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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/36 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H01H50/36 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020163506
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055840
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-039849(JP,A)
【文献】実開平04-096944(JP,U)
【文献】実開昭52-062844(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108022799(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0234903(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H45/00-45/14
H01H50/00-50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動鉄片と、
コイルと、前記コイルの内側に配置された固定鉄心とを含み、電磁力によって前記可動鉄片を動作させる駆動部と、
前記可動鉄片が連結される連結部を含み、前記固定鉄心に接触して配置されるとともに前記固定鉄心に位置規制され、前記可動鉄片を前記固定鉄心から離れる方向に付勢するヒンジバネと、
を備え、
前記ヒンジバネは、前記固定鉄心の外周面に嵌合する嵌合部をさらに含み、
前記駆動部は、スプールをさらに含み、
前記スプールは、前記固定鉄心が挿入される挿入孔が形成され前記コイルが巻き付けられるボビンを含み、
前記固定鉄心は、前記挿入孔に挿入される本体部と、前記挿入孔の径よりも大径であり前記本体部の端部に形成された鍔部とを含み、
前記ヒンジバネの前記嵌合部は、前記スプールの前記ボビンと前記固定鉄心の前記鍔部とに挟まれている、
磁継電器。
【請求項2】
可動鉄片と、
コイルと、前記コイルの内側に配置された固定鉄心とを含み、電磁力によって前記可動鉄片を動作させる駆動部と、
前記可動鉄片が連結される連結部を含み、前記固定鉄心に接触して配置されるとともに前記固定鉄心に位置規制され、前記可動鉄片を前記固定鉄心から離れる方向に付勢するヒンジバネと、
を備え、
前記駆動部は、スプールをさらに含み、
前記スプールは、前記固定鉄心が挿入される挿入孔が形成され前記コイルが巻き付けられるボビンを含み、
前記固定鉄心は、前記挿入孔に挿入される本体部と、前記本体部の外周面に形成された係合部とを含み、
前記ヒンジバネは、前記挿入孔の内側に配置され前記係合部に係合する被係合部をさらに含む、
磁継電器。
【請求項3】
前記ヒンジバネの前記被係合部は、前記固定鉄心の前記本体部の外周面を囲むように形成されている、
請求項に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記ヒンジバネの前記被係合部は、前記スプールの前記ボビンと前記固定鉄心の前記本体部とに挟まれている、
請求項又はに記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記ヒンジバネの前記連結部は、前記可動鉄片が差し込まれる差し込み孔を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記ヒンジバネの前記連結部は、前記可動鉄片の一部が通される連結孔を含み、
前記可動鉄片は、前記連結孔に引っ掛けられる引っ掛け部を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記ヒンジバネの前記連結部及び前記可動鉄片のいずれか一方は、圧入突起を含み、
前記ヒンジバネの前記連結部及び前記可動鉄片のいずれか他方は、前記圧入突起が圧入される凹部を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記可動鉄片は、前記電磁力によって移動するときに前記固定鉄心又は前記連結部を支点に回動する、
