、前記破棄依頼メールを、前記特定の送信先アドレスの送信先端末と前記送信元端末に送信してもよい。
【0012】
また、本発明にかかるメール制御プログラムは、送信元端末からの送信メールにファイルが添付されていた場合に、添付ファイルを暗号化して送信先端末に送信するメール制御装置において実行されるメール制御プログラムであって、前記添付ファイルを暗号化する暗号化ステップと、
前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを前記送信先端末に送信するステップと、前記添付ファイルが暗号化された前記送信メールを保存する保存ステップと、前記送信元端末に、暗号化された前記添付ファイルを復号するための暗号化パスワードを通知する通知ステップと、前記送信元端末から送信された前記暗号化パスワードを通知するパスワード通知メールを受信する受信ステップと、前記保存ステップで保存された前記送信メールの送信先アドレスと前記パスワード通知メールの送信先アドレスを比較する比較ステップと、前記送信メールの送信先にあって前記パスワード通知メールの送信先にない特定の送信先アドレスに送信する前記送信メールの破棄を依頼するメールであって、1つの前記特定の送信先アドレス、または複数の前記特定の送信先アドレスが記載された破棄依頼メールを作成して、前記特定の送信先アドレスの送信先端末に送信する送信ステップとを前記メール制御装置に実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、添付ファイルを暗号化した暗号化ファイル添付した送信メールを送信した後、送信元端末がこの送信メールに関わるパスワード通知メールを送信した際に、送信メールとパスワード通知メールの送信先を比較し、パスワード通知メールに存在しない送信先に対しては、破棄依頼メールを送信するように構成したので、送信メールの送信先に誤りがあった場合に、送信元端末において、破棄依頼メールを作成・送信する操作が不要となるので、送信元端末における作業負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】メール制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】添付ファイルが暗号化された送信メールの構成例を示す説明図である。
【
図4】通知メール(送信元用)の構成例を示す説明図である。
【
図5】通知メール(送信先用)の構成例を示す説明図である。
【
図6】破棄依頼メールの構成例を示す説明図である。
【
図7】送信メール制御動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
[メール制御装置の構成]
図1を参照して、本実施の形態にかかるメール制御装置10について説明する。
図1は、メール制御装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、メール制御装置10は、送信元端末20と、通信網NWとの間に接続されて、通信網NWのメールサーバ30と送信元端末20との間で送受信する電子メールを制御する装置である。
【0018】
送信元端末20は、全体としてPC、タブレット、スマートフォンなどの情報端末からなり、有線または無線の通信回線L2を介して、メール制御装置10と接続されて、端末操作に応じて、搭載するメールアプリケーションにより電子メールを送受信する機能を有している。
【0019】
通信網NWは、インターネットなどのデータ通信ネットワークからなり、電子メールを蓄積して配信するメールサーバ30や、送信元端末#A(20)との間で電子メールをやり取りする相手となる送信先端末#B,#C、#D(40)が接続されている。
【0020】
本実施の形態のメール制御装置10は、送信元端末20から添付ファイルを含む送信メールを受信した場合、パスワードを自動生成して添付ファイルを暗号化し、暗号化ファイルを添付した送信メールを送信先端末40に送信する。暗号化ファイルを復号するための暗号化パスワードは、パスワード通知メール(送信元用)で送信元端末20に通知される。
【0021】
送信元端末は、メール制御装置10からのパスワード通知メール(送信元用)を受信した場合、そのパスワード通知メール(送信元用)で通知された暗号化パスワードを用いて、送信先に対するパスワード通知メール(送信先用)を作成して、メール制御装置10経由でメールサーバ30に送信する。
