(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
B60P 1/04 20060101AFI20240409BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240409BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60P1/04 Z
B65G1/00 501C
B65G47/52 101A
(21)【出願番号】P 2021143927
(22)【出願日】2021-09-03
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】秋山 崇
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-019650(JP,A)
【文献】特開2021-017309(JP,A)
【文献】特開2004-078785(JP,A)
【文献】特開2012-126238(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244562(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/129009(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0218374(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3372425(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/04
B65G 1/00
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、車体カバーと、前記車体フレームに対して回転可能に支持された車輪と、前記車輪を駆動する車輪駆動源と、物品が載置される載置面を備えた載置体と、前記物品の移載を行うために前記載置体を駆動する移載駆動機構と、を備え、前記物品を搬送する物品搬送車であって、
前記移載駆動機構は、移載駆動源と、前記移載駆動源の駆動力を前記載置体に伝達する伝達機構と、を備え、
前記伝達機構は、前記移載駆動源の出力軸に連結された出力部材と、前記出力部材により駆動される被駆動部材とを備え、
前記載置体は、前記被駆動部材に連動し、
前記被駆動部材は、前記出力部材に連結されることなく、前記出力部材に押圧されて動作するように構成され、
前記車輪駆動源、前記移載駆動源、及び、前記出力部材が、前記車体フレームに支持され、
前記載置体及び前記被駆動部材が、前記車体カバーに支持され、
前記車体カバーが、前記車輪駆動源及び前記移載駆動源を覆うように配置されていると共に、前記車体フレームに対して着脱できるように取り付けられている、物品搬送車。
【請求項2】
前記出力部材は、前記出力軸の回転軸心回りに揺動するレバー部材であり、
前記車体カバーは、前記出力部材が上下方向に通過する開口部を備えている、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記車体カバーは、前記載置体の下面に対向すると共に前記車輪駆動源及び前記移載駆動源に対して上側を覆うように配置される天面部と、前記天面部の外縁部分から下側へ向かって延在するように形成された側壁部と、を備え、
前記側壁部の下端が、前記車輪の上端よりも下方に配置されている、請求項1又は2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記車輪駆動源及び前記移載駆動源を停止させる停止スイッチをさらに備え、
前記停止スイッチは前記車体フレームに支持され、
前記車体カバーは、前記停止スイッチに応じた位置に開口するように形成された停止スイッチ用開口部を備えている、請求項1から3の何れか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
各部の状態を示す表示灯をさらに備え、
前記表示灯は前記車体フレームに支持され、
前記車体カバーは、前記表示灯に応じた位置に配置されて、前記表示灯の光を前記車体カバーの外部に向けて透過する透光部を備えている、請求項1から4の何れか一項に記載の物品搬送車。
【請求項6】
前記載置体は、水平面に沿う第1軸心回りに揺動するように、前記車体カバーに対して揺動自在に支持され、
前記出力部材は、前記第1軸心に平行な前記出力軸の回転心回りに揺動するレバー部材であり、
前記被駆動部材は、前記第1軸心に平行な第2軸心回りに揺動する揺動アームであり、
前記揺動アームは、水平面に沿って配置される基準姿勢と、前記水平面に対して傾斜した起立姿勢との間で揺動し、
前記載置体は、前記揺動アームが前記基準姿勢である状態で前記載置面が水平面に沿う水平姿勢となり、前記揺動アームが前記水平姿勢から前記起立姿勢となる過程で前記揺動アームにより下側から押圧されて前記第1軸心回りに揺動し、前記揺動アームが前記起立姿勢である状態で前記載置面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢となる、請求項1から5の何れか一項に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームと、車体カバーと、車体フレームに支持された車輪と、車輪駆動源と、物品が載置される載置体と、物品の移載を行うために載置体を駆動する移載駆動機構とを備えて物品を搬送する物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平5-221516号公報には、物品を載置する載置体としての移載装置(15,16,17)と、この移載装置を載置する車体フレームとしての基台(3)と、物品の移載を行うための移載駆動機構として、移載装置と共に基台を昇降させるリフトモータ(4)と、を備えた物品搬送車(1)が開示されている。基台(3)には、それぞれ種類の異なるアタッチメントとしての移載装置(15,16,17)がボルト等を用いることなく、基台(3)と移載装置(15,16,17)とを契合させることで着脱自在である。つまり、搬送対象の物品や、搬送作業に応じて、容易に移載装置(15,16,17)を交換できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献における物品搬送車(1)では、移載装置(15,16,17)は容易に交換できるように構成されているが、リフトモータ(4)は、基台(3)の内部に収容されている。例えば、故障や経年劣化等が生じた場合に、リフトモータ(4)は容易に交換できるようには構成されていない。その他、車輪を駆動する駆動源、この駆動源やリフトモータ(4)に駆動電力を供給する電源、移載装置(15,16,17)を昇降させる移載駆動機構も、基台(3)の内部に収容されていると解され、同様にメンテナンスは容易とはいえないと解される。
