IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タダノの特許一覧

<>
  • 特許-クレーン 図1
  • 特許-クレーン 図2
  • 特許-クレーン 図3
  • 特許-クレーン 図4
  • 特許-クレーン 図5
  • 特許-クレーン 図6
  • 特許-クレーン 図7
  • 特許-クレーン 図8
  • 特許-クレーン 図9
  • 特許-クレーン 図10
  • 特許-クレーン 図11
  • 特許-クレーン 図12
  • 特許-クレーン 図13
  • 特許-クレーン 図14
  • 特許-クレーン 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/52 20060101AFI20240409BHJP
   B66C 23/38 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B66C13/52 Z
B66C23/38
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022102122
(22)【出願日】2022-06-24
(65)【公開番号】P2024002734
(43)【公開日】2024-01-11
【審査請求日】2023-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】寺田 王彦
(72)【発明者】
【氏名】中松 将太
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-039774(JP,A)
【文献】特開平11-322274(JP,A)
【文献】特開2022-157912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/52
B66C 23/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から供給される電力に基づいて走行する走行車体と、
前記走行車体に設けられた作動油タンクと、
前記電源部により駆動されるモータ、及び、前記モータにより駆動され、前記作動油タンクから供給された作動油を被駆動部に供給するポンプ部を有する作動油供給装置と、
前記走行車体の上部に設けられた旋回体と前記作動油供給装置とを接続する伝達部材と、を備え、
前記作動油供給装置及び前記作動油タンクは、前記走行車体の左右方向において前記伝達部材の一方側、且つ、前後一対の車軸の間に配置され、
前記作動油供給装置は、前記作動油タンクの側方又は下方に配置されており、
前記ポンプ部は、前記作動油タンク内の作動油の液面よりも下方に配置されている、
クレーン。
【請求項2】
前記被駆動部の数は複数であり、
前記ポンプ部は、複数の前記被駆動部に対応し、直列又は並列に接続された複数のポンプを有する、
請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記作動油供給装置及び前記作動油タンクは、前記走行車体のメインフレームの横に配置されている
求項1に記載のクレーン。
【請求項4】
記ポンプ部は、前記作動油タンクと前記伝達部材との間に配置されている、請求項に記載のクレーン。
【請求項5】
前記モータと前記ポンプ部とは、直列に接続されている、請求項1に記載のクレーン。
【請求項6】
前記モータと前記ポンプ部とは、並列に接続されている、請求項1に記載のクレーン。
【請求項7】
前記モータと前記ポンプ部とは、互いの中心軸が直交した状態で接続されている、請求項1に記載のクレーン。
【請求項8】
前記モータと前記ポンプ部とは、互いの中心軸が平行な状態で配置されている、請求項1に記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行機能を有する下部走行体、及び、下部走行体の上部に旋回可能な状態で設けられた上部旋回体を備えた移動式のクレーンが開示されている。下部走行体は、エンジンを有しており、エンジンの動力に基づいて走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-96928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境保護等の観点から、上述のようなクレーンの電動化が求められている。
【0005】
本発明の目的は、電力により走行可能なクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクレーンの一態様は、
電源部から供給される電力に基づいて走行する走行車体と、
走行車体に設けられた作動油タンクと、
電源部により駆動されるモータ、及び、モータにより駆動され、作動油タンクから供給された作動油を被駆動部に供給するポンプ部を有する作動油供給装置と、を備え、
ポンプ部は、作動油タンク内の作動油の液面よりも下方に配置されている。
上述のクレーンを実施する場合に、好ましくは、クレーンは、走行車体の上部に設けられた旋回体と作動油供給装置とを接続する伝達部材を備えてよい。
又、作動油供給装置及び作動油タンクは、走行車体の左右方向において伝達部材の一方側、且つ、前後一対の車軸の間に配置されてよい。
更に、作動油供給装置は、作動油タンクの側方又は下方に配置されてよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力により走行可能なクレーンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る移動式クレーンの模式図である。
図2図2は、移動式クレーンのシステム構成を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、一部の構成を省略したクレーンの斜視図である。
図4図4は、伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図5図5は、タンク及び作動油供給装置を側方から見た状態を示す模式図である。
図6図6は、実施形態2に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の構成を説明するための図である。
図7図7は、実施形態2に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の構成を説明するための図である。
図8図8は、実施形態3に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図9図9は、実施形態3に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図10図10は、実施形態4に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図11図11は、実施形態4に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図12図12は、実施形態5に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図13図13は、実施形態5に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図14図14は、実施形態6に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
