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  • 特許-空気調和機 図1
  • 特許-空気調和機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/62 20180101AFI20240409BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20240409BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240409BHJP
【FI】
F24F11/62
F24F11/61
F24F11/64
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021023323
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125628
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】北島 真枝
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/138481(WO,A1)
【文献】特開2013-245922(JP,A)
【文献】特開2003-148788(JP,A)
【文献】特開2018-169230(JP,A)
【文献】特開平02-250625(JP,A)
【文献】特開昭63-223446(JP,A)
【文献】特開2019-157841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/62
F24F 11/61
F24F 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンモータにより駆動されるファンと室外熱交換器とを備えた室外機と、室内熱交換器を備えた室内機と、前記室内機からの運転指令に基づき前記室外機及び前記室内機の運転を制御する制御部と、を備えて空調運転を行う空気調和機であって、
前記室外機の運転停止中において、外風により回転する前記ファンの回転数である空転回転数が検出可能な回転数検出部と、
前記空調運転の開始時刻を設定する時刻タイマと、を備え、
前記時刻タイマで設定された開始時刻に空調運転を開始するタイマ運転が可能であると共に、空調運転開始時に前記ファンモータを起動させる際に空転回転数が所定回転数を越えている場合には、前記ファンモータの起動を行わない制御を行う空気調和機において、
前記制御部は、前記タイマ運転を行う場合において、前記回転数検出部から検出される空転回転数に基づき前記タイマ運転の開始時刻における空転回転数を推定し、前記推定した空転回転数が前記所定回転数を越えると判定された場合には、前記タイマ運転の開始時刻前に前記ファンモータを起動させることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記回転数検出部で検出された空転回転数を所定時間毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した空転回転数に基づいて前記タイマ運転の開始時刻における空転回転数を推定する推定部と、を備え、
前記制御部は、前記推定部で推定した前記タイマ運転の開始時刻における空転回転数が前記所定回転数を越えると判定された場合には、前記タイマ運転の開始時刻前に前記ファンモータを起動させることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記推定部は、前記タイマ運転の開始時刻の所定の時間前に前記記憶部に記憶した空転回転数に基づいて空転回転数の変化率を求め、前記変化率に基づいて前記タイマ運転の開始時刻における空転回転数を推定することを特徴とする請求項2項に記載の空気調和機。
【請求項4】
推定した前記タイマ運転の開始時刻における空転回転数が前記所定回転数を越えると判定され、かつ、空転回転数が前記所定回転数を越えていない場合には、前記制御部は、前記ファンモータを起動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
推定した前記タイマ運転の開始時刻における空転回転数が前記所定回転数を越えると判定され、かつ、空転回転数が前記所定回転数を越えている場合には、前記制御部は、前記タイマ運転の開始時刻までに空転回転数が前記所定回転数を越えなくなった場合に、前記ファンモータを起動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記推定部は、空転回転数が前記所定回転数を超える時刻を推定すると共に、
