(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20240409BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20240409BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65D5/42 G
B65D5/54 301E
B65D5/50 A
(21)【出願番号】P 2020193320
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03450308(US,A)
【文献】特表2006-515254(JP,A)
【文献】米国特許第01566445(US,A)
【文献】特開2002-347753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/54
B65D 5/72
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側板を筒状に連ねて形成した胴部と、前記胴部の開口部を塞ぐ蓋板とを備える箱本体と、
前記箱本体の内部に配置されたスペーサと、を備える包装箱であって、
前記箱本体には、収容物の取出口を形成するための取出口用破断線が形成されており、
前記スペーサは、複数の前記側板の一つを底部にして前記箱本体を立てたときに、前記底部の上に配置され、
前記収容物を前記取出口に隣り合う取出し待機位置に案内する傾斜部を備えており、
前記取出口は、前記スペーサ
の前記傾斜部の傾斜方向に直交する直交方向の端部を臨む位置に形成される
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記取出口は、一対の内フラップと一対の外フラップとを備えた前記蓋板に形成され、前記取出口用破断線は、前記一対の外フラップに形成されており、
前記取出口用破断線を破断することで前記取出口が形成され、前記内フラップを外側に広げることで前記取出口が開口することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記スペーサは、その一端が前記側板に連設されたシートを、筒部を構成するように折り曲げて形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項3に記載の包装箱であって、
前記スペーサには、前記筒部の両端のうち少なくとも一端の開口部を塞ぐ蓋部が連設されていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記箱本体は、前記取出口用破断線を破断させる際に前記箱本体の内側に押し込まれる破断開始部を有し、
前記スペーサのうち、前記破断開始部に隣接する部分には、切欠き部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記スペーサは、前記底部から立ち上がる立上部と、前記立上部の先端から直角に折り曲げられて水平に張り出す横板部と、前記横板部の先端に折れ線を介して連設され前記底部に向かって延在する傾斜部と、前記傾斜部の先端に折れ線を介して連設され前記底部の内面に当接する当接部とを備えていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収容物を取り出すためのディスペンサー(取出し扉)を備えた包装箱が知られている。ディスペンサーを備えた包装箱としては。商品輸送後、箱の側面に形成された取出し扉用破断線を破断することで、取出し扉が現れ、商品が取り出されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱では、収容物は例えばペットボトルであり、前後左右に複数列で収容されている。包装箱を傾斜させることで、収容物を取出し扉側へ移動させるようになっている。このような包装箱では、収容物を取り出す度に包装箱を傾斜させる必要があり、手間を要する問題があった。また、収容物が断面円形の場合は、比較的容易に収容物を取出し扉側へ移動させることができるが、収容物が断面矩形の場合、包装箱を大きく傾斜させなければならず、さらに多くの手間を要していた。
【0005】
そこで、本発明は、収容物を自動的に取り出し用の開口部へ移動できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、 複数の側板を筒状に連ねて形成した胴部と、前記胴部の開口部を塞ぐ蓋板とを備える箱本体と、前記箱本体の内部に配置されたスペーサと、を備える包装箱であって、前記箱本体には、収容物の取出口を形成するための取出口用破断線が形成されており、前記スペーサは、複数の前記側板の一つを底部にして前記箱本体を立てたときに、前記底部の上に配置され、前記収容物を前記取出口に隣り合う取出し待機位置に案内する傾斜部を備えており、前記取出口は、前記スペーサの前記傾斜部の傾斜方向に直交する直交方向の端部を臨む位置に形成されることを特徴とする包装箱である。