請求項1からのいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記駆動部は、前記固定鉄心に連結されるとともに、前記コイルの少なくとも一部を囲むヨークをさらに含み、
前記ヨークは、前記電磁力によって前記可動鉄片を吸着する吸着面を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒンジバネを備えたヒンジ型の電磁継電器において、コイルのスペースを確保するためにヒンジバネをスプールに固定した電磁継電器が知られている(特許文献1参照)。ヒンジバネには、可動鉄片が連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-125200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電磁継電器のように、スプール或いはベースなどの磁性材以外の材料からなる周辺部品でヒンジバネを固定する場合、環境による寸法変化や組み合わせ公差の影響を受けるため、ヒンジバネを精度よく位置決めすることが難しい。その結果、ヒンジバネに連結される可動鉄片を精度よく位置決めすることが難しく、可動鉄片が吸着される吸着面に対して可動鉄片を正確に位置決めすることが難しい。
【0005】
本発明の課題は、電磁継電器において、ヒンジバネに連結される可動鉄片の位置決め精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、可動鉄片と、駆動部と、ヒンジバネとを備える。駆動部は、コイルと、コイルの内側に配置された固定鉄心とを含む。駆動部は、電磁力によって可動鉄片を移動させる。ヒンジバネは、可動鉄片が連結される連結部を含む。ヒンジバネは、固定鉄心に接触して配置されるとともに固定鉄心に位置規制される。ヒンジバネは、可動鉄片を固定鉄心から離れる方向に付勢する。
【0007】
この電磁継電器では、ヒンジバネが磁性体である固定鉄心によって位置規制される。このため、ヒンジバネをスプールやベースなどで固定する場合に比べて、環境による寸法変化や組み合わせ公差の影響を受けにくいので、ヒンジバネを精度よく位置決めすることができる。その結果、ヒンジバネに連結される可動鉄片の位置決め精度の向上を図ることができる。これにより、可動鉄片が吸着される吸着面に対する可動鉄片の位置決め精度の向上を図ることができる。
【0008】
ヒンジバネは、固定鉄心の外周面に嵌合する嵌合部をさらに含んでもよい。この場合は、固定鉄心によってヒンジバネを簡単な構成で位置規制できる。
【0009】
駆動部は、スプールをさらに含んでもよい。スプールは、固定鉄心が挿入される挿入孔が形成されコイルが巻き付けられるボビンを含んでもよい。固定鉄心は、挿入孔に挿入される本体部と、挿入孔の径よりも大径であり本体部の端部に形成された鍔部とを含んでもよい。ヒンジバネの嵌合部は、スプールのボビンと固定鉄心の鍔部とに挟まれてもよい。この場合は、スプールと固定鉄心とによってもヒンジバネを位置規制できる。
【0010】
駆動部は、スプールをさらに含んでもよい。スプールは、固定鉄心が挿入される孔が形成されコイルが巻き付けられるボビンを含んでもよい。固定鉄心は、挿入孔に挿入される本体部と、本体部の外周面に形成された係合部とを含んでもよい。ヒンジバネは、挿入孔の内側に配置され係合部に係合する被係合部をさらに含んでもよい。この場合は、固定鉄心によってヒンジバネを位置規制できるとともに、ヒンジバネをボビンの挿入孔から抜け止めできる。
【0011】
ヒンジバネの被係合部は、固定鉄心の本体部の外周面を囲むように形成されてもよい。この場合においても、固定鉄心によってヒンジバネを位置規制できるとともに、ヒンジバネをボビンの挿入孔から抜け止めできる。
【0012】
ヒンジバネの被係合部は、スプールのボビンと固定鉄心の本体部とに挟まれてもよい。この場合は、スプールと固定鉄心とによってもヒンジバネを位置規制できる。
【0013】
ヒンジバネの連結部は、可動鉄片が差し込まれる差し込み孔を含んでもよい。この場合は、可動鉄片をヒンジバネに簡単な構成で連結できる。
【0014】
ヒンジバネの連結部は、可動鉄片の一部が通される連結孔を含んでもよい。可動鉄片は、連結孔に引っ掛けられる引っ掛け部を含んでもよい。この場合は、可動鉄片をヒンジバネに簡単な構成で連結できる。
【0015】
ヒンジバネの連結部及び可動鉄片のいずれか一方は、圧入突起を含んでもよい。ヒンジバネの連結部及び可動鉄片のいずれか他方は、圧入突起が圧入される凹部を含んでもよい。この場合は、可動鉄片をヒンジバネに簡単な構成で連結できる。