図15図15は、実施形態6に係る伝達部材、タンク、及び作動油供給装置の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクレーンの実施形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、後述の実施形態に係るクレーンは、本発明に係るクレーンの一例であり、本発明は後述の実施形態により限定されない。
【0010】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係る移動式クレーン1(図示の場合、ラフテレーンクレーン)の模式図である。移動式クレーンは、例えば、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、又は積載形トラッククレーン(カーゴクレーンとも称する。)である。但し、本発明に係るクレーンは、種々のクレーンであってよい。
【0011】
移動式クレーン1は、下部走行体2及び上部旋回体3を有する。移動式クレーン1は、強電系バッテリー70(図2参照)を備えた電動式クレーンである。移動式クレーン1は、強電系バッテリー70から供給される電力に基づいて走行する。つまり、移動式クレーン1は、エンジンを備えていない。
【0012】
又、移動式クレーン1は、強電系バッテリー70から供給される電力に基づいて、走行以外の動作(例えば、クレーン作業、冷房、及び/又は暖房)を実行する。クレーン作業は、例えば、荷物の搬送作業における旋回動作及び/又はウインチの動作である。以下、移動式クレーン1の具体的な構成について説明する。
【0013】
先ず、図1を参照して、上部旋回体3の構成について説明する。図1は、移動式クレーン1の模式図である。上部旋回体3は、下部走行体2の上部に設けられており、下部走行体2に対して旋回中心軸αを中心に旋回可能である。上部旋回体3は、旋回台31、伸縮式ブーム32、及びキャブ33を有する。
【0014】
旋回台31は、軸受(不図示)を介して下部走行体2の上部に支持されている。旋回台31は、上部旋回体3に設けられた旋回用アクチュエータ(不図示)が発生する動力に基づいて旋回する。本実施形態の場合、旋回用アクチュエータは、油圧式のモータである。このモータは、作動油の給排に基づいて作動する。作動油は、下部走行体2から供給される。尚、旋回用アクチュエータは、電動モータであってもよい。この場合、旋回用の電動モータは、後述の強電系バッテリー70から供給された電力に基づいて駆動する。
【0015】
伸縮式ブーム32は、旋回台31に支持されており、伸縮可能に組み合わされた複数のブームを有する。伸縮式ブーム32は、起伏用シリンダ34が発生する動力に基づいて、起伏角度を変えることができる(起伏する)。
【0016】
起伏用シリンダ34は、伸縮式の油圧シリンダであって、上部旋回体3に設けられている。起伏用シリンダ34は、作動油の給排に基づいて作動する。尚、作動油は、下部走行体2に設けられた作動油供給装置8により供給される。
【0017】
又、伸縮式ブーム32は、伸縮用シリンダ35が発生する動力に基づいて伸縮する。伸縮用シリンダ35は、油圧シリンダであって、伸縮式ブーム32の内部に設けられている。伸縮用シリンダ35は、作動油の給排に基づいて作動する。尚、作動油は、下部走行体2に設けられた作動油供給装置8により供給される。
【0018】
又、伸縮式ブーム32は、ワイヤロープ36を支持している。ワイヤロープ36は、伸縮式ブーム32の先端部から垂れ下がっており、先端部にフック37が設けられている。ワイヤロープ36の一部は、ウインチ38に巻かれている。
【0019】
ウインチ38は、ウインチ用アクチュエータ(不図示)が発生する動力に基づいて駆動する(回転する)。本実施形態の場合、ウインチ用アクチュエータは、旋回台31に設けられており、油圧式のモータである。このモータは、作動油の給排に基づいて作動する。作動油は、下部走行体2に設けられた作動油供給装置8により供給される。
【0020】
ウインチ38が回転すると、ウインチ38の回転方向に応じて、ワイヤロープ36が巻き上げられる、又は、繰り出される。尚、ウインチ用のモータは、電動モータであってもよい。この場合、ウインチ用の電動モータは、後述の強電系バッテリー70から供給された電力に基づいて駆動する。
【0021】
次に、図1図5を参照して、下部走行体2について説明する。尚、下部走行体2の構造を説明するにあたり、各図に示す直交座標系(X、Y、Z)を使用する。X方向は、下部走行体2の前後方向に一致する。X方向+側は、下部走行体2の前側に一致する。X方向-側は、下部走行体2の後側に一致する。Y方向は、下部走行体2の左右方向に一致する。Y方向+側は、後方から下部走行体2を見た場合の左側に一致する。Y方向-側は、後方から下部走行体2を見た場合の右側に一致する。Z方向は、下部走行体2の上下方向に一致する。Z方向+側は、下部走行体2の上側に一致する。Z方向-側は、下部走行体2の下側に一致する。
【0022】
下部走行体2は、走行車体の一例に該当し、電力により走行可能である。具体的には、下部走行体2は、図1及び図3に示すように、フレーム20、ボディ21、前側車軸22、後側車軸23、前側タイヤ24、後側タイヤ25、及びアウトリガ26を有する。
【0023】
フレーム20は、メインフレームの一例に該当し、前後方向に延在し、例えば断面形状が矩形の箱状部材であって、下部走行体2の骨格を構成している。フレーム20は、上側板部20a、下側板部20b、右側板部20c、左側板部20d、前側板部20e、及び後側板部20fを有する。
【0024】
又、フレーム20は、フレーム20を上下方向に貫通した貫通孔により構成された伝達部材配置空間200を有する。伝達部材配置空間200は、フレーム20において、前側車軸22と後側車軸23との間の中央位置に設けられている。
【0025】
又、フレーム20は、フレーム20を上下方向に貫通した貫通孔により構成されたバッテリー収容空間201を有する。バッテリー収容空間201は、フレーム20において、後側車軸23の上方から後端部にわたる位置に設けられている。つまり、バッテリー収容空間201は、フレーム20における後部に設けられている。フレーム20において、バッテリー収容空間201が形成された部分の横断面形状は、複数の連続した板部により構成された閉断面である。尚、フレーム20の横断面とは、フレーム20をYZ平面で切断した場合の断面を意味する。
【0026】
バッテリー収容空間の位置は、図示の場合に限定されない。バッテリー収容空間は、フレーム20において、前側車軸22の上方から前端部にわたる位置に設けられてもよい。この場合も、バッテリー収容空間は、フレーム20を上下方向に貫通した貫通孔により構成されてよい。
【0027】
フレーム20は、前端部に、一対の前側アウトリガ支持部202を有する。フレーム20は、後端部に、一対の後側アウトリガ支持部203を有する。
【0028】
ボディ21(図1参照)は、下部走行体2の外形を構成する部材であって、フレーム20に支持されている。
【0029】
前側車軸22は、左右方向に延在する軸部材であって、フレーム20における下側板部20bの前端寄り部分に支持されている。前側車軸22の左右方向における両端部にはそれぞれ、前側タイヤ24が回転可能に支持されている。
【0030】
