(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H02K3/04 Z
H02K3/04 J
(21)【出願番号】P 2020184740
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】宇賀 俊士
(72)【発明者】
【氏名】金岩 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小池 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 将由
(72)【発明者】
【氏名】榎園 和也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 寛士
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-193600(JP,A)
【文献】特開2016-123249(JP,A)
【文献】特開2014-036559(JP,A)
【文献】特開2001-069707(JP,A)
【文献】特開2020-099180(JP,A)
【文献】特開2006-094694(JP,A)
【文献】特開2014-093861(JP,A)
【文献】特許第6623961(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K3/00-3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子巻線(32)と、前記電機子巻線が巻装される電機子コア(31)と、を有する電機子(30)を備える回転電機(10)において、
前記電機子コアは、その周方向に複数のスロット(35)が設けられ、
前記電機子巻線は、複数の分割導体(50)が接続されて構成されており、
前記分割導体は、
一対の直線部(51)と、一対の前記直線部同士を繋ぐターン部(52)とを有するU字形状に構成されたものであって、前記スロットに収容されるコイルサイド部(S1)と、前記電機子コアの軸方向両側において前記電機子コアから突出するコイルエンド部(E1,E2)と、を有し、
前記コイルサイド部は、径方向において2N+1層(Nは自然数)となるように前記スロットに収容されており、
前記コイルエンド部は、周方向に所定ピッチ離れた前記スロットにそれぞれ収容された2つの前記コイルサイド部を接続するように構成され、
前記コイルエンド部には、径方向において異なる層の前記コイルサイド部同士を接続する第1コイルエンド部(E11,E21)と、径方向において同層の前記コイルサイド部同士を接続する第2コイルエンド部(E12,E22)とがあり、
軸方向両端のいずれにおいても、前記スロットに収容される複数の前記コイルサイド部のうち、いずれかが前記第2コイルエンド部に接続されて
おり、
前記電機子巻線は、重ね巻であり、
軸方向両端のうち第1端側は径方向において最外層に収容された前記コイルサイド部が、前記第2コイルエンド部に接続され、第2端側は最内層に収容された前記コイルサイド部が、前記第2コイルエンド部に接続され、
軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部(53)同士が接続された接合部(55)を有し、
前記第2コイルエンド部は、径方向において最内層もしくは最外層の前記コイルサイド部同士を接続しており、その接合部が当該最内層よりも径方向内側もしくは当該最外層よりも径方向外側に突出するように、径方向に屈曲している回転電機。
【請求項2】
電機子巻線(32)と、前記電機子巻線が巻装される電機子コア(31)と、を有する電機子(30)を備える回転電機(10)において、
前記電機子コアは、その周方向に複数のスロット(35)が設けられ、
前記電機子巻線は、複数の分割導体(50)が接続されて構成されており、
前記分割導体は、前記スロットに収容されるコイルサイド部(S1)と、前記電機子コアの軸方向両側において前記電機子コアから突出するコイルエンド部(E1,E2)と、を有し、
前記コイルサイド部は、径方向において2N+1層(Nは自然数)となるように前記スロットに収容されており、
前記コイルエンド部は、周方向に所定ピッチ離れた前記スロットにそれぞれ収容された2つの前記コイルサイド部を接続するように構成され、
前記コイルエンド部には、径方向において異なる層の前記コイルサイド部同士を接続する第1コイルエンド部(E11,E21)と、径方向において同層の前記コイルサイド部同士を接続する第2コイルエンド部(E12,E22)とがあり、
軸方向両端のいずれにおいても、前記スロットに収容される複数の前記コイルサイド部のうち、いずれかが前記第2コイルエンド部に接続されて
おり、
軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部(53)同士が接続された接合部(55)を有し、
周方向において異なるピッチを有する2つの第2コイルエンド部が、周方向で同一の位置において軸方向に重なるように、配置されており、
それらの第2コイルエンド部は、径方向において最内層もしくは最外層の前記コイルサイド部同士を接続しており、それらの接合部が当該最内層よりも径方向内側もしくは当該最外層よりも径方向外側に突出するように、前記第2コイルエンド部が径方向に屈曲している回転電機。
【請求項3】
電機子巻線(32)と、前記電機子巻線が巻装される電機子コア(31)と、を有する電機子(30)を備える回転電機(10)において、
前記電機子コアは、その周方向に複数のスロット(35)が設けられ、
前記電機子巻線は、複数の分割導体(50)が接続されて構成されており、
前記分割導体は、前記スロットに収容されるコイルサイド部(S1)と、前記電機子コアの軸方向両側において前記電機子コアから突出するコイルエンド部(E1,E2)と、を有し、
前記コイルサイド部は、径方向において2N+1層(Nは自然数)となるように前記スロットに収容されており、
前記コイルエンド部は、周方向に所定ピッチ離れた前記スロットにそれぞれ収容された2つの前記コイルサイド部を接続するように構成され、
前記コイルエンド部には、径方向において異なる層の前記コイルサイド部同士を接続する第1コイルエンド部(E11,E21)と、径方向において同層の前記コイルサイド部同士を接続する第2コイルエンド部(E12,E22)とがあり、
軸方向両端のいずれにおいても、前記スロットに収容される複数の前記コイルサイド部のうち、いずれかが前記第2コイルエンド部に接続されて
おり、
軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部(53)同士が接続された接合部(55)を有し、
周方向において異なるピッチを有する2つの第2コイルエンド部が、径方向において最内層もしくは最外層の前記コイルサイド部同士を接続しており、それらの接合部の軸方向における位置は一致し、かつ、周方向にずらされて配置されている回転電機。
【請求項4】
前記電機子巻線は、波巻であり、
軸方向両端ともに、径方向において最内層又は最外層のうちいずれか一方の層に収容された前記コイルサイド部が、前記第2コイルエンド部に接続される請求項
2又は3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記スロットにおいて、空きスペースが設けられている請求項
1~4のうちいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記スロットには、2N+2層(Nは自然数)のコイルサイド部が収容可能に構成されており、
前記スロットにおいて、空きスペースが設けられている請求項
5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記空きスペースに隣接した前記コイルサイド部は、その一部が前記空きスペースに収容されるように屈曲している請求項
5又は6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記空きスペースに隣接した前記コイルサイド部は、軸方向両端が屈曲して、前記空きスペースに収容されている請求項
7に記載の回転電機。
【請求項9】
前記空きスペースには、冷媒が通過する冷媒通路(100)が収容されている請求項
5又は6に記載の回転電機。
【請求項10】
周方向に離間した前記電機子巻線の巻線端部同士を接続するバスバーユニット(200)を備え、
前記バスバーユニットは、前記コイルエンド部の径方向外側に配置されており、
前記バスバーユニットは、固定部材(201)によって前記電機子コアに固定されており、
前記固定部材は、前記空きスペースに挿入されて固定される請求項
5又は6に記載の回転電機。
【請求項11】
前記空きスペースには、ダミーコイル(301)が収容される請求項
5又は6に記載の回転電機。
【請求項12】
前記分割導体は、U字形状又はI字形状に構成されている請求項
2~11のうちいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項13】
前記第1コイルエンド部(E11,E21)は、周方向において極ピッチと同じピッチ離れている前記コイルサイド部(S1)同士を接続する請求項1~
12のうちいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項14】
前記第1コイルエンド部(E11,E21)は、周方向において極ピッチよりも小さいピッチだけ離れている前記コイルサイド部(S1)同士を接続する請求項1~
12のうちいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項15】
電機子巻線(32)と、前記電機子巻線が巻装される電機子コア(31)と、を有する電機子(30)を備える回転電機(10)において、
前記電機子コアは、その周方向に複数のスロット(35)が設けられ、
前記電機子巻線は、複数の分割導体(50)が接続されて構成されており、
前記分割導体は、前記スロットに収容されるコイルサイド部(S1)と、前記電機子コアの軸方向両側において前記電機子コアから突出するコイルエンド部(E1,E2)と、を有し、
前記コイルサイド部は、径方向において2N+1層(Nは自然数)となるように前記スロットに収容されており、
前記コイルエンド部は、周方向に所定ピッチ離れた前記スロットにそれぞれ収容された2つの前記コイルサイド部を接続するように構成され、
前記コイルエンド部には、径方向において異なる層の前記コイルサイド部同士を接続する第1コイルエンド部(E11,E21)と、径方向において同層の前記コイルサイド部同士を接続する第2コイルエンド部(E12,E22)とがあり、
軸方向両端のいずれにおいても、前記スロットに収容される複数の前記コイルサイド部のうち、いずれかが前記第2コイルエンド部に接続されて
おり、
前記スロットにおいて、空きスペースが設けられており、
前記空きスペースに隣接した前記コイルサイド部は、その一部が前記空きスペースに収容されるように屈曲している回転電機。
【請求項16】
電機子巻線(32)と、前記電機子巻線が巻装される電機子コア(31)と、を有する電機子(30)を備える回転電機(10)において、
前記電機子コアは、その周方向に複数のスロット(35)が設けられ、
前記電機子巻線は、複数の分割導体(50)が接続されて構成されており、
前記分割導体は、前記スロットに収容されるコイルサイド部(S1)と、前記電機子コアの軸方向両側において前記電機子コアから突出するコイルエンド部(E1,E2)と、を有し、
前記コイルサイド部は、径方向において2N+1層(Nは自然数)となるように前記スロットに収容されており、
前記コイルエンド部は、周方向に所定ピッチ離れた前記スロットにそれぞれ収容された2つの前記コイルサイド部を接続するように構成され、
前記コイルエンド部には、径方向において異なる層の前記コイルサイド部同士を接続する第1コイルエンド部(E11,E21)と、径方向において同層の前記コイルサイド部同士を接続する第2コイルエンド部(E12,E22)とがあり、
軸方向両端のいずれにおいても、前記スロットに収容される複数の前記コイルサイド部のうち、いずれかが前記第2コイルエンド部に接続されて
おり、
前記スロットにおいて、空きスペースが設けられており、
周方向に離間した前記電機子巻線の巻線端部同士を接続するバスバーユニット(200)を備え、
前記バスバーユニットは、前記コイルエンド部の径方向外側に配置されており、
前記バスバーユニットは、固定部材(201)によって前記電機子コアに固定されており、
