IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 味の素株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20240409BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240409BHJP
   C08G 14/04 20060101ALI20240409BHJP
   G03F 7/20 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
G03F7/038 601
G03F7/004 501
G03F7/004 512
C08G14/04
G03F7/20 521
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020166202
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057777
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】霞 健一
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-256453(JP,A)
【文献】特開2008-077057(JP,A)
【文献】特開2013-029862(JP,A)
【文献】特開2009-047761(JP,A)
【文献】特開2007-241312(JP,A)
【文献】特開2002-139835(JP,A)
【文献】特開2011-215597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子内にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、
(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物、
(C)光酸発生剤
(D)溶剤、及び
(E)有機充填材、を含有する感光性樹脂組成物(ただし、オキシラニル基含有化合物を含有する組成物、及び、下記一般式(1)で表されるs-トリアジン誘導体を含有する組成物を除く:
【化1】
〔式(1)において、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、Yは酸素原子又は硫黄原子を示す。〕)であって、
(A)成分が、下記式(A-1)で表される構造を含む2官能フェノール化合物、式(A-2)で表される構造を含む化合物、及び、式(A-3)で表される構造を含む化合物を含有し
【化2】
[式(A-1)中、Rは、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表し、X及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。
【化3】
(式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
式(b)中、X11はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
式(c)中、X12及びX13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。]、
【化4】
【化5】
[式(A-2)中、R は、それぞれ独立に、下記式(a)で表される2価の基を表し、X はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n1は、0~4の整数を表し、m1は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。
式(A-3)中、R は、それぞれ独立に、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基と下記式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、下記式(a)で表される2価の基と下記式(b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、又は下記式(a)で表される2価の基と下記式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基を表し、X はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n2は、0~4の整数を表し、m2は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。
【化6】
式(a)中、R 11 及びR 12 は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R 11 及びR 12 は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
式(b)中、X 11 はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
式(c)中、X 12 及びX 13 はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。]、
(B)成分が、メラミン樹脂であり、
(D)成分が、(D-1)第1級水酸基及び/又は第2級水酸基を含有し沸点が60℃以上180℃以下である溶剤、及び、(D-2)エーテル結合、カルボニル基及びエステル結合の少なくともいずれかを含有し沸点が、60℃以上180℃以下である溶剤からなり、(D)溶剤全体を100質量%とした場合の(D-1)成分の含有量をD1、(D-2)成分の含有量をD2としたとき、D1/D2が0.05以上15以下である、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
式(A-2)で表される構造を含む化合物の含有量が、(A)成分全体を100質量%としたとき、5質量%以上85質量%以下である、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
式(A-3)で表される構造を含む化合物の含有量が、(A)成分全体を100質量%としたとき、5質量%以上60質量%以下である、請求項又はに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
式(A-1)で表される構造を有する化合物の含有量が、(A)成分全体を100質量%としたとき、5質量%以上50質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに(F)無機充填材を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
支持体と、該支持体上に設けられた、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、を有する支持体付き感光性フィルム。
【請求項7】
支持体と、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、保護フィルムと、をこの順に備える、支持体付き感光性フィルム。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む半導体装置。
【請求項9】
回路基板上に、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を形成する工程と、
感光性樹脂組成物層に活性光線を照射して硬化させる工程と、
硬化した感光性樹脂組成物層を現像する工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物に関する。さらには、当該感光性樹脂組成物を用いて得られる、支持体付き感光性フィルム、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に広く使用されているプリント配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、薄型化や回路の微細配線化が求められている。
【0003】
プリント配線板の製造技術としては、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層には熱硬化性樹脂組成物が用いられ、ソルダーレジスト層には感光性樹脂組成物が用いられる。
【0004】
近年、層間絶縁層の形成に際しても感光性樹脂組成物を使用することが望まれており、例えば、特許文献1~2には、感光性樹脂組成物を用いて絶縁層、又はソルダーレジストを形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-139835号公報
【文献】特開2018-28690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
感光性樹脂組成物を用いて絶縁層を形成するにあたって、基板上に支持体付き感光性フィルムを載置し、真空条件下で支持体付き感光性フィルムを積層することで絶縁層を形成する場合がある。基板の表面には、配線が設けられていたり、キャビティが形成されていたりしうる。よって、基板の表面には、一般に凹凸がある。したがって、支持体付き感光性フィルムを載置するときに基板と支持体付き感光性フィルムとの間に空気が入り込んでも、その空気は容易に抜けていく。したがって、基板と感光性フィルムとの間に気泡が残留することは、抑制される。
【0007】
近年、シリコンウェハやガラス基板のように平滑な表面を有する基板上に支持体付き感光性フィルムを積層することで絶縁層を形成することがある。平滑な表面を有する基板上に絶縁層を形成する方法は、従来と同様に、真空条件下での積層法とすることが考えられる。しかし、基板の表面が平滑であると、真空条件下で支持体付き感光性フィルムを積層しても、基板と支持体付き感光性フィルムとの間に入り込んだ空気が抜けず、ラミネート性が劣ることがある。具体的には、基板と支持体付き感光性フィルムとの間に入り込んだ空気が残留して、気泡が形成されることがある。
【0008】
本発明の課題は、ラミネート性に優れる感光性樹脂組成物;当該感光性樹脂組成物を用いて得られる支持体付き感光性フィルム、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意検討した結果、感光性樹脂組成物に特定のアルカリ可溶性樹脂及び特定の溶剤を所定量含有させることでラミネート性に優れるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)分子内にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、
(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物、
(C)光酸発生剤、及び
(D)溶剤、を含有する感光性樹脂組成物であって、
(A)成分が、(A-1)2官能フェノール化合物を含有し、
(D)成分が、(D-1)水酸基を含有する溶剤を含有し、(D-1)成分の含有量が、(D)成分全体を100質量%とした場合、5質量%以上95質量%以下である、感光性樹脂組成物。
[2] (D-1)成分が、第1級水酸基及び/又は第2級水酸基を含有する、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] (D-1)成分の沸点が、60℃以上180℃以下である、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] (D)成分が、さらに(D-2)エーテル結合、カルボニル基及びエステル結合の少なくともいずれかを含有する溶剤、を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5] (D-2)成分の沸点が、60℃以上180℃以下である、[4]に記載の感光性樹脂組成物。
[6] (A-1)成分が、下記式(A-1)で表される構造を含む2官能フェノール化合物を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【化1】
式(A-1)中、Rは、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表し、X及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。
【化2】
式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
式(b)中、X11はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
式(c)中、X12及びX13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
[7] (A)成分が、式(A-1)で表される構造を有する2官能フェノール化合物、下記式(A-2)で表される構造を含む化合物、及び式(A-3)で表される構造を含む化合物、を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【化3】
式(A-1)中、Rは、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表し、X及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。
式(A-2)中、Rは、それぞれ独立に、下記式(a)で表される2価の基を表し、Xはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n1は、0~4の整数を表し、m1は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。
式(A-3)中、Rは、それぞれ独立に、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基と下記式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、下記式(a)で表される2価の基と下記式(b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、又は下記式(a)で表される2価の基と下記式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基を表し、Xはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n2は、0~4の整数を表し、m2は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。