【0022】
ここで、送信元端末20がパスワード通知メール(送信先用)を作成する際に、元の送信メールの送信先アドレスを再確認することで、本来メールを送るべきでない送信先端末に対してパスワードを通知することを未然に防止することができる。その確認の結果、送信メールの送信先アドレスに誤りがあった場合には、パスワード通知メール(送信先用)を送信する際に、パスワード送信メール(送信先用)の送信先アドレスから誤った送信先を削除し、送信メールを誤送信した送信先アドレスに対してパスワード通知メールを送信しないようにすることができる。
【0023】
本実施の形態では、パスワード通知メール(送信先用)を受け取ったメール制御装置10が元の送信メールとパスワード通知メール(送信先用)の送信先を比較し、パスワード通知メール(送信先用)に存在しない特定の送信先アドレスに対して、送信メールの破棄を依頼する破棄依頼メールを送信するように構成されている。このような構成により、送信メールの送信先アドレスに誤りがあった場合に、送信元端末において、破棄依頼メールを作成・送信する操作が不要となるので、送信元端末における作業負担を軽減することが可能となる。
【0024】
[メール制御装置の構成]
図1に示すように、メール制御装置10は、主な部構成として、網インターフェース部(以下、網I/F部という)11、端末インターフェース部(以下、端末I/F部という)12、記憶部13、および制御部14を備えている。
【0025】
網I/F部11は、有線または無線の通信回線L1を介して通信網NWとの間で、電子メールに関するプロトコルメッセージやメールデータなどの各種データを送受信する処理部である。
【0026】
端末I/F部12は、有線または無線の通信回線L2を介して送信元端末20との間で、電子メールに関するプロトコルメッセージやメールデータなどの各種データを送受信する処理部である。
【0027】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、メール制御装置10でのメール制御処理に用いる各種処理データやプログラム13Pを記憶する処理部である。
【0028】
プログラム13Pは、制御部14のCPUと協働することにより、メール制御処理を実行するための各種処理部を実現するメール制御プログラムであり、メール制御装置10に接続された外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から読み出されて、予め記憶部13に格納される。
【0029】
[制御部]
制御部14は、CPU(中央処理部)とその周辺部とを備え、記憶部13からメール制御プログラムを読み出して実行することにより、メール制御処理を実行するための各種処理部を実現する。
【0030】
制御部14で実現される主な処理部として、メール処理部14A、パスワード通知処理部14B、および暗号化処理部14Cがある。これら処理部は、以下に説明する機能を発揮するよう構成されているが、これらの処理部と機能との関係は、以下の内容に限定されるものではなく、特定の機能を他の処理部で実現してもよい。
【0031】
[メール処理部]
メール処理部14Aは、通信網NW、通信回線L1、および網I/F部11を介してメールサーバ30との間で、送信メールや受信メールをやり取りする機能と、通信回線L2および端末I/F部12を介して送信元端末20との間で送信メールや受信メールをやり取りする機能と、送信元端末20からの送信メールをメールサーバ30へ中継転送する機能と、メールサーバ30からの受信メールを送信元端末20へ中継転送する機能とを有している。
【0032】
また、メール処理部14Aは、送信元端末20からの送信メールに添付ファイルが添付されている場合、暗号化処理部14Cで添付ファイルを暗号化した送信メールを、保存メール13Aとして記憶部13に一時保存する機能と、当該送信メールをメールサーバ30へ送信する機能と、パスワード通知処理部14Bから送信されたパスワード通知メール(送信元用)をメールサーバ30へ送信する機能と、メールサーバ30から受信したパスワード通知メール(送信元用)を送信メールの送信元端末20へ送信する機能を有している。
【0033】
