(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/141 20210101AFI20240409BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240409BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240409BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20240409BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20240409BHJP
【FI】
H01M50/141
H01M50/103
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/474
H01M50/477
H01M50/586
H01M50/593
H01M10/04 Z
H01G11/12
H01G11/80
(21)【出願番号】P 2020131052
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-128038(JP,A)
【文献】特開2004-342643(JP,A)
【文献】特開2018-133251(JP,A)
【文献】特開2013-175446(JP,A)
【文献】国際公開第2020/136971(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01M 50/40-50/497
H01M 10/00-10/39
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体と前記積層体に設けられた補強部材とを備える蓄電モジュールであって、
前記積層体は、
第1集電体及び前記第1集電体の第1面に設けられた第1活物質層を含む第1電極と、
第2集電体、及び、前記第2集電体の第2面に設けられ、前記第1活物質層と異なる極性の第2活物質層を含み、前記第2活物質層が前記第1活物質層に対向するように前記第1電極に積層された第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の積層方向からみて前記第1活物質層及び前記第2活物質層を囲うように前記第1集電体と前記第2集電体との間に設けられ、前記第1集電体と前記第2集電体との間の空間を封止するための枠状のスペーサと、
を有し、
前記スペーサは、前記空間に臨む第1内側面と、前記第1内側面の反対側の第1外側面と、を含み、
前記補強部材は、前記第1外側面の全周にわたって前記第1外側面を覆うように前記第1外側面に設けられており、前記第1外側面に沿って配置された金属層を有
し、
前記スペーサ及び前記補強部材は、それぞれ、一の部分と別の部分との接合部を含み、
前記スペーサの前記接合部と前記補強部材の前記接合部とは、互いに異なる位置に配置されている、
蓄電モジュール。
【請求項2】
前記補強部材は、当該補強部材の前記接合部を覆う重複部を含む、
請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記補強部材は、前記積層方向からみて前記積層体を囲うように延在しており、
前記重複部は、前記積層方向からみたとき、前記補強部材の延在方向における前記補強部材の一端部が前記延在方向における前記補強部材の他端部に重ねられることにより形成されている、
請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記積層体では、前記積層方向の一端に前記第1電極が配置されると共に、前記積層方向の他端に前記第2電極が配置されており、
前記補強部材は、
前記第1外側面に設けられた本体部と、
前記本体部から前記一端の前記第1電極の前記第1集電体の前記第1面と反対側の第3面に延在して設けられた第1延在部と、
前記本体部から前記他端の前記第2電極の前記第2集電体の前記第2面と反対側の第4面上に延在して設けられた第2延在部と、
を有し、
前記第1延在部は、前記金属層と、前記金属層よりも前記第3面側に位置する絶縁層と、を含み、
前記第2延在部は、前記金属層と、前記金属層よりも前記第4面側に位置する絶縁層と、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
積層体と前記積層体に設けられた補強部材とを備える蓄電モジュールであって、
前記積層体は、
第1集電体及び前記第1集電体の第1面に設けられた第1活物質層を含む第1電極と、
第2集電体、及び、前記第2集電体の第2面に設けられ、前記第1活物質層と異なる極性の第2活物質層を含み、前記第2活物質層が前記第1活物質層に対向するように前記第1電極に積層された第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の積層方向からみて前記第1活物質層及び前記第2活物質層を囲うように前記第1集電体と前記第2集電体との間に設けられ、前記第1集電体と前記第2集電体との間の空間を封止するための枠状のスペーサと、
を有し、
前記スペーサは、前記空間に臨む第1内側面と、前記第1内側面の反対側の第1外側面と、を含み、
前記補強部材は、前記第1外側面の全周にわたって前記第1外側面を覆うように前記第1外側面に設けられており、前記第1外側面に沿って配置された金属層を有し、
前記積層体では、前記積層方向の一端に前記第1電極が配置されると共に、前記積層方向の他端に前記第2電極が配置されており、
前記補強部材は、
前記第1外側面に設けられた本体部と、
前記本体部から前記一端の前記第1電極の前記第1集電体の前記第1面と反対側の第3面に延在して設けられた第1延在部と、
前記本体部から前記他端の前記第2電極の前記第2集電体の前記第2面と反対側の第4面上に延在して設けられた第2延在部と、
を有し、
前記第1延在部は、前記金属層と、前記金属層よりも前記第3面側に位置する絶縁層と、を含み、
前記第2延在部は、前記金属層と、前記金属層よりも前記第4面側に位置する絶縁層と、を含む、
蓄電モジュール。
【請求項6】
前記第1延在部の前記本体部と反対側の端部、及び、前記第2延在部の前記本体部と反対側の端部の少なくとも一方は、前記絶縁層が前記金属層よりも外側になるように前記積層体と反対側に折り返されて形成された第1折り返し部を含む、
請求項5に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記第1延在部の前記本体部と反対側の端部と前記第3面との間、及び、前記第2延在部の前記本体部と反対側の端部と前記第4面との間の少なくとも一方には、絶縁部材が介在されている、
請求項5又は6に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】
前記補強部材は、前記本体部として、
前記第1延在部に接続された第1本体部と、
前記第2延在部に接続された第2本体部と、を有し、
前記第1本体部と前記第2本体部とは、互いに電気的に絶縁されている、