【0005】
そこで、車輪や載置体の駆動源や移載駆動機構等のメンテナンス性に優れた物品搬送車の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた物品搬送車は、車体フレームと、車体カバーと、前記車体フレームに対して回転可能に支持された車輪と、前記車輪を駆動する車輪駆動源と、物品が載置される載置面を備えた載置体と、前記物品の移載を行うために前記載置体を駆動する移載駆動機構と、を備え、前記物品を搬送する物品搬送車であって、前記移載駆動機構は、移載駆動源と、前記移載駆動源の駆動力を前記載置体に伝達する伝達機構と、を備え、前記伝達機構は、前記移載駆動源の出力軸に連結された出力部材と、前記出力部材により駆動される被駆動部材とを備え、前記載置体は、前記被駆動部材に連動し、前記被駆動部材は、前記出力部材に連結されることなく、前記出力部材に押圧されて動作するように構成され、前記車輪駆動源、前記移載駆動源、及び、前記出力部材が、前記車体フレームに支持され、前記載置体及び前記被駆動部材が、前記車体カバーに支持され、前記車体カバーが、前記車輪駆動源及び前記移載駆動源を覆うように配置されていると共に、前記車体フレームに対して着脱できるように取り付けられている。
【0007】
この構成によれば、載置体及び被駆動部材は、車体カバーに支持され、車輪駆動源、移載駆動源、出力部材は、車体フレームに支持されている。また、出力部材に押圧されて動作する被駆動部材は、出力部材に連結されていない。つまり、車体カバーは、載置体、被駆動部材を支持した状態で、車体フレームに対して着脱できるように車体フレームに取り付けられている。車体カバーは、車輪駆動源及び移載駆動源を覆うように配置されているので、車体カバーを車体フレームから取り外すことで、車輪駆動源及び移載駆動源を容易にメンテナンスすることができる。また、出力部材は、移載駆動源の出力軸に連結されているので、出力部材も容易にメンテナンスすることができる。このように、本構成によれば、車輪や載置体の駆動源や移載駆動機構等のメンテナンス性に優れた物品搬送車を提供することができる。
【0008】
物品搬送車のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】物品搬送車により物品を移載する様子を示す走行方向視図
【
図4】物品がコンベヤユニットへ投下される様子を示す走行方向視図
【
図8】格納状態の揺動アーム及び支持アームの拡大斜視図
【
図9】格納状態の揺動アーム及び支持アームの拡大平面図
【
図10】載置体が傾斜した状態で開口側から物品搬送車を見た平面図
【
図12】揺動アーム及び支持アームと、第1傾斜状態の載置体との関係を示す図
【
図13】揺動アーム及び支持アームと、非傾斜状態の載置体との関係を示す図
【
図14】揺動アーム及び支持アームと、第2傾斜状態の載置体との関係を示す図
【
図15】揺動アーム及び支持アームと、非傾斜状態の載置体との関係を示す図
【
図16】車体フレームから車体カバーを取り外した状態の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、物品搬送車が物品の仕分け及び搬送を行う物品搬送設備に備えられている場合を例として、物品搬送車の実施形態について説明する。はじめに、
図1から
図5を参照して、物品搬送設備Fの概要について説明する。
図1に示すように、物品搬送設備Fは、物品搬送車Vが走行する走行面Ffと、搬送対象の物品Wを物品搬送車Vに供給する物品供給部109と、物品搬送車Vによって搬送された物品Wを受け取る受取部Iとを備えている。走行面Ffは、平面状に広がるように形成され、物品搬送車Vが走行するための通路Rが設定されている。受取部Iは、走行面Ffにおける複数箇所に設けられている。本実施形態では、複数箇所に設けられた受取部Iのそれぞれは、走行面Ffよりも下方に物品Wを導く受取口Iaを備えている。
【0011】
また、
図2に示すように、物品搬送設備Fは、物品Wを収容するための容器Cを搬送する搬送部Tと、物品Wが収容されていない空の容器C(空容器Ce)を供給する空容器供給部108と、受取部I(受取口Ia)を介して物品搬送車Vから受け取った少なくとも1つの物品Wが収容された容器C(実容器Cf)を出荷する出荷部107とを備えている。
図3から
図5等に示すように、搬送部Tは、上述した走行面Ffよりも下方に配置されている。本実施形態では、搬送部Tは、空容器供給部108から供給された空容器Ceを搬入する空容器搬入部T8と、受取部Iにおいて受け取られた物品Wを収容した実容器Cfを搬出する実容器搬出部T7と、空容器搬入部T8と実容器搬出部T7とを接続するように設けられた受入搬送部Tiとを備えている。本実施形態では、搬送部Tは、複数の受入搬送部Tiを備えており、複数の受入搬送部Tiのそれぞれが、空容器搬入部T8と実容器搬出部T7とを接続するように設けられている。本例では、複数の受入搬送部Tiは、平面視で平行に並んで配置されている。また、
図5に示すように、本実施形態では、空容器搬入部T8、実容器搬出部T7、及び複数の受入搬送部Tiは、コンベヤにより構成されている。
【0012】
図3から
図5等に示すように、受取部Iは、受入搬送部Tiに対して上下方向視で重複するように配置されている。そして、受入搬送部Tiにおける受取部Iに対応する位置には、容器Cが配置される。これにより、受取部Iにおいて物品搬送車Vから受け取られた物品Wは、受取口Iaを通って走行面Ffよりも下方へ導かれた後、受入搬送部Tiに配置された容器Cに収容される(
図3及び
図4等参照)。本実施形態では、複数の受入搬送部Tiのそれぞれに対応して、複数の受取部Iが並んで配置されている。そして、複数の受取部Iのそれぞれに対応する位置、より詳細には、複数の受取部Iのそれぞれの直下の位置に、容器Cが配置される。
【0013】
また、本実施形態では、物品搬送設備Fは、受取口Iaの開放及び閉鎖を行うシャッタSを備えている(
図3及び
