(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20240409BHJP
B66C 23/78 20060101ALI20240409BHJP
E02F 9/08 20060101ALI20240409BHJP
B60S 9/12 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
B66C23/26 D
B66C23/78 Z
E02F9/08 A
B60S9/12
(21)【出願番号】P 2021527697
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024856
(87)【国際公開番号】W WO2020262471
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2019120773
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西條 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】大島 正則
(72)【発明者】
【氏名】武田 成司
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄大
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-255015(JP,A)
【文献】実開昭56-091765(JP,U)
【文献】特開2001-063533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0261213(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2007-0029398(KR,A)
【文献】国際公開第2018/052149(WO,A1)
【文献】実開昭50-097118(JP,U)
【文献】米国特許第05348171(US,A)
【文献】特開2001-026394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
B66C 23/78
E02F 9/08
B60S 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両の姿勢を安定させる、一対のアウトリガと、
前記一対のアウトリガを支持し、前記作業車両の車体に移動可能に連結されたユニットと、
前記ユニットを上方に移動させて、前記アウトリガの下端部の位置を上昇させる昇降部と、
を有
し、
前記昇降部は、車体フレームに設けられたガイド部に沿って前記ユニットを上下動させる一方、前記ユニットは上昇位置で固定される、
作業車両。
【請求項2】
前記昇降部は、車体フレームに設けられたシリンダと、前記シリンダに嵌挿され前記ユニットを支持する連結部を有するロッドと、を含む、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
作業車両の姿勢を安定させる、一対のアウトリガと、
前記一対のアウトリガを支持し、前記作業車両の車体に移動可能に連結されたユニットと、
前記ユニットを上方に移動させて、前記アウトリガの下端部の位置を上昇させる昇降部と、
を有
し、
前記昇降部は、車体フレームに設けられた回転軸まわりに、前記ユニットを回転させて上下動させる一方、前記ユニットは上昇位置で固定され、
前記ユニットは、前記作業車両自体のクレーンのフックを取付ける係合部を有し、前記クレーンの吊り上げ動作に連動して回転する、
作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の前側と後側にアウトリガを備えた作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、上部旋回体の前側に設けられたフロントジャッキと、上部旋回体の後側に設けられたアウトリガジャッキと、を備えた杭打機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成のように、トレーラに作業車両を載置して搬送する際に、アウトリガを取り外さなくてはならない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、アウトリガを取り外すことなく、トレーラに載置して搬送可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の作業車両は、
作業機の姿勢を安定させる、一対のアウトリガと、
前記一対のアウトリガを支持し、前記作業機の車体に移動可能に連結されたユニットと、
前記ユニットを上方に移動させて、前記アウトリガの下端部の位置を上昇させる昇降部と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明の作業車両は、アウトリガを取り外すことなく、トレーラに載置して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のラフテレーンクレーンを低床トレーラに載置した状態を示す側面図である。
【
図2】実施例1のリアアウトリガ本体を斜め後方から示す斜視図である。
【
図3】実施例1のリアアウトリガ本体と昇降部を示す平面図である。
【
図4】実施例1のリアアウトリガ本体と昇降部を示す側面図である。
【
図5】実施例1のリアアウトリガ本体が昇降した状態を示す側面図である。
【
図6】実施例2のフロントアウトリガ本体と昇降部を示す側面図である。
【
図7】実施例2のブームが起立してフロントアウトリガ本体が上昇した状態を示す側面図である。
【
図8】実施例2のフロントアウトリガ本体が上昇した状態を示す側面図である。
