(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】投影システム
(51)【国際特許分類】
G02B 30/23 20200101AFI20240409BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20240409BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240409BHJP
H04N 13/334 20180101ALI20240409BHJP
H04N 13/363 20180101ALI20240409BHJP
【FI】
G02B30/23
F21S8/00
G03B21/00 D
H04N13/334
H04N13/363
(21)【出願番号】P 2020160243
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 伸基
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 裕之
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537742(JP,A)
【文献】特開2009-259458(JP,A)
【文献】特開平03-222204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281026(US,A1)
【文献】特表2015-513685(JP,A)
【文献】特開2012-053152(JP,A)
【文献】特開2012-147142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00-30/60
G03B 21/00,21/14
H04N 9/31
H04N 13/30-13/398
F21S 9/02,10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像用の第1画像光と、第2画像用の第2画像光とを
スクリーンに同時に投影する投影装置と、
使用者に装着され、前記投影装置によって投影された前記第1画像光を透過
し、前記第2画像光の透過率よりも前記第1画像光の透過率が高い第1目覆部と、前記投影装置によって投影された前記第2画像光を透過
し、前記第1画像光の透過率よりも前記第2画像光の透過率が高い第2目覆部と、を有する眼鏡型装置と、
可視光帯域であって第1目覆
部及び第2目覆
部の両方での透過率が
50%以下となる波長の光源光を
、前記スクリーンと異なる方向に照射して、前記スクリーンに投影される画像とは関連しない情報を表示する光源部と、
を備える、
投影システム。
【請求項2】
前記第1目覆部及び前記第2目覆部は、光の透過率が波長に応じて異なり、かつ、透過率がピークとなる波長であるピーク波長が互いに異なり、
前記光源部は、前記第1目覆部のピーク波長と、前記第2目覆部のピーク波長との間の波長の光を、前記光源光として照射する、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記光源部は、前記第1目覆部及び前記第2目覆部の両方での透過率が
50%以下となる複数の波長の光を、前記光源光として照射する、
請求項1又は請求項2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記光源部は、前記投影装置の
投影状態か非投影状態かの投影状況に合わせて、照射する光の波長を異ならせる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項5】
前記光源部は、前記投影装置が投影状態である場合に、前記光源光を照射し、前記投影装置が非投影状態である場合に、前記光源光よりも、前記第1目覆部及び前記第2目覆部の両方での透過率が高い波長の光である副光源光を
、前記スクリーンと異なる方向に照射する、
請求項4に記載の投影システム。
【請求項6】
当該投影システムが設けられる施設の緊急事態を検出するセンサを備え、
前記光源部は、前記センサが緊急事態を検出すると、照射する光を、前記光源光から、前記光源光よりも前記第1目覆部及び前記第2目覆部の両方での透過率が高い波長の光である副光源光に切り替える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項7】
前記光源部は、複数設けられ、
複数設けられた前記光源部は、前記第1画像光及び前記第2画像光が投影される投影スクリーンから離れて配置されるほど、前記光源光の波長帯の数を多くし、前記投影スクリーンに近づいて配置されるほど前記光源光の波長帯の数を少なくする、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