図4参照)。シャッタSは、上記仕分け情報に基づいて仕分けられるべき少なくとも1つの物品Wが受取部Iに受け取られるまで受取口Iaを閉鎖状態に維持する(
図3参照)。そして、シャッタSは、上記仕分け情報に基づいて仕分けられるべき少なくとも1つの物品Wが受取部Iに受け取られた後に、受取口Iaを開放状態にする(
図4参照)。これにより、物品搬送車Vによって複数の受取部Iのそれぞれに仕分けられた少なくとも1つの物品Wが、受取口Iaを通って走行面Ffよりも下方へ導かれて、受入搬送部Tiに配置された容器Cに収容される。
【0014】
物品供給部109では、例えば、上記仕分け情報に基づいて、搬送先として特定の受取部Iを指定された物品Wが、作業者やロボットなどの供給主体によって、物品搬送車Vに供給される。そして、物品供給部109において物品Wの供給を受けた物品搬送車Vは、走行面Ffに規定された通路Rに沿って走行して、上記仕分け情報に基づいて指定された受取部Iへ当該物品Wを搬送する。
【0015】
複数の受取部Iのそれぞれの周囲には、各受取部Iに対応する位置を示す位置情報を保持した位置情報保持部(不図示)が設けられている。物品搬送車Vは、搬送先として指定された特定の受取部Iへ向かって走行し、当該受取部Iに対応する位置情報保持部に保持された位置情報を位置情報検出部(不図示)によって検出することで、その位置に停止して(或いは低速走行の状態で)当該受取部Iに物品Wを引き渡す。位置情報保持部としては、例えば、位置情報を表示したバーコード(例えば二次元バーコード)等の表示体、位置情報を記憶したRFIDタグ(radio frequency identifier tag)等の記憶素子、位置情報を示す信号を発信するビーコン等の信号発信器等として構成される。例えば、位置情報保持部がバーコードである場合には、位置情報検出部はバーコードリーダとして構成され、位置情報保持部がRFIDタグである場合には、位置情報検出部はRFIDリーダとして構成され、位置情報保持部がビーコンである場合には、位置情報検出部は受信機として構成される。
【0016】
尚、本実施形態では、1つの通路Rを挟んで両側に3つずつ受取口Iaが配置された走行面Ff、及び当該走行面Ff(受取口Ia)に上下方向視で重複する状態で2列配置された受入搬送部Tiを備えた架台ユニット100(
図5参照)を、平面視で格子状に複数並べて配置して、
図1及び
図2に示すように物品搬送設備Fが構成されている。
図1には、複数の架台ユニット100の内の1つに参照符号を付して例示している。
【0017】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、1つの受入搬送部Tiに対応して21個の受取部Iが設けられており、空容器搬入部T8及び実容器搬出部T7は、21個の容器Cを容器群として、当該容器群単位で21個の容器Cを同期させて搬送している。この場合、受入搬送部Tiは、容器群を構成する21個の容器Cの全てに物品Wが収容された後に、当該21個の容器Cを搬送する。
【0018】
以下、
図6から
図15も参照して物品搬送車Vの詳細について説明する。
図3及び
図4に示すように、物品搬送車Vは、物品Wを載置体3に載置して、走行面Ff(
図1参照)に規定された通路Rを走行して、物品供給部109から受取部Iへ物品Wを搬送する。そして、詳細は後述するが、受取口Iaの横において、載置体3を傾斜させることによって、載置体3から受取口Iaに物品Wを移載する。
【0019】
また、物品搬送車Vを基準とすると、後述するように載置体3を傾斜させるために、載置体3を揺動させる揺動軸である第1軸心A1に沿った方向を、物品搬送車Vの水平面に沿った軸方向Lとする。物品搬送車Vが走行方向Xに沿って走行する場合において、軸方向Lは、走行方向Xに沿った方向であり、物品搬送車Vが直進する場合、軸方向Lと走行方向Xとは一致する。また、平面視で軸方向Lに直交する方向を、車体幅方向Hとする。車体幅方向Hは、軸方向Lと走行方向Xとが一致する状態で、幅方向Yと一致する。また、車体幅方向Hにおける一方側を車体幅方向第1側H1とし、他方側を車体幅方向第2側H2とする。
【0020】
図6等に示すように、物品搬送車Vは、車体フレーム1及び車体カバー2を備えた台車本体10と、台車本体10に搭載された移載装置30とを備えて物品Wを搬送する。また、物品搬送車Vは、車体フレーム1に対して回転可能に支持された車輪9(
図6、
図7参照)と、車輪9を駆動する車輪駆動源90(
図7参照)とを備えている。車輪駆動源90は、例えば電気モータであり、物品搬送車Vに搭載された蓄電池やキャパシタ等の蓄電体B(
図16参照)から電力を供給されて動作する。移載装置30は、
図6、
図11等に示すように、物品Wが載置される載置面3aを備えた載置体3と、載置体3と台車本体10とを連結する連結機構6と、物品Wの移載を行うために載置体3を駆動する移載駆動機構4とを備えている。
【0021】
本実施形態では、載置体3は、板状の載置面3aの縁部が上方に突出したトレイ状に形成されており、載置面3aの上面に物品Wが載置される。台車本体10は、載置体3の下面3bに対向する対向面2aを備えている。詳細は後述するが、台車本体10の上部に設けられている載置体3は、台車本体10に対して軸方向Lに沿う軸心周りに揺動するように構成されている。即ち、載置体3は、台車本体10の対向面2aに沿って配置される基準姿勢と、対向面2aに対して傾斜した起立姿勢との間で揺動するように構成されている。移載駆動機構4は、載置面3aの角度を変更する機構である。
【0022】
移載装置30は、
図11に示すように、モータ等により構成された移載駆動源40を備えて構成されている。本実施形態では、移載装置30は、載置体3を台車本体10に対して軸方向L(走行方向X)に沿う軸心周り(第1軸心A1周り、第3軸心A3周り)に揺動させるように構成されている。
図3に示すように、移載装置30は、載置体3を車体幅方向H(幅方向Y)に傾斜させることによって載置体3上で物品Wを幅方向Yに滑らせ、物品搬送車Vに対して車体幅方向H(幅方向Y)の外側に配置された移載箇所へ当該物品Wを移載する。
【0023】
本実施形態では、移載装置30は、台車本体10に対して載置体3を第1軸心A1周りに揺動させる(
図12、
図13参照)と共に、第3軸心A3周り(
図14、
図15参照)に揺動させるように構成されている。即ち、物品搬送車Vは、載置体3を揺動させることにより、物品搬送車Vに対して車体幅方向第1側H1及び車体幅方向第2側H2(幅方向第1側Y1及び幅方向第2側Y2)のそれぞれに配置された受取部I(移載箇所)に対して、物品Wを引き渡すことが可能である。尚、
