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特許7468258印刷制御サーバー、印刷制御システムおよび印刷制御方法
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  • 特許-印刷制御サーバー、印刷制御システムおよび印刷制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】印刷制御サーバー、印刷制御システムおよび印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240409BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F3/12 354
G06F3/12 305
G06F3/12 385
B41J29/38 202
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020150358
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022044950
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】河上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 良輔
(72)【発明者】
【氏名】世良 隆
(72)【発明者】
【氏名】北原 佑真
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-082311(JP,A)
【文献】特開2015-028673(JP,A)
【文献】特開2015-007914(JP,A)
【文献】特表2013-522774(JP,A)
【文献】特開2020-052491(JP,A)
【文献】特開2014-191710(JP,A)
【文献】特開2020-047039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04L 51/00-51/58
H04L 67/00-67/75
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を介した印刷を制御する印刷制御サーバーであって、
第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録部を備え、
前記登録部は、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付け、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する、ことを特徴とする印刷制御サーバー。
【請求項2】
前記登録部は、
前記第1アカウントの指定と、前記第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、
前記第1パスワードを、前記第1アカウントへ前記第1SNSを介して通知し、
前記第2アカウントにより前記第2SNSへ投稿されたパスワードが、前記第1パスワードと一致する場合に、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御サーバー。
【請求項3】
前記登録部は、前記第2アカウントにより前記第2SNSへ投稿されたパスワードが前記第1パスワードと一致するか否かを判定したら、前記第1パスワードを無効化する、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷制御サーバー。
【請求項4】
前記登録部は、前記第1パスワードに有効期限を設定し、前記第2アカウントにより前記第2SNSへパスワードが投稿されたとき、前記第1パスワードの有効期限を過ぎていれば、前記第2アカウントにより前記第2SNSへ投稿されたパスワードと前記第1パスワードとは一致しないとみなす、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の印刷制御サーバー。
【請求項5】
前記登録部は、前記第2SNSが提供するチャット機能を使用して前記第2アカウントにより投稿されたパスワードを、取得することを特徴とする請求項2~請求項4のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項6】
第1ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録サーバーと、
前記第1アカウントからの前記第1SNSへの印刷指示の投稿に応じて、前記登録サーバーにおいて前記第1アカウントに紐付けられている前記印刷設定情報により指定されるプリンターに印刷を実行させる第1SNS用印刷サーバーと、
第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントからの前記第2SNSへの印刷指示の投稿に応じて、前記第2アカウントに紐付けられた印刷設定情報により指定されるプリンターに印刷を実行させる第2SNS用印刷サーバーと、を含み、
前記登録サーバーは、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる前記第2アカウントの指定と、を受け付け、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する、ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項7】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を介した印刷を制御する印刷制御方法であって、
