(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】画像加工装置、プログラムおよび画像加工方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20240409BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240409BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20240409BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240409BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240409BHJP
G09G 5/373 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G03B21/14 Z
G03B21/16
G09G5/00 510B
G09G5/00 550A
G09G5/00 550H
G09G5/10 B
G09G5/373 200
(21)【出願番号】P 2022027357
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2020043891の分割
【原出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】成川 哲郎
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/212633(WO,A1)
【文献】特開2016-045244(JP,A)
【文献】特開2018-105993(JP,A)
【文献】特表2004-532425(JP,A)
【文献】特開2019-061053(JP,A)
【文献】特開2010-044122(JP,A)
【文献】特開2016-062095(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017403(WO,A1)
【文献】特開2018-116256(JP,A)
【文献】特開2016-024202(JP,A)
【文献】特開2011-070153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G03B 21/14
G03B 21/16
G09G 5/00
G09G 5/10
G09G 5/373
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の点灯用電源の元電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリー電源を、接続可能に構成されている投影装置により投影表示させるための画像の所定の記憶手段への登録指定が、前記投影装置が所定の状態のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、前記画像が投影表示されることにより発生する
輝度の積算値である熱量
を算出する予測手段と、
前記元電源として前記バッテリー電源が接続されているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記バッテリー電源が前記元電源として接続されていると検出された場合、かつ前記予測手段により
算出された前記
熱量が所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記
熱量が小さくなるように前記画像を加工することにより加工画像を生成する加工手段と、
前記加工手段により生成された加工画像を前記投影装置により投影表示させるための画像として前記所定の記憶手段に登録する登録手段と、
を備えたことを特徴とする画像加工装置。
【請求項2】
前記所定の状態は、前記投影装置に対して外部から画像信号が無入力な状態である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像加工装置。
【請求項3】
前記熱量は、意図しない所定の投影面での熱量であり、
前記所定の投影面は、前記投影装置が載置された密閉空間内、または前記投影装置が載置された載置面と周側面とにより囲まれた空間内に位置する
ことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の画像加工装置。
【請求項4】
前記加工手段は、前記画像を構成する画素の輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れか1項に記載の画像加工装置。
【請求項5】
前記加工手段は、前記画像を構成する画素のなかで輝度値が所定輝度値より大きい画素の輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れか1項に記載の画像加工装置。
【請求項6】
前記加工手段は、前記画像を構成する同一色の画素のなかで画素数が最大の画素の輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れか1項に記載の画像加工装置。
【請求項7】
前記加工手段は、前記画像を縮小し、縮小後の画像以外の領域における一部または全ての輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れか1項に記載の画像加工装置。
【請求項8】
