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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20240409BHJP
【FI】
H02K11/33
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020156265
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2021069271
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019192065
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】高田 響
(72)【発明者】
【氏名】水谷 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】青野 真郷
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-275165(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188844(WO,A1)
【文献】特開2014-220961(JP,A)
【文献】特開2012-60785(JP,A)
【文献】特開2007-124764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸回りに回転するモータシャフトを有するモータと、
前記モータを収容するモータハウジング部と、
前記モータシャフトの回転を中間シャフトに伝達するギヤ部と、
前記ギヤ部を収容するギヤハウジング部と、
前記モータに電力を供給するインバータと、
前記インバータを収容するインバータハウジング部と、
一端側が前記インバータに電気的に接続されて他端側が前記インバータハウジング部の外部に向かって延びるワイヤーハーネスと、
を有し、
前記ギヤ部は、前記モータハウジング部の軸方向一方側に設けられ、
前記ギヤ部は、軸方向他方側に前記中間シャフトが取り付けられ、
前記インバータハウジング部は、前記中間シャフトの上方に配置され、
前記ワイヤーハーネスは、前記インバータハウジング部の下面と、前記中間シャフトと横方向において対向する前記モータハウジング部の前記中間シャフト側の外面と、に沿って配策される駆動装置。
【請求項2】
前記モータハウジング部の前記中間シャフト側の前記外面に取り付けられて前記中間シャフトを回転可能に保持する中間シャフト保持部材を有し、
前記ワイヤーハーネスは、前記中間シャフト保持部材に沿って配策される請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ワイヤーハーネスは、前記中間シャフト保持部材の前記軸方向に面する外面に沿って配策され、
前記ワイヤーハーネスを隔てて前記中間シャフト保持部材と前記軸方向に対向して配置されるとともに、前記ワイヤーハーネスの周囲の少なくとも一部を覆うハーネス保護部材を有する請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ハーネス保護部材は、前記中間シャフト保持部材に固定される請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記中間シャフト保持部材は、前記ワイヤーハーネスを保持するクリップ部を有する請求項2から請求項4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項6】
前記クリップ部は、前記中間シャフト保持部材の外縁部から外側に向かって突出し、
前記クリップ部は、
上下方向に対向する上爪部及び下爪部と、
上下方向において前記上爪部と前記下爪部との間に配置される凹部と、
を有し、
前記ワイヤーハーネスは、前記凹部に挿入されて固定される請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記クリップ部で保持される前記ワイヤーハーネスの延伸方向において、前記上爪部の長さは、前記下爪部の長さと異なる請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記インバータハウジング部に接続される冷媒配管を有し、
前記クリップ部は、前記冷媒配管の下方に位置する請求項5から請求項7のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項9】
前記モータハウジング部の内部でオイルを循環させるオイルポンプを有し、
前記ワイヤーハーネスの他方側は、前記オイルポンプに電気的に接続される請求項1から請求項8のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項10】
前記オイルポンプを収容するポンプハウジング部を有し、