後側車軸23は、左右方向に延在する軸部材であって、フレーム20における下側板部20bの後端寄り部分に支持されている。後側車軸23の左右方向における両端部にはそれぞれ、後側タイヤ25が回転可能に支持されている。尚、本実施形態の場合、移動式クレーン1は、前側車軸22及び後側車軸23を備えた所謂二軸タイプの移動式クレーンである。但し、移動式クレーンは、3本以上の車軸を備えた所謂多軸タイプの移動式クレーンであってもよい。
【0031】
アウトリガ26は、一対の前側アウトリガ26a及び一対の後側アウトリガ26bを有する。一対の前側アウトリガ26aはそれぞれ、フレーム20における一対の前側アウトリガ支持部202に支持されている。又、一対の後側アウトリガ26bはそれぞれ、フレーム20における一対の後側アウトリガ支持部203に支持されている。
【0032】
又、移動式クレーン1は、下部走行体2と上部旋回体3との間に設けられた伝達部材4を有する。具体的には、伝達部材4は、フレーム20の伝達部材配置空間200に配置されている。このような伝達部材4は、相対的に回転する下部走行体2と上部旋回体3との間で、電力、流体(作動油及び/又は圧縮空気)、並びに信号等を伝達するための部材である。
【0033】
又、移動式クレーン1は、図2に示すように、弱電系システム6、強電系システム7、及び油圧系システム5を有する。以下、弱電系システム6、強電系システム7、及び油圧系システム5の構成について説明する。
【0034】
先ず、弱電系システム6について説明する。弱電系システム6は、下部コントローラ60、伝達部材4、上部コントローラ61、及び弱電系バッテリー63を含む。
【0035】
下部コントローラ60は、例えば、映像信号、センサの検出信号、及び制御信号を、伝達部材4を介して上部コントローラ61に送る。制御信号は、制御対象である上部旋回体3に設けられたデバイスの動作を制御するための信号である。下部コントローラ60は、弱電系バッテリー63から供給される電力に基づいて作動する。
【0036】
上部コントローラ61は、下部コントローラ60から受け取った信号を、上部旋回体3に設けられたデバイスの動作を制御する制御デバイスに送る。制御デバイスは、例えば、上部油圧デバイス53の動作を制御する電磁弁や上部電動デバイス74の動作を制御するコントローラである。
【0037】
尚、弱電系システム6は、信号以外に、例えば、上部旋回体3に設けられたデバイスの動作に関する情報、及び/又は、当該デバイスに供給する所定の電圧以下の電流を、下部走行体2から上部旋回体3に送ってもよい。
【0038】
次に、強電系システム7について説明する。強電系システム7は、強電系バッテリー70から供給される電力に基づいて、下部走行体2の走行、及び、走行以外の動作(例えば、クレーン作業、冷房、及び/又は暖房)を実行するためのシステムである。
【0039】
強電系システム7は、図2に示すように、強電系バッテリー70、走行用モータ73、伝達部材4、及び上部電動デバイス74を有する。
【0040】
強電系バッテリー70は、電源部の一例に該当し、図3に示すように、複数のバッテリー701a、701bを有する。バッテリー701a、701bは、フレーム20の外部(具体的には、上方)に配置されている。又、強電系バッテリー70は、フレーム20のバッテリー収容空間201に配置された複数のバッテリー(不図示)を有している。
【0041】
走行用モータ73は、例えば、前側走行用モータ及び後側走行用モータ(不図示)を有する。前側走行用モータ及び後側走行用モータは、フレーム20の下方、且つ、前側車軸22と後側車軸23との間に設けられている。
【0042】
以上のような走行用モータ73は、制御部(不図示)の制御下で、強電系バッテリー70から供給される電力に基づいて駆動する。走行用モータ73が駆動すると、走行用モータ73の動力に基づいて、下部走行体2(移動式クレーン1)が走行可能な状態となる。
【0043】
尚、強電系バッテリー70の電力は、伝達部材4を介して、上部旋回体3に送られる。
【0044】
伝達部材4は、相対的に回転する下部走行体2と上部旋回体3との間で、強電系バッテリー70から上部電動デバイス74に供給される電力の電路を構成している。上部電動デバイス74は、上部旋回体3に設けられ、強電系バッテリー70の電力に基づいて作動するデバイスである。上部電動デバイス74は、例えば、上部旋回体3に設けられた暖房用のコンプレッサである。
【0045】
尚、旋回用アクチュエータが電動モータの場合、旋回用の電動モータは、上部電動デバイスの一例に該当する。又、ウインチ用アクチュエータが電動モータの場合、ウインチ用の電動モータは、上部電動デバイスの一例に該当する。この場合、伝達部材4と、旋回用の電動モータ及びウインチ用の電動モータとが、上部ジャンクションボックス(不図示)を介して接続される。このような上部ジャンクションボックスは、伝達部材4を介して供給された強電系バッテリー70の電力を、旋回用の電動モータ及びウインチ用の電動モータに割り振る機能を有する。
【0046】
旋回用の電動モータは、強電系バッテリー70の電力が供給されると、当該電力に基づいて駆動する。そして、旋回用の電動モータは、上部旋回体3を旋回させる。又、ウインチ用の電動モータは、強電系バッテリー70の電力が供給されると、当該電力に基づいて駆動する。そして、ウインチ用の電動モータは、ウインチ(不図示)を回転させる。この結果、ワイヤロープ36が巻き上げられる又は繰り出されて、フック37が上昇又は降下する。
【0047】
次に、油圧系システム5について説明する。油圧系システム5は、下部走行体2に設けられた下部油圧デバイス52及び上部旋回体3に設けられた上部油圧デバイス53に作動油を供給するためのシステムである。下部油圧デバイス52は、例えば、サスペンションを構成する油圧シリンダ及び/又はアウトリガを構成する油圧シリンダを含む。又、下部油圧デバイス52は、ステアリング装置を構成する油圧シリンダを含んでもよい。
【0048】
又、上部油圧デバイス53は、旋回用アクチュエータ(不図示)、起伏用シリンダ34、伸縮用シリンダ35、及びウインチ用アクチュエータ(不図示)を含む。上部油圧デバイス53は、ジブを動かすためのアクチュエータを含んでもよい。
【0049】
油圧系システム5は、タンク51、作動油供給装置8、及び伝達部材4を含む。油圧系システム5には、上部油圧デバイス53及び下部油圧デバイス52も含まれる。油圧系システム5を構成するエレメントは、図2において太線で示される回路により接続されている。
【0050】
タンク51及び作動油供給装置8は、下部走行体2に設けられている。具体的には、タンク51及び作動油供給装置8は、図3及び図5に示すように、前側車軸22と後側車軸23との間、且つ、左右方向においてフレーム20の側方(本実施形態の場合、左側)における所定領域に配置されている。
【0051】
タンク51は、作動油タンクの一例に該当し、作動油を貯えるためのタンクであって、略直方体の箱状である。図4に示すように、タンク51は、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)に配置されている。タンク51と作動油供給装置8とは、上記所定領域において、前後方向に並んで配置されている。タンク51は、作動油供給装置8よりも前方に配置されている。タンク51及び作動油供給装置8は、固定部材84(図5参照)を介して、フレーム20の側面(本実施形態の場合、左側面)に固定されている。
【0052】