前記固定部材は、前記空きスペースに挿入されて固定される回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、多相の電機子巻線が電機子コアに巻装された電機子を有する。この電機子巻線として、従来、U字形状のコイルセグメントの両脚部を、電機子コアのスロットに対して、軸方向一方側から差し込み、他方側において突出したコイルセグメントの脚部同士を接続することにより、構成するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転電機に対するさまざまな要求に対応可能とするため、固定子巻線のターン数のバリエーションは、多いほうが望ましいが、所望のターン数を実現するためには、スロット内のコイルサイド部の層数を一層単位で細かく変更する必要がある。しかしながら、コイルセグメントで固定子巻線を構成する場合、従来技術では、軸方向一方側のコイルエンドでは必ず径方向において隣の層のコイルサイド部同士を溶接し接続する構成としていた。すなわち、径方向において同一層のコイルサイド部同士を接続するコイルエンドは軸方向他方側にしか配置されないため、巻線の基本構成を維持したままコイルサイド部の層数を偶数から奇数に変更することは不可能であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来のコイルサイド部が偶数層の電機子からの変更を抑えて奇数層の電機子を構成することにより、ターン数を奇数にする際、仕様の変更が容易に行うことができる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、電機子巻線と、前記電機子巻線が巻装される電機子コアと、を有する電機子を備える回転電機において、前記電機子コアは、その周方向に複数のスロットが設けられ、前記電機子巻線は、複数の分割導体が接続されて構成されており、前記分割導体は、前記スロットに収容されるコイルサイド部と、前記電機子コアの軸方向両側において前記電機子コアから突出するコイルエンド部と、を有し、前記コイルサイド部は、径方向において2N+1層(Nは自然数)となるように前記スロットに収容されており、前記コイルエンド部は、周方向に所定ピッチ離れた前記スロットにそれぞれ収容された2つの前記コイルサイド部を接続するように構成され、前記コイルエンド部には、径方向において異なる層の前記コイルサイド部同士を接続する第1コイルエンド部と、径方向において同層の前記コイルサイド部同士を接続する第2コイルエンド部とがあり、軸方向両端のいずれにおいても、前記スロットに収容される複数の前記コイルサイド部のうち、いずれかが前記第2コイルエンド部に接続されている。
【0007】
上記構成により、コイルサイド部を、2N+1層(Nは自然数)となるようにスロットに収容して、電機子巻線のターン数を奇数にすることができる。また、コイルサイド部を2N+2層(Nは自然数)とする場合、軸方向両端のうち第1端側において、スロットに収容される複数のコイルサイド部のうち、偶数個のコイルサイド部を前記第2コイルエンド部に接続する一方、第2端側では、すべてを第1コイルエンド部に接続すればよい。このため、コイルサイド部を、2N+2層から2N+1層に変更する場合には、コイルサイド部の層数を減らしつつ、第1端側の第2コイルエンド部をなくす代わりに、第2端側に第2コイルエンド部を設ければよい。したがって、コイルサイド部の層数を2N+2層から2N+1層に変更することが容易に行うことができ、ターン数の変更が容易となる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段において、前記第2コイルエンド部は、径方向において最外層又は最内層に配置されている前記コイルサイド部同士を接続するものである。
【0009】
第1コイルエンド部と、第2コイルエンド部とは、形状が異なるものであるため、第1コイルエンド部を第2コイルエンド部に変更すると、干渉する可能性がある。このため、第2コイルエンド部を、最外層及び最内層以外に配置すると、その形状の違いから第1コイルエンド部と干渉し、第2コイルエンド部のみならず、第1のコイルエンド部の形状を変更する必要がある可能性がある。そこで、第2コイルエンド部を、径方向において最外層又は最内層に配置して、第2コイルエンド部の形状を任意に変更可能な空間を確保し、第1コイルエンド部の形状変更を回避できるようにした。
【0010】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記電機子巻線は、重ね巻であり、軸方向両端のうち第1端側は径方向において最外層に収容された前記コイルサイド部が、前記第2コイルエンド部に接続され、第2端側は最内層に収容された前記コイルサイド部が、前記第2コイルエンド部に接続される。
【0011】
これにより、最内層又は最外層のうちいずれか一方の層のみを変更すればよく、変更箇所を少なくすることができる。
【0012】
第4の手段は、第1又は第2の手段において、前記電機子巻線は、波巻であり、軸方向両端ともに、径方向において最内層又は最外層のうちいずれか一方の層に収容された前記コイルサイド部が、前記第2コイルエンド部に接続される。
【0013】
これにより、最内層又は最外層のうちいずれか一方の層のみを変更すればよく、変更箇所を少なくすることができる。
【0014】
第5の手段は、第1~第4のうちいずれかの手段において、前記電機子の軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記第2コイルエンド部は、径方向において最内層又は最外層に配置され、かつ、前記分割導体の導体端部同士が接続された接合部を有する。
【0015】
第2コイルエンド部は、第1コイルエンド部と形状が異なるため、第2コイルエンド部と、第1コイルエンド部とを混在させた状態で、導体端部同士を接続することは難しい。そこで、上記手段のように、接合部により構成された第2コイルエンド部を、比較的スペースに余裕がある最内層又は最外層に配置することにより、導体端部同士を容易に接続可能となるようにした。
【0016】
第6の手段は、第1~第5のうちいずれかの手段において、軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部同士が接続された接合部を有し、前記第1コイルエンド部における接合部では、前記導体端部が径方向に重なるようにして接合されており、前記第2コイルエンド部における接合部では、前記導体端部が周方向に重なるようにして接合されている。
【0017】
上記構成により、第1コイルエンド部は、径方向に異なる層のコイルサイド部を接続することから、導体端部を径方向に重なるようにして接続することにより、第1コイルエンド部における曲げ量を少なくすることができる。また、第2コイルエンド部は、径方向に同じ層のコイルサイド部を接続することから、導体端部を周方向に重なるようにして接続することにより、第2コイルエンド部における曲げ量を少なくすることができる。
【0018】
第7の手段は、第1~第5のうちいずれかの手段において、軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部同士が接続された接合部を有し、前記第2コイルエンド部における接合部は、前記第1コイルエンド部における接合部に対して周方向にずれている。
【0019】
これにより、第2コイルエンド部における接合部と第1コイルエンド部における接合部を周方向にずらすことで、径方向寸法の増大を抑制しつつ、接合部間の距離を確保することができ、小型化することができる。
【0020】
第8の手段は、第1~第5のうちいずれかの手段において、軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部同士が接続された接合部を有し、前記第2コイルエンド部は、径方向において最内層もしくは最外層の前記コイルサイド部同士を接続しており、その接合部が当該最内層よりも径方向内側もしくは当該最外層よりも径方向外側に突出するように、径方向に屈曲している。
【0021】
第1コイルエンド部と形状が異なる第2コイルエンド部を最内層又は最外層に配置することにより、他のコイルエンド部の邪魔となることを防止できる。また、その接合部が当該最内層よりも径方向内側もしくは当該最外層よりも径方向外側に突出するように、径方向に屈曲させることにより、接続しやすくなる。
【0022】
第9の手段は、第1~第5のうちいずれかの手段において、軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部同士が接続された接合部を有し、周方向において異なるピッチを有する2つの第2コイルエンド部が、周方向で同一の位置において軸方向に重なるように、配置されており、それらの第2コイルエンド部は、径方向において最内層もしくは最外層の前記コイルサイド部同士を接続しており、それらの接合部が当該最内層よりも径方向内側もしくは当該最外層よりも径方向外側に突出するように、前記第2コイルエンド部が径方向に屈曲している。
【0023】
上記構成のように、第2コイルエンド部を軸方向に重ねることにより、径方向寸法を抑制することができる。また、第2コイルエンド部の接合部を、径方向外側もしくは径方向外側に突出させるので、導体端部が接合しやすくなる。
【0024】
第10の手段は、第1~第5のうちいずれかの手段において、軸方向両端のうち少なくとも一方において、前記コイルエンド部は、前記分割導体の導体端部同士が接続された接合部を有し、周方向において異なるピッチを有する2つの第2コイルエンド部が、径方向において最内層もしくは最外層の前記コイルサイド部同士を接続しており、それらの接合部の軸方向における位置は一致し、かつ、周方向にずらされて配置されている。
【0025】
上記構成のように、第2コイルエンド部を径方向に並べることにより、軸方向寸法を抑制することができる。また、第2コイルエンド部の接合部の軸方向における位置を一致させるため、導体端部が接合しやすくなる。
【0026】
第11の手段は、第1~第10のうちいずれかの手段において、前記スロットにおいて、空きスペースが設けられている。
【0027】
これにより、空きスペースの範囲内で巻線仕様を変更する際、電機子コアの仕様を変更する必要がなくなり、仕様変更が容易となる。
【0028】
第12の手段は、第11の手段において、前記スロットには、2N+2層(Nは自然数)のコイルサイド部が収容可能に構成されており、前記スロットにおいて、空きスペースが設けられている。
【0029】
これにより、スロットに、2N+2層のコイルサイド部を収容する場合であっても、電機子コアの仕様を変更する必要がなくなる。
【0030】
第13の手段は、第11又は第12の手段において、前記空きスペースに隣接したコイルサイド部は、その一部が前記空きスペースに収容されるように屈曲している。
【0031】
これにより、空きスペースに詰め物を入れなくてもよい。また、コイルサイド部の一部の位置が変更されるので、渦電流を抑制することができる。特に、径方向において回転子側(磁石部側)に空きスペースが設けられた場合、渦電流をより抑制することができる。
【0032】
第14の手段は、第13の手段において、前記空きスペースに隣接した前記コイルサイド部は、軸方向両端が屈曲して、前記空きスペースに収容されている。
【0033】
上記構成において、空きスペースに隣接したコイルサイド部に第2コイルエンド部が接続される場合、当該第2コイルエンド部が屈曲可能なスペースを確保できる。また、第2コイルエンド部の曲げ量を少なくすることができる。また、第2コイルエンド部が接合部を有する場合、導体端部の接続が容易となる。
【0034】
第15の手段は、第11又は第12の手段において、前記空きスペースには、冷媒が通過する冷媒通路が収容されている。
【0035】
これにより、電機子の冷却性能を向上させることができる。
【0036】
第16の手段は、第11又は第12の手段において、周方向に離間した前記電機子巻線の巻線端部同士を接続するバスバーユニットを備え、前記バスバーユニットは、前記コイルエンド部の径方向外側に配置されており、前記バスバーユニットは、固定部材によって前記電機子コアに固定されており、前記固定部材は、前記空きスペースに挿入されて固定される。
【0037】
上記手段によれば、電機子コアにバスバーユニットを固定するための孔を設ける必要がなくなり、固定が容易となる。また、電機子コアに孔を設けて、磁束磁路が乱れることを防止できる。
【0038】
第17の手段は、第11又は第12の手段において、前記空きスペースには、ダミーコイルが収容される。
【0039】
上記手段によれば、スペースをダミーコイルで埋めることにより、空間が生じることによるコイル接着用ワニスの流出を抑制することができる。
【0040】
第18の手段は、第1~第17のうちいずれかの手段において、前記分割導体は、U字形状又はI字形状に構成されている。これにより、固定子コアを分割することなく占積率の高い巻線を実現することができる。また、特にU字形状の分割導体を用いることで、分割導体同士の接続部が軸方向片側のみになり、生産性向上に寄与する。
【0041】
第19の手段は、第1~第18のうちいずれかの手段において、前記第1コイルエンド部は、周方向において極ピッチと同じピッチ離れている前記コイルサイド部同士を接続する。これにより、全節巻を構成することで、巻線係数が大きくなり、トルク向上に寄与する。
【0042】
第20の手段は、第1~第18のうちいずれかの手段において、前記第1コイルエンド部は、周方向において極ピッチよりも小さいピッチだけ離れている前記コイルサイド部同士を接続する。これにより、短節巻を構成することで、コイルエンド高さが抑えられ、小型化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図9】導体セグメント及び固定子鉄心の一部を示す斜視図。
【
図11】U相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図16】第2実施形態における第2端側のコイルエンド部の拡大斜視図。
【
図17】第2実施形態における固定子巻線32の一部を示す斜視図。
【
図18】第2端側における接合部55を示す平面図。
【
