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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光演出装置およびレンチキュラーレンズ
(51)【国際特許分類】
   G09F 19/12 20060101AFI20240409BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20240409BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240409BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240409BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20240409BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240409BHJP
【FI】
G09F19/12 F
G09F13/04 N
F21V5/04 600
F21V5/00 510
F21V5/00 350
F21V14/06
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020211777
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098311
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】宇田 尚典
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-272934(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016612(WO,A1)
【文献】特開2006-223565(JP,A)
【文献】特開2018-163343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
G09F 19/00-27/00
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
G02B 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
第1のレンチキュラーレンズと、
第2のレンチキュラーレンズと、
を有し、
前記第1のレンチキュラーレンズは、
第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有し、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第1面は、
列状に配列された凸レンズを有し、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第2面は、
第1曲面を有し、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第1面の前記凸レンズの少なくとも一部は、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第2面の前記第1曲面に沿って形成されていて、
前記第2のレンチキュラーレンズは、
第3面と前記第3面の反対側の第4面とを有し、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第3面または前記第4面は、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第1面または前記第2面と対面しており、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第3面は、
列状に配列された凸レンズを有し、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第4面は、
第2曲面を有し、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第3面の前記凸レンズの少なくとも一部は、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第4面の前記第2曲面に沿って形成されていること
を含む光演出装置。
【請求項2】
請求項に記載の光演出装置において、
第3のレンチキュラーレンズを有し、
前記第3のレンチキュラーレンズは、
第5面と前記第5面の反対側の第6面とを有し、
前記第3のレンチキュラーレンズの前記第5面または前記第6面は、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第3面または前記第4面と対面しており、
前記第3のレンチキュラーレンズの前記第5面は、
列状に配列された凸レンズを有し、
前記第3のレンチキュラーレンズの前記第6面は、
第3曲面を有し、