前記加工手段は、前記画像の所定パターンの領域において輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れか1項に記載の画像加工装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至請求項
8の何れか1項に記載の画像加工装置として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
画像加工装置の制御部の画像加工方法であって、
源の点灯用電源の元電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリー電源を、接続可能に構成されている投影装置により投影表示させるための画像の所定の記憶手段への登録指定が、前記投影装置が所定の状態のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、前記画像が投影表示されることにより発生する
輝度の積算値である熱量
を算出するステップと、
前記元電源として前記バッテリー電源が接続されているか否かを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記バッテリー電源が前記元電源として接続されていると検出された場合、かつ算出された前記
熱量が所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記
熱量が小さくなるように前記画像を加工することにより加工画像を生成するステップと、
生成された加工画像を前記投影装置により投影表示させるための画像として前記所定の記憶手段に登録するステップと、
を実行することを特徴とする画像加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像加工装置、プログラムおよび画像加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プロジェクタの開発が行われている(例えば、特許文献1)。このようなプロジェクタは、近年、持ち運びが可能な携帯型プロジェクタについても検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯型プロジェクタを鞄に入れて持ち運ぶ場合、ものに押されて間違って電源ボタンが押下される可能性がある。鞄内部で投影が始まると、不必要に消費電力を使用してしまう。また、光源および投影光による蓄熱により不具合が生じる。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、プロジェクタを持ち運ぶ際、間違って電源ボタンが押下されても投影時の熱量を抑制可能な画像加工装置、プログラムおよび画像加工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像加工装置は、光源の点灯用電源の元電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリー電源を、接続可能に構成されている投影装置により投影表示させるための画像の所定の記憶手段への登録指定が、前記投影装置が所定の状態のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、前記画像が投影表示されることにより発生する輝度の積算値である熱量を算出する予測手段と、前記元電源として前記バッテリー電源が接続されているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記バッテリー電源が前記元電源として接続されていると検出された場合、かつ前記予測手段により算出された前記熱量が所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記熱量が小さくなるように前記画像を加工することにより加工画像を生成する加工手段と、前記加工手段により生成された加工画像を前記投影装置により投影表示させるための画像として前記所定の記憶手段に登録する登録手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間違って電源ボタンが押下されても投影時の熱量を抑制可能な画像加工装置、プログラムおよび画像加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像加工装置、および投影装置の機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る投影装置が、無信号時投影画像をスクリーン上に投影している状態を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る投影時の輝度補正に用いられるガンマ関数のグラフ(ガンマカーブ)である。
【
図5】本実施形態に係る無信号時投影画像設定処理のフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る画像加工装置の画面の構成図である。
【
図7】本実施形態に係る無信号時投影画像の元画像を例示する図である。
【
図8】本実施形態に係る加工画像を例示する図(1)である。
【
図9】本実施形態に係る加工画像を例示する図(2)である。
【
図10】本実施形態に係る加工画像を例示する図(3)である。
【
図11】本実施形態に係る加工画像を例示する図(4)である。
【
図12】本実施形態に係る加工画像を例示する図(5)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明を実施するための形態(実施形態)における投影装置(プロジェクタ)200(後記する