請求項5~7のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、組電池が記載されている。この組電池は、複数のシート形ポリマー二次電池(素電池)を積層し、各素電池を直列に接続したものである。この組電池は、正極集電体を兼ねる金属製の上部外装板と、負極集電体を兼ねる金属製の下部外装板と、正負極集電体を兼ねる金属製の中間外装板と、を備えている。上部外装板と中間外装板との間、及び下部外装板と中間外装板との間には、それぞれ、矩形枠状の樹脂製の封口体が設けられており、封口体は各外装板に熱溶着されている。各外装板と封口体とで囲まれた空間には、発電要素が配置されている。発電要素は、正極層、負極層、及び、正極層と負極層との間に介在されたゲル状電解質層から構成されている。ゲル状電解質層は、非水電解液及びこの電解液を保持するポリマーを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電解質が非水電解質で構成される非水二次電池では、電池内部への水分(水蒸気)の侵入により、電池性能が劣化することが知られている。具体的には、電池内部へ水分が浸入すると、電解質が変質して抵抗が増大したり、変質した成分によって活物質や被膜が分解し、電池性能が低下したりするおそれがある。このため、非水二次電池においては、大気中の湿気などの水分の侵入を抑えるために、電池の外装材の気密性を確保することが重要となる。特許文献1に記載の組電池では、金属製の外装板と樹脂製の枠状封口体により各発電要素を封止している。しかしながら、樹脂は、金属に比べて僅かであるが水分を透過させることが知られており、樹脂製の枠状封口体による封止では、外部からの水分侵入を十分に抑制することができないおそれがある。
【0005】
本発明は、電池内部への水分の侵入による電池性能の劣化を抑制可能な蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓄電モジュールは、積層体と積層体に設けられた補強部材とを備える蓄電モジュールであって、積層体は、第1集電体及び第1集電体の第1面に設けられた第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体、及び、第2集電体の第2面に設けられ、第1活物質層と異なる極性の第2活物質層を含み、第2活物質層が第1活物質層に対向するように第1電極に積層された第2電極と、第1電極及び第2電極の積層方向からみて第1活物質層及び第2活物質層を囲うように第1集電体と第2集電体との間に設けられ、第1集電体と第2集電体との間の空間を封止するための枠状のスペーサと、を有し、スペーサは、空間に臨む第1内側面と、第1内側面の反対側の第1外側面と、を含み、補強部材は、第1外側面の全周にわたって第1外側面を覆うように第1外側面に設けられており、第1外側面に沿って配置された金属層を有する。
【0007】
この蓄電モジュールでは、電極等の積層体に対して補強部材が設けられている。より具体的には、積層体では、第1電極の第1集電体と第2電極の第2集電体との間の空間がスペーサで封止されており、補強部材は、スペーサの外側面である第1外側面の全周にわたって第1外側面を覆うように設けられており、補強部材は、スペーサの第1外側面に沿って配置された金属層を有する。この結果、補強部材が設けられない場合と比較して、第1集電体と第2集電体との間の空間への水分の浸入が抑制される。さらに、一般的に、金属は、樹脂と比較して水分の透過係数が低い。よって、当該空間への水分の侵入が確実に抑制される。なお、水分とは、大気中の水蒸気や、結露により蓄電モジュールの外表面に生じた水を含む。
【0008】
本発明に係る蓄電モジュールでは、スペーサ及び補強部材は、それぞれ、一の部分と別の部分との接合部を含み、スペーサの接合部と補強部材の接合部とは、互いに異なる位置に配置されていてもよい。この場合、スペーサの接合部と補強部材の接合部とが同じ位置に配置された場合と比較して、スペーサの接合部と補強部材の接合部とを介した水分の移動経路が長くなることにより、水分の侵入がより確実に抑制される。
【0009】
本発明に係る蓄電モジュールでは、補強部材は、当該補強部材の接合部を覆う重複部を含んでもよい。この場合、補強部材の接合部が重複部によって覆われることにより、水分の侵入がさらに抑制される。
【0010】
本発明に係る蓄電モジュールでは、補強部材は、積層方向からみて積層体を囲うように延在しており、重複部は、積層方向からみたとき、補強部材の延在方向における補強部材の一端部が延在方向における補強部材の他端部に重ねられることにより形成されていてもよい。この場合、接合部を覆う重複部を容易に構成できる。
【0011】
本発明に係る蓄電モジュールでは、積層体では、積層方向の一端に第1電極が配置されると共に、積層方向の他端に第2電極が配置されており、補強部材は、第1外側面に設けられた本体部と、本体部から一端の第1電極の第1集電体の第1面と反対側の第3面に延在して設けられた第1延在部と、本体部から他端の第2電極の第2集電体の第2面と反対側の第4面上に延在して設けられた第2延在部と、を有し、第1延在部は、金属層と、金属層よりも第3面側に位置する絶縁層と、を含み、第2延在部は、金属層と、金属層よりも第4面側に位置する絶縁層と、を含んでもよい。この場合、補強部材を介した第1電極と第2電極との短絡を抑制しつつ、第1集電体の第3面及び第2集電体の第4面側からの水分の侵入を抑制可能である。
【0012】
本発明に係る蓄電モジュールでは、第1延在部の本体部と反対側の端部、及び、第2延在部の本体部と反対側の端部の少なくとも一方は、絶縁層が金属層よりも外側になるように積層体と反対側に折り返されて形成された第1折り返し部を含んでもよい。この場合、補強部材の金属層と第1電極及び第2電極との間の絶縁を確実に確保し、補強部材を介した第1電極と第2電極との短絡をより確実に抑制できる。
【0013】
本発明に係る蓄電モジュールでは、第1延在部の本体部と反対側の端部と第3面との間、及び、第2延在部の本体部と反対側の端部と第4面との間の少なくとも一方には、絶縁部材が介在されていてもよい。この場合、補強部材の金属層と第1電極及び第2電極との間の絶縁を確実に確保し、補強部材を介した第1電極と第2電極との短絡をより確実に抑制できる。
【0014】
本発明に係る蓄電モジュールでは、補強部材は、本体部として、第1延在部に接続された第1本体部と、第2延在部に接続された第2本体部と、を有し、第1本体部と第2本体部とは、互いに電気的に絶縁されていてもよい。この場合、例えば第1延在部及び第2延在部の一方と対応する電極との絶縁が破られた場合であっても、補強部材を介した第1電極と第2電極との短絡が避けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電池内部への水分の侵入による電池性能の劣化を抑制可能な蓄電モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された蓄電装置の積層方向からみた場合の図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された蓄電装置の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、第1変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、第2変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、第3変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、第4変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、第5変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら一実施形態について説明を行う。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される場合がある。また、各図には、X軸、Y軸、及び、Z軸からなる直交座標系を示す場合がある。
【0018】