前記推定部で推定された空転回転数が前記所定回転数を超える時刻より前に、前記ファンモータを起動させることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機であって、空気調和機の室外機に使用されるファンモータの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転子の位置検出素子(回転数検出部)を有するファンモータにより駆動されるファンと熱交換器(室外熱交換器)とを搭載した空気調和機の室外機が開示されている。この空気調和機は、室外機停止中に外風により回転するファンモータの回転数を回転子の位置検出素子(回転数検出部)からの信号により検出しておき、ファンモータの回転数が、室外機の運転を開始した場合に室外機が必要とする回転数以上の場合は、ファンモータを駆動せずに室外機の運転を開始する。
【0003】
また、特許文献2には、室外熱交換器と室外熱交換器に空気を送風するためのファンを備えた室外機と、熱交換器(室内熱交換器)を備えた室内機と、室内機からの運転指令に基づき室外機及び室内機の運転を制御する制御器(制御部)と、を備えて空調運転を行う空気調和機であって、タイマ手段で設定されたタイマ開始時刻に空調運転を開始しタイマ手段で設定されたタイマ終了時刻に空調運転を終了する、いわゆるタイマ運転を行う空気調和機が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された空気調和機の室外機では、回転数検出部により室外機停止中に外風により回転するファンモータの回転数を検出するが、ファンモータの破損防止のため、空調運転開始時において、回転数検出部で検出した外風によるファンモータの空転回転数が所定回転数を越える場合は、ファンモータの起動を行わない制御となっている。
【0005】
特許文献2に開示されたタイマ運転が可能な空気調和機において、特許文献1に開示された、外風による空転回転数が所定回転数を越える場合は、ファンモータの起動を行わない制御を行った場合、タイマ運転を行うために設定されたタイマ開始時刻において、外風による空転回転数が所定回転数を越える場合は、ファンモータの起動は行われずに空調運転が開始することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-148788号公報
【文献】特開平9-101053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その場合、ファンモータが駆動されないため、タイマ運転において設定された温度に必要な風量が室外熱交換器へ供給されず、室外機が能力不足し、設定温度に達しないという課題がある。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、ファンモータの起動時に空転回転数が所定回転数を越えている場合には、ファンモータの起動を行わない制御を行う空気調和機において、タイマ運転を行う場合に外風の影響により発生する室外機の能力不足を改善、解消することができる空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、ファンモータにより駆動されるファンと室外熱交換器とを備えた室外機と、室内熱交換器を備えた室内機と、室内機からの運転指令に基づき室外機及び室内機の運転を制御する制御部と、を備えて空調運転を行う空気調和機であって、室外機の運転停止中において、外風により回転するファンの回転数である空転回転数が検出可能な回転数検出部と、空調運転の開始時刻を設定する時刻タイマと、を備え、時刻タイマで設定された開始時刻に空調運転を開始するタイマ運転が可能であると共に、空調運転開始時にファンモータを起動させる際に空転回転数が所定回転数を越えている場合には、ファンモータの起動を行わない制御を行う空気調和機において、制御部は、タイマ運転を行う場合において、回転数検出部から検出される空転回転数に基づきタイマ運転の開始時刻における空転回転数を推定し、推定した空転回転数が所定回転数を越えると判定された場合には、タイマ運転の開始時刻前にファンモータを起動させる空気調和機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ファンモータの起動時に空転回転数が所定回転数を越えている場合には、ファンモータの起動を行わない制御を行う空気調和機において、タイマ運転を行う場合に外風の影響により発生する室外機の能力不足を改善、解消することができる空気調和機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機のブロック構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る空気調和機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施形態の空気調和機1の制御回路を含むブロック構成図である。図2は、本実施形態の空気調和機の制御フロー図である。