前記ポンプハウジング部は、前記インバータハウジング部の前記下面の下方において前記下面と上下方向に対向し、且つ前記インバータハウジング部及び前記モータハウジング部の前記軸方向の外縁部よりも内側に配置される請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記モータハウジング部及び前記インバータハウジング部は、ともに単一の部材の一部である請求項1から請求項8のいずれかに記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータと、モータの動作を制御するインバータと、を有する駆動装置では、インバータに電気的に接続されるワイヤーハーネスを設けることがある。例えば、駆動装置において、モータと、インバータとを電気的に接続するためのワイヤーハーネスを設ける構成が知られている。この駆動装置では、ワイヤーハーネスが、インバータのシールドケースの外部に向かって延び、モータのシールドケースに接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-152047公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の駆動装置では、ワイヤーハーネスが、インバータのシールドケース及びモータのシールドケースによって占有される領域の外側に配置される。このため、駆動装置が大型化することに課題があった。
【0005】
上記の点に鑑み、本発明は、インバータに接続されるワイヤーハーネスを備えた駆動装置において、小型化を図ることが可能な駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な駆動装置は、中心軸回りに回転するモータシャフトを有するモータと、前記モータを収容するモータハウジング部と、前記モータシャフトの回転を中間シャフトに伝達するギヤ部と、前記ギヤ部を収容するギヤハウジング部と、前記モータに電力を供給するインバータと、前記インバータを収容するインバータハウジング部と、一端側が前記インバータに電気的に接続されて他端側が前記インバータハウジング部の外部に向かって延びるワイヤーハーネスと、を有し、前記ギヤ部は、前記モータハウジング部の軸方向一方側に設けられ、前記ギヤ部は、軸方向他方側に前記中間シャフトが取り付けられ、前記インバータハウジング部は、前記中間シャフトの上方に配置され、前記ワイヤーハーネスは、前記インバータハウジング部の下面と、前記中間シャフトと横方向において対向する前記モータハウジング部の前記中間シャフト側の外面と、に沿って配策される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的な駆動装置によれば、ワイヤーハーネスが、駆動装置のハウジングによって占有される領域の外側に突出しないようにすることができる。これにより、駆動装置の小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の駆動装置の概念図である。
図2図2は、駆動装置の斜視図である。
図3図3は、駆動装置が搭載される車両の、駆動装置の搭載箇所を後方から見た概念図である。
図4図4は、駆動装置のインバータハウジング部の下方を拡大した斜視図である。
図5図5は、駆動装置のインバータハウジング部の下方を拡大した斜視図であって、中間シャフト保持部材を取り付けた状態を示す図である。
図6図6は、駆動装置のインバータハウジング部の下方を拡大した斜視図であって、中間シャフト保持部材及びハーネス保護部材を取り付けた状態を示す図である。
図7図7は、変形例の駆動装置のインバータハウジング部の下方を拡大した斜視図である。
図8図8は、変形例の駆動装置の中間シャフト保持部材の上部を拡大した斜視図である。
図9図9は、変形例の駆動装置の中間シャフト保持部材の上部を拡大した斜視図であって、ワイヤーハーネスを取り外した状態を示す図である。
図10図10は、変形例の駆動装置の中間シャフト保持部材の上部を拡大した側面図である。
図11図11は、変形例の駆動装置の中間シャフト保持部材の上部を拡大した背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る駆動装置について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
以下の説明では、駆動装置1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上方(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下方(重力方向)である。X方向は、Z方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。なお、+X方向が車両後方となり、-X方向が車両前方となることもある。Y方向は、X方向とZ方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示す。駆動装置1の車両への搭載方法によっては、X方向が車両の幅方向(左右方向)で、Y方向が車両の前後方向になることもある。
【0011】
以下の説明では、特に断りのない限り、モータ2のモータ軸J2に平行な方向(Y方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J2と直交する径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、X方向と、Y方向とを含む水平な方向を「横方向」と呼ぶ。なお、上述した「平行な方向」及び「水平な方向」は、完全に平行な場合及び完全に水平な場合のみでなく、略平行な方向及び略水平な方向も含む。
