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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】X線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240409BHJP
【FI】
A61B6/00 520Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021006291
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110713
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 大輝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光毅
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 大
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-148866(JP,A)
【文献】特開2006-006471(JP,A)
【文献】特開2013-255700(JP,A)
【文献】特開2019-030637(JP,A)
【文献】特開2001-095790(JP,A)
【文献】特開2006-218216(JP,A)
【文献】特表2005-510278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0236069(US,A1)
【文献】特開2002-238888(JP,A)
【文献】特開2005-110975(JP,A)
【文献】特開2010-279433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0353151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線源および前記X線検出器を保持するアームと、
前記被検者に対するX線の入射角度が互いに異なる第1アーム角度と第2アーム角度とに前記アームを駆動するアーム駆動機構と、
前記アームに設けられ、前記X線検出器をX線の照射軸方向において前進または後退させるX線検出器移動機構と、
前記被検者が載置される寝台と、
御部と、を備え
前記制御部は、
前記被検者の表面形状を表したモデルである被検者モデルを取得し、
前記アームが前記第1アーム角度の場合における前記X線検出器と前記被検者モデルとの間の距離と、前記アームが前記第2アーム角度の場合における前記X線検出器と前記被検者モデルとの間の距離とが、互いに一致するように前記X線検出器移動機構を制御する、
X線撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記被検者の情報から前記被検者の体厚および体幅を取得することにより、前記被検者モデルを生成するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被検者モデルの大きさと、前記被検者モデルと前記X線検出器との相対位置とに基づいて、前記被検者モデルを再度生成するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被検者の情報として、前記被検者の身長および体重から推定される前記被検者の体厚および体幅を取得するように構成されている、請求項2または3に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記X線検出器と前記被検者とが接触したか否かを検知する接触センサをさらに備え、
前記制御部は、前記接触センサによって前記X線検出器と前記被検者とが接触した際の前記X線検出器の位置に基づいて、前記被検者モデルを再度生成するように構成されている、請求項2または3に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部によって入力された前記被検者の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、前記被検者モデルを生成するように構成されている、請求項2または3に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記X線検出器において検出されるX線の線量に基づいて撮影条件を設定するとともに、設定した前記撮影条件に基づいて、前記被検者の体厚および体幅を取得するように構成されている、請求項2または3に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記アーム駆動機構は、前記寝台に対する前記アームの位置および角度を変更可能に構成されており、
前記制御部は、前記アームの位置および角度の少なくとも一方を変更することにより撮影位置を変更する場合に、予め前記X線検出器移動機構によって前記X線検出器を後退させるか、または、前記アームの位置および角度の少なくとも一方を変更させながら前記X線検出器を後退させるとともに、撮影位置を変更した後に前記X線検出器移動機構によって前記X線検出器を前進させるか、または、前記アームの位置および角度の少なくとも一方を変更させながら前記X線検出器を前進させることにより、前記被検者モデルの表面から前記X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記X線検出器の位置を調整させる位置調整動作の制御を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記制御部は、撮影位置を変更する場合に、変更後の撮影位置を取得するとともに、変更後の撮影位置における前記X線検出器と前記被検者モデルとの間の距離を取得し、取得した前記X線検出器と前記被検者モデルとの間の距離が所定の大きさ以下となる場合に、前記X線検出器を後退させる制御を行い、取得した前記X線検出器と前記被検者モデルとの間の距離が所定の大きさ以上となる場合に、前記X線検出器を移動させる制御を行うように構成されている、請求項8に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記アーム駆動機構は、前記寝台に対する前記アームの位置および角度を変更可能に構成されており、
前記制御部は、操作者が、前記寝台の位置、前記アームの位置および角度の少なくともいずれかを変化させている間、前記寝台の位置、前記アームの位置および角度の少なくともいずれかの変化に連動させて前記被検者モデルの表面に沿って前記X線検出器を移動させるように前記被検者モデルの表面から前記X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記X線検出器の位置を調整させる位置調整動作の制御を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
前記制御部は、操作者の入力操作に基づいて、前記寝台の位置、前記アームの位置および角度の少なくともいずれかを変化させるとともに、操作者の入力操作が行われている間は、前記X線検出器が前記被検者モデルの表面に対する所定の距離を維持するように、前記位置調整動作の制御を継続して行うように構成されている、請求項10に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記被検者モデルの表面から前記X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記X線検出器の位置を調整させる位置調整動作として、撮影位置において、前記X線検出器を前記被検者に密着させる制御を行うように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
前記制御部は、操作者の入力操作に基づき、前記被検者モデルの表面から前記X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記X線検出器の位置を調整させる位置調整動作の制御を行うか否かを切り替えるように構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項14】
前記X線源は、第1X線源と第2X線源とを含み、
前記X線検出器は、前記第1X線源から照射されたX線を検出する第1X線検出器と、前記第2X線源から照射されたX線を検出する第2X線検出器とを含み、
前記アームは、前記第1X線源および前記第1X線検出器を保持する第1アームと、前記第2X線源および前記第2X線検出器を保持する第2アームとを含み、
前記アーム駆動機構は、前記第1アームを駆動する第1アーム駆動機構と、前記第2アームを駆動する第2アーム駆動機構とを含み、
前記X線検出器移動機構は、前記第1アームに設けられ、前記第1X線検出器をX線の第1照射軸方向に移動させる第1X線検出器移動機構と、前記第2アームに設けられ、前記第2X線検出器をX線の第2照射軸方向に移動させる第2X線検出器移動機構とを含み、
前記制御部は、前記被検者モデルの表面から前記X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記X線検出器の位置を調整させる位置調整動作の制御として、前記第1X線検出器を前進または後退させることにより、前記被検者モデルの表面から前記第1X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記第1X線検出器の位置を調整させる第1位置調整動作の制御を行うとともに、前記第2X線検出器を前進または後退させることにより、前記被検者モデルの表面から前記第2X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記第2X線検出器の位置を調整させる第2位置調整動作の制御を行うように構成されている、請求項1~13のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置に関し、特に、X線源およびX線検出器を保持するアームを備えるX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線源およびX線検出器を保持するアームを備えるX線撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、Cアームと、X線管と、フラットパネルX線検出器と、スライド支持機構と、スライド機構と、寝台とを備える。X線管は、Cアームの一方側の端部に設けられており、フラットパネルX線検出器は、Cアームの他方側の端部に設けられている。スライド支持機構は、フラットパネルX線検出器を、X線の照射軸と直交する方向に移動可能に保持している。また、スライド機構は、X線の照射軸方向に対して、スライド支持機構を移動可能に保持している。すなわち、上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、スライド支持機構およびスライド機構により、X線管とフラットパネルX線検出器とを移動させることによって、異なる撮影位置から撮影を行うように構成されている。また、上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、撮影を行う際に、X線の照射軸と直交する方向、および、X線の照射軸方向にフラットパネルX線検出器を移動させることにより、フラットパネルX線検出器を被検者に近づけるように構成されている。