図1~
図3参照)について説明する。投影装置200は、投影する画像や映像が入力されていない(無信号)ときに投影する画像(無信号時投影画像221)を記憶している。無信号時投影画像221は、投影装置の出荷時に記憶済みの画像(既定の無信号時投影画像)の他に、投影装置の所有者(利用者)が画像を投影装置200に送信して設定することができる。
【0010】
次に、画像加工装置100(後記する
図1参照)について説明する。画像加工装置100は、投影装置200とは別体であり、内蔵されたアプリケーションソフトウェアが実行中であるパソコンなどの装置である。画像加工装置100は、設定時(無信号時投影画像221を投影装置200に送信するとき)に、当該画像を投影するときに発生する熱量(単に画像の熱量とも記す)を算出する。算出結果が所定の値である閾値を超えていた場合には、画像加工装置100は、発生する熱量が閾値以下になるように画像を変更して投影装置200に送信する。無信号時には、投影装置200は、この変更された画像(無信号時投影画像221)を投影する。
【0011】
発生する熱量は、投影装置200自体から発生する熱量、および無信号時投影画像221の投影光が熱に変わったときの熱量から算出される。閾値は、所定時間、光源および投影光による蓄熱が発生しても、投影装置200を入れた鞄等のケースに不具合が生じないように定められる。
投影装置200が鞄に入れられて運ばれる途中で、ものに押されるなどして間違って電源ボタンが押下されたとする。運ばれる間は無信号であり、投影されても熱量が閾値以下となるので鞄等のケースに不具合は生じない。
【0012】
≪投影装置の構成≫
図1は、本実施形態に係る画像加工装置100、および投影装置200の機能ブロック図である。
図2は、本実施形態に係る投影装置200の外観図である。
図3は、本実施形態に係る投影装置200が、無信号時投影画像221(
図1参照)をスクリーン290上に投影している状態を示す図である。
投影装置200は、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタである。投影装置200は、投影画像処理部(スケーラ)210、記憶部220、光源231、投影素子232、投影レンズ233、および入出力部240を含んで構成される。
【0013】
入出力部240は、VGA(Video Graphics Array)端子やHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子、RCA端子などから入力された信号の1つを投影画像処理部210にデジタルの画像として出力する。また、入出力部240は、USB(Universal Serial Bus)端子やLAN(Local Area Network)端子を備え、VGA端子などからの投影画像(映像)の入力がない場合(無信号時)に投影される無信号時投影画像221の元画像を受信する。
【0014】
光源231は、例えばLD(Laser Diode)、LED(Light Emitting Diode)等で構成された赤色光、青色光および緑色光の光源である。光源231は、赤色光、青色光および緑色光を投影素子232に射出する。
投影素子232は、入射された光を投影レンズ233の方向に反射させて光像を形成する。形成された光像は、投影レンズ233によりスクリーン等の被投影体に投影される。投影素子232は、例えばマイクロミラー素子である。マイクロミラー素子は、アレイ状に配列された(例えば1280×800)微小ミラーを備える。各微小ミラーは、後記する投影画像処理部210で制御されて高速でオン/オフ動作し、光源231から入射した光を投影レンズ233の方向に反射させたり、投影レンズ233の方向からそらしたりして光像を形成する。
【0015】
投影画像処理部210(スケーラ)は、投影装置200のメインCPU(Central Processing Unit)を構成し、投影素子232を制御する。また、投影画像処理部210は、無信号時投影画像受付部213を備える。無信号時投影画像受付部213は、画像加工装置100を認証し、画像加工装置100が送信した画像を無信号時投影画像221として記憶する。
【0016】
記憶部220は、例えば、EEP-ROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどから構成される。記憶部220は、投影装置200を制御するためのプログラム222や設定値、無信号時投影画像221などを記憶する。プログラム222は、例えば、画像加工装置100が送信する画像を受信し、無信号時投影画像221として格納するという無信号時投影画像受付部213の処理手順を含む。
【0017】
≪画像加工装置の構成≫
画像加工装置100は、例えばパソコンであり、後記するプログラム122を起動することで、パソコンが画像加工装置100として機能する。画像加工装置100と投影装置200とは、USBケーブルやLANなどで接続される。他の通信方式で接続されてもよい。
画像加工装置100は、制御部110、記憶部120、および入出力部140を備える。入出力部140は、USB端子、ないしはLANインタフェースを備え、投影装置200に無信号時投影画像221を送信する。入出力部140は、さらにディスプレイやキーボード、マウスなどのGUI(Graphical User Interface)機器を備える。
【0018】