【0007】
本発明の包装箱によれば、複数の側板の一つを底部にして箱本体を立てた取り出し状態において、収容物は、スペーサを介して自重で取出口に隣り合う取出し待機位置に案内される。したがって、包装箱を傾斜させることなく、収容物を自動的に取出口へ移動することができる。さらに、スペーサ上の収容物が傾斜面に沿って確実に取出し待機位置に移動される。
【0008】
本発明の包装箱においては、前記取出口は、一対の内フラップと一対の外フラップとを備えた前記蓋板に形成され、前記取出口用破断線は、前記一対の外フラップに形成されており、前記取出口用破断線を破断することで前記取出口が形成され、前記内フラップを外側に広げることで前記取出口が開口するものが好ましい。
【0009】
本発明の包装箱においては、前記スペーサは、その一端が前記側板に連設されたシートを、筒部を構成するように折り曲げて形成されているものが好ましい。このような構成によれば、スペーサが箱本体と一体になるため、別途に設ける必要がなく、資材管理が容易になる。また、シートを折り曲げずに側面に沿わせれば、スペーサが形成されずに収容スペースを大きくすることができる。
【0010】
本発明の包装箱においては、前記スペーサには、前記筒部の両端のうち少なくとも一端の開口部を塞ぐ蓋部が連設されているものが好ましい。このような構成によれば、スペーサの剛性が高まるので、スペーサに収容物の荷重がかかっても潰れ難くなる。
【0011】
本発明の包装箱においては、前記箱本体は、前記取出口用破断線を破断させる際に前記箱本体の内側に押し込まれる破断開始部を有し、前記スペーサのうち、前記破断開始部に隣接する部分には、切欠き部が形成されているものが好ましい。このような構成によれば、破断開始部を押し込むことで、取出口用破断線を容易に破断することができる。さらに、破断開始部を押し込む際に、内側のスペーサに干渉しないので、邪魔にならない。
また、本発明の包装箱においては、前記スペーサは、前記底部から立ち上がる立上部と、前記立上部の先端から直角に折り曲げられて水平に張り出す横板部と、前記横板部の先端に折れ線を介して連設され前記底部に向かって延在する傾斜部と、前記傾斜部の先端に折れ線を介して連設され前記底部の内面に当接する当接部とを備えているものが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装箱によれば、収容物を自動的に取り出し用の開口部へ移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装箱の運搬時の状態を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る包装箱においてスペーサの折り曲げ前の状態を示した斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る包装箱に収容物を収容した状態を示した平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る包装箱において開封補助片を引き上げるとともに凸条延在部に囲まれた部分を押し込んだ状態を示した斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る包装箱において取出口用破断線を破断する途中の状態を示した斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る包装箱において取出口用破断線の破断が完了した状態を示した斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る包装箱において収容物の取り出し状態を示した斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る包装箱において片側差込みフラップを端面に差し込んだ状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、
図4に示すように、ペットボトルである収容物Pを奇数本(
図4においては7本)収容するための包装箱1を例に挙げて説明する。なお、本実施形態では、包装箱1の構成を分かり易くするために、
図1、
図5乃至
図7では収容物Pの図示を省略している。以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0015】
本実施形態の包装箱1は、
図1に示すように、複数の側板を筒状に連ねて形成した胴部10と、胴部10の上下の開口部に設けられた上下の蓋板20,30と、を備えた箱本体と、当該箱本体の内側に配置されたスペーサ70とを備えている。箱本体には、収容物Pを取り出すための取出口50を形成するための取出口用破断線51が形成され、取出口50は、スペーサ70を臨む位置に配置されている。
【0016】