映画館などの施設で誘導灯などの光源部を備える技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、投影装置と光源部とを備え、光源部の光の波長が周辺視野で目立ち難い第1波長光と周辺視野で目立ち易い第2波長光とに切り替え可能であり、緊急事態では光源部の光の波長が第2波長光に切り替わることで、光源部が施設内で目立つ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、映画館などの施設では、3Dの立体画像などを視聴するために眼鏡型装置を使用する場合がある。光源部は、投影装置の投影時にも眼鏡型装置を使用している使用者に確認されることが望ましい。しかし、光源部の光が目立つと、使用者が、投影される画像を視認し難くなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、投影される画像が視認され難くなることを抑制できる投影システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る投影システムは、第1画像用の第1画像光と、第2画像用の第2画像光とを同時に投影する投影装置と、使用者に装着され、前記投影装置によって投影された前記第1画像光を透過する第1目覆部と、前記投影装置によって投影された前記第2画像光を透過する第2目覆部と、を有する眼鏡型装置と、可視光帯域であって前記第1目覆部及び前記第2目覆部の両方での透過率が所定値以下となる波長の光源光を照射する光源部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、投影される画像が視認され難くなることを抑制できるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る投影システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1目覆部の光の透過率特性の一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、第2目覆部の光の透過率特性の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、第1目覆部及び第2目覆部の光の透過率特性及び光源光の波長の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、第1目覆部及び第2目覆部の光の透過率特性及び光源光の波長の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る投影システムの実施形態が詳細に説明されている。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
<投影システム10>
図1は、実施形態に係る投影システムを示す概略図である。
図1に示す投影システム10は、画像を投影するシステムであり、例えば立体画像を表現するために用いられている。投影システム10は、映画館などの施設に配置されている。投影システム10の配置された施設は、複数の使用者の各々が着席する図示しない複数の座席を備える。なお、投影システム10が配置される施設は、映画館に限られず、任意の施設であってよい。
【0012】
投影システム10は、投影装置11と、投影スクリーン16と、眼鏡型装置20と、光源部25a~25fと、を備える。
【0013】
<投影装置>
投影装置11は、可視光帯の波長の光を投影スクリーン16に投影することで画像を表示するプロジェクタである。投影スクリーン16は、投影装置11からの光を投影可能なものであれば、任意の構造、形状であってよい。実施形態では、投影装置11は、第1画像用の第1画像光14を照射する映写部12と、第2画像用の第2画像光15を照射する映写部13とを備える。投影装置11は、映写部12、13から、投影スクリーン16に向けて第1画像用の第1画像光14と第2画像用の第2画像光15を照射し、投影スクリーン16に第1画像光14と第2画像光15とを同時に投影する。第1画像光14は、使用者の一方の目に視認される第1画像を表示させるための光である。第2画像光15は、使用者の他方の目に視認される第2画像を表示させるための光である。第1画像光14と第2画像光15とは、可視光帯域の波長の光であり、互いの波長が異なっていることが好ましい。なお、可視光帯域とは、可視光の波長の範囲を指し、例えば、360nm以上830nm以下の波長帯を指してよい。
