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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 15/06 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H04B15/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020143540
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038850
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西▲辻▼ 啓行
(72)【発明者】
【氏名】久保島 涼
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 秀章
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-260860(JP,A)
【文献】特開2009-071359(JP,A)
【文献】特開2006-253816(JP,A)
【文献】特開2017-135525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準発振器と、
前記基準発振器が発振する周波数を基準周波数としてPLL制御を実行する発振回路と、
前記発振回路におけるPLL制御により出力されるローカル信号により受信信号を直交検波する直交検波器と、
前記直交検波器により直交検波された受信信号の同相成分における高域成分を通過させる第1高域通過フィルタと、
前記直交検波器により直交検波された受信信号の直交成分における高域成分を通過させる第2高域通過フィルタとを備え、
前記基準発振器が発振する周波数には、前記発振回路のループフィルタの帯域内での変調がなされることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記基準発振器に変調を実行させるための変調信号を前記基準発振器に出力する変調信号生成部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記第1高域通過フィルタから受け取った信号の帯域制限を行う第1帯域制限フィルタと、
前記第2高域通過フィルタから受け取った信号の帯域制限を行う第2帯域制限フィルタと、
前記第1帯域制限フィルタで帯域制限した信号と、前記第2帯域制限フィルタで帯域制限した信号を復調する復調器とを更に有し、
前記基準発振器の変調度は、受信信号の帯域が、前記第1高域通過フィルタ、前記第2高域通過フィルタ、前記第1帯域制限フィルタ、及び前記第2帯域制限フィルタの帯域内となるように設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信技術に関し、特に信号を受信する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線通信装置は、外部から送信された信号波をアンテナを介して受信し、受信したRF(Radio Frequency)信号をIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、復調を行う受信回路と、周波数変換を行うためのローカル信号を出力する発振回路とを備える。発振回路は基準発振器を備え、基準発振器が発振する周波数を基準周波数としてPLL(Phase Locked Loop)制御を行う。基準発振器は基準周波数の基準信号を出力する。通常、基準発振器は、基準周波数で発振するときにその高調波も発生してしまう。高調波が受信回路へ輻射され、高調波がRF信号に干渉すると受信感度の抑圧を発生させる要因となる。特許文献1には、基準周波数を変更することにより、高調波の干渉による受信感度の抑圧を低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-14961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような無線通信装置では、受信周波数に応じて基準周波数を変更するかしないかを設定する必要がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、高調波の干渉による受信感度の抑圧を自動的に低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の受信装置は、基準発振器と、基準発振器が発振する周波数を基準周波数としてPLL制御を実行する発振回路と、発振回路におけるPLL制御により出力されるローカル信号により受信信号を直交検波する直交検波器と、直交検波器により直交検波された受信信号の同相成分における高域成分を通過させる第1高域通過フィルタと、直交検波器により直交検波された受信信号の直交成分における高域成分を通過させる第2高域通過フィルタとを備える。基準発振器が発振する周波数には、発振回路のループフィルタの帯域内での変調がなされる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高調波の干渉による受信感度の抑圧を自動的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る受信装置の構成を示す図である。
図2】受信信号のスペクトラムを示す図である。
図3】基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す図である。
