(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/20 20220101AFI20240409BHJP
H04L 49/201 20220101ALI20240409BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04L43/20
H04L49/201
H04L12/28 100F
(21)【出願番号】P 2022061308
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅信
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527330(JP,A)
【文献】特開2015-111754(JP,A)
【文献】特開2012-244621(JP,A)
【文献】特開2011-171874(JP,A)
【文献】国際公開第2021/074668(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/20
H04L 49/201
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御通信プロトコルに従って制御通信情報の送受信を行う制御通信部と、
前記制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる前記制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける前記制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成し、前記制御通信部に出力するアダプタ部と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
仮想化部を備え、
前記制御通信部及び前記アダプタ部は、前記仮想化部によって構築される仮想マシン上で機能する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記アダプタ部は、前記仮想化部に集約されている前記情報を用いて前記第1制御通信情報を生成する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記アダプタ部は、前記制御通信部から取得した前記第1通信方式の前記第1制御通信情報を外部に送信しない、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記アダプタ部は、前記第1通信方式の第2制御通信情報について、1対1で通信を行う第2通信方式と前記第1通信方式との間で通信方式を変換する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記アダプタ部は、前記通信経路及び前記経路のいずれか一方に従って前記制御通信部と外部との間で前記第2制御通信情報の送受信を行う、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記アダプタ部は、1対1で通信を行う第2通信方式の第3制御通信情報を前記通信経路に従って送受信する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
ネットワーク設定管理部をさらに備え、
前記アダプタ部は、取得された前記第1制御通信情報に基づいてネットワーク設定情報を生成し、前記ネットワーク設定管理部に設定する、
情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける前記制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成するステップと、
前記制御通信プロトコルに従って前記制御通信情報の送受信を行うステップと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける前記制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成するステップと、
前記制御通信プロトコルに従って前記制御通信情報の送受信を行うステップと、
を含む動作を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラウド上のネットワークを利用した技術が知られている。例えば、特許文献1には、クラウド拠点同士をVPN(Virtual Private Network)を介して相互に接続することで、複数のクラウド拠点間を接続するクラウドシステムが開示されている。このようなクラウドシステムは、VLAN(Virtual Local Area Network)-IDの枯渇を改善可能である。
【0003】
物理機器を使用した従来のプロセス制御システムでは、物理的な通信ケーブルを使用して制御通信が行われている。このようなプロセス制御システムをクラウド上のネットワークで動作させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クラウド上のネットワークでは一般的に、マルチキャスト及びブロードキャストなどを含む1対多数で通信を行う通信方式がサポートされていない。一方で、制御通信では、このような通信方式が利用される。したがって、制御通信のプロトコルをクラウド上のネットワークで利用することが困難であった。
【0006】
本開示は、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る情報処理装置は、制御通信プロトコルに従って制御通信情報の送受信を行う制御通信部と、前記制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる前記制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける前記制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成し、前記制御通信部に出力するアダプタ部と、を備える。
【0008】
これにより、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能である。情報処理装置は、第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成する。したがって、情報処理装置は、クラウド上のネットワークでサポートされないマルチキャスト及びブロードキャストなどを含む第1通信方式の第1制御通信情報が当該ネットワークにおける制御通信の通信経路を経由することなく、制御通信に必要な機能を実現可能である。情報処理装置は、マルチキャスト及びブロードキャストが利用できないクラウド上のネットワークにおいても制御通信プロトコルによる通信を可能にする。
【0009】