【0014】
より詳しくは、投影装置11は、投影スクリーン16上で投影される第1画像光14の像(第1画像)と第2画像光15の像(第2画像)との縁部が一致するように、第1画像光14及び第2画像光15を照射する。投影スクリーン16上に投影された第1画像と第2画像との2つの画像の画角の違いは、使用者の視覚的な視差に対応している。第1画像と第2画像とは、使用者が眼鏡型装置20を使用した場合の左右の両目の各々に関連付けられている。
【0015】
<眼鏡型装置>
眼鏡型装置20は、使用者に装着され、投影装置11によって投影された光の少なくとも一部を透過する目覆部を有する器具である。より詳しくは、眼鏡型装置20は、第1目覆部21と第2目覆部22とを有する。第1目覆部21は、眼鏡型装置20が使用者に装着された際に、使用者の一方の目(
図1の例では右目)に対応する位置に配置される透光性の部材である。第1目覆部21は、投影装置11によって投影された第1画像光14に含まれる少なくとも一部の波長の光を透過する。第2目覆部22は、眼鏡型装置20が使用者に装着された際に、使用者の他方の目(
図1の例では左目)に対応する位置に配置される透光性の部材である。第2目覆部22は、投影装置11によって投影された第2画像光15に含まれる少なくとも一部の波長の光を透過する。なお、投影装置11によって投影された第1画像光14とは、投影装置11から照射されて投影スクリーン16で反射された第1画像光14であるとも言え、投影装置11によって投影された第2画像光15とは、投影装置11から照射されて投影スクリーン16で反射された第2画像光15であるとも言える。投影装置11によって投影された第1画像光14は、第1目覆部21を透過して使用者の一方の目に入射し、投影装置11によって投影された第2画像光15は、第2目覆部22を透過して使用者の他方の目に入射する。これにより、使用者には、第1画像光14の像(第1画像)と第2画像光15の像(第2画像)とが、合成された立体画像として視認される。なお、眼鏡型装置20は、通常の矯正眼鏡の上にも装着できる大きさであるとよい。
【0016】
図2は、第1目覆部21の光の透過率特性の一例を示すグラフである。
図2の横軸は光の波長であり、縦軸は第1目覆部21の透過率である。すなわち、
図2は、波長毎の、第1目覆部21の光の透過率の一例を示している。第1目覆部21は、可視光帯域において、波長毎に光の透過率が異なるような光学フィルタ特性を有している。より詳しくは、第1目覆部21は、所定のピーク波長において透過率がピーク(極大値)となるような光学フィルタ特性を有している。さらに言えば、第1目覆部21は、透過率がピークとなるピーク波長が複数存在するような光学フィルタ特性を有している。実施形態においては、第1目覆部21は、波長毎の光の透過率が曲線31となるような、光学フィルタ特性を有している。曲線31に示すように、第1目覆部21は、光の波長がピーク波長W1a、ピーク波長W1b、ピーク波長W1cである場合に、透過率がピーク(極大値)となるような光学フィルタ特性になっている。ピーク波長W1a、ピーク波長W1b、ピーク波長W1cは、この順で波長が長くなっており、ピーク波長W1aが例えば青色の光の波長に相当し、ピーク波長W1bが例えば緑色の光の波長に対応し、ピーク波長W1cが例えば赤色の光の波長に対応する。ピーク波長W1aが約475nmであり、ピーク波長W1bが約560nmであり、ピーク波長W1cが約620nmとなっているが、ピーク波長W1a、W1b、W1cの値はそれに限られない。また、第1目覆部21の光学フィルタ特性は、曲線31に示すものに限られず、例えば、第1目覆部21のピーク波長の数は3つに限られない。第1目覆部21は、ピーク波長が複数となるような光学フィルタ特性であることが好ましい。以下、第1目覆部21でのピーク波長を、適宜、ピーク波長W1と記載する。
【0017】
図3は、第2目覆部の光の透過率特性の一例を示すグラフである。
図3の横軸は光の波長であり、縦軸は第2目覆部22の透過率である。すなわち、