【化4】
式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
式(b)中、X11はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
式(c)中、X12及びX13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
[8] 式(A-2)で表される構造を含む化合物の含有量が、(A)成分全体を100質量%としたとき、5質量%以上85質量%以下である、[7]に記載の感光性樹脂組成物。
[9] 式(A-3)で表される構造を含む化合物の含有量が、(A)成分全体を100質量%としたとき、5質量%以上60質量%以下である、[7]又は[8]に記載の感光性樹脂組成物。
[10] 式(A-1)で表される構造を有する化合物の含有量が、(A)成分全体を100質量%としたとき、5質量%以上50質量%以下である、[6]~[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[11] さらに、(E)有機充填材、及び(F)無機充填材のいずれかを含有する、[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[12] (B)成分が、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂を含有する、[1]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[13] (B)成分が、メラミン樹脂を含有する、[1]~[12]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[14] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]~[13]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、を有する支持体付き感光性フィルム。
[15] 支持体と、[1]~[13]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、保護フィルムと、をこの順に備える、支持体付き感光性フィルム。
[16] [1]~[13]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む半導体装置。
[17] 回路基板上に、[1]~[13]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を形成する工程と、
感光性樹脂組成物層に活性光線を照射して硬化させる工程と、
硬化した感光性樹脂組成物層を現像する工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ラミネート性に優れる感光性樹脂組成物;当該感光性樹脂組成物を用いて得られる支持体付き感光性フィルム、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の感光性樹脂組成物、支持体付き感光性フィルム、半導体装置、及び半導体装置の製造方法について詳細に説明する。
【0013】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)分子内にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物、(C)光酸発生剤、及び(D)溶剤、を含有する感光性樹脂組成物であって、(A)成分が、(A-1)2官能フェノール化合物を含有し、(D)成分が、(D-1)水酸基を含有する溶剤を含有し、(D-1)成分の含有量が、(D)成分全体を100質量%とした場合、5質量%以上95質量%以下である。(A)~(D)成分を組み合わせて感光性樹脂組成物に含有させることで、ラミネート性に優れるようになる。すなわち、感光性フィルムのラミネート時に気泡の発生を抑制できる。また、感光性樹脂組成物は、通常、現像性を向上させることが可能であり、樹脂ワニスを調製する際、樹脂ワニスを均一に溶解、分散させることが可能となる。
【0014】
感光性樹脂組成物は、(A)~(D)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(E)有機充填材、(F)無機充填材、及び(G)その他の添加剤等が挙げられる。以下、感光性樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0015】
<(A)分子内にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂>
感光性樹脂組成物は、(A)成分として分子内にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する。(A)成分は、(A-1)成分として2官能フェノール化合物を含む。(A)成分として(A-1)成分を感光性樹脂組成物に含有させることで、ラミネート性及び現像性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、(A)成分としては、(A-1)成分以外に、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A-2)成分として、式(A-2)で表される構造を含む化合物、及び(A-3)成分として、式(A-3)で表される構造を含む化合物を含有することが好ましい。
【0017】
-(A-1)2官能フェノール化合物-
(A-1)成分としては、フェノール性水酸基を分子中に2個有する化合物を用いることができる。(A-1)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
(A-1)成分の具体的な構造としては、下記式(A-1)で表される構造を有する化合物が好ましい。
【化5】
式(A-1)中、Rは、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表し、X及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。
【化6】
式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
式(b)中、X11はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
式(c)中、X12及びX13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
【0019】
及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、X及びXとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基がより好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基がさらに好ましい。
【0020】
アルキル基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であってもよく、環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。アルキル基としては、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルプロピル基、3-ヘプチル基等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、メチル基が特に好ましい。
【0021】
アリール基としては、炭素原子数6~30のアリール基が好ましく、炭素原子数6~20のアリール基がより好ましく、炭素原子数6~10のアリール基がさらに好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0022】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0023】
1価の複素環基としては、炭素原子数3~21の1価の複素環基が好ましく、3~15の1価の複素環基がより好ましく、3~9の1価の複素環基がさらに好ましい。1価の複素環基には、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)も含まれる。1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フラニル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、及びイソキノリル基が挙げられる。中でも、ピロリジル基が好ましい。1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。
【0024】
n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、0~3の整数を表すことが好ましく、0又は1を表すことがより好ましく、1が特に好ましい。
【0025】
は、式(a)で表される2価の基、式(b)で表される2価の基、式(c)で表される2価の基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表す。
【0026】
式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基が好ましい。
【0027】
11及びR12が表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基としては、式(A-1)中のX及びXが表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基と同様である。
【0028】
これらの組み合わせからなる基としては、アルキル基とカルボニル基との組み合わせからなる基、アリール基とカルボニル基との組み合わせからなる基、アルキル基とアミノ基とカルボニル基との組み合わせからなる基、アリール基とアミノ基とカルボニル基との組み合わせからなる基等が挙げられる。
【0029】
11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよく、環構造は、スピロ環や縮合環も含む。この場合、R11及びR12は、シクロペンタン環を形成する基、シクロヘキサン環を形成する基、2,2-ジメチル-4-メチルシクロヘキサン環を形成する基、フルオレン環を形成する基、ピロリジン環を形成する基、γ-ラクタム環等であることが好ましい。
【0030】
式(a)で表される2価の基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
【化7】
【化8】
【0031】
式(b)~(c)中のX11、X12、及びX13は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。X11~X13は、式(A-1)中のX及びXが表す置換基を有していてもよいアルキル基と同様である。
【0032】
式(b)~(c)中のp1、p2、及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、0~3の整数を表すことが好ましく、0又は1を表すことがより好ましい。
【0033】
式(b)で表される2価の基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
【化9】
【0034】
式(c)で表される2価の基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
【化10】
【0035】
が表すこれらの組み合わせからなる2価の基としては、式(b)で表される2価の基と式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、式(a)で表される2価の基と式(b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、及び式(a)で表される2価の基と式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基が挙げられる。これら基の具体例としては、以下の基を上げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
【化11】
【0036】
、X、R11及びR12が表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基、並びにX11、X12、及びX13表すアルキル基は置換基を有していてもよい。本発明において、各基が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、-OH、-O-C1-6アルキル基、-N(C1-6アルキル基)、C1-6アルキル基、C6-10アリール基、-NH、-NH(C1-6アルキル基)、-CN、-C(O)O-C1-6アルキル基、-C(O)H、-NO等が挙げられる。
【0037】
本明細書において、「置換基を有していてもよい」という表現は、特に断らない限り、無置換、若しくは置換基を1~5個(好ましくは1、2若しくは3個)有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、本明細書において、「C~C」(p及びqは正の整数であり、p<qを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がp~qであることを表す。例えば、「C~Cアルキル基」という表現は、炭素原子数1~6のアルキル基を示す。
【0038】
式(a)~(c)中の結合手は、式(A-1)中のフェノール部位のOH基に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに結合していることが好ましく、メタ位及びパラ位のいずれかに結合していることがより好ましく、パラ位に結合していることがさらに好ましい。