一実施形態において、情報処理装置は仮想化部を備え、前記制御通信部及び前記アダプタ部は、前記仮想化部によって構築される仮想マシン上で機能してもよい。これにより、情報処理装置は、仮想化部によって構築される仮想マシン上で制御通信を実現可能である。情報処理装置は、1つの物理サーバ上で複数の仮想マシンを構築し起動することも可能である。
【0010】
一実施形態において、前記アダプタ部は、前記仮想化部に集約されている前記情報を用いて前記第1制御通信情報を生成してもよい。これにより、情報処理装置は、仮想化部を介してネットワーク環境管理部などの外部から取得した情報に基づいて第1制御通信情報を制御通信部に出力可能である。すなわち、情報処理装置は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路を用いて制御通信に必要な機能を実現可能である。
【0011】
一実施形態において、前記アダプタ部は、前記制御通信部から取得した前記第1通信方式の前記第1制御通信情報を外部に送信しなくてもよい。これにより、情報処理装置は、クラウド上のネットワークにおける通信量を低減可能である。
【0012】
一実施形態において、前記アダプタ部は、前記第1通信方式の第2制御通信情報について、1対1で通信を行う第2通信方式と前記第1通信方式との間で通信方式を変換してもよい。これにより、情報処理装置は、第1通信方式がサポートされていないクラウド上のネットワークであっても、第2通信方式を介して第2制御通信情報の送受信が可能である。
【0013】
一実施形態において、前記アダプタ部は、前記通信経路及び前記経路のいずれか一方に従って前記制御通信部と外部との間で前記第2制御通信情報の送受信を行ってもよい。これにより、情報処理装置は、外部のノードとの間で第2制御通信情報のやり取りが可能である。
【0014】
一実施形態において、前記アダプタ部は、1対1で通信を行う第2通信方式の第3制御通信情報を前記通信経路に従って送受信してもよい。これにより、情報処理装置は、制御通信プロトコルに従った通常の制御通信を実現可能である。
【0015】
一実施形態において、情報処理装置はネットワーク設定管理部をさらに備え、前記アダプタ部は、取得された前記第1制御通信情報に基づいてネットワーク設定情報を生成し、前記ネットワーク設定管理部に設定してもよい。これにより、情報処理装置は、アダプタ部において生成された第1制御通信情報からルーティング情報を管理可能である。
【0016】
幾つかの実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける前記制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成するステップと、前記制御通信プロトコルに従って前記制御通信情報の送受信を行うステップと、を含む。
【0017】
これにより、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能である。情報処理装置は、第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成する。したがって、情報処理装置は、クラウド上のネットワークでサポートされないマルチキャスト及びブロードキャストなどを含む第1通信方式の第1制御通信情報が当該ネットワークにおける制御通信の通信経路を経由することなく、制御通信に必要な機能を実現可能である。情報処理装置は、マルチキャスト及びブロードキャストが利用できないクラウド上のネットワークにおいても制御通信プロトコルによる通信を可能にする。
【0018】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、情報処理装置に、制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける前記制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成するステップと、前記制御通信プロトコルに従って前記制御通信情報の送受信を行うステップと、を含む動作を実行させる。
【0019】
これにより、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能である。情報処理装置は、第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成する。したがって、情報処理装置は、クラウド上のネットワークでサポートされないマルチキャスト及びブロードキャストなどを含む第1通信方式の第1制御通信情報が当該ネットワークにおける制御通信の通信経路を経由することなく、制御通信に必要な機能を実現可能である。情報処理装置は、マルチキャスト及びブロードキャストが利用できないクラウド上のネットワークにおいても制御通信プロトコルによる通信を可能にする。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態に係る制御通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の第1情報処理装置により実行される第1情報処理方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図1の第1情報処理装置により実行される第1情報処理方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図1の第1情報処理装置により実行される第1情報処理方法の第3例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図1の制御通信システムの変形例を示すブロック図である。
【
図6】制御通信システムの構成の一例を示す
図1に対応するブロック図である。
【
図7】
図6の第2情報処理装置により実行される第2情報処理方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図6の第2情報処理装置により実行される第2情報処理方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0023】
物理機器を使用した従来のプロセス制御システムでは、物理的な通信ケーブルを使用して制御通信が行われている。例えば、プロセス制御システムをクラウド上の仮想環境で動作させる場合、各制御機器の処理がVM(Virtual Machine)上で実現され、仮想制御ネットワークで各VMを接続することでVM間の通信が行われる。
【0024】
制御通信では、ネットワーク上の1対特定多数で複数の機器に同時にデータを送信する目的でマルチキャストが利用される。同様に、制御通信では、ネットワーク上の通信先を限定せずに1対不特定多数で複数の機器に同時にデータを送信する目的でブロードキャストが利用される。
【0025】