図3は、波長毎の、第2目覆部22の光の透過率の一例を示している。第2目覆部22は、可視光帯域において、波長毎に光の透過率が異なるような光学フィルタ特性を有している。より詳しくは、第2目覆部22は、所定のピーク波長において透過率がピーク(極大値)となるような光学フィルタ特性を有している。さらに言えば、第2目覆部22は、透過率がピーク(極大値)となるピーク波長が複数存在するような光学フィルタ特性を有している。実施形態においては、第2目覆部22は、波長毎の光の透過率が曲線32となるような、光学フィルタ特性を有している。曲線32に示すように、第2目覆部22は、光の波長がピーク波長W2a、ピーク波長W2b、ピーク波長W2c、ピーク波長W2dである場合に、透過率がピーク(極大値)となるような光学フィルタ特性になっている。ピーク波長W2a、ピーク波長W2b、ピーク波長W2c、ピーク波長W2dは、この順で波長が長くなっており、ピーク波長W2aが例えば青色の光の波長に相当し、ピーク波長W2b、W2cが例えば緑色の光の波長に対応し、ピーク波長W2dが例えば赤色の光の波長に対応する。例えば、ピーク波長W2aが約425nmであり、ピーク波長W2bが約510nmであり、ピーク波長W2cが約590nmであり、ピーク波長W2dが約650nmとなっているが、ピーク波長W2a、W2b、W2c、W2dの値はそれに限られない。また、第2目覆部22の光学フィルタ特性は、曲線32に示すものに限られず、例えば、第2目覆部22のピーク波長の数は4つに限られない。第2目覆部22は、ピーク波長が複数となるような光学フィルタ特性であることが好ましい。以下、第2目覆部22でのピーク波長を、適宜、ピーク波長W2と記載する。
【0018】
さらに言えば、第2目覆部22の波長毎の透過率は、第1目覆部21の波長毎の透過率と異なるように設定されている。実施形態では、第2目覆部22のピーク波長W2は、第1目覆部21のピーク波長W1と異なるように、設定されている。すなわち、第1目覆部21と第2目覆部22とは、互いのピーク波長が異なるように(ずれるように)、それぞれの光学フィルタ特性が設定されている。
【0019】
このように、第1目覆部21と第2目覆部22とは、波長毎の透過率が互いに異なるように設定されている。また、第1画像光14及び第2画像光15の波長は、第1目覆部21及び第2目覆部22の波長毎の透過率(光学フィルタ特性)に基づいて設定されている。すなわち、第1画像光14及び第2画像光15の波長は、投影装置11によって投影された第1画像光14が第1目覆部21を透過して使用者の一方の目に入射し、投影装置11によって投影された第2画像光15が第2目覆部22を透過して使用者の他方の目に入射した場合に、使用者に立体画像として視認されるような波長に設定されている。
【0020】
<光源部>
図1に示す光源部25a~25fは、投影装置11からの光(ここでは第1画像光14及び第2画像光15)とは異なる波長の光源光Laを照射する光源である。光源部25a~25fは、映写部12、13が第1画像光14及び第2画像光15を照射している最中に、光源光Laを照射する。光源部25a~25fは、任意の構成であってよいが、例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子によって構成されている。光源部25a~25fは、投影システム10が設置されている施設において、投影スクリーン16以外に、すなわち投影スクリーン16と重ならない位置に、配置されている。実施形態では、光源部25a~25fは、投影スクリーン16に投影される画像と関連しない情報を、施設内の人に伝達する用途に用いられる。例えば、光源部25a~25fは、通路の曲がり角や出入り口を案内する誘導灯などに用いられる。なお、
図1の例では、光源部が6個設けられているが、光源部の数は任意であり、1つでもよいし複数でもよい。以下、光源部25a~25fを区別しない場合は、適宜、光源部25と記載する。
【0021】
図4は、第1目覆部21及び第2目覆部22の光の透過率特性及び光源光の波長の一例を示すグラフである。
図4の横軸は、光の波長であり、縦軸は、光の透過率である。また、上述のように、曲線31は、第1目覆部21の波長毎の透過率であり、曲線32は、第2目覆部22の波長毎の透過率である。
【0022】
光源部25は、
図4に示す境界波長帯Wの範囲内の波長の光源光Laを照射する。光源部25は、境界波長帯Wの範囲内の単波長の光を光源光Laとして照射してもよいし、境界波長帯Wの範囲内の複数波長の光を、光源光Laとして照射してもよい。境界波長帯Wは、可視光帯域の波長帯である。また、境界波長帯Wは、境界波長帯Wの範囲内の波長の光の、第1目覆部21及び第2目覆部22での透過率が、所定値S以下となるような、波長帯である。すなわち、光源部25は、可視光帯域であり第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が所定値S以下となる波長の、光源光Laを照射するといえる。なお、所定値Sは、任意の値であってよいが、例えば、0%以上50%以下であってよい。このように、光源光Laは、第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が所定値S以下であるため、光源部25からの光源光Laは、第1目覆部21及び第2目覆部22で少なくとも一部が遮断されて、眼鏡型装置20を着用している使用者の目に到達しにくい。