図1は、一実施形態に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。
図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置1は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。本実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
【0019】
蓄電装置1は、複数の蓄電セル2が積層方向にスタック(積層)された積層体5と、積層体5に設けられた補強部材30と、を含む。ここでは、蓄電セル2の積層方向をZ軸方向とする。各蓄電セル2は、正極(第1電極)11と、負極(第2電極)12と、セパレータ13と、スペーサ14とを備える。正極11は、第1集電体20と、第1集電体20の一方面(第1面)20aに設けられた正極活物質層(第1活物質層)22とを備える。正極11は、例えば矩形状の電極である。
【0020】
負極12は、第2集電体21と、第2集電体21の一方面(第2面)21aに設けられた負極活物質層(第1活物質層と異なる極性の第2活物質層)23とを備える。負極12は、例えば矩形状の電極である。負極12は、負極活物質層23が正極活物質層22と対向するように正極11に積層されている。本実施形態では、正極11及び負極12の積層方向は、蓄電セル2の積層方向と一致している(Z軸方向である)。以下、蓄電セル2の積層方向と正極11及び負極12の積層方向を単に「積層方向」と称する場合がある。本実施形態では、正極活物質層22及び負極活物質層23は、いずれも矩形状に形成されている。負極活物質層23は、正極活物質層22よりも一回り大きく形成されており、平面視において(積層方向からみたとき)、正極活物質層22の形成領域の全体が負極活物質層23の形成領域内に位置している。
【0021】
第1集電体20は、一方面20aとは反対側の面である他方面(第3面)20bを有する。他方面20bには、正極活物質層22が形成されていない。第2集電体21は、一方面21aとは反対側の面である他方面(第4面)21bを有する。他方面21bには、負極活物質層23が形成されていない。第1集電体20の他方面20bと第2集電体21の他方面21bとが互いに接するように、蓄電セル2がスタックされることによって、積層体5が構成される。
【0022】
これにより、複数の蓄電セル2が電気的に直列に接続される。積層体5では、積層方向に隣り合う蓄電セル2,2により、互いに接する第1集電体20及び第2集電体21を電極体とする疑似的なバイポーラ電極10が形成される。すなわち、1つのバイポーラ電極10は、第1集電体20、第2集電体21、正極活物質層22及び負極活物質層23を含む。積層方向の一端には、終端電極として第1集電体20(正極11)が配置される。積層方向の他端には、終端電極として第2集電体21(負極12)が配置される。なお、ここでは、一方面20a,21a及び他方面20b,21bに沿う方向をX軸方向及びY軸方向とする。
【0023】
第1集電体20及び第2集電体21のそれぞれ(以下、単に「集電体」ともいう)は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、正極活物質層22及び負極活物質層23に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。集電体を構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。集電体は、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。集電体の表面は、公知の保護層により被覆されてもよい。集電体の表面は、メッキ処理等の公知の方法により処理されてもよい。
【0024】
集電体は、例えば、箔状、シート状、フィルム状、メッシュ状等の形態に形成されていてもよい。集電体を金属箔とする場合、集電体として、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等を用いることができる。集電体は、上記金属の合金箔又はクラッド箔であってもよい。本実施形態では、第1集電体20はアルミニウム箔であり、第2集電体21は銅箔である。箔状の集電体の場合、集電体の厚みは、例えば、1μm~100μmの範囲内であってもよい。
【0025】
正極活物質層22は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、ポリアニオン系化合物など、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。本実施形態において、正極活物質層22は複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を含む。
【0026】
負極活物質層23は、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はなく使用可能である。例えば、負極活物質としてLiや、炭素、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等が挙げられる。炭素としては天然黒鉛、人造黒鉛、あるいはハードカーボン(難黒鉛化性炭素)やソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)を挙げることができる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。本実施形態において、負極活物質層23は、炭素系材料としての黒鉛を含む。
【0027】
正極活物質層22及び負極活物質層23のそれぞれ(以下、単に「活物質層」ともいう)は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層に含まれる成分又は当該成分の配合比及び活物質層の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。活物質層の厚みは、例えば2~150μmである。集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いてもよい。正極11又は負極12の熱安定性を向上させるために、集電体の表面(片面又は両面)又は活物質層の表面に耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでもよい。
【0028】
導電助剤は、正極11又は負極12の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。
【0029】
結着剤は、活物質又は導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たす。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
【0030】
正極11と負極12との間に配置されるセパレータ13は、正極11と負極12とを隔離して両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。
【0031】