作動油供給装置8は、タンク51の側方(本実施形態の場合、後方)に設けられている。作動油供給装置8は、軸方向における一方側(本実施形態の場合、左側)から順に、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82を有する。電動モータ80、減速機81、及びポンプ82は、同軸上に設けられている。換言すれば、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82は、直列に接続されている。尚、作動油供給装置8の軸方向とは、作動油供給装置8の中心軸に平行な方向である。本実施形態の場合、作動油供給装置8の軸方向は、左右方向に平行な方向である。
【0053】
減速機81とポンプ82とは、図5に示すように、カップリング85を介して接続されている。カップリング85は、筒状のハウジング86に収容されている。ハウジング86には、サポート87が固定されている。作動油供給装置8は、サポート87により、固定部材84に固定されている。
【0054】
電動モータ80は、強電系バッテリー70からインバータ83(図2及び図5参照)を介して供給される電力に基づいて駆動する。インバータ83は、前後方向において、タンク51と作動油供給装置8との間に設けられている。尚、図2において、インバータ83と強電系バッテリー70とを接続する回路は省略されている。
【0055】
減速機81は、所定の減速比で電動モータ80の回転を減速して、カップリング85に伝達する。カップリング85は、減速機81から伝達された回転を、ポンプ82に伝達する。
【0056】
ポンプ82は、ポンプ部の一例に該当し、電動モータ80から伝達された回転に基づいて作動する。ポンプ82は、減速機81に近い側から順に、第一ポンプ820及び第二ポンプ821を有する。第一ポンプ820及び第二ポンプ821は、ポンプ部におけるポンプの一例に該当する。第一ポンプ820と第二ポンプ821とは、同軸上に配置されている。
【0057】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821はそれぞれ、吐出ホース88a(図4参照)を介してタンク51に接続されている。吐出ホース88aの第一端部は、タンク51の出口側ポート510に接続されている。吐出ホース88aの第二端部は、ポンプ82の入り口側ポート822に接続されている。タンク51の出口側ポート510は、タンク51の後側面に設けられている。
【0058】
タンク51の出口側ポート510から流出した作動油は、吐出ホース88aを通って、入り口側ポート822からポンプ82に流入する。入り口側ポート822から流入した作動油は、第一ポンプ820及び第二ポンプ821のそれぞれに流入する。
【0059】
吐出ホース88aは、タンク51の出口側ポート510から、後方に延在している。尚、吐出ホース88aは、前後方向に平行であってもよいし、前後方向に対して傾斜していてもよい。
【0060】
本実施形態の場合、タンク51と作動油供給装置8(ポンプ82)とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース88aの長さを短くできる。このため、タンク51と作動油供給装置8(ポンプ82)との接続構造をコンパクトに構成できる。又、吐出ホース88aが短いため、吐出ホース88aが損傷した場合に、吐出ホース88aのメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0061】
第一ポンプ820は、電動モータ80の回転に基づいて駆動して、作動油を第一被駆動部に供給する。本実施形態の場合、第一被駆動部は、上部油圧デバイス53に含まれる上部第一油圧デバイス530(図2参照)である。上部第一油圧デバイス530は、起伏用シリンダ34、伸縮用シリンダ35、及びウインチ用アクチュエータ(不図示)を含む。又、上部第一油圧デバイス530は、ジブを動かすためのアクチュエータを含んでもよい。又、第一被駆動部は、下部油圧デバイス52に含まれるアウトリガの油圧シリンダを含む。
【0062】
作動油を上部第一油圧デバイス530に供給する際、第一ポンプ820は、作動油を、伝達部材4に送る。伝達部材4は、相対的に回転する下部走行体2と上部旋回体3との間で、下部走行体2から上部旋回体3に供給される流体(例えば、作動油及び/又は圧縮空気)の流路を構成している。具体的には、伝達部材4は、作動油供給装置8(第一ポンプ820)から供給された作動油を、上部旋回体3に設けられた上部油圧デバイス53に伝達する流路の一部を構成している。
【0063】
上部第一油圧デバイス530で使用された作動油は、伝達部材4を通り、タンク51に戻る。伝達部材4は、上部旋回体3から下部走行体2に戻る作動油の流路の一部も構成している。
【0064】
第一ポンプ820と伝達部材4とは、吐出ホース88b(図4参照)を介して接続されている。本実施形態の場合、第一ポンプ820と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース88bの長さを短くできる。このため、第一ポンプ820と伝達部材4との接続構造をコンパクトに構成できる。又、吐出ホース88bが短いため、吐出ホース88bが損傷した場合に、吐出ホース88bのメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0065】
尚、ウインチ用アクチュエータ(不図示)、起伏用シリンダ34、及び伸縮用シリンダ35が、互いに独立した油圧回路に設けられている場合、第一ポンプ820は、各油圧回路に対応した独立した複数のポンプにより構成されてもよい。
【0066】
又、第二ポンプ821は、電動モータ80の回転に基づいて駆動して、作動油を第二被駆動部に供給する。本実施形態の場合、第二被駆動部は、上部油圧デバイス53に含まれる上部第二油圧デバイス531(図2参照)である。上部第二油圧デバイス531は、旋回用アクチュエータ(不図示)及びステアリング装置を構成する油圧シリンダを含む。
【0067】
作動油を上部第二油圧デバイス531に供給する際、第二ポンプ821は、作動油を、伝達部材4に送る。伝達部材4は、作動油供給装置8(第二ポンプ821)から供給された作動油を、上部旋回体3に設けられた上部第二油圧デバイス531に伝達する流路の一部を構成している。
【0068】
上部第二油圧デバイス531で使用された作動油は、伝達部材4を通り、タンク51に戻る。伝達部材4は、上部旋回体3から下部走行体2に戻る作動油の流路も構成している。
【0069】
第二ポンプ821と伝達部材4とは、吐出ホース88c(図4参照)を介して接続されている。図4において、吐出ホース88bと吐出ホース88cとは、便宜的に一本の吐出ホースとして示されているが、吐出ホース88bと吐出ホース88cとは互いに独立した吐出ホースである。
【0070】
本実施形態の場合、第二ポンプ821と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース88cの長さを短くできる。このため、第二ポンプ821と伝達部材4との接続構造をコンパクトに構成できる。又、吐出ホース88cが短いため、吐出ホース88cが損傷した場合に、吐出ホース88cのメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0071】