【0016】
可動鉄片は、電磁力によって移動するときに固定鉄心又は連結部を支点に回動してもよい。この場合は、コイルを薄く形成することが可能になるので、駆動部のコンパクト化が図れる。
【0017】
駆動部は、固定鉄心に連結されるとともに、コイルの少なくとも一部を囲むヨークをさらに含んでもよい。ヨークは、電磁力によって可動鉄片を吸着する吸着面を含んでもよい。この場合は、ヨークの吸着面に対する可動鉄片の位置決め精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電磁継電器において、ヒンジバネに連結される可動鉄片の位置決め精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】電磁継電器の内部を前方から見た模式図である。
図2】電磁継電器の内部を前方から見た模式図である。
図3】駆動部周辺を前方から見た模式図である。
図4】ヒンジバネの嵌合部を上方から見た模式図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6】変形例に係る駆動部周辺を前方から見た模式図である。
図7】変形例に係る駆動部周辺を前方から見た模式図である。
図8】変形例に係る駆動部周辺を前方から見た模式図である。
図9】変形例に係る駆動部周辺を前方から見た模式図である。
図10】変形例に係る駆動部周辺の断面模式図である。
図11】変形例に係る駆動部周辺の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について、図面を参照して説明する。図面を参照するときにおいて、説明を分かり易くするために図1における上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」、紙面の手前側を「前」、紙面の奥側を「後」として説明する。図1は電磁継電器100の内部を前方から見た模式図である。
【0021】
電磁継電器100は、いわゆるヒンジ型の電磁継電器である。電磁継電器100は、ケース2と、接点装置3と、駆動部4と、ヒンジバネ5と、可動鉄片6とを備えている。ケース2は、略箱形状であり、樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。ケース2には、接点装置3、駆動部4、ヒンジバネ5及び可動鉄片6が収容されている。
【0022】
接点装置3は、固定端子8と、可動接触片9とを含む。固定端子8及び可動接触片9は、板状の端子であり、銅などの導電性を有する材料で形成されている。固定端子8及び可動接触片9は、ケース2に支持されている。本実施形態における固定端子8及び可動接触片9は、左右方向に延びている。
【0023】
固定端子8は、固定接点8aと、外部接続部8bとを含む。固定接点8aは、ケース2内に配置されている。固定接点8aは、固定端子8と別体、或いは一体であってもよい。外部接続部8bは、ケース2から外部に突出しており、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0024】
可動接触片9は、弾性変形可能な板バネで構成されている。可動接触片9は、可動接点9aを含む。可動接点9aは、固定接点8aと向かい合って配置されており、固定接点8aに接触可能である。可動接点9aは、可動接触片9と別体、或いは一体であってもよい。
【0025】
駆動部4は、電磁力によって可動鉄片6を動作させる。駆動部4は、ケース2に支持されている。詳細には、駆動部4は、可動鉄片6を回動させることによって可動接触片9を図1に示す開離位置と図2に示す接触位置とに移動させる。開離位置では、可動接点9aと固定接点8aとが互いに離れた状態にある。接触位置では、可動接点9aと固定接点8aとが接触した状態にある。
【0026】
図3は、駆動部4周辺を前方から見た模式図である。駆動部4は、スプール41と、コイル42と、固定鉄心43と、ヨーク44とを含む。スプール41は、ボビン41aを含む。ボビン41aは、筒状であり、上下方向に延びている。ボビン41aは、外周にコイル42が巻き付けられる。ボビン41aには、固定鉄心43が挿入される挿入孔41bが形成されている。挿入孔41bは、ボビン41aの内部を上下方向に貫通して形成されている。
【0027】
コイル42は、ボビン41aに巻き付けられている。コイル42は、電圧が印加されて励磁されると、可動鉄片6を動作させる電磁力を発生させる。