【0012】
<1.駆動装置>
以下、図面を基に本発明の例示的な一実施形態にかかる駆動装置1について説明する。図1は、一実施形態の駆動装置1の概念図である。図2は、駆動装置1の斜視図である。なお、図1は、あくまで概念図であり、各部の配置及び寸法は、実際の駆動装置1と同じであるとは限らない。
【0013】
駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、少なくともモータを動力源とする車両に搭載される。駆動装置1は、上記の自動車の動力源として使用される。
【0014】
図1及び図2に示すように、駆動装置1は、モータ2と、ギヤ部3と、オイルポンプ4と、オイルクーラー5と、インバータ6と、ハウジング7と、中間シャフト保持部材8と、ワイヤーハーネス9と、ハーネス保護部材10と、を有する。ハウジング7は、モータ2を収容するモータハウジング部71と、ギヤ部3を収容するギヤハウジング部72と、インバータ6を収容するインバータハウジング部73と、を有する。
【0015】
<2.モータ2>
モータ2は、ハウジング7のモータハウジング部71の内部に収容される。モータ2は、ロータ21と、ステータ25と、を有する。
【0016】
<2.1 ロータ21>
ロータ21は、バッテリ(図示略)からインバータ6を介してステータ25に電力が供給されることで回転する。ロータ21は、モータシャフト22と、ロータコア23と、ロータマグネット(図示略)と、を有する。ロータ21は、水平方向に延びるモータ軸(中心軸)J2回りに回転する。すなわち、モータ2は、水平方向に延びるモータ軸(中心軸)J2回りに回転するモータシャフト22を有する。
【0017】
モータシャフト22は、水平方向且つ車両の幅方向(Y方向)に延びるモータ軸J2を中心として延びる。なお、詳細に言えば、モータシャフト22は、モータ2側のシャフトと、ギヤ部3側のシャフトとに分割されており、スプライン軸を用いて連結される。モータシャフト22は、モータ軸J2回りに回転する。
【0018】
モータシャフト22は、モータハウジング部71の内部とギヤハウジング部72の内部とを跨いで延びる。モータシャフト22の軸方向一方側(+Y方向側)の端部は、モータハウジング部71及びギヤハウジング部72が共有する隔壁部74を貫通し、ギヤハウジング部72の内部に突出する。モータシャフト22の軸方向一方側(+Y方向側)の端部は、隔壁部74に保持されたベアリング(図示略)によって回転可能に支持される。モータシャフト22の軸方向他方側(-Y方向側)の端部は、モータハウジング部71の閉塞部75に保持されたベアリング(図示略)によって回転可能に支持される。
【0019】
ロータコア23は、珪素鋼板を積層して形成される。ロータコア23は、軸方向に沿って延びる円柱体である。ロータコア23には、複数のロータマグネット(図示略)が固定される。複数のロータマグネットは、磁極を交互にして周方向に沿って並ぶ。
【0020】
<2.2 ステータ25>
ステータ25は、ロータ21の径方向外側に位置し、ロータ21を径方向外側から囲む。すなわち、モータ2は、ステータ25の内側にロータ21が回転可能に配置されたインナーロータ型モータである。ステータ25は、モータハウジング部71に保持される。ステータ25は、ステータコア26と、コイル27と、インシュレータ(図示略)とを有する。インシュレータは、ステータコア26とコイル27との間に介在する。ステータコア26は、円環状のヨークの内周面から径方向内方に複数の磁極歯(図示略)を有する。
【0021】
磁極歯の間には、コイル線(図示略)が掛け回される。磁極歯に掛け回されたコイル線は、コイル27を構成する。コイル線は、バスバー(図示略)を介してインバータ6に接続される。コイル27は、ステータコア26の軸方向端面から突出するコイルエンド271を有する。コイルエンド271は、ロータ21のロータコア23の端部よりも軸方向外側に突出する。
【0022】
<3. ギヤ部3>
ギヤ部3は、モータハウジング部71の軸方向一方側(図1の左方、+Y方向側)に設けられる。ギヤ部3は、ハウジング7のギヤハウジング部72の内部に収容される。ギヤ部3は、モータシャフト22の軸方向一方側(図1の左方、+Y方向側)において、モータシャフト22に接続される。
【0023】
ギヤ部3は、減速装置31と、差動装置32と、中間シャフト接続部33と、を有する。ギヤ部3は、軸方向他方側(図1の右方、-Y方向側)に中間シャフトMsが取り付けられる。ギヤ部3は、モータシャフト22の回転を中間シャフトMsに伝達する。
【0024】
図3は、駆動装置1が搭載される車両Vの、駆動装置1の搭載箇所を後方から見た概念図である。例えば、車両Vのドライブシャフトは、第1ドライブシャフトDs1と、中間シャフトMsと、第2ドライブシャフトDs2と、に分割されている。第1ドライブシャフトDs1には、ギヤ部3から直接、モータシャフト22の回転が伝達される。第2ドライブシャフトDs2には、ギヤ部3から中間シャフトMsを介して、モータシャフト22の回転が伝達される。
【0025】
<3.1 減速装置31>
減速装置31は、モータシャフト22に接続される。すなわち、ギヤ部3は、モータ軸J2の軸方向一方側(図1の左方、+Y方向側)においてモータシャフト22に接続される。減速装置31は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる機能を有する。減速装置31は、モータ2から出力されるトルクを差動装置32へ伝達する。