本実施形態の場合、第一ポンプ820と第二ポンプ821とは、共に作動する。但し、第一ポンプ820と第二ポンプ821とは、互いに独立して作動してもよい。つまり、第一被駆動部が作動油を必要とする状況で、第一ポンプ820は作動し、第一被駆動部が作動油を必要としない状況で、第一ポンプ820は停止してもよい。又、第二被駆動部が作動油を必要とする状況で、第二ポンプ821は作動し、第二被駆動部が作動油を必要としない状況で、第二ポンプ821は停止してもよい。
【0072】
或いは、第一被駆動部が作動油を必要としない状況では、第一ポンプ820の出力を所定値以下としてもよい。又、第二被駆動部が作動油を必要としない状況では、第二ポンプ821の出力を所定値以下としてもよい。このような構成は、使用電力を抑えることができるため、省エネルギー化を図れる。
【0073】
又、本実施形態の場合、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8)は、タンク51内の作動油の液面S図5参照)よりも下方に配置されている。タンク51内の作動油の液面Sとは、タンク51内の作動油が、被駆動部(第一被駆動部及び第二被駆動部)に供給されて最も少なくなった状態における液面を意味する。つまり、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8)は、作動油の使用状況に関わらず、タンク51内に存在する作動油の液面よりも下方に配置されている。
【0074】
このような構成は、メンテナンス時において、第一ポンプ820及び第二ポンプ821内の空気を効率よく確実に抜くことができる。つまり、第一ポンプ820及び第二ポンプ821のエア抜きを行うために第一ポンプ820及び第二ポンプ821のエア抜き口を開けた際、作動油が、重力に基づいてタンク51から第一ポンプ820及び第二ポンプ821に流入する。その結果、第一ポンプ820及び第二ポンプ821内の空気が、エア抜き口から押し出される。このように、本実施形態の場合、第一ポンプ820及び第二ポンプ821内の空気を確実に抜くことができるため、第一ポンプ820及び第二ポンプ821内の空気に起因して生じる第一ポンプ820及び第二ポンプ821の焼き付きを効果的に抑制できる。
【0075】
又、第一ポンプ820及び第二ポンプ821がタンク51の近くに配置されているため、上述のエア抜き作業を含むメンテナンス作業の際、作業者は、第一ポンプ820及び第二ポンプ821にアクセスし易い。この結果、メンテナンス作業の作業効率を向上できる。
【0076】
<本実施形態の作用・効果>
以上のような構成を有する本実施形態によれば、強電系バッテリー70の電力に基づいて走行可能な移動式クレーン1を実現できる。特に、本実施形態の場合、上述のように、第一ポンプ820及び第二ポンプ821の焼き付きを効果的に抑制できる。その他、本実施形態に係る移動式クレーン1が奏する作用・効果は、上述の通りである。
【0077】
[実施形態2]
図6及び図7を参照して、本発明の実施形態2に係る移動式クレーンについて説明する。本実施形態の移動式クレーンは、タンク51A及び作動油供給装置8Aの構成が、実施形態1に係る移動式クレーン1のタンク51及び作動油供給装置8の構成と異なる。以下、タンク51A及び作動油供給装置8Aの構成について説明する。尚、実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については適宜説明を省略する。実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については、上述の実施形態1の説明を適宜援用すればよい。
【0078】
タンク51A及び作動油供給装置8Aは、下部走行体2に設けられている。具体的には、タンク51A及び作動油供給装置8Aは、前側車軸22と後側車軸23との間、且つ、左右方向においてフレーム20の側方(本実施形態の場合、左側)における所定領域に配置されている。
【0079】
タンク51Aは、作動油を貯えるためのタンクであって、略直方体の箱状である。タンク51Aと作動油供給装置8Aとは、上記所定領域において、左右方向に並んで配置されている。タンク51Aは、作動油供給装置8Aよりも、フレーム20の幅方向における外側(本実施形態の場合、左側)に配置されている。図6に示すように、タンク51Aは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)に配置されている。
【0080】
作動油供給装置8Aは、フレーム20の幅方向(左右方向)においてタンク51Aと伝達部材4との間に配置されている。作動油供給装置8Aは、軸方向における一方側(本実施形態の場合、後側)から順に、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82を有する。電動モータ80、減速機81、及びポンプ82は、同軸上に設けられている。尚、作動油供給装置8の軸方向とは、作動油供給装置8の中心軸に平行な方向である。本実施形態の場合、作動油供給装置8の軸方向は、前後方向に平行な方向である。
【0081】
減速機81とポンプ82とは、カップリング85を介して接続されている。カップリング85は、筒状のハウジング86に収容されている。ハウジング86には、サポート(不図示)が固定されている。作動油供給装置8Aは、サポートにより、フレーム20に固定された固定部材84に固定されている。このような作動油供給装置8Aの構成は、実施形態1の作動油供給装置8の構成と同様である。よって、作動油供給装置8Aの構成のうち、実施形態1の作動油供給装置8と同様の構成については、実施形態1の説明で使用した符号と同様の符号を付す。
【0082】
ポンプ82の第一ポンプ820及び第二ポンプ821はそれぞれ、吐出ホース880Aを介してタンク51Aに接続されている。吐出ホース880Aは、タンク51Aから、ポンプ82に向かって、左右方向に平行且つ直線状に延在している。尚、図7において、吐出ホース880Aは、省略されている。
【0083】
本実施形態の場合も、タンク51Aと作動油供給装置8A(ポンプ82)とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース880Aの長さを短くできる。特に、本実施形態の場合、吐出ホース880Aを直線部のみで構成できる。このため、タンク51Aと作動油供給装置8A(ポンプ82)との接続構造をコンパクトに構成できる。又、吐出ホース880Aが短いため、吐出ホース880Aが損傷した場合に、吐出ホース880Aのメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0084】
第一ポンプ820と伝達部材4とは、吐出ホース880Bを介して接続されている。本実施形態の場合も、第一ポンプ820と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース880Bの長さを短くできる。尚、図7において、吐出ホース880Bは省略されている。
【0085】
第二ポンプ821と伝達部材4とは、吐出ホース880Cを介して接続されている。図6において、吐出ホース880Bと吐出ホース880Cとは、便宜的に一本の吐出ホースとして示されているが、吐出ホース880Bと吐出ホース880Cとは互いに独立した吐出ホースである。本実施形態の場合も、第二ポンプ821と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース880Cの長さを短くできる。尚、図7において、吐出ホース880Cは省略されている。
【0086】