なお、上記特許文献1に開示されているスライド保持機構は、フラットパネルX線検出器を、手動または電動で直線移動可能なように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-95790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、寝台に対するCアーム(アーム)の角度に基づいて、フラットパネルX線検出器(X線検出器)を被検者に近づけるように構成されている。しかしながら、寝台に対するアームの角度に基づいてX線検出器を被検者に近づける構成では、被検者とX線検出器との間の距離ではなく、X線検出器と寝台との間の距離に基づいて、X線検出器を被検者に近づける。したがって、寝台に載置された被検者の体形が考慮されないため、被検者とX線検出器との間の距離が所定の距離よりも大きくなる場合がある。被検者とX線検出器との間の距離が所定の距離よりも大きくなると、X線源からX線検出器までの距離が所定の距離よりも大きくなり、減衰するX線の線量が増加する。減衰するX線の線量が増加すると、得られる画像のコントラストが低下する。そのため、得られる画像のコントラストが低下することを抑制するために、照射するX線の線量を増加させる必要がある。照射するX線の線量を増加させると、散乱X線が増加するという不都合がある。散乱X線が増加した場合、得られる画像の画質が劣化するという不都合がある。また、X線検出器を操作者が手動で移動させることにより、被検者とX線検出器との間の距離を小さくすることが考えられるが、撮影位置を変更する度に操作者が手動でX線検出器を移動させる必要があるため、操作者の負担が増加するという不都合がある。そのため、操作者の負担が増加することを抑制しつつ、被検者とX線検出器との間の距離が大きくなることを抑制することが可能なX線撮影装置が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、操作者の負担が増加することを抑制しつつ、被検者とX線検出器との間の距離が所定の距離よりも大きくなることを抑制することが可能なX線撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるX線撮影装置は、被検者にX線を照射するX線源と、X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線源およびX線検出器を保持するアームと、被検者に対するX線の入射角度が互いに異なる第1アーム角度と第2アーム角度とにアームを駆動するアーム駆動機構と、アームに設けられ、X線検出器をX線の照射軸方向において前進または後退させるX線検出器移動機構と、被検者が載置される寝台と、制御部と、を備え、制御部は、被検者の表面形状を表したモデルである被検者モデルを取得し、アームが第1アーム角度の場合におけるX線検出器と被検者モデルとの間の距離と、アームが第2アーム角度の場合におけるX線検出器と被検者モデルとの間の距離とが、互いに一致するようにX線検出器移動機構を制御する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の一の局面におけるX線撮影装置では、上記のように、被検者の表面形状を表したモデルである被検者モデルを取得し、アームが第1アーム角度の場合におけるX線検出器と被検者モデルとの間の距離と、アームが第2アーム角度の場合におけるX線検出器と被検者モデルとの間の距離とが、互いに一致するようにX線検出器移動機構を制御する制御部を備える。これにより、位置調整動作の制御を行うことによって、被検者モデルの表面から所定の距離となる位置にX線検出器が配置されるので、X線検出器と寝台との間の距離ではなく、寝台に載置された被検者の体形を考慮したうえで、被検者とX線検出器との間の距離に基づいて、X線検出器を被検者に近づけることができる。また、操作者がX線検出器を移動させることなく、X線検出器を所定の距離まで被検者に接近させることができる。これらの結果、操作者の負担が増加することを抑制しつつ、被検者とX線検出器との間の距離が所定の距離よりも大きくなることを抑制することができる。なお、所定の距離とは、距離が0(ゼロ)の場合も含む概念である。すなわち、所定の距離とは、被検者モデルの表面とX線検出器とが接触する距離も含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるX線撮影装置の全体構成を示す模式図である。
図2】一実施形態によるX線撮影装置が生成する被検者モデルを説明するための模式図である。
図3】一実施形態による制御部が位置調整動作の制御を行う条件を説明するための模式図である。
図4】一実施形態による制御部が、位置調整動作の制御を行う条件のうち、図3の条件とは異なる条件を説明するための模式図である。
図5】第1撮影位置を説明するための模式図である。
図6】第2撮影位置を説明するための模式図である。
図7】一実施形態によるX線撮影装置がアームを自動で移動させる場合の位置調整動作を説明するための模式図(A)~模式図(D)である。
図8】一実施形態によるX線撮影装置において、操作者が手動でアームを移動させる場合の位置調整動作を説明するための模式図(A)~模式図(D)である。
図9】一実施形態によるX線撮影装置が自動でアームを移動させる場合の位置調整動作の処理を説明するためのフローチャートである。
図10】一実施形態によるX線撮影装置において、操作者が手動でアームを移動させる場合の位置調整動作の処理を説明するためのフローチャートである。
図11】一実施形態によるX線撮影装置において、位置調整動作の制御を行うか否かを切り替える処理を説明するためのフローチャートである。
図12】第1変形例によるX線撮影装置の全体構成を示す模式図である。
図13】第1変形例による被検者モデルを再度生成する処理を説明するためのフローチャートである。
図14】第2変形例によるX線撮影装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1図8を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100の構成について説明する。
【0012】
(X線撮影装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、X線撮影装置100は、X線源1と、X線検出器2と、アーム3と、アーム駆動機構4と、X線検出器移動機構5と、寝台6と、制御部7と、を備えている。また、本実施形態では、X線撮影装置100は、接触センサ8をさらに備えている。また、本実施形態では、X線撮影装置100は、入力受付部9をさらに備えている。また、本実施形態では、X線撮影装置100は、アーム位置変更機構10と、記憶部11と、をさらに備えている。本実施形態では、X線撮影装置100は、たとえば、検査室に設置され、被検者80に造影剤を投与して撮影することにより、医師等が被検者80の関心領域の治療および診断などを行う。なお、図1に示す例では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する水平面内において互いに直交する方向を、X方向およびY方向とする。X方向のうち、一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうち、一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。
【0014】
X線源1は、被検者80にX線を照射するように構成されている。X線源1は、制御部7からの信号に基づいて高電圧が印加されることにより、X線を発生させるとともに、発生させたX線をX線検出器2に向けて照射するように構成されている。図1に示す例では、X線源1は、照射軸50の方向に、X線を照射する。なお、図1に示す例では、X線源1は、照射軸50がZ方向を向くように設けられている。
【0015】
X線検出器2は、X線源1から照射されたX線を検出するように構成されている。また、X線検出器2は、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。X線検出器2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。
【0016】
アーム3は、X線源1およびX線検出器2を保持するように構成されている。本実施形態では、図1に示すように、アーム3は、円弧状の形状を有しており、一端と他端とに、X線源1と、X線検出器2とを保持している。アーム3は、いわゆるCアームである。また、アーム3は、アーム駆動機構4に保持されている。図1に示す例では、アーム3は、アーム駆動機構4に回転可能に保持されている。図1に示す例では、アーム3は、X線源1とX線検出器2との間に、寝台6の短辺が位置するように配置されている。
【0017】
アーム駆動機構4は、アーム3を駆動するように構成されている。本実施形態では、矢印60に示すように、回転軸51の軸線周りに回動可能にアーム3を保持している。また、アーム駆動機構4は、アーム3をアーム3の周方向(矢印61方向)に移動可能に構成されている。アーム駆動機構4は、たとえば、モータなどを含む。図1に示す例では、アーム駆動機構4は、回転軸51が水平方向(X方向)を向くように構成されている。
【0018】
アーム駆動機構4は、アーム3およびアーム駆動機構4を移動させるアーム位置変更機構10に保持されている。具体的には、アーム駆動機構4は、寝台6に対するアーム3の位置および角度を変更可能に構成されている。
【0019】
X線検出器移動機構5は、アーム3に設けられ、X線検出器2をX線の照射軸50方向において前進または後退させるように構成されている。図1に示す例では、X線検出器移動機構5は、X線検出器2をX線の照射軸50の方向に移動させるように構成されている。図1に示す例では、X線の照射軸50がZ方向を向いているため、X線検出器移動機構5は、矢印63に示すように、X線検出器2をZ方向に移動させるように構成されている。X線検出器移動機構5は、たとえば、直動機構を含む。X線検出器移動機構5がX線検出器2をX線の照射軸50方向において移動させる構成の詳細については、後述する。
【0020】
寝台6は、天板6aと、天板移動機構6bとを含む。天板6aには、被検者80が載置される。なお、X方向は、天板6aの長手方向である。言い換えると、X方向は、被検者80の頭足(体長)方向である。また、Y方向は、天板6aの短手方向である。言い換えると、Y方向は、被検者80の体幅80b(図2参照)方向である。
【0021】
天板移動機構6bは、制御部7の制御の下、天板6aを移動させるように構成されている。具体的には、天板移動機構6bは、天板6aをZ方向に移動させるように構成されている。また、天板移動機構6bは、天板6aを、XY平面において平行移動させるように構成されている。また、天板移動機構6bは、天板6aを傾斜させることが可能に構成されている。天板移動機構6bは、たとえば、X方向に天板6aを移動させる直動機構と、Y方向に天板6aを移動させる直動機構と、Z方向に天板6aを移動させる直動機構とを含む。
【0022】
制御部7は、X線撮影装置100を制御するように構成されている。また、制御部7は、アーム駆動機構4、および、アーム位置変更機構10を制御するように構成されている。具体的には、制御部7は、X線検出器2の位置を調整させる位置調整動作の制御を行うように構成されている。また、制御部7は、アーム駆動機構4、および、アーム位置変更機構10により、アーム3を所定の撮影位置に配置して、撮影を行うよう制御するように構成されている。制御部7は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。制御部7が位置調整動作の制御を行う構成の詳細については、後述する。