【
図9】実施例2のラフテレーンクレーンの作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による作業車両を実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1の作業車両は、ラフテレーンクレーンに適用される。実施例1の作業車両は、低床トレーラに載置されて搬送される。
【0012】
[低床トレーラの構成]
図1は、実施例1のラフテレーンクレーンを低床トレーラに載置した状態を示す側面図である。以下、
図1に基づいて、実施例1の低床トレーラの構成を説明する。なお、ラフテレーンクレーン20の車両前後方向を前後方向Yとし、上下方向を上下方向Zとし、車両幅方向を車幅方向Xとする。また、前後方向Yのうち、ラフテレーンクレーン20の前方向を前方Fとし、ラフテレーンクレーン20の後方向を後方Rとする。
【0013】
低床トレーラ10は、
図1に示すように、トラクター12に牽引される。低床トレーラ10は、低床11aと、高部としての第1高床11bと第2高床11cと、を備える。
【0014】
第1高床11bは、トラクター12に連結される。第1高床11bの前方Fに、第1高床11bより低い低床11aが接続される。低床11aの前方Fに、低床11aより高い第2高床11cが接続される。すなわち、第1高床11bと第2高床11cは、上下方向Zにおいて、低床11aより高い位置にある。
【0015】
[ラフテレーンクレーンの構成]
以下、
図1に基づいて、実施例1のラフテレーンクレーンの構成を説明する。
【0016】
作業車両としてのラフテレーンクレーン20は、
図1に示すように、走行機能を有する車体22と、車体22の前方Fに設けられたアウトリガユニットとしてのフロントアウトリガユニット40と、車体22の後方Rに設けられたアウトリガユニットとしてのリアアウトリガユニット30と、車体22に対して水平旋回可能に取り付けられた旋回台23と、旋回台23に取り付けられたブーム21と、を備える。
【0017】
フロントアウトリガユニット40は、ラフテレーンクレーン20の姿勢を安定させる左右一対のフロントアウトリガ40a,40bと、一対のフロントアウトリガ40a,40bを支持し、ラフテレーンクレーン20の車体に移動可能に連結されたユニット42とを備える。リアアウトリガユニット30は、ラフテレーンクレーン20の姿勢を安定させる左右一対のリアアウトリガ30a,30bと、一対のリアアウトリガ30a,30bを支持し、ラフテレーンクレーン20の車体に移動可能に連結されたユニット42とを備える。フロントアウトリガ40a,40bとリアアウトリガ30a,30bは、スライドシリンダを伸縮させることによって、車幅方向Xに伸縮可能である。また、フロントアウトリガ40a,40bとリアアウトリガ30a,30bは、ジャッキシリンダ40c,30cを伸縮させることによって、上下方向Zに伸縮可能である。ジャッキシリンダ30cは、シリンダチューブ30dと、シリンダチューブ30dの下方でシリンダチューブ30dに対して伸縮するシリンダロッド30eとを有する(
図2を参照)。ジャッキシリンダ40cは、シリンダチューブ40dと、シリンダチューブ40dの下方でシリンダチューブ40dに対して伸縮するシリンダロッド40eとを有する(
図6,8を参照)。
【0018】
車体22は、車幅方向Xの中央付近に、前後方向Yに延在して設けられる車体フレーム22aを備える。
【0019】
旋回台23は、旋回用モータの動力が伝達されるピニオンギヤを有しており、このピニオンギヤが車体22に設けたギヤに噛み合うことで旋回軸を中心に回動する。
【0020】
ブーム21は、基端側ブーム21aと、中間ブーム21b~21dと、先端側ブーム21eとによって入れ子式に構成され、伸縮機構により伸縮可能になっている。
【0021】
基端側ブーム21aは、一端が旋回台23に取り付けられた、車幅方向Xに延在した支持軸に回動自在に取り付けられる。基端側ブーム21aは、この支持軸を回動中心として、上下に起伏できるようになっている。旋回台23と基端側ブーム21aとの間には、起伏シリンダ24が架け渡されており、起伏シリンダ24を伸縮することで、ブーム21を起伏するようになっている。
【0022】
先端側ブーム21eの先端には、回転自在のシーブ27が取り付けられる。シーブ27には、ワイヤWが掛け回されている。ワイヤWの一端には、フック28が取り付けられる。ワイヤWの他端は、ウインチ29に巻き回されており、ウインチ29を回転させることでワイヤWを巻き上げたり、巻き下げたりすることができる。
【0023】
[昇降部の構成]
図2は、実施例1のリアアウトリガユニットを斜め後方から示す斜視図である。
図3は、実施例1のリアアウトリガユニットと昇降部を示す平面図である。
図4は、実施例1のリアアウトリガユニットと昇降部を示す側面図である。
図5は、実施例1のリアアウトリガユニットが昇降した状態を示す側面図である。以下、
図2~
図5に基づいて、実施例1の昇降部の構成を説明する。
【0024】
昇降部50は、
図2に示すように、車体22と、リアアウトリガユニット30との間に配置され、車体22に対して、ジャッキシリンダ30cの全体を昇降させるようリアアウトリガユニット30を昇降させる。昇降部50は、ユニット32を上方に移動させることにより、リアアウトリガ30a,30bの下端部の位置を上昇させる。
【0025】
昇降部50は、
図3及び
図4に示すように、2つの昇降シリンダ51を備える。昇降シリンダ51は、シリンダ本体51a(本発明の「シリンダ」として機能)と、シリンダ本体51aに嵌挿されシリンダ本体51aに対してスライド可能なロッド部51b(本発明の「ロッド」として機能)と、ロッド部51bの先端に取り付けられるロッド先端部51cと、を備える。
【0026】