【0039】
(A-1)成分の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0040】
(A-1)成分は、市販品を用いることができ、2種以上を併用してもよい。用いられ得る市販の(A-1)成分の具体例としては、本州化学社製「BisE」、「BisP-TMC」;三井化学ファイン社製「BisA」、「BisF」、「BisP-M」;本州化学社製「BisP-AP」、「BisP-MIBK」、「BisP-B」、「Bis-Z」、「BisP-CP」、「o,o‘-BPF」、「BisP-IOTD」、「BisP-IBTD」、「BisP-DED」、「BisP-BA」;本州化学社製「Bis-C」、「Bis26X-A」、「BisOPP-A」、「BisOTBP-A」、「BisOCHP―A」、「BisOFP-A」、「BisOC-Z」、「BisOC-FL」、「BisOC-CP」、「BisOCHP-Z」、「メチレンビスP-CR」、「TM-BPF」、「BisOC-F」、「Bis3M6B-IBTD」、「BisOC-IST」、「BisP-IST」、「BisP-PRM」、「BisP-LV」等が挙げられる。
【0041】
(A-1)成分の分子量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは150以上、より好ましくは160以上、さらに好ましくは170以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下、さらに好ましくは500以下である。
【0042】
また、(A-1)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0043】
また、(A-1)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。ここで、感光性樹脂組成物の樹脂成分とは、感光性樹脂組成物の不揮発成分のうちで(E)成分及び(F)成分を除いた成分をいう。
【0044】
(A-1)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分全体を100質量%としたとき、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0045】
-式(A-2)で表される構造を含む化合物-
感光性樹脂組成物に含まれる(A)成分は、(A-1)成分以外に(A-2)成分として、下記式(A-2)で表される構造を含む化合物を含有していてもよい。(A-2)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【化22】
式(A-2)中、Rは、それぞれ独立に、下記式(a)で表される2価の基を表し、Xはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n1は、0~4の整数を表し、m1は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。
【化23】
式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
【0046】
は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、式(A-1)中のX及びXと同様である。
【0047】
は、それぞれ独立に、式(a)で表される2価の基を表す。式(a)で表される2価の基については上述したとおりである。
【0048】
式(a)中の結合手は、式(A-2)中のフェノール部位のOH基に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに結合していることが好ましく、メタ位及びパラ位のいずれかに結合していることがより好ましく、メタ位及びパラ位に結合しているものが混在していることがさらに好ましい。式(a)中の結合手は、式(A-2)中のフェノール部位のOH基に対して、メタ位及びパラ位に結合しているものが混在している場合、式(a)中の結合手がメタ位に結合しているものをmとし、式(a)中の結合手がパラ位に結合しているものをpとしたとき、その混合比率(m:p)は1:0.1~10が好ましく、1:0.1~5がより好ましく、1:0.1~1がさらに好ましく、1:0.5~2が特に好ましい。
【0049】
n1は0~4の整数を表し、0~3の整数を表すことが好ましく、0又は1を表すことがより好ましく、1が特に好ましい。
【0050】
m1は1~200の整数を表し、1~150の整数を表すことが好ましく、1~100の整数を表すことがより好ましく、1~50の整数を表すことがさらに好ましい。
【0051】
(A-2)成分の具体例としては、以下の樹脂を挙げることができる。なお、具体例中、フェノール部位のOH基に対して、メタ位が60%、パラ位が40%の割合で混在している。下記式(1)中、nは1~200の整数を表す。
【化24】
【0052】
(A-2)成分は、市販品を用いることができ、2種以上を併用してもよい。用いられ得る市販の(A-2)成分の具体例としては、旭有機材社製「TR4020G」(式(1)で表される樹脂);旭有機材社製「TR4050G」、「TR4080G」、「TR5020G」、「TR5050G」、「TR6020G」、「TR6050G」、「TR6080G」、「OC4500」、「TRM30B20G」、「TRM30B35G」、「EP16F30G」、「EP16F50G」、「TR4000B」、「EP0090G」、「EP3010A」、「PAPS-PN2」、「PAPS-PN4」、「AYPN-3.5」等のAVライトシリーズ;住友ベークライト社製フォトレジスト用樹脂シリーズ;群栄化学工業社製レヂトップシリーズ;DIC社製「PR-30-40P」、「PR-100L」、「PR-100H」、「PR-50」、「PR-55」、「PR-56-1」、「PR-56-2」、「WR-101」、「WR-102」、「WR-103」、「WR-104」等のフェノライトシリーズ;リグナイト社製「LF-100」、「LF-110」、「LF-120」、「LF-200」、「LF-400」、「LF-500」;明和化成社製フォトレジスト用ベース樹脂シリーズ等が挙げられる。
【0053】
(A-2)成分は、通常、フェノール又はその誘導体とアルデヒド及び/又はケトンとの重縮合により得られうる。重縮合は、酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。このため、(A-2)成分の末端は置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基又はアルデヒド基であり、両末端が置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基であることが好ましい。
【0054】
(A-2)成分の重量平均分子量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは1000以上であり、好ましくは150000以下、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下である。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0055】
(A-2)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分全体を100質量%としたとき、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0056】
また、(A-2)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0057】
また、(A-2)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0058】
-式(A-3)で表される構造を含む化合物-
感光性樹脂組成物に含まれる(A)成分は、(A-1)成分以外に(A-3)成分として、下記式(A-3)で表される構造を含む化合物を含有していてもよい。(A-3)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【化25】
式(A-3)中、Rは、それぞれ独立に、下記式(b)で表される2価の基、下記式(c)で表される2価の基、下記式(b)で表される2価の基と下記式(c)で表される2価の基の組み合わせからなる2価の基、下記式(a)で表される2価の基と下記式(b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、又は下記式(a)で表される2価の基と下記式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基を表し、Xはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n2は、0~4の整数を表し、m2は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。
【化26】
式(a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
式(b)中、X11はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
式(c)中、X12及びX13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。
【0059】
は、それぞれ独立に、式(b)で表される2価の基、式(c)で表される2価の基、式(b)で表される2価の基と式(c)で表される2価の基の組み合わせからなる2価の基、式(a)で表される2価の基と式(b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、又は式(a)で表される2価の基と式(c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基を表す。これら2価の基については上述したとおりである。
【0060】
式(a)~(c)中の結合手は、式(A-3)中のフェノール部位のOH基に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに結合していることが好ましく、メタ位及びパラ位のいずれかに結合していることがより好ましく、メタ位及びパラ位に結合しているものが混在していることがさらに好ましい。式(a)~(c)中の結合手は、式(A-3)中のフェノール部位のOH基に対して、メタ位及びパラ位に結合しているものが混在している場合、式(a)~(c)中の結合手がメタ位に結合しているものをmとし、式(a)~(c)中の結合手がパラ位に結合しているものをpとしたとき、その混合比率(m:p)は1:0.1~10が好ましく、1:0.1~5がより好ましく、1:0.1~1がさらに好ましく、1:0.5~2が特に好ましい。
【0061】
は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、式(A-1)中のX及びXと同様である。
【0062】
n2は0~4の整数を表し、式(A-2)中のn1と同様である。また、m2は1~200の整数を表し、式(A-2)中のm1と同様である。
【0063】
(A-3)成分の具体例としては、以下の基を挙げることができる。下記式(2)及び(3)中、nは1~200の整数を表す。
【化27】
【0064】
(A-3)成分は、市販品を用いることができ、2種以上を併用してもよい。用いられ得る市販の(A-3)成分の具体例としては、明和化成社製「MEHC-7851SS」(式2で表される樹脂)、「MEHC-7800-4S」(式3で表される樹脂)、明和化成社製「MEHC-7851-SS」「MEHC-7851-S」、「MEHC-7851-M」「MEHC-7851-H」、「MEHC-7800―4S」「MEHC-7800-SS」、「MEHC-7800-S」、「MEHC-7800-M」、「MEHC-7800-H」、日本化薬社製「GPH-65」「GPH-103」、「MEHC-7841-4S」等が挙げられる。
【0065】
(A-3)成分は、通常、フェノール又はその誘導体とフェノール以外の化合物との重縮合により得られうる。重縮合は、酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。このため、(A-3)成分の末端は置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基であることが好ましく、両末端が置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
【0066】
(A-3)成分の重量平均分子量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上であり、好ましくは50000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下である。
【0067】
(A-3)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分全体を100質量%としたとき、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0068】
また、(A-3)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0069】
また、(A-3)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0070】
(A)成分全体を100質量%としたときの(A-1)成分の含有量をa1とし、(A)成分全体を100質量%としたときの(A-2)成分の含有量をa2としたとき、a1/a2としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。
【0071】
(A)成分全体を100質量%としたときの(A-3)成分の含有量をa3としたとき、a3/a1としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下である。
【0072】
また、a3/a2としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下である。
【0073】
