(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】印刷制御サーバーおよび印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240409BHJP
H04L 67/00 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 322
G06F3/12 385
H04L67/00
(21)【出願番号】P 2020150359
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】河上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 良輔
(72)【発明者】
【氏名】世良 隆
(72)【発明者】
【氏名】北原 佑真
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-007914(JP,A)
【文献】特開2015-082311(JP,A)
【文献】特開2015-028673(JP,A)
【文献】特表2013-522774(JP,A)
【文献】特開2020-052491(JP,A)
【文献】特開2014-191710(JP,A)
【文献】特開2020-047039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04L 51/00-51/58
H04L 67/00-67/75
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を介した印刷を制御する印刷制御サーバーであって、
前記SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録部を備え、
前記登録部は、
前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる前記SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、
前記第1パスワードを、前記第1アカウントへ前記SNSを介して通知し、
前記第2アカウントにより前記SNSへ投稿されたパスワードが、前記第1パスワードと一致する場合に、前記第1アカウントに紐付けて登録している前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する、ことを特徴とする印刷制御サーバー。
【請求項2】
前記登録部は、前記第2アカウントにより前記SNSへ投稿されたパスワードが前記第1パスワードと一致するか否かを判定したら、前記第1パスワードを無効化する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御サーバー。
【請求項3】
前記登録部は、前記第1パスワードに有効期限を設定し、前記第2アカウントにより前記SNSへパスワードが投稿されたとき、前記第1パスワードの有効期限を過ぎていれば、前記第2アカウントにより前記SNSへ投稿されたパスワードと前記第1パスワードとは一致しないとみなす、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御サーバー。
【請求項4】
前記登録部は、前記SNSが提供するチャット機能を使用して前記第2アカウントにより投稿されたパスワードを、取得することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項5】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を介した印刷を制御する印刷制御方法であって、
前記SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録工程を備え、
前記登録工程は、
前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる前記SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、
前記第1パスワードを、前記第1アカウントへ前記SNSを介して通知し、
前記第2アカウントにより前記SNSへ投稿されたパスワードが、前記第1パスワードと一致する場合に、前記第1アカウントに紐付けて登録している前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する、ことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御サーバーおよび印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)を利用するユーザーは、テキストや写真等のファイルをSNSに投稿して、当該投稿を閲覧可能なユーザーに対して公開することができる。また、ユーザーは、SNSとネットワークで通じた印刷システムを利用し、SNSに投稿したファイルを、印刷システムに予め登録したプリンターにより印刷することも可能である。
【0003】