記憶部120は、ROMやRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどから構成され、無信号時投影元画像121やプログラム122が記憶される。無信号時投影元画像121は、無信号時投影画像221の元画像である。
制御部110は、CPUで構成され、CPUがプログラム122を実行することで後記する
図5の無信号時投影画像設定処理を行う。制御部110は、熱量算出部111、画像加工部112、および画像送信部113を備える。
【0019】
熱量算出部111(予測手段)は、無信号時投影画像221の元画像である無信号時投影元画像121を投影したときの熱量Wを、式(1)を用いて算出する。即ち、熱量算出部111(予測手段)は、投影装置200が所定の状態のときに投影表示される画像として記憶部220(記憶手段)に登録指定される場合に、画像が投影表示されることにより発生する熱量に対して画像が与える影響度合いを事前予測する。なお、所定の状態は、投影装置200に対して外部から画像信号が無入力な状態である。
【0020】
W=S+Σ(W
R×C
R(P
R)+W
G×C
G(P
G)+W
B×C
B(P
B))・・・(1)
Sは、光源が発する熱量である。Σは、画像を構成する画素Pについての和である。P
Rは、画素Pの赤色成分の輝度である。C
Rは、投影時の輝度補正に用いられる赤色成分のガンマ関数(後記する
図4参照)である。W
Rは、投影像の熱量を示す定数である。W
R×C
R(P
R)は、赤色成分についての画素Pを投影した像の熱量を示す。W
G×C
G(P
G)およびW
B×C
B(P
B)についても同様であって、それぞれ緑色成分についての画素Pを投影した像の熱量および青色成分についての画素Pを投影した像の熱量を示す。
【0021】
このように、熱量は輝度の積算値である。また、熱量は、意図しない所定の投影面での熱量である。意図しない所定の投影面は、投影装置が載置された密閉空間内、または投影装置が載置された載置面と周側面とにより囲まれた空間内に位置する。また、投影レンズ233から投影面迄の距離が所定の閾値以下、所謂投影レンズ233と投影面との距離が近接した特殊環境である。
【0022】
図4は、本実施形態に係る投影時の輝度補正に用いられるガンマ関数のグラフ(ガンマカーブ)である。横軸は補正前の輝度(入力値)であり、縦軸は補正後の輝度(出力値)である。曲線261,262,263は、それぞれ赤色、緑色、青色のガンマ関数を示す曲線である。投影装置200が複数の投影モードを備える場合には、それぞれの投影モードごとにガンマカーブがある。式(1)に含まれるC
Rは、複数の投影モードのなかで最も高い値をとる赤色成分のガンマ関数(ガンマカーブ)である。C
GやC
Bについても同様である。なお、式(1)を用いて熱量を算出するときのガンマ関数は、ルックアップテーブルで構成されてもよいし、他の手法で構成されてもよい。
【0023】
図1に戻って、画像加工部112は、熱量算出部111が算出した熱量が閾値を超える場合には、閾値以下になるように無信号時投影元画像121を加工して、送信画像として記憶する。熱量が閾値以下ならば、画像加工部112は、加工することなく無信号時投影元画像121を送信画像として記憶する。
画像送信部113は、投影装置200に対して認証処理を行い、送信画像を無信号時投影画像として送信する。認証処理は、暗号技術を用いた手法の他に、パスワードを用いる手法や特殊な送信プロトコルを用いる手法などであってもよい。
【0024】
≪無信号時投影画像設定処理≫
図5は、本実施形態に係る無信号時投影画像設定処理のフローチャートである。
図6は、本実施形態に係る画像加工装置100の画面180の構成図である。
図5および
図6を参照しながら、無信号時投影画像設定処理を説明する。
【0025】
ステップS11において制御部110は、画面180を表示して、無信号時投影画像の元画像である無信号時投影元画像121(以下、単に元画像とも記す)の指定を受け付ける。画面180の「開く」ボタン182がクリックされると元画像(元画像を含むファイル)が指定されるファイルダイアログ画面(不図示)が表示される。元画像が指定されると、そのファイル名(ファイルパス名)がテキストボックス181に表示される。続いて、「送信」ボタン183がクリックされると、制御部110はステップS12に進む。
【0026】
ステップS12において熱量算出部111(予測手段)は、式(1)を用いて投影装置200が元画像を投影するときの熱量を算出する。即ち、熱量算出部111(予測手段)は、投影装置200により投影表示させるための画像の所定の記憶手段(記憶部220)への登録指定が、投影装置200が所定の状態(投影装置200に対して外部から画像信号が無入力な状態)のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、画像が投影表示されることにより発生する熱量に対して画像が与える影響度合いを事前予測する。
【0027】
ステップS13において画像加工部112は、ステップS12で算出された熱量が閾値以下ならば(ステップS13→YES)ステップS15に進み、閾値を超えるならば(ステップS13→NO)ステップS14に進む。
ステップS14において画像加工部112(加工手段)は、熱量が閾値以下になるように元画像を加工する。加工の手法は、後記する
図7~
図12を参照して説明する。即ち、画像加工部112(加工手段)は、熱量算出部111(予測手段)により事前予測された影響度合いが所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、影響度合いが小さくなるように画像を加工することにより加工画像を生成する。
【0028】