図4】受信信号と基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す図である。
図5】検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す図である。
図6】検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスとHPFの関係を示す図である。
図7図1の発振回路から出力されるローカル信号のスペクトラムを示す図である。
図8図1の直交検波器での検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す図である。
図9図1の直交検波器での検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスとHPFとの関係を示す図である。
図10図1の発振回路から出力される別のローカル信号のスペクトラムを示す図である。
図11】変形例に係る受信装置の構成を示す図である。
図12】別の変形例に係る受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本実施例は、無線の信号を受信する受信装置に関する。受信装置は、例えば、ダイレクトコンバージョン型の直交検波を実行する。受信装置は、基準発振器における基準周波数をもとにPLL制御によってローカル信号を生成し、ミキサにおいてローカル信号により受信信号を直交検波する。その際、基準発振器から発生される高調波が受信信号に重畳される。高調波が受信信号に重畳されることによって、検波後において、基準発振器の高調波が受信信号と干渉するスプリアスは常にDC(Direct Current)となる。その結果、高調波の干渉による受信感度の抑圧が生じる。受信信号と干渉するスプリアスを低減するために、直交検波された受信信号の同相成分と直交成分がHPF(High Pass Filter)処理される。しかしながら、HPF処理により受信信号も低減されるので、受信歪みによる劣化が発生する。受信歪みの劣化により、受信音声の劣化、2tone/5toneのようなシグナリングの復号失敗が発生しやすくなる。
【0011】
本実施例における受信装置は、基準発振器のコントロール電圧に低い周波数の周波数変調(Frequency Modulation)を実行することによって、周波数変調がなされたローカル信号がミキサに入力される。このようなローカル信号により直交検波を実行することによって、受信信号の同相成分と直交成分にも周波数変調がなされる。直交検波された受信信号の同相成分と直交成分をHPF処理して受信信号と干渉するスプリアスが低減されるが、受信信号の成分も残る。これより、スプリアスによる受信感度の抑圧が低減され、受信歪みによる劣化も低減される。
【0012】
図1は、受信装置100の構成を示す。受信装置100は、変調信号生成器10、第1フィルタ12、基準発振器16、発振回路18、アンテナ20、第2フィルタ22、LNA(Low Noise Amplifier)24、第3フィルタ26、ミキサ28と総称される第1ミキサ28a、第2ミキサ28b、可変増幅器30と総称される第1可変増幅器30a、第2可変増幅器30b、AAF(Anti-Aliasing Filter)32と総称される第1AAF32a、第2AAF32b、ADC(Analog to Digital Converter)34と総称される第1ADC34a、第2ADC34b、HPF(High Pass Filter)36と総称される第1HPF36a、第2HPF36b、第4フィルタ38、第5フィルタ40、復調器42を含む。発振回路18は、PLL50、ループフィルタ52、VCO(Voltage-Controlled Oscillator)54を含む。
【0013】
ここでは、(1)従来の受信装置と共通の構成、(2)従来の受信装置の課題、(3)本実施例における構成の順に説明する。
(1)従来の受信装置と共通の構成
アンテナ20は、図示しない送信装置からのRF(Radio Frequency)信号を受信する。RF信号は受信信号に相当する。RF信号には、例えば、FM変調がなされているが、これに限定されない。アンテナ20は、受信したRF信号を第2フィルタ22へ出力する。第2フィルタ22は、RF信号に含まれる雑音成分を低減する。第2フィルタ22は、雑音成分を低減させたRF信号(以下、これもまた「RF信号」という)をLNA24へ出力する。
【0014】
LNA24は、第2フィルタ22からのRF信号を増幅する。LNA24は、増幅したRF信号を第3フィルタ26へ出力する。第3フィルタ26は、増幅したRF信号に含まれる雑音成分を低減する。第3フィルタ26は、雑音成分を低減させ、かつ増幅したRF信号(以下、これもまた「RF信号」という)を第1ミキサ28aと第2ミキサ28bへ出力する。
【0015】
基準発振器16は、基準となる周波数(以下、「基準周波数」という)を発振回路18に出力する。発振回路18は、基準発振器16が発振する基準周波数をもとにPLL制御を実行する。PLL制御は、PLL50、ループフィルタ52、VCO54によりなされ、ローカル信号が第1ミキサ28aと第2ミキサ28bに出力される。ここで、第2ミキサ28bへ出力されるローカル信号の位相は、第1ミキサ28aへ出力されるローカル信号の位相から90度位相シフトされている。
【0016】
第1ミキサ28aは、第3フィルタ26からのRF信号と発振回路18からのローカル信号とを乗算することによって、I相のベースバンド信号(以下、「I信号」という)を生成する。I信号はRF信号の同相成分である。第1ミキサ28aは、I信号を第1可変増幅器30aへ出力する。第2ミキサ28bは、第3フィルタ26からのRF信号と発振回路18からのローカル信号とを乗算することによって、I相ベースバンド信号とは直交したQ相のベースバンド信号(以下、「Q信号」という)を生成する。Q信号はRF信号の直交成分である。第2ミキサ28bは、Q信号を第2可変増幅器30bへ出力する。第1ミキサ28aと第2ミキサ28bは直交検波器に相当し、直交検波器はローカル信号によりRF信号を直交検波する。