第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録工程を備え、
前記登録工程は、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付け、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する、ことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御サーバー、印刷制御システムおよび印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)を利用するユーザーは、テキストや写真等のファイルをSNSに投稿して、当該投稿を閲覧可能なユーザーに対して公開することができる。また、ユーザーは、SNSとネットワークで通じた印刷システムを利用し、SNSに投稿したファイルを、印刷システムに予め登録したプリンターにより印刷することも可能である。
【0003】
また、プリンターが登録されていないユーザーからチャットルームに印刷指示の投稿がなされた場合、プリンターの登録を求めるメッセージをチャットルームに投稿し、この投稿に応じて当該ユーザーがプリンターIDをチャットルームに投稿すると、当該プリンターIDを当該ユーザーに対応付けて登録し、登録したプリンターで印刷を実行する情報処理装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020‐71598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザーは、異なる複数のSNSの夫々にアカウントを有し、日常的に複数のSNSを利用していることがある。このような場合、ユーザーは、各SNSの利用においてプリンターを使用したければ、各SNSのアカウントでプリンターを登録する等の設定処理を繰り返し行う必要があり、負担が大きかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
SNSを介した印刷を制御する印刷制御サーバーは、第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録部を備え、前記登録部は、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付け、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0007】
印刷制御システムは、第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録サーバーと、前記第1アカウントからの前記第1SNSへの印刷要求の投稿に応じて、前記登録サーバーにおいて前記第1アカウントに紐付けられている前記印刷設定情報により指定されるプリンターに印刷を実行させる第1SNS用印刷サーバーと、第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントからの前記第2SNSへの印刷要求の投稿に応じて、前記第2アカウントに紐付けられた印刷設定情報により指定されるプリンターに印刷を実行させる第2SNS用印刷サーバーと、を含み、前記登録サーバーは、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる前記第2アカウントの指定と、を受け付け、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0008】
SNSを介した印刷を制御する印刷制御方法は、第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録工程を備え、前記登録工程は、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付け、前記第1アカウントに紐付けている前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】システムを簡易的に示すブロック図。
図2】本実施形態にかかる処理を示すシーケンス図。
図3】パスワード発行の詳細を示すフローチャート。
図4】認証&共有登録の詳細を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0011】
1.システム構成:
図1は、本実施形態にかかるシステム70の構成をブロック図により簡易的に示している。システム70の少なくとも一部は、印刷制御システム80に該当する。図1によれば、システム70は、端末装置25や、複数のサーバー31,32,41,42,50や、プリンター60を含む。端末装置25や、サーバー31,32,41,42,50や、プリンター60は、インターネットを通じて互いに通信可能に接続されている。
【0012】
端末装置25は、ユーザーUによって操作される通信機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピューター(PC)等である。端末装置25には、幾つかのアプリケーションがインストールされている。図1の例では、端末装置25には、アプリケーションの例として、「第1SNS」を利用するための第1SNSアプリケーション26と、「第2SNS」を利用するための第2SNSアプリケーション27とがインストールされている。第1SNSと第2SNSとは、互いに異なるSNSである。図2では、アプリケーションを、アプリと略している。
【0013】