前記第3のレンチキュラーレンズの前記第5面の前記凸レンズの少なくとも一部は、
前記第3のレンチキュラーレンズの前記第6面の前記第3曲面に沿って形成されていること
を含む光演出装置。
【請求項3】
請求項に記載の光演出装置において、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第2面の前記第1曲面は、
回転放物面であり、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第4面の前記第2曲面は、
回転放物面であること
を含む光演出装置。
【請求項4】
請求項に記載の光演出装置において、
前記第1のレンチキュラーレンズの前記第2面の前記第1曲面は、
回転放物面であり、
前記第2のレンチキュラーレンズの前記第4面の前記第2曲面は、
回転放物面であること
前記第3のレンチキュラーレンズの前記第6面の前記第3曲面は、
回転放物面であること
を含む光演出装置。
【請求項5】
請求項に記載の光演出装置において、
レンズ回転部を有し、
前記第1曲面の前記回転放物面の中心と前記第2曲面の回転放物面の中心とが同じであり、
前記レンズ回転部は、
前記第1のレンチキュラーレンズに対して前記第2のレンチキュラーレンズを前記第2曲面の前記回転放物面の中心の周りに回転させることが可能であること
を含む光演出装置。
【請求項6】
請求項に記載の光演出装置において、
レンズ回転部を有し、
前記第1曲面の前記回転放物面の中心と前記第2曲面の回転放物面の中心と前記第3曲面の前記回転放物面の中心とが同じであり、
前記レンズ回転部は、
前記第1のレンチキュラーレンズに対して前記第2のレンチキュラーレンズを前記第2曲面の前記回転放物面の中心の周りに回転させることが可能であり、
前記第2のレンチキュラーレンズに対して前記第3のレンチキュラーレンズを前記第3曲面の前記回転放物面の中心の周りに回転させることが可能であること
を含む光演出装置。
【請求項7】
請求項から請求項までのいずれか1項に記載の光演出装置において、
少なくとも前記第1のレンチキュラーレンズと前記第2のレンチキュラーレンズとの間の間隔を変更するレンズ間隔変更部を有すること
を含む光演出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、光演出装置およびレンチキュラーレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等の発展により光を演出に用いる光演出装置が活発に研究開発されてきている。鑑賞者は光演出装置の演出により色彩を視覚的に楽しむことができる。このような光演出装置としてレンチキュラーレンズを用いたものがある。レンチキュラーレンズは、一方の面に複数列の半円筒形状の凸レンズを配列したものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、導光板31と2枚のレンチキュラーレンズ32、33とを有する発光玩具が開示されている(特許文献1の段落[0025])。導光板31は凹部を有している。そして、一方のレンチキュラーレンズは、他方のレンチキュラーレンズに対して、レンチキュラーレンズの板面に平行な方向に移動することができる(特許文献1の段落[0027]および図3)。一方のレンチキュラーレンズを他方のレンチキュラーレンズに対して動かすことにより、光演出の効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-115386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術を用いることにより、平面上に光の模様を描くことができるが、その光が織りなす模様は限定的である。
【0006】
光の演出の効果がより高い光演出装置を提供することが好ましい。そのためには、これまでとは異なるレンチキュラーレンズを研究開発することが期待されている。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、曲面を有するレンチキュラーレンズとそれを備える光演出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における光演出装置は、光源と、第1のレンチキュラーレンズと、第2のレンチキュラーレンズと、を有する。第1のレンチキュラーレンズは、第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。第1のレンチキュラーレンズの第1面は、列状に配列された凸レンズを有する。第1のレンチキュラーレンズの第2面は、第1曲面を有する。第1のレンチキュラーレンズの第1面の凸レンズの少なくとも一部は、第1のレンチキュラーレンズの第2面の第1曲面に沿って形成されている。第2のレンチキュラーレンズは、第3面と第3面の反対側の第4面とを有する。第2のレンチキュラーレンズの第3面または第4面は、第1のレンチキュラーレンズの第1面または第2面と対面している。第2のレンチキュラーレンズの第3面は、列状に配列された凸レンズを有する。第2のレンチキュラーレンズの第4面は、第2曲面を有する。第2のレンチキュラーレンズの第3面の凸レンズの少なくとも一部は、第2のレンチキュラーレンズの第4面の第2曲面に沿って形成されている。