(A)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0074】
(A)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
【0075】
<(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物>
感光性樹脂組成物は、(B)成分として、(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物を含有する。(B)成分は、(A)成分と反応して架橋構造を形成させる機能を有する。(B)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0076】
アルコキシメチル基は、下記式(B-1)で表される基である。式中、「*」は結合手を表す。
【化28】
式(B-1)中、R21は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
【0077】
21は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であってもよく、環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。アルキル基としては、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、メチル基、ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0078】
21が表すアルキル基は置換基を有していてもよい。
【0079】
アルコキシメチル基は、下記式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基であることが好ましい。式中、「*」は結合手を表す。
【化29】
式(B-1’)中、R22は式(B-1)中のR21と同じである。Rは、水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。
【0080】
(B)成分としては、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物を用いることができ、このような化合物としては、例えば、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するフェノール樹脂等が挙げられる。中でも、感光性により優れる感光性樹脂組成物を得る観点から、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂が好ましい。
【0081】
分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられ、メラミン樹脂が好ましい。
【0082】
メラミン樹脂としては、例えば、下記式(B-2)で表される構造単位を有するメラミン樹脂であることが好ましい。
【化30】
式(B-2)中、X21、X22、X23、及びX24は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。R50は、水素原子、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基を表す。但し、R50が水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す場合は、X21、X22、X23、及びX24の少なくとも2つは、アルコキシメチル基である。
【0083】
21~X24が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)と同様である。R50が水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す場合、X21~X24の少なくとも2つはアルコキシメチル基であり、X21~X24の少なくとも3つがアルコキシメチル基であることが好ましく、X21~X24の少なくとも4つがアルコキシメチル基であることがより好ましい。
【0084】
50は、水素原子、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基を表し、置換基を有していてもよいアリール基、式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基が好ましく、式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基がより好ましい。置換基を有していてもよいアルキル基は、式(a)中のR11が表すアルキル基と同様であり、置換基を有していてもよいアリール基は、式(a)中のR11が表すアリール基と同様である。
【0085】
式(B-2)で表される構造単位を有するメラミン樹脂は、式(B-2’)で表される構造単位を有するメラミン樹脂であることが好ましい。
【化31】
式(B-2’)中、X25、X26、X27、X28、X29及びX30は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。但し、X25、X26、X27、X28、X29及びX30の少なくとも2つは、アルコキシメチル基である。
【0086】
25~X30が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)と同様である。X25~X30の少なくとも2つは、アルコキシメチル基であり、X25~X30の少なくとも3つがアルコキシメチル基であることが好ましく、X25~X30の少なくとも4つがアルコキシメチル基であることがより好ましく、X25~X30のすべてがアルコキシメチル基であることがさらに好ましい。
【0087】
メラミン樹脂の具体例としては、以下のメラミン樹脂を挙げることができる。
【化32】
【0088】
メラミン樹脂は、市販品を使用してよい。市販品としては、例えば、三和ケミカル社製の「MW-390」、「MW-100LM」、「MX-750LM」;オルネクスジャパン社製のサイメルシリーズ等が挙げられる。
【0089】
メラミン樹脂は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により調製することができる。
【0090】
尿素樹脂としては、例えば、下記式(B-3)で表される構造単位及び下記式(B-4)で表される構造単位のいずれかを有する尿素樹脂であることが好ましい。
【化33】
式(B-3)中、X31、X32、X33及びX34は、それぞれ独立に水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。但し、X31、X32、X33及びX34の少なくとも2つは、アルコキシメチル基である。
式(B-4)中、X35、及びX36は、アルコキシメチル基を表す。
【0091】
31~X38が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)と同様である。X31~X34の少なくとも2つは、アルコキシメチル基であり、X31~X34の少なくとも3つがアルコキシメチル基であることが好ましく、X31~X34の少なくとも4つがアルコキシメチル基であることがより好ましい。
【0092】
尿素樹脂は、市販品を使用してよい。市販品としては、例えば、三和ケミカル社製の「MX-270」、「MX-279」、「MX-280」;オルネクスジャパン社製のサイメルシリーズ等が挙げられる。
【0093】
尿素樹脂は、例えば、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合により調製することができる。
【0094】
分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するフェノール樹脂としては、例えば、下記式(B-5)で表される構造単位を有するフェノール樹脂であることが好ましい。
【化34】
式(B-5)中、X39はアルコキシメチル基を表し、R23及びR24はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R25は、単結合又は2価の有機基を表す。s及びtはそれぞれ独立に1~3の整数を表し、u及びvはそれぞれ独立に0~4の整数を表す。
【0095】
39が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)と同様である。R23及びR24が表す置換基を有していてもよいアルキル基は、式(A-1)中のX及びXが表す置換基を有していてもよいアルキル基と同様である。
【0096】
25は、単結合又は2価の有機基を表す。2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素原子数が1~10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素原子数が2~10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素原子数が6~30のアリーレン基、これら炭化水素基の水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等が挙げられる。
【0097】
(B)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0098】
(B)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
【0099】
(B)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、(A)成分の含有量を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0100】
<(C)光酸発生剤>
感光性樹脂組成物は、(C)成分として光酸発生剤を含有する。(C)光酸発生剤は、紫外線等の活性光線の照射時に酸を発生させ、発生した酸により、(A)成分と(B)成分との反応を促進してネガ型のパターンを有利に形成することができる。(C)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0101】
光酸発生剤としては、活性光線の照射により酸を発生する化合物を用いることができる。このような光酸発生剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物、オニウム塩化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、ハロゲン含有化合物が好ましい。
【0102】
光酸発生剤として好適に使用し得るハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等が挙げられる。ハロゲン含有化合物の好適な具体例としては、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,10-ジブロモ-n-デカン、1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2,2,2-トリクロロエタン、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-メトキシフェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、スチリル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ナフチル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のs-トリアジン誘導体等を挙げることができる。
【0103】
ハロゲン含有化合物は市販品を用いることができ、市販品としては、三和ケミカル社製「TFE-トリアジン」、「TME-トリアジン」、「MP-トリアジン」、「MOP-トリアジン」、「ジメトキシトリアジン」(トリアジン骨格を有するハロゲン含有化合物系光酸発生剤)等が挙げられる。
【0104】
光酸発生剤として好適に使用し得るオニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。オニウム塩化合物の好適な具体例としては、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロフォスホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフリオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-tert-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-tert-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフリオロメタンスルホネート等が挙げられる。
【0105】
オニウム塩化合物は市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、三和ケミカル社製「TS-01」、「TS-91」;サンアプロ社製「CPI-110A」、「CPI-210S」、「HS-1」、「LW-S1」、「IK-1」、「CPI-310B」;三新化学工業社製「SI-110L」、「SI-180L」、「SI-100L」等が挙げられる。
【0106】
光酸発生剤として好適に使用し得るジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3-ジケト-2-ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等が挙げられる。ジアゾケトン化合物の好適な具体例としては、フェノール類の1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル化合物等が挙げられる。
【0107】
光酸発生剤として好適に使用し得るスルホン化合物としては、例えば、β-ケトスルホン化合物、β-スルホニルスルホン化合物、及びこれらの化合物のα-ジアゾ化合物等が挙げられる。スルホン化合物の好適な具体例としては、4-トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等が挙げられる。
【0108】