昇降シリンダ51は、シリンダ本体51aに対して、ロッド部51bがスライドすることにより、伸縮する。
【0027】
シリンダ本体51aは、2つの取付ブラケット52によって、車幅方向Xにおいて、車体フレーム22aの両側面に取り付けられる。
【0028】
ロッド先端部51cには、ユニット32を支持する連結部53が取り付けられる。連結部53は、ロッド先端部51cと、リアアウトリガユニット30(ユニット32)とを連結する。
【0029】
車体フレーム22aの後端には、4つの第1ブラケット54(本発明の「ガイド部」として機能)が取り付けられる。
【0030】
第1ブラケット54は、上下方向Zに延在する板状部材であり、車体フレーム22aの後端から、後方Rに突出して形成される。2つの第1ブラケット54は、1つの第2ブラケット55を挟むように配置される。
【0031】
第1ブラケット54の上端には、舌状の上端部54aが形成される。第1ブラケット54の下端には、舌状の下端部54bが形成される。上端部54aと下端部54bは、それぞれ、車幅方向Xに貫通した貫通穴を有する。
【0032】
リアアウトリガユニット30(ユニット32)の前端には、2つの第2ブラケット55が取り付けられる。
【0033】
第2ブラケット55は、板状部材であり、リアアウトリガユニット30(ユニット32)の上端付近に形成される舌状の上縁部55aと、下端付近に形成される舌状の下縁部55bとを備える。
【0034】
上縁部55aと下縁部55bは、リアアウトリガユニット30(ユニット32)の前端から、前方Fに延在して形成される。1つの第2ブラケット55は、2つの第1ブラケット54で挟まれるように配置される。上縁部55aと下縁部55bは、車幅方向Xに貫通した貫通穴を有する。
【0035】
このように構成された昇降部50により、
図4に示すように、昇降シリンダ51が縮むことで、リアアウトリガユニット30(ユニット32)が下降位置P1に移動する。そして、第1ブラケット54の上端部54aの貫通穴と、第2ブラケット55の上縁部55aの貫通穴との上下方向Zの位置が一致した状態で、両貫通穴に共通の挿入ピンが挿入され、第1ブラケット54の下端部54bの貫通穴と、第2ブラケット55の下縁部55bの貫通穴との上下方向Zの位置が一致した状態で、両貫通穴に共通の挿入ピンが挿入されることで、リアアウトリガユニット30(ユニット32)が下降位置P1に固定される。
【0036】
また、
図5に示すように、昇降シリンダ51が伸びることで、リアアウトリガユニット30(ユニット32)が車体フレーム22aに設けられた第1ブラケット54に沿って上下方向(垂直方向)Zに上昇した上昇位置P2に移動する。そして、第1ブラケット54の上端部54aの貫通穴と、第2ブラケット55の下縁部55bの貫通穴との上下方向Zの位置が一致した状態で、両貫通穴に共通の挿入ピンが挿入されることで、リアアウトリガユニット30(ユニット32)が上昇位置P2に固定される。
【0037】
すなわち、昇降シリンダ51は、リアアウトリガユニット30(ユニット32)を上下方向(垂直方向)Zに昇降させる。
【0038】
[作業車両の作用]
以下、実施例1の作業車両(ラフテレーンクレーン20)の作用を説明する。実施例1の作業車両(ラフテレーンクレーン20)は、低床11aと、低床11aの前側及び後側に低床11aより高い高部(第1高床11b,第2高床11c)を備える低床トレーラ10に載置されて、搬送される作業車両(ラフテレーンクレーン20)であって、車体22の前後に取り付けられたアウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)と、車体22に対して、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を昇降させる昇降部50と、を備える(
図1)。
【0039】
これにより、作業車両(ラフテレーンクレーン20)を低床トレーラ10に載せたり降ろしたりする際、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を、下降位置P1より上昇させた上昇位置P2にすることができる。その結果、作業車両(ラフテレーンクレーン20)のアプローチアングル又はデパーチャアングルを改善することができる。なお、アプローチアングルとは、作業車両の前部下端から前輪タイヤ外周に引いた接線が地面となす最小角度のことである。デパーチャアングルとは、作業車両の後部下端から後輪タイヤ外周に引いた接線が地面となす最小角度のことである。
【0040】
そして、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を取り外すことなく、
図1に示すように、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を低床トレーラ10の高部(第1高床11b,第2高床11c)に干渉させないようにすることができる。そのため、作業車両(ラフテレーンクレーン20)を、従来より小型のトレーラで搬送することができる。
【0041】
また、作業車両(ラフテレーンクレーン20)が急斜面を走行する際に、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を車体22に対して上昇させることができる。そのため、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を取り外すことなく、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を路面に干渉させないようにすることができる。
【0042】
実施例1の作業車両(ラフテレーンクレーン20)において、昇降部50は、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を垂直方向に昇降させる昇降シリンダ51を備える(