つまり、ユーザーUは、第1SNSのユーザーであり且つ第2SNSのユーザーである。第1SNSのユーザーのアカウントを「第1アカウント」と呼び、第2SNSのユーザーのアカウントを「第2アカウント」と呼ぶ。ユーザーUは、自身の第1アカウントおよび第2アカウントを予め有している。アカウントとは、SNS内においてユーザーを識別するための情報であり、ユーザーIDやパスワードやその他の個人情報を含んでいる。アカウントを、ユーザー情報と言い換えてもよい。ユーザーUは、第1SNSや第2SNSの他にも、様々なSNSを利用可能である。
【0014】
ユーザーUは、端末装置25において起動する第1SNSアプリケーション26へ、第1アカウントでログインすることにより第1SNSを利用する。また、ユーザーUは、端末装置25において起動する第2SNSアプリケーション27へ、第2アカウントでログインすることにより第2SNSを利用する。一人のユーザーをユーザーUと称してもよいが、ユーザーUは、例えば、家族同士や、職場内の人同士等、近しい関係にある複数のユーザーを含んだ表現と解してもよい。
【0015】
第1SNSサーバー31は、インターネット上で第1SNSを提供するための一つあるいは複数のサーバーである。第1SNSサーバー31と第1SNSアプリケーション26との協働により、第1アカウントを有するユーザーUに対して第1SNSが提供される。
第2SNSサーバー32は、インターネット上で第2SNSを提供するための一つあるいは複数のサーバーである。第2SNSサーバー32と第2SNSアプリケーション27との協働により、第2アカウントを有するユーザーUに対して第2SNSが提供される。
【0016】
第1SNS用印刷サーバー41は、第1アカウントからの第1SNSへの印刷指示の投稿に応じて、この第1アカウントに紐付けられているプリンター60に印刷を実行させる、一つあるいは複数のサーバーである。第1SNSアプリケーション26は、第1SNSサーバー31が提供するAPI(Application Programming Interface)を介して、第1SNS用印刷サーバー41と、印刷に関して必要な情報のやり取りを行う。
第2SNS用印刷サーバー42は、第2アカウントからの第2SNSへの印刷指示の投稿に応じて、この第2アカウントに紐付けられているプリンター60に印刷を実行させる、一つあるいは複数のサーバーである。第2SNSアプリケーション27は、第2SNSサーバー32が提供するAPIを介して、第2SNS用印刷サーバー42と、印刷に関して必要な情報のやり取りを行う。
【0017】
図1ではプリンター60を一台記載している。しかし、言うまでもなく、第1SNS用印刷サーバー41、第2SNS用印刷サーバー42が夫々にインターネットを通じて利用可能なプリンターは複数台存在し得る。
【0018】
登録サーバー50は、第1SNS用印刷サーバー41、第2SNS用印刷サーバー42の夫々と通信する一つあるいは複数のサーバーである。登録サーバー50を制御するプロセッサーが有する機能の一つである登録部51は、第1アカウントと、第1アカウントが使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録サーバー50に登録する。また、登録部51は、第2アカウントと、第2アカウントが使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録サーバー50に登録する。
【0019】
本実施形態は、このような異なるSNSにおけるアカウントで夫々に実行する必要があったプリンター60の登録を効率化して、ユーザーUの設定負担を低減させる。図1の例では、印刷制御システム80は、登録サーバー50と、第1SNS用印刷サーバー41と、第2SNS用印刷サーバー42とを含んでいる。印刷制御システム80は、印刷制御方法を実現する。また、印刷制御システム80を構成する一部あるいは全部のサーバーは、SNSを介した印刷を制御する「印刷制御サーバー」に該当する。印刷制御システム80は、プリンター60を含む構成であってもよい。
【0020】
2.プリンター共有登録処理:
図2は、システム70内の各構成が実行する処理をシーケンス図により示している。図2のうち、特に番号5~18の処理が「プリンター共有登録処理」に該当する。図2のユーザーUは、説明の場面に応じて、第1SNSアプリケーション26を介して第1SNSを利用する第1アカウントにより特定されるユーザーU、または、第2SNSアプリケーション27を介して第2SNSを利用する第2アカウントにより特定されるユーザーU、のどちらかを意味する。
【0021】
説明の便宜上、端末装置25を操作し第1SNSアプリケーション26を介して第1SNSを利用する、第1アカウントにより特定されるユーザーUを「第1のユーザーU」と称し、端末装置25を操作し第2SNSアプリケーション27を介して第2SNSを利用する、第2アカウントにより特定されるユーザーUを「第2のユーザーU」と称する。これまでの説明から解るように、第1のユーザーUと第2のユーザーUとは、同一人物であってもよいし、近しい関係にある別人であってもよい。第1のユーザーUが操作する端末装置25と、第2のユーザーUが操作する端末装置25とは、同一の個体であってもよいし、異なる個体であってもよい。
【0022】
図2において、第1のユーザーUは、第1SNSにおいて第1アカウントが使用するプリンター60を登録すべく、「1.プリンター登録要求」を行う。この場合、第1SNSアプリケーション26から第1SNSサーバー31へ、第1アカウントが使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報が、プリンター登録要求として送信される。この印刷設定情報は、第1のユーザーUが入力した情報である。プリンター60の指定情報とは、例えば、プリンター60のシリアルナンバーや、IDや、メールアドレスや、ネットワーク上でのアドレス情報等であり、通信相手としてのプリンター60を特定する情報である。印刷設定情報には、プリンター60の指定情報の他にも、例えば用紙サイズやカラー・モノクロの設定等、印刷に必要な各種項目の設定内容が含まれる。