【0026】
減速装置31は、第1ギヤ(中間ドライブギヤ)311と、第2ギヤ(中間ギヤ)312と、第3ギヤ(ファイナルドライブギヤ)313と、ギヤシャフト314と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、モータシャフト22、第1ギヤ311、第2ギヤ312、ギヤシャフト314及び第3ギヤ313を介して差動装置32のリングギヤ321へ伝達される。各ギヤのギヤ比及びギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。減速装置31は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0027】
第1ギヤ311は、モータシャフト22の外周面に取り付けられる。第1ギヤ311は、モータシャフト22とともに、モータ軸J2回りに回転する。
【0028】
ギヤシャフト314は、モータ軸J2と平行なギヤ軸J4に沿って延びる。ギヤシャフト314の両端は、ギヤハウジング部72に保持されたベアリング(図示略)によって回転可能に支持される。ギヤシャフト314は、ギヤ軸J4回りに回転する。
【0029】
第2ギヤ312及び第3ギヤ313は、ともにギヤシャフト314の外周面に取り付けられる。第2ギヤ312と第3ギヤ313とは、ギヤシャフト314を介して接続される。第3ギヤ313は、第2ギヤ312に対して隔壁部74側に位置する。第2ギヤ312及び第3ギヤ313は、ギヤ軸J4回りに回転する。第2ギヤ312は、第1ギヤ311と噛み合う。第3ギヤ313は、差動装置32のリングギヤ321と噛み合う。
【0030】
モータシャフト22のトルクは、第1ギヤ311から第2ギヤ312に伝達される。第2ギヤ312に伝達されたトルクは、ギヤシャフト314を介して第3ギヤ313に伝達される。第3ギヤ313に伝達されたトルクは、差動装置32のリングギヤ321に伝達される。このようにして、減速装置31は、モータ2から出力されたトルクを、差動装置32に伝達する。
【0031】
<3.2 差動装置32>
差動装置32は、第1ドライブシャフトDs1及び中間シャフトMsが取り付けられる。第1ドライブシャフトDs1及び中間シャフトMsは、差動装置32の左右にそれぞれ取り付けられる。差動装置32は、モータ2の出力トルクを第1ドライブシャフトDs1及び中間シャフトMsに伝達する。差動装置32は、例えば車両V(図3参照)の旋回時に、左右の車輪Wの速度差を吸収しつつ、第1ドライブシャフトDs1及び中間シャフトMsに同じトルクを伝える機能を有する。
【0032】
差動装置32は、リングギヤ321を有する。リングギヤ321は、モータ軸J2と平行な差動軸J5回りに回転する。リングギヤ321には、モータ2から出力されるトルクが減速装置31を介して伝えられる。
【0033】
<3.3 中間シャフト接続部33>
中間シャフト接続部33は、差動装置32に設けられる。中間シャフト接続部33は、差動装置32の-Y方向側(図1の右方)に面する。すなわち、中間シャフト接続部33は、モータシャフト22の軸方向においてギヤ部3が接続される軸方向一方側(図1の左方、+Y方向側)に対して反対側の軸方向他方側に面する。
【0034】
中間シャフト接続部33には、モータシャフト22の軸方向他方側(図1の右方、-Y方向側)に向かって延びる中間シャフトMsが取り付けられる。モータ2と、中間シャフトMsとは、互いに横方向(X方向)にずれて配置される。すなわち、中間シャフトMsは、モータ2の横方向(-X方向、図2参照)においてモータ2から離して配置される。本実施形態では、モータ軸J2と差動軸J5とは平行であり、すなわち、モータシャフト22と中間シャフトMsとは平行である。
【0035】
<4. オイルポンプ4>
オイルポンプ4は、モータハウジング部71の内部でオイルCLを循環させる。オイルポンプ4は、ポンプモータ(図示略)を有し、電気により駆動する電動ポンプである。ハウジング7は、オイルポンプ4を収容するポンプハウジング部76をさらに有する。オイルポンプ4は、ポンプハウジング部76の内部に収容される。
【0036】
なお、駆動装置1は、モータハウジング部71の内部でオイルCLを循環させるためのオイル流通経路CPを有する。オイル流通経路CPは、オイルポンプ4と、定常的に一方向にオイルCLが流通するオイル配管と、オイルCLを一時的に滞留させる経路(例えばオイルリザーバ)と、オイルCLが滴り落ちる経路と、オイルCLが壁を伝い落ちると、を含む。例えば、オイル流通経路CPは、ギヤハウジング部72の内部の下部領域に設けられ、オイルCLが貯留されるオイル溜まりPを含む。また例えば、オイル流通経路CPは、ポンプハウジング部76とモータハウジング部71とを接続するオイル配管77を含む。
【0037】
オイル配管77は、オイルポンプ4から吐出されたオイルCLを、モータハウジング部71の内部の上部に設けられたオイルリザーバ(図示略)に供給する。オイルリザーバに供給されたオイルCLは、モータ2のコイルエンド271に滴下される。コイル27は、オイルリザーバからコイルエンド271に滴下されたオイルCLによって冷却される。すなわち、モータ2は、オイルCLによって冷却される。