図3は、物品搬送車Vから見て幅方向第1側Y1(車体幅方向第1側H1)に配置された受取部Iへ物品Wを移載している様子を示している。
【0024】
また、本実施形態では、連結機構6として、第1連結機構6Aと第2連結機構6Bとを備え、移載駆動機構4として、第1移載駆動機構4Aと第2移載駆動機構4Bとを備えている。
図7及び
図8等に示すように、第1連結機構6Aは、載置体3が台車本体10に対して水平面に沿う第1軸心A1周りに揺動するように、載置体3と台車本体10とを連結している。第1移載駆動機構4Aは、第1軸心A1に平行な第2軸心A2周りに揺動する第1揺動アーム51(揺動アーム50)と、第1揺動アーム51を揺動させる第1移載駆動源41とを備えている。第2連結機構6Bは、載置体3が台車本体10に対して水平面に沿う第3軸心A3周りに揺動するように、載置体3と台車本体10とを連結している。第2移載駆動機構4Bは、第3軸心A3に平行な第4軸心A4周りに揺動する第2揺動アーム52(揺動アーム50)と、第2揺動アーム52を揺動させる第2移載駆動源42とを備えている。尚、第3軸心A3は第1軸心A1に平行であり、第1軸心A1、第2軸心A2、第3軸心A3、第4軸心A4は互いに平行である。
【0025】
本実施形態では、第1軸心A1と第2軸心A2とが別軸である形態を例示しているが、第1軸心A1と第2軸心A2とは同軸であってもよい。同様に、第3軸心A3と第4軸心A4とが別軸である形態を例示しているが、第3軸心A3と第4軸心A4とが同軸であってもよい。また、後述するように、本実施形態では、第1移載駆動源41と第2移載駆動源42とは共通の移載駆動源40(モータ)である。そして、移載駆動源40の出力軸47に連結される出力部材7も、第1移載駆動源41と第2移載駆動源42とで共通する部材である。この出力部材7も、移載駆動機構4に含まれる。
【0026】
揺動アーム50は、車体幅方向Hに沿って延在するように形成され、対向面2aに沿って配置される基準姿勢(
図13、
図15参照)と、対向面2aに対して傾斜した起立姿勢(
図12、
図14参照)との間で揺動する。
図13、
図15等に示すように、載置体3は、揺動アーム50が基準姿勢である状態で載置面3aが水平面に沿う水平姿勢となり、
図12、
図14等に示すように、揺動アーム50が水平姿勢から起立姿勢となる過程で揺動アーム50により下側から押圧されて揺動し、揺動アーム50が起立姿勢である状態で載置面3aが水平面に対して傾斜した傾斜姿勢となる。
【0027】
具体的には、第1揺動アーム51は、第2軸心A2に直交する方向(車体幅方向H)に沿って延在するように形成され、対向面2aに沿って配置される基準姿勢(
図7、
図8、
図11、
図13等参照)と、対向面2aに対して傾斜した起立姿勢(
図10、
図12等参照)との間で揺動する。載置体3は、第1揺動アーム51が基準姿勢である状態で載置面3aが水平面に沿う水平姿勢(
図6、
図11、
図13等参照)となり、第1揺動アーム51が水平姿勢から起立姿勢となる過程で第1揺動アーム51により下側Z2から押圧されて揺動し、第1揺動アーム51が起立姿勢である状態で載置面3aが水平面に対して傾斜した傾斜姿勢(第1傾斜姿勢:
図10、
図12参照)となる。この第1傾斜姿勢では、載置面3aが車体幅方向第1側H1を向くように傾斜している。
【0028】
また、第2揺動アーム52は、第4軸心A4に直交する方向(車体幅方向H)に沿って延在するように形成され、対向面2aに沿って配置される基準姿勢(
図7、
図8、
図11、
図15等参照)と、対向面2aに対して傾斜した起立姿勢(
図14等参照)との間で揺動する。載置体3は、第2揺動アーム52が基準姿勢である状態で載置面3aが水平面に沿う水平姿勢(
図6、
図11、
図15等参照)となり、第2揺動アーム52が水平姿勢から起立姿勢となる過程で第2揺動アーム52により下側Z2から押圧されて揺動し、第2揺動アーム52が起立姿勢である状態で載置面3aが水平面に対して傾斜した傾斜姿勢(第2傾斜姿勢:
図14参照)となる。この第2傾斜姿勢では、載置面3aが車体幅方向第2側H2を向くように傾斜している。
【0029】
尚、本実施形態では、
図7及び
図10等に示すように、載置面3aをそれぞれの傾斜方向に傾斜させる揺動アーム50が、それぞれ軸方向Lの一箇所に配置されている。つまり、載置面3aを第1傾斜姿勢に傾斜させるための1つの第1揺動アーム51が軸方向Lの一箇所に配置されると共に、載置面3aを第2傾斜姿勢に傾斜させるための1つの第2揺動アーム52が軸方向Lの一箇所に配置されている。また、第1揺動アーム51と第2揺動アーム52とは、軸方向Lにおいて隣接して配置されている。
【0030】
1つの揺動アーム50により載置面3aを傾斜させるとふらつきや撓み等を生じるおそれがある。このため、本実施形態では、揺動アーム50による載置体3の姿勢変化を補助し、載置体3(載置面3a)が撓むことを抑制するために、揺動アーム50と平行するように、後述する支持アーム60が備えられている。移載装置30は、載置体3と台車本体10とを連結する連結機構6を備えており、支持アーム60は、この連結機構6の一部を構成している。本実施形態では、連結機構6として、第1連結機構6Aと第2連結機構6Bとを備えている。
【0031】
図7及び
図8等に示すように、第1連結機構6Aは、載置体3が台車本体10に対して水平面に沿う第1軸心A1周りに揺動するように、載置体3と台車本体10(車体カバー2)とを揺動自在に連結している。第1連結機構6Aは、第1軸心A1周りに揺動する第1支持アーム61(支持アーム60)と、第1支持アーム61の揺動支点を支持する第1支点支持部63(支点支持部67)とを備えている。また、第1支持アーム61は、第1支点支持部63とは反対側の端部に設定された第1連結部65(連結部69)において揺動自在に載置体3に連結されている。
【0032】
具体的には、第1支持アーム61は、第1軸心A1に直交する方向(車体幅方向H)に沿って延在するように形成され、対向面2aに沿って配置される支持基準姿勢(第1支持基準姿勢:
図7、
図8、
図13等参照)と、対向面2aに対して傾斜した支持起立姿勢(第1支持起立姿勢:
図10、