【0023】
また、境界波長帯Wは、境界波長帯Wの光の第1目覆部21での透過率が、第1画像光14の第1目覆部21での透過率よりも低くなり、かつ、境界波長帯Wの光の第2目覆部22での透過率が、第2画像光15の第2目覆部22での透過率よりも低くなるように、設定されている。従って、光源部25からの光源光Laは、投影装置11からの光よりも、眼鏡型装置20を着用している使用者の目に到達しにくい。
【0024】
また、
図4に示すように、境界波長帯Wは、第1目覆部21のピーク波長W1と、第2目覆部23のピーク波長W2との間の波長帯となることが好ましい。すなわち、光源部25は、ピーク波長W1とピーク波長W2との間の波長の光を、光源光Laとして照射するといえる。さらに言えば、境界波長帯Wは、
図4の横軸において隣り合うピーク波長W1とピーク波長W2との、間の波長帯となることが好ましい。
図4の横軸において隣り合うピーク波長W1とピーク波長W2とは、そのピーク波長W1とピーク波長W2との間に、他のピーク波長が存在しないことを指す。すなわち例えば、
図4では、ピーク波長W2bとピーク波長W1bとの間に、他のピーク波長は存在しないため、ピーク波長W2bとピーク波長W1bは、
図4の横軸において隣り合っているといえる。なお、
図4の例では、境界波長帯Wは、ピーク波長W2bとピーク波長W1bとの間に位置しており、例えば緑色の波長となるが、
図4に示した境界波長帯Wは、一例であり、
図6の例に限られない。例えば、境界波長帯Wは、ピーク波長W2aとピーク波長W1aとの間や、ピーク波長W1aとピーク波長W2bとの間や、ピーク波長W1bとピーク波長W2cとの間や、ピーク波長W2cとピーク波長W1cとの間や、ピーク波長W1cとピーク波長W2dとの間の波長帯であってもよい。
【0025】
図5は、第1目覆部21及び第2目覆部22の光の透過率特性及び光源光の波長の一例を示すグラフである。
図4の例では、境界波長帯Wは1つであったが、
図5に示すように、境界波長帯Wが複数設定されていてもよい。この場合、光源部25は、例えば、それぞれの境界波長帯Wの範囲内の波長の光を、光源光Laとして照射してもよい。
図5の例では、境界波長帯Wとして、境界波長帯Wa~Wfが設定されている。この場合、光源光Laは、境界波長帯Waの範囲内の波長の光と、境界波長帯Wbの範囲内の波長の光と、境界波長帯Wcの範囲内の波長の光と、境界波長帯Wdの範囲内の波長の光と、境界波長帯Weの範囲内の波長の光と、境界波長帯Wfの範囲内の波長の光とを含んでもよい。なお、境界波長帯Waは、ピーク波長W2aとピーク波長W1aとの間の波長帯であり、境界波長帯Wbは、ピーク波長W1aとピーク波長W2bとの間の波長帯であり、境界波長帯Wcは、ピーク波長W2bとピーク波長W1bとの間の波長帯であり、境界波長帯Wdは、ピーク波長W1bとピーク波長W2cとの間の波長帯であり、境界波長帯Weは、ピーク波長W2cとピーク波長W1cとの間の波長帯であり、境界波長帯Wfは、ピーク波長W1cとピーク波長W2dとの間の波長帯である。すなわち、それぞれの境界波長帯Wa~Wfの間には、少なくとも1つのピーク波長が存在しているといえる。言い換えれば、境界波長帯W同士は、所定の値(波長)以上離れており、境界波長帯W同士の間には、少なくとも1つのピーク波長が存在しているといえる。なお、
図5に示す境界波長帯Wの数や、境界波長帯Wの範囲は、一例である。
【0026】
このように、実施形態に係る光源部25は、第1目覆部21及び第2目覆部22での透過率が所定値S以下となる、境界波長帯Wの範囲内の波長の光源光Laを照射する。従って、眼鏡型装置20を装着した使用者が、映写部12、13から投影された光による画像を視認している際には、光源部25からの光源光Laが、第1目覆部21及び第2目覆部22を透過し難くなり、使用者の目に到達し難い。そのため、投影される画像が使用者に視認され難くなることを抑制できる。また、例えば使用者が施設から出るために誘導灯を確認する場合など、映写部12、13による画像の投影中においても、光源部25からの光源光Laを使用者に視認させる必要がある場合も想定される。このような場合には、使用者は眼鏡型装置20を外すため、光源光Laが遮断されることがなくなり、使用者は、光源光Laを適切に視認することができる。このように、実施形態の投影システム10によると、例えば状況に応じて光源光Laの波長や強度を切り替えることなく、投影される画像が視認され難くなることを抑制しつつ、必要な際には光源光Laを適切に視認させることができる。
【0027】