また、プリンターが登録されていないユーザーからチャットルームに印刷指示の投稿がなされた場合、プリンターの登録を求めるメッセージをチャットルームに投稿し、この投稿に応じて当該ユーザーがプリンターIDをチャットルームに投稿すると、当該プリンターIDを当該ユーザーに対応付けて登録し、登録したプリンターで印刷を実行する情報処理装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記文献1においては、プリンターを登録するためにユーザーがチャットルームに投稿したプリンターIDを、第三者が閲覧することが可能である。そのため、プリンターを対応付けて登録すべき本来のユーザーではない第三者にプリンターIDやプリンターに関する設定が漏えいしたり、プリンターを登録されたりする危険性があり、セキュリティを確保できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
SNSを介した印刷を制御する印刷制御サーバーは、前記SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録部を備え、前記登録部は、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる前記SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、前記第1パスワードを、前記第1アカウントへ前記SNSを介して通知し、前記第2アカウントにより前記SNSへ投稿されたパスワードが、前記第1パスワードと一致する場合に、前記第1アカウントに紐付けて登録している前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0007】
SNSを介した印刷を制御する印刷制御方法は、前記SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンターの指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録工程を備え、前記登録工程は、前記第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となる前記SNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、前記第1パスワードを、前記第1アカウントへ前記SNSを介して通知し、前記第2アカウントにより前記SNSへ投稿されたパスワードが、前記第1パスワードと一致する場合に、前記第1アカウントに紐付けて登録している前記印刷設定情報を、前記第2アカウントにも紐付けて登録する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施形態にかかる処理を示すシーケンス図。
【
図3】パスワード発行の詳細を示すフローチャート。
【
図4】認証&共有登録の詳細を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0010】
1.システム構成:
図1は、本実施形態にかかるシステム70の構成をブロック図により簡易的に示している。システム70の少なくとも一部を、印刷制御システムとも呼ぶ。
図1によれば、システム70は、端末装置25や、複数のサーバー30,50や、プリンター60を含む。端末装置25や、サーバー30,50や、プリンター60は、インターネットを通じて互いに通信可能に接続されている。
【0011】
端末装置25は、ユーザーUによって操作される通信機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピューター(PC)等である。端末装置25には、幾つかのアプリケーションがインストールされている。
図1の例では、端末装置25には、アプリケーションの例として、ある一つのSNSを利用するためのSNSアプリケーション26がインストールされている。以下では、ある一つのSNSを、単にSNSと呼ぶ。
【0012】
つまり、ユーザーUは、SNSのユーザーである。ユーザーUは、SNSの自身のアカウントとして「第1アカウント」および「第2アカウント」を予め有している。アカウントとは、SNS内においてユーザーを識別するための情報であり、ユーザーIDやパスワードやその他の個人情報を含んでいる。アカウントを、ユーザー情報と言い換えてもよい。
【0013】
図1や後述の
図2では便宜上、第1アカウントを有するユーザーUを「第1ユーザーU1」と記載し、第2アカウントを有するユーザーUを「第2ユーザーU2」と記載している。また、
図1では便宜上、第1ユーザーU1が操作する端末装置25を「第1端末装置251」と記載し、第2ユーザーU2が操作する端末装置25を「第2端末装置252」と記載している。
一人のユーザーをユーザーUと称してもよいし、ユーザーUは、例えば、家族同士や、職場内の人同士等、近しい関係にある複数のユーザーを含んだ表現と解してもよい。つまり、第1ユーザーU1と第2ユーザーU2とは、同一人物であってもよいし、近しい関係にある別人であってもよい。また、第1端末装置251と、第2端末装置252とは、実際には同一の個体であってもよいし、異なる個体であってもよい。
【0014】
第1ユーザーU1は、第1端末装置251において起動するSNSアプリケーション26へ、第1アカウントでログインすることによりSNSを利用する。また、第2ユーザーU2は、第2端末装置252において起動するSNSアプリケーション26へ、第2アカウントでログインすることによりSNSを利用する。
【0015】