セパレータ13は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。セパレータ13を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂の他、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアニリン、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチレンセルロースなど、種々の樹脂材料が挙げられる。セパレータ13は、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、接着層、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。セパレータ13には、電解質が含浸されてもよく、セパレータ13自体を高分子電解質又は無機型電解質等の電解質で構成してもよい。
【0032】
本実施形態では、セパレータ13は、基材層13aと、基材層13aの第1面13aaに設けられた第1接着層13bと、基材層13aの第2面13abに設けられた第2接着層13cとを有する。セパレータ13は、正極活物質層22及び負極活物質層23に対向している中央部と、正極活物質層22及び負極活物質層23に対向していない縁部13eとを有する。第1接着層13b及び第2接着層13cは、少なくともセパレータ13の縁部13eに設けられ、縁部13eは第1集電体20又は第2集電体21のいずれか一方に接着される。第1接着層13bは、セパレータ13の中央部にも設けられており、第1接着層13bは、正極活物質層22に接着される。第1接着層13bは、正極11と基材層13aとの間の位置ずれを防止する。第2接着層13cは、セパレータ13の中央部にも設けられており、第2接着層13cは、負極活物質層23に接着される。第2接着層13cは、負極12と基材層13aとの間の位置ずれを防止する。
【0033】
セパレータ13に含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質(電解液)、又はポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質などが挙げられる。
【0034】
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。非水溶媒としては、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒を使用できる。また、これらの材料を単独、または二種以上組合せて用いてもよい。電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2等の公知のリチウム塩を使用できる。
【0035】
第1接着層13b及び第2接着層13cのそれぞれは、熱硬化性接着剤又は熱可塑性接着剤を含んでもよい。また、第1接着層13b及び第2接着層13cは、例えば、電解液と反応する前には接着性を有しておらず、電解液と反応することで接着層をもつようになって接着層として機能するものであってもよい。熱硬化性接着剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含んでもよい。熱可塑性接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の熱可塑性樹脂を含んでもよい。第1接着層13b及び第2接着層13cのそれぞれは、接着剤を塗布することによって形成されてもよい。
【0036】
スペーサ14は、正極11の第1集電体20と負極12の第2集電体21との間に形成され、第1集電体20及び第2集電体21の少なくとも一方に接合又は固定される。本実施形態では、第1集電体20及び第2集電体21の両方に接合されている。スペーサ14は、絶縁材料を含み、第1集電体20と第2集電体21との間を絶縁することによって短絡を防止する。本実施形態において、スペーサ14は、絶縁材料として樹脂であるポリエチレンを含む。スペーサ14を構成する樹脂材料としては、ポリエチレンの他に、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリプロピレン、及びアクリロニトリルスチレン樹脂等が挙げられる。
【0037】
本実施形態において、スペーサ14は、平面視で矩形状の第1集電体20の縁部20e及び平面視で矩形状の第2集電体21の縁部21eに沿って設けられており、正極活物質層22及び負極活物質層23の周囲を取り囲む矩形枠状に形成されている。
【0038】
本実施形態において、スペーサ14は、第1集電体20と第2集電体21との間の空間Sを封止する枠状の封止部としても機能する。本実施形態では、各蓄電セル2に配置されるスペーサ14は、一対の集電体間に配置される内側部分と集電体の縁部よりも外側に延びる外側部分とを有しており、積層方向に隣り合うスペーサ14の外側部分同士が接合されて一体化されている。複数のスペーサ14が一体化されて封止体14aを形成している。スペーサ14、第1集電体20、及び第2集電体21によって囲まれた空間Sには、セパレータ13の基材層13a等に含浸される電解質(電解液)が収容されている。封止体14aは、積層体5の積層方向の一端に配置された第1集電体20から積層方向の他端に配置された第2集電体21まで積層方向に延在する延在壁部を有している。封止体14aは角筒状に形成されている。
【0039】
スペーサ14は、正極11及び負極12との間の空間Sを封止することで、電解質の漏出を防止し得る。また、スペーサ14は、正極11及び負極12との間の空間Sを封止することで、蓄電装置1の外部から空間S内への水分の侵入を防止し得る。さらに、スペーサ14は、例えば充放電反応等により正極11又は負極12から発生したガスが蓄電装置1の外部に漏れることを防止し得る。
【0040】
本実施形態では、セパレータ13の縁部13eが、第1接着層13bを介して、第1集電体20の一方面20aに接着される。すなわち、第1集電体20の一方面20aは、第1接着層13bに接着された接着面20aaを含む。第1集電体20の一方面20aは、正極活物質層22が形成された形成領域と、正極活物質層22が形成されていない非形成領域とを含む。非形成領域は、形成領域の周囲に設けられ、第1接着層13bに接着された接着面20aaを含む。
【0041】
セパレータ13の縁部13eは、第1集電体20とスペーサ14との間に挟まれており、セパレータ13の縁部13eにおける第2接着層13cはスペーサ14に接着されている。セパレータ13の縁部13eは、スペーサ14に埋め込まれている。
【0042】
本実施形態の蓄電装置1及び蓄電セル2によれば、セパレータ13の縁部13eが、第1集電体20とスペーサ14とに接着されるので、セパレータ13の縁部13eが固定され、セパレータ13の収縮又は位置ずれを抑制できる。本実施形態のセパレータ13の縁部13eは、一方面が集電体に接着されるだけでなく、他方面が別の集電体に接着固定されたスペーサ14に接着されている。スペーサ14は、蓄電セル2の端部に固定状態で配置されているので、セパレータ13の縁部13eの一方面と集電体との接着力が低下したとしても、セパレータ13の縁部13eはスペーサ14により保持されることになる。したがって、本実施形態では、セパレータ13の縁部13eがどこにも接着されていない場合、又は、セパレータ13の縁部13eが集電体のみに接着されている場合と比較して、セパレータ13の収縮が抑制される。よって、セパレータ13の破断又はずれによる短絡も抑制できる。また、正極活物質層22又は負極活物質層23が膨張した場合に、拘束板等を用いなくても、第1接着層13b及び第2接着層13cによって、第1集電体20の一方面20aと第2集電体21の一方面21aとの間の距離が広がり難い。
【0043】
第1接着層13bが正極活物質層22に接着され、第2接着層13cが負極活物質層23に接着されていると、例えば放電により負極活物質層23が収縮した場合であっても、第1接着層13bと正極活物質層22との接触面積及び第2接着層13cと負極活物質層23との接触面積の低下を抑制できる。その結果、蓄電装置1の電気抵抗値の増大が抑制されるので、蓄電装置1の容量の低下を抑制できる。