なお、光源部25が複数設けられている場合には、光源部25が設けられている場所に応じて、光源部25毎に、光源光Laの波長を異ならせてもよい。この場合例えば、光源光Laの波長帯として使用する境界波長帯Wを、光源部25毎に異ならせてもよい。なお、光源光Laの波長帯として使用する境界波長帯Wとは、光源光Laの波長を範囲に含む境界波長帯Wを指す。例えば、投影スクリーン16から離れて配置されている光源部25ほど、光源光Laの波長帯として使用する境界波長帯Wの数を多くし、投影スクリーン16に近づいて配置されている光源部25ほど、光源光Laの波長帯として使用する境界波長帯Wの数を少なくしてもよい。使用する境界波長帯Wの数が多くなると、光源光Laの色が白色に近づき、使用者に対して目立ちやすくなる。そのため、投影スクリーン16の近くの光源部25の境界波長帯Wの数を少なくすることで、投影される画像への影響を少なくして、投影される画像が視認され難くなることを抑制できる。また、投影スクリーン16から離れるほど、光源部25による投影画像への影響が少なくなるため、投影スクリーン16から離れた光源部25の境界波長帯Wの数を多くすることで、投影画像への影響を少なくしつつ、光源光Laを適切に視認させることができる。なお、通常、施設の出入口は、投影スクリーン16から離れて配置されているため、投影スクリーン16から離れて配置されている光源部25とは、施設の出入口の近くに配置されている光源部25であるともいえる。
【0028】
また例えば、投影スクリーン16から離れて配置されている光源部25ほど、光源光Laの波長を、緑色の光の波長帯に近づけてもよいし、投影スクリーン16に近づいて配置されている光源部25ほど、光源光Laの波長を、青色の光の波長帯に近づけてもよい。緑色の光は使用者に視認されやすく、青色の光は使用者に視認され難いため、同様の効果を奏することができる。なお、緑色の光の波長帯は、例えば、495nm以上570nm未満であり、青色の光の波長帯は、例えば、450nm以上495nm未満である。
【0029】
(波長の切り替え)
光源部25は、光源光Laの波長を変化させてもよい。例えば、光源部25は、光源光Laの波長を、1つの境界波長帯Wの範囲内で切り替えてもよい。また、光源部25は、光源光Laの波長帯として使用する境界波長帯Wを切り替えてもよいし、光源光Laの波長帯として使用する境界波長帯Wの数を、変化させてもよい。すなわち例えば、光源部25は、光源光Laを、境界波長帯Waの範囲内の波長の光から、境界波長帯Wbの範囲内の波長の光に切り替えてもよいし、境界波長帯Waの範囲内の波長の光から、境界波長帯Waの範囲内の波長の光及び境界波長帯Wbの範囲内の波長の光を含む光に切り替えてもよい。
【0030】
このように光源光Laの波長を切り替える場合、
図1に示すように、光源部25の波長を制御する制御部25Xが設けられていることが好ましい。制御部25Xは、実施形態では演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)であるが、それに限られず、例えば回路であってもよい。また、
図1の例では、光源部25毎に制御部25Xが設けられているが、それに限られず、制御部25Xは、複数の光源部25を制御するものであってよい。また、光源部25には、発光する波長の異なる複数の発光素子が設けられていてもよいし、発光素子の発光する波長を異ならせる半導体部品が設けられていてもよい。そして、制御部25Xは、発光させる発光素子を切り替えたり、半導体部品を制御したりすることで、光源部25の波長を変化させてよい。
【0031】
以上の説明では、光源部25は、境界波長帯Wの範囲内の波長の光源光Laを照射しており、波長を切り替える場合でも境界波長帯Wの範囲内で行われていた。ただし、光源部25は、光源光Laから、境界波長帯Wの範囲外の波長の副光源光Lbに切り替えてもよい。副光源光Lbは、光源光Laよりも、第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が高い波長の光であるともいえる。従って、副光源光Lbは、光源光Laよりも、眼鏡型装置20を装着している視認者に視認されやすい。以下、副光源光Lbに切り替える例を説明する。
【0032】
一例として、光源部25は、投影装置11の投影状況に応じて、照射する光の波長を異ならせてよい。具体的には、光源部25は、投影装置11の投影状況に応じて、照射する光を、光源光Laと副光源光Lbとで切り替える。光源部25は、投影装置11が投影状態である場合には、すなわち、投影装置11が第1画像光14及び第2画像光15を照射している最中には、光源光Laを照射する。一方、光源部25は、投影装置11が非投影状態である場合には、すなわち、投影装置11が第1画像光14及び第2画像光15を照射していない最中には、副光源光Lbを照射する。この場合例えば、制御部25Xは、投影装置11の投影状況を示す情報を取得してよい。そして、制御部25Xは、投影装置11が投影状態である旨の情報を取得したら、光源部25に光源光Laを照射させ、投影装置11が非投影状態である旨の情報を取得したら、光源部25に副光源光Lbを照射させる。