光酸発生剤として好適に使用し得るスルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等が挙げられる。スルホン酸化合物の好適な具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o-ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o-ニトロベンジルp-トルエンスルホネート等が挙げられる。
【0109】
光酸発生剤として好適に使用し得るスルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられる。
【0110】
光酸発生剤として好適に使用し得るジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[2-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン])、ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[2-[[[(4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン等が挙げられる。ジアゾメタン化合物は市販品を用いることができる。市販品としては、例えばBASF社製の「PAG-103」、「PAG-121」等が挙げられる。
【0111】
(C)光酸発生剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
【0112】
<(D)溶剤>
感光性樹脂組成物は、(D)成分として溶剤を含有する。(D)成分は、(D-1)成分として水酸基を含有する溶剤を、(D)溶剤全体を100質量%とした場合、5質量%以上95質量%以下含有する。所定量の(D-1)成分を感光性樹脂組成物に含有させることで、ラミネート性を向上させることが可能となる。
【0113】
(D-1)成分の含有量は、(D)溶剤全体を100質量%とした場合、5質量%以上であり、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、20質量%以上であり、95質量%以下であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下である。(D-1)成分の含有量を斯かる範囲内とすることにより、ラミネート性を向上させることが可能となる。
【0114】
(D-1)成分としては、水酸基を含有する溶剤を用いることができる。水酸基の数は、1分子当たり1つでもよく、2つ以上でもよく、1つが好ましい。水酸基は、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基のいずれであってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、アルコール性水酸基が好ましい。アルコール性水酸基としては、第1級水酸基(第1級アルコール)、第2級水酸基(第2級アルコール)、及び第3級水酸基(第3級アルコール)のいずれかであってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、第1級水酸基及び/または第2級水酸基を含有することが好ましく、第2級水酸基を含むことがさらに好ましい。
【0115】
(D-1)成分は、本発明の効果を顕著に得る観点から、水酸基に加えてエーテル結合、及びエステル結合のいずれかを有することが好ましく、エーテル結合を有することがより好ましい。
【0116】
(D-1)成分に含まれる酸素原子の数は、本発明の効果を顕著に得る観点から、1分子当たり1つでもよく、2つ以上でもよく、2つ以上3つ以下が好ましい。
【0117】
(D-1)成分としては、グリコールエーテル類、アルコール類、グリコール類、及びヒドロキシエステル類から選択される1種以上であることが好ましく、グリコールエーテル類、グリコール類、及びヒドロキシエステル類から選択される1種以上であることがより好ましく、グリコールエーテル類であることがさらに好ましい。
【0118】
(D-1)成分の具体例としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、3-メトキシブタノール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル等のヒドロキシエステル類;メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール類;セロソルブ(エチレングリコール)、エチルセロソルブ、プロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0119】
(D-1)成分の沸点としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上、90℃以上、100℃以上、又は110℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは160℃以下、150℃以下、140℃以下、135℃以下である。
【0120】
(D-1)成分の分子量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50以上、より好ましくは70以上、さらに好ましくは100以上、110以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは130以下である。
【0121】
(D)成分は(D-1)成分以外の溶剤を含む。(D-1)成分以外の溶剤としては、水酸基を含有しない溶剤を用いることができるが、本発明の効果を顕著に得る観点から、(D-2)エーテル結合、カルボニル基及びエステル結合のいずれかを含有する溶剤を含むことが好ましい。
【0122】
カルボニル基としては、ケトンを構成するカルボニル基、アミド基を構成するカルボニル基等が挙げられるが、本発明の効果を顕著に得る観点から、ケトンを構成するカルボニル基が好ましい。
【0123】
(D-2)エーテル結合、カルボニル基及びエステル結合のいずれかを含有する溶剤としては、エーテル結合、ケトンを構成するカルボニル基、及びエステル結合のいずれかを含有する溶剤であることが好ましく、ケトンを構成するカルボニル基を含有する溶剤(ケトン類)であることがさらに好ましい。
【0124】
(D-2)成分の具体例としては、例えば、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン(MEK)、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、イソプロピルアセテート、n-プロピルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、γ-ブチロラクトン等のエステル類;等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0125】
(D-2)成分の沸点としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは165℃以下、さらに好ましくは155℃以下である。
【0126】
(D-2)成分の分子量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは70以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは130以下である。
【0127】
(D-2)成分の含有量は、(D)溶剤全体を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、80質量%以下である。(D-2)成分の含有量を斯かる範囲内とすることにより、ラミネート性を向上させることが可能となる。
【0128】
(D)溶剤全体を100質量%とした場合の(D-1)成分の含有量をD1、(D-2)成分の含有量をD2としたとき、D1/D2としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、5以下、1以下である。
【0129】
(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体を100質量%とした場合、1質量%以上であり、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、45質量%以下であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下である。(D)成分の含有量を斯かる範囲内とすることにより、ラミネート性及び現像性を向上させることが可能となる。
【0130】
<任意成分>
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、さらに(E)有機充填材、(F)無機充填材、及び(G)その他の添加剤を含有していてもよい。中でも、任意の成分としては、(E)有機充填材、及び(F)無機充填材のいずれかを含むことが好ましい。
【0131】
-(E)有機充填材-
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、さらに(E)有機充填材を含んでいてもよい。(E)有機充填材は柔軟性を示すことから感光性樹脂組成物の硬化物の応力を分散させることが可能となり、その結果、フィルム成型性を向上させることが可能となる。ラミネート性の改善という課題が、感光性樹脂組成物を含む感光性フィルムにおいて生じることを鑑みると、ラミネート性を改善できるという効果は、(E)有機充填材を含む感光性樹脂組成物において特に有効である。
【0132】
(E)成分としては、例えば、ウレタン微粒子、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
【0133】
ウレタン微粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、根上工業社製の「MM-101SW」、「MM-101SWA」、「MM-101SM」、「MM-101SMA」、「MM-110SMA」等が挙げられる。
【0134】
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体であるものならばどのようなゴム粒子でもよく、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体粒子などが挙げられる。ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL-2655」;ガンツ化成社製の「AC3816N」、「AC3355」、「AC3816」、「AC3832」、「AC4030」、「AC3364」、「IM101」;呉羽化学社製の「パラロイドEXL2655」、「EXL2602」;カネカ社製の「B-11A」、「B513」、「B22」、「B-521」、「B-561」、「B-564」、「FM-21」、「FM-40」、「FM-50」、「M-701」、「M-711」、「M-732」、「M-300」、「FM-40」、「M-570」、「M-210」等が挙げられる。
【0135】
ポリアミド微粒子としては、アミド結合を有する樹脂の50μm以下の微粒子を用いることができ、例えば、ナイロン等の脂肪族ポリアミド、ケブラー等の芳香族ポリアミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。ポリアミド微粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセルヒュルス社製の「VESTOSINT 2070」;東レ社製の「SP500」等が挙げられる。
【0136】
(E)有機充填材の平均粒径は、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。(E)有機充填材の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。(E)有機充填材の平均粒径は、例えば、適当な有機溶剤に有機充填材を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR-1000;大塚電子社製)を用いて、有機充填材の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
【0137】
(E)有機充填材の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0138】
-(F)無機充填材-
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、(F)無機充填材を含んでいてもよい。(F)無機充填材を樹脂組成物に含有させることで、絶縁性に優れる硬化物を得ることが可能となる。
【0139】
無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。(F)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0140】
(F)無機充填材の市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP-30」;新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」、「SC2050-SXF」;などが挙げられる。
【0141】
(F)無機充填材の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
【0142】
(F)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出する。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0143】
(F)無機充填材の比表面積は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET全自動比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで無機充填材の比表面積を測定することで得られる。
【0144】