【0038】
モータ2を冷却したオイルCLは、モータハウジング部71の内部の下部に流れる。隔壁部74は、隔壁開口741を有する。モータハウジング部71の内部の下部に流れたオイルCLは、ギヤハウジング部72の内部に流入し、さらにギヤハウジング部72の下部のオイル溜まりPに流入する。
【0039】
<5. オイルクーラー5>
オイルクーラー5は、オイル配管77のオイル流通経路CPの途中に設けられる。オイルクーラー5には、冷媒配管51が接続される。オイルクーラー5には、冷媒配管51を介して冷媒が流入する。オイルクーラー5は、冷媒とオイルCLとの熱交換を行うことで、オイル配管77の内部を流れるオイルCLを冷却する。
【0040】
なお、冷媒配管51の一端部はオイルクーラー5に接続され、冷媒配管51の他端部はインバータハウジング部73に接続される。本実施形態では、インバータ6を冷却した冷媒を、冷媒配管51を介してオイルクーラー5に導き、オイルCLを冷却しているが、これに限定されない。インバータ6を冷却する冷媒とは別の冷媒によってオイルCLを冷却しても良い。なお、インバータ6を冷却する冷媒は、ラジエータ(図示略)によって冷却される。
【0041】
<6. インバータ6>
インバータ6は、インバータハウジング部73の内部に収容され、固定される。インバータ6は、モータ2と電気的に接続される。インバータ6は、モータ2に電力を供給する。さらに、インバータ6は、モータ2に供給される電流を制御することで、モータ2の動作を制御する。また、インバータ6は、オイルポンプ4に電力を供給する。
【0042】
<7. ハウジング7>
ハウジング7は、モータハウジング部71と、ギヤハウジング部72と、インバータハウジング部73と、を有する。モータハウジング部71は、モータ2を収容する。ギヤハウジング部72は、ギヤ部3を収容する。インバータハウジング部73は、インバータ6を収容する。ハウジング7の内部空間は、モータハウジング部71、ギヤハウジング部72及びインバータハウジング部73によって、モータ2を収容する空間と、ギヤ部3を収容する空間と、インバータ6を収容する空間と、に区画される。ハウジング7は、さらに隔壁部74と、閉塞部75と、ポンプハウジング部76と、オイル配管77と、有する。
【0043】
<7.1 モータハウジング部71>
モータハウジング部71は、モータ2を収容する内部空間の外周部に周壁部711を有する。周壁部711は、モータ軸J2の軸方向(Y方向)に沿って延びる筒状である。周壁部711の軸方向一方側(+Y方向側)の端部は、隔壁部74によって閉塞される。隔壁部74は、モータハウジング部71と、ギヤハウジング部72との境界に位置する。周壁部711の軸方向他方側(-Y方向側)の端部は、閉塞部75によって閉塞される。
【0044】
モータハウジング部71は、保持部材取付部712(図4参照)を有する。保持部材取付部712は、周壁部711の中間シャフトMs側(後方、-X方向側)の外周部であって、外部空間Sに面する部分に配置される。保持部材取付部712は、中間シャフト接続部33に取り付けられる中間シャフトMsと対向する。保持部材取付部712には、中間シャフトMsを保持する中間シャフト保持部材8が取り付けられる。
【0045】
<7.2 ギヤハウジング部72>
ギヤハウジング部72は、モータハウジング部71に対してモータシャフト22の軸方向一方側に配置される。ギヤハウジング部72は、軸方向(Y方向)から見てモータハウジング部71と重なる領域から、モータ2の横方向(後方、-X方向)に向かって延びる。
【0046】
<7.3 インバータハウジング部73>
インバータハウジング部73は、モータハウジング部71の上部と、ギヤハウジング部72の上部と、に跨って配置される。インバータハウジング部73は、中間シャフトMsの上方に配置される。詳細に言えば、インバータハウジング部73は、中間シャフト接続部33に取り付けられる中間シャフトMsの上方に配置される。
【0047】
ハウジング7は、三方をモータハウジング部71、ギヤハウジング部72及びインバータハウジング部73に囲まれた外部空間Sを形成する。外部空間Sは、モータハウジング部71の中間シャフトMs側(-X方向側)に配置される。外部空間Sは、ギヤハウジング部72の軸方向他方側(-Y方向側)に配置される。外部空間Sは、インバータハウジング部73の下方(-Z方向側)に配置される。中間シャフト接続部33に取り付けられる中間シャフトMsは、当該外部空間Sに配置される。
【0048】
図4は、駆動装置1のインバータハウジング部73の下方を拡大した斜視図である。なお、図4は、駆動装置1の、図1に見られる中間シャフト保持部材8及びハーネス保護部材10の描画を省略している。
【0049】
インバータハウジング部73は、インバータ6を収容する内部空間の下方(-Z方向側)に下壁部731を有する。下壁部731は、インバータハウジング部73の下方の外部空間Sに面する。すなわち、インバータハウジング部73の下壁部731は、外気に面する。
【0050】
モータハウジング部71及びインバータハウジング部73は、ともにハウジング7の一部である。すなわち、モータハウジング部71及びインバータハウジング部73は、ともに単一の部材(ハウジング7)の一部である。この構成によれば、駆動装置1全体のハウジング7の強度を向上させることができる。また、部品点数が減少し、組み立て工数を低減させることができる。