また、メール処理部14Aは、送信元端末20から送信されたパスワード通知メール(送信先用)をメールサーバ30へ中継転送する機能と、記憶部13の保存メール13Aの送信メールを取得する機能と、パスワード通知メール(送信先用)の送信先アドレスと送信メールの送信先アドレスを比較して、パスワード通知メールに存在しない特定の送信先アドレスを送信先とする破棄依頼メールを作成し、メールサーバ30へ送信する機能とを有している。
【0034】
[パスワード通知処理部]
パスワード通知処理部14Bは、暗号化処理部14Cにおいて添付ファイルの暗号化処理に用いた暗号化パスワードをパスワード通知メール(送信元用)により、メール処理部14Aを介して送信元端末20へ通知する機能を有している。
【0035】
[暗号化処理部]
暗号化処理部14Cは、メール処理部14Aで送信元端末20から添付ファイル付きの送信メールを受信した場合、添付ファイルの暗号化処理に用いる暗号化パスワードを生成する機能と、生成した暗号化パスワードに基づいて送信メールに含まれる添付ファイルを暗号化する機能、添付ファイルを暗号化した暗号化ファイルをメール処理部14Aに送信する機能とを有している。
【0036】
[送信メールの構成]
図2は、送信メールの構成例を示す説明図である。
図2に示すように、送信メールは、送信元アドレス(From)、送信先アドレス(To,Cc)、件名、メール本文などの各種項目と、その内容を示すデータとから構成されている。この例では、送信元アドレスとして、「aaa@aaa.jp」が、送信先アドレスとして「bbb@bbb.jp」、「ccc@ccc.jp」の2つのアドレスが指定されている。
【0037】
また、送信メールには、送信元端末20において、重要な機密情報等のメール本文への記載が相応しくない内容が、別個の電子ファイルに格納され、添付ファイルとして添付されている。
図2の例では、「〇〇〇〇.doc」というファイル名の添付ファイルが送信メールに添付されている。添付ファイルの具体例としては、PCで作成した文書ファイルや図面ファイル、あるいはカメラで撮影した写真ファイルがある。この添付ファイルは、制御部14で自動生成したパスワードにより暗号化され、添付ファイルが暗号化された送信メールは、メールサーバ30へ送信される。
【0038】
[送信メール(暗号化)の構成]
図3は、添付ファイルが暗号化された送信メールの構成例を示す説明図である。
図3に示すように、添付ファイルが暗号化された送信メールは、送信元アドレス(From)、送信先アドレス(To,Cc)、件名、メール本文などの各種項目と、その内容を示すデータとから構成されている。記憶部13の保存メール13Aは、添付ファイルが暗号化された送信メールが保存されたものである。
【0039】
この例では、添付ファイルが暗号化処理部14Cで暗号化された暗号化ファイル(圧縮ファイル)に置換され、ファイル名が「〇〇〇〇.zip」という、暗号化ファイル名に変更されている。また、
図2と同様に、送信元アドレスとして、「aaa@aaa.jp」が、送信先アドレスとして「bbb@bbb.jp」、「ccc@ccc.jp」の2つのアドレスが指定されている。
【0040】
[パスワード通知メール(送信元用)の構成]
図4は、パスワード通知メール(送信元用)の構成例を示す説明図である。
図4に示すように、パスワード通知メール(送信元用)は、送信元アドレス(From)、送信先アドレス(To,Cc)、件名、メール本文などの各種項目と、その内容を示すデータとから構成されている。この例では、送信元アドレスとして送信メールの送信元アドレスである「aaa@aaa.jp」が指定されており、送信先アドレスとして送信元アドレスと同じ「aaa@aaa.jp」が記載されている。
【0041】
また、件名には「パスワード通知メール(送信元用)」と記載されており、当該メールが送信メールの送信元端末に対してパスワードを通知するための送信元用のパスワード通知メールであることが明記されている。
【0042】
また、メール本文には、送信元用のパスワード通知メールに関する説明や、このパスワード通知メール(送信元用)で通知するパスワード、送信メールを特定するための送信メールの詳細に関する説明が記載されている。
図4の例では、送信元アドレス「aaa@aaa.jp」から、送信先アドレス「bbb@bbb.jp」、「ccc@ccc.jp」に送信された送信メールの内容が記載されている。
【0043】