図12参照)との間で揺動する。第1揺動アーム51により載置体3が揺動する場合、第1支持アーム61も、載置体3と一体的に揺動して支持起立姿勢(第1支持起立姿勢)となる。この際、台車本体10に連結されている第1支点支持部63においては、車体カバー2(台車本体10)に対して第1支持アーム61も揺動する。載置体3に連結されている第1連結部65においては、第1支持アーム61は揺動することなく、載置体3と一体的に変位する。
【0033】
第2揺動アーム52により載置体3が揺動する場合には、第1支持アーム61は、載置体3と一体的に揺動することなく、支持基準姿勢(第1支持基準姿勢)を維持する。つまり、台車本体10に連結されている第1支点支持部63においては、車体カバー2(台車本体10)に対して第1支持アーム61は揺動しない。一方、載置体3に連結されている第1連結部65においては、載置体3が揺動するため、載置体3に対して第1支持アーム61は揺動する。つまり、第1連結部65において載置体3と第1支持アーム61とが相対的に揺動することによって、第1支持アーム61は第1支持基準姿勢を維持する。
【0034】
また、
図7、
図8等に示すように、第2連結機構6Bは、載置体3が台車本体10に対して水平面に沿う第3軸心A3周りに揺動するように、載置体3と台車本体10とを連結している。第2連結機構6Bは、第3軸心A3周りに揺動する第2支持アーム62(支持アーム60)と、第2支持アーム62の揺動支点を支持する第2支点支持部64(支点支持部67)とを備えている。また、第2支持アーム62は、第2支点支持部64とは反対側の端部に設定された第2連結部66(連結部69)において揺動自在に載置体3に連結されている。
【0035】
具体的には、第2支持アーム62は、第3軸心A3に直交する方向(車体幅方向H)に沿って延在するように形成され、対向面2aに沿って配置される支持基準姿勢(第2支持基準姿勢:
図7、
図8、
図15等参照)と、対向面2aに対して傾斜した支持起立姿勢(第2支持起立姿勢:
図14参照)との間で揺動する。第2揺動アーム52により載置体3が揺動する場合、第2支持アーム62も、載置体3と一体的に揺動して支持起立姿勢(第2支持起立姿勢)となる。この際、台車本体10に連結されている第2支点支持部64においては、車体カバー2(台車本体10)に対して第2支持アーム62も揺動する。載置体3に連結されている第2連結部66においては、第2支持アーム62は揺動することなく、載置体3と一体的に変位する。
【0036】
第1揺動アーム51により載置体3が揺動する場合には、第2支持アーム62は、載置体3と一体的に揺動することなく、支持基準姿勢(第2支持基準姿勢)を維持する。つまり、台車本体10に連結されている第2支点支持部64においては、車体カバー2(台車本体10)に対して第2支持アーム62は揺動しない。一方、載置体3に連結されている第2連結部66においては、載置体3が揺動するため、載置体3に対して第2支持アーム62は揺動する。つまり、第2連結部66において載置体3と第2支持アーム62とが相対的に揺動することによって、第2支持アーム62は第2支持基準姿勢を維持する。
【0037】
また、
図11に示すように、移載駆動機構4は、移載駆動源40と、移載駆動源40の駆動力を載置体3に伝達する伝達機構5を備えている。伝達機構5は、揺動アーム50と、移載駆動源40に連結された出力部材7とを備えている。出力部材7は、移載駆動源40の駆動力を揺動アーム50に伝達し、揺動アーム50を介して駆動力が載置体3に伝達される。伝達機構5を構成する揺動アーム50は、出力部材7により駆動される被駆動部材ということができる。
【0038】
図11に示すように、本実施形態では、伝達機構5として、移載駆動源40の出力軸47に連結されて、当該出力軸47の回転軸心(出力軸心A0)周りに揺動するレバー状の出力部材7を備えている。そして、揺動アーム50は、出力部材7により駆動される。出力部材7の車体幅方向Hにおける両端部には、揺動アーム50に当接して揺動アーム50を揺動させる押圧ローラ75が備えられている。それぞれの揺動アーム50には下側Z2に突出するようにカム部57が形成されており、これらのカム部57にそれぞれの押圧ローラ75が当接する。揺動アーム50は、出力部材7に連結されることなく、出力部材7に押圧されて動作するように構成されている。カム部57に沿って押圧ローラ75が揺動アーム50を押圧することで揺動アーム50が出力軸心A0周りに揺動する。
【0039】
例えば、移載駆動源40によって出力部材7が
図11に示す第1揺動方向D1に揺動すると、車体幅方向第2側H2に配置された押圧ローラ75(第1押圧ローラ75a)が第1揺動アーム51のカム部57に当接して押圧し、第1揺動アーム51の姿勢を基準姿勢(
図11、
図13参照)から起立姿勢(
図12)へと変化させる。同様に、移載駆動源40によって出力部材7が
図11に示す第2揺動方向D2に揺動すると、車体幅方向第1側H1に配置された押圧ローラ75(第2押圧ローラ75b)が第2揺動アーム52のカム部57に当接して押圧し、第2揺動アーム52の姿勢を基準姿勢(
図11、
図15参照)から起立姿勢(
図14)へと変化させる。載置体3は、被駆動部材としての揺動アーム50に連動して、水平姿勢と傾斜姿勢との間で姿勢変化する。
【0040】
また、上述したように、本実施形態では、揺動アーム50による載置体3の姿勢変化を補助し、載置体3(載置面3a)が撓むことを抑制するために、揺動アーム50と平行するように、支持アーム60が備えられている。本実施形態では、第1揺動アーム51による第1傾斜姿勢への載置面3aの姿勢変化の際に載置体3を支持するために、軸方向Lにおいて第1揺動アーム51を挟むように、2本の支持アーム60が配置されている。つまり、軸方向Lにおいて、2本の第1支持アーム61の間に、第1揺動アーム51が配置されている。同様に、第2揺動アーム52による第2傾斜姿勢への載置面3aの姿勢変化の際に載置体3を支持するために、軸方向Lにおいて第2揺動アーム52を挟むように、2本の支持アーム60が配置されている。つまり、軸方向Lにおいて、2本の第2支持アーム62の間に、第2揺動アーム52が配置されている。それぞれの揺動アーム50に対して、このように2本の支持アーム60を備えることで、揺動アーム50により載置体3の姿勢を変化させる際に、載置体3(載置面3a)が撓むことを抑制することができる。
【0041】
図8及び
図9に示すように、車体カバー2の対向面2aには、揺動アーム50及び支持アーム60が収容される凹溝部25が形成されている。揺動アーム50が収容される凹溝部25と支持アーム60が収容される凹溝部25とを区別する場合は、揺動アーム50が収容される凹溝部25を揺動アーム収容溝部255と称し、支持アーム60が収容される凹溝部25を支持アーム収容溝部256と称する。