本実施形態の包装箱1は、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは外面側が見えるように配置されている。
【0017】
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0018】
ブランクシートSに形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。また、ブランクシートSから組み立てた包装箱1を示した各図では、包装箱1の構造を分かり易く図示するために、各切断誘導線の切れ込みの形状は簡略化して示している。
【0019】
胴部10は、
図1に示すように、前後一対の端壁11,12と、左右一対の側壁13,14と、を有している。両端壁11,12および両側壁13,14は、複数の側板を構成し、側面視において四角形に形成されている(
図2参照)。端壁11,12はペットボトル2つ分の左右幅寸法を備えている。側壁13,14は、ペットボトル4本分の前後長さ寸法を備えている。
【0020】
前側の端壁11の左縁部には、折れ線を介して左側の側壁13が連設され、左側の側壁13の後縁部には、折れ線を介して後側の端壁12が連設されている。また、後側の端壁12の右縁部には、折れ線を介して右側の側壁14が連設され、右側の側壁14の前縁部には、折れ線を介して帯状の接合片15が連設されている。接合片15は、前側の端壁11の外面に接合されている。
【0021】
ブランクシートS(
図2参照)を各罫線で折り曲げつつ、接合片15を前側の端壁12の外面に接合すると、両端壁11,12および両側壁13,14によって、平面視で四角形の筒状の胴部10が形成される。
【0022】
上側の蓋板20は、胴部10の上側の開口部を閉塞している。上側の蓋板20は、前後の端壁11,12の上縁部にそれぞれ連設された前後一対の内フラップ21,22と、左右の側壁13,14の上縁部にそれぞれ連設された左右一対の外フラップ23,24と、を備えている。そして、両内フラップ21,22の外面(上面)に両外フラップ23,24を重ねて、両外フラップ23,24を突き合わせることで、上側の蓋板20が形成されている。
【0023】
両外フラップ23,24には、取出口用破断線51がそれぞれ形成されている。取出口用破断線51は、収容物Pを取り出すための取出口50の周縁部に沿って形成されており、取出口用破断線51を破断することで、前側の端壁11に隣接する領域に取出口50が形成される。収容物Pを包装箱1から取り出す際には、胴部10の4つの側板のうちの一つを下にした状態(本実施形態では、前側の端壁11を下にした状態、以下「取り出し状態」という)で包装箱1を立てるため、蓋板20,30は包装箱1の側面となる。なお、開口部50が形成される蓋板20を「取出側面部20」称する場合がある。包装箱1を取り出し状態としたとき、開口部50は、取出側面部20の下部に形成される。すなわち、上側の蓋板20は、包装箱1を取り出し状態にすると、包装箱1の側面(取出側面部20)となり、取出側面部20の下部(蓋板20の端壁11側の部位)に位置する取出口用破断線51を破断させると、開口部50が現れる。
【0024】
取出口用破断線51は、前後方向に延在する左右一対の前後破断部52,52と、側壁13,14に入り込んで形成される円弧状の凸状破断部53,53と、蓋板20(外フラップ23,24)を左右方向に横断する左右破断部54とを備えている。
【0025】
左側の前後破断部52は、左側の外フラップ23と左側の側壁13との間の折れ線に沿って、当該折れ線の前端から後方に向かって延在している。前後破断部52の延在長さは、収容物Pの幅寸法の半分程度である。左側の凸状破断部53は、外フラップ23に連設する左側の側壁13(取出側面部20に連設する側面)に形成される部分である。凸状破断部53は、前後破断部52の後端に連続し、折れ線から側壁13向かって円弧状に膨らんで、再度折れ線に戻る。凸状破断部53に囲まれた部分は、取出口用破断線51の破断を開始する際に指を押し込む破断開始部となる。左右破断部54は、凸状破断部53の後端に連続し、外フラップ23の先端縁に向かって左右幅方向内側に延在している。以上の取出口用破断線51に沿って破断して形成された取出口50は、ペットボトルが取出し可能な寸法となる。
【0026】
右側の前後破断部52、凸状破断部53および左右破断部54は、左側の前後破断部52、凸状破断部53および左右破断部54と左右対称形状となっており、左右破断部54,54の先端部同士は、突き合わさっている。
【0027】
また、両外フラップ23,24の突き合わせ部の外面には、前後方向に延ばした第一粘着テープT1が貼り付けられている。第一粘着テープT1の前後の端部は、前後の端壁11,12の上端部にそれぞれ貼り付けられている。このようにして、両外フラップ23,24が閉じた状態に固定されている。なお、第一粘着テープT1を貼り付けた状態で取出口用破断線51を破断させると、第一粘着テープT1ごと破断する。
【0028】