【実施例
【0014】
図1を参照して、空気調和機1について説明する。図1は、空気調和機1のブロック図である。空気調和機1は、空調する室内に配置される室内機2と屋外に設置される室外機4とが図示しない配管を介して接続されている。室外機4は、室外熱交換器5と室外熱交換器5に外気を送風するためのファン6と、図示されない圧縮機、四方弁、室外機側膨張弁とを備えている。ファン6はファンモータ7によって駆動する。室内機2は、室内熱交換器3と、図示しない室内機側膨張弁及び室内ファンとを備えている。
【0015】
暖房運転時において、圧縮機で圧縮されて高温高圧になった冷媒は室内熱交換器3を流れる。室内熱交換器3を流れる高温高圧の冷媒は、室内ファンによって送風された室内の空気と熱交換することによって放熱し、高温高圧の冷媒と熱交換をした室内の空気は暖められる。室内熱交換器8を通過して放熱した冷媒は室内機側膨張弁によって減圧され、減圧された冷媒は室外熱交換器5を流れる。室外熱交換器5を流れる冷媒は、ファン6によって送風された外気と熱交換し吸熱する。吸熱した冷媒は圧縮機に戻り、再び、高温高圧に圧縮される。
【0016】
冷房運転の場合は、冷媒は暖房運転と逆の向きに流れる。圧縮機で圧縮されて高温高圧になった冷媒は室外熱交換器5を流れる。室外熱交換器5を流れる高温高圧の冷媒は、ファンモータ7で回転するファン6によって送風された外気と熱交換することによって放熱する。室外熱交換器5を通過して放熱した冷媒は室内機側膨張弁によって減圧され、減圧された冷媒は室内熱交換器3を流れる。室内熱交換器3を流れる冷媒は、室内ファンによって送風された室内の空気と熱交換し吸熱する。室内熱交換器3を流れる冷媒によって吸熱された室内の空気は冷却される。吸熱した冷媒は圧縮機に戻り、再び高温高圧に圧縮される。
【0017】
次に、図1に基づいて空気調和機1の制御回路の構成の概略を示す。空気調和機1は、室内機2からの運転指令により設定された開始時刻に空調運転を開始するタイマ運転が可能な空気調和機である。室外機4は、制御部10、回転数検出部11、駆動部12、通信部13、時刻タイマ14、記憶部15、推定部16、判定部17、及び、図示されない圧縮機制御部を備えている。室内機2は、室内制御部20、通信部21、設定部22、表示部23を備えている。
【0018】
制御部10は、室内機2から入力される設定温度および室内温度などの情報、外気温度および室外熱交換器温度などの情報に基づいて、必要なファンモータ7の回転数(指定能力回転数)を決定し、ファンモータ7を駆動制御する。また、制御部10は、圧縮機(図示なし)も駆動制御する。制御部10は、決定したファンモータ7の回転数に基づいて生成した駆動電圧指令値を駆動部12に出力する。ファンモータ7の制御としては、回転数検出部11で得られたファンモータ7の回転数をフィードバックして、決定された回転数を維持するようにフィードバック制御を行う。
【0019】
室外機4の通信部13は、室内機2の通信部21を介して室内機2との通信を行い、室内機2からの設定温度、タイマ運転情報などの運転指令を受信する。また、室外機4から外気温度やファンモータの起動状態などの情報を室内機2へ送信する。時刻タイマ14は、室内機2からの運転指令により設定された開始時刻に空調運転を開始するタイマ運転を行うため、室内機2から送られてきた運転開始の設定時刻に基づき時刻の計時と時間の計時を行う。
【0020】
駆動部12は、制御部10からの駆動電圧指令値に基づいてファンモータ7に駆動電圧を印加する。回転数検出部11は、ファンモータ7のロータの位置を検出するセンサからの位置検出信号に基づいてファン6の回転数を検出する。または、3相で発生する誘起電圧を検出し誘起電圧の周期に基づいてファン6の回転数を算出する。尚、回転数検出部11は、正回転と逆回転といった回転方向と回転数を検出することができる。ファンモータ7は、駆動部12から印加される駆動電圧により駆動し、ファン6を回転させて風を生成し、その風によって室外熱交換器5の熱交換能力を高める。また、ファン6は、室外機4の運転停止中、すなわち、駆動部12からの駆動電圧が印加されていない状態において、ファン6は外風によって正転方向および逆転方向のいずれか一方に空転する。また、回転数検出部11は、室外機4の運転停止中において外風により回転するファン6の空転回転数を検出できる。
【0021】