【0023】
「2.プリンター登録要求」および「3.プリンター登録要求」の記載から解るように、第1SNSサーバー31が受信したプリンター登録要求は、第1SNSサーバー31から第1SNS用印刷サーバー41へ送信され、さらに、第1SNS用印刷サーバー41から登録サーバー50へ送信される。第1SNS用印刷サーバー41は、プリンター登録要求を、プリンター登録要求の要求元である第1アカウントの情報とともに登録サーバー50へ送信する。
【0024】
登録サーバー50の登録部51は、第1SNS用印刷サーバー41から受信したプリンター登録要求に応じて「4.登録」を行う。この場合、登録部51は、プリンター登録要求の要求元である第1アカウントと、当該プリンター登録要求に含まれている印刷設定情報と、を紐付けて登録サーバー50が有する記憶領域へ記憶させることにより、登録を行う。図2では、破線の矢印にて簡単に示しているが、登録部51は、プリンター登録要求に応じた登録が完了した旨を、第1SNS用印刷サーバー41および第1SNSサーバー31を介して、プリンター登録要求の要求元である第1アカウントへ通知してもよい。
【0025】
次に、第1SNSにおいて第1アカウントが使用するプリンター60の登録が完了しており、第2SNSにおいて第2アカウントが使用するプリンター60の登録が完了していない状況で、第2のユーザーUは、「5.設定共有要求」を行う。この場合、第2アカウントが印刷設定情報を共有することを望む第1アカウント、つまり“共有元の第1アカウント”を指定した設定共有要求が、第2SNSアプリケーション27から第2SNSサーバー32へ送信される。共有元の第1アカウントは、第2のユーザーUが入力した情報であり、当然、上述のようにプリンター60の登録が済んだ第1アカウントである。
【0026】
「6.設定共有要求」および「7.設定共有要求」の記載から解るように、第2SNSサーバー32が受信した設定共有要求は、第2SNSサーバー32から第2SNS用印刷サーバー42へ送信され、さらに、第2SNS用印刷サーバー42から登録サーバー50へ送信される。第2SNS用印刷サーバー42は、設定共有要求を、設定共有要求の要求元である第2アカウントの情報とともに登録サーバー50へ送信する。
【0027】
このような設定共有要求を受信した登録サーバー50の登録部51は、共有元の第1アカウントの指定と、共有元の第1アカウントに紐付いている印刷設定の共有先となる第2アカウント(以下、“共有先の第2アカウント”)の指定と、を受けたことになる。登録部51は、第2SNS用印刷サーバー42から受信した設定共有要求に応じて「8.パスワード発行」を行う。ここで発行するパスワードを便宜上、「第1パスワード」と呼ぶ。
【0028】
第1パスワードを発行した登録部51は、設定共有要求が指定する共有元の第1アカウントへ第1パスワードを通知する「9.パスワード通知」を行う。「9.パスワード通知」、「10.パスワード通知」および「11.パスワード通知」の記載から解るように、登録部51が発行した第1パスワードは、登録サーバー50から第1SNS用サーバー41へ通知され、第1SNS用印刷サーバー41から第1SNSサーバー31へ通知されることにより、第1アカウント、つまり第1のユーザーUに通知される。このように、登録部51が発行した第1パスワードは、第1SNSを介して第1アカウントへ通知される。
【0029】
第1パスワードを発行した登録部51は、さらに、パスワード入力を催促する「12.パスワード要求」を、設定共有要求の要求元、つまり共有先の第2アカウントに向けて通知する。「12.パスワード要求」、「13.パスワード要求」および「14.パスワード要求」の記載から解るように、パスワード要求は、登録サーバー50から第2SNS用サーバー42へ通知され、第2SNS用印刷サーバー42から第2SNSサーバー32へ通知されることにより、第2アカウント、つまり第2のユーザーUに通知される。
【0030】
図3は、図2の「8.パスワード発行」の詳細をフローチャートにより示している。登録部51は、第2SNS用印刷サーバー42から設定共有要求を受けたことを契機として、図3のフローチャートを開始する。
ステップS100では、登録部51は、共有元の第1アカウントと共有先の第2アカウントとのいずれもが登録サーバー50に登録済みであるか否かを判定する。ステップS100で言う登録とは、プリンター60の登録の有無に関係なく、単に、アカウントが登録サーバー50に登録されていることを意味する。
【0031】
第1SNSサーバー31が管理する第1SNSの有効な各第1アカウントは、第1SNS用印刷サーバー41を介して登録サーバー50に送信され、登録サーバー50にも登録される。同様に、第2SNSサーバー32が管理する第2SNSの有効な各第2アカウントは、第2SNS用印刷サーバー42を介して登録サーバー50に送信され、登録サーバー50にも登録される。従って、ステップS100では、登録部51は、共有元の第1アカウントが登録サーバー50に登録されているいずれかの第1アカウントと一致し、かつ、共有先の第2アカウントが登録サーバー50に登録されているいずれかの第2アカウントと一致する場合に、“Yes”と判定してステップS110へ進む。一方、登録部51は、共有元の第1アカウントが登録サーバー50に登録されているいずれの第1アカウントとも一致しないか、もしくは、共有先の第2アカウントが登録サーバー50に登録されているいずれの第2アカウントとも一致しない場合に、ステップS100で“No”と判定して、ステップS130へ進む。