又、本実施形態の場合も、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8A)は、タンク51A内の作動油の液面S1よりも下方に配置されている。その他の作動油供給装置8Aの構成及び作用・効果は上述の実施形態1の作動油供給装置と同様である。
【0087】
[実施形態3]
図8及び図9を参照して、本発明の実施形態3に係る移動式クレーンについて説明する。本実施形態の移動式クレーンは、タンク51B及び作動油供給装置8Bの構成が、実施形態1に係る移動式クレーン1のタンク51及び作動油供給装置8の構成と異なる。以下、タンク51B及び作動油供給装置8Bの構成について説明する。尚、実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については適宜説明を省略する。実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については、上述の実施形態1の説明を適宜援用すればよい。
【0088】
タンク51B及び作動油供給装置8Bは、下部走行体2に設けられている。具体的には、タンク51B及び作動油供給装置8Bは、前側車軸22と後側車軸23との間、且つ、左右方向においてフレーム20の側方(本実施形態の場合、左側)における所定領域に配置されている。
【0089】
タンク51Bは、作動油を貯えるためのタンクであって、略直方体の箱状である。図8に示すように、タンク51Bは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)に配置されている。タンク51Bと作動油供給装置8Bとは、上記所定領域において、上下方向に並んで配置されている。タンク51Bは、作動油供給装置8Bよりも上方に配置されている。
【0090】
作動油供給装置8Bは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)、且つ、タンク51Aの下方に配置されている。作動油供給装置8Bは、軸方向における一方側(本実施形態の場合、前側)から順に、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82を有する。電動モータ80、減速機81、及びポンプ82は、同軸上に設けられている。尚、作動油供給装置8の軸方向とは、作動油供給装置8の中心軸に平行な方向である。本実施形態の場合、作動油供給装置8の軸方向は、前後方向に平行な方向である。
【0091】
減速機81とポンプ82とは、カップリング85を介して接続されている。カップリング85は、筒状のハウジング86に収容されている。ハウジング86には、サポート(不図示)が固定されている。作動油供給装置8Bは、サポートにより、フレーム20に固定された固定部材84に固定されている。その他の作動油供給装置8Bの構成は、実施形態1の作動油供給装置8の構成と同様である。よって、作動油供給装置8Bの構成のうち、実施形態1の作動油供給装置8と同様の構成については、実施形態1の説明で使用した符号と同様の符号を付す。
【0092】
ポンプ82の第一ポンプ820及び第二ポンプ821はそれぞれ、吐出ホース881Aを介してタンク51Bに接続されている。吐出ホース881Aは、タンク51Bから、ポンプ82に向かって、上下方向に平行且つ直線状に延在している。尚、図9において、吐出ホース881Aは省略されている。
【0093】
本実施形態の場合も、タンク51Bと作動油供給装置8B(ポンプ82)とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース881Aの長さを短くできる。特に、本実施形態の場合、吐出ホース881Aを直線部のみで構成できる。このため、タンク51Bと作動油供給装置8B(ポンプ82)との接続構造をコンパクトに構成できる。又、吐出ホース881Aが短いため、吐出ホース881Aが損傷した場合に、吐出ホース881Aのメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0094】
第一ポンプ820と伝達部材4とは、吐出ホース881Bを介して接続されている。本実施形態の場合も、第一ポンプ820と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース881Bの長さを短くできる。尚、図9において、吐出ホース881Bは省略されている。
【0095】
第二ポンプ821と伝達部材4とは、吐出ホース881Cを介して接続されている。図9において、吐出ホース881Bと吐出ホース881Cとは、便宜的に一本の吐出ホースとして示されているが、吐出ホース881Bと吐出ホース881Cとは互いに独立した吐出ホースである。本実施形態の場合も、第二ポンプ821と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース881Cの長さを短くできる。尚、図9において、吐出ホース881Cは省略されている。
【0096】
本実施形態の場合も、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8B)は、タンク51B内の作動油の液面Sよりも下方に配置されている。本実施形態の場合、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8B)がタンク51Bよりも下方に配置されているため、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8B)を、タンク51B内の作動油の液面Sよりも下方に確実に配置できる。その他の作動油供給装置8Bの構成及び作用・効果は上述の実施形態1の作動油供給装置と同様である。
【0097】
[実施形態4]
図10及び図11を参照して、本発明の実施形態4に係る移動式クレーンについて説明する。本実施形態の移動式クレーンは、作動油供給装置8Cの構成が、実施形態1に係る移動式クレーン1の作動油供給装置8の構成と異なる。以下、作動油供給装置8Cの構成について説明する。尚、実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については適宜説明を省略する。実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については、上述の実施形態1の説明を適宜援用すればよい。
【0098】
タンク51及び作動油供給装置8Cは、下部走行体2に設けられている。具体的には、タンク51及び作動油供給装置8Cは、前側車軸22と後側車軸23との間、且つ、左右方向においてフレーム20の側方(本実施形態の場合、左側)における所定領域に配置されている。
【0099】
タンク51は、実施形態1と同様に、作動油を貯えるためのタンクであって、略直方体の箱状である。タンク51と作動油供給装置8Bとは、上記所定領域において、前後方向に並んで配置されている。タンク51は、作動油供給装置8Cよりも前方に配置されている。図11に示すように、タンク51は、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)に配置されている。
【0100】
作動油供給装置8Cは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)、且つ、タンク51の後方に配置されている。作動油供給装置8Cは、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82を有する。電動モータ80及び減速機81は、同軸上に設けられている。電動モータ80の軸方向における一方側(本実施形態の場合、左側)に減速機81が設けられている。本実施形態の場合、電動モータ80の軸方向は、左右方向に平行な方向である。