【0017】
第1可変増幅器30aは、I信号のレベルを調節する。第1可変増幅器30aは、レベルを調節したI信号(以下、これもまた「I信号」という)を第1AAF32aへ出力する。第2可変増幅器30bは、Q信号のレベルを調節する。第2可変増幅器30bは、レベルを調節したQ信号(以下、これもまた「Q信号」という)を第2AAF32bへ出力する。
【0018】
第1AAF32aは、I信号の帯域制限を実行する。第1AAF32aは、帯域制限を実行したI信号(以下、これもまた「I信号」という)を第1ADC34aへ出力する。第2AAF32bは、Q信号の帯域制限を実行する。第2AAF32bは、帯域制限を実行したQ信号(以下、これもまた「Q信号」という)を第2ADC34bへ出力する。
【0019】
第1ADC34aは、第1AAF32aからのI信号に対してアナログ/デジタル変換を実行する。第1ADC34aは、デジタル信号に変換したI信号(以下、これもまた「I信号」という)を第1HPF36aへ出力する。第2ADC34bは、第2AAF32bからのQ信号に対してアナログ/デジタル変換を実行する。第2ADC34bは、デジタル信号に変換したQ信号(以下、これもまた「Q信号」という)を第2HPF36bへ出力する。第1ADC34a、第2ADC34bは、直交検波した信号を所定のタイミングでサンプリングするサンプリング部であるといえる。
【0020】
第1HPF36aは、第1ADC34aからのI信号のうちの高域成分を通過させるフィルタである。第1HPF36aは、高域成分のI信号(以下、これもまた「I信号」という)を第4フィルタ38へ出力する。第2HPF36bは、第2ADC34bからのQ信号のうちの高域成分を通過させるフィルタである。第2HPF36bは、高域成分のQ信号(以下、これもまた「Q信号」という)を第5フィルタ40へ出力する。
【0021】
第4フィルタ38は、I信号の帯域制限を実行する。第4フィルタ38は、帯域制限を実行したI信号(以下、これもまた「I信号」という)を復調器42へ出力する。第5フィルタ40は、Q信号の帯域制限を実行する。第5フィルタ40は、帯域制限を実行したQ信号(以下、これもまた「Q信号」という)を復調器42へ出力する。
【0022】
復調器42は、第4フィルタ38からのI信号と第5フィルタ40からのQ信号に対して復調を実行し、復調した音声信号やデータを出力する。復調処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0023】
(2)従来の受信装置の課題
図2は、受信信号のスペクトラムを示す。これは、図1の第1ミキサ28aと第2ミキサ28bに入力されるRF信号に相当する。図示のごとく、受信信号は例えば無変調信号である。図3は、基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す。これは、基準発振器16から発振される高調波に相当する。ここでは、基準発振器によるスプリアスのいずれかの周波数が図2の受信信号の周波数と同一である場合を想定する。図4は、受信信号と基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す。これは、受信信号に基準発振器によるスプリアスが重畳された信号であり、かつ図1の第1ミキサ28aと第2ミキサ28bに入力される信号である。基準発振器によるスプリアスのいずれかと受信信号とが重なる。
【0024】
図5は、検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す。これは、図4の信号を直交検波した信号であり、前述のI信号とQ信号である。直交検波の結果、基準発振器によるスプリアスのうち、受信信号と干渉する成分と受信信号とがDC成分として出力される。基準発振器によるスプリアスによる干渉の影響を低減するために、図1の第1HPF36aと第2HPF36bにおいて高域成分が抽出される。図6は、検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスとHPFの関係を示す。これは、図5に加えてHPF36の周波数特性を示す。第1HPF36aと第2HPF36bによって基準発振器によるスプリアスのうち、受信信号と干渉する成分は除去される。しかしながら、受信信号も除去される。このように、受信信号が無変調である場合、受信信号はすべて除去されてしまうので、受信信号の受信が不可能になる。また、受信信号が変調波である場合にDC成分をHPF36で除去することによって、受信歪みが大きくなる。
【0025】
(3)本実施例における構成
図1の変調信号生成器10は、基準発振器16に変調を実行させるための変調信号を第1フィルタ12経由で基準発振器16に出力する。基準発振器16のコントロール電圧端子には、第1フィルタ12からの変調信号が入力され、変調信号により基準発振器16が発振する周波数には周波数変調がなされる。ループフィルタ52の帯域内の周波数の変調レートで周波数変調した場合、発振回路18から出力されるローカル信号にも周波数変調がなされる。図7は、発振回路18から出力されるローカル信号のスペクトラムを示す。図示のごとく、周波数変調されたローカル信号が示される。図1に戻る。
【0026】