記憶部15は、回転数検出部11で検出したファン6の空転回転数およびその空転回転数を検出した時刻を時系列で、例えば、5分毎に記憶する。推定部16は、タイマ運転の開始時刻の所定時間前(例えば、1時間前)になると、記憶部15に記憶した空転回転数を基に1時間当たりの回転数の変化量(以下、変化率(回転数/時間))を求め、運転開始時刻の空転回転数を推定する。例えば、変化率が100(回転数/時間)であれば、1時間後の運転開始時刻では、現回転数より100回転が上がると推定する。判定部17は、推定部16で推定したタイマ運転の開始時刻における空転回転数が所定回転数(例えば、400rpm)を越えるか否か判定し、その結果を制御部10へ送信する。変化率は、推定する時刻より数時間前(例えば、2時間前)から推定する時刻までの記憶した空転回転数を移動平均して、推定時の1時間前の移動平均値と推定時の移動平均値の変化量から1時間当たりのる回転数の変化率を求める。空転回転数は常に変化するため、移動平均して回転数の変化をみる。例えば、2時間前からの5分毎の時系列のデータの3つデータを移動平均する。尚、本実施形態では、推定部16と判定部17は別の構成としたが、推定部16が運転開始時刻の空転回転数を推定すると共に、推定したタイマ運転の開始時刻における空転回転数が所定回転数を越えるか否かを判定し、その結果を制御部10へ送信する態様でも構わない。
【0022】
制御部10は、ファンモータ7の起動時に、回転数検出部11で検出されたファン6の外風による空転回転数が所定回転数を越えている場合には、ファンモータ7の起動を行わない制御を行う。これは、ファン6が空転により所定回転数以上回転している状態で、ファンモータ7を起動させるとファンモータ7またはファン6を破損させるおそれがあるため、ファンモータ7またはファン6の破損を防止するための安全制御が作動して、ファンモータ7を起動させない。尚、所定回転数は記憶部15に記憶されている。
【0023】
室内機2は、室内制御部20、通信部21、設定部22、表示部23を備えている。設定部22は、室内機2が取り付けられた室内の設定温度や、タイマ運転をする場合の運転開始時刻及び停止時刻などを設定するための入力手段である。設定部22は室内機2の本体に備わるもの、または、図示しないリモコンに備わるものでも構わない。また、外部からスマートホンなどを利用してインターネットを介して入力できるものでもよい。通信部21は、室外機4の通信部13を介して室外機4との通信を行う。室内制御部20は、設定部22からの設定温度、室内温度、外気温度、室外熱交換器温度、室外機4からの運転指令などに応じて室内ファン(図示なし)を駆動制御する。表示部23は、室内の設定温度、タイマ運転をする場合の運転開始時刻及び停止時刻、また、室外機4から受け取る情報などを表示する表示手段である。表示部23は室内機2の本体に備わるもの、または、リモコンに備わるものでも構わない。
【0024】
次に、図2を用いて、空気調和機1がタイマ運転を行う場合の制御フローに関する第1の実施形態について説明する。タイマ運転を行う場合の制御は制御部10が行う。空気調和機1の運転停止時において、回転数検出部11はファン6の外風による空転回転数を検出し、記憶部15は、回転数検出部11で検出したファン6の空転回転数を時系列で、例えば、5分毎に記憶する(S1)。利用者により室内機2の設定部22からタイマ運転の開始時刻(例えば、18:00に運転開始する。)が設定されたか否か判定する(S2)。運転開始時刻(18:00)の所定時間(例えば、1時間)前(例えば、17:00)になったか否かを判定する(S3)。S3でNOの場合は所定時間になるまで待つ。S3でYESの場合(17:00になった場合)はS4に進む。記憶部15において、時系列で記憶された空転回転数を基に、所定時間(1時間)後の運転開始時刻(18:00)における空転回転数を推定する。
【0025】
推定部16で運転開始時刻における空転回転数の推定方法は、例えば、運転開始時刻(18:00)の3時間前から1時間前までに記憶してある空転回転数のデータを移動平均して、時間に対する回転数の変化の傾き(変化率)を求めて、運転開始時刻での空転回転数を推定する(S4)。
【0026】
判定部17は、S4で推定した運転開始時刻での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上か否かを判定する(S5)。S4で推定した運転開始時刻での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上でない場合(S5でNOの場合)は、運転開始時刻(18:00)でファンモータ7を起動する(S6)。S4で推定した運転開始時刻での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上の場合(S5でYESの場合)は、推定時に回転数検出部11で検出した空転回転数が所定回転数(400rpm)以上であるかどうか判定する(S7)。S7で、推定時の空転回転数が所定回転数(400rpm)以上ではないと判定された場合(S7でNOの場合)は、ファンモータ7が起動する(S8)。S7で、推定時の空転回転数が所定回転数(400rpm)以上であると判定された場合(S7でYESの場合)は、推定時以降に回転数検出部11で検出される空転回転数が所定回転数(400rpm)以下になった時点で、ファンモータ7は起動する(S9)。
【0027】