【0009】
この光演出装置においては、レンチキュラーレンズが光源からの光を好適に拡散する。その光パターンは従来の光パターンとは異なっている。このため、この光演出装置の光演出効果は従来の光演出装置の光演出効果に比べて高い。鑑賞者は、光パターンが空中に浮かんでいるような印象を受ける。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、曲面を有するレンチキュラーレンズとそれを備える光演出装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100の平面図である。
図2図1のII-II断面を示す断面図である。
図3】1枚の平坦なレンチキュラーレンズに光を照射した場合の透過光を説明するための図である。
図4】第1の実施形態の光演出装置1000の概略構成図である。
図5】第1の実施形態の光演出装置1000の光源1200を例示する図である。
図6】第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100の成形装置APP1の概略構成図である。
図7】第2の実施形態の光演出装置2000の概略構成図である。
図8】2枚のレンチキュラーレンズに光を照射した場合の透過光を説明するための図である。
図9】第2の実施形態の変形例における光演出装置3000の概略構成図である。
図10】第2の実施形態の変形例における光演出装置4000の概略構成図である。
図11】第3の実施形態の光演出装置5000の概略構成図である。
図12】3枚の平坦なレンチキュラーレンズを重ね合わせた場合の光パターンを示す図である。
図13】点光源からの光を示す写真である。
図14】点光源に1枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを被せた場合を示す写真である。
図15】点光源に2枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを重ねて被せた場合を示す写真である。
図16】点光源に3枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを重ねて被せた場合を示す写真である。
図17】LEDアレイに3枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを重ねて被せた場合を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、光演出装置およびレンチキュラーレンズを例に挙げて説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。本明細書において、レンチキュラーレンズの複数列の半円筒形状の凸レンズをレンチキュラーレンズの列ということがある。
【0013】
(第1の実施形態)
1.レンチキュラーレンズ
図1は、第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100の平面図である。図1に示すように、レンチキュラーレンズ100は、中心部110と、外縁部120と、を有する。中心部110は、後述するように、ドーム状である。外縁部120は、平面形状である。
【0014】
図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。図2に示すように、中心部110は、第1面110aと第2面110bとを有する。第2面110bは第1面110aの反対側の面である。第1面110aは、列状に配列された凸レンズを有する。凸レンズは半円筒形状に近い形状をしている。この凸レンズがレンチキュラーレンズの光学特性を発揮する。第2面110bは、回転放物面である。第2面110bは、例えば、球面である。第2面110bは凸面であり、第1面110aはその凸面に対応する凹面である。このため、第1面110aの列状に配列された凸レンズは、第2面110bの回転放物面に沿って形成されている。
【0015】
外縁部120は、第1面120aと第2面120bとを有する。第2面120bは第1面120aの反対側の面である。第1面120aは、列状に配列された凸レンズを有する。凸レンズは半円筒形状に近い形状をしている。この凸レンズがレンチキュラーレンズの光学特性を発揮する。第2面120bは、平坦面であり、第1面120aはこの平坦面に対応する平坦面である。第1面120aの列状に配列された凸レンズは、第2面120bの平坦面に沿って形成されている。
【0016】
中心部110の第1面110aおよび外縁部120の第1面120aは連続している。中心部110の第1面110aと外縁部120の第1面120aとの境界では、これらの面は屈曲している。また、中心部110の第2面110bおよび外縁部120の第2面120bは連続している。中心部110の第2面110bと外縁部120の第2面120bとの境界では、これらの面が屈曲している。