図19】第2実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図21】第3実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図22】第4実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図24】第5実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図25】第6実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図26】第7実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図27】第8実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図29】第9実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図30】第10実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図31】第11実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図32】(a)は、第11実施形態における第2コイルエンド部を示す正面図、(b)は、その側面図。
【
図33】第11実施形態の別例における第2コイルエンド部を示す正面図。
【
図34】第12実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図35】第13実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図37】第14実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図38】第15実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図39】第16実施形態におけるU相の固定子巻線の配線パターンを示す配線図。
【
図42】(a)は、接合部の変形例を示す平面図、(b)は、接合部の変形例を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態及び変形例相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。各実施形態の回転電機としてのモータ10は、車両用電動機として用いられる。
【0045】
(第1実施形態)
図1に示すモータ10は、永久磁石界磁型のものであり、具体的には3相巻線を有する永久磁石界磁型同期機である。モータ10は、ハウジング20と、ハウジング20に固定される電機子としての固定子30と、固定子30に対して回転する回転子40と、回転子40が固定される回転軸11と、を備える。以下、本実施形態において、軸方向とは、回転軸11の軸方向のことを示す(図において矢印Y1で示す)。径方向とは、回転軸11の径方向のことを示す(図において矢印Y2で示す)。周方向とは、回転軸11の周方向のことを示す(図において矢印Y3で示す)。
【0046】
ハウジング20は、円筒形状に形成されており、ハウジング20内には、固定子30及び回転子40等が収容されている。ハウジング20には、軸受け23,24が設けられており、この軸受け23,24により回転軸11が回転自在に支持されている。ハウジング20の内周面の軸心は、回転軸11と同軸となっている。
【0047】
回転子40は、磁気回路の一部を構成するものであり、周方向に1又は複数対の磁極を有し、固定子30に対して径方向に対向するように配置される。回転子40は、周知の構成でよく、例えば、IPM型(Interior Permanent Magnet:埋め込み磁石型)の回転子であっても、SPM型(Surface Permanent Magnet:表面磁石側)の回転子であってもよい。また、回転子40として、界磁巻線型やリラクタンス型、かご状導体を備えた非同期型等、回転子の種類によらず適用可能である。本実施形態では、IPM型の回転子を採用している。回転子40には、回転軸11が挿通され、回転軸11を中心にして回転軸11と一体回転するように回転軸11に固定されている。
【0048】
固定子30は、ハウジング20の軸方向略中央において、ハウジング20の内周に沿って円筒状に設けられている。そして、固定子30は、回転軸11の軸心Oを中心にして、ハウジング20の内周面に固定されている。
【0049】
固定子30は、磁気回路の一部を構成するものであり、円環状をなし、回転子40の外周側において径方向に対向して配置される電機子コアとしての固定子鉄心31(ステータコア)と、固定子鉄心31に巻装された電機子巻線としての固定子巻線32(アーマチャコイル)とを有している。
【0050】
図2~
図6に示すように、固定子鉄心31は、円環状のバックヨーク(バックコア)33と、バックヨーク33から径方向内側へ突出し周方向に所定距離を隔てて配列された複数のティース34とを有し、隣り合うティース34の間にスロット35(ステータスロット)が形成されている。固定子鉄心31においてスロット35は周方向に等間隔に設けられ、そのスロット35に固定子巻線32が巻装される。本実施形態では、ティース34及びスロット35の数は、「48」とされている。
【0051】
固定子巻線32は、
図8に示すように、Y結線(スター結線)された2つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。そして、固定子巻線32は、電力(交流電力)が供給されることで磁束を発生する。固定子巻線32は、略矩形断面(平角断面)の一定太さの電気導体を略U字状に成形した分割導体としての複数の導体セグメント50を、固定子鉄心31の軸方向両端のうち第1端側からスロット35に挿入し、それらの導体端部53を接続して構成されている。以下、詳しく説明する。
【0052】
図9に示すように、導体セグメント50は、略U字状をなし、一対の直線状の直線部51と、一対の直線部51どうしを繋ぐように屈曲形成されたターン部52とを有している。導体セグメント50は、横断面が矩形状をなす導体(対向する一対の平面部を有する導体)を絶縁被膜により被覆した平角導線を用いて構成され、略U字形状に塑性変形させることで形成されている。
【0053】
固定子鉄心31には、複数の導体セグメント50が径方向に一列に並べられた状態でスロット35内に挿入されている。複数の導体セグメント50がスロット35内に挿入された際、
図10に示すように、導体セグメント50の各直線部51は、スロット35内において径方向に1列に並べられ、かつ、2N+1層(Nは自然数、本実施形態では7層)に積層されるように収容されている。直線部51のうち、スロット35内に収容された部分が、固定子巻線32のうちコイルサイド部S1に相当する。
【0054】
なお、スロット35内には、固定子鉄心31と固定子巻線32(導体セグメント50)との間を電気絶縁する絶縁シート36(インシュレータ)が設けられている。絶縁シート36は、スロット35内に挿入される複数(本実施形態では7個)のコイルサイド部S1の形状及び大きさに応じて折り曲げられ、これら複数のコイルサイド部S1をまとめて囲むように設けられている。これにより、絶縁シート36は、スロット35内において固定子鉄心31の内周面(内壁面)とコイルサイド部S1との間に挟まれた状態で設けられている。絶縁シート36は、固定子鉄心31の端面よりもわずかに外側に突出して設けられている。
【0055】
前述したように、各導体セグメント50の直線部51は、固定子30の軸方向両端のうち、第1端側から挿入されている。このため、
図3や
図6に示すように、固定子巻線32のうち、固定子鉄心31から第1端側(
図3において下側)に突出する部分である複数のコイルエンド部E1は、それぞれターン部52によって構成されている。
【0056】
一方、各直線部51は、固定子鉄心31の軸方向の厚さよりも大きい長さを有しているため、固定子30の軸方向両端のうち、第2端側から各直線部51の導体端部53(直線部51においてターン部52とは逆側の端部)が突出する。これらの導体端部53は、
図3や
図5に示すように、異なる導体セグメント50どうしで接合され、第2端側(
図3において上側)におけるコイルエンド部E2を構成する。
【0057】
コイルエンド部E2についてより詳しく説明する。導体セグメント50において、固定子鉄心31から軸方向の第2端側へ突出した一対の直線部51の導体端部53が、固定子鉄心31の端面に対して所定の角度をもって斜行するように互いに周方向反対側へ捻られている。そして、異なる導体セグメント50の導体端部53どうしが溶接等により接合されることで、接合部55が形成されている。接合される際、各導体セグメント50の導体端部53の先端は、絶縁被膜から露出した状態となっており、その先端どうしを重ね合わされた状態で互いに接合されている。
【0058】
コイルエンド部E2は、固定子鉄心31から第2端側に突出している部分のことであるため、固定子鉄心31の端面に対して斜行する一対の導体セグメント50の導体端部53と、それらが接合された接合部55と、をそれぞれ有することとなる。
【0059】
このように固定子鉄心31に複数の導体セグメント50が組み付けられることにより、
図7に示すように、導体セグメント50どうしが接続され、固定子巻線32が構成される。なお、
図7において、固定子巻線32の一部を図示する。各導体セグメント50が所定の配線パターンで接続されることにより、固定子鉄心31に固定子巻線32が巻装された状態となっている。
【0060】
ここで固定子巻線32の配線パターンについて、
図11に基づいて説明する。なお、以下において、配線パターンを示す図面では、説明の都合上、3相の固定子巻線32のうち1相(例えば、U相)のみの配線パターンを示すが、他の2相の固定子巻線32の配線パターンも同様である。配線パターンを示す図面とは、
図11,
図12,
図19,
図21,
図22,
図24~
図31,
図34~
図39のことを示す。以下、同様である。また、配線パターンを示す図面において、上部にスロット35のスロット番号を示す。また、配線パターンを示す図面において、上下方向が径方向に相当し、左右方向が周方向に相当する。また、配線パターンを示す図面において、上側が径方向内側(回転子40の側)に相当し、下側が径方向外側に相当する。また、配線パターンを示す図面において、実線にて第1端側(
図3において下側)のコイルエンド部E1を図示し、破線にて第2端側(
図3において上側)のコイルエンド部E2を図示する。
【0061】
また、配線パターンを示す図面において、U相の動力線と、U相の固定子巻線32とが接続される箇所(U相の引出線)を、白抜きの上向き矢印で示す。同様に、V相の動力線と、V相の固定子巻線32とが接続される箇所(V相の引出線)を、黒塗りの上向き矢印で示す。同様に、W相の動力線と、W相の固定子巻線32とが接続される箇所(W相の引出線)を、ハッチングされた上向き矢印で示す。また、配線パターンを示す図面において、中性点と、U相の固定子巻線32とが接続される箇所(U相の引出線)を、白抜きの下向き矢印で示す。同様に、中性点と、V相の固定子巻線32とが接続される箇所(V相の引出線)を、黒塗りの下向き矢印で示す。同様に、中性点と、W相の固定子巻線32とが接続される箇所(W相の引出線)を、ハッチングされた下向き矢印で示す。
【0062】
図11に示すように、本実施形態の固定子巻線32は、コイルピッチと極ピッチ(毎極毎相ピッチ)が等しい全節巻であり、かつ、重ね巻により巻装されている。また、2つの3相の固定子巻線32が並列に接続されている(2パラレル)。
図11では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0063】
図11に示すように、周方向に隣接する2つのスロット35に同相のコイルサイド部S1が収容されている。第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続するコイルエンド部E1(以下、第1コイルエンド部E11と示す)は、径方向において最内層以外に配置されている。第1コイルエンド部E11は、径方向内側からn+2層目(nは1,3,5のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該n+2層目のコイルサイド部S1から時計回り方向(
図11において右方向)に6ピッチ(6スロット)離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からn+1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。このため、第1端側の各第1コイルエンド部E11は、周方向に対して所定角度で斜めとなり、隣り合う第1コイルエンド部E11どうしが干渉しにくくなるように構成されている。なお、全節巻においては、第1コイルエンド部E11は、周方向において極ピッチと同じピッチ(本実施形態では、6ピッチ)離れているコイルサイド部S1同士を接続している。極ピッチとは、周方向において、異なる磁極間のピッチ(NS磁極ピッチ)のことである。
【0064】
一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続するコイルエンド部E1(以下、第2コイルエンド部E12と示す)は、径方向において最内層に配置されている。第2コイルエンド部E12は、時計回り方向に5ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0065】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続するコイルエンド部E2(以下、第1コイルエンド部E21と示す)は、径方向において最外層以外に配置されている。第1コイルエンド部E21は、径方向内側からn層目(nは1,3,5のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該n層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からn+1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。なお、全節巻においては、第1コイルエンド部E21は、周方向において極ピッチと同じピッチ離れているコイルサイド部S1同士を接続している。