【0051】
<7.4 ポンプハウジング部76>
ポンプハウジング部76は、オイルポンプ4を収容する。ポンプハウジング部76は、ギヤハウジング部72の下部に接続される。ポンプハウジング部76は、ギヤハウジング部72の軸方向他方側(-Y方向側)の外面から、軸方向他方側(-Y方向側)に向かって突出する。ポンプハウジング部76は、インバータハウジング部73の下面7311の下方において当該下面7311と上下方向に対向する。且つ、ポンプハウジング部76は、インバータハウジング部73及びモータハウジング部71の軸方向(Y方向)の外縁部よりも内側に配置される。すなわち、ポンプハウジング部76は、インバータハウジング部73及びモータハウジング部71よりも軸方向外側に突出しない。
【0052】
<8.中間シャフト保持部材8>
中間シャフト保持部材8(図2参照)は、モータハウジング部71の中間シャフトMs側の外面7111に取り付けられる。中間シャフト保持部材8は、モータハウジング部71の保持部材取付部712に対し、外部空間Sに向かって横方向(後方、-X方向)に突出する。
【0053】
中間シャフト保持部材8は、保持孔81(図5参照)を有する。保持孔81は、中間シャフト保持部材8を軸方向(Y方向)に貫通する。保持孔81には、軸受部材(図示略)が取り付けられる。保持孔81は、中間シャフト接続部33に取り付けられる中間シャフトMsが挿入される。これにより、中間シャフト保持部材8は、中間シャフトMsを回転可能に保持する。
【0054】
中間シャフト保持部材8は、複数のネジ孔82を有する(図5参照)。複数のネジ孔82は、中間シャフト保持部材8の軸方向他方側(-Y方向側)に面して配置される。ネジ孔82は、軸方向(Y方向)に沿って延びる。ネジ孔82には、ハーネス保護部材10を挟んで、ハーネス保護部材10の後述する固定ネジ101が取り付けられる。
【0055】
<9.ワイヤーハーネス9>
ワイヤーハーネス9は、一端側がインバータ6に電気的に接続される。なお、ワイヤーハーネス9は、両端部にコネクタ91、92を有する。コネクタ91は、インバータハウジング部73の下壁部731に接続され、インバータハウジング部73の内部でインバータ6に電気的に接続される。すなわち、詳細に言えば、ワイヤーハーネス9は、コネクタ91を介して一端側がインバータ6に電気的に接続される。ワイヤーハーネス9の他端側は、インバータハウジング部73の外部に向かって延びる。すなわち、ワイヤーハーネス9は、一端側がインバータ6に電気的に接続され、他端側がインバータハウジング部73の外部に向かって延びる。
【0056】
ワイヤーハーネス9は、コネクタ91の近傍において、インバータハウジング部73の下壁部731の下方(-Z方向側)の外部で、下壁部731に沿って配策される。なお、「配策」とは、ワイヤーハーネス、ケーブル、電線等を配置することを意味する。ワイヤーハーネス9は、インバータハウジング部73の下壁部731の下面7311に沿って、コネクタ92側(他端側)に向かって延びる。
【0057】
ワイヤーハーネス9は、コネクタ92の近傍において、モータハウジング部71の周壁部711の後方(-X方向側)の外部で、周壁部711に沿って配策される。ワイヤーハーネス9は、モータハウジング部71の周壁部711の外面7111に沿って、上下方向に延びる。
【0058】
すなわち、ワイヤーハーネス9は、中間シャフトMsと上下方向(Z方向)において対向するインバータハウジング部73の下面7311と、中間シャフトMsと横方向(X方向)において対向するモータハウジング部71の中間シャフトMs側の外面7111と、に沿って配策される。この構成によれば、ワイヤーハーネス9は、ハウジング7によって占有される領域の内側に配置される。詳細に言えば、ワイヤーハーネス9は、ハウジング7の、XY投影面内、YZ投影面内及びZX投影面内に配置される。すなわち、ワイヤーハーネス9が、駆動装置1のハウジング7によって占有される領域の外側に突出しないようにすることができる。これにより、駆動装置1の小型化を図ることが可能になる。
【0059】
また、駆動装置1の搬送時や、駆動装置1の車両への取り付け時に、ワイヤーハーネス9が他部材に引っ掛からないようにすることができる。
【0060】
図5は、駆動装置1のインバータハウジング部73の下方を拡大した斜視図であって、中間シャフト保持部材8を取り付けた状態を示す図である。なお、図5は、駆動装置1の、図1に見られるハーネス保護部材10の描画を省略している。
【0061】
前述のように、中間シャフト保持部材8は、モータハウジング部71の中間シャフトMs側の外面7111に取り付けられ、中間シャフトMsを回転可能に保持する。ワイヤーハーネス9の一部は、インバータハウジング部73の下面7311の近傍において、中間シャフト保持部材8の上方に面する外面に沿って配策される。また、ワイヤーハーネス9の一部は、モータハウジング部71の後方(-X方向側)の外面7111の近傍において、中間シャフト保持部材8の軸方向他方側(-Y方向側)に面する外面83に沿って配策される。
【0062】
すなわち、ワイヤーハーネス9は、中間シャフト保持部材8に沿って配策される。この構成によれば、ワイヤーハーネス9に対する中間シャフト保持部材8側からの他部材の接触を防止することができる。これにより、ワイヤーハーネス9を保護することが可能になる。