【0101】
減速機81は、回転をポンプ82に伝達するための伝達装置89に接続されている。伝達装置89は、例えば、互いに噛み合った複数の歯車と、各歯車を収容するハウジングと、により構成されている。伝達装置89は、減速機81から受け取った電動モータ80の回転を、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)に伝達する。
【0102】
ポンプ82は、第一ポンプ820及び第二ポンプ821を有する。第一ポンプ820と第二ポンプ821とは、並列に配置されている。つまり、第一ポンプ820の中心軸と、第二ポンプ821の中心軸とは、平行である。第一ポンプ820及び第二ポンプ821の中心軸は、左右方向に平行である。よって、第一ポンプ820及び第二ポンプ821の中心軸は、電動モータ80及び減速機81の中心軸と平行である。
【0103】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821は、伝達装置89及び減速機81を介して、電動モータ80に接続されている。つまり、電動モータ80、減速機81、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)、及び減速機81は、分離可能な状態で、一体化されている。換言すれば、電動モータ80とポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)とは、並列に接続されている。
【0104】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821はそれぞれ、吐出ホース882Aを介してタンク51に接続されている。吐出ホース882Aは、タンク51から、ポンプ82に向かって、前後方向に平行且つ直線状に延在している。尚、吐出ホース882Aの構成は、実施形態1の吐出ホース88a(図4参照)と同様の構成であってもよい。図11において、吐出ホース882Aは省略されている。本実施形態の場合も、タンク51と作動油供給装置8C(ポンプ82)とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース882Aの長さを短くできる。
【0105】
第一ポンプ820と伝達部材4とは、吐出ホース882Bを介して接続されている。本実施形態の場合も、第一ポンプ820と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース882Bの長さを短くできる。図11において、吐出ホース882Bは省略されている。
【0106】
第二ポンプ821と伝達部材4とは、吐出ホース882Cを介して接続されている。図10において、吐出ホース882Bと吐出ホース882Cとは、便宜的に一本の吐出ホースとして示されているが、吐出ホース882Bと吐出ホース882Cとは互いに独立した吐出ホースである。本実施形態の場合も、第二ポンプ821と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース882Cの長さを短くできる。図11において、吐出ホース882Cは省略されている。
【0107】
本実施形態の場合も、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8C)は、タンク51内の作動油の液面Sよりも下方に配置されている。
【0108】
以上のように、本実施形態の場合、電動モータ80とポンプ82とが並列に設けられている。このため、電動モータ80の中心軸の方向における作動油供給装置8Cの長さを短くできる。その他の作動油供給装置8Bの構成及び作用・効果は上述の実施形態1の作動油供給装置と同様である。
【0109】
[実施形態5]
図12及び図13を参照して、本発明の実施形態5に係る移動式クレーンについて説明する。本実施形態の移動式クレーンは、タンク51D及び作動油供給装置8Dの構成が、実施形態1に係る移動式クレーン1のタンク51及び作動油供給装置8の構成と異なる。以下、タンク51D及び作動油供給装置8Dの構成について説明する。尚、実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については適宜説明を省略する。実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については、上述の実施形態1の説明を適宜援用すればよい。
【0110】
タンク51D及び作動油供給装置8Dは、下部走行体2に設けられている。具体的には、タンク51D及び作動油供給装置8Dは、前側車軸22と後側車軸23との間、且つ、左右方向においてフレーム20の側方(本実施形態の場合、左側)における所定領域に配置されている。
【0111】
タンク51Dは、作動油を貯えるためのタンクであって、略直方体の箱状である。タンク51Dと作動油供給装置8Dとは、上記所定領域において、上下方向に並んで配置されている。タンク51Dは、作動油供給装置8Dよりも上方に配置されている。図12に示すように、タンク51Dは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)に配置されている。
【0112】
作動油供給装置8Dは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)、且つ、タンク51Dの下方に配置されている。作動油供給装置8Dは、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82を有する。電動モータ80及び減速機81は、同軸上に設けられている。電動モータ80の軸方向における一方側(本実施形態の場合、前側)に減速機81が設けられている。本実施形態の場合、電動モータ80の軸方向は、前後方向に平行な方向である。
【0113】
減速機81は、回転をポンプ82に伝達するための伝達装置89に接続されている。伝達装置89は、減速機81よりも前側に配置されている。伝達装置89は、例えば、互いに噛み合った複数の歯車と、各歯車を収容するハウジングと、により構成されている。伝達装置89は、減速機81から受け取った電動モータ80の回転を、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)に伝達する。
【0114】
ポンプ82は、第一ポンプ820及び第二ポンプ821を有する。第一ポンプ820と第二ポンプ821とは、並列に配置されている。つまり、第一ポンプ820の中心軸と、第二ポンプ821の中心軸とは、平行である。第一ポンプ820及び第二ポンプ821の中心軸は、左右方向に平行である。よって、第一ポンプ820及び第二ポンプ821の中心軸は、電動モータ80及び減速機81の中心軸と直交する。
【0115】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821は、伝達装置89を介して、減速機81に接続されている。つまり、電動モータ80、減速機81、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)、及び減速機81は、分離可能な状態で、一体化されている。