前後の端壁11,12の上端部には、開封補助片60がそれぞれ形成されている。端壁11に形成された開封補助片60は、第一粘着テープT1の前側端部の剥離を補助する部位であり、外側に引き起こされる部分である。開封補助片60は、下部が円形状に形成され、上部が上端に向けて広がる台形状に形成されている。開封補助片60の上端側の端部は、端壁11に連設された内フラップ21に延在している。開封補助片60の下端部は、第一粘着テープT1の端部の貼り付け位置よりも下方に位置している。開封補助片60の側辺には、破断線61が形成されており、開封補助片60の下端部を押し込んだのちに外側斜め上方に引っ張ることで、開封補助片60が引き起こされる。そして、開封補助片60とともに、第一粘着テープT1を剥がすと、開封補助片60が、端壁11および内フラップ21から離脱する。
【0029】
後側の端壁12に形成された開封補助片60は、前側の端壁11に形成された開封補助片60と同等の形状であるため、同じ符号を付して説明を省略する。なお、開封補助片60の形状は、前記形状に限定されるものではなく、単なる矩形であってもよいし、台形や楕円形であってもよい。
【0030】
前側の端壁11に連設する内フラップ21は、取出口用破断線51で区画された取出口50の内側に位置する部分である。内フラップ21の先端部(後端部)は、幅寸法が小さくなっており、凸状破断部53に囲まれた部分(破断開始部)と内フラップ21の側縁部との間には、隙間が確保されている。これによって、凸状破断部53に囲まれた略半円状部分を内側に押し込んだ際、当該半円状部分が内フラップ21に干渉しないようになっている。
【0031】
図6に示すように、内フラップ21の張り出し長さは、取出口50の開口高さ(前後方向長さ)より長く、内フラップ21の先端部が、取出口50の上縁部の内側に入り込んで係止されている。
図8に示すように、取出口50から、収容物Pを取り出す際には、内フラップ21を外側に広げて、取出口50を開口させる。内フラップ21の張出方向中間部には、左右方向に延在する折れ線が形成されており、内フラップ21の取出口50への係止および取り外しを行う際には、内フラップ21が折れ曲るので、作業が容易になる。取出口50からの収容物Pの取り出しを行った後、内フラップ21を取出口50に係止させることで、取出口50を再度封鎖することができる。つまり、内フラップ21は、再封機能を備えている。
【0032】
また、
図6に示すように、内フラップ21の先端縁部には、円弧状の折れ曲り部25が形成されている。折れ曲り部25は、内フラップ21に折れ線を介して折れ曲り可能に連設されている。折れ曲がり部25の両側縁部には、破断線が形成されている。折れ曲り部25を押し込むと、破断線が破断し、折れ線部分で折れ曲る。これによって、内フラップ21を取出口50から外して倒す際に指掛け部となり、内フラップ21を容易に広げられるようになっている。
【0033】
後側の端壁12に連設する内フラップ22は、片側差込みフラップとなっている。すなわち、内フラップ22の幅方向両側には、差込片26,26が形成されている。差込片26は、内フラップ22に隣り合う外フラップ23,24の後端部に形成された切込部27に挿入される部位である。
図2に示すように、端壁12と内フラップ22との境界から差込片26の先端までの距離は、内フラップ22の中央部の先端までの距離よりも大きくなっている。
図9に示すように、内フラップ22の差込片26,26を、外フラップ23,24の外側から切込部27,27に差し込むことで、内フラップ22が外フラップ23,24に係止されるので、第一粘着テープT1を全部剥離した後であっても、蓋板20を閉塞することができる。
【0034】
下側の蓋板30は、胴部10の下側の開口部を閉塞している。下側の蓋板30は、前後の端壁11,12の下縁部にそれぞれ連設された前後一対の内フラップ31,31と、左右の側壁13,13の下縁部にそれぞれ連設された左右一対の外フラップ32,32と、を備えている。そして、両内フラップ31,31の外面(下面)に両外フラップ32,32を重ねて、両外フラップ32,32を突き合わせることで、下側の蓋板30が形成されている。
【0035】
また、下側の蓋板30の両外フラップ32,32の突き合わせ部には、上側の蓋板20と同様に、第二粘着テープT2が貼り付けられており、第二粘着テープT2の前後の端部は、前後の端壁11,12の下端部にそれぞれ貼り付けられている。
【0036】
図1に示すように、前側の端壁11の右縁部には、折れ線を介してスペーサ70が連設されている。スペーサ70は、胴部10の内側で、取出口用破断線51の近傍に配置されている。
図8に示すように、スペーサ70は、取出口50が開口したときに、開口部の略半分を覆う筒状に形成されている。包装箱1の取り出し状態におけるスペーサ70の奥行寸法は、輸送時における胴部10の高さ寸法と同等である。スペーサ70は、一端が前側の端壁11(胴部10)に連設されたシート71(
図2参照)を、筒部を構成するように折り曲げて形成されている。