送信元端末20では、
図4の本文に記載された送信メールの内容を確認することにより、送信メールで指定した送信先アドレスを、再チェックできる。その結果、送信メールの送信先アドレスが誤っていた場合には、当該誤った送信先アドレスを削除して、送信先に対するパスワード通知メール(送信先)を作成することができる。
【0044】
図4の例では、送信先アドレス「To:bbb@bbb.jp」が誤った送信先アドレスとして認識することができる。送信先に対するパスワード通知メール(送信先用)では、「パスワード通知メール(送信元用)」で通知されたパスワードをコピーアンドペーストすることにより、送信先用のパスワード通知メール(送信先用)を容易に作成することができる。誤った送信先アドレス「To:bbb@bbb.jp」に対して、パスワード通知メール(送信先用)を送信しないように構成することができる。
【0045】
本実施の形態では、送信メールごとに別個のパスワードを生成して、当該送信メールに含まれる複数の送信先アドレスで共通に用いる場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、添付ファイルのセキュリティ性を高めるため、当該送信メールに含まれる送信先アドレスごとに別個のパスワードを生成するように構成してもよい。
【0046】
[パスワード通知メール(送信先用)の構成]
図5は、パスワード通知メール(送信先用)の構成例を示す説明図である。
図5に示すように、パスワード通知メール(送信先用)は、送信元アドレス(From)、送信先アドレス(To,Cc)、件名、メール本文などの各種項目と、その内容を示すデータとから構成されている。この例では、送信元アドレスとして、パスワード通知メール(送信先用)の送信元である「aaa@aaa.jp」が指定されている。
【0047】
また、件名には「パスワード通知メール(送信先用)」と記載されており、当該メールが送信メールの送信先端末に対してパスワードを通知するための送信先用のパスワード通知メールであることが明記されている。
【0048】
また、メール本文には、送信先用のパスワード通知メールに関する説明や、このパスワード通知メール(送信先用)で通知するパスワード、送信メールを特定するための送信メールの詳細に関する説明が記載されている。
【0049】
ここで、パスワード通知メール(送信元用)で再チェックした送信先アドレスに誤りを発見した場合、送信元端末20は、正しい送信先に対してのみパスワード通知メール(送信先用)を作成して送信することができる。これにより、メール制御装置10からは、送信元端末20からのパスワード通知メール(送信先用)で指定された、正しい送信先アドレスに対してのみパスワード通知メール(送信先用)が送信されることになる。
【0050】
図5の例では、送信先アドレス「Cc:ccc@ccc.jp」は、正しい送信先アドレスであるため、パスワード通知メール(送信元用)と同様に記載されている。一方、送信先アドレス「To:bbb@bbb.jp」は、誤った送信先アドレスであったため、パスワード通知メール(送信先用)では削除されている。
【0051】
[破棄依頼メールの構成]
メール処理部14Aは、記憶部13から保存メール13Aの送信メール(
図3)を取得し、パスワード通知メール(送信先用)(
図5)の送信先アドレスと送信メールの送信先アドレスを比較する。比較した結果、送信メールの送信先アドレスに、パスワード通知メール(送信先用)に存在しない特定の送信先アドレスがある場合には、当該送信先アドレスを送信先とする破棄依頼メールを作成し、メールサーバ30へ送信する。
【0052】
図6は、破棄依頼メールの構成例である。
図6に示すように、破棄依頼メールは、送信元アドレス(From)、送信先アドレス(To)、件名、メール本文などの各種項目と、その内容を示すデータとから構成されている。
【0053】
また、件名には「破棄依頼メール」と記載されており、当該メールが送信メールの送信先端末に対して送信メールの破棄を依頼するためのメールであることが明記されている。メール本文には、誤って送信されたメールであることの説明や、誤って送信されたメールの詳細が記載されている。
【0054】
この例では、パスワード通知メール(送信先用)(
図5)の送信先アドレスと送信メール(