【0017】
2.レンチキュラーレンズと光の経路
2-1.従来のレンチキュラーレンズ
第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100について説明する前に、従来の1枚の平坦なレンチキュラーレンズについて説明する。
【0018】
図3は、1枚の平坦なレンチキュラーレンズに光を照射した場合の透過光を説明するための図である。図3に示すように、点光源LS1から照射された光は、レンチキュラーレンズLL1を透過し、スクリーンSC1に到達する。これにより、スクリーンSC1上に光パターンLP1が投影される。
【0019】
ここで、レンチキュラーレンズLL1の列は、縦方向(図3の上下方向)に並んでいる。この場合には、点光源LS1からの光は、横方向(図3の左右方向)に拡散する。
【0020】
2-2.第1の実施形態のレンチキュラーレンズ
第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100においては、回転放物面に沿って形成された第1面110aの凸レンズがある。光源から発せられる光は、列状に配列された凸レンズの列の長手方向に垂直な向きに拡散される。第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100においては、上記の光の拡散の効果と、凸レンズが回転放物面に沿って形成されている効果と、が重畳される。
【0021】
3.光演出装置
図4は、第1の実施形態の光演出装置1000の概略構成図である。光演出装置1000は、基板1100と、光源1200と、レンチキュラーレンズ100と、を有する。
【0022】
基板1100は、光源1200を実装するとともにレンチキュラーレンズ100を取り付けるための支持部材である。また、基板1100は、回路を有する。この回路は電力を外部電源から光源1200に供給するためのものである。
【0023】
光源1200は、点光源またはLEDアレイである。LEDアレイは多数のLEDが規則的に配置された発光装置であるとよい。
【0024】
図5は、第1の実施形態の光演出装置1000の光源1200を例示する図である。図5に示すように、光源1200は、筐体1210と、橋梁部1220と、LED1230と、制御部1240と、を有する。
【0025】
筐体1210は、光源1200を支持するためのものである。橋梁部1220は、LED1230を配列するためのものである。LED1230は半導体発光素子である。制御部1240は、個々のLED1230のオンオフを制御する。制御部1240は、LEDアレイの個々のLEDのオンオフのタイミングを決めるプログラムを収容している。
【0026】
4.レンチキュラーレンズの製造方法
4-1.成形装置
図6は、第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100の成形装置APP1の概略構成図である。成形装置APP1は、平坦なレンチキュラーレンズを3次元形状を有するレンチキュラーレンズに成形するためのものである。成形装置APP1は、筐体CS1と、ステージST1と、材料保持部HLD1と、ヒーターHT1と、を有する。
【0027】
ステージST1は、レンチキュラーレンズを成形する際の型材FW1を載置するためのものである。型材FW1は、レンチキュラーレンズの成形に用いるものであり、成形装置APP1の構成要素ではない。材料保持部HLD1は、レンチキュラーレンズを保持するためのものである。材料保持部HLD1は、図6の矢印に示すように、鉛直方向に移動することができるようになっている。ヒーターHT1は、材料保持部HLD1に保持されているレンチキュラーレンズを加熱するためのものである。
【0028】
4-2.成型方法
まず、ステージST1の上に型材FW1を載置する。平坦なレンチキュラーレンズを材料保持部HLD1に保持させる。そして、材料保持部HLD1をヒーターHT1に近づける。次に、ヒーターHT1により材料保持部HLD1に保持されているレンチキュラーレンズを加熱する。設定温度は例えば、100℃以上130℃以下である。もちろん、これ以外の温度であってもよい。これにより、レンチキュラーレンズは軟らかくなる。
【0029】
次に、材料保持部HLD1をステージST1に向かって押し下げる。このとき、材料保持部HLD1に保持されているレンチキュラーレンズは軟らかくなっているため、型材FW1の形状に沿った形状に成形される。この後、レンチキュラーレンズを成形装置APP1から取り外せばよい。レンチキュラーレンズの冷却は、成形装置APP1の内部で行ってもよいし、成形装置APP1から取り出した後で行ってもよい。
【0030】
5.光演出装置の製造方法
5-1.光源配置工程
基板1100の上に光源1200を配置する。例えば、光源1200の回路を基板1100の回路に半田付けする。その他、ねじなどにより光源1200を基板1100に固定するとよい。
【0031】