マルチキャストを利用した制御通信情報の一例として、時刻同期情報、診断情報、及びアラーム情報が挙げられる。
【0026】
時刻同期情報は、時刻同期のマスターとなるノードによって、定義された時刻グループに属する全ノードに対し送信される。各ノードは、同一の時刻情報を略同一のタイミングで受信する。したがって、ネットワーク上の経路遅延を考慮することで、ネットワーク内のノードが同一時刻に設定される。マスター及び時刻グループのペアは複数存在してもよい。
【0027】
診断情報は、ノードの死活監視情報に相当する。診断情報は、例えば同一サブネット内の全ノード及び別サブネットの特定ノードなどを含む、決まった範囲のノードに対して一定時間ごとに各ノードにより送信される。各ノードは、診断情報を受信することで送信元のノードがネットワークに接続されて動作しており、送信元のノードが各ノード自身の動作有無を認識していることを識別する。
【0028】
アラーム情報は、ノードで発生した異常を他のノードに通知するために、全ノードに対して送信される。
【0029】
ブロードキャストを利用した制御通信情報の一例として、ルーティング情報が挙げられる。ルーティング情報は、各ノードが別のIP(Internet Protocol)ネットワークセグメントへ通信を行うためのものであり、L3スイッチによって配信される。
【0030】
しかしながら、クラウド上のネットワークでは一般的にマルチキャスト及びブロードキャストがサポートされていない。したがって、制御通信のプロトコルをクラウド上のネットワークで利用することが困難であった。
【0031】
本開示は、以上のような問題点を解決するために、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0032】
(制御通信システム)
図1は、本開示の一実施形態に係る制御通信システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1では、後述する第1情報処理装置10の構成に主に着目し、第1情報処理装置10の構成を詳細に示す。
【0033】
制御通信システム1は、第1情報処理装置10と、第2情報処理装置20と、ネットワーク環境管理部30と、物理制御ネットワーク40と、を有する。第1情報処理装置10、第2情報処理装置20、ネットワーク環境管理部30、及び物理制御ネットワーク40は、ネットワークNW1を介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
第1情報処理装置10は、1つ又は互いに通信可能な複数の物理サーバである。
図1では、第1情報処理装置10は、説明の簡便のために、一例として1つの物理サーバとして示されている。第1情報処理装置10は、これらに限定されず、PC(Personal Computer)又はスマートフォンなどの任意の汎用の電子機器であってもよいし、制御通信システム1に専用の他の電子機器であってもよい。
【0035】
第2情報処理装置20は、1つ又は互いに通信可能な複数の物理サーバである。
図1では、第2情報処理装置20は、説明の簡便のために、一例として1つの物理サーバとして示されている。第2情報処理装置20は、これらに限定されず、PC(Personal Computer)又はスマートフォンなどの任意の汎用の電子機器であってもよいし、制御通信システム1に専用の他の電子機器であってもよい。
【0036】
ネットワーク環境管理部30は、ネットワークNW1全体のネットワーク環境を管理する。ネットワーク環境管理部30は、監視機能部31と、時刻マスター機能部32と、ルーティング情報配信部33と、を有する。
【0037】
監視機能部31は、例えばNMS(Network Management System)を含む。監視機能部31は、ネットワークNW1を監視し、ネットワークNW1と通信可能に接続されている各装置の死活監視、トラフィックの障害及び誤りの検出、セキュリティ上の保守、パフォーマンス管理、並びにレポートの作成などの機能を提供する。
【0038】
時刻マスター機能部32は、例えばNTP(Network Time Protocol)サーバを含む。時刻マスター機能部32は、正しい時刻情報を取得及び配信する機能を提供する。
【0039】
ルーティング情報配信部33は、例えばルーティング情報を処理するサーバを含む。ルーティング情報配信部33は、ネットワークNW1全体のルーティング情報を管理する機能を提供する。
【0040】
物理制御ネットワーク40は、物理ネットワークスイッチ41と、コントローラ42と、HMI(Human Machine Interface)としての制御監視装置43と、を有する。コントローラ42及び制御監視装置43は、物理ネットワークスイッチ41を介してネットワークNW1と通信可能に接続されている。物理制御ネットワーク40は、物理ネットワークスイッチ41を介して、ネットワークNW1上の第1情報処理装置10、第2情報処理装置20、及びネットワーク環境管理部30と通信可能に接続されている。物理ネットワークスイッチ41は、第2情報処理装置20、並びに後述するクラウド上のネットワーク及び物理制御ネットワーク40を接続する。
【0041】
(第1情報処理装置)
以下では、
図1を参照しながら、第1情報処理装置10の構成及び機能について主に説明する。
【0042】
第1情報処理装置10は、ハードウェアとしての物理NIC(Network Interface Card)11を有する。第1情報処理装置10は、物理NIC11を介してネットワークNW1と通信可能に接続されている。
【0043】
第1情報処理装置10は、仮想化部12を有する。仮想化部12は、ハイパーバイザとしての機能を提供する。仮想化部12は、第1情報処理装置10の中に仮想環境を構築する。仮想化部12は、第1情報処理装置10の中に少なくとも1つのVMを構築する。
図1では一例として、仮想化部12は、第1情報処理装置10の中に第1VM13及び第2VM14の2つのVMを構築する。
【0044】
第1VM13と第2VM14とは、仮想化部12上の仮想L2スイッチ121を介して仮想制御ネットワークNW2上で互いに通信可能に接続されている。第1VM13及び第2VM14は、クラウド上のネットワーク環境下にある。
【0045】
第1VM13は、第1仮想NIC131を介して仮想制御ネットワークNW2と通信可能に接続されている。第1VM13は、第1アダプタ部132と、第1制御通信部133と、第1アプリケーション134と、を有する。第1アダプタ部132、第1制御通信部133、及び第1アプリケーション134は、第1情報処理装置10の仮想化部12によって構築される仮想マシンとしての第1VM13上で機能する。
【0046】
仮想制御ネットワークNW2上で送信されてきた情報は、第1仮想NIC131及び第1アダプタ部132を順に介して、第1制御通信部133により受信される。第1制御通信部133から出力される情報は、第1アダプタ部132及び第1仮想NIC131を順に介して、仮想制御ネットワークNW2へと送信される。第1制御通信部133は、第1アプリケーション134に対して機能的に接続されている。