(F)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0145】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM503」(3-メタクリルプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0146】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
【0147】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
【0148】
(F)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0149】
(F)無機充填材の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上、より好ましく30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0150】
-(G)その他の添加剤-
感光性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない程度に、(G)その他の添加剤を更に含有してもよい。(G)その他の添加剤としては、例えば、熱可塑性樹脂;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、フェノチアジン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤;エポキシ樹脂、アンチモン化合物、リン系化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤;フェノール系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤等の熱硬化樹脂等の各種添加剤を添加することができる。
【0151】
感光性樹脂組成物は、必須成分として上記(A)~(D)成分を混合し、任意成分として上記(E)~(G)成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌手段により混練または撹拌することにより製造することができる。
【0152】
<感光性樹脂組成物の物性、用途>
感光性樹脂組成物は、通常、現像性に優れるという特性を示す。例えば、露光パターンの開口径が20μmのビアの底部の径は、好ましくは25μm未満、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは19μm以下、さらに好ましくは18μm以下である。下限は好ましくは10μm以上、より好ましくは13μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。現像性の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0153】
本発明の感光性樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、支持体付き感光性フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、シリコンウェハ、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、バッファーコート膜、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、感光性樹脂組成物が必要とされる用途の広範囲に使用できる。なかでも、プリント配線板の絶縁層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を絶縁層としたプリント配線板)、層間絶縁層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を層間絶縁層としたプリント配線板)、メッキ形成用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物上にメッキが形成されたプリント配線板)、及びソルダーレジスト用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物をソルダーレジストとしたプリント配線板)、ウェハレベルパッケージの再配線層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたウェハレベルパッケージ)、ファンアウトウェハレベルパッケージの再配線層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたファンアウトウェハレベルパッケージ)、ファンアウトパネルレベルパッケージの再配線層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたファンアウトパネルレベルパッケージ)、バッファーコート用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物をバッファーコートとした半導体装置)、ディスプレイ用絶縁層用感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物の硬化物を絶縁層としたディスプレイ)として好適に使用することができる。
【0154】
[支持体付き感光性フィルム]
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物層が支持体上に層形成された支持体付き感光性フィルムの形態で好適に使用することができる。つまり、支持体付き感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の感光性樹脂組成物で形成された感光性樹脂組成物層を含む。また、支持体付き感光性フィルムの第2の実施形態として、支持体と、本発明の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、保護フィルムと、をこの順に備える。
【0155】
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルアセテートフィルム等が挙げられ、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0156】
市販の支持体としては、例えば、王子製紙社製の製品名「アルファンMA-410」、「E-200C」、タマポリ社製の製品名「GF-1」、「GF-8」信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製の製品名「PS-25」等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるが、これらに限られたものではない。これらの支持体は除去を容易にするため、シリコーンコート剤または非シリコーンコート剤のような剥離剤を表面に塗布してあるのがよい。このような支持体としては、例えば、リンテック社製「AL-5」等が挙げられる。支持体の厚さは、5μm~100μmの範囲であることが好ましく、10μm~50μmの範囲であることがより好ましい。厚さを5μm以上とすることで、現像前に行う支持体剥離の際に支持体が破れることを抑制することができ、厚さを100μm以下とすることで、支持体上から露光する際の解像度を向上させることができる。また、低フィッシュアイの支持体が好ましい。ここでフィッシュアイとは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0157】
さらに感光性樹脂組成物層は保護フィルムで保護されていてもよく、第2の実施形態では保護フィルムを有する。支持体付き感光性フィルムの感光性樹脂組成物層側を保護フィルムで保護することにより、感光性樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては上記の支持体と同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1μm~40μmの範囲であることが好ましく、5μm~30μmの範囲であることがより好ましく、10μm~30μmの範囲であることが更に好ましい。厚さを1μm以上とすることで、保護フィルムの取り扱い性を向上させることができ、40μm以下とすることで廉価性がよくなる傾向にある。なお、保護フィルムは、感光性樹脂組成物層と支持体との接着力に対して、感光性樹脂組成物層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
【0158】
支持体付き感光性フィルムは、当業者に公知の方法に従って、例えば、感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により(D)成分を乾燥させることにより製造することができる。感光性樹脂組成物は、例えば、感光性樹脂組成物と過剰量の(D)成分とを含む樹脂ワニスを用いて製造してもよい。具体的には、まず、真空脱泡法等で樹脂ワニス中の泡を完全に除去した後、樹脂ワニスを支持体上に塗布し、熱風炉あるいは遠赤外線炉での乾燥によって、(D)成分の量を調整して感光性樹脂組成物で形成された感光性樹脂組成物層を含む支持体付き感光性フィルムを製造することができる。支持体付き感光性フィルムの製造方法の一実施形態として、樹脂ワニスを、最高温度を50℃以上135℃以下、乾燥時間を1分間以上20分以下として乾燥させることによって得られる。
【0159】
乾燥温度は、感光性樹脂組成物の硬化性や樹脂ワニス中の(D)成分の量によっても異なるが、50℃~120℃で行うことができる。但し、乾燥の最高温度は、アンダーカット耐性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上である。最高温度の下限は特に限定されないが、好ましくは135℃以下、より好ましくは130℃以下である。
【0160】
乾燥時間は、感光性樹脂組成物の硬化性や樹脂ワニス中の(D)成分の量によっても異なるが、好ましくは6分間以上であり、好ましくは30分以下、より好ましくは20分以下である。ここで、乾燥時間とは、乾燥温度が50℃に達した時からの時間を指す。
【0161】
感光性樹脂組成物層中の(D-1)成分の残存量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物層中の(D)成分全体に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、70質量%以下である。
【0162】
感光性樹脂組成物層の厚さは、取り扱い性を向上させ、かつ感光性樹脂組成物層内部の感度及び解像度が低下するのを抑制するという観点から、1μm以上100μm以下の範囲で目的によって設定されうる。感光性樹脂組成物層の厚さは、例えば、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0163】
感光性樹脂組成物層は、(A-1)成分及び(D-1)成分を含むので、シリコンウェハ等の基板の平滑面とのラミネート性に優れるという特性を示す。具体的には、シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物層をラミネート後、光学顕微鏡を用いてシリコンウェハと感光性樹脂組成物層との界面の気泡の数を数えると、好ましくは9個以下、より好ましくは2個以下、さらに好ましくは0個である。ラミネート性の評価の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0164】
感光性樹脂組成物層は、(A-1)成分及び(D-1)成分を含むので、樹脂ワニスを調製するにあたって、通常、均一に溶解、分散するという特性を示す。この評価の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0165】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。該絶縁層は、層間絶縁層、バッファーコート膜またはソルダーレジストとして使用することが好ましい。
【0166】
詳細には、本発明のプリント配線板は、上述の支持体付き感光性フィルムを用いて製造することができる。具体的には、プリント配線板の製造方法は、
(I)回路基板上に、本発明の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を形成する工程、
(II)感光性樹脂組成物層に活性光線を照射して硬化させる工程、及び
(III)硬化した感光性樹脂組成物層を現像する工程を含む。
回路基板としては、平滑面を有する基板が好ましく、例えばシリコンウェハが好ましい。以下、回路基板がシリコンウェハであり、絶縁層がソルダーレジストである場合の一例について説明する。
【0167】
<工程(I)>
感光性樹脂組成物層の形成方法としては、感光性樹脂組成物を含む樹脂ワニスを直接的にシリコンウェハ上に塗布する方法、及び前記支持体付き感光性フィルムを用いる方法が挙げられる。
【0168】
支持体付き感光性フィルムを用いる場合には、感光性樹脂組成物層側を、真空ラミネーターを用いてシリコンウェハの片面又は両面にラミネートする。ラミネート工程において、支持体付き感光性フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて支持体付き感光性フィルム及びシリコンウェハをプレヒートし、感光性樹脂組成物層を加圧及び加熱しながらシリコンウェハに圧着する。支持体付き感光性フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下でシリコンウェハにラミネートする方法が好適に用いられる。
【0169】
ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70℃~140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm~11kgf/cm(9.8×10N/m~107.9×10N/m)、圧着時間を好ましくは5秒間~300秒間とし、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下とする減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0170】
一方、感光性樹脂組成物を含む樹脂ワニスを直接的にシリコンウェハ上に塗布する場合、(D)成分を乾燥、揮発させることにより、シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物層を形成する。