【0033】
投影装置11が画像を投影していない際には、光源部25からの光を目立たせなくする必要性が低くなる。そのため、投影装置11が画像を投影している際に、眼鏡型装置20を装着した使用者に目立ち難い光源光Laを照射させ、投影装置11が画像を投影していない際には、副光源光Lbを照射させることで、投影状況に応じて適切に光源部25を作動させることができる。
【0034】
他の例として、光源部25は、投影システム10が設けられる施設がおかれている状況に応じて、照射する光の波長を異ならせてよい。この場合、投影システム10には、投影システム10が設けられる施設の状況を検出するセンサ26が備えられていることが好ましい。実施形態では、センサ26は、施設の緊急事態を検出する。緊急事態とは、例えば火事や地震などであってよい。光源部25は、センサ26が緊急事態を検出していない場合には、すなわち緊急事態でない場合には、光源光Laを照射する。一方、光源部25は、センサ26が緊急事態を検出したら、光源光Laから副光源光Lbに切り替える。なお、光源部25は、センサ26が緊急事態を検出した場合には、投影装置11が投影状態である場合にも、副光源光Lbに切り替える。
【0035】
施設に緊急事態が生じた場合には、使用者は、光源部25からの光を視認したいにもかかわらず、眼鏡型装置20を外すことを忘れる場合も想定される。この場合、使用者は、光源部25からの光を視認できないおそれがある。それに対して、投影システム10は、緊急事態に副光源光Lbに切り替えることで、眼鏡型装置20を外していない場合にも、光源部25からの光を使用者に視認させることが可能となる。
【0036】
<効果>
上述したように、実施形態によれば、光源部25a~25fは、可視光帯域であって第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が所定値S以下となる波長の光源光Laを照射する。この構成であると、境界波長帯Wで照射する光源部25a~25fの光源光Laは、第1目覆部21及び第2目覆部22から透過し難く、使用者の周辺視野からの余計な光として投影装置11によって投影される画像に悪影響を及び難く、目立たない。したがって、投影される画像が視認され難くなることを抑制できる。また、例えば使用者が施設から出るために誘導灯を確認する場合など、映写部12、13による画像の投影中においても、光源部25からの光源光Laを使用者に視認させる必要がある場合も想定される。このような場合には、使用者は眼鏡型装置20を外すため、光源光Laが遮断されることがなくなり、使用者は、光源光Laを適切に視認することができる。
【0037】
実施形態によれば、第1目覆部21及び第2目覆部22は、光の透過率が波長に応じて異なり、かつ、透過率がピークとなる波長であるピーク波長W1、W2が互いに異なる。光源部25a~25fは、第1目覆部21のピーク波長W1と、第2目覆部22のピーク波長W2との間において互いが隣接する波長の光を、光源光Laとして照射する。この構成であると、境界波長帯Wで照射する光源部25a~25fの光源光Laは、第1目覆部21及び第2目覆部22から透過し難く、使用者の周辺視野からの余計な光として投影装置11によって投影される画像に悪影響を及ぼし難く、目立たない。したがって、投影される画像が視認され難くなることを抑制できる。
【0038】
実施形態によれば、光源部25a~25fは、第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が所定値S以下となる複数の波長の光を、光源光Laとして照射する。すなわち、光源部25a~25fは、境界波長帯Wを同時に光できる。この構成であると、光源部25a~25fが可視光帯域内の種々の境界波長帯Wを照射できる。これにより、使用者が可視光帯域内の一部の境界波長帯Wを視認でき難い場合でも、使用者が他の境界波長帯Wを視認できる。それにより、緊急時に使用者が光源部25a~25fを確実に認識できる。
【0039】
なお、実施形態によれば、光源部25a~25fは、複数の境界波長帯Wのうち少なくとも一つを照射してよい。この構成であると、複数の境界波長帯Wのうち少なくとも一つで照射する光源部25a~25fの光源光Laは、帯域数を低減した境界波長帯Wを用いて使用者の周辺視野からの余計な光として投影装置11によって投影される画像に悪影響をより及ぼし難く、より目立たない。