【0042】
揺動アーム50は、車体幅方向Hの一端側の揺動支持部54において揺動自在に車体カバー2(台車本体10)に支持されている。揺動アーム50の他端側は当接ローラ53が備えられた自由端となっている。当接ローラ53が載置体3の下面3bに当接しながら車体幅方向Hに移動することによって載置体3の載置面3aを水平姿勢から傾斜姿勢へと変位させる。また、上述したように、揺動アーム50は、出力部材7によって押圧することによって姿勢変化する。このため、揺動アーム収容溝部255は、出力部材7が対向面2aを超えて上側Z1に変位可能に開口している。つまり、揺動アーム収容溝部255は、開口部27として形成されており、車体カバー2は、出力部材7が上下方向Zに通過する開口部27を備えているということができる。
【0043】
支持アーム60は、車体幅方向Hの一端側が車体カバー2に揺動可能に支持されていると共に、車体幅方向Hの他端側が載置体3の下面3bに揺動可能に支持されている。換言すれば、載置体3、支持アーム60を介して車体カバー2に対して揺動可能に、車体カバー2に取り付けられている。支持アーム収容溝部256は、揺動アーム収容溝部255とは異なり、上下方向Zに貫通することなく溝状に形成されている。
【0044】
上述したように、載置体3、揺動アーム50(被駆動部材)、支持アーム60は、車体カバー2に支持されている。また、車輪駆動源90、移載駆動源40、出力部材7は、車体フレーム1に支持されている。そして、
図7、
図11等に示すように、車体カバー2は、車輪駆動源90及び移載駆動源40を覆うように配置されている。上述したように、出力部材7によって駆動される揺動アーム50は、出力部材7に連結されることなく、出力部材7に押圧されて動作するように構成されている。従って、車体カバー2は、載置体3、揺動アーム50、支持アーム60を支持した状態で、車体フレーム1に対して着脱できるように車体フレーム1に取り付けられている。
【0045】
図16は、車体フレーム1から車体カバー2を取り外した状態を例示している。但し、揺動アーム50と出力部材7との関係、揺動アーム50と支持アーム60との関係を明示するために、車体フレーム1と共に仮想的に揺動アーム50、支持アーム60も仮想線で図示している。車体カバー2と共に揺動アーム50が車体フレーム1から取り外されるため、出力部材7が露出し、出力部材7を容易にメンテナンスすることができる。例えば、押圧ローラ75が摩耗した場合に、容易に交換することもできる。また、本実施形態では、支持アーム60の下側Z2に移載駆動源40が配置されているが、車体カバー2と共に支持アーム60が車体フレーム1から取り外されるため、移載駆動源40が露出し、そのメンテナンスを行い易い。
【0046】
また、本実施形態では、
図16に示すように、蓄電体Bが支持アーム60の下側Z2に配置されている。蓄電池やキャパシタ等の蓄電体Bは、経年劣化によって蓄電能力が低下することが知られている。蓄電能力が規定以下まで低下した場合には、蓄電体Bが交換される。本実施形態では、車体カバー2と共に支持アーム60が車体フレーム1から取り外されるため、蓄電体Bが露出し、交換作業を行い易い。
【0047】
図6、
図7に示すように、車体カバー2は、載置体3の下面3bに対向すると共に車輪駆動源90及び移載駆動源40に対して上側を覆うように配置される天面部21と、天面部21の外縁部分から下側へ向かって延在するように形成された側壁部23とを備えている。そして、側壁部23の下端23tは、車輪9の上端9tよりも下方に配置されている。つまり、側壁部23は、車輪9の側面を覆うように配置されている。車体フレーム1に車体カバー2が取り付けられている状態では、車輪9の一部を含めて物品搬送車Vを構成する部材の多くが車体カバー2によって覆われる。このため、埃を含めた異物の進入から物品搬送車Vを適切に保護することができる。一方、車輪9を含め、車輪駆動源90、移載駆動源40、出力部材7等のメンテナンスが必要な場合には、車体カバー2を容易に取り外すことができるので、作業性が向上する。
【0048】
また、物品搬送車Vは、物品搬送設備Fや個々の物品搬送車Vに異常が生じた場合などに、物品搬送車Vを停止させることができるように構成されている。本実施形態では、
図7、
図8等に示すように、物品搬送車Vは、車輪駆動源90及び移載駆動源40を停止させる停止スイッチSWを備えている。この停止スイッチSWは車体フレーム1に支持されており、車体カバー2は、停止スイッチSWに応じた位置に開口するように形成された停止スイッチ用開口部29を備えている。
【0049】
このような停止スイッチSWは、接続配線を介して車輪駆動源90及び移載駆動源40、或いはこれらの制御装置(不図示)に電気的に接続されることが多い。そのため、停止スイッチSWが車体カバー2に支持されていると接続配線を取り外さないと車体カバー2を車体フレーム1から取り外すことができないことになる。本実施形態のように、停止スイッチSWが車体フレーム1に支持されていると、車体カバー2を車体フレーム1から取り外す場合に接続配線を取り外す必要がない。そして、車体カバー2が停止スイッチ用開口部29を備えているので、停止スイッチSWが車体フレーム1に支持されていても、外部から停止スイッチSWを容易に操作することができる。
【0050】
また、物品搬送車Vは、車輪駆動源90の駆動状態、移載駆動源40の駆動状態、載置体3の姿勢、蓄電体B(蓄電池、キャパシタ等)の充電量など、物品搬送車Vの各部の状態を示すインジケータとしての表示灯LPを備えている。本実施形態では、複数の表示灯LPを備えており、複数の表示灯LPが実装された表示灯基板LPAが車体フレーム1に支持されている。車体カバー2は、表示灯LPを覆って車体フレーム1に取り付けられているが、車体カバー2は、表示灯LPに応じた位置に配置されて、表示灯LPの光を車体カバー2の外部に向けて透過する透光部28を備えている。この透光部28を備えることによって、表示灯LPを車体フレーム1に支持しながら、車体カバー2を、表示灯LPを覆った状態で車体フレーム1に取り付けることができる。
【0051】