【0066】
そして、第2端側において、第1コイルエンド部E21が有する接合部55は、
図4や
図5に示すように、対となる導体端部53どうしを径方向に重ねて接合されることにより構成されている。また、径方向に隣り合う第1コイルエンド部E21の各接合部55は、径方向に一列となるように配列されている。このため、第2端側の第1コイルエンド部E21は、
図4や
図11等に示すように、周方向に対して所定角度で斜めとなり、隣り合う第1コイルエンド部E21どうしが干渉しにくくなるように構成されている。
【0067】
一方、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に同層のコイルサイド部S1を接続するコイルエンド部E2(以下、第2コイルエンド部E22と示す)は、径方向において最外層に配置されている。第2コイルエンド部E22は、時計回り方向に7ピッチ離れた最外層(径方向内側から7層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0068】
ところで、第2端側において、同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22が有する接合部55は、
図4や
図5に示すように、対となる導体端部53どうしを径方向に重ねて接合されることにより構成されている。つまり、第1コイルエンド部E21の接合部55と同様に、径方向に一列となるように配列されている。このため、対となる導体端部53のうち、時計回り方向において、右側の導体端部53を径方向外側に屈曲させて、右側の導体端部53が左側の導体端部53よりも径方向外側となるように構成している。
【0069】
なお、例えば、
図11の一点鎖線で囲む部分によって図示されるように、固定子30の第2端側において、周方向に隣り合う同相の第2コイルエンド部E22は、交差するようになっている。つまり、対となる最外層の導体端部53どうしを、周方向に沿って配線させると、周方向に隣り合う同相の第2コイルエンド部E22と干渉する。
【0070】
このため、第2コイルエンド部E22を設ける場合、周方向に隣り合う同相の第2コイルエンド部E22と干渉しないように、対となる導体端部53のうち、時計回り方向において、右側の導体端部53を径方向外側に大きく屈曲させている(
図3の破線部分参照)。
【0071】
ここで、固定子巻線32のターン数を、偶数から奇数に変更する方法について説明する。まず、前提として、
図12の比較例について説明する。
図12は、全節巻であり、かつ、重ね巻であって、2つの3相の固定子巻線32が並列に接続されている固定子巻線32の配線パターンを示しており、
図11の配線パターンとはターン数が異なる。以下では、
図12に示す比較例の配線パターンについて、
図11に示す本実施形態の配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。
【0072】
図12の比較例では、第1端側のコイルエンド部E1のうち、第1コイルエンド部E11は、
図11と同様に設けられている。一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、径方向において最内層と最外層に配置されている。以下、径方向において最内層の第2コイルエンド部E12を、第2コイルエンド部E12aと示し、最外層の第2コイルエンド部E12を、第2コイルエンド部E12bと示す。
【0073】
第2コイルエンド部E12aは、時計回り方向に5ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。つまり、第2コイルエンド部E12aは、
図11の第2コイルエンド部E12と同様に設けられている。第2コイルエンド部E12bは、時計回り方向に7ピッチ離れた最外層(径方向内側から8層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0074】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E21は、径方向内側からm層目(mは1,3,5,7のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該m層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からm+1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。つまり、
図11の配線パターンに比較して、第1コイルエンド部E21が増えている。
【0075】
このため、
図12(ターン数が偶数)から
図11(ターン数が奇数)に示す配線パターンに変更する場合には、最外層の構成のみを変更すればよい。詳しく説明すると、まず、各スロット35に収容されるコイルサイド部S1の数を減らして奇数(7層)にする。具体的には、第2端側の第1コイルエンド部E21を減らす。
【0076】
そして、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。より詳しくは、第1端側において、最外層の第2コイルエンド部E12bをなくし、代わりに、第2端側において、最外層のコイルサイド部S1同士を第2コイルエンド部E22にて接続すればよい。
【0077】
以上のように説明した第1実施形態の構成によれば、以下に示すような有利な効果を得ることができる。
【0078】
第1実施形態によれば、コイルサイド部S1を、2N+1層(Nは自然数、第1実施形態では7層)となるようにスロット35に収容して、固定子巻線32のターン数を奇数にすることができる。そして、
図12に示すような配線パターン(コイルサイド部S1が8層であり、ターン数が偶数の配線パターン)から
図11に示す配線パターンに変更する場合には、第1端側にのみに設けられていた第2コイルエンド部を、第1端及び第2端にそれぞれ設ければよい。つまり、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれかが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。
【0079】
より詳しくは、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、
図12に示す第1端側の第2コイルエンド部E12bの代わりとなる第2コイルエンド部E22を、第2端側に設ければよい。なお、ターン数を奇数から偶数にする場合には、逆を行えばよい。したがって、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を7層から8層に変更すること、及び8層から7層に変更することが容易に行うことができ、ターン数の変更が容易となる。つまり、モータ10への要求に応じて、ターン数の変更が容易に行うことができる。
【0080】
第1コイルエンド部E21と、第2コイルエンド部E22とは、形状が異なるものである。このため、第2コイルエンド部E22を、最内層もしくは最外層以外に配置すると、その形状の違いから他の第1コイルエンド部E21と干渉し、第2コイルエンド部E22のみならず、第1コイルエンド部E21の形状を変更する必要がある可能性がある。そこで、第2コイルエンド部E22を、径方向において最外層に配置して、形状が異なる第2コイルエンド部E22を径方向外側に逃がし、第1コイルエンド部E21の形状変更を回避できるようにした。
【0081】
固定子巻線32は、重ね巻であり、第1端側において、最内層に収容されたコイルサイド部S1は、第2コイルエンド部E12に接続されている。そして、第2端側において、最外層に収容されたコイルサイド部S1は、第2コイルエンド部E22に接続されている。このため、偶数ターンから奇数ターンに変更する場合、最外層の導体セグメント50を変更すればよく、変更箇所を少なくすることができる。
【0082】
第2端側において、第2コイルエンド部E22は、第1コイルエンド部E21と形状が異なるため、第2コイルエンド部E22と、第1コイルエンド部E21とを混在させた状態で、導体端部53同士を接続することは難しい。そこで、第2端側において、第2コイルエンド部E22を、比較的スペースに余裕がある径方向外側に配置することにより、導体端部53同士を容易に接続可能となるようにした。
【0083】
第2端側において、第2コイルエンド部E22は、径方向において最外層のコイルサイド部S1同士を接続しており、その接合部55が当該最外層よりも径方向外側に突出するように、径方向に屈曲させている。このように、1つだけ形状が異なる第2コイルエンド部E22を最外層に配置することにより、第1コイルエンド部E21の邪魔となることを防止できる。また、その接合部55が当該最外層よりも径方向内側に突出するように、第2コイルエンド部E22を径方向に屈曲させることにより、接続しやすくなる。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態における固定子巻線32を
図13~
図19に基づいて説明する。
図13は、第2実施形態における固定子30の斜視図であり、
図14は、第2実施形態における固定子30の側面図であり、
図15は、第2実施形態における固定子30の平面図である。また、
図16は、第2実施形態における第2端側のコイルエンド部の拡大斜視図であり、
図17は、第2実施形態における固定子巻線32の一部を示す斜視図である。
図18は、第2端側における接合部55を示す平面図である。
【0085】
第2実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図19に基づいて説明する。第2実施形態では、第1実施形態の
図11に示す配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。
【0086】
図19に示すように、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11は、第1実施形態と同様である。一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、時計回り方向に7ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0087】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向において異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E21は、第1実施形態と同様である。一方、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、時計回り方向に5ピッチ離れた最外層(径方向内側から7層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。なお、各相の固定子巻線32の引出線の位置も適宜変更されている。
【0088】
ところで、第2端側において、同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22が有する接合部55は、
図15や
図16に示すように、対となる導体端部53どうしを径方向に重ねて接合されることにより構成されている。つまり、第1コイルエンド部E21の接合部55と同様に、径方向に一列となるように配列されている。このため、
図18に示すように、対となる導体端部53のうち、時計回り方向において、右側の導体端部53を径方向外側に屈曲させて、右側の導体端部53が左側の導体端部53よりも径方向外側となるように構成している。
【0089】
なお、
図16に示すように、固定子30の第2端側において、周方向に隣り合う第2コイルエンド部E22は、交差するようになっている。つまり、対となる最外層の導体端部53どうしを、周方向に沿って配線させると、周方向に隣り合う第2コイルエンド部E22と干渉する場合がある。
【0090】
このため、第2コイルエンド部E22を設ける場合、周方向に隣り合う同相の第2コイルエンド部E22と干渉しないように、対となる導体端部53のうち、時計回り方向において、右側の導体端部53を径方向外側に大きく屈曲させている(
図18参照)。
【0091】
この第2実施形態の固定子巻線32も、第1実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第2実施形態の固定子30は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(第3実施形態)
第3実施形態における固定子巻線32を
図20~
図21に基づいて説明する。第3実施形態の固定子巻線32は、
図20に示すように、Y結線(スター結線)された4つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。
【0093】
第3実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図21に基づいて説明する。
図21では、薄いドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、濃いドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、斜線でハッチングされた四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、3つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、クロスハッチング付きの四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、4つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0094】