図4,
図5)。
【0043】
これにより、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を、昇降シリンダ51によって昇降させることができる。そのため、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)の昇降を、素早く、かつ、容易に実行することができる。
【実施例2】
【0044】
実施例2の作業車両は、昇降部の構成が異なる点で、実施例1の作業車両と相違する。
【0045】
[昇降部の構成]
図6は、実施例2のフロントアウトリガユニットと昇降部を示す側面図である。
図7は、実施例2のブームが起立してフロントアウトリガユニットが上昇した状態を示す側面図である。
図8は、実施例2のフロントアウトリガユニットが上昇した状態を示す側面図である。以下、
図6~
図8に基づいて、実施例2の昇降部の構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0046】
図6に示すように、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)は、フロントアウトリガユニット40の上面から上方に延在して形成された環状の環状部61を備える。環状部61(本発明の「係合部」として機能)は、先端側ブーム21eの先端に設けられたシーブ27を介して、ワイヤWによって吊り下げられたフック28が取り付け可能となっている。
【0047】
フロントアウトリガユニット40(ユニット42)の後側の上部には、車幅方向Xに延在する、回転軸62が取り付けられる。回転軸62は、車体フレーム22aの前側に固定される。フロントアウトリガユニット40は、回転軸62を軸として、ブーム21の起伏方向に回動可能に構成される。
【0048】
フロントアウトリガユニット40(ユニット42)の後側の下部には、車幅方向Xに延在する取付軸63を備える。車体フレーム22aの前側の下部には、車幅方向Xに延在する取付軸64を備える。フロントアウトリガユニット40の取付軸63に連結部材70の一端が取り付けられ、車体フレーム22aの取付軸64に連結部材70の他端が取り付けられることで、フロントアウトリガユニット40と車体フレーム22aとが連結される。
【0049】
連結部材70は、内筒70aと外筒70bを有する。内筒70aは、外筒70bに対してスライド可能となっている。連結部材70は、外力によって伸縮可能に構成される。
【0050】
内筒70aと外筒70bは、それぞれ、軸方向(長手方向)に複数の貫通穴が形成される。内筒70aの貫通穴と外筒70bの貫通穴とが一致した状態で、共通のピンを挿入することで、連結部材70を所定の長さに固定することができる。
【0051】
このように構成されたラフテレーンクレーン20は、
図6に示すように、初期状態では、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)が下降位置P3に位置する。
【0052】
図7に示すように、ブーム21を起立させ、ワイヤWをウインチ29によって巻き上げることで、フック28を上昇させる。これにより、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)が回転軸62を軸として、ラフテレーンクレーン20の吊り上げ動作に連動して上方に回転した上昇位置P4に移動する。そして、連結部材70の内筒70aと外筒70bの貫通穴にピンが挿入されることで、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)が上昇位置P4に固定される。次いで、ブーム21を倒した状態にする。この状態で、ラフテレーンクレーン20は、低床トレーラに載置されて搬送される。
【0053】
フロントアウトリガユニット40(ユニット42)が上昇位置P4から下降位置P3に移動する際には、ブーム21を起立させ、フロントアウトリガユニット40をフック28で保持しながら、連結部材70の内筒70aと外筒70bの貫通穴に挿入されているピンを抜く。そして、ワイヤWをウインチ29によって巻き下げることで、フック28を下降させて、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)を、
図6に示す下降位置P3に移動する。そして、連結部材70の内筒70aと外筒70bの貫通穴にピンが挿入されることで、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)が下降位置P3に固定される。
【0054】
ブーム21と、ウインチ29と、フック28と、回転軸62とは、ジャッキシリンダ40cの全体を昇降させるようフロントアウトリガユニット40(ユニット42)を、ブーム21の起伏方向に回転させることで昇降させる昇降部60を構成する。昇降部60は、回転軸62まわりにユニット42を回転させて上方に移動させることにより、フロントアウトリガ40a,40bの下端部の位置を上昇させる。
【0055】
[作業車両の作用]
図9は、実施例2のラフテレーンクレーン20の作用を説明する図である。以下、
図9に基づいて、実施例2の作業車両(ラフテレーンクレーン20)の作用を説明する。
【0056】
実施例2の作業車両(ラフテレーンクレーン20)において、昇降部60は、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)の上部に、車幅方向Xに延びた回転軸62を備える(
図6)。
【0057】