図4に示すように、スペーサ70は、立上部72と、横板部73と、傾斜部74と、当接部75と、蓋部76とを備えている。スペーサ70となるシート71には、端壁11側から前端側に向かって、立上部72、横板部73、傾斜部74および当接部75が順次連設されている。蓋部76は傾斜部74の側面に連設されている。
【0037】
立上部72は、端壁11に対して直角に折り曲げられ、
図8に示すように、取り出し状態においては、右側の側壁14に沿って立ち上がっている。立上部72の立上り寸法は、ペットボトル1本分の幅寸法と同様である。立上部72の端壁11側の側面端縁部には、切欠き部78が形成されている。切欠き部78は、運搬時の状態で、凸状破断部53に囲まれた部分(破断開始部)に隣接する部分に位置している。この部分を切り欠くことで、凸状破断部53に囲まれた部分(破断開始部)を内側に押し込んだ際、立上部72に干渉しないようになっている。
【0038】
横板部73は、立上部72の先端部に、折れ線を介して連設されている。横板部73は、立上部72に対して直角に折り曲げられ、
図8に示すように、取り出し状態においては、左側の側壁13に向かって水平に張り出している。横板部73の張り出し寸法は、ペットボトル1本分の幅寸法の略半分である。
【0039】
傾斜部74は、横板部73の先端部に、折れ線を介して連設されている。傾斜部74は、横板部73に対して鈍角で折り曲げられており、先端部が前側の端壁11の幅方向中間部に当接している。傾斜部74の側方(側壁13側部分)には、収容物Pを配置可能なスペースが確保されており、この位置から、取出口50を介して、収容物Pが取り出される。つまり、傾斜部74の側方が収容物Pの取出し待機位置Aとなっている。取出し待機位置Aは、取出口50と隣り合っている。スペーサ70の上方にある収容物Pは、傾斜部74に沿って自重で滑り、取出し待機位置Aに誘導(案内)される。したがって、傾斜部74の表面が、収容物Pを取出し待機位置Aに案内する傾斜面となっている。
【0040】
当接部75は、傾斜部74の先端部に、折れ線を介して連設されている。当接部75は、傾斜部74に対して鈍角で折り曲げられており、端壁11の内面に当接している。当接部75の先端部は、前側の端壁11の左縁部まで延在し、左側の側壁13の内面に突き合わさっている。
【0041】
このような構成のスペーサ70は、立上部72と横板部73と傾斜部74と端壁11とで筒部77を構成している。
【0042】
蓋部76は、傾斜部74の内フラップ21側の側面に、折れ線を介して連設されている。蓋部76は、筒部77の断面形状と同等の平面形状となっている。蓋部76は、傾斜部74の側面に対して直角に折り曲げられ、筒部77の内面に当接した状態で、筒部77の開口部を塞いでいる。蓋部76の端壁11側の端縁部には、切欠き部79が形成されている。切欠き部79は、運搬時の状態で、凸状破断部53に対向する部分に位置しており、この部分を切り欠くことで、凸状破断部53に囲まれた部分(破断開始部)を内側に押し込んだ際、蓋部76に干渉しないようになっている。
【0043】
以上の構成の包装箱1を組み立てるに際しては、
図3に示すように、まず、胴部10と下側の蓋板30を組み立てる。
図3の状態では、スペーサ70を構成するシート71は、まだ折り曲げられておらず、側壁14の内側に沿って配置されている。この状態で、スペーサ70を形成せずに、包装箱1を使用すれば、8本の収容物Pを収容することができる。
【0044】
次に、
図4に示すように、シート71を順次折り曲げて、胴部10の内側にスペーサ70を形成する。このとき、スペーサ70の当接部75の先端が左側の側壁13に突き合わさっているので、傾斜部74と当接部75が突っ張った状態となり、傾斜部74の先端位置が定まる。また、スペーサ70は、立上部72と横板部73と傾斜部74と端壁11とで筒部77を構成しているため、剛性が高まる。さらに、蓋部76が筒部77の端部開口部を塞ぐので、筒部77が変形し難くなり、スペーサ70の剛性がより一層高まる。
【0045】
その後、
図5に示すように、上側の蓋板20を組み立てると、輸送状態の包装箱1が形成される。この状態では、スペーサ70が収容物Pの一つ分のスペースに形成されるので、収容された収容物Pは安定しており、収容物Pのガタつきを抑制できる。特に横板部73が収容物Pの側面を押さえるので安定性を確保できる。
【0046】
次に、輸送状態の包装箱1を、取り出し状態にする手順を説明する。包装箱1を取り出し状態にするに際しては、取出口用破断線51を破断して取出口50を開口する。具体的には、
図5に示すように、まず、前側の端壁11の開封補助片60を押し込んで、手前上方に引き上げ、第一粘着テープT1の端部と開封補助片60を、端壁11から切り離す。その後、凸状破断部53に囲まれた部分(破断開始部)を内側に押し込む。このとき、破断開始部の内側には、スペーサ70の立上部72が隣接し、蓋部76が対向するが、立上部72には切欠き部78が形成され、蓋部76には切欠き部79が形成されているので、破断開始部は、立上部72や蓋部76に干渉しない。