図21の配線パターンに示すように、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ4つずつとなっている。つまり、第1実施形態において
図11に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32からの引出線(入出力端子)が増えている。それに伴い、第2端側の第2コイルエンド部E22の数が減っている。それ以外の部分において、
図21の配線パターンは、第1実施形態において
図11に示す配線パターンと同じである。
【0095】
このため、この第3実施形態の固定子巻線32も、第1実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第3実施形態の固定子30は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
(第4実施形態)
第4実施形態における固定子巻線32を
図20,
図22に基づいて説明する。第4実施形態の固定子巻線32は、
図20に示すように、Y結線(スター結線)された4つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。
【0097】
第4実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図22に基づいて説明する。
図22では、薄いドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、濃いドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、斜線でハッチングされた四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、3つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、クロスハッチング付きの四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、4つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0098】
図22の配線パターンに示すように、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ4つずつとなっている。つまり、第2実施形態において
図19に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32からの引出線(入出力端子)が増えている。それに伴い、第2端側の第2コイルエンド部E22の数が減っている。それ以外の部分において、
図22の配線パターンは、第2実施形態において
図19に示す配線パターンと同じである。
【0099】
このため、この第4実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第4実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(第5実施形態)
第5実施形態における固定子巻線32を
図23,
図24に基づいて説明する。第5実施形態の固定子巻線32は、
図23に示すように、Y結線(スター結線)された1つの3相巻線により構成されている。
【0101】
第5実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図24に基づいて説明する。
図24では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1周目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2周目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0102】
図24の配線パターンに示すように、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ1つずつとなっている。つまり、第1実施形態において
図11に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32からの引出線(入出力端子)が減っている。それに伴い、第2端側の第2コイルエンド部E22の数が増え、増えた第2コイルエンド部E22fによって、1周目のU相の固定子巻線32と、2周目のU相の固定子巻線32が接続されている。第2コイルエンド部E22fは、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。それ以外の部分において、
図24の配線パターンは、第1実施形態において
図11に示す配線パターンと同じである。
【0103】
このため、この第5実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第5実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
(第6実施形態)
第6実施形態における固定子巻線32を
図23,
図25に基づいて説明する。第6実施形態の固定子巻線32は、
図23に示すように、Y結線(スター結線)された1つの3相巻線により構成されている。
【0105】
第6実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図25に基づいて説明する。
図25では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1周目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2周目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0106】
図25の配線パターンに示すように、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ1つずつとなっている。つまり、第2実施形態において
図19に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32からの引出線(入出力端子)が減っている。それに伴い、第2端側の第2コイルエンド部E22の数が増え、増えた第2コイルエンド部E22fによって、1周目のU相の固定子巻線32と、2周目のU相の固定子巻線32が接続されている。第2コイルエンド部E22fは、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。それ以外の部分において、
図25の配線パターンは、第1実施形態において
図19に示す配線パターンと同じである。
【0107】
このため、この第6実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第5実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0108】
(第7実施形態)
第7実施形態における固定子巻線32を
図23,
図26に基づいて説明する。第7実施形態の固定子巻線32は、
図23に示すように、Y結線(スター結線)された1つの3相巻線により構成されている。
【0109】
第7実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図26に基づいて説明する。
図26では、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1周目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2周目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0110】
図26の配線パターンに示すように、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ1つずつとなっている。
【0111】
図26に示すように、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11は、第1実施形態と同様である。一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、時計回り方向に6ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。なお、隣に配置される同相の第2コイルエンド部E12どうしが干渉しないように、屈曲形成されている。
【0112】
図26に示すように、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、第1実施形態と同様である。一方、第2端側のコイルエンド部E2のうち、同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、時計回り方向に6ピッチ又は5ピッチ離れた最外層(径方向内側から7層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。なお、第2コイルエンド部E22のうち、1周目の固定子巻線32と2周目の固定子巻線32とを接続する第2コイルエンド部E22gは、5ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続しており、残りは、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。第2コイルエンド部E22は、隣に配置される同相の第2コイルエンド部E22と干渉しないように、屈曲形成されている。
【0113】
このため、この第7実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第7実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
(第8実施形態)
第8実施形態における固定子巻線32を
図23,
図27に基づいて説明する。第8実施形態の固定子巻線32は、
図23に示すように、Y結線(スター結線)された1つの3相巻線により構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ1つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0115】
第8実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図27に基づいて説明する。
図27に示すように、第8実施形態の固定子巻線32は、コイルピッチが極ピッチよりも短い短節巻であり、かつ、重ね巻により巻装されている。
図27では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1周目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2周目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0116】
図27に示すように、周方向に隣接する3つのスロット35にU相のコイルサイド部S1が分布して収容されている。具体的には、スロット番号が6k番目(kは、1~8のうちいずれかの整数)であるスロット35には、径方向内側から1,3,5層にU相のコイルサイド部S1が収容されている。また、スロット番号が6k-5番目であるスロット35には、径方向内側から1~5層にU相のコイルサイド部S1が収容されている。そして、スロット35の番号が6k-4番目であるスロット35には、径方向内側から2,4層にU相のコイルサイド部S1が収容されている。
【0117】
そして、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11は、径方向内側からt層目(tは2,4のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該t層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からt+1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。なお、短節巻において、第1コイルエンド部E11は、周方向において極ピッチよりも小さいピッチ(毎極毎相ピッチ-K,Kは毎極毎相ピッチよりも小さい自然数)だけ離れている前記コイルサイド部S1同士を接続している。
【0118】
一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向に同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、径方向において最内層に配置されている。この第2コイルエンド部E12は、時計回り方向に6ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0119】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E21は、径方向内側からt層目のコイルサイド部S1と、当該t層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からt-1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。なお、短節巻において、第1コイルエンド部E21は、周方向において極ピッチよりも小さいピッチ(毎極毎相ピッチ-K,Kは毎極毎相ピッチよりも小さい自然数)だけ離れている前記コイルサイド部S1同士を接続している。