【0171】
樹脂ワニスの塗布方式としては、例えば、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、リバースコート方式、キスリバースコート方式、ダイコート方式、スロットダイ方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、チャンバーグラビアコート方式、スロットオリフィス方式、スピンコート方式、スリットコート方式、スプレーコート方式、ディップコート方式、ホットメルトコート方式、バーコート方式、アプリケーター方式、エアナイフコート方式、カーテンフローコート、オフセット印刷方式、刷毛塗り、スクリーン印刷法による全面印刷等が挙げられる。
【0172】
樹脂ワニスは、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよく、また異なる方式を複数組み合わせて塗布してもよい。中でも、均一塗工性に優れる、ダイコート方式が好ましい。また、異物混入等をさけるために、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で塗布工程を実施することが好ましい。
【0173】
樹脂ワニスを塗布後、必要に応じて熱風炉あるいは遠赤外線炉等で乾燥を行う。乾燥条件は、80℃~120℃で3分間~13分間とすることが好ましい。このようにして、シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物層が形成される。
【0174】
なお、工程(I)では、シリコンウェハ以外に回路基板であってもよい。回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような支持基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
【0175】
<工程(II)>
塗布及び乾燥、あるいはラミネートにより、シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物層が設けられた後、次いで、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量はおおむね10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。露光方法にはマスクパターンをプリント配線板に密着させて行う接触露光法と、密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法とがあるが、どちらを用いてもかまわない。また、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合は、支持体上から露光してもよいし、支持体を剥離後に露光してもよい。
【0176】
工程(II)では、マスクパターンとして、例えば、丸穴パターン等のビアパターンを用いてビアを形成することができる。ビア径(開口径)としては、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。下限は特に限定されないが、1μm以上、2μm以上等としうる。
【0177】
<工程(III)>
露光工程後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合にはその支持体を除去した後現像して、光硬化されていない部分(未露光部)を除去して現像することにより、パターンを形成することができる。現像は、通常ウェット現像により行う。
【0178】
上記ウエット現像の場合、現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の安全かつ安定であり操作性が良好な現像液が用いられ、なかでもアルカリ水溶液による現像工程が好ましい。また、現像方法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適宜採用される。
【0179】
現像液として使用されるアルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩の水溶液や、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられ、金属イオンを含有せず、半導体チップに影響を与えないという点で水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が好ましい。
【0180】
これらのアルカリ性水溶液には、現像効果の向上のため、界面活性剤、消泡剤等を含むすることができる。上記アルカリ性水溶液のpHは、例えば、8~12の範囲であることが好ましく、9~11の範囲であることがより好ましい。また、上記アルカリ性水溶液の塩基濃度は、0.1質量%~10質量%とすることが好ましい。上記アルカリ性水溶液の温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、20℃~50℃とすることが好ましい。
【0181】
現像液として使用される有機溶剤は、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノンである。
【0182】
このような有機溶剤の濃度は、現像液全量に対して2質量%~90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。さらに、このような有機溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトンが挙げられる。
【0183】
パターン形成においては、必要に応じて、上記した2種類以上の現像方法を併用して用いてもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには好適である。スプレー方式を採用する場合のスプレー圧としては、0.05MPa~0.3MPaが好ましい。
【0184】
<熱硬化(ポストベーク)工程>
上記工程(III)終了後、必要に応じて、熱硬化(ポストベーク)工程を行い、ソルダーレジストを形成する。ポストベーク工程としては、高圧水銀ランプによる紫外線照射工程やクリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられる。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05J/cm~10J/cm程度の照射量で照射を行うことができる。熱硬化時の雰囲気は、空気中であっても良いし、窒素などの不活性気体雰囲気下でも良い。また加熱の条件は、感光性樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲で選択される。
【0185】
<その他の工程>
プリント配線板は、ソルダーレジストを形成後、さらに穴あけ工程、デスミア工程を含んでもよい。これらの工程は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
【0186】
ソルダーレジストを形成した後、所望により、回路基板上に形成されたソルダーレジストに穴あけ工程を行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけ工程は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけ工程が好ましい。
【0187】
デスミア工程は、デスミア処理する工程である。穴あけ工程において形成された開口部内部には、一般に、樹脂残渣(スミア)が付着している。斯かるスミアは、電気接続不良の原因となるため、この工程においてスミアを除去する処理(デスミア処理)を実施する。
【0188】
デスミア処理は、乾式デスミア処理、湿式デスミア処理又はこれらの組み合わせによって実施してよい。
【0189】
乾式デスミア処理としては、例えば、プラズマを用いたデスミア処理等が挙げられる。プラズマを用いたデスミア処理は、市販のプラズマデスミア処理装置を使用して実施することができる。市販のプラズマデスミア処理装置の中でも、プリント配線板の製造用途に好適な例として、ニッシン社製のマイクロ波プラズマ装置、積水化学工業社製の常圧プラズマエッチング装置等が挙げられる。
【0190】
湿式デスミア処理としては、例えば、酸化剤溶液を用いたデスミア処理等が挙げられる。酸化剤溶液を用いてデスミア処理する場合、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理、中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等を挙げることができる。膨潤処理は、ビアホール等の形成された基板を、60℃~80℃に加熱した膨潤液に5分間~10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。酸化剤溶液としては、アルカリ性過マンガン酸水溶液が好ましく、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解した溶液を挙げることができる。酸化剤溶液による酸化処理は、膨潤処理後の基板を、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に10分間~30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。アルカリ性過マンガン酸水溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ド-ジングソリューション・セキュリガンスP」等が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化処理後の基板を、30℃~50℃の中和液に3分間~10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
【0191】
乾式デスミア処理と湿式デスミア処理を組み合わせて実施する場合、乾式デスミア処理を先に実施してもよく、湿式デスミア処理を先に実施してもよい。
【0192】
絶縁層を層間絶縁層として使用する場合も、ソルダーレジストの場合と同様に行うことができ、熱硬化工程後に、穴あけ工程、デスミア工程、及びメッキ工程を行ってもよい。
【0193】
メッキ工程は、絶縁層上に導体層を形成する工程である。導体層は、絶縁層形成後にスパッタにより導体層を形成してもよく、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて形成してもよく、また、導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成してもよい。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
【0194】
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、プリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
【0195】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【0196】
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0197】
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
【実施例
【0198】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0199】
<実施例1>
(A-2)成分(「TR4020G」旭有機材社製)10部、(A-3)成分(「MEHC-7851SS」明和化成社製)5部、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物(「MW-390」三和ケミカル社製)5部、光酸発生剤(「MP-トリアジン」三和ケミカル社製)0.05部、有機充填材(「AC3816N」アイカ工業社製)2部と、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部、MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部、とを混合して感光性樹脂組成物1を得た。MP-トリアジンは下記の構造を有する。
【化35】
【0200】
<実施例2>
実施例1において、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を、(A-1)成分(「BisA」三井化学ファイン社製)5部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物2を得た。
【0201】
<実施例3>
実施例1において、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を、(A-1)成分(「BisF」三井化学ファイン社製)5部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物3を得た。
【0202】
<実施例4>
実施例1において、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を、(A-1)成分(「BisP-TMC」本州化学社製)5部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物4を得た。
【0203】
<実施例5>
実施例1において、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を、(A-1)成分(「BisP-M」三井化学ファイン社製)5部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物5を得た。
【0204】
<実施例6>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、乳酸エチル(沸点154℃、東京化成社製)12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物6を得た。
【0205】