【0047】
第2VM14は、第2仮想NIC141を介して仮想制御ネットワークNW2と通信可能に接続されている。第2VM14は、第2アダプタ部142と、第2制御通信部143と、第2アプリケーション144と、を有する。第2アダプタ部142、第2制御通信部143、及び第2アプリケーション144は、第1情報処理装置10の仮想化部12によって構築される仮想マシンとしての第2VM14上で機能する。
【0048】
仮想制御ネットワークNW2上で送信されてきた情報は、第2仮想NIC141及び第2アダプタ部142を順に介して、第2制御通信部143により受信される。第2制御通信部143から出力される情報は、第2アダプタ部142及び第2仮想NIC141を順に介して、仮想制御ネットワークNW2へと送信される。第2制御通信部143は、第2アプリケーション144に対して機能的に接続されている。
【0049】
以下では、第1制御通信部133及び第2制御通信部143をまとめて「制御通信部」と記載する。第1アダプタ部132及び第2アダプタ部142をまとめて「アダプタ部」を記載する。
図1では、制御通信部及びアダプタ部の機能について、第2制御通信部143及び第2アダプタ部142に主に着目して図示しているが、以下の説明における制御通信部及びアダプタ部の機能は、第1VM13及び第2VM14のいずれにも当てはまる。
【0050】
制御通信部は、アダプタ部を介して、制御通信プロトコルに従った制御通信情報の送受信を外部機器との間で行う。本明細書において、「制御通信情報」は、例えば、それぞれ上述した、時刻同期情報、診断情報、及びアラーム情報などを含む。
【0051】
アダプタ部は、制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち第1制御通信情報を、第1VM13及び第2VM14を含むクラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成する。第1制御通信情報は、第1VM13及び第2VM14を含むクラウド上のネットワークでサポートされていない、1対多数で通信を行う第1通信方式の情報である。アダプタ部は、生成された第1制御通信情報を、制御通信部に出力する。
【0052】
本明細書において、「第1制御通信情報」は、例えば時刻同期情報及び診断情報などを含む。「第1通信方式」は、例えばマルチキャスト及びブロードキャストなどを含む。
【0053】
アダプタ部は、第1情報処理装置10の仮想化部12に集約されている情報を用いて第1制御通信情報を生成する。
【0054】
例えば、時刻同期情報については、外部の時刻マスター機能部32が利用される。時刻マスター機能部32のような外部の時刻同期機能が利用され、仮想化部12の時刻が設定される。仮想化部12は、第1VM13及び第2VM14各々の時刻を設定できる。アダプタ部は、時刻情報を仮想化部12から取得し、制御通信における時刻同期情報に変換して制御通信部に出力する。このようにアダプタ部は、物理NIC11及び仮想L2スイッチ121を介した、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路ではなく、当該通信経路と異なる経路で仮想化部12から取得した時刻情報を用いてマルチキャストの時刻同期情報を生成する。
【0055】
例えば、診断情報については、監視機能部31のような外部の死活監視機能が利用される。外部の監視機能部31は、全ノードの死活監視を行う。各第1情報処理装置10の仮想化部12は、外部の監視機能部31から死活情報を取得する。アダプタ部は、死活情報を仮想化部12から取得し、制御通信における各ノードからの死活監視情報としての診断情報に変換して制御通信部に出力する。このようにアダプタ部は、物理NIC11及び仮想L2スイッチ121を介した、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路ではなく、当該通信経路と異なる経路で仮想化部12から取得した死活情報を用いてマルチキャストの診断情報を生成する。
【0056】
アダプタ部は、制御通信部から取得した第1通信方式の第1制御通信情報を外部に送信しない。物理NIC11及び仮想L2スイッチ121を介した、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路では第1通信方式がサポートされていないので、アダプタ部は、当該通信経路に沿って第1制御通信情報を外部に実際に送信せずに送信したふりをする。すなわち、アダプタ部は、第1制御通信情報を外部に送信しなかったとしても、制御通信部に対してエラーを返すような処理を実行しない。又は、アダプタ部は、制御通信部に対して第1制御通信情報を送信したとする偽の情報を出力してもよい。
【0057】
例えば、アダプタ部は、制御通信における時刻同期情報を実際に送信せずに、送信したふりをする。例えば時刻マスター機能部32などの外部から得られる時刻が十分に信用できるので、アダプタ部は、外部の時刻マスター機能部32を、仮想化部12を介して利用し、マルチキャストの時刻同期情報を生成して制御通信部に出力する処理を主に実行する。
【0058】
例えば、アダプタ部は、制御通信における診断情報を実際に送信せずに、送信したふりをする。例えば監視機能部31などの外部から得られる死活情報が十分に信用できるので、アダプタ部は、外部の監視機能部31を、仮想化部12を介して利用し、マルチキャストの診断情報を生成して制御通信部に出力する処理を主に実行する。
【0059】
アダプタ部は、第1通信方式の第2制御通信情報について、1対1で通信を行う第2通信方式と第1通信方式との間で通信方式を変換する。アダプタ部は、物理NIC11及び仮想L2スイッチ121を介した、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って、制御通信部と外部との間で第2制御通信情報の送受信を行う。本明細書において、「第2制御通信情報」は、例えばアラーム情報などを含む。「第2通信方式」は、例えばユニキャストなどを含む。
【0060】
例えば、アダプタ部は、制御通信部から取得したマルチキャストのアラーム情報をユニキャストにプロトコル変換する。アダプタ部は、制御通信部から取得したアラーム情報に対応するマルチキャスト通信のフレームに同報通信を示す情報を付加し、全ノードに対するユニキャストにカプセル化して送信する。アダプタ部は、このような変換を実施可能なVPNを活用して通信を行ってもよい。
【0061】
例えば、アダプタ部は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って外部から受信したユニキャストのアラーム情報をマルチキャストにプロトコル変換する。アダプタ部は、変換したマルチキャストのアラーム情報を、制御通信におけるアラーム情報として制御通信部に出力する。