【0023】
接触センサ8は、X線検出器2のうち、X線源1側の面に設けられている。したがって、接触センサ8は、X線検出器2と被検者80とが接触したか否かを検知するように構成されている。接触センサ8は、たとえば、機械式のセンサを含む。
【0024】
入力受付部9は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部9は、たとえば、マウス、キーボード、および、ジョイスティックなどの入力装置を含む。
【0025】
アーム位置変更機構10は、アーム駆動機構4を移動させて、アーム駆動機構4とともにアーム3を所望の撮影位置に移動させるように構成されている。アーム位置変更機構10は、矢印62に示すように、回転軸52の軸線周りに回動可能に構成されている。アーム位置変更機構10は、回転軸52の軸線周りに回動することにより、アーム駆動機構4とともに、アーム3を所望の撮影位置に移動させるように構成されている。図1に示す例では、アーム位置変更機構10は、回転軸52が上下方向(Z方向)を向くように構成されている。
【0026】
記憶部11は、後述する被検者モデル90、および、各撮影位置において撮影する際のアーム3の位置情報などを記憶するように構成されている。記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性のメモリを含む。
【0027】
(撮影位置)
本実施形態では、X線撮影装置100は、制御部7がアーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することにより、アーム3の位置を変更し、様々な撮影位置において撮影を行うことが可能なように構成されている。
【0028】
本実施形態では、記憶部11に予め撮影位置が記憶されている。制御部7は、操作者が、記憶部11に記憶された撮影位置のうち、所望の撮影位置を選択した際の入力に基づいて、自動でアーム3の位置および角度を変更させる制御を行うように構成されている。また、制御部7は、操作者の操作入力に基づいて任意の位置および角度にアーム3を移動させる制御を行うように構成されている。これにより、予め記憶されていない撮影位置における撮影を行うことができる。
【0029】
本実施形態では、制御部7は、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかを変更することにより撮影位置を変更するように構成されている。本実施形態では、制御部7は、天板移動機構6bを制御することによって天板6aを移動させることにより、寝台6の位置を変更するように構成されている。また、制御部7は、アーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することにより、アーム3の位置および角度を変更するように構成されている。なお、寝台6の位置とは、上下方向(Z方向)の位置、被検者80の体軸方向(X方向)の位置、被検者80の体幅方向(Y方向)の位置、鉛直軸線方向周りの回転方向の位置、被検者80の体軸方向(X方向)における傾斜位置、および、被検者80の体幅(Y方向)における傾斜位置を含む。アーム3の角度とは、X線の照射軸50が延びる方向と、寝台6が延びる方向とがなす角度である。すなわち、アーム3の角度とは、X線の照射軸50が延びる方向と、寝台6の短手方向(Y方向)とがなす角度91(図5参照)と、X線の照射軸50が延びる方向と、寝台6の長手方向(X方向)とがなす角度92(図1参照)とを含む。
【0030】
ここで、X線源1とX線検出器2との距離が離れるにつれて、X線源1とX線検出器2との間の空間で減衰するX線の線量が増加する。そのため、撮影を行う際に、X線検出器2を被検者80に近づける程、減衰するX線の線量を低減することができる。そこで、本実施形態では、制御部7は、被検者80を撮影する際には、各撮影位置において、X線検出器2をX線源1に近づけるために、X線検出器2を被検者80の表面にX線検出器2を近づける制御を行う。
【0031】
具体的には、本実施形態では、制御部7は、X線検出器2を被検者80の表面形状のモデルである被検者モデル90の表面に対して近づけるか、または、被検者モデル90の表面から遠ざけるように移動させることにより、被検者モデル90の表面からX線検出器2までの距離30(図3参照)が所定の距離93(図3参照)となるように位置調整動作の制御を行う。
【0032】
(被検者モデル)
次に、図2を参照して、被検者モデル90について説明する。本実施形態では、制御部7は、被検者モデル90を取得するように構成されている。本実施形態では、制御部7は、被検者の情報81(図1参照)に基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。
【0033】
被検者の情報81(図1参照)は、たとえば、X線撮影装置100が設置された病院の病院システムサーバ(図示せず)、電子カルテシステム(図示せず)などに記憶されている。制御部7は、ネットワーク、または、可搬記憶媒体などを介して、病院システムサーバなどに記憶された被検者の情報81を取得する。
【0034】
制御部7(図1参照)は、被検者の情報81から被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得することにより、被検者モデル90を生成するように構成されている。具体的には、制御部7は、被検者の情報81として、被検者80の身長および体重から推定される被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するように構成されている。
【0035】
また、本実施形態では、制御部7(図1参照)は、接触センサ8によってX線検出器2と被検者80とが接触した際のX線検出器2の位置に基づいて、被検者モデル90を再度生成するように構成されている。すなわち、制御部7は、X線検出器2を被検者80に接触させた位置に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得し、取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、制御部7(図1参照)は、入力受付部9(図1参照)によって入力された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。被検者80の体厚レベルは、たとえば、「大」、「中」、「小」の3つのレベルが含まれる。操作者は、目視または被検者の情報81に基づいて、被検者80の体厚レベルを選択する。また、被検者80の体幅レベルは、たとえば、「大」、「中」、「小」の3つのレベルが含まれる。操作者は、目視または被検者の情報81に基づいて、被検者80の体幅レベルを選択する。制御部7は、操作者によって選択された体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、被検者モデル90を生成する。
【0037】
また、本実施形態では、制御部7(図1参照)は、X線検出器2において検出されるX線の線量に基づいて撮影条件を設定するとともに、設定した撮影条件に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するように構成されている。すなわち、本実施形態では、制御部7は、撮影条件に基づいて取得された被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。ここで、本実施形態によるX線撮影装置100は、得られる画像のコントラストが被検者80の体厚80aおよび体幅80bに起因して変化しないような撮影条件に設定して撮影を行う。すなわち、X線検出器2において検出されるX線の線量が被検者80の体厚80aおよび体幅80bによって変化しないように、撮影条件を設定する。したがって、制御部7は、撮影条件を取得することにより、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得することができる。なお、撮影条件は、X線源1に印加される管電圧および管電圧を含む。
【0038】
また、たとえば、撮影条件と被検者80の体厚80aおよび体幅80bとの関係を示すテーブル、または、検量線などを記憶部11に記憶しておき、制御部7は、記憶部11に記憶された上記テーブルまたは上記検量線などに基づいて、撮影条件から被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得する。また、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するためだけに被検者80の撮影を行う必要はない。制御部7は、予備撮影など、被検者80が予め撮影された際の撮影条件に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得すればよい。
【0039】
本実施形態では、制御部7は、被検者の情報81に基づいて被検者モデル90を生成する方法、X線検出器2を被検者80に接触させた位置に基づいて被検者モデル90を生成する方法、操作者によって選択された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて被検者モデル90を生成する方法、および、撮影条件に基づいて取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて被検者モデル90を生成する方法のうち、いずれかを選択することが可能なように構成されている。また、各方法を組み合わせて行うことが可能なように構成されている。
【0040】
また、制御部7は、操作者によって選択された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて被検者モデル90を生成した後、X線検出器2を被検者80に接触させ、実際の被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得し、生成した被検者モデル90を更新することが可能なように構成されている。
【0041】
図2に示すように、制御部7は、被検者モデル90として、短辺が長さ90a、長辺が長さ90bの楕円形形状を有するモデルを生成する。なお、被検者モデル90の短辺の長さ90aは、被検者80の体厚80aよりも大きい。また、被検者モデル90の長辺の長さ90bは、被検者80の体幅80bよりも大きい。すなわち、制御部7は、被検者モデル90として、被検者80よりも大きい形状を有するモデルを生成する。なお、被検者モデル90は、被検者80よりも大きい形状を有するが、形状が大きくなる分、X線検出器2を被検者モデル90の表面に近づけた際のX線源1とX線検出器2との間の距離が大きくなる。したがって、被検者モデル90は、被検者80モデルの内部に被検者80が入る大きさで、かつ、可能な限り小さいほうが好ましい。
【0042】
(位置調整動作の制御)