図3)の送信先アドレスを比較した結果、送信メールの送信先アドレスに、パスワード通知メール(送信先用)に存在しない送信先アドレス「bbb@bbb.jp」があるので、破棄依頼メールの送信先アドレスとしては、送信メールが誤って送信された送信先アドレス「To:bbb@bbb.jp」が記載されている。破棄依頼メールは、メール制御装置10からメールサーバ30へ送信され、当該送信先アドレスに対応する送信先端末40に送信されることになる。
【0055】
図6では、送信メールの送信先アドレスに、パスワード通知メール(送信先用)に存在しない1つの特定の送信先アドレスが記載されている場合を例として説明した。特定の送信先アドレスが複数ある場合においても、1つの特定の送信先アドレスを記載した複数の破棄依頼メールを作成してもよいし、複数の特定の送信先アドレスをまとめて記載した破棄依頼メールを作成してもよい。
【0056】
[本実施の形態のメール制御装置の動作]
図7を参照して、本実施の形態にかかるメール制御装置10の動作について説明する。
図7は、送信メール制御動作を示すシーケンス図である。プログラム13Pに保存されたメール制御プログラムは、以下のシーケンスにおける各ステップをメール制御装置10に実行させる。
【0057】
送信元端末#Aが添付ファイル付きの送信メールを作成して(ステップS100)、送信操作を行った場合(ステップS101)、送信元端末#Aからメール制御装置10に対して、当該メール送信が送信される(ステップS102)。
【0058】
メール制御装置10のメール処理部14Aは、送信元端末#Aからのメール送信要求に応じて添付ファイル付きの送信メールを受信する。
図2の例では、送信メールの送信元アドレスとして、「aaa@aaa.jp」が、送信先アドレスとして、「bbb@bbb.jp」、「ccc@ccc.jp」が指定され、添付ファイルとして「〇〇〇〇.doc」が添付されている。
【0059】
暗号化処理部14Cは、メール処理部14Aで受信した送信メールごとに、添付ファイルの暗号化に用いる暗号化パスワードを生成する(ステップS103)。
図4の例では、暗号化パスワード「hagr21vas」が生成されている。
【0060】
暗号化処理部14Cは、生成した暗号化パスワードを用いて添付ファイルを暗号化し(暗号化ステップ)(ステップS104)、メール処理部14Aは、暗号化ファイルを添付した送信メールをメールサーバに送信する(ステップS105)。メール処理部14Aは、送信メールを記憶部13に保存メール13Aとして保存する(保存ステップ)(ステップS106)。
図3の例では、「〇〇〇〇.doc」が暗号化された暗号化ファイル「〇〇〇〇.zip」が添付された送信メールが送信され、保存されている。
【0061】
パスワード通知処理部14Bは、添付ファイルの暗号化に用いた暗号化パスワードを送信元の送信元端末#Aに対して通知するための電子メールとして、
図4に示したような、パスワード通知メール(送信元用)を作成し(ステップS107)、メール処理部14Aは、このパスワード通知メール(送信元用)を、網I/F部11、通信回線L1および通信網NWを介してメールサーバへ送信する(ステップS108)。
【0062】
続いて、メール処理部14Aは、メールサーバ30から、通信網NW、通信回線L1および網I/F部11を介してパスワード通知メール(送信元用)を受信し、端末I/F部12および通信回線L2を介して送信元端末#Aへ配信する(通知ステップ)(ステップS109)。
【0063】
送信元端末#Aは、メール制御装置10から受信したパスワード通知メール(送信元用)を確認し(ステップS110)、パスワード通知メールの本文の記載に基づいて、メール制御装置10で生成されたパスワードを確認するともとに、送信メールで指定した送信先アドレスをチェックする。
【0064】
送信元端末#Aでは、チェックした送信先アドレスのうち、誤って送信した送信先アドレスが削除され、正しい送信先アドレスを有するパスワード通知メール(送信先)が作成され(ステップS111)、送信操作が行われる(ステップS112)。これにより、メール制御装置10は、送信元端末#Aから、パスワード通知メール(送信先用)を受信する(受信ステップ)(ステップS113)。
【0065】
図4の例において、送信先アドレス「Cc:ccc@ccc.jp」が正しい送信先であり、送信先アドレス「To:bbb@bbb.jp」は誤った送信先である場合、