【0120】
一方、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、径方向において最外層に配置されている。この第2コイルエンド部E12は、時計回り方向に6ピッチ又は5ピッチ離れた最外層(径方向内側から5層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0121】
なお、第2コイルエンド部E22のうち、1周目の固定子巻線32と2周目の固定子巻線32とを接続する第2コイルエンド部E22gは、5ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続しており、残りは、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。また、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している第2コイルエンド部E22は、隣に配置される同相の第2コイルエンド部E22と干渉しないように、屈曲形成されている。
【0122】
ここで、第8実施形態において固定子巻線32のターン数を、偶数から奇数に変更する方法について説明する。まず、前提として、
図28の比較例について説明する。
図28は、短節巻であり、かつ、重ね巻であって、1つに(直列に)接続された3相の固定子巻線32の配線パターンを示しており、
図27の配線パターンとはターン数が異なる。以下では、
図28に示す比較例の配線パターンについて、
図27に示す本実施形態の配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。
【0123】
図28の比較例では、第1端側のコイルエンド部E1のうち、第1コイルエンド部E11は、
図27と同様に設けられている。一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、径方向において最内層と最外層に配置されている。以下、径方向において最内層の第2コイルエンド部E12を、第2コイルエンド部E12aと示し、最外層の第2コイルエンド部E12を、第2コイルエンド部E12bと示す。
【0124】
第2コイルエンド部E12aは、時計回り方向に6ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。つまり、第2コイルエンド部E12aは、
図27の第2コイルエンド部E12と同様に設けられている。第2コイルエンド部E12bは、時計回り方向に6ピッチ離れた最外層(径方向内側から6層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0125】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E21は、径方向内側からm層目(mは2,4,6のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該m層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からm-1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。つまり、
図27の配線パターンに比較して、第1端側の第1コイルエンド部E21が増えている。
【0126】
このため、
図28(ターン数が偶数)から
図27(ターン数が奇数)に示す配線パターンに変更する場合には、最外層の構成のみを変更すればよい。詳しく説明すると、まず、各スロット35に収容されるコイルサイド部S1の数を減らして奇数(5層)にする。具体的には、第2端側の第1コイルエンド部E21を減らす。
【0127】
そして、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれかが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。より詳しくは、第1端側において、最外層の第2コイルエンド部E12bをなくし、代わりに、第2端側において、最外層のコイルサイド部S1同士を第2コイルエンド部E22にて接続すればよい。以上により、第8実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
(第9実施形態)
第9実施形態における固定子巻線32を
図23,
図29に基づいて説明する。第9実施形態の固定子巻線32は、
図23に示すように、Y結線(スター結線)された1つの3相巻線により構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ1つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0129】
第9実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図29に基づいて説明する。
図29に示すように、第9実施形態の固定子巻線32は、第8実施形態と同様に、コイルピッチが極ピッチよりも短い短節巻であり、かつ、重ね巻により巻装されている。このため、第8実施形態において
図27に示す配線パターンと異なる箇所についてのみ説明する。
【0130】
第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向に同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、径方向において最内層に配置されている。この第2コイルエンド部E12は、時計回り方向に5ピッチ又は7ピッチ離れた最内層(径方向内側から1層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0131】
このため、この第9実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第9実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0132】
(第10実施形態)
第10実施形態における固定子巻線32を
図8,
図30に基づいて説明する。第10実施形態の固定子巻線32は、
図8に示すように、Y結線(スター結線)された2つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ2つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0133】
第10実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図30に基づいて説明する。
図30に示すように、第10実施形態の固定子巻線32は、第9実施形態において
図29に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32からの引出線(入出力端子)が増えている。それに伴い、第2端側において、固定子巻線32の部分巻線どうしを接続するための第2コイルエンド部E22が減っている。具体的には、5ピッチ離れたコイルサイド部S1同士を接続する第2コイルエンド部E22gがなくなっている。それ以外の部分において、
図30の配線パターンは、第9実施形態において
図29に示す配線パターンと同じである。このため、第10実施形態では、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0134】
(第11実施形態)
第11実施形態における固定子巻線32を
図8,
図31、
図32に基づいて説明する。第11実施形態の固定子巻線32は、
図8に示すように、Y結線(スター結線)された2つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ2つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0135】
第11実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図31に基づいて説明する。なお、第9実施形態において説明した
図29の配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。
図31に示すように、第11実施形態の固定子巻線32は、第9実施形態において
図29に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32からの引出線(入出力端子)が増えている。それに伴い、第2端側において、固定子巻線32の部分巻線どうしを接続するための第2コイルエンド部E22が減っている。具体的には、5ピッチ離れたコイルサイド部S1同士を接続する第2コイルエンド部E22gがなくなっている。
【0136】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、径方向において最外層に配置されている。この第2コイルエンド部E22は、時計回り方向に5ピッチ又は7ピッチ離れた最外層(径方向内側から5層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0137】
ここで、第2コイルエンド部E22のうち、5ピッチ離れたコイルサイド部S1どうしを接続する第2コイルエンド部E22を、第2コイルエンド部E22aと示し、7ピッチ離れたコイルサイド部S1どうしを接続する第2コイルエンド部E22を、第2コイルエンド部E22bと示す。
【0138】
第2端側において、第2コイルエンド部E22a及び第2コイルエンド部22bは、
図32(a)に示すように、最外層において、軸方向に重なるように配置されている。つまり、第2コイルエンド部E22aが、第2コイルエンド部E22bと固定子鉄心31との間に挟まるように配置されている。その際、
図32(b)に示すように、第2コイルエンド部E22a及び第2コイルエンド部22bの接合部55が最外層よりも径方向外側に配置されるように第2コイルエンド部E22a及び第2コイルエンド部22bが屈曲されている。これにより、第2コイルエンド部E22a及び第2コイルエンド部22bの接合部55は、軸方向に一列に配置されるようになり、接続が容易となる。
【0139】
なお、第2コイルエンド部E22aは、第2コイルエンド部E22bに比較して電位差が高い部分となっている。つまり、中性点から遠い部分となっている。このため、絶縁性能を向上させることができる。
【0140】
このため、この第11実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第11実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0141】
なお、第2コイルエンド部E22a及び第2コイルエンド部22bは、
図32(a)に示すように、軸方向に重ねる必要はなく、任意にその形状及び配置を変更してもよい。例えば、
図33に示すように、接合部55を周方向にずらすようにその形状を変更してもよい。これによれば、軸方向の大きさを小さくすることができる。
【0142】
(第12実施形態)
第12実施形態における固定子巻線32を
図20,
図34に基づいて説明する。第12実施形態の固定子巻線32は、
図20に示すように、Y結線(スター結線)された4つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。
【0143】
第12実施形態における固定子巻線32の配線パターンについて、
図34に基づいて説明する。
図34では、左上がりの斜線のハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、右上がりの斜線のハッチングが付された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、3つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。同様に、クロスハッチングが付された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、4つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0144】
図34の配線パターンに示すように、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ4つずつとなっている。このため、
図34の配線パターンでは、第9実施形態において
図29に示す配線パターンと異なり、各相の固定子巻線32の部分巻線からの引出線が増えている。それに伴い、第2端側において、部分巻線を接続する第2コイルエンド部E22が減っている。それ以外の部分において、
図34の配線パターンは、第9実施形態において
図29に示す配線パターンと同じである。
【0145】
このため、この第12実施形態の固定子巻線32も、上記実施形態と同様に、最外層の構成を変更することにより、ターン数を偶数から奇数に容易に変更することができる。すなわち、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれか1つが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。以上により、第12実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0146】