SNSサーバー30は、インターネット上でSNSを提供するための一つあるいは複数のサーバーである。SNSサーバー30とSNSアプリケーション26との協働により、第1アカウントや第2アカウントを有するユーザーUに対してSNSが提供される。
【0016】
印刷制御サーバー50は、SNSを介した印刷を制御可能であり、第1アカウントからのSNSへの印刷指示の投稿に応じて、この第1アカウントに紐付けているプリンター60に印刷を実行させる、一つあるいは複数のサーバーである。同様に、印刷制御サーバー50は、第2アカウントからのSNSへの印刷指示の投稿に応じて、この第2アカウントに紐付けているプリンター60に印刷を実行させる。
【0017】
SNSアプリケーション26は、SNSサーバー30が提供するAPI(Application Programming Interface)を介して、印刷制御サーバー50と印刷に関して必要な情報のやり取りを行う。
図1ではプリンター60を一台記載している。しかし、言うまでもなく、印刷制御サーバー50がインターネットを通じて利用可能なプリンターは複数台存在し得る。
【0018】
印刷制御サーバー50を制御するプロセッサーが有する機能の一つである登録部51は、第1アカウントと、第1アカウントが使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する。また、登録部51は、第2アカウントと、第2アカウントが使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する。
【0019】
本実施形態は、このような同じSNS内における異なるアカウントで夫々に実行する必要があったプリンター60の登録を効率化して、ユーザーUの設定負担を低減させる。印刷制御サーバー50は、印刷制御方法を実現する。
【0020】
2.プリンター共有登録処理:
図2は、システム70内の各構成が実行する処理をシーケンス図により示している。
図2のうち、特に番号4~13の処理が「プリンター共有登録処理」に該当する。
図2のユーザーUは、第1端末装置251を操作しSNSアプリケーション26を介してSNSを利用する、第1アカウントにより特定される第1ユーザーU1と、第2端末装置252を操作しSNSアプリケーション26を介してSNSを利用する、第2アカウントにより特定される第2ユーザーU2と、を含む。
【0021】
図2において、第1ユーザーU1は、SNSにおいて第1アカウントが使用するプリンター60を登録すべく、「1.プリンター登録要求」を行う。この場合、第1アカウントにより、SNSアプリケーション26からSNSサーバー30へ、第1アカウントが使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報が、プリンター登録要求として送信される。この印刷設定情報は、第1ユーザーU1が入力した情報である。プリンター60の指定情報とは、例えば、プリンター60のシリアルナンバーや、IDや、メールアドレスや、ネットワーク上でのアドレス情報等であり、通信相手としてのプリンター60を特定する情報である。印刷設定情報には、プリンター60の指定情報の他にも、例えば用紙サイズやカラー・モノクロの設定等、印刷に必要な各種項目の設定内容が含まれる。
【0022】
「2.プリンター登録要求」の記載から解るように、SNSサーバー30が受信したプリンター登録要求は、SNSサーバー30から印刷制御サーバー50へ送信される。
印刷制御サーバー50の登録部51は、SNSサーバー30から受信したプリンター登録要求に応じて「3.登録」を行う。この場合、登録部51は、プリンター登録要求の要求元である第1アカウントと、当該プリンター登録要求に含まれている印刷設定情報と、を紐付けて印刷制御サーバー50が有する記憶領域へ記憶させることにより、登録を行う。
図2では、破線の矢印にて簡単に示しているが、登録部51は、プリンター登録要求に応じた登録が完了した旨を、SNSサーバー30を介して、プリンター登録要求の要求元である第1アカウントへ通知してもよい。
【0023】
次に、SNSにおいて、第1アカウントが使用するプリンター60の登録が完了しており、第2アカウントが使用するプリンター60の登録が完了していない状況で、第2ユーザーU2は、「4.設定共有要求」を行う。この場合、第2アカウントが印刷設定情報を共有することを望む第1アカウント、つまり“共有元の第1アカウント”を指定した設定共有要求が、第2アカウントにより、SNSアプリケーション26からSNSサーバー30へ送信される。共有元の第1アカウントは、第2ユーザーU2が入力した情報であり、当然、上述のようにプリンター60の登録が済んだ第1アカウントである。
【0024】
「5.設定共有要求」の記載から解るように、SNSサーバー30が受信した設定共有要求は、SNSサーバー30から印刷制御サーバー50へ送信される。このように設定共有要求を受信した印刷制御サーバー50の登録部51は、共有元の第1アカウントの指定と、共有元の第1アカウントに紐付いている印刷設定の共有先となる第2アカウント(以下、“共有先の第2アカウント”)の指定と、を受けたことになる。登録部51は、SNSサーバー30から受信した設定共有要求に応じて「6.パスワード発行」を行う。ここで発行するパスワードを便宜上、「第1パスワード」と呼ぶ。
【0025】