【0032】
ステップS130では、登録部51は、エラー処理を行った上で、図2のシーケンスを終了する。ステップS130に進んだ場合は、登録部51は、図2の「9.パスワード通知」も、「12.パスワード要求」も、実行しない。エラー処理では、登録部51は、例えば、共有先の第2アカウントへ、設定共有要求に応じられない旨、つまりエラーの旨をメッセージとして通知する。
【0033】
ステップS110では、登録部51は、パスワードを生成する。ステップS110で生成するパスワードが第1パスワードである。パスワードの生成方法は特に問わない。
ステップS120では、登録部51は、共有元の第1アカウントおよび共有先の第2アカウントと、ステップS110で生成した第1パスワードと、この第1パスワードの有効期限と、を紐付けて登録サーバー50に保存した上で、図3のフローチャートを終了する。登録部51は、第1パスワードの有効期限を、例えば数分程度に設定すればよい。このような有効期限を有する第1パスワードは、ワンタイムパスワードの一種である。
【0034】
図2に戻って説明を続ける。
第2SNSを介して「14.パスワード要求」を受けた第2のユーザーUは「15.認証要求」を行う。具体的には、第2のユーザーUは、第1のユーザーUが第1SNSを介して「11.パスワード通知」を受けて認識した第1パスワードを、自身の第2アカウントで第2SNSへ投稿することにより認証要求を行う。ここでは、第1のユーザーUと第2のユーザーUとは、同一人物であるか、近しい関係の人物同士と想定しているため、第2のユーザーUは、第1のユーザーUが第1SNSを介して通知を受けた第1パスワードを知り、第2SNSへ投稿することができる。
【0035】
「16.認証要求」および「17.認証要求」の記載から解るように、第2SNSへ投稿された、パスワードを含む認証要求は、第2SNSサーバー32から第2SNS用印刷サーバー42へ送信され、さらに、第2SNS用印刷サーバー42から登録サーバー50へ送信される。第2SNS用印刷サーバー42は、認証要求を、認証要求の要求元である第2アカウントの情報とともに登録サーバー50へ送信する。
登録部51は、第2SNS用印刷サーバー42から受信した認証要求に応じて、「18.認証&共有登録」を行う。
【0036】
図4は、図2の「18.認証&共有登録」の詳細をフローチャートにより示している。登録部51は、第2SNS用印刷サーバー42から認証要求を受けたことを契機として、図4のフローチャートを開始する。図4の説明に関し、認証要求に含まれるパスワードを「投稿パスワード」と称し、認証要求の要求元である第2アカウントを「投稿アカウント」と称する。
【0037】
ステップS200では、登録部51は、投稿パスワードと一致する第1パスワードが、登録サーバー50に保存されているか否かを判定する。登録部51は、投稿パスワードが、登録サーバー50が保存している第1パスワードのいずれか一つと一致する場合は“Yes”と判定して、ステップS210へ進み、投稿パスワードが、登録サーバー50が保存している第1パスワードのいずれとも一致しない場合は“No”と判定して、ステップS260へ進む。登録サーバー50が保存している第1パスワードとは、過去のステップS120で保存され、現在も保存されている第1パスワードである。むろん、ステップS200の時点で登録サーバー50に第1パスワードが一つも保存されていなければ、ステップS200の判定は“No”となる。
【0038】
ステップS210では、登録部51は、現在、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードの有効期限内であるか否かを判定する。登録部51は、有効期限内であれば “Yes”と判定して、ステップS220へ進み、一方、有効期限を過ぎていれば“No”と判定して、ステップS250へ進む。登録部51は、ステップS210で“No”と判定した場合は、ステップS220の判定をすることなく、投稿アカウントにより第2SNSへ投稿された投稿パスワードが、第2アカウントから設定共有要求を受けたことを契機として発行した第1パスワードと一致しないと見なす。
【0039】
ステップS220では、登録部51は、投稿アカウントが、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有先の第2アカウントと一致するか否かを判定する。登録部51は、投稿アカウントが、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有先の第2アカウントと一致すれば“Yes”と判定してステップS230へ進み、一致しなければ“No”と判定してステップS250へ進む。
【0040】
このようなステップS220では、登録部51は、設定共有要求を行った第2のユーザーUと、認証要求を行った第2のユーザーUとが同一であるか否かを判定していると言える。ステップS220で“Yes”と判定したとき、登録部51は、第2アカウントにより第2SNSへ投稿された投稿パスワードが、この第2アカウントから設定共有要求を受けたことを契機として発行した第1パスワードと一致すると言えるため、ユーザーUに対する認証成功と判断する。
【0041】