(第13実施形態)
第13実施形態における固定子巻線32を
図23,
図35に基づいて説明する。第13実施形態の固定子巻線32は、
図23に示すように、Y結線(スター結線)された1つの3相巻線により構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ1つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0147】
ここで固定子巻線32の配線パターンについて、
図35に基づいて説明する。
図35に示すように、本実施形態の固定子巻線32は、波巻により巻装されている。
図35(a)では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1周目のU相の固定子巻線32(部分巻線)が構成されている。
図35(b)では、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2周目のU相の固定子巻線32(部分巻線)が構成されている。
【0148】
図35に示すように、周方向に隣接する2つのスロット35に同相のコイルサイド部S1が収容されている。第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11は、径方向内側からx層目(xは1,3のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該x層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からx+1層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。
【0149】
一方、第1端側のコイルエンド部E1のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12は、径方向において最内層と最外層に配置されている。最外層の第2コイルエンド部E12(以下、第2コイルエンド部E12cと示す)は、時計回り方向に6ピッチ離れた最外層(径方向内側から5層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。
【0150】
また、第1端側において、最内層の第2コイルエンド部E12(以下、第2コイルエンド部E12dと示す)は、スロット番号が42番目のスロット35に収容されたコイルサイド部S1と、48番目のスロット35に収容されたコイルサイド部S1と、を接続する。第2コイルエンド部E12dは、1周目のU相の固定子巻線32(部分巻線)と2周目のU相の固定子巻線32(部分巻線)とを直列に接続するためのものである。
【0151】
また、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E21は、径方向内側からx+1層目(xは1,3のうちいずれかの数)のコイルサイド部S1と、当該x+1層目のコイルサイド部S1から時計回り方向に6ピッチ離れたコイルサイド部S1であって、径方向内側からx層目のコイルサイド部S1と、を接続するように設けられている。
【0152】
一方、第2端側のコイルエンド部E2のうち、径方向において同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、径方向において最外層に配置されている。第2コイルエンド部E22は、時計回り方向に6ピッチ離れた最外層(径方向内側から5層目)のコイルサイド部S1どうしを接続するように設けられている。なお、
図35に示すように、最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とは周方向に交互となるように、設けられている。
【0153】
ここで、第13実施形態の固定子巻線32のターン数を、偶数から奇数に変更する方法について説明する。まず、前提として、
図36の比較例について説明する。
図36は、波巻であって、1つ(直列)の3相巻線により構成されている固定子巻線32の配線パターンを示しており、
図35の配線パターンとはターン数が異なる。以下では、
図36に示す比較例の配線パターンについて、
図35に示す本実施形態の配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。なお、
図36では、2周目のU相の固定子巻線32の配線パターンについて、数字のみを示し、図示を省略している。
【0154】
図36の比較例では、第1端側及び第2端側のいずれにおいても、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11,E21が径方向に1つずつ増えている。また、
図35と同様に、第1端側において、部分巻線を直列に接続する第2コイルエンド部E12dが径方向最内層に設けられている。
【0155】
一方、また、第1端側において、径方向最外層に、第2コイルエンド部E12(以下、第2コイルエンド部E12eと示す)が設けられている。この第2コイルエンド部E12eは、固定子巻線32を径方向に折り返すためのものであり、スロット番号が47番目のスロット35に収容された最外層のコイルサイド部S1と、6番目のスロット35に収容された最外層のコイルサイド部S1と、を接続する。なお、図示されていないが、スロット番号が48番目のスロット35に収容された最外層のコイルサイド部S1と、45番目のスロット35に収容された最外層のコイルサイド部S1と、を接続する第2コイルエンド部E12eも存在する。
【0156】
その一方で、第2端側において、同層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E22は、存在しない。このため、
図36から
図35に示す配線パターンに変更する場合には、まず、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にする。そのうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれかが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。具体的には、最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とを周方向に交互となるように設ければよい。以上により、第13実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0157】
(第14実施形態)
第14実施形態における固定子巻線32を
図8,
図37に基づいて説明する。第14実施形態の固定子巻線32は、
図8に示すように、Y結線(スター結線)された2つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ2つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0158】
ここで固定子巻線32の配線パターンについて、
図37に基づいて説明する。第14実施形態の固定子巻線32は、第13実施形態と同様に、波巻により巻装されている。このため、第13実施形態で説明した
図35の配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。
【0159】
図37(a)では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
図37(b)では、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0160】
図37に示すように、第1端側及び第2端側において、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11,E21の構成は、第13実施形態と同様である。一方、第1端側及び第2端側において、最外層には、径方向において同じ層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12c,E22が設けられている。
【0161】
図37(a)に示すように、1つ目のU相の固定子巻線32の最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とは周方向に交互となるように、設けられている。なお、1つ目のU相の固定子巻線32において、第2コイルエンド部E12c,E22のほとんどは、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。18番目のスロット35と23番目のスロット35に収容されるコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12cは、5ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。
【0162】
また、
図37(b)に示すように、2つ目のU相の固定子巻線32の最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とは周方向に交互となるように、設けられている。なお、2つ目のU相の固定子巻線32において、第2コイルエンド部E12c,E22のほとんどは、6ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。17番目のスロット35と24番目のスロット35に収容されるコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12cは、7ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。
【0163】
この第14実施形態によれば、第13実施形態と同様に、ターン数を奇数にすることができる。また、ターン数を偶数から奇数に変更する場合には、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれかが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。具体的には、最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とを周方向に交互となるように設ければよい。以上により、第14実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0164】
(第15実施形態)
第15実施形態における固定子巻線32を
図8,
図38に基づいて説明する。第15実施形態の固定子巻線32は、
図8に示すように、Y結線(スター結線)された2つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ2つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0165】
ここで固定子巻線32の配線パターンについて、
図38に基づいて説明する。第15実施形態の固定子巻線32は、第13実施形態と同様に、波巻により巻装されている。このため、第13実施形態で説明した
図35の配線パターンと異なる箇所を中心に説明する。
【0166】
図38(a)では、クロスハッチングが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されることにより、1つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
図38(b)では、ドットハッチが施された四角で示される各コイルサイド部S1が矢印及び数字により示される順番に従って接続されており、2つ目のU相の固定子巻線32が構成されている。
【0167】
図38に示すように、第1端側及び第2端側において、径方向に異なる層のコイルサイド部S1を接続する第1コイルエンド部E11,E21の構成は、第13実施形態と同様である。一方、第1端側及び第2端側において、最外層には、径方向において同じ層のコイルサイド部S1を接続する第2コイルエンド部E12c,E22が設けられている。
【0168】
図38(a)に示すように、1つ目のU相の固定子巻線32の最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とは周方向に交互となるように、設けられている。1つ目のU相の固定子巻線32において、第1端側の第2コイルエンド部E12cは、7ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続し、第2端側の第2コイルエンド部E22は、5ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。
【0169】
また、
図38(b)に示すように、2つ目のU相の固定子巻線32の最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とは周方向に交互となるように、設けられている。2つ目のU相の固定子巻線32において、第1端側の第2コイルエンド部E12cは、5ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続し、第2端側の第2コイルエンド部E22は、7ピッチ離れたコイルサイド部S1を接続している。
【0170】