空気調和機1は、S4で推定した運転開始時刻(18:00)での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上と判定された場合は、運転開始時刻で安全制御が作動してファンモータ7を起動させることが出来なくなる。その場合、従来の制御では、ファンモータ7を起動させることが出来ないことから室外機の能力が不足となる可能性がある。しかし、本制御フローでは、S4で推定した運転開始時刻(18:00)での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上と判定された場合であっても、S5において、推定した運転開始時刻での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上か否かを判定する時刻(17:00)、もしくは、判定する時刻(17:00)から運転開始時刻(18:00)の間で、空転回転数が所定回転数(400rpm)以下になった時点では、安全制御が作動せずファンモータ7を起動させることができる。すなわち、運転開始時刻(18:00)前であって、ファンモータ7を起動させる制御を行うことによって、室外機の能力が不足を解消することができる。
【0028】
上記した第1の実施形態では、推定した運転開始時刻での空転回転数が所定回転数(400rpm)以上か否かを判定する時点(17:00)で、推定した空転回転数が所定回転数(400rpm)以上でない場合は、その時点(17:00)でファンモータ7を起動させる(S8)が、例えば、他の実施形態として、次のように行っても構わない。
【0029】
S4で、空転回転数を推定すると共に、時間に対する回転数の変化率に基づいて推定した空転回転数が所定回転数(400rpm)に達する時刻(例えば、17:30)を推定する。推定した空転回転数が所定回転数(400rpm)に達する時刻(17:30)の前(例えば、10分前の17:20)にファンモータ7を起動させても構わない。このようにすることにより、第1の実施形態では、ファンモータ7を17:00に起動させていたが、他の実施形態では、第1の実施形態の時より遅い時刻の17:20にファンモータ7を起動させることができるため、消費電力を低減することができる。
【0030】
制御部10は、タイマ運転の開始時刻前にファンモータ7を起動させる場合には、タイマ運転の開始時刻前にファンモータ7が起動する旨を室内機2側に通知する。タイマ運転の開始時刻前にファンモータ7が起動する旨の通知を受けた室内制御部20は、表示部23にその旨を表示する。これは、利用者が、空気調和機が誤作動してタイマ運転の開始時刻前に空調運転が開始されていると勘違いするのを避けるためである。
【0031】
第1の実施形態では、タイマ運転を行う場合に、タイマ運転の開始時刻における空転回転数を推定し、推定した空転回転数が所定回転数(400rpm)を越えると判定された場合に、タイマ運転の開始時刻前にファンモータ7を起動させる制御を行ったが、タイマ運転の開始時刻における空転回転数を推定するのではなく、タイマ運転の開始時刻に強風が吹くかどうかを推定して、強風が吹くと推定した場合にタイマ運転の開始時刻前にファンモータ7を起動させる制御を行っても構わない。タイマ運転の開始時刻に強風かどうかの推定は次のように行う。
【0032】
室外機4の運転停止中において、空転回転数を推定する時刻(運転開始時刻の所定時間前)の2時間前より回転数検出部11で検出される空転回転数が、所定回転数(例えば、400rpm)を越え、その状態が所定時間(例えば、10分)継続した回数をカウントし、カウントした回数が閾値(例えば、10回/10分)以上であれば、タイマ運転の開始時刻にファンモータ7の空転回転数が所定回転数を越えるような強風が吹くと推定し、タイマ運転の開始時刻前に回転数検出部11で検出される空転回転数が所定回転数を下回った時点で、ファンモータ7を起動させる。すなわち、強風が常に連続して吹いていないような場合であって、短い時間の間に強風が何回も吹けば、タイマ運転の開始時刻に強風であると判断する。
【0033】
または、室外機4の運転停止中において、回転数検出部11で検出される空転回転数が、所定回転数(例えば、400rpm)を越えている場合の時間を計測し、計測したが時間が閾値(例えば、20分)以上であれば、タイマ運転の開始時刻にファンモータ7の空転回転数が所定回転数を越えるような強風が吹くと推定してもよい。
【0034】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0035】
1…空気調和機、2…室内機、3…室内熱交換器、4…室外機、5…室外熱交換器、6…ファン、7…ファンモータ、10…制御部、11…回転数検出部、12…駆動部、13…通信部、14…時刻タイマ、15…記憶部、16…推定部、17…判定部、20…室内制御部、21…通信部、22…設定部、23…表示部
図1
図2