【0047】
その後、
図6に示すように、破断開始部と当該部分に繋がる外フラップ24とを摘まんで上方に持ち上げる。このとき、内フラップ21の先端部の幅寸法が小さくなっているので、破断開始部は内フラップ21に干渉しない。したがって、外フラップ24,23のみを引き上げることができる。これによって、前後破断部52と左右破断部54が破断され、取出口50が形成される。
【0048】
図7に示すように、取出口用破断線51の破断が完了し、切取片(外フラップ24の前端部24a、外フラップ23の前端部23a、第一粘着テープT1の前端部T1aおよび開封補助片60)が切除されて、取出口50が形成されると、取出口50の内側に内フラップ21が現れる。次に、内フラップ21の先端縁部の折れ曲り部25を内側に押し込んで指掛け部を形成し、この指掛け部に指をかけて手前に引いて、内フラップ21を展開する。
【0049】
そして、
図8に示すように、内フラップ21が広げられた包装箱1を、複数の側板の一つである前側の端壁11が下になるように立てる。この状態が取り出し状態であり、端壁11の外面が底面となり、スペーサ70は底面の上に配置されており、蓋板20が取出側面部20となる。取出口50は、包装箱1の下部(取出側面部20の下部)に形成される。そして、スペーサ70の側方の取出し待機位置Aにある収容物Pを引き抜いて取り出す。収容物Pを取り出すと、上方にある収容物Pが落下して、取出し待機位置Aに移動する。上方の収容物Pがなくなると、スペーサ70上にある収容物Pが傾斜部74の傾斜面に沿って落下し、取出し待機位置Aに案内される。このとき、横板部73は、広過ぎないので、収容物Pは横板部73上に留まることがなく、円滑に傾斜部74に誘導される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の包装箱1によれば、収容物Pは、取り出し状態において、スペーサ70を介して自重で取出し待機位置に案内される。したがって、包装箱1を傾斜させずとも、収容物Pが取り出し用の開口部へ自動的に移動するようになる。
【0051】
また、ブランクシートの状態において胴部10の端壁11に連設されたシート71を、筒部77を構成するように折り曲げることでスペーサ70を形成しているので、スペーサ70が包装箱1本体と一体になる。そのため、スペーサ70を別部材として設ける必要がなく、資材管理が容易になる。さらに、シート71を折り曲げずに側壁14に沿わせれば、スペーサ70が形成されずに収容スペースを大きくすることができる。
【0052】
さらに、スペーサ70には、筒部77の両端のうち少なくとも一端の開口部を塞ぐ蓋部76が連設されているので、スペーサ70の剛性が高まる。したがって、スペーサに収容物の荷重がかかっても潰れ難くなる。
【0053】
また、本実施形態では、包装箱1に7本のペットボトルを収容しているので、例えば、健康飲料等を一週間単位で提供することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。例えば、前記実施形態では、スペーサ70の蓋部76は、筒部77の一方端の開口を塞いでいるが、両端の開口を塞ぐように二か所に設けてもよい。このようにしれば、スペーサ70の剛性がより一層高くなる。
【0055】
また、前記実施形態では、スペーサ70の当接部75は、スペーサ70が連設された右側の側壁14とは逆側の、左側の側壁13に突き合わさっているが、これに限定されるものではない。当接部75を、傾斜部74の下端から側壁14側に折り返し、当接部75の先端を側壁14の内面に突き合わせるようにしてもよい。このようにすれば、筒部77の剛性がより一層高くなる。
【0056】
さらに、前記実施形態では、スペーサ70を端壁11の側壁14寄り部分の一か所に設けているが、これに限定されるものではない。前記スペーサ70に加えて、スペーサ70の対角線上の位置(端壁12の側壁13寄り)に、スペーサをもう一つ加えてもよい。さらに、取出口用破断線51を後側にも形成すれば、包装箱1の上下方向に関わらず、収容物Pを好適に取り出すことができる。
【0057】
また、前記実施形態では、包装箱1に7本の収容物Pが収容されているが、これに限定されるものではない。収容本数は、前後左右の長さ寸法を変えることで適宜変更可能である。
【0058】
さらに、前記実施形態では、スペーサ70は胴部10に連設されて一体に形成されているが、スペーサを別体で設け、胴部10の内面に接着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 包装箱
10 胴部
20 蓋板
30 蓋板
50 取出口
51 取出口用破断線
53 凸状破断部
60 開封補助片
70 スペーサ
71 シート
72 立上部
73 横板部
74 傾斜部
75 当接部
76 蓋部
77 筒部
78 切欠き部
79 切欠き部
A 取出し待機位置
P 収容物
S ブランクシート