【0062】
アダプタ部は、1対1で通信を行う第2通信方式の第3制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って、制御通信部と外部との間で送受信する。本明細書において、「第3制御通信情報」は、例えばマルチキャスト又はブロードキャストに基づく各種情報を除いた、ユニキャストに基づく他の任意の制御通信情報を含む。アダプタ部は、例えば機器からのデータ取得などを、ユニキャストの制御通信に基づいて通常通り行う。アダプタ部は、クラウド上のネットワークでサポートされているユニキャスト通信に基づいて、第3制御通信情報を制限なく送受信可能である。
【0063】
第1VM13は、第1ネットワーク設定管理部135をさらに有する。第2VM14は、第2ネットワーク設定管理部145をさらに有する。以下では、第1ネットワーク設定管理部135及び第2ネットワーク設定管理部145をまとめて「ネットワーク設定管理部」と記載する。
【0064】
アダプタ部は、取得された第1制御通信情報に基づいてネットワーク設定情報を生成し、ネットワーク設定管理部に設定する。本明細書において「ネットワーク設定情報」は、
例えばルーティングプロトコルによるマルチキャスト又はブロードキャストで配信されるルーティング情報などを含む。ネットワーク設定管理部は、配信されるルーティング情報を受信して更新されるルーティングテーブル情報を含む。
【0065】
アダプタ部は、ルーティング情報について、プロトコルを用いずにルーティングテーブルの設定を活用する。ルーティング情報は、マルチキャスト又はブロードキャストを用いたルーティングプロトコルの配信情報を用いず、ネットワーク設定管理部上のルーティングテーブルの設定値を活用して得られる。
【0066】
クラウド上では通常、IPネットワークセグメントを分離していても、デフォルトゲートウェイに通信を行えば、適切にルーティングされる。したがって、その場合、VM上のルーティングテーブルにデフォルトゲートウェイを設定するのみで済ませることができる。デフォルトゲートウェイだけでは不十分である場合、アダプタ部が診断情報を生成し、当該診断情報に基づいてルーティング情報を生成する。アダプタ部は、生成されたルーティング情報をルーティングテーブルに設定する。
【0067】
図2乃至
図4を参照しながら、
図1の第1情報処理装置10のアダプタ部により実行される処理の流れについて主に説明する。
図2は、
図1の第1情報処理装置10により実行される第1情報処理方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
【0068】
ステップS101では、第1情報処理装置10のアダプタ部は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路で仮想化部12を介して情報を取得する。
【0069】
ステップS102では、アダプタ部は、制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、ステップS101において取得された情報を用いて生成する。
【0070】
ステップS103では、アダプタ部は、制御通信プロトコルに従って制御通信情報の送受信を行う制御通信部に、ステップS102において生成された第1制御通信情報を出力する。
【0071】
図3は、
図1の第1情報処理装置10により実行される第1情報処理方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
【0072】
ステップS201では、第1情報処理装置10のアダプタ部は、第2制御通信情報を取得する。例えば、アダプタ部は、マルチキャストのアラーム情報を制御通信部から取得する。例えば、アダプタ部は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って、ユニキャストのアラーム情報を外部から受信する。
【0073】
ステップS202では、アダプタ部は、ステップS201において取得された第2制御通信情報について、第1通信方式と第2通信方式との間で通信方式を変換する。例えば、アダプタ部は、制御通信部から取得したマルチキャストのアラーム情報をユニキャストに変換する。例えば、アダプタ部は、外部から受信したユニキャストのアラーム情報をマルチキャストに変換する。
【0074】
ステップS203では、アダプタ部は、ステップS202において通信方式が変換された第2制御通信情報を出力する。例えば、アダプタ部は、ユニキャストに変換されたアラーム情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って外部に送信する。例えば、アダプタ部は、マルチキャストに変換されたアラーム情報を制御通信部に出力する。
【0075】
図4は、
図1の第1情報処理装置10により実行される第1情報処理方法の第3例を説明するためのフローチャートである。
【0076】
ステップS301では、第1情報処理装置10のアダプタ部は、第3制御通信情報を取得する。例えば、アダプタ部は、ユニキャストの第3制御通信情報を制御通信部から取得する。例えば、アダプタ部は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って、ユニキャストの第3制御通信情報を外部から受信する。
【0077】
ステップS302では、アダプタ部は、ステップS301において取得された第3制御通信情報を出力する。例えば、アダプタ部は、ユニキャストの第3制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って外部にそのまま送信する。例えば、アダプタ部は、ユニキャストの第3制御通信情報を制御通信部にそのまま出力する。
【0078】
以上のような一実施形態に係る第1情報処理装置10及び第1情報処理装置10により実行される第1情報処理方法によれば、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能である。第1情報処理装置10は、第1通信方式の第1制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路で取得した情報を用いて生成する。したがって、第1情報処理装置10は、クラウド上のネットワークでサポートされないマルチキャスト及びブロードキャストなどを含む第1通信方式の第1制御通信情報が当該ネットワークにおける制御通信の通信経路を経由することなく、制御通信に必要な機能を実現可能である。第1情報処理装置10は、マルチキャスト及びブロードキャストが利用できないクラウド上のネットワークにおいても制御通信プロトコルによる通信を可能にする。
【0079】