第1パスワードを発行した登録部51は、設定共有要求が指定する共有元の第1アカウントへ第1パスワードを通知する「7.パスワード通知」を行う。「7.パスワード通知」および「8.パスワード通知」の記載から解るように、登録部51が発行した第1パスワードは、印刷制御サーバー50からSNSサーバー30へ通知されることにより、第1アカウント、つまり第1ユーザーU1に通知される。このように、登録部51が発行した第1パスワードは、SNSを介して第1アカウントへ通知される。
【0026】
第1パスワードを発行した登録部51は、さらに、パスワード入力を催促する「9.パスワード要求」を、設定共有要求の要求元、つまり共有先の第2アカウントに向けて通知する。「9.パスワード要求」および「10.パスワード要求」の記載から解るように、パスワード要求は、印刷制御サーバー50からSNSサーバー30へ通知されることにより、第2アカウント、つまり第2ユーザーU2に通知される。
【0027】
図3は、
図2の「6.パスワード発行」の詳細をフローチャートにより示している。登録部51は、SNSサーバー30から設定共有要求を受けたことを契機として、
図3のフローチャートを開始する。
ステップS100では、登録部51は、共有元の第1アカウントと共有先の第2アカウントとのいずれもが印刷制御サーバー50にSNSのアカウントとして登録済みであるか否かを判定する。ステップS100で言う登録とは、プリンター60の登録の有無に関係なく、単に、アカウントが印刷制御サーバー50に登録されていることを意味する。
【0028】
SNSサーバー30が管理するSNSの有効な各アカウントは、SNSサーバー30から印刷制御サーバー50に送信され、印刷制御サーバー50にも登録される。従って、ステップS100では、登録部51は、共有元の第1アカウントが印刷制御サーバー50に登録されているいずれかのアカウントと一致し、かつ、共有先の第2アカウントが印刷制御サーバー50に登録されているいずれかのアカウントと一致する場合に、“Yes”と判定してステップS110へ進む。一方、登録部51は、共有元の第1アカウントが印刷制御サーバー50に登録されているいずれのアカウントとも一致しないか、もしくは、共有先の第2アカウントが印刷制御サーバー50に登録されているいずれのアカウントとも一致しない場合に、ステップS100で“No”と判定して、ステップS130へ進む。
【0029】
ステップS130では、登録部51は、エラー処理を行った上で、
図2のシーケンスを終了する。ステップS130に進んだ場合は、登録部51は、
図2の「7.パスワード通知」も、「9.パスワード要求」も、実行しない。エラー処理では、登録部51は、例えば、共有先の第2アカウントへ、設定共有要求に応じられない旨、つまりエラーの旨をメッセージとして通知する。
【0030】
ステップS110では、登録部51は、パスワードを生成する。ステップS110で生成するパスワードが第1パスワードである。パスワードの生成方法は特に問わない。
ステップS120では、登録部51は、共有元の第1アカウントおよび共有先の第2アカウントと、ステップS110で生成した第1パスワードと、この第1パスワードの有効期限と、を紐付けて印刷制御サーバー50に保存した上で、
図3のフローチャートを終了する。登録部51は、第1パスワードの有効期限を、例えば数分程度に設定すればよい。このような有効期限を有する第1パスワードは、ワンタイムパスワードの一種である。
【0031】
図2に戻って説明を続ける。
SNSを介して「10.パスワード要求」を受けた第2ユーザーU2は「11.認証要求」を行う。具体的には、第2ユーザーU2は、第1ユーザーU1がSNSを介して「8.パスワード通知」を受けて認識した第1パスワードを、自身の第2アカウントでSNSへ投稿することにより認証要求を行う。ここでは、第1ユーザーU1と第2ユーザーU2とは、同一人物であるか、近しい関係の人物同士と想定しているため、第2ユーザーU2は、第1ユーザーU1がSNSを介して通知を受けた第1パスワードを知り、SNSへ投稿することができる。
【0032】
「12.認証要求」の記載から解るように、第2アカウントによりSNSへ投稿された、パスワードを含む認証要求は、SNSサーバー30から印刷制御サーバー50へ送信される。
登録部51は、SNSサーバー30から受信した認証要求に応じて、「13.認証&共有登録」を行う。
【0033】
図4は、
図2の「13.認証&共有登録」の詳細をフローチャートにより示している。登録部51は、SNSサーバー30から認証要求を受けたことを契機として、
図4のフローチャートを開始する。
図4の説明に関し、認証要求に含まれるパスワードを「投稿パスワード」と称し、認証要求の要求元である第2アカウントを「投稿アカウント」と称する。
【0034】
ステップS200では、登録部51は、投稿パスワードと一致する第1パスワードが、印刷制御サーバー50に保存されているか否かを判定する。登録部51は、投稿パスワードが、印刷制御サーバー50が保存している第1パスワードのいずれか一つと一致する場合は“Yes”と判定して、ステップS210へ進み、投稿パスワードが、印刷制御サーバー50が保存している第1パスワードのいずれとも一致しない場合は“No”と判定して、ステップS260へ進む。印刷制御サーバー50が保存している第1パスワードとは、過去のステップS120で保存され、現在も保存されている第1パスワードである。むろん、ステップS200の時点で印刷制御サーバー50に第1パスワードが一つも保存されていなければ、ステップS200の判定は“No”となる。
【0035】