【0028】
固定鉄心43は、コイル42の内側に配置されている。固定鉄心43は、下端がヨーク44に連結されている。固定鉄心43は、カシメ加工によりヨーク44に固定されている。固定鉄心43は、ケース2に固定されている。
【0029】
固定鉄心43は、本体部43aと、鍔部43bとを含む。本体部43aは、ボビン41aの挿入孔41bに挿入される。本体部43aの断面形状は、略円形である。鍔部43bは、本体部43aの端部(ここでは上端)に形成されている。鍔部43bは、挿入孔41bの径よりも大径に形成されている。したがって、鍔部43bは、挿入孔41bの外側に配置されている。なお、本体部43aの断面形状は、略矩形であってもよい。
【0030】
ヨーク44は、固定鉄心43に連結されている。ヨーク44は、コイル42の少なくとも一部を囲む。ヨーク44は、固定鉄心43を介してケース2に固定されている。ヨーク44は、L字状に屈曲した形状を有している。詳細には、ヨーク44は、連結部44aと、起立部44bと、吸着面44cとを含む。連結部44aは、ケース2の下部に接触して配置されている。連結部44aには、固定鉄心43が固定されている。起立部44bは、連結部44aの一端から上方に延びている。起立部44bは、ボビン41aの外周側に配置されており、コイル42の一部を覆う。吸着面44cは、起立部44bの上端に形成されている。本実施形態では、吸着面44cは、起立部44bの上端面によって構成される。吸着面44cは、可動鉄片6と向かい合って配置されている。吸着面44cは、可動鉄片6の下方に配置されており、可動鉄片6と上下方向に離れて配置されている。
【0031】
ヒンジバネ5は、可動鉄片6を固定鉄心43から離れる方向に付勢する。ヒンジバネ5は、可動鉄片6を吸着面44cから離れる方向に付勢する。ヒンジバネ5は、固定鉄心43に接触して配置されている。ヒンジバネ5は、固定鉄心43に位置規制される。ヒンジバネ5は、L字状に屈曲した形状を有している。
【0032】
ヒンジバネ5は、嵌合部51と、連結部52とを含む。嵌合部51は、固定鉄心43の外周面に嵌合する。図4は、嵌合部51を上方から見た模式図である。図4に示すように、本実施形態における嵌合部51は、固定鉄心43の本体部43aの外周面に対応した形状を有しており、本体部43aの外周面に嵌合する。嵌合部51には、嵌合部51を本体部43aに嵌め込むための開口が形成されている。嵌合部51を本体部43aに嵌め込むことによって、ヒンジバネ5が固定鉄心43に位置規制される。嵌合部51は、スプール41のボビン41aと固定鉄心43の鍔部43bの間に配置されている。嵌合部51は、ボビン41aと鍔部43bとに挟まれており、スプール41と固定鉄心43とによっても位置規制される。なお、ヒンジバネ5は、固定鉄心43のみによって位置規制されてもよい。例えば、本体部43aの外周面において、嵌合部51が係合する溝などの係合部を設けてもよい。
【0033】
連結部52は、嵌合部51から上方に延びている。連結部52は、鍔部43bと上下方向に重ならない位置に配置されている。連結部52は、可動鉄片6がヒンジバネ5に連結される部分である。
【0034】
図5は、ヒンジバネ5と可動鉄片6を図3のV-V線で切断した断面図である。連結部52は、可動鉄片6の一部が通される連結孔52aを含む。連結孔52aは、連結部52を左右方向に貫通して形成されている。連結孔52aは、連結孔52aに可動鉄片6を軽圧入するための圧入突起52bを含む。
【0035】
可動鉄片6は、一端がヒンジバネ5に連結されている。可動鉄片6は、連結孔52aに通される突起部6aを含む。図5に示すように、突起部6aには、圧入突起52bが圧入される凹部6bが形成されている。突起部6aは、先端が連結孔52aから露出している。図1及び図2に示すように、可動鉄片6は、他端が可動接触片9を押圧する押圧部材21に連結されている。押圧部材21は、樹脂などの絶縁材で形成されており、可動鉄片6と可動接触片9とを絶縁する。
【0036】
可動鉄片6は、電磁力によって移動するときに固定鉄心43を支点に回動する。詳細には、可動鉄片6は、連結部52に近接する固定鉄心43の鍔部43bの上端角部43cに接触している。可動鉄片6は、電磁力によって吸着面44cに吸着されると、上端角部43cを支点に吸着面44cに近づく方向に回動する。なお、可動鉄片6は、連結部52を支点に吸着面44cに近づく方向に回動してもよく、固定鉄心43に接触していなくてもよい。
【0037】