【0044】
スペーサ14が第1接着層13bの端面13bs及び第2接着層13cの端面13csに接着される場合、セパレータ13とスペーサ14との間の接着面積が大きくなるので、セパレータ13をより強固にスペーサ14に接着できるようになる。
【0045】
第1接着層13b及び第2接着層13cの少なくとも一方が熱硬化性接着剤を含む場合、熱硬化性接着剤の硬化後に蓄電セル2が加熱されても、熱硬化性接着剤は溶けない。そのため、第1集電体20又はスペーサ14にセパレータ13をより確実に取り付けることができる。
【0046】
ここで、本実施形態に係る蓄電装置1では、空間Sへの水分の侵入を抑制するための構成を備えている。引き続いて、水分の侵入の抑制に寄与する補強部材30について説明する。なお、水分とは、大気中の水蒸気や、結露により蓄電モジュールの外表面に露により生じた水等を含む。
【0047】
図2は、
図1に示された蓄電装置の積層方向からみた場合の図である。
図2の(a)は、蓄電装置1の平面図であり、
図2の(b)は
図1のIIb-IIb線に沿っての模式的な断面図である。
図2の(c)は、
図2の(b)の領域ARの拡大図である。
図3は、
図1に示された蓄電装置の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
図3では、煩雑化を避けるため、
図1と比較して一部の蓄電セル2が省略されて少数の蓄電セル2が図示されている。
【0048】
図1~3に示されるように、補強部材30は、フィルム状の部材であり、主に、積層体5の側面に設けられている。補強部材30は、積層体5側から順に積層された第1樹脂層31、金属層32、及び、第2樹脂層33を含む。本実施形態では、第1樹脂層31、金属層32、及び第2樹脂層33がこの順で層状に積層されて一体化されることにより、補強部材30が構成されている。第1樹脂層31は、電気的な絶縁性を有する樹脂から構成されており、積層体5に対する接着層であってもよい。ただし、第1樹脂層31と積層体5との間に別の接着層が介在されてもよい。
【0049】
第1樹脂層31の材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等である。金属層32は、例えばアルミ箔やステンレス箔といった水分透過性が低い(水分透過係数が小さい)材料からなる。第2樹脂層は、例えば、電気的な絶縁性を有する樹脂からなる。第2樹脂層33の材料は、例えば、ポリプロピレン、ナイロン等である。一般的に、金属材料の水分透過係数は、樹脂材料の水分透過係数と比較して非常に小さい。つまり、水分の侵入を抑制するという観点からは、補強部材30は、水分の透過係数の低い金属層32を備えていればよい。しかし、金属層32のみで構成された補強部材30では、スペーサ14との接着性が低くなるおそれがあるので、水分の侵入を抑制することと、スペーサ14との接着性の向上との両方を考慮して、補強部材30は、第1樹脂層31と金属層32との2層から構成され得る。第1樹脂層31は、スペーサ14との接着性を優先し、スペーサ14と同種の材料から構成され得る。一方、金属層32は、水分の透過性の低い金属材料が選択され得る。
【0050】
本実施形態の補強部材30では、金属層32の一方面における全面に第1樹脂層31が設けられており、金属層32の他方面の全面に第2樹脂層33が設けられている。すなわち、補強部材30は、その全面に金属層が設けられている。補強部材30は、金属層32を備えているので、補強部材30の水分の透過係数は、樹脂材料のみで構成されたスペーサ14の水分の透過係数よりも小さい。
【0051】
スペーサ14は、空間Sに臨む内側面(第1内側面)14rと、内側面14rの反対側の外側面(第1外側面)14sと、を含む。スペーサ14の外側面14sは、積層方向に複数連なることにより、積層体5の積層方向に沿って延びる外側面を構成している。一方、積層体5の積層方向の一端には、第1集電体20の他方面20bが外側に臨むように正極11(正極終端電極11E)が配置されており、積層体5の積層方向の他端には、第2集電体21の他方面21bが外側に臨むように負極12(負極終端電極12E)が配置されている。補強部材30は、スペーサ14の外側面14sを覆うように(一例として完全に覆うように)、その一端部が正極終端電極11Eの他方面20bの一部に重複すると共に、その他端部が負極終端電極12Eの他方面21bの一部に重複するように配置される。
【0052】
すなわち、補強部材30は、スペーサ14の外側面14s(外側面14sによって構成される積層体5の外側面)上に設けられた本体部41と、本体部41から正極終端電極11Eの他方面20bに延在して他方面20b上に設けられた延在部(第1延在部)43と、本体部41から負極終端電極12Eの他方面21bに延在して他方面21b上に設けられた延在部(第2延在部)44と、を含む。本体部41は、積層方向から見て積層体5を囲うように環状に延在し(
図2の(b)参照)、外側面14sに接着されている。
【0053】
延在部43は、積層方向からみて、他方面20bの外周部に重なるように環状に延在している。延在部43は、第1樹脂層31において他方面20bに接着されている。延在部43は、積層方向からみて、正極終端電極11Eのエッジを越えて終端されていればよい。ここでは、延在部43の端面43s(本体部41との接続部と反対側の端面)は、積層方向からみて、スペーサ14の内側面14rと外側面14sとの間で、且つ、正極終端電極11Eのエッジを越えた領域に位置している。
【0054】
延在部44は、積層方向からみて、他方面21bの外周部に重なるように環状に延在している。延在部44は、第1樹脂層31において他方面21bに接着されている。延在部44は、積層方向からみて、負極終端電極12Eのエッジを越えて終端されていればよい。ここでは、延在部44の端面44s(本体部41との接続部と反対側の端面)は、積層方向からみて、スペーサ14の内側面14rと外側面14sとの間で、且つ、負極終端電極12Eのエッジを越えた領域に位置している。
【0055】
上述したように、補強部材30では、金属層32の全面に第1樹脂層31が設けられている。したがって、延在部43は、金属層32と、金属層32よりも他方面20b側に位置する絶縁層としての第1樹脂層31と、を含むこととなる。また、延在部44は、金属層32と、金属層32よりも他方面21b側に位置する絶縁層としての第1樹脂層31と、を含むこととなる。
【0056】
延在部43の本体部41と反対側の端部43p(端面43sを含む端部)と他方面20bとの間、及び、延在部44の本体部41と反対側の端部44p(他面44sを含む端部)と他方面21bとの間には,絶縁部材50が介在されている(
図3参照)。絶縁部材50は、例えば電気的な絶縁性を有する樹脂からなり、端面43s,44sに露出した金属層32の端部を覆っている。
【0057】
このような補強部材30は、例えば、第1樹脂層31、金属層32、及び第2樹脂層33が一体化されて帯状となった状態で用意され、積層体5に巻きつけられて接着される。したがって、積層方向からみたとき(
図2の(b),(c)参照)、補強部材30には、接合部30pが形成される。すなわち、補強部材30は、一の部分(帯状の状態で一端部であった部分)と別の部分(帯状の状態で他端部であった部分)とが接合されて形成された接合部30pを含む。接合部30pは、補強部材30におけるスペーサ14の外側面14sに臨む内側面(第2内側面)30rから、補強部材30における内側面30rと反対側の外側面(第2外側面)30sにわたる継目(第2継目)である。
【0058】