表示灯LPの制御回路や電源(共に不図示)は車体フレーム1に支持されることが多く、表示灯LPは接続配線を介して電源部に接続されることが多い。そのため、表示灯LPが車体カバー2に支持されていると接続配線を取り外さないと車体カバー2を車体フレーム1から取り外すことができないことになる。本実施形態のように、表示灯LPが車体フレーム1に支持されていると、車体カバー2を車体フレーム1から取り外す場合にそのような接続配線を取り外す必要がない。そして、車体カバー2が透光部28を備えているので、表示灯LPが車体フレーム1に支持されていても、外部から表示灯LPの灯光状態を容易に確認することができる。
【0052】
ところで、揺動アーム50は、基準姿勢から起立姿勢へ変位して載置体3を持ち上げる際に揺れを生じる場合がある。揺動アーム50がふらつき、載置体3が揺れることで載置体3に支持された物品Wが移載先に滑り落ちる前に落下したり、揺動アーム50の耐久性が低下したりする可能性がある。そこで、本実施形態では、
図8、
図9、
図10等に示すように、対向面2aに、揺動アーム50の揺動を案内する案内部材8が設けられている。
【0053】
この案内部材8は、台車本体10に対して着脱自在に取り付けられており、揺動アーム50との摺動や摩擦等によって消耗しても、容易に交換することができる。尚、本実施形態では、上述した揺動アーム収容溝部255に案内部材8が嵌め込まれている。本実施形態では、案内部材8は、上方Z1に向かって開口する溝状に形成されている。揺動アーム収容溝部255も上述したように溝状に形成されており、案内部材8は、揺動アーム収容溝部255に嵌め込まれて固定されている。
【0054】
上述したように、本実施形態では、揺動アーム50として、第1揺動アーム51と第2揺動アーム52とが備えられている。第1揺動アーム51には、第1揺動アーム51の揺動を案内する第1案内部材81が設けられ、第2揺動アーム52には、第2揺動アーム52の揺動を案内する第2案内部材82が設けられている。
【0055】
本実施形態では、載置体3を安定して傾斜させるために、上述したように支持アーム60も備えられている。この支持アーム60も揺動アーム50と同様に揺動するため、揺動アーム50と同様に、対向面2aに、支持アーム60の揺動を案内する支持案内部材80が設けられている。
【0056】
案内部材8と同様に、支持案内部材80も、台車本体10に対して着脱自在に取り付けられている。支持アーム60との摩擦等によって支持案内部材80が消耗しても、容易に交換することができる。尚、本実施形態では、上述した支持アーム収容溝部256に支持案内部材80が嵌め込まれている。本実施形態では、案内部材8と同様に、支持案内部材80は、上方Z1に向かって開口する溝状に形成されている。支持アーム収容溝部256も上述したように溝状に形成されており、支持案内部材80は、支持アーム収容溝部256に嵌め込まれて固定されている。
【0057】
本実施形態では、支持アーム60として、第1支持アーム61と第2支持アーム62とが備えられている。第1支持アーム61には、第1支持アーム61の揺動を案内する第1支持案内部材83が設けられ、第2支持アーム62には、第2支持アーム62の揺動を案内する第2支持案内部材84が設けられている。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、車輪9や移載装置30の駆動源(車輪駆動源90、移載駆動源40)や移載駆動機構4等のメンテナンス性に優れた物品搬送車Vを提供することができる。
【0059】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0060】
(1)上記においては、連結機構6が第1連結機構6Aと第2連結機構6Bとを備え、移載駆動機構4が第1移載駆動機構4Aと第2移載駆動機構4Bとを備え、車体幅方向H(幅方向Y)における両側に物品Wを移載可能な構成を例示して説明した。しかし、連結機構6が第1連結機構6Aと第2連結機構6Bとの何れか一方のみ(例えば第1連結機構6Aのみ)を備えて構成され、移載駆動機構4が第1移載駆動機構4Aと第2移載駆動機構4Bとの何れか一方のみ(例えば第1移載駆動機構4Aのみ)を備えて構成されていてもよい。尚、この場合においても、物品搬送車Vが、物品搬送車Vにおける前方側を固定した状態で、走行方向Xに沿って両方向に走行すれば(つまり、180度転回して走行すれば)、車体幅方向Hにおける何れか一方側にのみ物品Wを移載可能な構成であっても、物品搬送車Vに対して幅方向Yの両側に物品Wを移載することは可能である。
【0061】
(2)上記においては、支持アーム60を備える形態を例示して説明した。しかし、支持アーム60を備えることなく、揺動アーム50のみを備えて構成されていてもよい。
【0062】
(3)上記においては、車体カバー2が、レバー部材である出力部材7が上下方向Zに通過する開口部27を備えている形態を例示した。しかし、開口部27は、被駆動部材である揺動アーム50が上下方向Zに通過するように形成されていてもよい。また、何れの場合においても、対向面2aにこのような開口部27を備える形態ではなく、揺動アーム50を支持する揺動支持部54等を除いて、対向面2aの全体が開放されていてもよい。
【0063】
(4)上記においては、物品搬送車Vが停止スイッチSWや表示灯LPを備えている形態を例示した。しかし、物品搬送車Vは、停止スイッチSWや表示灯LPを備えていなくてもよい。
【0064】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送車の概要について簡単に説明する。
【0065】
物品搬送車の1つの態様は、車体フレームと、車体カバーと、前記車体フレームに対して回転可能に支持された車輪と、前記車輪を駆動する車輪駆動源と、物品が載置される載置面を備えた載置体と、前記物品の移載を行うために前記載置体を駆動する移載駆動機構と、を備え、前記物品を搬送する物品搬送車であって、前記移載駆動機構は、移載駆動源と、前記移載駆動源の駆動力を前記載置体に伝達する伝達機構と、を備え、前記伝達機構は、前記移載駆動源の出力軸に連結された出力部材と、前記出力部材により駆動される被駆動部材とを備え、前記載置体は、前記被駆動部材に連動し、前記被駆動部材は、前記出力部材に連結されることなく、前記出力部材に押圧されて動作するように構成され、前記車輪駆動源、前記移載駆動源、及び、前記出力部材が、前記車体フレームに支持され、前記載置体及び前記被駆動部材が、前記車体カバーに支持され、前記車体カバーが、前記車輪駆動源及び前記移載駆動源を覆うように配置されていると共に、前記車体フレームに対して着脱できるように取り付けられている。
【0066】