次に、図3図8を参照して、本実施形態における制御部7が行う位置調整動作の制御について説明する。なお、本実施形態では、制御部7は、アーム3を自動で移動させる場合と、アーム3が操作者によって手動で移動される場合とのそれぞれにおいて、位置調整動作の制御を行う。なお、アーム3を自動で移動させるとは、制御部7が、操作者によって入力された撮影位置に基づいて、アーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することにより、アーム3を所定の撮影位置に移動させることを意味する。また、アーム3が操作者によって手動で移動される場合とは、操作者が入力受付部9によって入力した操作入力に基づいて、制御部7がアーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することによりアーム3を移動させることを意味する。
【0043】
(アームを自動で移動させる場合の位置調整動作)
まず、図3図7を参照して、制御部7(図1参照)がアーム3を自動で移動させる場合における位置調整動作の制御について説明する。
【0044】
まず、図3を参照して、制御部7が、位置調整動作の制御として、X線検出器2を後退させる制御を行う構成について説明する。図3に示す例は、矢印64に沿ってX線検出器2を移動させる場合を示している。制御部7は、変更後の撮影位置において、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が、所定の距離93以下となる場合に、位置調整動作の制御として、X線検出器2を後退させる制御を行う。なお、図3に示す例では、変更前の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90との距離30が、所定の距離93と等しくなる場合を示している。
【0045】
図3に示す例は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との距離31が、所定の距離93よりも小さくなる場合を示している。具体的には、図3に示す例は、変更後の撮影位置にX線検出器2を移動させた際に、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置されるような場合を示している。なお、図3に示す例では、変更後の撮影位置で、かつ、位置調整動作の制御を行う前のX線検出器2を、破線20で図示している。また、本実施形態では、X線検出器2と被検者モデル90との間の距離のうち、X線検出器2が被検者モデル90の外側に位置する場合の距離をプラスの距離とする。また、X線検出器2が被検者モデル90の内側に位置する場合の距離をマイナスの距離とする。
【0046】
本実施形態では、制御部7は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離31が、所定の距離93以下となる場合に、位置調整動作の制御を行う。具体的には、制御部7は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離31が、所定の距離93以下となる場合には、矢印65に示すように、X線検出器2と被検者モデル90の表面との距離31が所定の距離93となるように、X線検出器2をY1方向に後退させる制御を行う。なお、所定の距離93に0(ゼロ)が含まれる場合(X線検出器2を被検者モデル90の表面に接触させる場合)には、制御部7は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30がマイナスとなる場合に、位置調整動作の制御を行う。
【0047】
次に、図4を参照して、制御部7が、位置調整動作の制御として、X線検出器2を前進させる制御の例について説明する。図4に示す例は、矢印66に沿ってX線検出器2を移動させる場合を示している。なお、図4に示す例では、変更前の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90との距離30が、所定の距離93と等しくなる場合を示している。
【0048】
図4に示す例は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との距離32が、所定の距離93よりも大きくなる場合を示している。制御部7は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離32が、所定の距離93よりも大きくなる場合に、位置調整動作として、X線検出器2を前進させる制御を行う。なお、図4に示す例では、変更後の撮影位置で、かつ、位置調整動作の制御を行う前のX線検出器2の位置を、破線21で図示している。
【0049】
図4に示す例では、制御部7は、矢印67に示すように、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90との距離32が、所定の距離93となるように、X線検出器2をZ2方向に前進させる制御を行う。
【0050】
図3および図4に示すように、本実施形態では、制御部7は、アーム3を自動で移動させる際の位置調整動作の制御を行う場合に、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を取得する。制御部7は、取得したX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の大きさ以下となる場合に、X線検出器2を後退させる制御を行うように構成されている。すなわち、制御部7は、取得したX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93の大きさ以下となる場合に、X線検出器2を後退させる制御を行うように構成されている。なお、所定の距離93の大きさは、操作者が任意の値に設定することができる。
【0051】
また、制御部7は、取得したX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の大きさ以上となる場合に、X線検出器2を移動させる制御を行うように構成されている。すなわち、制御部7は、取得したX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93の大きさ以上となる場合に、X線検出器2を移動させる制御を行うように構成されている。
【0052】
図5図7を参照して、撮影位置を変更した際の位置調整動作の制御について説明する。以下では、撮影位置を変更した際の位置調整動作の制御の例として、図5に示す第1撮影位置から、図6に示す第2撮影位置に撮影位置を変更する場合における位置調整動作の制御について説明する。
【0053】
図5に示すように、照射軸50がZ方向に沿う方向となるようにX線源1およびX線検出器2が配置される位置を、第1撮影位置とする。すなわち、第1撮影位置は、被検者80の体厚80a(図2参照)の方向に沿った方向から被検者80を撮影する撮影位置である。また、図6に示すように、照射軸50がY方向に沿う方向となるように、X線源1およびX線検出器2が配置される位置を、第2撮影位置とする。すなわち、第2撮影位置は、被検者80の体幅80b(図2参照)の方向に沿った方向から、被検者80を撮影する撮影位置である。
【0054】
図7(A)~図7(D)を参照して、第1撮影位置(図5参照)から第2撮影位置(図6参照)に撮影位置を自動で変更した際の位置調整動作の制御について説明する。図7(A)は、第1撮影位置にX線検出器2が配置されている場合の模式図である。図7(A)に示すように、X線検出器2と被検者モデル90の表面との距離30は、所定の距離93と等しい距離となっている。
【0055】
図7(B)に示すように、制御部7は、予めX線検出器移動機構5によってX線検出器2を後退させるか、または、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を後退させる。具体的には、制御部7は、矢印68に示すように、X線検出器2を破線22で図示した位置から、X線検出器2から被検者モデル90までの距離30が距離33となる位置までX線検出器2を後退させる。なお、距離33は、アーム3(図1参照)を移動させる際に、X線検出器2が被検者80に当接しない程度に被検者モデル90から離れた距離であり、所定の距離93よりも大きい距離である。
【0056】
次に、図7(C)に示すように、制御部7は、アーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することにより、アーム3を回転させることにより、矢印69に示すように、X線検出器2を、破線23で図示する位置から90度回転させる。
【0057】
次に、図7(D)に示すように、制御部7は、撮影位置を変更した後にX線検出器移動機構5によってX線検出器2を前進させるか、または、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作の制御を行うように構成されている。本実施形態では、制御部7は、X線検出器2を90度回転させた後に、X線検出器移動機構5によってX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作の制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、破線24で図示した位置から、矢印70に示すように、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との距離34が、所定の距離93となるように、X線検出器2をY2方向に移動させる。これにより、第1撮影位置から第2撮影位置への変更が完了する。すなわち、制御部7は、撮影位置を変更する前のX線検出器2と被検者モデル90との距離30、および、移動が完了した位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離34のどちらの距離も、所定の距離93と等しくなるように、位置調整動作の制御を行う。
【0058】
本実施形態では、制御部7は、アーム3の移動に連動して、位置調整動作の制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、撮影位置を変更する前のX線検出器2の位置座標、撮影位置を変更した後のX線検出器2の位置座標、および、被検者モデル90の位置座標を取得する。なお、被検者モデル90は、天板6aの所定の位置に配置されるため、制御部7は、天板6aの位置座標を取得することにより、被検者モデル90の位置座標を取得することができる。
【0059】
制御部7は、撮影位置を変更した後のX線検出器2の位置座標と、被検者モデル90の位置座標とに基づいて、X線検出器2を前進させる制御、または、X線検出器2を後退させる制御を行うように構成されている。
【0060】
(アームが手動で移動される場合の位置調整動作)
図8(A)~図8(D)を参照して、第1撮影位置(図5参照)から第2撮影位置(図6参照)まで、アーム3が手動で移動させる場合における位置調整動作の制御について説明する。図8(A)は、第1撮影位置にX線検出器2が配置されている場合の模式図である。図8(A)に示すように、X線検出器2と被検者モデル90の表面との距離30は、所定の距離93と等しい距離となっている。
【0061】
制御部7は、操作者が、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかを変化させている間、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかの変化に連動させて被検者モデル90の表面に沿ってX線検出器2を移動させるように位置調整動作の制御を行うように構成されている。
【0062】