<実施例7>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃、分子量104、KHネオケム社製)3部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物7を得た。
【0206】
<実施例8>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(沸点170℃、分子量132、ダイセル社製)3部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物8を得た。
<実施例9>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、エタノール(沸点78℃、東京化成社製)12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物9を得た。
【0207】
<実施例10>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、エチルセロソルブ(沸点135℃、東京化成社製)3部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物10を得た。
【0208】
<実施例11>
実施例1において、MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、沸点146℃、東京化成社製)9部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物11を得た。
【0209】
<実施例12>
実施例1において、MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を、2-ヘプタノン(沸点151℃、東京化成社製)9部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物12を得た。
【0210】
<実施例13>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃、分子量104、KHネオケム社製)3部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を、2-ヘプタノン(沸点151℃、東京化成社製)9部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物13を得た。
【0211】
<実施例14>
実施例1において、MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)の量を9部から3部に変え、
さらに、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、沸点146℃、東京化成社製)6部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物14を得た。
【0212】
<請求項15>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃、分子量104、KHネオケム社製)3部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、沸点146℃、東京化成社製)6部に変え、
さらに、2-ヘプタノン(沸点151℃、東京化成社製)3部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物15を得た。
【0213】
<実施例16>
実施例1において、有機充填材(「AC3816N」アイカ工業社製)2部を、有機充填材(「MM-101SM」根上工業社製)2部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物16を得た。
【0214】
<実施例17>
実施例1において、さらに、無機充填材(「UFP-30」平均粒径0.3μm、デンカ社製)20質量部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物17を得た。
【0215】
<実施例18>
実施例1において、さらに無機充填材(「SO-C2」平均粒径0.5μm、アドマテックス社製)20質量部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物18を得た。
【0216】
<実施例19>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)の量を3部から1部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)の量を9部から11部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物19を得た。
【0217】
<実施例20>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)の量を3部から11部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)の量を9部から1部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物20を得た。
【0218】
<比較例1>
実施例1において、(A-3)成分(「MEHC-7851SS」明和化成社製)の量を5部から10部に変え、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物21を得た。
【0219】
<比較例2>
実施例1において、(A-2)成分(「TR4020G」旭有機材社製)の量を10部から15部に変え、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物22を得た。
【0220】
<比較例3>
実施例1において、(A-1)成分(「BisE」本州化学社製)5部を、下記構造式で表されるアルカリ可溶性樹脂(「TrisP-PA」本州化学社製)5質量部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物23を得た。
【化36】
【0221】
<比較例4>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を用いず、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)の量を9部から12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物24を得た。
【0222】
<比較例5>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を用いず、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、沸点146℃、東京化成社製)12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物25を得た。
【0223】
<比較例6>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を用いず、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を、2-ヘプタノン(沸点151℃、東京化成社製)12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物26を得た。
【0224】
<比較例7>
実施例1において、実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)の量を3部から12部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物27を得た。
【0225】
<比較例8>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、乳酸エチル(沸点154℃、東京化成社製)12部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物28を得た。
【0226】
<比較例9>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃、分子量104、KHネオケム社製)12部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物29を得た。
【0227】
<比較例10>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(沸点170℃、分子量132、ダイセル社製)12部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物30を得た。
【0228】
<比較例11>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、エタノール(沸点78℃、東京化成社製)12部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物31を得た。
【0229】
<比較例12>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)3部を、エチルセロソルブ(沸点135℃、東京化成社製)12部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)9部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物32を得た。
【0230】
<比較例13>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)の量を3部から0.01部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)の量を9部から11.99部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物33を得た。
【0231】
<比較例14>
実施例1において、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点120℃、東京化成社製)の量を3部から11.99部に変え、
MEK(メチルエチルケトン、沸点79.64℃、純正化学社製)の量を9部から0.01部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物34を得た。
【0232】
<樹脂ワニスの調製>
各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を目視で観察し、以下の基準で評価した。
〇:均一に溶解、分散している。
×:均一に溶解、分散していない。
【0233】
<支持体付き感光性フィルムの作製>
支持体としてPETフィルム(リンテック社製「AL5」、厚み38μm)を用意した。各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物をかかるPETフィルムに乾燥後の感光性樹脂組成物層の厚みが20μmになるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、80℃から110℃で6分間乾燥し、続いて保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(タマポリ社製「GF-8」、厚み20μmをロールラミネータで60℃、圧力0.3MPaで貼り合わせて、支持体付き感光性フィルムを得た。
【0234】
<溶剤比率の算出>
感光性樹脂組成物(樹脂ワニス)の溶剤の比率は、配合比率から算出した。また、支持体付き感光性フィルムの溶剤の比率は、GC-MS法により分析して算出した。
【0235】
<ラミネート性の評価>
支持体付き感光性フィルムの保護フィルムを剥離後、感光性樹脂組成物層が4インチシリコンウェハ表面と接するように配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、VP160)を用いて積層し、前記シリコンウェハと、前記感光性樹脂組成物層と、前記支持体とがこの順に積層された積層体Aを形成した。圧着条件は、真空引きの時間30秒間、圧着温度80℃、圧着圧力0.7MPa、加圧時間30秒間とした。支持体を剥離して感光性樹脂組成物層と4インチシリコンウェハを光学顕微鏡で観察し、積層体中に観察される気泡の数を数えた。
◎:0個
○:1~2個
△:3~9個
×:10個以上
【0236】
<現像性の評価>
上記方法で作製した積層体Aを室温で30分以上静置し、該積層体の支持体を剥離した後、丸穴パターンを用いパターン形成装置を用いて、紫外線(波長365nm、強度40mW/cm)で露光を行った。露光量は50mJ/cmから1000mJ/cmの範囲の最適値を設定した。露光パターンは開口20μmの丸穴(ビア)を描画させる石英ガラスマスクを使用した。
【0237】
次に、80℃、10分間の加熱処理を行った後、該積層板上の感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として23℃の2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液をスプレー圧0.1MPaにて60秒間のスプレー現像を行い、続いて、水をスプレー圧0.1MPaにて30秒間スプレーリンスを行った。その後、1J/cmの紫外線照射を行い、さらに190℃、60分間の加熱処理を行って感光性樹脂組成物層を硬化させた。
【0238】
露光パターンの開口20μmのビアの底部の径をSEMで観察(倍率1000倍)して測定した。なお、ビアの開口部よりもビアの底部が大きくなり(逆テーパ)、SEMでビアの底部が観測できない場合は、「逆テーパ」と示した。
◎:15μm以上20μm未満
〇:10μm以上15μm未満または20μm以上25μm未満
△:5μm以上10μm未満
×:5μm未満または逆テーパ
【0239】
【表1】
【0240】
【表2】
*表中、「感光性樹脂組成物中の(D-1)成分の含有量」は、(D)成分全体を100質量%とした場合の(D-1)成分の含有量を表す。
【0241】
各実施例において、(E)成分及び(F)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。