第1ミキサ28aと第2ミキサ28bは、周波数変調されたローカル信号によって受信信号と基準発振器によるスプリアスとを直交検波する。図8は、直交検波器での検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスのスペクトラムを示す。これは、図5と同様に示されるが、I信号とQ信号が周波数変調されており、基準発振器によるスプリアスのうち、受信信号と干渉する成分はDC成分となる。
【0027】
前述の説明と同様に、基準発振器によるスプリアスによる干渉の影響を低減するために、図1の第1HPF36aと第2HPF36bにおいて高域成分が抽出される。図9は、直交検波器での検波後の受信信号と基準発振器によるスプリアスとHPFとの関係を示す。第1HPF36aと第2HPF36bによって受信信号と干渉するスプリアスは除去される。また、受信信号は、一部分除去されるが、残る部分も存在する。つまり、受信信号が無変調波であっても変調波であっても、受信信号に対して、HPF36により除去される部分が低減される。これにより、受信歪み劣化が低減される。
【0028】
ここで、基準発振器16が発振する周波数を第1周波数と呼ぶ場合、RF信号の周波数は第2周波数と呼ばれる。基準発振器16の変調度をm、発振回路18の変調度をnとした場合、以下の関係式が成り立つ。
n=m×第2周波数/第1周波数
発振回路18の変調度nを大きくした場合、受信信号の帯域も広がる。受信信号の帯域が第1HPF36a、第2HPF36b、第4フィルタ38、第5フィルタ40の通過帯域よりも広がると、フィルタによって受信信号の一部が除去されて歪み劣化の原因になるので、基準発振器16の変調度は適切な値を設定する。
【0029】
変調信号生成器10から出力される変調信号には、ベッセル関数の搬送波レベルがゼロになる条件が適用されてもよい。そのときのローカル信号には、ベッセル関数の搬送波レベルがゼロになる条件の周波数変調がなされる。図10は、発振回路18から出力される別のローカル信号のスペクトラムを示す。このようなローカル信号により直交検波がなされることによって、I信号およびQ信号のDC成分が小さくなる。第1HPF36aと第2HPF36bによってDC成分を除去しても、受信信号に対する除去の影響が小さくなり、受信歪みの劣化がさらに低減される。
【0030】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
これまで、受信装置100はダイレクトコンバージョンを実行しているが、ダイレクトコンバージョンに限定されない。図11は、変形例に係る受信装置100の構成を示す。受信装置100は、Low IF受信機の構成を有する。受信装置100は、図1の構成に対して、発振器60、ミキサ62と総称される第1ミキサ62a、第2ミキサ62bをさらに含む。第1ミキサ28aと第2ミキサ28bは、直交検波を実行することにより、Low IFのI信号とQ信号とを生成する。第1ミキサ62aは、発振器60からの発振信号をもとにI信号をLow IFからベースバンドに変換する。第2ミキサ62bは、発振器60からの発振信号をもとにQ信号をLow IFからベースバンドに変換する。
【0032】
図12は、別の変形例に係る受信装置の構成を示す。受信装置100は、ヘテロダイン受信機の構成を有する。受信装置100は、図1の構成に対して、ミキサ70、MCF72、IFアンプ74、可変増幅器76をさらに含み、発振回路18と総称される第1発振回路18a、第2発振回路18bを含む。第1発振回路18aは第1PLL50a、第1ループフィルタ52a、第1VCO54aを含み、第2発振回路18bは、第2PLL50b、第2ループフィルタ52b、第2VCO54bを含む。第1PLL50a、第2PLL50bは、PLL50と総称され、第1ループフィルタ52a、第2ループフィルタ52bは、ループフィルタ52と総称され、第1VCO54a、第2VCO54bは、VCO54と総称される。ヘテロダイン受信機として公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0033】
本実施例によれば、直交検波された受信信号の同相成分および直交成分における高域成分を通過させることによって、基準発振器からの高調波成分が低減されるので、高調波の干渉による受信感度の抑圧を自動的に低減できる。また、基準周波数に周波数変調を実行するので、受信信号をローカル信号により周波数変調できる。また、受信信号がローカル信号により周波数変調されるので、I信号およびQ信号をHPFにより処理しても除去される成分を少なくできる。また、I信号およびQ信号をHPFにより処理しても除去される成分が少なくなるので、受信歪み劣化を低減できる。また、受信歪み劣化が低減されるので、2tone/5toneなどの復号を実行できる。また、基準発振器に変調を実行させるための変調信号を基準発振器に出力するので、基準発振器における変調を実行できる。また、受信信号の帯域が第1HPF36a、第2HPF36b、第4フィルタ38、第5フィルタ40の通過帯域内になるように、基準発振器にかける変調の変調度を設定するので、変調による影響を低減できる。
【0034】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0035】
10 変調信号生成器、 12 第1フィルタ、 16 基準発振器、 18 発振回路、 20 アンテナ、 22 第2フィルタ、 24 LNA、 26 第3フィルタ、 28 ミキサ、 30 可変増幅器、 32 AAF、 34 ADC、 36 HPF、 38 第4フィルタ、 40 第5フィルタ、 42 復調器、 50 PLL、 52 ループフィルタ、 54 VCO、 60 発振器、 62,70 ミキサ、 72 MCF、 74 IFアンプ、 76 可変増幅器、 100 受信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12