一方、スペーサ14は、例えば、帯状(短冊状)の樹脂部材を複数用意し、その複数の樹脂部材を枠状となるように配置して一体化することにより形成される。このため、ここでは、スペーサ14にも接合部14pが形成される。すなわち、スペーサ14は、一の部分(1つの帯状の樹脂部材の端部であった部分)と、別の部分(別の帯状の樹脂部材の端部であった部分)とが接合されて形成された接合部14pを含む。接合部14pは、内側面14rから外側面14sにわたる継目(第1継目)である。そして、積層方向からみたとき、補強部材30の接合部30pは、スペーサ14の接合部14pと異なる位置に配置されている。すなわち、接合部30pと接合部14pとは、積層方向に交差する方向からみて互いに重ならない。
【0059】
さらに、補強部材30は、接合部30pにおける外側面30sに露出する部分を覆う重複部30Aを含む。ここでは、重複部30Aは、積層方向からみたとき、補強部材30の延在方向の一端部34が、補強部材30の延在方向の他端部35に重ねられることにより形成されている。一端部34は他端部35に接着される。なお、スペーサ14の接合部14pは、スペーサ14を構成する1つの帯状の樹脂部材と別の帯状の樹脂部材とを、スペーサ14の環状の延在方向に沿って突き当てて接合することにより形成されてもよいし、積層方向に重複させて接合することにより形成されてもよい。
【0060】
以上説明したように、蓄電装置1では、積層体5に対して補強部材30が設けられている。より具体的には、積層体5では、正極11の第1集電体20と負極12の第2集電体21との間の空間Sがスペーサ14で封止されており、補強部材30が、スペーサ14の外側面14sの全周にわたって外側面14sを覆うように設けられており、さらに、補強部材30は、スペーサ14の外側面14sに沿って配置された金属層32を有している。この結果、補強部材30が設けられない場合と比較して、電池の外部から空間Sへの水分の浸入が抑制される。すなわち、樹脂と比較して水分の透過係数が低い金属層32を有する補強部材30を、樹脂製のスペーサ14の外側面14sに設けているので、金属層32が水分の透過を抑制し、その結果、スペーサ14を透過しようとする水分が少なくなり、空間Sに対する水分の侵入が抑制される。
【0061】
空間S内に外部から水分が浸入すると、電解質が変質して抵抗が増大したり、変質した成分によって活物質や被膜が分解し、電池性能が低下したりするおそれがある。蓄電装置1では、上記のように空間Sへの水分の侵入が抑制される結果、電池性能の低下が抑制される。なお、電解質が、電解液や、溶媒で膨潤するタイプのゲル電解液である場合には、空間Sから蓄電装置1の外部への溶媒の漏出を抑制することが望ましい。これに対して、蓄電装置1では、金属層32を含む補強部材30を備えることにより、空間Sへの水分の侵入の抑制と同様に、空間Sからの溶媒の漏出も抑制される。
【0062】
また、蓄電装置1では、スペーサ14及び補強部材30は、それぞれ、一の部分と別の部分との接合部を含み、スペーサ14の接合部14pと補強部材30の接合部30pとは、互いに異なる位置に配置されている。このため、スペーサ14の接合部14pと補強部材30の接合部30pとが同じ位置に配置された場合と比較して、スペーサ14の接合部14pと補強部材30の接合部30pを介した水分の移動経路が長くなることで、水分の侵入がより確実に抑制される。
【0063】
また、蓄電装置1では、補強部材30は、補強部材30における接合部30pを覆う重複部30Aを含んでいる。このように、補強部材30の接合部30pが重複部30Aによって覆われることにより、水分の侵入がさらに抑制される。
【0064】
また、蓄電装置1では、補強部材30は、積層方向からみて積層体5を囲うように延在しており、重複部30Aは、積層方向からみたとき、補強部材30の延在方向における補強部材30の一端部34が、延在方向における補強部材30の他端部35に重ねられることにより形成されている。このため、接合部30pを覆う重複部30Aを容易に構成できる。
【0065】
また、蓄電装置1では、積層体5において、積層方向の一端に正極11(正極終端電極11E)が配置されると共に、積層方向の他端に負極12(負極終端電極12E)が配置されている。また、補強部材30は、スペーサ14の外側面14sに設けられた本体部41と、本体部41から正極終端電極11Eの第1集電体20の他方面20bに延在して設けられた延在部43と、本体部41から負極終端電極12Eの第2集電体21の他方面21b上に延在して設けられた延在部44と、を有する。
【0066】
そして、延在部43は、金属層32と、金属層32よりも他方面20b側に位置する絶縁層としての第1樹脂層31と、を含む。また、延在部44は、金属層32と、金属層32よりも他方面21b側に位置する絶縁層としての第1樹脂層31と、を含む。このため、補強部材30を介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡を抑制しつつ、第1集電体20の他方面20b及び第2集電体21の他方面21b面側からの水分の侵入を抑制可能である。
【0067】
また、蓄電装置1では、延在部43の本体部41と反対側の端部43pと他方面20bとの間、及び、延在部44の本体部41と反対側の端部44pと他方面21bとの間には、絶縁部材50が介在されている。このため、補強部材30の金属層32と正極終端電極11E及び負極終端電極12Eとの間の絶縁を確実に確保し、補強部材30を介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡をより確実に抑制できる。ただし、蓄電装置1では、正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの補強部材30を介した短絡を防止する観点からは、延在部43の本体部41と反対側の端部43pと他方面20bとの間、及び、延在部44の本体部41と反対側の端部44pと他方面21bとの間のいずれか一方に絶縁部材50が介在されていればよい。
【0068】
以上の実施形態は、本発明の一側面を例示したものである。したがって、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、任意に変形されたものとされ得る。引き続いて、変形例について説明を行う。
[第1変形例]
【0069】
図4は、第1変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
図4に示されるように、第1変形例に係る蓄電装置1Bは、上記実施形態に係る蓄電装置1と比較して、補強部材30に代えて補強部材30Bを備える点で蓄電装置1と相違している。補強部材30Bは、補強部材30と比較して、折り返し部45,46を含む点で補強部材30と相違している。
【0070】
すなわち、補強部材30Bでは、延在部43の本体部41と反対側の端部43pは、絶縁層としての第1樹脂層31が金属層32よりも外側になるように、積層体5(他方面20b)と反対側に折り返されて形成された折り返し部(第1折り返し部)45を含む。この結果、ここでは、積層方向からみたとき、金属層32の端部が露出する延在部43の端面43sが、積層体5の外側に向けられることとなる。
【0071】
また、補強部材30Bでは、延在部44の本体部41と反対側の端部44pは、絶縁層としての第1樹脂層31が金属層32よりも外側になるように、積層体5(他方面21b)と反対側に折り返されて形成された折り返し部(第2折り返し部)46を含む。この結果、ここでは、積層方向からみときに、金属層32の端部が露出する延在部44の端面44sが、積層体5の外側に向けられることとなる。
【0072】