第1情報処理装置10は、クラウド上のネットワークにおいて動作する第1アプリケーション134及び第2アプリケーション144、並びに制御通信部を修正することなく、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能である。第1情報処理装置10は、制御通信プロトコルの機能の一部を、仮想化部12及びアダプタ部などを含むIT(Information Technology)の機能で代用することで、制御通信の負荷を分散したり、ITの進化に伴う機能向上を実現したりすることができる。
【0080】
第1情報処理装置10は、仮想化部12を有することで、仮想化部12によって構築される仮想マシン上で制御通信を実現可能である。第1情報処理装置10は、1つの物理サーバ上で複数の仮想マシンを構築し起動することも可能である。
【0081】
第1情報処理装置10は、仮想化部12に集約されている情報を用いて第1制御通信情報を生成することで、仮想化部12を介してネットワーク環境管理部30などの外部から取得した情報に基づいて第1制御通信情報を制御通信部に出力可能である。すなわち、第1情報処理装置10は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路を用いて制御通信に必要な機能を実現可能である。
【0082】
第1情報処理装置10は、制御通信部から受信した第1通信方式の第1制御通信情報を外部に送信しないことで、クラウド上のネットワークにおける通信量を低減可能である。
【0083】
第1情報処理装置10は、第1通信方式の第2制御通信情報について、第2通信方式と第1通信方式との間で通信方式を変換することで、第1通信方式がサポートされていないクラウド上のネットワークであっても、第2通信方式を介して第2制御通信情報の送受信が可能である。
【0084】
第1情報処理装置10は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って制御通信部と外部との間で第2制御通信情報の送受信を行うことで、外部のノードとの間で第2制御通信情報のやり取りが可能である。
【0085】
第1情報処理装置10は、第2通信方式の第3制御通信情報を、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って送受信することで、制御通信プロトコルに従った通常の制御通信を実現可能である。
【0086】
第1情報処理装置10は、取得された第1制御通信情報に基づいてネットワーク設定情報を生成し、ネットワーク設定管理部に設定することで、アダプタ部において生成された第1制御通信情報からルーティング情報を管理可能である。
【0087】
図5は、
図1の制御通信システム1の変形例を示すブロック図である。
図5は、
図1の制御通信システム1において、第1情報処理装置10及びネットワーク環境管理部30を含む一部のみを示したものである。
【0088】
上記実施形態では、第1情報処理装置10のアダプタ部は、物理NIC11及び仮想L2スイッチ121を介した、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って、制御通信部と外部との間で第2制御通信情報の送受信を行うと説明したが、これに限定されない。アダプタ部は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路と異なる経路に従って、制御通信部と外部との間で第2制御通信情報の送受信を行ってもよい。
【0089】
例えば、ネットワーク環境管理部30は、アラームサーバ34をさらに有してもよい。アダプタ部は、アラームサーバ34と直接通信可能に接続されていてもよい。アダプタ部は、制御通信部から取得したマルチキャストのアラーム情報を、アラームサーバ34との通信プロトコルに従った通信方式に変換してアラームサーバ34に送信してもよい。アダプタ部は、アラームサーバ34との通信プロトコルに従ってアラームサーバ34から受信したアラーム情報をマルチキャストに変換して制御通信部に出力してもよい。
【0090】
上記実施形態では、制御通信部及びアダプタ部は、仮想化部12によって構築される仮想マシン上で機能すると説明したが、これに限定されない。第1情報処理装置10は、仮想化部12を有していなくてもよい。制御通信部及びアダプタ部は、物理サーバとしての第1情報処理装置10上で機能してもよい。
【0091】
上記実施形態では、アダプタ部は、仮想化部12に集約されている情報を用いて第1制御通信情報を生成すると説明したが、これに限定されない。アダプタ部は、監視機能部31及び時刻マスター機能部32の少なくとも一方と直接通信可能に接続されていてもよい。アダプタ部は、死活情報及び時刻情報の少なくとも一方を、監視機能部31及び時刻マスター機能部32を含む外部の機能を通じて直接取得してもよい。
【0092】
上記実施形態では、アダプタ部は、取得された第1制御通信情報に基づいてネットワーク設定情報を生成し、ネットワーク設定管理部に設定すると説明したが、これに限定されない。第1情報処理装置10は、ネットワーク設定管理部を有さなくてもよい。
【0093】
上記実施形態では、時刻マスター機能部32のような外部の時刻同期機能が利用され、仮想化部12の時刻が設定されると説明したが、これに限定されない。時刻マスター機能部32のような外部の時刻同期機能が利用され、仮想化部12が使用する物理サーバとしての第1情報処理装置10の時刻が設定されてもよい。
【0094】
上記実施形態では、アダプタ部は、時刻情報を仮想化部12から取得すると説明したが、これに限定されない。アダプタ部は、時刻情報を第1VM13及び第2VM14の少なくとも一方から取得してもよい。
【0095】
上記実施形態では、外部の監視機能部31が全ノードの死活監視を行うと説明したが、これに限定されない。第1情報処理装置10としての各物理サーバの仮想化部12が全ノードの死活監視を行ってもよい。
【0096】
(第2情報処理装置20)
以下では、
図6を参照しながら、第2情報処理装置20の構成及び機能について主に説明する。
図6は、制御通信システム1の構成の一例を示す
図1に対応するブロック図である。
図6は、
図1のクラウドネットワーク環境下にある第1VM13及び第2VM14を含む第1情報処理装置10をより簡略的に示す一方で、第2情報処理装置20の構成に主に着目して第2情報処理装置20の構成をより詳細に示したものである。
【0097】
物理ネットワークである物理制御ネットワーク40と第1VM13及び第2VM14を含むクラウドネットワーク環境とを接続する場合を考える。制御通信システム1は、本来であればクラウドネットワーク環境側で制御通信として送受信されるはずあったマルチキャスト又はブロードキャストの通信方式を復元して、物理制御ネットワーク40に情報を送信する必要がある。したがって、制御通信システム1は、第2情報処理装置20を有する。第2情報処理装置20は、第1情報処理装置10のアダプタ部が行っている、第1制御通信情報を他の情報から生成する処理などを同様に行い、生成された情報を制御通信プロトコルに従って物理制御ネットワーク40に送信する。