【0040】
実施形態によれば、光源部25a~25fは、投影装置11の投影状況に合わせて、照射する光の波長を異ならせられる。これにより、光源部25a~25fの光源光Laは、例えば投影装置11の投影状態では、非投影状態よりも光の波長を投影される画像に悪影響を及ぼし難くできる。また、光源部25a~25fの光源光Laは、例えば投影装置11の投影状態が暗いほど、光の波長を減少させて投影される画像に悪影響を及ぼし難くできる。
【0041】
すなわち、実施形態によれば、光源部25a~25fは、投影装置11の投影状態と非投影状態とで光の波長を異ならせて照射できる。この構成であると、光源部25a~25fの光源光Laは、例えば投影装置11の投影状態では、非投影状態よりも光の波長を投影される画像に悪影響を及ぼし難くできる。
【0042】
なお、実施形態によれば、光源部25a~25fは、投影装置11が投影状態である場合に、光源光33を照射し、投影装置11が非投影状態である場合に、光源光33よりも、第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が高い波長の光である副光源光Lbを照射できる。この構成であると、光源部25a~25fが投影装置11の非投影状態で使用者に認識され易い。
【0043】
実施形態によれば、光源部25a~25fは、センサ26が緊急事態を検出すると、照射する光を、光源光Laから、光源光Laよりも第1目覆部21及び第2目覆部22の両方での透過率が高い波長の光である副光源光Lbに切り替えられる。この構成であると、光源部25a~25fは、センサ26の緊急事態の検出に合わせて光を切り替えられる。そして、眼鏡型装置を装着していても副光源光Lbが目立つので、光源部25a~25fは、センサ26が緊急事態を検出した投影装置11の非投影状態に、使用者が眼鏡型装置を外し忘れた場合にも、使用者に認識され易い。
【0044】
なお、実施形態によれば、光源部25a~25fは、複数の境界波長帯Wのうち投影装置11の非投影状態では全てを同時に照射し、投影装置11の投影状態では一部の波長域を照射してよい。この構成であると、可視光帯域内の全ての境界波長帯Wでの光が白色に近くなって目立つので、光源部25a~25fが投影装置11の非投影状態で使用者に認識され易い。
【0045】
また、実施形態によれば、光源部25a~25fは、投影装置11の投影状態では低波長域を照射してよい。この構成であると、低波長域が青みを帯びて目立ち難いので、光源部25a~25fの光源光Laが投影時に使用者の周辺視野からの余計な光として投影装置11によって投影される画像に悪影響をより及ぼし難く、投影時により目立たない。
【0046】
実施形態によれば、複数設けられた光源部25a~25fは、第1画像光14及び第2画像光15が投影される投影スクリーン16から離れて配置されるほど、光源光33の波長帯の数を多くし、投影スクリーン16に近づいて配置されるほど光源光33の波長帯の数を少なくできる。この構成であると、投影スクリーン16に近づくほど、光源部25a~25fの光源光Laが目立たないので、施設内で眼鏡型装置20を使用する多数の使用者にとって、光源部25a~25fの光が投影時に特に投影スクリーン16近傍でより目立たない。
【0047】
[その他]
【0048】
投影システム10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、投影システム10を動作させる方法、又は、メモリにロードされ、投影システム10を動作させるコンピュータが実行するプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェア又はソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとハードウェアとして説明した。しかし、ハードウェアに搭載された機能ブロックは、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0049】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるものや、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は、適宜組み合わせ可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 投影システム
11 投影装置
12 映写部
13 映写部
14 第1画像光
15 第2画像光
16 投影スクリーン
20 眼鏡型装置
21 第1目覆部
22 第2目覆部
25a~25f 光源部
25X 制御部
26 センサ
31 曲線
32 曲線