このような構成を有する蓄電装置1Bによれば、補強部材30Bの金属層32と正極終端電極11E,負極終端電極12Eとの間の絶縁を確実に確保し、補強部材30Bを介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡をより確実に抑制できる。ただし、正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの補強部材30Bを介した短絡を防止する観点からは、補強部材30Bは、延在部43の端部43p及び延在部44の端部44pのいずれか一方に折り返し部が形成されていればよい。
[第2変形例]
【0073】
図5は、第2変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
図5に示されるように、第2変形例に係る蓄電装置1Bは、上記実施形態に係る蓄電装置1と比較して、補強部材30に代えて補強部材30Cを備える点で蓄電装置1と相違している。補強部材30Cは、補強部材30と比較して、複数(ここでは2つ)の本体部(第1本体部41A及び第2本体部41B)を有する点で補強部材30と相違している。
【0074】
すなわち、補強部材30Cは、本体部41として、延在部43に接続された第1本体部41Aと、延在部44に接続された第2本体部41Bと、を有する。そして、第1本体部41Aと第2本体部41Bとは、互いに電気的に絶縁されている。より具体的には、まず、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、スペーサ14の外側面14s上(外側面14sで構成される積層体5の外側面上)に配置されており、積層体5側から順に積層されている。そして、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、それぞれ、第1樹脂層31、金属層32、及び、第2樹脂層33を有している。したがって、第1本体部41Aの金属層32と第2本体部41Bの金属層32との間には、第1樹脂層31と第2樹脂層33が介在され、絶縁が確保されている。
【0075】
このような構成を有する蓄電装置1Cによれば、例えば、延在部43及び延在部44の一方と、対応する電極との絶縁が破られた場合であっても、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの間の絶縁が確保されているため、補強部材30Cを介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡が避けられる。
【0076】
なお、
図5の例では、第1本体部41Aと第2本体部41Bとが、それぞれ、積層方向に交差する方向からみてスペーサ14の外側面14s(外側面14sで構成される積層体5の外側面)を覆っている。しかし、積層方向に交差する方向からみて、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの少なくとも一方によって、積層体5の外側面が覆われていればよい。
[第3変形例]
【0077】
図6は、第3変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
図6に示されるように、第3変形例に係る蓄電装置1Dは、上記実施形態に係る蓄電装置1と比較して、補強部材30に代えて補強部材30Dを備える点で蓄電装置1と相違している。補強部材30Dは、補強部材30と比較して、複数(ここでは2つ)の本体部(第1本体部41A及び第2本体部41B)を有する点で補強部材30と相違している。
【0078】
すなわち、補強部材30Dは、本体部41として、延在部43に接続された第1本体部41Aと、延在部44に接続された第2本体部41Bと、を有する。そして、第1本体部41Aと第2本体部41Bとは、互いに電気的に絶縁されている。より具体的には、まず、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、スペーサ14の外側面14s上(外側面14sで構成される積層体5の外側面上)に配置されており、積層方向に沿って配列されている。また、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、それぞれ、第1樹脂層31、金属層32、及び、第2樹脂層33を有している。
【0079】
また、第1本体部41Aにおける延在部43と反対側の端部は、スペーサ14の外側面14s(積層体5)から離れる方向に屈曲され、第1樹脂層31が第2本体部41B側に向けられている。さらに、第2本体部41Bにおける延在部44と反対側の端部は、スペーサ14の外側面14s(積層体5)から離れる方向に屈曲され、第1樹脂層31が第1本体部41A側に向けられている。そして、第1本体部41Aと第2本体部41Bとは、その屈曲部において互いに接触している。したがって、当該屈曲部では、第1本体部41Aの金属層32と第2本体部41Bの金属層32との間に、それぞれの第1樹脂層31が介在され、絶縁が確保されている。
【0080】
なお、補強部材30Dでは、第1本体部41Aが屈曲されることにより、第1本体部41Aの延在部43と反対側の端面41Asが積層体5と反対側に向けられており、第2本体部41Bが屈曲されることにより、第2本体部41Bの延在部44と反対側の端面41Bsが積層体5と反対側に向けられている(端面41Asと同じ側に向けられている)。
【0081】
このような構成を有する蓄電装置1Dによれば、例えば、延在部43及び延在部44の一方と、対応する電極との絶縁が破られた場合であっても、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの間の絶縁が確保されているため、補強部材30Dを介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡が避けられる。
[第4変形例]
【0082】
図7は、第4変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
図7に示されるように、第4変形例に係る蓄電装置1Eは、上記実施形態に係る蓄電装置1と比較して、補強部材30に代えて補強部材30Eを備えると共に、絶縁部材60をさらに備える点で蓄電装置1と相違している。補強部材30Eは、補強部材30と比較して、複数(ここでは2つ)の本体部(第1本体部41A及び第2本体部41B)を有する点で補強部材30と相違している。
【0083】
すなわち、補強部材30Eは、本体部41として、延在部43に接続された第1本体部41Aと、延在部44に接続された第2本体部41Bと、を有する。そして、第1本体部41Aと第2本体部41Bとは、互いに電気的に絶縁されている。より具体的には、まず、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、スペーサ14の外側面14s上(外側面14sで構成される積層体5の外側面上)に配置されており、積層方向に沿って配列されている。また、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、それぞれ、第1樹脂層31、金属層32、及び、第2樹脂層33を有している。
【0084】
また、第1本体部41Aにおける延在部43と反対側の端部は、スペーサ14の外側面14s(積層体5)から離れる方向に屈曲され、第1樹脂層31が第2本体部41B側に向けられている。さらに、第2本体部41Bにおける延在部44と反対側の端部は、スペーサ14の外側面14s(積層体5)から離れる方向に屈曲され、第1樹脂層31が第1本体部41A側に向けられている。そして、第1本体部41Aと第2本体部41Bとは、その屈曲部において互いに最接近しているものの、互いの間に空間が形成されている。そして、第1本体部41Aの屈曲部と第2本体部41Bの屈曲部とが、絶縁部材60により封止され、絶縁が確保されている。