【0098】
第1VM13及び第2VM14を含むクラウド上のネットワークと第2情報処理装置20とは、仮想制御ネットワークNW2によって互いに通信可能に接続されている。第2情報処理装置20は、クラウド上のネットワーク及び物理制御ネットワーク40と通信可能に接続されている。
【0099】
第2情報処理装置20は、ハードウェアとしての物理NICを含むNIC21を有する。第2情報処理装置20は、NIC21を介してネットワークNW1と通信可能に接続されている。第2情報処理装置20は、NIC21を介して仮想制御ネットワークNW2と通信可能に接続されている。第2情報処理装置20は、NIC21及び仮想制御ネットワークNW2を介して、クラウドネットワーク環境下の第1VM13及び第2VM14と通信可能に接続されている。
【0100】
第2情報処理装置20は、アダプタ部22を有する。アダプタ部22は、第2情報処理装置20上で機能する。ネットワークNW1上で物理ネットワークスイッチ41を介して物理制御ネットワーク40から送信されてきた情報は、NIC21を介して、アダプタ部22により受信される。アダプタ部22から出力される情報は、NIC21を介して、仮想制御ネットワークNW2へと送信される。仮想制御ネットワークNW2上でクラウド上のネットワークから送信されてきた情報は、NIC21を介して、アダプタ部22により受信される。アダプタ部22から出力される情報は、NIC21及びネットワークNW1を介して、物理制御ネットワーク40へと送信される。
【0101】
アダプタ部22は、制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち第1制御通信情報を、制御通信の通信経路と異なる経路で取得したクラウド上のネットワークからの情報を用いて生成する。第1制御通信情報は、第1VM13及び第2VM14を含むクラウド上のネットワークでサポートされていない、1対多数で通信を行う第1通信方式の情報である。アダプタ部22は、生成された第1制御通信情報を、物理制御ネットワーク40に送信する。
【0102】
アダプタ部22は、ネットワーク環境管理部30に集約されている情報を用いて第1制御通信情報を生成する。
【0103】
例えば、診断情報について、監視機能部31の死活監視機能が利用される。監視機能部31は、全ノードの死活監視を行う。第2情報処理装置20のアダプタ部22は、監視機能部31から死活情報を取得する。アダプタ部22は、取得された死活情報を、制御通信における各ノードからの死活監視情報としての診断情報に変換して物理制御ネットワーク40に送信する。このようにアダプタ部22は、制御通信の通信経路ではなく、当該通信経路と異なる経路でネットワーク環境管理部30から取得した死活情報を用いてマルチキャストの診断情報を生成する。
【0104】
アダプタ部22は、第1通信方式の第2制御通信情報について、1対1で通信を行う第2通信方式と第1通信方式との間で通信方式を変換する。アダプタ部22は、制御通信の通信経路に従って、クラウド上のネットワークと物理制御ネットワーク40との間で第2制御通信情報の送受信を行う。
【0105】
例えば、アダプタ部22は、クラウド上の第1VM13及び第2VM14から仮想制御ネットワークNW2を介して受信したユニキャストのアラーム情報をマルチキャストにプロトコル変換する。アダプタ部22は、第1情報処理装置10のアダプタ部により実行されたカプセル化を解除し、マルチキャストの情報としてアラーム情報を物理制御ネットワーク40に送信する。
【0106】
例えば、アダプタ部22は、物理制御ネットワーク40からネットワークNW1を介して受信したマルチキャストのアラーム情報をユニキャストにプロトコル変換する。アダプタ部22は、物理制御ネットワーク40から受信したアラーム情報に対応するマルチキャスト通信のフレームに同報通信を示す情報を付加し、全ノードに対するユニキャストにカプセル化する。アダプタ部22は、カプセル化されたユニキャストのアラーム情報を、仮想制御ネットワークNW2を介して、第1VM13及び第2VM14に送信する。
【0107】
図7及び
図8を参照しながら、
図6の第2情報処理装置20のアダプタ部22により実行される処理の流れについて主に説明する。
図7は、
図6の第2情報処理装置20により実行される第2情報処理方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
【0108】
ステップS401では、第2情報処理装置20のアダプタ部22は、制御通信の通信経路と異なる経路で、クラウド上のネットワークからの情報を取得する。
【0109】
ステップS402では、アダプタ部22は、制御通信プロトコルに基づく制御通信に必要となる制御通信情報のうち、1対多数で通信を行う第1通信方式の第1制御通信情報を、ステップS401において取得された情報を用いて生成する。
【0110】
ステップS403では、アダプタ部22は、ステップS402において生成された第1制御通信情報を、物理制御ネットワーク40に送信する。
【0111】
図8は、
図6の第2情報処理装置20により実行される第2情報処理方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
【0112】
ステップS501では、第2情報処理装置20のアダプタ部22は、第2制御通信情報を取得する。例えば、アダプタ部22は、マルチキャストのアラーム情報を、ネットワークNW1を介して物理制御ネットワーク40から受信する。例えば、アダプタ部22は、クラウド上のネットワークにおける第1VM13及び第2VM14から、仮想制御ネットワークNW2を介してユニキャストのアラーム情報を受信する。
【0113】
ステップS502では、アダプタ部22は、ステップS501において取得された第2制御通信情報について、第1通信方式と第2通信方式との間で通信方式を変換する。例えば、アダプタ部22は、物理制御ネットワーク40から受信したマルチキャストのアラーム情報をユニキャストに変換する。例えば、アダプタ部22は、クラウド上のネットワークから受信したユニキャストのアラーム情報をマルチキャストに変換する。
【0114】
ステップS503では、アダプタ部22は、ステップS502において通信方式が変換された第2制御通信情報を出力する。例えば、アダプタ部22は、ユニキャストに変換されたアラーム情報を、クラウド上のネットワークにおける第1VM13及び第2VM14に送信する。例えば、アダプタ部22は、マルチキャストに変換されたアラーム情報を物理制御ネットワーク40に送信する。
【0115】