【0063】
ワイヤーハーネス9は、オイルポンプ4を駆動するための電力線及び信号線を含む。ワイヤーハーネス9のコネクタ92は、ポンプハウジング部76に接続され、ポンプハウジング部76の内部でオイルポンプ4に電気的に接続される。すなわち、ワイヤーハーネス9の他方側は、オイルポンプ4に電気的に接続される。この構成によれば、オイルポンプ4を駆動するためのワイヤーハーネス9が、駆動装置1のハウジング7の、モータシャフト22及び中間シャフトMsそれぞれの軸方向外側に突出しないようにすることができる。
【0064】
なお、ポンプハウジング部76は、インバータハウジング部73の下面7311の下方において当該下面7311と上下方向に対向し、且つインバータハウジング部73及びモータハウジング部71の軸方向(Y方向)の外縁部よりも内側に配置される。ポンプハウジング部76自体が、インバータハウジング部73及びモータハウジング部71よりも軸方向外側に突出しないので、オイルポンプを駆動するためのワイヤーハーネスが、ハウジング7よりも軸方向外側に突出しないようにする効果を高めることができる。
【0065】
図6は、駆動装置1のインバータハウジング部73の下方を拡大した斜視図であって、中間シャフト保持部材8及びハーネス保護部材10を取り付けた状態を示す図である。
【0066】
<10.ハーネス保護部材10>
ハーネス保護部材10は、中間シャフト保持部材8の近傍に配置される。ワイヤーハーネス9は、中間シャフト保持部材8の軸方向他方側(-Y方向側)に面する外面83に沿って配策される。ハーネス保護部材10は、ワイヤーハーネス9を隔てて中間シャフト保持部材8と軸方向(Y方向)に対向して配置される。
【0067】
ハーネス保護部材10は、ワイヤーハーネス9のコネクタ91、92間の中間領域に配置される。ハーネス保護部材10は、ワイヤーハーネス9の周囲の一部を覆って囲むハーネス収容部(図示略)を有する。すなわち、ハーネス保護部材10は、ワイヤーハーネス9の周囲の少なくとも一部を覆う。この構成によれば、ワイヤーハーネス9に対する他部材の接触を防止することができる。これにより、ワイヤーハーネス9を保護する効果を高めることが可能になる。
【0068】
ハーネス保護部材10は、固定ネジ101を有する。固定ネジ101は、中間シャフト保持部材8との間にハーネス保護部材10を挟み、軸方向(Y方向)に沿って中間シャフト保持部材8のネジ孔82に取り付けられる。これにより、ハーネス保護部材10は、中間シャフト保持部材8に固定される。この構成によれば、ハーネス保護部材10によって、ワイヤーハーネス9を中間シャフト保持部材8に対して所定位置に配置することができる。
【0069】
<11.変形例>
図7は、変形例の駆動装置1のインバータハウジング部73の下方を拡大した斜視図である。図8は、変形例の駆動装置1の中間シャフト保持部材11の上部を拡大した斜視図である。
【0070】
図7及び図8に示すように、変形例の駆動装置1は、中間シャフト保持部材11を有する。中間シャフト保持部材11は、モータハウジング部71の中間シャフトMs側の外面7111に取り付けられる。中間シャフト保持部材11は、モータハウジング部71の保持部材取付部712(図4参照)に対し、外部空間Sに向かって横方向(後方、-X方向)に突出する。
【0071】
中間シャフト保持部材11は、保持孔111と、円筒部112と、を有する。保持孔111は、中間シャフト保持部材11を軸方向(Y方向)に貫通する。保持孔111は、中間シャフト接続部33に取り付けられる中間シャフトMsが挿入される。円筒部112は、保持孔111の外周部に位置する。円筒部112は、軸方向(Y方向)に沿って延びる。
【0072】
中間シャフト保持部材11は、クリップ部113を有する。クリップ部113は、円筒部112の外周部の上部に配置される。本実施形態において、クリップ部113は、保持孔111に挿入される中間シャフトMsの中心軸(差動軸J5、図1参照)よりも上方に位置する。クリップ部113は、ワイヤーハーネス9を保持する。言い換えれば、ワイヤーハーネス9は、クリップ部113において中間シャフト保持部材11に固定される。
【0073】
この構成によれば、ワイヤーハーネス9を、中間シャフト保持部材11に直接固定することができる。したがって、ワイヤーハーネス9を固定するための部材を別途用意する必要がなく、部品点数の低減を図ることが可能である。
【0074】
クリップ部113は、インバータハウジング部73に接続される冷媒配管51の下方に位置する。この構成によれば、クリップ部113は、横方向(後方、-X方向)において、冷媒配管51よりも外側に突出しない。したがって、限られたスペースの中に、ワイヤーハーネス9を保持するクリップ部113を設けることができる。また、ワイヤーハーネス9の配策距離を短くすることが可能になる。
【0075】
図9は、変形例の駆動装置1の中間シャフト保持部材11の上部を拡大した斜視図であって、ワイヤーハーネス9を取り外した状態を示す図である。図10は、変形例の駆動装置1の中間シャフト保持部材11の上部を拡大した側面図である。図11は、変形例の駆動装置1の中間シャフト保持部材11の上部を拡大した背面図である。
【0076】