これにより、回転軸62を中心として、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を上方に回転させて、下降位置P3から上昇位置P4に移動することができる。そのため、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を垂直方向に上昇させるより、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)の上昇を抑制しつつ、作業車両(ラフテレーンクレーン20)のアプローチアングル又はデパーチャアングルを大きくすることができる。その結果、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)の上方に、例えばブーム等が配置されている場合であっても、作業車両(ラフテレーンクレーン20)のアプローチアングル又はデパーチャアングルを大きくすることができる。
【0058】
実施例2の作業車両(ラフテレーンクレーン20)において、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)には、ブーム21の先端からワイヤWによって吊り下げられたフック28が取り付けられる環状部61を備える(
図6)。
【0059】
これにより、ブーム21が起伏した状態で、フック28を環状部61に引っ掛けて、ウインチ29によりワイヤWを巻き上げることにより、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を上方に回転させることができる。そのため、一般的なクレーンの既存の部品を利用して、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を上方に回転させることができる。その結果、簡易な構成で、アプローチアングル又はデパーチャアングルを改善することができる。
【0060】
実施例2の作業車両(ラフテレーンクレーン20)において、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)が、昇降部60により上昇した状態で、アウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)と車体22とを連結する連結部材70を備える(
図6)。
【0061】
これにより、上昇位置P4にあるアウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を連結部材70で固定することができる。そのため、簡易な構成で、上昇位置P4にあるアウトリガユニット(フロントアウトリガユニット40,リアアウトリガユニット30)を固定することができる。
【0062】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0063】
以上、本発明の作業車両を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これら実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
実施例1では、フロントアウトリガユニット40を昇降部50によって、垂直方向に昇降させる例を示した。しかし、リアアウトリガユニット30も昇降部50によって、垂直方向に昇降させてもよい。
【0065】
実施例2では、リアアウトリガユニット30を昇降部60によって、回転軸62を軸として回転させて昇降させる例を示した。しかし、フロントアウトリガユニットも昇降部によって、回転軸を軸として回転させて昇降させてもよい。
【0066】
実施例1では、フロントアウトリガユニット40を昇降部50によって、垂直方向に昇降させる例を示し、実施例2では、リアアウトリガユニット30を昇降部60によって、回転軸62を軸として回転させて昇降させる例を示した。しかし、昇降部としては、リアアウトリガユニット30とフロントアウトリガユニット40を昇降できる態様であればよく、例えばリンク機構によって、リアアウトリガユニット30とフロントアウトリガユニット40を昇降させてもよい。
【0067】
実施例1では、第2ブラケットの貫通穴と、第1ブラケットの貫通穴とに挿入ピンが挿入されることで、車体フレーム22aに対してリアアウトリガユニット30を固定する例を示した。しかし、第2ブラケットの貫通穴と、第1ブラケットの貫通穴とに伸縮シリンダを利用して挿入ピンを挿入することで、車体フレーム22aに対してリアアウトリガユニット30を固定してもよい。
【0068】
実施例1及び実施例2では、低床トレーラ10は、低床11aと、低床11aの前後に配置される第1高床11bと第2高床11cを備える例を示した。しかし、低床トレーラは、この態様に限定されず、例えば、低床の前側又は後側の一方に高床があるものであってもよい。
【0069】
実施例2では、連結部材70は、外力によって伸縮可能に構成される例を示した。しかし、連結部は、フロントアウトリガユニット40(ユニット42)が上昇位置P4に位置した状態で、フロントアウトリガユニット40と車体22とを連結するものであればよい。
【0070】
実施例1及び実施例2では、本発明の作業車両を、オールテレーンクレーン、カーゴクレーン、トラッククレーン、高所作業車やその他の建設車両等に適用することもできる。
【0071】
2019年6月28日出願の特願2019-120773の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【符号の説明】
【0072】
11a 低床
11b 第1高床(高部の一例)
11c 第2高床(高部の一例)
10 低床トレーラ
20 ラフテレーンクレーン(作業車両の一例)
21 ブーム
22 車体
30 リアアウトリガユニット(アウトリガユニットの一例)
32,42 ユニット
40 フロントアウトリガユニット(アウトリガユニットの一例)
50 昇降部
51 昇降シリンダ
61 環状部
62 回転軸
70 連結部材
W ワイヤ