5-2.レンチキュラーレンズ配置工程
基板1100の上にレンチキュラーレンズ100を配置する。例えば、ねじなどにより、レンチキュラーレンズ100を基板1100の上に固定する。または、レンチキュラーレンズ100を基板1100の上に載せるだけでよい。
【0032】
6.第1の実施形態の効果
第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100においては、回転放物面に沿って形成されている凸レンズが、回転放物面に沿って形成されている凸レンズの列方向に垂直な方向に光を拡散する。例えば、レンチキュラーレンズ100は、点光源からの点状の光を線状の光に変換する。このため、第1の実施形態のレンチキュラーレンズ100の光演出効果は、従来のレンチキュラーレンズの光演出効果よりも高い。
【0033】
第1の実施形態の光演出装置1000においては、レンチキュラーレンズ100が、光源1200のLED1230により照射された光を好適に拡散する。このため、第1の実施形態の光演出装置1000の光演出効果は、従来の光演出装置の光演出効果よりも高い。実際には、鑑賞者は、光パターンが空中に浮かんでいるような印象を受ける。
【0034】
7.変形例
7-1.レンチキュラーレンズの面の向き
第1の実施形態の光演出装置1000においては、レンチキュラーレンズ100の第1面110a、120aが光源1200の側を向いている。つまり、レンチキュラーレンズ100の第1面110a、120aが光源1200と対面している。
【0035】
レンチキュラーレンズ100の第1面110a、120aが光源1200の反対側を向いていてもよい。この場合には、レンチキュラーレンズ100の第2面110b、120bが光源1200と対面している。このとき、第2面110bは凹面であり、第1面110aはその凹面に対応する凸面である。
【0036】
7-2.外縁部
レンチキュラーレンズ100から外縁部120を除去してもよい。例えば、レンチキュラーレンズ100の成形後に外縁部120を切り落とすことにより、外縁部を有さないレンチキュラーレンズを製造することができる。
【0037】
7-3.曲面の形状
レンチキュラーレンズ100の中心部110の形状は、必ずしも回転放物面に沿う形状でなくてもよい。レンチキュラーレンズ100の中心部110の形状は、その他の曲面に沿う形状であればよい。この場合には、レンチキュラーレンズ100の第2面110bは第1曲面を有する。レンチキュラーレンズ100の第1面110aの凸レンズは、レンチキュラーレンズ100の第2面110bの第1曲面に沿って形成されている。レンチキュラーレンズが回転放物面に沿う形状であれば、第2の実施形態で説明するように、複数のレンチキュラーレンズの重ね合わせや、レンチキュラーレンズ同士の相対的な回転をさせることが容易である。
【0038】
7-4.光源の動作
光源1200は、RGBのLEDを有するとよい。また、光源1200のそれぞれのLEDは、環状に順次点灯しては消灯するようになっていてもよい。
【0039】
7-5.光源の形状
光源1200は、一面にLEDが配列されていてもよい。
【0040】
7-6.光源の数
光源1200は、複数個のLEDアレイを有していてもよい。LEDアレイの数が多ければ、光演出装置1000は、より複雑な光の演出を行うことができる。
【0041】
7-7.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
1.光演出装置
図7は、第2の実施形態の光演出装置2000の概略構成図である。光演出装置2000は、基板1100と、光源1200と、第1のレンチキュラーレンズ100と、第2のレンチキュラーレンズ200と、支持部材2300と、を有する。
【0043】
第2のレンチキュラーレンズ200は、第1のレンチキュラーレンズ100と同様である。第2のレンチキュラーレンズ200は、中心部210と、外縁部220と、を有する。中心部210は、第3面210aと第4面210bとを有する。第4面210bは第3面210aの反対側の面である。第3面210aは、列状に配列された凸レンズを有する。凸レンズは半円筒形状に近い形状をしている。この凸レンズがレンチキュラーレンズの光学特性を発揮する。第4面210bは、回転放物面である。第4面210bは、例えば、球面である。第4面210bは凸面であり、第3面210aはその凸面に対応する凹面である。このため、第3面210aの列状に配列された凸レンズは、第4面210bの回転放物面に沿って形成されている。
【0044】
外縁部220は、第3面220aと第4面220bとを有する。第4面220bは第3面220aの反対側の面である。第3面220aは、列状に配列された凸レンズを有する。凸レンズは半円筒形状に近い形状をしている。この凸レンズがレンチキュラーレンズの光学特性を発揮する。第4面220bは、平坦面であり、第3面220aはこの平坦面に対応する平坦面である。第3面220aの列状に配列された凸レンズは、第4面220bの平坦面に沿って形成されている。
【0045】