ステップS230では、登録部51は、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有元の第1アカウント、に紐付けて登録済みの印刷設定情報を、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有先の第2アカウントにも紐付けて登録サーバー50に登録する。つまり、印刷設定情報の共有登録を行う。これにより、第1のユーザーUの第1アカウントと、第2のユーザーUの第2アカウントとには、共通の印刷設定情報が紐付けられたことになる。
【0042】
登録部51は、ステップS230に続くステップS240において、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードを無効化して、図4のフローチャートを終了する。第1パスワードの無効化とは、第1パスワードを登録サーバー50から消去することを意味する。
【0043】
登録部51は、ステップS210またはステップS220のいずれかで“No”と判定した場合、ステップS250において、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードを無効化して、ステップS260へ進む。ステップS250は、ステップS240と同じ処理である。ステップS260では、登録部51は、ユーザーUの認証失敗と判断し、図2のシーケンスを終了する。つまり、登録部51は、第2アカウントにより第2SNSへ投稿された投稿パスワードが、この第2アカウントから設定共有要求を受けたことを契機として発行した第1パスワードと一致するか否かを判定した第1パスワードについては、ステップS210,S220を経た認証に成功してもしなくても、無効化し、その後は使用できなくする。
【0044】
図2では、破線の矢印にて簡単に示しているが、登録部51は、認証要求に応じて第1アカウントとの印刷設定情報の共有登録が完了した旨を、第2SNS用印刷サーバー42および第2SNSサーバー32を介して、認証要求の要求元である第2アカウントへ通知すればよい。
なお、図4のステップS260で認証失敗と判断した場合に、登録部51は、認証要求の要求元である第2アカウントへ、認証に失敗した旨や、第1アカウントとの共有登録ができない旨をメッセージとして通知してもよい。
【0045】
第1アカウントとの印刷設定情報の共有登録が完了した後、第2のユーザーUは、第2アカウントにより第2SNSへ任意のファイルに関する印刷指示(図2の「19.印刷指示」)を投稿することができる。第2アカウントにより第2SNSに投稿された印刷指示は、「20.印刷指示」に示すように、第2SNSサーバー32から第2SNS用印刷サーバー42に送信される。第2SNS用印刷サーバー42は、この印刷指示に応じて、印刷指示の送信元の第2アカウントに紐付けて登録されている印刷設定情報を登録サーバー50から取得(「21.設定取得」)し、取得した印刷設定情報に従って「22.印刷」を実行する。つまり、第2SNS用印刷サーバー42は、印刷指示が示すファイルの印刷を、取得した印刷設定情報が指定するプリンター60に、この印刷設定情報が指定する設定に従って実行させる。
【0046】
図2に示していないが、言うまでもなく第1のユーザーUは、第1アカウントで第1SNSへ任意のファイルに関する印刷指示を投稿することにより、第1SNSサーバー31を通じて第1SNS用印刷サーバー41に、第1アカウントに紐付けて登録サーバー50に登録されている印刷設定情報に従ったプリンター60による印刷を実行させることができる。
【0047】
3.まとめ:
このように印刷制御サーバーは、第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録部51を備える。そして、登録部51は、第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付け、第1アカウントに紐付けている印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0048】
前記構成によれば、ユーザーUは、印刷制御サーバーに第1アカウントと印刷設定情報とを紐付けて登録済みとした状況で、第1アカウントと、印刷設定の共有先となる第2アカウントとを指定することにより、第1アカウントに紐付けて登録済みの印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて印刷制御サーバーに登録することができる。これにより、異なる複数のSNSの夫々でプリンター60を使用するために、従来は夫々のSNSで印刷設定情報を入力する等の設定処理を繰り返し行わなければならなかったユーザーUの手間を、減らすことができる。また、ユーザーUが第1SNS、第2SNSで使用するプリンター60や印刷設定を共有化したいとき、従来のように第1SNS、第2SNSの夫々で同じ印刷設定情報を入力する場合には入力ミスにより共有化に失敗するリスクが高かったが、本実施形態によれば、そのようなリスクを無くすことができる。つまり、異なる複数のSNSで使用するプリンター60の共有化を、容易に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、登録部51は、第1アカウントの指定と第2アカウントの指定とを受け付けたとき、第1パスワードを発行し、第1パスワードを、第1アカウントへ第1SNSを介して通知し、第2アカウントにより第2SNSへ投稿されたパスワードが、第1パスワードと一致する場合に、第1アカウントに紐付けている印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて登録する。