図5に示すように、送信元端末#Aから送信先アドレス「bbb@bbb.jp」が削除され、送信先アドレスを「Cc:ccc@ccc.jp」とするパスワード通知メール(送信先用)が送信されることになる。
【0066】
メール処理部14Aは、送信元端末#Aからパスワード通知メール(送信先用)を受信した場合、受信したパスワード通知メール(送信先用)をメールサーバに中継転送する(ステップS114)。
【0067】
送信先端末#Cは、メールサーバ30から、送信元端末#Aからのパスワード通知メール(送信先用)を受信し、パスワード通知メール(送信先用)に記載されたパスワードに基づいて、送信メールに添付された添付ファイルを復号(解凍)でき、元の添付ファイルを開くことができる。一方、送信先端末#Bでは、メールサーバ30から、送信元端末#Aからのパスワード通知メール(送信先用)を受信できないため、送信メールに添付された添付ファイルを復号(解凍)することができない。
【0068】
メール処理部14Aは,さらにパスワード通知メール(送信先用)に対応する送信メールを記憶部13の保存メール13Aから取得し、パスワード通知メール(送信先用)と送信メールの送信先アドレスを比較する(比較ステップ)(ステップS120)。
【0069】
比較した結果、送信メールの送信先アドレスに、パスワード通知メール(送信先用)に存在しない特定の送信先アドレスがある場合には、当該送信先アドレスを送信先とする破棄依頼メールを作成し(ステップS121)、メールサーバ30へ送信する(送信ステップ)(ステップS122)。
【0070】
図6の例では、パスワード通知メール(送信先用)(
図5)の送信先アドレスと送信メール(
図3)の送信先アドレスを比較した結果、送信メールの送信先アドレスに、パスワード通知メール(送信先用)に存在しない送信先アドレス「bbb@bbb.jp」があるので、破棄依頼メールの送信先アドレスとしては、送信メールが誤って送信された送信先アドレス「To:bbb@bbb.jp」が記載されている。破棄依頼メールは、メール制御装置からメールサーバ30へ送信され、送信先端末#Bに送信されることになる。
【0071】
送信メールで送信先アドレスとして指定された「bbb@bbb.jp」については、送信元端末が誤送信に気付いて、送信元端末#Aからパスワード通知メールを送信しなかった場合、メール制御装置10において、送信先アドレス「bbb@bbb.jp」に対するパスワード通知メールの送信は行われない。その代わりに、メール制御装置10から誤送信先の「bbb@bbb.jp」に対して破棄依頼メールが送信されることになる。
【0072】
なお、
図7では、メール制御装置が破棄依頼メールを作成し、誤送信した送信先アドレスに対して破棄依頼メールを送信したが、破棄依頼メールを送信する前に、送信元端末に破棄依頼メールを送信し、送信元端末による破棄依頼メールの内容及び送信確認がされた後に送信するようにしてもよい。
【0073】
また、メール制御装置は、破棄依頼メールの送信結果を、送信元端末に通知するようにしてもよいし、破棄依頼メールを、特定の送信先アドレスの送信先端末と送信元端末に送信するようにしてもよい。
【0074】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、添付ファイルを暗号化した暗号化ファイルを添付した送信メールを送信した後、送信元端末がこの送信メールに関わるパスワード通知メールを送信した際に、送信メールとパスワード通知メールの送信先を比較し、パスワード通知メールに存在しない送信メールの送信先に対しては、破棄依頼メールを送信するように構成したので、送信メールの送信先に誤りがあった場合に、送信元端末において、破棄依頼メールを作成・送信する操作が不要となり、送信元端末における作業負担を軽減することが可能となる。
【0075】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
10…メール制御装置、11…網インターフェース部(網I/F部)、12…端末インターフェース部(端末I/F部)、13…記憶部、13A…保存メール、13P…プログラム、14…制御部、14A…メール処理部、14B…パスワード通知処理部、14C…暗号化処理部、20…送信元端末、30…メールサーバ、40…送信先端末、L1,L2…通信回線、NW…通信網。