投影装置200に対して外部から画像信号が無入力な状態のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、熱量が閾値以下になるように元画像を加工するが、閾値としては元画像の熱量(画像が投影表示されることにより発生する熱量)を閾値としても良い。元画像の熱量を閾値とすることで、登録指定された画像の熱量を僅かでも減少させれば良いことになり、効果は小さいとしても容易に実現することができる。
【0029】
ステップS15において画像送信部113は、投影装置200に対して認証処理を行う。次に、画像送信部113は、ステップS14で加工済みの画像(ステップS13→NOの場合)または元画像(ステップS13→YESの場合)を投影装置200に送信する。
投影装置200の投影画像処理部210は、受信した画像を無信号時投影画像221として記憶部220に記憶する。即ち、画像加工装置100の登録手段は、画像加工部112(加工手段)により生成された加工画像を投影装置200により投影表示させるための画像として所定の記憶手段(記憶部220)に登録する。
なお、ステップS12~S15の処理中に制御部110は、処理の進み具合に応じて画面180(
図6参照)のプログレスバー185を表示する。また、「中止」ボタン184がクリックされた場合には、制御部110は、処理を中止する。
【0030】
≪画像加工の例≫
以下、ステップS14における画像加工部112が元画像を加工する手法をいくつか示す。
図7は、本実施形態に係る無信号時投影画像の元画像300を例示する図である。元画像300は、全体が同一色で模様がない無地の背景に、白文字で所有者の会社名を記した画像である。
【0031】
図8は、本実施形態に係る加工画像310を例示する図(1)である。この加工手法は、元画像300のそれぞれの画素において輝度を低減する手法である。画像加工部112は、一定の割合で輝度を低減してもよいし、高い輝度の画素ほど高い割合で輝度を低減してもよい。
【0032】
図9は、本実施形態に係る加工画像320を例示する図(2)である。この加工手法は、同一色の画素のなかで画素数が最大の画素の輝度を低減して加工する手法である。元画像300においては、背景が同一色で画素数(面積)が最大であるため、画像加工部112は、背景の輝度を低減している。
【0033】
図10は、本実施形態に係る加工画像330を例示する図(3)である。この加工手法は、元画像300を構成する画素のなかで輝度値が所定輝度値より高い画素の輝度を低減して加工する手法である。元画像300においては、白文字の会社名を構成する画素の輝度が高く、画像加工部112は、会社名の画素の輝度を低減している。
【0034】
図11は、本実施形態に係る加工画像340を例示する図(4)である。この加工手法は、元画像300を縮小し、縮小後の画像以外の領域についてその一部または全ての輝度を低減して加工する手法である。画像加工部112は、元画像300を1/2に縮小して中央に配置し、周辺を輝度0(黒)に低減している。
【0035】
図12は、本実施形態に係る加工画像350を例示する図(5)である。この加工手法は、元画像300の所定パターンの領域において輝度を低減して加工する手法である。画像加工部112は、菱形模様の輝度を0(黒)に低減している。
【0036】
≪無信号時投影画像設定処理の特徴≫
画像加工装置100は、無信号時投影画像の設定時に、元画像300(無信号時投影元画像121)を投影するときの熱量を算出する。熱量が閾値を超えていた場合には、熱量が閾値以下になるように元画像300を加工して投影装置200に送信し、投影装置200は、加工された元画像300を受信して無信号時投影画像221として記憶する。このようにすることで、投影装置200が、鞄内部に入れられたままものに押されて間違って電源ボタンが押下され、無信号時投影画像221が投影されても、熱量の発生は閾値以下となるため、発生する熱量は抑えられる。
【0037】
≪変形例≫
上記した実施形態では、投影装置200は、画像加工装置100を認証して、閾値以下の熱量の無信号時投影画像221を受け付けている。認証することにより、無信号時投影画像221の投影時の熱量が閾値以下であることが保証できる。認証する替わりに、投影装置200が、受信した画像を投影するときの熱量を算出して熱量が閾値を超えれば、画像を受け付けないようにしてもよい。
【0038】
なお、投影装置200は、元電源として、DC電源としてのバッテリー電源、またはバッテリー電源以外(AC電源としての商用電源)のどちらでも動作可能な投影装置である。投影装置200は、電源種類検出部(検出手段)により、バッテリー駆動されているか否かを検出する。電源種類検出部は、例えば、電源から入力される電圧値により、バッテリー駆動されているか否かを判別することができる。或いは、バッテリー駆動されている場合は、AC電源による駆動時と異なり、バッテリーからパルス信号が出力されるため、バッテリー駆動されているか否かを判別することができる。バッテリー駆動されているか否かを検出する電源種類検出部により検出された結果を取得手段が取得する。
【0039】
投影装置200を鞄等のケースに入れて運ぶ場合は、元電源として、DC電源としてのバッテリー電源で動作することが考えられ、バッテリー電源以外(AC電源としての商用電源)で動作させることは考えにくい。従って、投影装置200に備わる電源種類検出部が、投影装置200が元電源としてバッテリー電源によって駆動されていることを検出した場合にのみ、画像加工装置100は、無信号時に投影する画像の熱量を算出し、算出された熱量が閾値より大きい場合に、熱量が閾値以下になるように画像を加工する制御を実行するようにしても良い。