ステップS210では、登録部51は、現在、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードの有効期限内であるか否かを判定する。登録部51は、有効期限内であれば “Yes”と判定して、ステップS220へ進み、一方、有効期限を過ぎていれば“No”と判定して、ステップS250へ進む。登録部51は、ステップS210で“No”と判定した場合は、ステップS220の判定をすることなく、投稿アカウントによりSNSへ投稿された投稿パスワードが、第2アカウントから設定共有要求を受けたことを契機として発行した第1パスワードと一致しないと見なす。
【0036】
ステップS220では、登録部51は、投稿アカウントが、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有先の第2アカウントと一致するか否かを判定する。登録部51は、投稿アカウントが、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有先の第2アカウントと一致すれば“Yes”と判定してステップS230へ進み、一致しなければ“No”と判定してステップS250へ進む。
【0037】
このようなステップS220では、登録部51は、設定共有要求を行った第2ユーザーU2と、認証要求を行った第2ユーザーU2とが同一であるか否かを判定していると言える。ステップS220で“Yes”と判定したとき、登録部51は、第2アカウントによりSNSへ投稿された投稿パスワードが、この第2アカウントから設定共有要求を受けたことを契機として発行した第1パスワードと一致すると言えるため、ユーザーUに対する認証成功と判断する。
【0038】
ステップS230では、登録部51は、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有元の第1アカウント、に紐付けて登録済みの印刷設定情報を、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードに紐付けて保存している共有先の第2アカウントにも紐付けて印刷制御サーバー50に登録する。つまり、印刷設定情報の共有登録を行う。これにより、第1ユーザーU1の第1アカウントと、第2ユーザーU2の第2アカウントとには、共通の印刷設定情報が紐付けられたことになる。
【0039】
登録部51は、ステップS230に続くステップS240において、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードを無効化して、
図4のフローチャートを終了する。第1パスワードの無効化とは、第1パスワードを印刷制御サーバー50から消去することを意味する。
【0040】
登録部51は、ステップS210またはステップS220のいずれかで“No”と判定した場合、ステップS250において、ステップS200で投稿パスワードと一致すると判定した第1パスワードを無効化して、ステップS260へ進む。ステップS250は、ステップS240と同じ処理である。ステップS260では、登録部51は、ユーザーUの認証失敗と判断し、
図2のシーケンスを終了する。つまり、登録部51は、第2アカウントによりSNSへ投稿された投稿パスワードが、この第2アカウントから設定共有要求を受けたことを契機として発行した第1パスワードと一致するか否かを判定した第1パスワードについては、ステップS210,S220を経た認証に成功してもしなくても、無効化し、その後は使用できなくする。
【0041】
図2では、破線の矢印にて簡単に示しているが、登録部51は、認証要求に応じて第1アカウントとの印刷設定情報の共有登録が完了した旨を、SNSサーバー30を介して、認証要求の要求元である第2アカウントへ通知すればよい。
なお、
図4のステップS260で認証失敗と判断した場合に、登録部51は、認証要求の要求元である第2アカウントへ、認証に失敗した旨や、第1アカウントとの共有登録ができない旨をメッセージとして通知してもよい。
【0042】
第1アカウントとの印刷設定情報の共有登録が完了した後、第2ユーザーU2は、第2アカウントによりSNSへ任意のファイルに関する印刷指示(
図2の「14.印刷指示」)を投稿することができる。第2アカウントによりSNSに投稿された印刷指示は、「15.印刷指示」に示すように、SNSサーバー30から印刷制御サーバー50に送信される。印刷制御サーバー50は、この印刷指示に応じて、印刷指示の送信元の第2アカウントに紐付けて登録している印刷設定情報を取得(「16.設定取得」)し、取得した印刷設定情報に従って「17.印刷」を実行する。つまり、印刷制御サーバー50は、印刷指示が示すファイルの印刷を、取得した印刷設定情報が指定するプリンター60に、この印刷設定情報が指定する設定に従って実行させる。
【0043】
図2に示していないが、言うまでもなく第1ユーザーU1は、第1アカウントでSNSへ任意のファイルに関する印刷指示を投稿することにより、SNSサーバー30を通じて印刷制御サーバー50に、第1アカウントに紐付けて登録されている印刷設定情報に従ったプリンター60による印刷を実行させることができる。
【0044】
3.まとめ:
このように、SNSを介した印刷を制御する印刷制御サーバー50は、SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録部51を備える。そして、登録部51は、第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となるSNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、第1パスワードを、第1アカウントへSNSを介して通知し、第2アカウントによりSNSへ投稿されたパスワードが、第1パスワードと一致する場合に、第1アカウントに紐付けて登録している印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて登録する。
【0045】
前記構成によれば、ユーザーUは、印刷制御サーバー50に第1アカウントと印刷設定情報とを紐付けて登録済みとした状況で、第1アカウントと、印刷設定の共有先となる第2アカウントとを指定することにより、第1アカウントに紐付けて登録済みの印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて印刷制御サーバー50に登録することができる。これにより、同一のSNS内の異なるアカウントの夫々でプリンター60を使用するために、従来は夫々のアカウントで印刷設定情報を入力する等の設定処理を繰り返し行わなければならなかったユーザーUの手間を、減らすことができる。また、ユーザーUが同一のSNS内の異なるアカウントで使用するプリンター60や印刷設定を共有化したいとき、従来のように異なるアカウントの夫々で同じ印刷設定情報を入力する場合には入力ミスにより共有化に失敗するリスクが高かったが、本実施形態によれば、そのようなリスクを無くすことができる。つまり、同一のSNS内の異なるアカウントで使用するプリンター60の共有化を、容易に行うことができる。
【0046】
また、前記構成によれば、登録部51は、共有元の第1アカウントおよび共有先の第2アカウントの指定を受けたことを契機として発行した第1パスワードを、SNSを介して共有元の第1アカウントへ通知し、第2アカウントによりSNSへ投稿されたパスワードを取得して、第1パスワードとの一致、不一致を判定する。これにより、共有元の第1アカウントを有するユーザーU本人、あるいは、このユーザーU本人に近しい関係のユーザーUに対して、第1アカウントに紐付けた印刷設定情報の共有登録を許容することができる。従って、共有元の第1アカウントを有するユーザーUと無関係の第三者に印刷設定情報が漏えいしたり前記共有登録をさせたりするリスクを、減らすことができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、登録部51は、第2アカウントによりSNSへ投稿されたパスワードが第1パスワードと一致するか否かを判定したら、第1パスワードを無効化する、としてもよい。
前記構成によれば、第1パスワードを用いたユーザーUの認証の成功、不成功に関係無く、一度認証に使用した第1パスワードについては無効化することにより、印刷設定情報の共有化に関するセキュリティを高めることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、登録部51は、第1パスワードに有効期限を設定し、第2アカウントによりSNSへパスワードが投稿されたとき、第1パスワードの有効期限を過ぎていれば、第2アカウントによりSNSへ投稿されたパスワードと第1パスワードとは一致しないとみなす、としてもよい。
前記構成によれば、第1パスワードに有効期限を設定することにより、印刷設定情報の共有化に関するセキュリティを高めることができる。
【0049】
登録部51は、SNSが提供するチャット機能を使用して第2アカウントにより投稿されたパスワードを、取得するとしてもよい。
ユーザーUは、他のユーザーとコミュニケーションを取るために、SNSが提供するチャット機能により任意の投稿を行ったり他のユーザーによる投稿を閲覧したりすることができる。そこで、ユーザーUは、パスワードの投稿も、SNSが提供するチャット機能を使用して第2アカウントにより行えばよい。つまり、
図2に示す第2ユーザーU2による投稿や第2ユーザーU2に対する登録部51からの各種通知は、SNSが提供するチャット機能を介して、例えば一対一で行われるとすればよい。かかる構成とすれば、第2ユーザーU2は、普段のチャットを行うのと同様の感覚で登録部51とコミュニケーションを取ることができる。
図2に示す第1ユーザーU1による投稿や第1ユーザーU1に対する登録部51からの各種通知は、SNSが提供するチャット機能を介して行われるとしてもよい。
【0050】
本実施形態は、印刷制御サーバーだけでなく、方法、システム、プログラム等の様々なカテゴリーの発明を開示する。
例えば、SNSを介した印刷を制御する印刷制御方法は、SNSのユーザーのアカウントである第1アカウントと、印刷に使用するプリンター60の指定情報を含む印刷設定情報と、を紐付けて登録する登録工程(
図2参照。)を備える。登録工程は、第1アカウントの指定と、印刷設定の共有先となるSNSのユーザーのアカウントである第2アカウントの指定と、を受け付けたとき、第1パスワードを発行し、第1パスワードを、第1アカウントへSNSを介して通知し、第2アカウントによりSNSへ投稿されたパスワードが、第1パスワードと一致する場合に、第1アカウントに紐付けて登録している印刷設定情報を、第2アカウントにも紐付けて登録する。
【符号の説明】
【0051】
25…端末装置、26…SNSアプリケーション、30…SNSサーバー、50…印刷制御サーバー、51…登録部、60…プリンター、70…システム、251…第1端末装置、252…第2端末装置