この構成によれば、載置体及び被駆動部材は、車体カバーに支持され、車輪駆動源、移載駆動源、出力部材は、車体フレームに支持されている。また、出力部材に押圧されて動作する被駆動部材は、出力部材に連結されていない。つまり、車体カバーは、載置体、被駆動部材を支持した状態で、車体フレームに対して着脱できるように車体フレームに取り付けられている。車体カバーは、車輪駆動源及び移載駆動源を覆うように配置されているので、車体カバーを車体フレームから取り外すことで、車輪駆動源及び移載駆動源を容易にメンテナンスすることができる。また、出力部材は、移載駆動源の出力軸に連結されているので、出力部材も容易にメンテナンスすることができる。このように、本構成によれば、車輪や載置体の駆動源や移載駆動機構等のメンテナンス性に優れた物品搬送車を提供することができる。
【0067】
ここで、前記出力部材は、前記出力軸の回転軸心回りに揺動するレバー部材であり、前記車体カバーは、前記出力部材が上下方向に通過する開口部を備えていると好適である。
【0068】
この構成によれば、移載駆動源や出力部材が車体カバーに覆われて収容されていても、揺動する出力部材が開口部を通って上下方向に通過するので、出力部材によって被駆動部材を適切に駆動することができる。また、開口部を設けることで、出力部材を車体フレームの側に残した状態で、被駆動部材と共に車体カバーを車体フレームから適切に取り外すことができる。また、車体フレームに車体カバーを取り付ける際にも、出力部材を支持した車体フレームに対する被駆動部材の位置決めを開口部において容易に行い易い。
【0069】
また、前記車体カバーが、前記載置体の下面に対向すると共に前記車輪駆動源及び前記移載駆動源に対して上側を覆うように配置される天面部と、前記天面部の外縁部分から下側へ向かって延在するように形成された側壁部と、を備え、前記側壁部の下端が、前記車輪の上端よりも下方に配置されていると好適である。
【0070】
この構成によれば、側壁部が車輪の側面を覆うように配置されており、車体フレームに車体カバーが取り付けられている状態では、車輪の一部を含めて物品搬送車を構成する部材の多くが車体カバーによって覆われる。このため、埃を含めた異物の進入から物品搬送車を適切に保護することができる。一方、車輪を含め、車輪駆動源、移載駆動源、出力部材等のメンテナンスが必要な場合には、車体カバーを取り外すことができるので、これらを露出させることができるので、メンテナンスの作業性が向上する。
【0071】
また、物品搬送車は、前記車輪駆動源及び前記移載駆動源を停止させる停止スイッチをさらに備え、前記停止スイッチが前記車体フレームに支持され、前記車体カバーが、前記停止スイッチに応じた位置に開口するように形成された停止スイッチ用開口部を備えていると好適である。
【0072】
このような停止スイッチは、接続配線を介して車輪駆動源及び移載駆動源、或いはこれらの制御装置に電気的に接続されることが多い。そのため、停止スイッチが車体カバーに支持されていると接続配線を取り外さないと車体カバーを車体フレームから取り外すことができないことになる。本構成のように、停止スイッチが車体フレームに支持されていると、車体カバーを車体フレームから取り外す場合に接続配線を取り外す必要がない。そして、車体カバーが停止スイッチ用開口部を備えているので、停止スイッチが車体フレームに支持されていても、外部から停止スイッチを容易に操作することができる。
【0073】
また、物品搬送車は、各部の状態を示す表示灯をさらに備え、前記表示灯が前記車体フレームに支持され、前記車体カバーが、前記表示灯に応じた位置に配置されて、前記表示灯の光を前記車体カバーの外部に向けて透過する透光部を備えていると好適である。
【0074】
表示灯の制御回路や電源は車体フレームに支持されることが多く、表示灯は接続配線を介して電源部に接続されることが多い。そのため、表示灯が車体カバーに支持されていると接続配線を取り外さないと車体カバーを車体フレームから取り外すことができないことになる。本実施形態のように、表示灯が車体フレームに支持されていると、車体カバーを車体フレームから取り外す場合にそのような接続配線を取り外す必要がない。そして、車体カバーが透光部を備えているので、表示灯が車体フレームに支持されていても、外部から表示灯の灯光状態を容易に確認することができる。
【0075】
また、前記載置体は、水平面に沿う第1軸心回りに揺動するように、前記車体カバーに対して揺動自在に支持され、前記出力部材は、前記第1軸心に平行な前記出力軸の回転心回りに揺動するレバー部材であり、前記被駆動部材は、前記第1軸心に平行な第2軸心回りに揺動する揺動アームであり、前記揺動アームは、水平面に沿って配置される基準姿勢と、前記水平面に対して傾斜した起立姿勢との間で揺動し、前記載置体は、前記揺動アームが前記基準姿勢である状態で前記載置面が水平面に沿う水平姿勢となり、前記揺動アームが前記水平姿勢から前記起立姿勢となる過程で前記揺動アームにより下側から押圧されて前記第1軸心回りに揺動し、前記揺動アームが前記起立姿勢である状態で前記載置面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢となると好適である。
【0076】
この構成によれば、物品搬送車は、水平姿勢において物品を載置する載置面を傾斜姿勢に変位させることで、物品を滑らせて物品搬送車から移載対象箇所に当該物品を移載することができる。載置面を備えた載置体、載置体を傾斜させることによって載置面を傾斜姿勢とする被駆動部材(揺動アーム)は、車体カバーに支持され、被駆動部材(揺動アーム)を駆動する出力部材、及び移載駆動源は、車体フレームに支持されている。このように比較的複雑な機構を備えた物品搬送車において、車体カバーと共に載置体及び被駆動部材(揺動アーム)を車体フレームから取り外すことができるので、出力部材及び移載駆動源をメンテナンスし易い構造を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 :車体フレーム
2 :車体カバー
3 :載置体
3a :載置面
3b :下面
4 :移載駆動機構
5 :伝達機構
7 :出力部材
9 :車輪
9t :上端
21 :天面部
23 :側壁部
23t :下端
27 :開口部
28 :透光部
29 :停止スイッチ用開口部
40 :移載駆動源
47 :出力軸
50 :揺動アーム
90 :車輪駆動源
A1 :第1軸心
A2 :第2軸心
LP :表示灯
SW :停止スイッチ
V :物品搬送車
W :物品
Z :上下方向
Z1 :上側
Z2 :下側