【0040】
以上、本発明のいくつかの実施形態や変形例について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。例えば、光源231が発生する熱量が低く無視できるのであれば、式(1)のSを0として熱量を算出してもよい。本発明はその他の様々な実施形態をとることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0041】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲のとおりである。
【0042】
≪付記≫
《請求項1》
投影装置により投影表示させるための画像の所定の記憶手段への登録指定が、前記投影装置が所定の状態のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、前記画像が投影表示されることにより発生する熱量に対して当該画像が与える影響度合いを事前予測する予測手段と、
前記予測手段により事前予測された前記影響度合いが所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記影響度合いが小さくなるように前記画像を加工することにより加工画像を生成する加工手段と、
前記加工手段により生成された加工画像を前記投影装置により投影表示させるための画像として前記所定の記憶手段に登録する登録手段と、
を備えたことを特徴とする画像加工装置。
《請求項2》
前記所定の状態は、前記投影装置に対して外部から画像信号が無入力な状態である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像加工装置。
《請求項3》
前記熱量は、輝度の積算値である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像加工装置。
《請求項4》
前記熱量は、意図しない所定の投影面での熱量であり、
前記所定の投影面は、前記投影装置が載置された密閉空間内、または前記投影装置が載置された載置面と周側面とにより囲まれた空間内に位置する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項5》
前記加工手段は、前記画像を構成する画素の輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項6》
前記加工手段は、前記画像を構成する画素のなかで輝度値が所定輝度値より大きい画素の輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項7》
前記加工手段は、前記画像を構成する同一色の画素のなかで画素数が最大の画素の輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項8》
前記加工手段は、前記画像を縮小し、縮小後の画像以外の領域における一部または全ての輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項9》
前記加工手段は、前記画像の所定パターンの領域において輝度を低減して加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項10》
前記投影装置は、光源の点灯用電源の元電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリー電源を、接続可能に構成されており、
前記投影装置は、前記元電源として前記バッテリー電源が接続されているか否かを検出する検出手段を備え、
前記検出手段により前記バッテリー電源が前記元電源として接続されていると検出された場合には、前記予測手段により画像信号が無入力な状態のときに投影表示される画像の前記影響度合いを事前予測し、事前予測された前記影響度合いが閾値より大きい場合に、前記影響度合いが小さくなるように画像を加工する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の画像加工装置。
《請求項11》
コンピュータを、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の画像加工装置として機能させるためのプログラム。
《請求項12》
画像加工装置の制御部の画像加工方法であって、
投影装置により投影表示させるための画像の所定の記憶手段への登録指定が、前記投影装置が所定の状態のときに投影表示される画像として登録指定された場合に、前記画像が投影表示されることにより発生する熱量に対して当該画像が与える影響度合いを事前予測するステップと、
事前予測された前記影響度合いが所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記影響度合いが小さくなるように前記画像を加工することにより加工画像を生成するステップと、
生成された加工画像を前記投影装置により投影表示させるための画像として前記所定の記憶手段に登録するステップと、
を実行することを特徴とする画像加工方法。
【符号の説明】
【0043】
100 画像加工装置
111 熱量算出部(予測手段)
112 画像加工部(加工手段)
113 画像送信部
121 無信号時投影元画像
122 プログラム
200 投影装置
210 投影画像処理部
220 記憶部(記憶手段)
221 無信号時投影画像
222 プログラム
240 入出力部
300 元画像
310,320,330,340,350 加工画像