支持部材2300は、第2のレンチキュラーレンズ200を支持する。また、支持部材2300は、第1のレンチキュラーレンズ100と第2のレンチキュラーレンズ200との間の相対的な距離を固定する。
【0046】
2.レンチキュラーレンズの列の位置関係
第2のレンチキュラーレンズ200の列を第1のレンチキュラーレンズ100に射影した場合に、射影後の第2のレンチキュラーレンズ200の列と第1のレンチキュラーレンズ100の列とがなす角の角度は、例えば、0°以上90°以下である。好ましくは、5°以上90°以下である。
【0047】
3.レンチキュラーレンズの重ね合わせ
レンチキュラーレンズを重ね合わせた場合について説明する。その前に、2枚の平坦なレンチキュラーレンズを重ね合わせる場合について説明する。
【0048】
図8は、2枚のレンチキュラーレンズに光を照射した場合の透過光を説明するための図である。図8に示すように、点光源LS1から照射された光は、レンチキュラーレンズLL1を透過した後にレンチキュラーレンズLL2を透過し、スクリーンSC1に到達する。これにより、スクリーンSC1上に光パターンLP2が投影される。
【0049】
ここで、レンチキュラーレンズLL1の列は、縦方向(図8の上下方向)に並んでいる。レンチキュラーレンズLL2の列は、横方向(図8の左右方向)に並んでいる。この場合には、点光源LS1からの光は、レンチキュラーレンズLL1により横方向に拡散し、レンチキュラーレンズLL2により縦方向に拡散する。このため、光は、光パターンLP2のように、長方形に引き伸ばされることとなる。
【0050】
なお、レンチキュラーレンズLL1の列とレンチキュラーレンズLL2の列とがなす角の角度が小さくなれば、光パターンは平行四辺形となる。レンチキュラーレンズLL1の列とレンチキュラーレンズLL2の列とがなす角の角度が0°になれば、図3に示すように線状の光パターンとなる。実際には、角度が十分に小さければ、線状の光パターンとなる。このため、レンチキュラーレンズLL1の列とレンチキュラーレンズLL2の列とがなす角の角度は、45°以上90°以下であるとよい。
【0051】
4.第2の実施形態の効果
第2の実施形態の光演出装置2000においては、点光源からの光を平行四辺形に近い形状に拡散させることができる。そのため、光パターンの面積は拡大する。また、光パターンの面積が広いほど拡散の度合いが大きいため、その領域の光は淡くなる。そして、鑑賞者は、演出効果のより高い光演出を楽しむことができる。
【0052】
5.変形例
5-1.レンズ回転部
図9は、第2の実施形態の変形例における光演出装置3000の概略構成図である。光演出装置3000は、第2の実施形態の光演出装置2000の構成と、レンズ回転部3400と、を有する。第1のレンチキュラーレンズ100の第1曲面の回転放物面の中心と、第2のレンチキュラーレンズ200の第2曲面の回転放物面の中心と、が同じである。レンズ回転部3400は、第1のレンチキュラーレンズ100に対して第2のレンチキュラーレンズ200を第2曲面の回転放物面の中心の周りに回転させることが可能である。
【0053】
これにより、第1のレンチキュラーレンズ100の列と、第2のレンチキュラーレンズ200の列と、がなす角の角度が時間的に変化する。つまり、光演出装置3000においては、光パターンが棒状から平行四辺形に変化し、再び棒状に変化する。
【0054】
5-2.レンズ間隔変更部
図10は、第2の実施形態の変形例における光演出装置4000の概略構成図である。光演出装置4000は、第2の実施形態の光演出装置2000の構成と、レンズ間隔変更部4500と、を有する。レンズ間隔変更部4500は、第1のレンチキュラーレンズ100と第2のレンチキュラーレンズ200との間の間隔を変更する。
【0055】
これにより、光演出装置4000は、光パターンの面積を変化させることができる。
【0056】
5-3.レンチキュラーレンズの面の向き
第1のレンチキュラーレンズ100の凸レンズを光源1200の反対側に設けてもよい。また、第2のレンチキュラーレンズ200の凸レンズを光源1200の反対側に設けてもよい。
【0057】
このため、第2のレンチキュラーレンズ200の第3面210a、220aまたは第4面210b、220bは、第1のレンチキュラーレンズ100の第1面110a、120aまたは第2面110b、120bと対面している。
【0058】
5-4.支持部材
支持部材2300は無くてもよい。第1のレンチキュラーレンズ100および第2のレンチキュラーレンズ200の厚みが十分に薄ければ、第1のレンチキュラーレンズ100および第2のレンチキュラーレンズ200を容易に重ね合わせることができる。第1のレンチキュラーレンズ100および第2のレンチキュラーレンズ200は互いに接触することとなる。
【0059】
5-5.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0060】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態の光演出装置5000の概略構成図である。光演出装置5000は、基板1100と、光源1200と、第1のレンチキュラーレンズ100と、第2のレンチキュラーレンズ200と、第3のレンチキュラーレンズ300と、支持部材5300と、を有する。