具体的には、図8(B)に示すように、制御部7は、X線検出器2が破線25で図示した位置から移動を開始した際に、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を一定の大きさに維持する。すなわち、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を所定の距離93に維持する。また、図8(C)および図8(D)に示すように、制御部7は、X線検出器2の角度および位置が変化し、破線26で図示した位置から移動した場合、および、破線27で図示した位置から移動した場合でも、各位置におけるX線検出器2と被検者モデル90との距離30が所定の距離93となるように、位置調整動作の制御を行う。すなわち、制御部7は、操作者の入力操作に基づいて、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかを変化させるとともに、操作者の入力操作が行われている間は、X線検出器2が被検者モデル90の表面に対する所定の距離93を維持するように、位置調整動作の制御を継続して行うように構成されている。
【0063】
(位置調整動作の制御を行うか否かの切替)
ここで、被検者80の撮影部位によっては、X線検出器2を被検者80から遠ざけて撮影する場合がある。そこで、本実施形態では、制御部7は、操作者の入力操作に基づき、位置調整動作の制御を行うか否かを切り替えるように構成されている。
【0064】
次に、図9を参照して、自動でアーム3を移動させる場合の位置調整動作の制御の処理について説明する。なお、この処理は、操作者によって撮影位置変更の入力が行われたことに基づいて開始される。また、被検者モデル90は予め取得され、記憶部11に記憶されていることとする。
【0065】
ステップ101において、制御部7は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2の位置を取得する。制御部7は、変更後の撮影位置の位置座標を取得することにより、変更後の撮影位置におけるX線検出器2の位置を取得する。
【0066】
ステップ102において、制御部7は、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を取得する。制御部7は、変更後の撮影位置の位置座標と、被検者モデル90の位置座標とに基づいて、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を取得する。
【0067】
ステップ103において、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93以下であるか否かを判定する。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93以下である場合、処理は、ステップ104へ進む。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93以下でない場合、処理は、ステップ105へ進む。
【0068】
ステップ104において、制御部7は、X線検出器移動機構5を制御することにより、X線検出器2を後退させる。具体的には、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との距離30が、距離33(図7参照)となる位置まで、X線検出器2を後退させる。
【0069】
ステップ105において、制御部7は、アーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することにより、アーム3を移動させる。
【0070】
ステップ106において、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93以上であるか否かを判定する。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93以上である場合、処理は、ステップ108へ進む。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93以上でない場合、処理は、終了する。
【0071】
ステップ108において、制御部7は、X線検出器移動機構5を制御することにより、X線検出器2を前進させる。具体的には、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との距離30が、所定の距離93となる位置まで、X線検出器2を前進させる。その後、処理は、終了する。
【0072】
次に、図10を参照して、操作者がアーム3を手動で移動させる場合における位置調整動作の制御の処理について説明する。なお、図9に示す自動でアーム3を移動させる場合の位置調整動作の制御の処理と同様の処理については、同様のステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0073】
ステップ201において、制御部7は、アーム3を移動させる操作入力があったか否かを判定する。アーム3を移動させる操作入力があった場合、処理は、ステップ202へ進む。アーム3を移動させる操作入力がない場合、ステップ201の処理を継続する。
【0074】
ステップ202において、制御部7は、操作入力に基づいて、アーム駆動機構4およびアーム位置変更機構10を制御することにより、アーム3を移動させる。なお、ステップ202におけるアーム3の移動は、制御部7の処理の1クロック分の移動である。すなわち、ステップ202におけるアーム3の移動距離は、微小距離である。
【0075】
ステップ203において、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を取得する。
【0076】
ステップ204において、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が減少したか否かを判定する。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が減少した場合、処理は、ステップ104へ進む。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が減少していない場合、処理は、ステップ205へ進む。
【0077】
処理がステップ204からステップ104へ進んだ場合、ステップ104において、制御部7は、X線検出器移動機構5を制御することにより、X線検出器2を後退させる。その後、処理は、ステップ206へ進む。
【0078】
処理がステップ204からステップ205に進んだ場合、ステップ205において、制御部7は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が増加したか否かを判定する。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が増加した場合、処理は、ステップ108へ進む。X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が増加していない場合、処理は、ステップ206へ進む。
【0079】
ステップ108において、制御部7は、X線検出器移動機構5を制御することにより、X線検出器2を前進させる。その後、処理は、ステップ206へ進む。
【0080】
ステップ206において、制御部7は、アーム3を移動させる操作入力が継続しているか否かを判定する。アーム3を移動させる操作入力が継続していない場合、処理は、終了する。アーム3を移動させる操作入力が継続している場合、処理は、ステップ201へ進む。なお、ステップ206の処理において、アーム3の移動を終了させる操作入力が入力されたことに基づいて、処理を終了させてもよい。また、ステップ204の処理およびステップ104の処理と、ステップ205の処理およびステップ108の処理とは、どちらを先に行ってもよい。
【0081】
次に、図11を参照して、制御部7が位置調整動作の制御を行うか否かを切り替える処理について説明する。
【0082】
ステップ301において、制御部7は、位置調整動作の制御を行うか否かを切り替える操作入力があったか否かを判定する。位置調整動作の制御を行うか否かを切り替える操作入力があった場合、処理は、ステップ302へ進む。位置調整動作の制御を行うか否かを切り替える操作入力がない場合、ステップ301の処理を繰り返す。
【0083】
ステップ302において、制御部7は、ステップ301において入力された操作入力が、位置調整動作の制御を行う操作入力であるか否かを判定する。位置調整動作の制御を行う操作入力である場合、処理は、ステップ303へ進む。位置調整動作の制御を行う操作入力でない場合、処理は、ステップ304へ進む。
【0084】
ステップ303において、制御部7は、位置調整動作の制御を行うモードに設定する。なお、すでに位置調整動作の制御を行うモードに設定されている場合、ステップ303の処理はスキップされる。その後、処理は、終了する。
【0085】
処理がステップ302からステップ304へ進んだ場合、ステップ304において、制御部7は、位置調整動作の制御を行わないモードに設定する。なお、すでに位置調整動作の制御を行わないモードに設定されている場合、ステップ303の処理はスキップされる。その後、処理は、終了する。
【0086】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0087】
本実施形態では、上記のように、X線撮影装置100は、被検者80にX線を照射するX線源1と、X線源1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線源1およびX線検出器2を保持するアーム3と、アーム3を駆動するアーム駆動機構4と、アーム3に設けられ、X線検出器2をX線の照射軸50方向において前進または後退させるX線検出器移動機構5と、被検者80が載置される寝台6と、X線検出器2を被検者80の表面形状のモデルである被検者モデル90の表面に対して近づけるか、または、被検者モデル90の表面から遠ざけるように移動させることにより、被検者モデル90の表面からX線検出器2までの距離30が所定の距離93となるようにX線検出器2の位置を調整させる位置調整動作の制御を行う制御部7と、を備える。これにより、位置調整動作の制御を行うことによって、被検者モデル90の表面から所定の距離93となる位置にX線検出器2が配置されるので、X線検出器2と寝台6との間の距離ではなく、寝台6に載置された被検者80の体形を考慮したうえで、被検者80とX線検出器2との間の距離に基づいて、X線検出器2を被検者80に近づけることができる。また、操作者がX線検出器2を移動させることなく、X線検出器2を被検者80に接近させることができる。これらの結果、操作者の負担が増加することを抑制しつつ、被検者80とX線検出器2との間の距離30が所定の距離93よりも大きくなることを抑制することができる。
【0088】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0089】