以上のような一実施形態に係る第2情報処理装置20、第2情報処理装置20により実行される第2情報処理方法、及び制御通信システム1によれば、クラウド上のネットワークで制御通信を実現可能である。第2情報処理装置20は、第1通信方式の第1制御通信情報を、制御通信の通信経路と異なる経路で取得したクラウド上のネットワークからの情報を用いて生成し、物理制御ネットワーク40に送信する。したがって、第2情報処理装置20は、クラウド上のネットワークでサポートされないマルチキャスト及びブロードキャストなどを含む第1通信方式の第1制御通信情報が当該ネットワークにおける制御通信の通信経路を経由することなく、当該ネットワークと物理制御ネットワーク40との間での制御通信に必要な機能を実現可能である。第2情報処理装置20は、マルチキャスト及びブロードキャストが利用できないクラウド上のネットワークと物理制御ネットワーク40との間でも制御通信プロトコルによる通信を可能にする。
【0116】
第2情報処理装置20は、第1通信方式の第2制御通信情報について、第2通信方式と第1通信方式との間で通信方式を変換することで、第1通信方式がサポートされていないクラウド上のネットワークと物理制御ネットワーク40との間で、第2通信方式を介して第2制御通信情報の送受信が可能である。
【0117】
第2情報処理装置20は、クラウド上のネットワークにおける制御通信の通信経路に従って当該ネットワークと物理制御ネットワーク40との間で第2制御通信情報の送受信を行う。これにより、制御通信システム1は、第2情報処理装置20を介して、当該ネットワークと物理制御ネットワーク40との間で第2制御通信情報のやり取りを可能にする。
【0118】
制御通信システム1は、第2情報処理装置20とは異なる装置として物理ネットワークスイッチ41を有することで、スイッチ機能に特化した装置を物理ネットワークスイッチ41として用いることができる。
【0119】
クラウド上のネットワークと第2情報処理装置20とが、仮想制御ネットワークNW2によって互いに接続されていることで、第2情報処理装置20は、仮想制御ネットワークNW2を介してクラウド上のネットワークと第2制御通信情報などの情報を送受信可能である。
【0120】
上記実施形態では、第2情報処理装置20のアダプタ部22は、物理サーバとしての第2情報処理装置20上で機能しているが、これに限定されない。第2情報処理装置20は、第1情報処理装置10と同様に仮想化部を有してもよい。アダプタ部22は、このような仮想化部によって構築される仮想マシン上で機能してもよい。
【0121】
第2情報処理装置20は、このような仮想化部を有することで、仮想化部によって構築される仮想マシン上で制御通信に関する機能を提供可能である。第2情報処理装置20は、1つの物理サーバ上で複数の仮想マシンを構築し起動することも可能である。
【0122】
上記実施形態では、第2情報処理装置20は、物理ネットワークスイッチ41とは異なる装置として制御通信システム1に配置されていると説明したが、これに限定されない。第2情報処理装置20は、物理ネットワークスイッチ41と一体的に構成される装置であってもよい。このとき、第2情報処理装置20は、アダプタ部22について上述した各種機能と物理ネットワークスイッチ41によるスイッチング機能とを有するルータであってもよい。
【0123】
すなわち、第2情報処理装置20は、クラウド上のネットワーク及び物理制御ネットワーク40を接続するネットワークスイッチとして機能する中継部を、アダプタ部22に加えて有してもよい。このとき、アダプタ部22及び中継部は、物理サーバとしての第2情報処理装置20上で機能してもよいし、上記の仮想化部によって構築される仮想マシン上で機能してもよい。
【0124】
これにより、第2情報処理装置20は、アダプタ部22による各種機能及びスイッチング機能を、一つの装置上でまとめて提供可能である。制御通信システム1は、システムを構成する装置の数を低減可能である。
【0125】
上記実施形態では、制御通信システム1は、物理ネットワークスイッチ41を有すると説明したが、これに限定されない。制御通信システム1は、物理ネットワークスイッチ41に代えて、物理ネットワークスイッチ41と同様の機能を有する仮想ネットワークスイッチを有してもよい。
【0126】
上記実施形態では、物理ネットワークスイッチ41は、物理制御ネットワーク40に含まれていると説明したが、これに限定されない。物理ネットワークスイッチ41は、物理制御ネットワーク40に含まれていなくてもよい。
【0127】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0128】
例えば、上述した各構成部の配置、向き、及び個数などは、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置、向き、及び個数などは、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0129】
例えば、上述した第1情報処理方法の各ステップに含まれる機能などは、論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数のステップを1つに組み合わせたり、又は分割したりすることが可能である。
【0130】
例えば、上述した第2情報処理方法の各ステップに含まれる機能などは、論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数のステップを1つに組み合わせたり、又は分割したりすることが可能である。
【0131】
上記では、第1情報処理装置10、第2情報処理装置20、制御通信システム1、及び情報処理方法について主に説明したが、本開示は、第1情報処理装置10が有するプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示は、第2情報処理装置20が有するプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲には、これらも包含されると理解されたい。
【符号の説明】
【0132】
1 制御通信システム
10 第1情報処理装置(情報処理装置)
11 物理NIC
12 仮想化部
121 仮想L2スイッチ
13 第1VM
131 第1仮想NIC
132 第1アダプタ部(アダプタ部)
133 第1制御通信部(制御通信部)
134 第1アプリケーション
135 第1ネットワーク設定管理部(ネットワーク設定管理部)
14 第2VM
141 第2仮想NIC
142 第2アダプタ部(アダプタ部)
143 第2制御通信部(制御通信部)
144 第2アプリケーション
145 第2ネットワーク設定管理部(ネットワーク設定管理部)
20 第2情報処理装置
21 NIC
22 アダプタ部
30 ネットワーク環境管理部
31 監視機能部
32 時刻マスター機能部
33 ルーティング情報配信部
34 アラームサーバ
40 物理制御ネットワーク
41 物理ネットワークスイッチ
42 コントローラ
43 制御監視装置
NW1 ネットワーク
NW2 仮想制御ネットワーク