【0085】
なお、補強部材30Eでは、第1本体部41Aが屈曲されることにより、第1本体部41Aの延在部43と反対側の端面41Asが積層体5と反対側に向けられており、第2本体部41Bが屈曲されることにより、第2本体部41Bの延在部44と反対側の端面41Bsが積層体5と反対側に向けられている(端面41Asと同じ側に向けられている)。
【0086】
このような構成を有する蓄電装置1Eによれば、例えば、延在部43及び延在部44の一方と、対応する電極との絶縁が破られた場合であっても、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの間の絶縁が確保されているため、補強部材30Eを介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡が避けられる。さらに、ここでは、第1本体部41Aの金属層32が露出する端面41Asと、第2本体部41Bの金属層32が露出する端面41Bsとが、絶縁部材60に埋設されて封止されている。このため、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの絶縁が確実に確保される。
[第5変形例]
【0087】
図8は、第5変形例に係る蓄電装置を示す模式的な断面図である。
図8に示されるように、第5変形例に係る蓄電装置1Fは、上記実施形態に係る蓄電装置1と比較して、補強部材30に代えて補強部材30Fを備える点で蓄電装置1と相違している。補強部材30Fは、補強部材30と比較して、複数(ここでは2つ)の本体部(第1本体部41A及び第2本体部41B)を有する点で補強部材30と相違している。
【0088】
すなわち、補強部材30Eは、本体部41として、延在部43に接続された第1本体部41Aと、延在部44に接続された第2本体部41Bと、を有する。そして、第1本体部41Aと第2本体部41Bとは、互いに電気的に絶縁されている。より具体的には、まず、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、スペーサ14の外側面14s上(外側面14sで構成される積層体5の外側面上)に配置されており、積層方向に沿って配列されている。また、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、それぞれ、第1樹脂層31、金属層32、及び、第2樹脂層33を有している。
【0089】
補強部材30Eでは、第1本体部41A及び第2本体部41Bは、例えば第4変形例と比較して、延在部43,44と反対側の端部が屈曲されずに終端されている。そして、第1本体部41Aの延在部43と反対側の端面41Asと、第2本体部41Bの延在部44と反対側の端面41Bsとは、互いに対向しており、且つ、互いに離間している。これにより、第1本体部41Aと第2本体部42Aとの絶縁が確保されている。一方で、端面41Asと端面41Bsとの間の空間、及び、端面41As,41Bsは、端面41As,41Bsを越えて第1本体部41A及び第2本体部42Aに掛け渡されるように設けられた別の補強部材70によって覆われている。これにより、スペーサ14の外側面14s(外側面14sで構成される積層体5の外側面)は、積層方向に交差する方向からみて補強部材30Fと補強部材70とによって覆われることとなる。
【0090】
補強部材70は、例えば補強部材30と同様の層構造を有することができる。すなわち、補強部材70は、補強部材30側から順に積層されて一体化された第1樹脂層、金属層、及び、第2樹脂層を含むことができる。この場合には、例えば、補強部材30を用意する際に、補強部材30の母材の一部を利用して補強部材70を作製することができる。また、この場合には、補強部材70の金属層によって、端面41Asと端面41Bsとの離間した領域からの水分の侵入が抑制されると共に、補強部材70の第1樹脂層及び第2樹脂層によって絶縁の確保が図られる。ただし、補強部材70は、補強部材30と異なる層構造を有していてもよい。
【0091】
このような構成を有する蓄電装置1Fによれば、例えば、延在部43及び延在部44の一方と、対応する電極との絶縁が破られた場合であっても、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの間の絶縁が確保されているため、補強部材30Eを介した正極終端電極11Eと負極終端電極12Eとの短絡が避けられる。さらに、ここでは、第1本体部41Aの金属層32が露出する端面41Asと、第2本体部41Bの金属層32が露出する端面41Bsとが、互いに離間しつつ補強部材70によって覆われている。このため、第1本体部41Aと第2本体部41Bとの絶縁が確実に確保される。
[その他の変形例]
【0092】
以上の実施形態及び変形例では、それぞれの構成を任意に互いに交換し、或いは、追加して採用され得る。例えば、第3変形例に係る蓄電装置1Dのように、本体部41が複数の部分(第1本体部41A及び第2本体部41B)を含む場合にも、実施形態に係る蓄電装置1のように、延在部43の本体部41と反対側の端部43pと他方面20bとの間、及び、延在部44の本体部41と反対側の端部44pと他方面21bとの間の少なくとも一方に、絶縁部材50を介在させてもよい。
【0093】
また、同様に、第3変形例に係る蓄電装置1Dのように、本体部41が複数の部分(第1本体部41A及び第2本体部41B)を含む場合にも、第1変形例に係る蓄電装置1Bのように、延在部43の端部43p及び延在部44の端部44pの少なくとも一方に折り返し部(折り返し部45,46)を形成してもよい。
【0094】
また、上記実施形態及び変形例では、補強部材30等(補強部材30,30B,30C,30D,30E,30F)が金属層32を第1樹脂層31と第2樹脂層33とで挟んだ層構造を有する例を挙げたが、補強部材30等の構造はこれに限定されない。例えば、補強部材30等では、第2樹脂層33が省略されてもよい。また、第1樹脂層31の全面に金属層32が設けられておらず、金属層32が部分的に欠落されていてもよい。この場合、金属層32の欠落部分に、電解液の注液口や安全弁や配線の引出部を設けることが可能である。
【0095】
また、補強部材30等では、金属層32の全面に第1樹脂層31が設けられておらず、第1樹脂層31が部分的に欠落されている、或いは、第1樹脂層31が互いに離間した複数の部分から構成されていてもよい。後者の一例として、例えば、金属層32にスポット的に絶縁性の樹脂接着材を設けて第1樹脂層31を構成してもよい。すなわち、補強部材30等は、スペーサ14の外側面14sに沿って配置された金属層32を有していればよい。
【符号の説明】
【0096】
1,1B,1C,1D,1E,1F…蓄電装置(蓄電モジュール)、5…積層体、11…正極(第1電極)、12…負極(第2電極)、13…セパレータ、14…スペーサ、14r…内側面(第1内側面)、14s…外側面(第1外側面)、14p…接合部、20…第1集電体、20a…一方面(第1面)、20b…他方面(第3面)、21…第2集電体、21a…一方面(第2面)、21b…他方面(第4面)、22…正極活物質層(第1活物質層)、23…負極活物質層(第2活物質層)、30,30B,30C,30D,30E,30F…補強部材、30A…重複部、30r…内側面(第2内側面)、30s…外側面(第2外側面)、30p…接合部、31…第1樹脂層(絶縁層)、32…金属層、34…一端部、35…他端部、41…本体部、41A…第1本体部、41B…第2本体部、43…延在部(第1延在部)、44…延在部(第2延在部)、50…絶縁部材。