すなわち、本実施形態では、上記のように、制御部7は、被検者の情報81から被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得することにより、被検者モデル90を生成するように構成されている。これにより、たとえば、被検者80の表面の3次元データを取得することにより被検者モデル90を生成する構成と比較して、被検者モデル90を容易に生成することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、被検者の情報81として、被検者80の身長および体重から推定される被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するように構成されている。これにより、被検者80の身長および体重から被検者80の体厚80aおよび体幅80bが推定されるので、実際に被検者80の体厚80aおよび体幅80bを操作者が測定することなく被検者モデル90を生成することができる。その結果、操作者の負担を軽減することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、X線検出器2と被検者80とが接触したか否かを検知する接触センサ8をさらに備え、制御部7は、接触センサ8によってX線検出器2と被検者80とが接触した際のX線検出器2の位置に基づいて、被検者モデル90を再度生成するように構成されている。これにより、X線検出器2を被検者80に当接させた際のX線検出器2の位置に基づいて、実際の被検者80の体厚80aおよび体幅80bの実際の大きさを取得することができる。その結果、被検者モデル90の精度を向上させることが可能となるので、X線検出器2をより被検者80に近づけることができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、操作者の操作入力を受け付ける入力受付部9をさらに備え、制御部7は、入力受付部9によって入力された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。これにより、操作者が体厚レベルおよび体幅レベルを選択することにより、被検者モデル90が生成されるので、たとえば、急患など、被検者の情報81が取得することが困難な場合でも、被検者モデル90を生成することができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、X線検出器2において検出されるX線の線量に基づいて撮影条件を設定するとともに、設定した撮影条件に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するように構成されている。これにより、撮影条件に基づいて被検者80の体厚80aおよび体幅80bが取得されるので、撮影位置における撮影条件を取得することにより、撮影位置における被検者モデル90を生成することが可能となるので、撮影位置における被検者モデル90の精度を向上させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、アーム駆動機構4は、寝台6に対するアーム3の位置および角度を変更可能に構成されており、制御部7は、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更することにより撮影位置を変更する場合に、予めX線検出器移動機構5によってX線検出器2を後退させるか、または、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を後退させるとともに、撮影位置を変更した後にX線検出器移動機構5によってX線検出器2を前進させるか、または、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作の制御を行うように構成されている。これにより、予めX線検出器2を後退させることにより、撮影位置を変更している間に、X線検出器2が被検者80に当接することを抑制することができる。また、撮影位置を変更した後に、X線検出器2が前進されるので、X線検出器2と被検者80との間の距離30が大きくなることを抑制することができる。これらの結果、撮影位置の変更後において、X線検出器2が被検者80に当接することを抑制しつつ、X線検出器2と被検者80との間の距離30が大きくなることを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、撮影位置を変更する場合に、変更後の撮影位置を取得するとともに、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30を取得し、取得したX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の大きさ以下となる場合に、X線検出器2を後退させる制御を行い、取得したX線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の大きさ以上となる場合に、X線検出器2を移動させる制御を行うように構成されている。これにより、撮影位置を変更する場合において、変更後の撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90との間の距離30が所定の範囲から外れる場合に、位置調整動作が行われるので、X線検出器2と被検者80との間の距離30が所定の範囲外となる位置にX線検出器2が配置されることを確実に抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、アーム駆動機構4は、寝台6に対するアーム3の位置および角度を変更可能に構成されており、制御部7は、操作者が、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかを変化させている間、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかの変化に連動させて被検者モデル90の表面に沿ってX線検出器2を移動させるように位置調整動作の制御を行うように構成されている。これにより、操作者が手動で寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかを変更した場合でも、位置調整動作が行われる。したがって、撮影位置を手動で変更した場合でも、操作者がX線検出器2を被検者80に近づける動作を行うことなく、X線検出器2を被検者80に接近させることができる。その結果、操作者の負担が増加することを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、操作者の入力操作に基づいて、寝台6の位置、アーム3の位置および角度の少なくともいずれかを変化させるとともに、操作者の入力操作が行われている間は、X線検出器2が被検者モデル90の表面に対する所定の距離93を維持するように、位置調整動作の制御を継続して行うように構成されている。これにより、操作者が、寝台6およびアーム3の少なくとも一方を移動させている間は、X線検出器2と被検者モデル90の表面との間の距離30が所定の距離93に維持されるので、たとえば、操作者が、寝台6およびアーム3の少なくとも一方を操作することにより、撮影位置を変更しながら撮影を行う場合でも、X線検出器2を被検者80に近づけた状態を維持しながら撮影を行うことができる。その結果、撮影位置を変更しながら撮影を行う場合でも、X線の線量が増加することを抑制することが可能となるので、被ばく量が増加することを抑制することができる。また、撮影位置を変更しながら撮影を行う場合でも、X線の線量が増加することを抑制することが可能となるので、散乱X線が増加することを抑制することができる。その結果、撮影位置を変更しながら撮影を行う場合でも、散乱X線に起因して取得する画像の画質が劣化することを抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、操作者の入力操作に基づき、位置調整動作の制御を行うか否かを切り替えるように構成されている。これにより、操作者が所望する場合に位置調整動作を行わせることが可能となるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0099】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0100】
たとえば上記実施形態では、X線撮影装置100が、被検者の情報81に基づいて被検者モデル90を生成し、生成した被検者モデル90に基づいてX線検出器2を近付ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図12に示す第1変形例のように、X線撮影装置200は、被検者モデル90の大きさと、被検者モデル90とX線検出器2との相対位置とに基づいて、被検者モデル90を更新するように構成されていてもよい。
【0101】
具体的には、図12に示すように、第1変形例によるX線撮影装置200は、制御部7の代わりに、制御部17を備える点で、上記実施形態によるX線撮影装置100とは異なる。
【0102】
上記実施形態によるX線撮影装置100では、被検者の情報81に基づいて被検者モデル90を生成する構成を示した。ここで、被検者モデル90は、複数の楕円を被検者80の体軸方向につなげることにより生成される。しかしながら、各楕円の大きさと、実際の被検者80の大きさとが異なる場合がある。
【0103】
そこで、第1変形例による制御部17は、被検者モデル90の大きさと、被検者モデル90とX線検出器2との相対位置とに基づいて、被検者モデル90を再度生成するように構成されている。また、第1変形例による制御部17は、再度生成した被検者モデル90を、記憶部11に記憶する。すなわち、第1変形例による制御部17は、被検者モデル90の大きさと、被検者モデル90とX線検出器2との相対位置とに基づいて、被検者モデル90を更新するように構成されている。
【0104】
第1変形例では、制御部17は、被検者モデル90の表面にX線検出器2を移動させる際に、接触センサ8によってX線検出器2と被検者80とが接触したことが検知された場合に、被検者モデル90の大きさと被検者80の大きさとが異なっていると判定する。すなわち、制御部17は、被検者モデル90の大きさよりも、被検者80の大きさが大きい場合に、被検者モデル90を再度生成する。被検者モデル90の大きさよりも被検者80の大きさの方が大きい場合、制御部17は、被検者モデル90の表面と、X線検出器2が被検者80に接触した位置との距離を取得することにより、被検者モデル90を再度生成する。
【0105】
また、制御部17は、被検者モデル90の表面にX線検出器2を移動させた後、操作者によってさらにX線検出器2を被検者80側に移動されたことを検知した場合に、被検者モデル90の大きさと被検者80の大きさとが異なっていると判定する。すなわち、制御部17は、被検者モデル90の大きさが、被検者80の大きさよりも大きすぎる場合に、被検者モデル90を再度生成する。第1変形例では、制御部17は、被検者モデル90の表面からさらに移動された際の移動量に基づいて、被検者モデル90を再度生成する。
【0106】
次に、図13を参照して、制御部17が被検者モデル90を再度生成する処理について説明する。なお、制御部17が被検者モデル90を再度生成する処理は、位置調整動作が行われている間に実行される。
【0107】
ステップ401において、制御部17は、X線検出器2が被検者80と接触したか否かを判定する。X線検出器2が被検者80と接触していない場合、処理は、ステップ402へ進む。X線検出器2が被検者80と接触した場合、処理は、ステップ403へ進む。
【0108】
ステップ402において、制御部17は、X線検出器2が、被検者モデル90を超えて移動されたか否かを判定する。X線検出器2が被検者モデル90の表面を超えて移動された場合、処理は、ステップ403へ進む。X線検出器2が被検者モデル90の表面を超えて移動されなかった場合、処理は、終了する。なお、X線検出器2が、被検者モデル90を超えて移動されるとは、X線検出器2が被検者モデル90の表面から、被検者80側の方向に移動されることを意味する。すなわち、X線検出器2が、被検者モデル90を超えて移動されるとは、被検者モデル90の内側に、X線検出器2がめり込む状態を意味する。