【0061】
第3のレンチキュラーレンズ300は、第1のレンチキュラーレンズ100と同様である。第3のレンチキュラーレンズ300は、中心部310と、外縁部320と、を有する。中心部310は、第5面310aと第6面310bとを有する。第6面310bは第5面310aの反対側の面である。第5面310aは、列状に配列された凸レンズを有する。凸レンズは半円筒形状に近い形状をしている。この凸レンズがレンチキュラーレンズの光学特性を発揮する。第6面310bは、回転放物面である。第6面310bは、例えば、球面である。第6面310bは凸面であり、第5面310aはその凸面に対応する凹面である。このため、第5面310aの列状に配列された凸レンズは、第6面310bの回転放物面に沿って形成されている。
【0062】
外縁部320は、第5面320aと第6面320bとを有する。第6面320bは第5面320aの反対側の面である。第5面320aは、列状に配列された凸レンズを有する。凸レンズは半円筒形状に近い形状をしている。この凸レンズがレンチキュラーレンズの光学特性を発揮する。第6面320bは、平坦面であり、第5面320aはこの平坦面に対応する平坦面である。第5面320aの列状に配列された凸レンズは、第6面320bの平坦面に沿って形成されている。
【0063】
支持部材5300は、第2のレンチキュラーレンズ200および第3のレンチキュラーレンズ300を支持する。また、支持部材5300は、第1のレンチキュラーレンズ100と第2のレンチキュラーレンズ200との間の相対的な距離と、第2のレンチキュラーレンズ200と第3のレンチキュラーレンズ300との間の相対的な距離と、を固定する。
【0064】
2.レンチキュラーレンズの列の位置関係
第2のレンチキュラーレンズ200の列を第1のレンチキュラーレンズ100に射影した場合に、射影後の第2のレンチキュラーレンズ200の列と第1のレンチキュラーレンズ100の列とがなす角の角度は、例えば、0°以上90°以下である。好ましくは、5°以上90°以下である。
【0065】
第3のレンチキュラーレンズ300の列を第1のレンチキュラーレンズ100に射影した場合に、射影後の第3のレンチキュラーレンズ300の列と第1のレンチキュラーレンズ100の列とがなす角の角度は、例えば、0°以上90°以下である。好ましくは、5°以上90°以下である。
【0066】
3.レンチキュラーレンズの重ね合わせ
3枚のレンチキュラーレンズを重ね合わせた場合について説明する。
【0067】
図12は、3枚の平坦なレンチキュラーレンズを重ね合わせた場合の光パターンを示す図である。ただし、第1のレンチキュラーレンズ100の列、第2のレンチキュラーレンズ200の列、第3のレンチキュラーレンズ300の列は、いずれも互いに平行でない。この場合には、点光源が3軸の方向に引き伸ばされる。このため、光パターンは、六面体を平面に射影したような形状である。
【0068】
なお、3枚の平坦なレンチキュラーレンズの列のうち2列が平行である場合には、光パターンは四辺形になり、3列が平行である場合には、光パターンは棒状になる。
【0069】
4.変形例
4-1.レンチキュラーレンズの面の向き
第1のレンチキュラーレンズ100の凸レンズを光源1200の反対側に設けてもよい。第2のレンチキュラーレンズ200の凸レンズを光源1200の反対側に設けてもよい。第3のレンチキュラーレンズ300の凸レンズを光源1200の反対側に設けてもよい。
【0070】
このため、第2のレンチキュラーレンズ200の第3面210a、220aまたは第4面210b、220bは、第1のレンチキュラーレンズ100の第1面110a、120aまたは第2面110b、120bと対面している。第3のレンチキュラーレンズ300の第5面310a、320aまたは第6面310b、320bは、第2のレンチキュラーレンズ200の第3面210a、220aまたは第4面210b、220bと対面している。
【0071】
4-2.レンズ回転部
レンズ回転部は、第1のレンチキュラーレンズ100に対して第2のレンチキュラーレンズ200を第2曲面の回転放物面の中心の周りに回転させることが可能であり、第2のレンチキュラーレンズ200に対して第3のレンチキュラーレンズ300を第3曲面の回転放物面の中心の周りに回転させることが可能である。
【0072】
4-3.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0073】
(実施形態の組み合わせ)
第1の実施形態から第3の実施形態までを変形例を含めて組み合わせてもよい場合がある。
【0074】
(実験)
1.点光源
図13は、点光源からの光を示す写真である。図13においては、中央の1個のLEDが光っている。
【0075】
図14は、点光源に1枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを被せた場合を示す写真である。図14では、光パターンは棒状である。また、鑑賞者は、光パターンが空間に浮かんでいるように感じる。
【0076】
図15は、点光源に2枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを重ねて被せた場合を示す写真である。図15では、光パターンは四辺形である。なお、1枚目のレンチキュラーレンズの列と2枚目のレンチキュラーレンズの列とは平行ではない。
【0077】
図16は、点光源に3枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを重ねて被せた場合を示す写真である。図16では、光パターンは六角形である。実際には、光の濃淡があるため、鑑賞者は、光パターンが直方体であると感じる。
【0078】
図17は、LEDアレイに3枚の回転放物面を有するレンチキュラーレンズを重ねて被せた場合を示す写真である。このLEDアレイにおけるLEDの配置は、図5に近い。図17に示すように、光パターンは複数の直方体が互いに重なり合った形状をしている。
【0079】
(付記)
第1の態様における光演出装置は、光源と、第1のレンチキュラーレンズと、を有する。第1のレンチキュラーレンズは、第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。第1のレンチキュラーレンズの第1面は、列状に配列された凸レンズを有する。第1のレンチキュラーレンズの第2面は、第1曲面を有する。第1のレンチキュラーレンズの第1面の凸レンズの少なくとも一部は、第1のレンチキュラーレンズの第2面の第1曲面に沿って形成されている。
【0080】
第2の態様における光演出装置は、第2のレンチキュラーレンズを有する。第2のレンチキュラーレンズは、第3面と第3面の反対側の第4面とを有する。第2のレンチキュラーレンズの第3面または第4面は、第1のレンチキュラーレンズの第1面または第2面と対面している。第2のレンチキュラーレンズの第3面は、列状に配列された凸レンズを有する。第2のレンチキュラーレンズの第4面は、第2曲面を有する。第2のレンチキュラーレンズの第3面の凸レンズの少なくとも一部は、第2のレンチキュラーレンズの第4面の第2曲面に沿って形成されている。
【0081】
第3の態様における光演出装置は、第3のレンチキュラーレンズを有する。第3のレンチキュラーレンズは、第5面と第5面の反対側の第6面とを有する。第3のレンチキュラーレンズの第5面または第6面は、第2のレンチキュラーレンズの第3面または第4面と対面している。第3のレンチキュラーレンズの第5面は、列状に配列された凸レンズを有する。第3のレンチキュラーレンズの第6面は、第3曲面を有する。第3のレンチキュラーレンズの第5面の凸レンズの少なくとも一部は、第3のレンチキュラーレンズの第6面の第3曲面に沿って形成されている。
【0082】
第4の態様における光演出装置においては、第1のレンチキュラーレンズの第2面の第1曲面は、回転放物面である。第2のレンチキュラーレンズの第4面の第2曲面は、回転放物面である。
【0083】
第5の態様における光演出装置においては、第1のレンチキュラーレンズの第2面の第1曲面は、回転放物面である。第2のレンチキュラーレンズの第4面の第2曲面は、回転放物面である。第3のレンチキュラーレンズの第6面の第3曲面は、回転放物面である。
【0084】
第6の態様における光演出装置は、レンズ回転部を有する。第1曲面の回転放物面の中心と第2曲面の回転放物面の中心とが同じである。レンズ回転部は、第1のレンチキュラーレンズに対して第2のレンチキュラーレンズを第2曲面の回転放物面の中心の周りに回転させることが可能である。
【0085】
第7の態様における光演出装置は、レンズ回転部を有する。第1曲面の回転放物面の中心と第2曲面の回転放物面の中心と第3曲面の回転放物面の中心とが同じである。レンズ回転部は、第1のレンチキュラーレンズに対して第2のレンチキュラーレンズを第2曲面の回転放物面の中心の周りに回転させることが可能であり、第2のレンチキュラーレンズに対して第3のレンチキュラーレンズを第3曲面の回転放物面の中心の周りに回転させることが可能である。
【0086】
第8の態様における光演出装置は、少なくとも第1のレンチキュラーレンズと第2のレンチキュラーレンズとの間の間隔を変更するレンズ間隔変更部を有する。
【0087】
第9の態様におけるレンチキュラーレンズは、第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。第1面は、列状に配列された凸レンズを有する。第2面は、回転放物面を有する。第1面の凸レンズの少なくとも一部は、回転放物面に沿って形成されている。
【符号の説明】
【0088】
100…レンチキュラーレンズ
110…中心部
110a…第1面
110b…第2面
120…外縁部
120a…第1面
120b…第2面
1000…光演出装置
1100…基板
1200…光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17