この第15実施形態によれば、第13実施形態と同様に、ターン数を奇数にすることができる。また、ターン数を偶数から奇数に変更する場合には、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれかが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。具体的には、最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とを周方向に交互となるように設ければよい。以上により、第15実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0171】
(第16実施形態)
第16実施形態における固定子巻線32を
図20,
図39に基づいて説明する。第16実施形態の固定子巻線32は、
図20に示すように、Y結線(スター結線)された4つの3相巻線が並列に接続されることにより構成されている。このため、各相の固定子巻線32において、動力線に接続される引出線の数及び中性点に接続される引出線の数は、それぞれ4つずつとなっている。また、各スロット35には、径方向に5層のコイルサイド部S1が積層されるように収容されている。
【0172】
図39に示すように、第16実施形態の配線パターンは、第15実施形態において説明した
図38の配線パターンとほぼ同じとなっている。なお、引出線が増えたことに伴い、一部の第2コイルエンド部E12c,E22が削除されている。
【0173】
この第16実施形態によれば、第13実施形態と同様に、ターン数を奇数にすることができる。また、ターン数を偶数から奇数に変更する場合には、スロット35に収容されるコイルサイド部S1を減らして奇数にしたうえで、軸方向両端のいずれにおいても、スロット35に収容される複数のコイルサイド部S1のうち、いずれかが第2コイルエンド部E12,E22に接続されているようにすればよい。具体的には、最外層において、第1端側の第2コイルエンド部E12cと、第2端側の第2コイルエンド部E22とを周方向に交互となるように設ければよい。以上により、第16実施形態の固定子30は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0174】
(変形例)
上記各実施形態の構成の一部を変更した変形例について説明する。
【0175】
・上記各実施形態において、第2端側の第2コイルエンド部E22が有する接合部55では、導体端部53が周方向に重なるようにして接合されていた。この変形例として、
図40に示すように、第2端側の第2コイルエンド部E22における接合部55では、導体端部53が周方向に重なるようにして接合されていてもよい。第2コイルエンド部E22は、径方向に同じ層のコイルサイド部S1を接続することから、導体端部53を周方向に重なるようにして接続することにより、第2コイルエンド部E22における曲げ量を少なくすることができる。これにより、径方向における大きさを抑制することができる。なお、
図40は、固定子30の周方向を左右方向に展開した平面図である。
【0176】
・上記各実施形態において、固定子鉄心31の第2端側では、第1コイルエンド部E21及び第2コイルエンド部E22が有する接合部55は、径方向に一列に並ぶように設けられていた。この変形例として、
図41に示すように、第2コイルエンド部E22における接合部55は、第1コイルエンド部E21における接合部55に対して周方向にその位置がずれていてもよい。これにより、径方向における大きさを抑制することができる。また、曲げ量を少なくすることができる。なお、
図41は、固定子30の周方向を左右方向に展開した平面図である。
【0177】
・上記各実施形態において、第2コイルエンド部E22の接合部55は、
図42に示すように、それらの接合部55が最外層のコイルサイド部S1よりも径方向外側に突出するように、径方向に屈曲していてもよい。比較的スペースに余裕がある径方向外側に第2コイルエンド部E22の接合部55を突出させることにより、接合が容易となる。また、第2コイルエンド部E22を径方向外側に屈曲させて、他のコイルエンド部E2と干渉を避けることが容易となる。
【0178】
・上記各実施形態において、ターン数を偶数から奇数に変更する際、スロット35に収容されるコイルサイド部S1の数を減らしたが、減らすことに合わせて固定子鉄心31の大きさを変更する必要はない。すなわち、
図43に示すように、スロット35を、2N+2層(Nは自然数、
図43では6層)のコイルサイド部S1が収容可能に構成し、ターン数を偶数から奇数に変更する際、当該スロット35において、径方向外側にコイルサイド部S1が1層分収容可能な空きスペースを設けてもよい。これにより、ターン数の変更に合わせて、固定子鉄心31の変更をしなくてよくなり、より変更が容易となる。なお、径方向外側にコイルサイド部S1が1層分収容可能な空きスペースを設けることにより、径方向内側にスペースを設ける場合に比較して、磁石と固定子巻線32の距離が短くなり、磁束漏れを抑制することができる。
【0179】
また、
図43に示すように、ターン数を偶数から奇数に変更する際、絶縁シート36の形状を変えなくてもよい。これにより、絶縁シート36の内側に余裕(スペース)ができ、奇数層のコイルサイド部S1を挿入する際、絶縁シート36が引っ張られて破損してしまうことを抑制できる。
【0180】
なお、
図44に示すように、ターン数を偶数から奇数に変更する際、絶縁シート36の形状を変えて、絶縁シート36の内側にスペースをなくし、コイルサイド部S1をぴったりと覆ってもよい。
【0181】
また、
図45,46に示すように、ターン数を偶数から奇数に変更する際、絶縁シート36の形状を変えて、絶縁シート36の内側及び外側にスペースを設けてもよい。これにより、絶縁シート36をスロット35に挿入しやすく、かつ、導体セグメント50を、絶縁シート36の内側に挿入しやすくなる。なお、絶縁シート36を巻き始める位置及び巻き終える位置は、径方向内側と外側のいずれであってもよい。
【0182】
・上記各実施形態において、
図43に示すように、スロット35内に空きスペースを設ける場合、
図47~
図54に示す変形例のように、当該空きスペースを有効活用してもよい。以下、詳しく説明する。
【0183】
図47に示すように、最外層のコイルサイド部S12aは、その一部が空きスペースに収容されるように屈曲していてもよい。つまり、空きスペースに隣接したコイルサイド部S12aを、その一部が空きスペースに収容されるように屈曲させてもよい。コイルサイド部S12aは、軸方向において両端部が他のコイルサイド部S1に積層されたまま、軸方向においてその中央部分が径方向外側に屈曲している。
【0184】
同様に、
図48や
図49に示すように、最外層のコイルサイド部S12bは、その一部が空きスペースに収容されるように屈曲していてもよい。コイルサイド部S12bは、軸方向において中央部分が他のコイルサイド部S1に積層されたまま、軸方向においてその両端部が径方向外側にそれぞれ屈曲している。つまり、空きスペースに隣接したコイルサイド部S12bの軸方向両端を屈曲させて、空きスペースに収容させてもよい。なお、コイルサイド部S12bの両端部を、径方向外側にそれぞれ屈曲させた場合、
図48に示すように、当該コイルサイド部S12bを接続する第2コイルエンド部E22もより径方向外側に配置することができる。このため、第2コイルエンド部E22の曲げ量を少なくすることができる。
【0185】
図50に示すように、スロット35内において径方向外側に設けられた空きスペースに、冷却水などの冷媒が通過する冷媒通路100が通過するように配置してもよい。これにより、固定子鉄心31や固定子巻線32を効率的に冷却することが可能となる。
【0186】
図51に示すように、スロット35内において径方向外側に設けられた空きスペースに、バスバーユニット200の固定部材としての脚部201を挿入し、固定子鉄心31にバスバーユニット200を固定してもよい。バスバーユニット200は、周方向に離間した各相の固定子巻線32の巻線端部(引出線)同士を接続するものである。また、固定子巻線32を動力線に接続するために利用される場合もある。また、中性点に各相の固定子巻線32を接続するために利用される場合もある。バスバーユニット200は、固定子巻線32の径方向外側に配置され、例えば、バックヨーク33に重なるように配置されている。脚部201は、
図51に示すように、バスバーユニット200から軸方向に突出し、各スロット35内の空きスペースに挿入されている。
【0187】
図52に示すように、スロット35内において径方向外側に設けられた空きスペースに、ダミーコイル301を収容してもよい。ダミーコイル301で空きスペースを埋めることができ、コイル接着用ワニスが流出することを防止できる。また、ダミーコイル301として磁性体(圧粉磁心など)を採用した場合、空きスペースにより減ってしまった磁路を補い、性能を向上させることができる。また、ダミーコイル301として絶縁体伝熱部材を採用した場合、コイルサイド部S1からの放熱を助け、冷却性を向上させることができる。なお、絶縁体伝熱部材であるダミーコイル301の外部露出部に凹凸形状を設けることで、さらに冷却性を向上させることができる。
【0188】
図53に示すように、バックヨーク33に、径方向に沿って貫通する貫通孔400を設け、貫通孔400と、スロット35内において径方向外側に設けられた空きスペースとを繋げてもよい。そして、当該貫通孔400及び空きスペースに冷却用の油を通過させてもよい。つまり、油の通り道として活用してもよい。これにより、固定子巻線32を効率的に冷却することができる。
【0189】
若しくは、固定子巻線32を固定するために使用されるワニスの通り道として活用してもよい。これにより、スロット35の内部において、固定子巻線32を確実に固定することができる。
【0190】
図54に示すように、スロット35内において径方向外側に設けられた空きスペースに、温度センサ500を収容してもよい。固定子巻線32において最高温度となることが予想される固定子鉄心31の内部におけるコイル温度を精度よく検出することができる。また、温度センサ500の取付構造を設ける必要がなくなる。
【0191】
・上記各実施形態において、導体セグメント50は、U字形状であったが、I字形状に構成してもよい。I字形状とした場合、固定子30の軸方向両端に、接合部55が設けられることとなる。また、導体セグメント50は、亀甲形状に複数回巻回された形状、ジグザグ形状、もしくはこれらの組み合わせ形状にて構成されていてもよい。これらの場合、導体セグメント50は、固定子30の軸方向両側に、それぞれ少なくとも1以上のターン部52を有することとなる。
【0192】
・上記各実施形態において、各接合部は、第2端側に設けられているが、第1端側のみ、あるいは軸方向両端に設けられていてもよい。
【0193】
・上記各実施形態において、各接合部は、アーク溶接、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、摩擦攪拌接合、ロウ付け、はんだ付け、圧入、導電性ペーストによる接合等の方法にて、軸方向両端の前記コイルエンド部E1,E2や前記コイルサイド部S1において導体セグメント50の端部同士を接続したものを含む。
【0194】
・上記各実施形態において、第2端側において、第2コイルエンド部E22は、径方向において最外層のコイルサイド部S1同士を接続していたが、最外層以外の同層となるコイルサイド部S1同士を接続してもよい。例えば、第2コイルエンド部E22は、最内層のコイルサイド部S1同士を接続するものであってもよい。
【0195】
同様に、第1端側において、第2コイルエンド部E12は、径方向において最内層のコイルサイド部S1同士を接続していたが、最外層以外の同層となるコイルサイド部S1同士を接続してもよい。例えば、第2コイルエンド部E12は、最外層のコイルサイド部S1同士を接続するものであってもよい。
【0196】
・上記第13~第16実施形態(固定子巻線32が波巻である場合)において、第2コイルエンド部E12,E22は、最外層に設けられていたが、最外層以外に設けられていてもよい。例えば、第2コイルエンド部E12,E22を最内層に設けてもよい。
【0197】
・上記各実施形態において、コイルエンド部E1,E2の形状は、他のコイルエンド部E1,E2と干渉しないように、任意にその形状を変更してもよい。
【0198】
・上記各実施形態において、各コイルエンド部E1,E2が、接続するコイルサイド部S1間の距離(ピッチ数)は、任意に変更してもよい。また、極数=8、相数=3、Q=毎極毎相あたりのスロット数が2の構成について示しているが、他の極数、相数、Q数の構成についても適用可能である。
【0199】
・上記各実施形態において、各スロット35に収容されるコイルサイド部S1の数は任意に変更してもよい。つまり、ターン数を任意に変更してもよい。また、結線方法は、Y結線(スター結線)に限らず、Δ結線、あるいはY-Δ結線などの形式を採用してもよい。
【0200】
・上記各実施形態において、各相の固定子巻線32の引出線の数及び配置は、任意に変更してもよい。
【0201】
・上記各実施形態においてモータ10は、車両用電動機として用いられるものであるが、発電機、あるいは電動機/発電機両方の機能をもつ回転機についても本願の内容を適用できる。また用途も車両用に限らず他の輸送機器、家電、空調・工業用設備等様々に応用可能である。
【符号の説明】
【0202】
10…モータ、30…固定子、31…固定子鉄心、32…固定子巻線、35…スロット、50…導体セグメント、E1…第1端側のコイルエンド部、E11…第1端側の第1コイルエンド部、E12…第1端側の第2コイルエンド部、E2…第2端側のコイルエンド部、E21…第2端側の第1コイルエンド部、E22…第2端側の第2コイルエンド部、S1…コイルサイド部。