前記構成によれば、共有元の第1アカウントを有するユーザーU本人、あるいは、このユーザーU本人に近しい関係のユーザーUに対して、第1アカウントに紐付けた印刷設定情報の共有登録を許容することができる。従って、共有元の第1アカウントを有するユーザーUと無関係の第三者に印刷設定情報が漏えいしたり前記共有登録をさせたりするリスクを、減らすことができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、登録部51は、第2アカウントにより第2SNSへ投稿されたパスワードが第1パスワードと一致するか否かを判定したら、第1パスワードを無効化する、としてもよい。
前記構成によれば、第1パスワードを用いたユーザーUの認証の成功、不成功に関係無く、一度認証に使用した第1パスワードについては無効化することにより、印刷設定情報の共有化に関するセキュリティを高めることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、登録部51は、第1パスワードに有効期限を設定し、第2アカウントにより第2SNSへパスワードが投稿されたとき、第1パスワードの有効期限を過ぎていれば、第2アカウントにより第2SNSへ投稿されたパスワードと第1パスワードとは一致しないとみなす、としてもよい。
前記構成によれば、第1パスワードに有効期限を設定することにより、印刷設定情報の共有化に関するセキュリティを高めることができる。
【0052】
なお、本実施形態は、第1パスワードを用いてユーザーUを認証した上で印刷設定情報を第1アカウントと第2アカウントとで共有化する態様に限定されない。
例えば、登録部51は、図2の「7.設定共有要求」を受けた場合に、「8.パスワード発行」、「9.パスワード通知」および「12.パスワード要求」を実行せず、共有元の第1アカウントに紐付けて登録済みの印刷設定情報を共有先の第2アカウントに紐付けて登録してもよい。また、登録部51は、「7.設定共有要求」を受けた場合に、図3のステップS100で“Yes”と判定できれば、共有元の第1アカウントに紐付けて登録済みの印刷設定情報を共有先の第2アカウントに紐付けて登録する、としてもよい。
【0053】
登録部51は、第2SNSが提供するチャット機能を使用して第2アカウントにより投稿されたパスワードを、取得するとしてもよい。
ユーザーUは、他のユーザーとコミュニケーションを取るために、SNSが提供するチャット機能により任意の投稿を行ったり他のユーザーによる投稿を閲覧したりすることができる。そこで、ユーザーUは、パスワードの投稿も、第2SNSが提供するチャット機能を使用して第2アカウントにより行えばよい。つまり、図2に示す第2のユーザーUによる投稿や第2のユーザーUに対する登録部51からの各種通知は、第2SNSが提供するチャット機能を介して、例えば一対一で行われるとすればよい。かかる構成とすれば、第2のユーザーUは、普段のチャットを行うのと同様の感覚で登録部51とコミュニケーションを取ることができる。図2に示す第1のユーザーUによる投稿や第1のユーザーUに対する登録部51からの各種通知は、第1SNSが提供するチャット機能を介して行われるとしてもよい。
【0054】
本実施形態は、印刷制御サーバーだけでなく、方法、システム、プログラム等の様々なカテゴリーの発明を開示する。
例えば、印刷制御システム80は、第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録サーバー50と、第1アカウントからの第1SNSへの印刷指示の投稿に応じて、登録サーバー50において第1アカウントに紐付けられている印刷設定情報により指定されるプリンター60に印刷を実行させる第1SNS用印刷サーバー41と、第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントからの第2SNSへの印刷指示の投稿に応じて、第2アカウントに紐付けられた印刷設定情報により指定されるプリンター60に印刷を実行させる第2SNS用印刷サーバー42と、を含む。そして、登録サーバー50は、第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2アカウントの指定と、を受け付け、第1アカウントに紐付けている印刷設定情報を第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0055】
また、SNSを介した印刷を制御する印刷制御方法は、第1SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録工程(図2参照。)を備える。登録工程は、第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる第2SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付け、第1アカウントに紐付けている印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0056】
印刷設定情報を第1SNSと共有化する別のSNSの数は、当然複数であってもよい。つまり、ユーザーUが、第1SNS、第2SNS、第3SNS、第4SNS…の夫々にアカウントを有する場合、第1SNSのアカウントと第2SNSのアカウントとの間で印刷設定情報を共有化したのと同様に、第1SNSのアカウントと第3SNSのアカウントとの間、第1SNSのアカウントと第4SNSのアカウントとの間…の夫々で印刷設定情報を共有化することができる。
【符号の説明】
【0057】
25…端末装置、26…第1SNSアプリケーション、27…第2SNSアプリケーション、31…第1SNSサーバー、32…第2SNSサーバー、41…第1SNS用印刷サーバー、42…第2SNS用印刷サーバー、50…登録サーバー、51…登録部、60…プリンター、70…システム、80…印刷制御システム
図1
図2
図3
図4