【0109】
ステップ403において、制御部17は、被検者モデル90を再度生成する。また、制御部17は、記憶部11に記憶された被検者モデル90を、ステップ403の処理において再度生成した被検者モデル90によって更新する。その後、処理は、終了する。
【0110】
第1変形例では、制御部17は、位置調整動作が行われる度に、上記ステップ401からステップ403の処理を、繰り返し行う。第1変形例によるX線撮影装置200のその他委の構成は、上記実施形態によるX線撮影装置100の構成と同様である。
【0111】
第1変形例では、上記のように、制御部17は、被検者モデル90の大きさと、被検者モデル90とX線検出器2との相対位置とに基づいて、被検者モデル90を再度生成するように構成されている。これにより、被検者モデル90が、実際の被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて再度生成されるので、被検者モデル90の精度を向上させることができる。第1変形例によるX線撮影装置200のその他の効果は、上記実施形態によるX線撮影装置100の効果と同様である。
【0112】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が1つのアーム3を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図14に示す第2変形例のように、X線撮影装置300は、2つのアーム3を備えていてもよい。
【0113】
具体的には、図14に示すように、第2変形例によるX線撮影装置300は、制御部7の代わりに制御部37を備える点で、上記実施形態によるX線撮影装置100とは異なる。
【0114】
また、第2変形例によるX線撮影装置300では、X線源1は、第1X線源1aと第2X線源1bとを含む。また、第2変形例によるX線撮影装置300では、X線検出器2は、第1X線源1aから照射されたX線を検出する第1X線検出器2aと、第2X線源1bから照射されたX線を検出する第2X線検出器2bとを含む。
【0115】
第1X線源1aおよび第2X線源1bの構成は、上記実施形態によるX線源1の構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0116】
第1X線検出器2aおよび第2X線検出器2bの構成は、上記実施形態によるX線検出器2の構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0117】
また、第2変形例によるX線撮影装置300では、アーム3は、第1X線源1aおよび第1X線検出器2aを保持する第1アーム3aと、第2X線源1bおよび第2X線検出器2bを保持する第2アーム3bとを含む。第1アーム3aの構成は、上記実施形態によるアーム3の構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。第2アーム3bは、第2X線源1bおよび第2X線検出器2bを保持している。第2アーム3bは、いわゆるCアームである。また、第2アーム3bは、第2アーム駆動機構4bに保持されている。図12に示す例では、第2アーム3bは、第2アーム駆動機構4bに回転可能に保持されている。図12に示す例では、第2アーム3bは、第2X線源1bと第2X線検出器2bとの間に、寝台6の長辺が位置するように配置されている。
【0118】
また、第2変形例によるX線撮影装置300では、アーム駆動機構4は、第1アーム3aを駆動する第1アーム駆動機構4aと、第2アーム3bを駆動する第2アーム駆動機構4bとを含む。第1アーム駆動機構4aの構成は、上記実施形態によるアーム駆動機構4と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。第2アーム駆動機構4bは、矢印71に示すように、第2アーム3bを、回転軸54の軸線周りに回動させるように構成されている。なお、図12に示す例では、第2アーム駆動機構4bは、回転軸54が上下方向に向くように構成されている。
【0119】
また、第2変形例によるX線撮影装置300は、アーム位置変更機構10として、第1アーム位置変更機構10aおよび第2アーム位置変更機構10bを含む。第1アーム位置変更機構10aの構成は、上記実施形態によるアーム位置変更機構10の構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。第2アーム位置変更機構10bは、検査室の天井40に設けられている。第2アーム位置変更機構10bは、第2アーム駆動機構4bを寝台6の長軸方向(矢印72の方向および矢印73の方向)に移動可能に構成されている。第2アーム位置変更機構10bは、直動機構を含む。
【0120】
また、第2変形例によるX線撮影装置300では、X線検出器移動機構5は、第1アーム3aに設けられ、第1X線検出器2aをX線の第1照射軸50方向に移動させる第1X線検出器移動機構5aと、第2アーム3bに設けられ、第2X線検出器2bをX線の第2照射軸53方向に移動させる第2X線検出器移動機構5bとを含む。図12に示す例では、第2照射軸53がY方向に向くように、第2X線源1bおよび第2X線検出器2bが設けられている。第1X線検出器移動機構5a、および、第2X線検出器移動機構5bの構成は、上記実施形態によるX線検出器移動機構5と同様であるため、詳細な構成は省略する。
【0121】
また、第2変形例によるX線撮影装置300は、接触センサ8として、第1接触センサ8aおよび第2接触センサ8bを含む。第1接触センサ8aは、第1X線検出器2aに設けられている。また、第2接触センサ8bは、第2X線検出器2bに設けられている。第1接触センサ8aおよび第2接触センサ8bの構成については、上記実施形態による接触センサ8と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0122】
また、第2変形例によるX線撮影装置300では、制御部37は、位置調整動作の制御として、第1X線検出器2aを前進または後退させることにより、被検者モデル90の表面から第1X線検出器2aまでの距離30が所定の距離93となるように第1X線検出器2aの位置を調整させる第1位置調整動作の制御を行うとともに、第2X線検出器2bを前進または後退させることにより、被検者モデル90の表面から第2X線検出器2bまでの距離30が所定の距離93となるように第2X線検出器2bの位置を調整させる第2位置調整動作の制御を行うように構成されている。X線撮影装置300のその他の構成は、上記実施形態によるX線撮影装置100の構成と同様である。
【0123】
第2変形例では、上記のように、X線源1は、第1X線源1aと第2X線源1bとを含み、X線検出器2は、第1X線源1aから照射されたX線を検出する第1X線検出器2aと、第2X線源1bから照射されたX線を検出する第2X線検出器2bとを含む。また、アーム3は、第1X線源1aおよび第1X線検出器2aを保持する第1アーム3aと、第2X線源1bおよび第2X線検出器2bを保持する第2アーム3bとを含む。また、アーム駆動機構4は、第1アーム3aを駆動する第1アーム駆動機構4aと、第2アーム3bを駆動する第2アーム駆動機構4bとを含む。また、X線検出器移動機構5は、第1アーム3aに設けられ、第1X線検出器2aをX線の第1照射軸50方向に移動させる第1X線検出器移動機構5aと、第2アーム3bに設けられ、第2X線検出器2bをX線の第2照射軸53方向に移動させる第2X線検出器移動機構5bとを含む。また、制御部37は、位置調整動作の制御として、第1X線検出器2aを前進または後退させることにより、被検者モデル90の表面から第1X線検出器2aまでの距離30が所定の距離93となるように第1X線検出器2aの位置を調整させる第1位置調整動作の制御を行うとともに、第2X線検出器2bを前進または後退させることにより、被検者モデル90の表面から第2X線検出器2bまでの距離30が所定の距離93となるように第2X線検出器2bの位置を調整させる第2位置調整動作の制御を行うように構成されている。
【0124】
第2変形例では、上記のように構成することにより、操作者が第1X線検出器2aおよび第2X線検出器2bを移動させることなく各X線検出器2を被検者80に近づけることが可能となるので、第1アーム3aおよび第2アーム3bを備える、いわゆるバイプレーンの撮影装置において、本発明を適用することは好適である。X線撮影装置300のその他の効果は、上記実施形態によるX線撮影装置100の効果と同様である。
【0125】
また、上記実施形態では、制御部7が、位置調整動作の制御として、X線検出器2を被検者モデル90の表面に近づける制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、位置調整動作として、撮影位置において、X線検出器2を被検者80に密着させる制御を行うように構成されていてもよい。このように構成すれば、たとえば、被検者80に密着させて撮影を行う場合でも、操作者がX線検出器2を被検者80に密着させる操作を行うことなく、X線検出器2を被検者80に密着させた状態で撮影を行うことができる。その結果、操作者の負担が増加することをより抑制することができる。
【0126】
また、上記実施形態では、制御部7が、被検者モデル90を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、予め作成された被検者モデル90を取得するように構成されていてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、制御部7が、被検者の情報81に基づいて被検者モデル90を生成する方法、X線検出器2を被検者80に接触させた位置に基づいて被検者モデル90を生成する方法、操作者によって選択された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて被検者モデル90を生成する方法、および、撮影条件に基づいて取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて被検者モデル90を生成する方法のうち、いずれかを選択することが可能なように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、被検者の情報81に基づいて被検者モデル90を生成する方法、X線検出器2を被検者80に接触させた位置に基づいて被検者モデル90を生成する方法、操作者によって選択された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて被検者モデル90を生成する方法、および、撮影条件に基づいて取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて被検者モデル90を生成する方法のうち、いずれか1つのみを行うことが可能なように構成されていてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、制御部7が、アーム3の移動に基づいて、位置調整動作の制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、寝台6(天板6a)の移動に基づいて、位置調整動作の制御を行うように構成されていてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、制御部7が、撮影条件を取得することにより、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、被検者80を撮影して得られるX線画像に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するように構成されていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、制御部7が、被検者の情報81として、被検者80の身長および体重に基づいて被検者モデル90を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、光学カメラによる撮影などによって予め取得された、被検者80の3次元データを、被検者の情報81として取得し、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、制御部7が、被検者モデル90として、楕円形状を有するモデルを生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、被検者モデル90として、短辺および長辺の大きさを組み合わせた複数のモデルを記憶しておき、操作者が選択したモデルにおける短辺と長辺との大きさに基づいて、X線検出器2を前進または後退させるように制御してもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が接触センサ8を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、接触センサ8を備えていなくてもよい。X線撮影装置100が接触センサ8を備えていない場合、接触センサ8の代わりに、距離センサを備えていてもよい。制御部7は、距離センサによって、X線検出器2が被検者80に接触したか否かを判定すればよい。
【0133】
また、上記実施形態では、制御部7が、アーム3を、第1撮影位置と第2撮影位置とに撮影位置を変更する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、第1撮影位置および第2撮影位置以外の撮影位置にアーム3を移動させる制御を行ってもよい。撮影位置は、任意の位置に設定し得る。
【0134】
また、本実施形態で制御部7が、アーム3を移動させる制御を行うことにより、撮影位置を変更する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3を移動させることなく、寝台6を制御することにより、撮影位置の変更を行うように構成されていてもよい。また、制御部7は、アーム3および寝台6の両方を移動させる制御を行うことにより、撮影位置を変更するように構成されていてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、制御部7が、予めX線検出器移動機構5によってX線検出器2を後退させるとともに、撮影位置を変更した後にX線検出器移動機構5によってX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を後退させるとともに、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作を行うように構成されていてもよい。
【0136】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0137】
(項目1)
被検者にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線源および前記X線検出器を保持するアームと、
前記アームを駆動するアーム駆動機構と、
前記アームに設けられ、前記X線検出器をX線の照射軸方向において前進または後退させるX線検出器移動機構と、
前記被検者が載置される寝台と、
前記X線検出器を前記被検者の表面形状のモデルである被検者モデルの表面に対して近づけるか、または、前記被検者モデルの表面から遠ざけるように移動させることにより、前記被検者モデルの表面から前記X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記X線検出器の位置を調整させる位置調整動作の制御を行う制御部と、を備える、X線撮影装置。
【0138】
(項目2)
前記制御部は、前記被検者の情報から前記被検者の体厚および体幅を取得することにより、前記被検者モデルを生成するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0139】
(項目3)
前記制御部は、前記被検者モデルの大きさと、前記被検者モデルと前記X線検出器との相対位置とに基づいて、前記被検者モデルを再度生成するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0140】
(項目4)
前記制御部は、前記被検者の情報として、前記被検者の身長および体重から推定される前記被検者の体厚および体幅を取得するように構成されている、項目2または3に記載のX線撮影装置。
【0141】
(項目5)
前記X線検出器と前記被検者とが接触したか否かを検知する接触センサをさらに備え、
前記制御部は、前記接触センサによって前記X線検出器と前記被検者とが接触した際の前記X線検出器の位置に基づいて、前記被検者モデルを再度生成するように構成されている、項目2または3に記載のX線撮影装置。
【0142】
(項目6)
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部によって入力された前記被検者の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、前記被検者モデルを生成するように構成されている、項目2または3に記載のX線撮影装置。
【0143】
(項目7)
前記制御部は、前記X線検出器において検出されるX線の線量に基づいて撮影条件を設定するとともに、設定した前記撮影条件に基づいて、前記被検者の体厚および体幅を取得するように構成されている、項目2または3に記載のX線撮影装置。
【0144】
(項目8)
前記アーム駆動機構は、前記寝台に対する前記アームの位置および角度を変更可能に構成されており、
前記制御部は、前記アームの位置および角度の少なくとも一方を変更することにより撮影位置を変更する場合に、予め前記X線検出器移動機構によって前記X線検出器を後退させるか、または、前記アームの位置および角度の少なくとも一方を変更させながら前記X線検出器を後退させるとともに、撮影位置を変更した後に前記X線検出器移動機構によって前記X線検出器を前進させるか、または、前記アームの位置および角度の少なくとも一方を変更させながら前記X線検出器を前進させることにより、前記位置調整動作の制御を行うように構成されている、項目1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0145】
(項目9)
前記制御部は、撮影位置を変更する場合に、変更後の撮影位置を取得するとともに、変更後の撮影位置における前記X線検出器と前記被検者モデルの表面との間の距離を取得し、取得した前記X線検出器と前記被検者モデルの表面との間の距離が所定の大きさ以下となる場合に、前記X線検出器を後退させる制御を行い、取得した前記X線検出器と前記被検者モデルの表面との間の距離が所定の大きさ以上となる場合に、前記X線検出器を移動させる制御を行うように構成されている、項目8に記載のX線撮影装置。
【0146】
(項目10)
前記アーム駆動機構は、前記寝台に対する前記アームの位置および角度を変更可能に構成されており、
前記制御部は、操作者が、前記寝台の位置、前記アームの位置および角度の少なくともいずれかを変化させている間、前記寝台の位置、前記アームの位置および角度の少なくともいずれかの変化に連動させて前記被検者モデルの表面に沿って前記X線検出器を移動させるように前記位置調整動作の制御を行うように構成されている、項目1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0147】
(項目11)
前記制御部は、操作者の入力操作に基づいて、前記寝台の位置、前記アームの位置および角度の少なくともいずれかを変化させるとともに、操作者の入力操作が行われている間は、前記X線検出器が前記被検者モデルの表面に対する所定の距離を維持するように、前記位置調整動作の制御を継続して行うように構成されている、項目10に記載のX線撮影装置。
【0148】
(項目12)
前記制御部は、前記位置調整動作として、撮影位置において、前記X線検出器を前記被検者に密着させる制御を行うように構成されている、項目1~11のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0149】
(項目13)
前記制御部は、操作者の入力操作に基づき、前記位置調整動作の制御を行うか否かを切り替えるように構成されている、項目1~12のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0150】
(項目14)
前記X線源は、第1X線源と第2X線源とを含み、
前記X線検出器は、前記第1X線源から照射されたX線を検出する第1X線検出器と、前記第2X線源から照射されたX線を検出する第2X線検出器とを含み、
前記アームは、前記第1X線源および前記第1X線検出器を保持する第1アームと、前記第2X線源および前記第2X線検出器を保持する第2アームとを含み、
前記アーム駆動機構は、前記第1アームを駆動する第1アーム駆動機構と、前記第2アームを駆動する第2アーム駆動機構とを含み、
前記X線検出器移動機構は、前記第1アームに設けられ、前記第1X線検出器をX線の第1照射軸方向に移動させる第1X線検出器移動機構と、前記第2アームに設けられ、前記第2X線検出器をX線の第2照射軸方向に移動させる第2X線検出器移動機構とを含み、
前記制御部は、前記位置調整動作の制御として、前記第1X線検出器を前進または後退させることにより、前記被検者モデルの表面から前記第1X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記第1X線検出器の位置を調整させる第1位置調整動作の制御を行うとともに、前記第2X線検出器を前進または後退させることにより、前記被検者モデルの表面から前記第2X線検出器までの距離が所定の距離となるように前記第2X線検出器の位置を調整させる第2位置調整動作の制御を行うように構成されている、項目1~13のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【符号の説明】
【0151】
1 X線源
1a 第1X線源
1b 第2X線源
2 X線検出器
2a 第1X線検出器
2b 第2X線検出器
3 アーム
3a 第1アーム
3b 第2アーム
4 アーム駆動機構
4a 第1アーム駆動機構
4b 第2アーム駆動機構
6 寝台
7、17、37 制御部
8 接触センサ
9 入力受付部
30 X線検出器と被検者モデルの表面との距離
50 X線の照射軸(X線の第1照射軸)
53 X線の第2照射軸
80 被検者
80a 体厚(被検者の体厚)
80b 体幅(被検者の体幅)
90 被検者モデル
93 所定の距離
100、200 X線撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図14