クリップ部113は、中間シャフト保持部材11の外縁部から外側に向かって突出する。クリップ部113は、上爪部1131と、下爪部1132と、凹部1133と、を有する。上爪部1131及び下爪部1132は、円筒部112の外周面に対し、横方向(後方、-X方向)の外側に突出する。上爪部1131及び下爪部1132は、上下方向(Z方向)に対向する。
【0077】
凹部1133は、上下方向において、上爪部1131と、下爪部1132との間に配置される。凹部1133は、上爪部1131及び下爪部1132の先端側(-X方向側)から根元側(+X方向側)に窪み、軸方向(Y方向)の両端部が開口する。
【0078】
ワイヤーハーネス9は、凹部1133に挿入され、固定される。ワイヤーハーネス9は、クリップ部113に固定されるとき、上爪部1131及び下爪部1132の先端側(-X方向側)から根元側(+X方向側)に向かって、凹部1133内に挿入される。クリップ部113に固定されたワイヤーハーネス9は、凹部1133において軸方向(Y方向)に延びる。
【0079】
この構成によれば、クリップ部113は、軸方向(Y方向)において、円筒部112の外側に突出しない。したがって、限られたスペースの中に、ワイヤーハーネス9を保持するクリップ部113を設けることができる。また、ワイヤーハーネス9を容易に固定することができる。
【0080】
なお、ワイヤーハーネス9の一部は、チューブ12によって被覆されている。チューブ12は、コネクタ91の近傍からコネクタ92の近傍まで延びる。ワイヤーハーネス9のチューブ12によって被覆された領域の一部が、凹部1133内に挿入される。
【0081】
凹部1133は、狭小部1133aを有する。狭小部1133aは、上爪部1131及び下爪部1132の先端から根元までの中間部に配置される。狭小部1133aの上下方向の間隔は、狭小部1133aに対して先端側及び根元側それぞれの間隔よりも狭くなっている。
【0082】
クリップ部113で保持されるワイヤーハーネス9の延伸方向(軸方向、Y方向)において、上爪部1131の長さは、下爪部1132の長さと異なる。詳細に言えば、本実施形態において、下爪部1132の軸方向(Y方向)の長さは、上爪部1131の軸方向の長さよりも長い。この構成によれば、ワイヤーハーネス9の、クリップ部113で保持された部分より外側の部分が、下方に移動し難くすることができる。したがって、ワイヤーハーネス9が中間シャフトMsに接触しないようにする効果を高めることが可能である。
【0083】
軸方向一方側(+Y方向側)において、下爪部1132の端部は、上爪部1131の端部とほぼ同じ位置である。軸方向他方側(-Y方向側)において、下爪部1132の端部は、上爪部1131の端部よりも-Y方向側に位置し、円筒部112の軸方向他方側(-Y方向側)の端面に隣接する。
【0084】
上爪部1131及び下爪部1132の軸方向(Y方向)の長さは、円筒部112の軸方向の長さよりも短い。本実施形態において、上爪部1131は、円筒部112の軸方向中央部に配置される。
【0085】
<12.その他>
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及び他の種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の駆動装置は、例えばハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)及び電気自動車(EV)の駆動装置として用いることができる。さらに、本発明の駆動装置は、車両用に限定されるわけではなく、例えば船舶や航空機などといった乗り物の駆動装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
1・・・駆動装置、2・・・モータ、3・・・ギヤ部、4・・・オイルポンプ、5・・・オイルクーラー、6・・・インバータ、7・・・ハウジング、8・・・中間シャフト保持部材、9・・・ワイヤーハーネス、10・・・ハーネス保護部材、11・・・中間シャフト保持部材、12・・・チューブ、21・・・ロータ、22・・・モータシャフト、23・・・ロータコア、25・・・ステータ、26・・・ステータコア、27・・・コイル、31・・・減速装置、32・・・差動装置、33・・・中間シャフト接続部、51・・・冷媒配管、71・・・モータハウジング部、72・・・ギヤハウジング部、73・・・インバータハウジング部、74・・・隔壁部、75・・・閉塞部、76・・・ポンプハウジング部、77・・・オイル配管、81・・・保持孔、82・・・ネジ孔、83・・・外面、91・・・コネクタ、92・・・コネクタ、101・・・固定ネジ、111・・・保持孔、112・・・円筒部、113・・・クリップ部、271・・・コイルエンド、311・・・第1ギヤ、312・・・第2ギヤ、313・・・第3ギヤ、314・・・ギヤシャフト、321・・・リングギヤ、711・・・周壁部、712・・・保持部材取付部、731・・・下壁部、741・・・隔壁開口、1131・・・上爪部、1132・・・下爪部、1133・・・凹部、1133a・・・狭小部、7111・・・外面、7311・・・下面、CL・・・オイル、CP・・・オイル流通経路、Ds1・・・第1ドライブシャフト、Ds2・・・第2ドライブシャフト、J2・・・モータ軸、J4・・・ギヤ軸、J5・・・差動軸、Ms・・・中間シャフト、S・・・外部空間、V・・・車両、W・・・車輪
図1
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