次に、電磁継電器100の動作について説明する。図1は、コイル42に電圧が印加されていない状態を示している。コイル42に電圧が印加されていないときは、可動接触片9が開離位置にある。すなわち、ヒンジバネ5及び可動接触片9の弾性力によって押圧部材21による可動接触片9の接触位置への移動が押し止められている。コイル42に電圧が印加されて励磁されると、電磁力によって可動鉄片6が吸着面44cに吸着される。これにより、ヒンジバネ5及び可動接触片9の弾性力に抗して、可動鉄片6が上端角部43cを支点に吸着面44cに近づく方向に回動する。これにより、可動接触片9が押圧部材21によって押圧されて接触位置に移動することで、可動接点9aが固定接点8aに接触する。コイル42への電圧の印加が停止されると、ヒンジバネ5及び可動接触片9の弾性力によって可動鉄片6が吸着面44cから離れる方向に回動する。これにより、可動接触片9が開離位置に移動して、可動接点9aが固定接点8aから開離する。
【0038】
上述した電磁継電器100では、ヒンジバネ5が磁性体である固定鉄心43によって位置規制される。このため、ヒンジバネ5をスプール41やケース2などで固定する場合に比べて、環境による寸法変化や組み合わせ公差の影響を受けにくいので、ヒンジバネ5を精度よく位置決めすることができる。その結果、ヒンジバネ5に連結される可動鉄片6の位置決め精度の向上を図ることができる。これにより、可動鉄片6が吸着される吸着面44cに対する可動鉄片6の位置決め精度の向上を図ることができる。
【0039】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
ケース2、接点装置3、駆動部4、ヒンジバネ5、可動鉄片6、押圧部材21の形状、或いは配置が変更されてもよい。図6は、変形例に係る電磁継電器100の内部を前方から見た模式図である。図6に示す押圧部材121は、上下方向に延びており、可動鉄片6と可動接触片9とに連結されている。図6に示す例では、接点装置3が前記実施形態よりも下方に配置されている。押圧部材121が上下方向に延びているので、接点装置3と可動鉄片6との絶縁距離を十分に確保することができる。
【0041】
図7に示すように、ヒンジバネ5と可動鉄片6との連結は、カシメ加工によってヒンジバネ5に可動鉄片6が連結されてもよい。或いは、図8に示すように、可動鉄片6が差し込まれる差し込み孔152によってヒンジバネ5に可動鉄片6が連結されてもよい。また、前記実施形態では、連結孔52aに可動鉄片6が圧入されていたが、図9に示すように、連結孔52aに引っ掛けられる引っ掛け部6cをヒンジバネ5に形成して、ヒンジバネ5と可動鉄片6とを連結してもよい。引っ掛け部6cは、先端が上方に屈曲した形状を有している。
【0042】
図10及び図11は、変形例に係る駆動部4周辺の断面模式図である。なお、図11では、説明を分かり易くするために、スプール41、コイル42及びヨーク44のみを断面で示している。図10及び図11に示すように、固定鉄心43の本体部43aの外周面に形成された係合部43dにヒンジバネ5に形成された被係合部53を係合させることで、ヒンジバネ5が固定鉄心43に位置規制されてもよい。係合部43dは、本体部43aの外周面に凹んで形成されている。被係合部53は、挿入孔41bの内側に配置されている。被係合部53は、ボビン41aと本体部43aとに挟まれている。なお、図11に示すように、被係合部53は、本体部43aの外周面を囲むように形成されてもよい。図11に示す例では、被係合部53は、本体部43aの前側、後側、右側及び左側の一部を囲むように形成されている。また、図10及び図11に示す変形例では、鍔部43bは省略される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、電磁継電器において、ヒンジバネに連結される可動鉄片の位置決め精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0044】
4 駆動部
5 ヒンジバネ
6 可動鉄片
6b 凹部
6c 引っ掛け部
41 スプール
41a ボビン
41b 挿入孔
42 コイル
43 固定鉄心
43a 本体部
43b 鍔部
43d 係合部
44 ヨーク
44c 吸着面
51 嵌合部
52 連結部
52a 連結孔
52b 圧入突起
53 被係合部
152 差し込み孔
100 電磁継電器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11