【0116】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821はそれぞれ、吐出ホース883Aを介してタンク51Dに接続されている。吐出ホース883Aは、タンク51Dから、ポンプ82に向かって、上下方向に平行且つ直線状に延在している。本実施形態の場合も、タンク51Dと作動油供給装置8D(ポンプ82)とが所定領域にまとめて配置されているため、
【0117】
第一ポンプ820と伝達部材4とは、吐出ホース883Bを介して接続されている。本実施形態の場合も、第一ポンプ820と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース883Bの長さを短くできる。尚、図13において、吐出ホース883Bは省略されている。
【0118】
第二ポンプ821と伝達部材4とは、吐出ホース883Cを介して接続されている。図12において、吐出ホース883Bと吐出ホース883Cとは、便宜的に一本の吐出ホースとして示されているが、吐出ホース883Bと吐出ホース883Cとは互いに独立した吐出ホースである。本実施形態の場合も、第二ポンプ821と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース883Cの長さを短くできる。尚、図13において、吐出ホース883Cは省略されている。
【0119】
本実施形態の場合も、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8D)は、タンク51D内の作動油の液面Sよりも下方に配置されている。
【0120】
以上のように、本実施形態の場合、電動モータ80とポンプ82とが並列に設けられている。このため、電動モータ80の中心軸の方向における作動油供給装置8Dの長さを短くできる。その他の作動油供給装置8Bの構成及び作用・効果は上述の実施形態1の作動油供給装置と同様である。
【0121】
[実施形態6]
図14及び図15を参照して、本発明の実施形態6に係る移動式クレーンについて説明する。本実施形態の移動式クレーンは、作動油供給装置8Eの構成が、実施形態1に係る移動式クレーン1の作動油供給装置8の構成と異なる。以下、作動油供給装置8Eの構成について説明する。尚、実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については適宜説明を省略する。実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については、上述の実施形態1の説明を適宜援用すればよい。
【0122】
タンク51及び作動油供給装置8Eは、下部走行体2に設けられている。具体的には、タンク51及び作動油供給装置8Eは、前側車軸22と後側車軸23との間、且つ、左右方向においてフレーム20の側方(本実施形態の場合、左側)における所定領域に配置されている。
【0123】
タンク51は、実施形態1と同様に、作動油を貯えるためのタンクであって、略直方体の箱状である。タンク51と作動油供給装置8Eとは、上記所定領域において、前後方向に並んで配置されている。タンク51は、作動油供給装置8Eよりも前方に配置されている。図14に示すように、タンク51は、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)に配置されている。
【0124】
作動油供給装置8Eは、伝達部材4の側方(本実施形態の場合、左側)、且つ、タンク51の後方に配置されている。作動油供給装置8Eは、電動モータ80、減速機81、及びポンプ82を有する。本実施形態の場合、減速機81は、伝達装置89に組み込まれている。
【0125】
電動モータ80の軸方向における一方側(本実施形態の場合、前側)に減速機81及び伝達装置89が設けられている。本実施形態の場合、電動モータ80の軸方向は、前後方向に平行な方向である。
【0126】
減速機81は、回転をポンプ82に伝達するための伝達装置89に接続されている。伝達装置89は、例えば、互いに噛み合った複数の歯車と、各歯車を収容するハウジングと、により構成されている。伝達装置89は、減速機81から受け取った電動モータ80の回転を、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)に伝達する。
【0127】
ポンプ82は、第一ポンプ820及び第二ポンプ821を有する。第一ポンプ820と第二ポンプ821とは、並列に配置されている。つまり、第一ポンプ820の中心軸と、第二ポンプ821の中心軸とは、平行である。第一ポンプ820及び第二ポンプ821の中心軸は、前後方向に平行である。よって、第一ポンプ820及び第二ポンプ821の中心軸は、電動モータ80の中心軸と平行である。
【0128】
電動モータ80とポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)とは、伝達装置89及び減速機81を中心として、前後方向において反対側に設けられている。具体的には、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)は、伝達装置89及び減速機81よりも前側に設けられている。電動モータ80は、伝達装置89及び減速機81よりも後側に設けられている。
【0129】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821は、伝達装置89及び減速機81を介して、電動モータ80に接続されている。つまり、電動モータ80、減速機81、ポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)、及び減速機81は、分離可能な状態で、一体化されている。換言すれば、電動モータ80とポンプ82(第一ポンプ820及び第二ポンプ821)とは、並列に接続されている。
【0130】
第一ポンプ820及び第二ポンプ821はそれぞれ、吐出ホース882Aを介してタンク51に接続されている。吐出ホース882Aは、タンク51から、ポンプ82に向かって、前後方向に対して傾斜した状態且つ直線状に延在している。尚、吐出ホース882Aの構成は、実施形態1の吐出ホース88a(図4参照)と同様であってもよい。
【0131】
尚、図15において、サクションホース882Aは省略されている。本実施形態の場合も、タンク51と作動油供給装置8C(ポンプ82)とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース882Aの長さを短くできる。
【0132】
第一ポンプ820と伝達部材4とは、吐出ホース882Bを介して接続されている。本実施形態の場合も、第一ポンプ820と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース882Bの長さを短くできる。図15において、吐出ホース882Bは省略されている。
【0133】
第二ポンプ821と伝達部材4とは、吐出ホース882Cを介して接続されている。図14において、吐出ホース882Bと吐出ホース882Cとは、便宜的に一本の吐出ホースとして示されているが、吐出ホース882Bと吐出ホース882Cとは互いに独立した吐出ホースである。本実施形態の場合も、第二ポンプ821と伝達部材4とが所定領域にまとめて配置されているため、吐出ホース882Cの長さを短くできる。図15において、吐出ホース882Cは省略されている。
【0134】
本実施形態の場合も、第一ポンプ820及び第二ポンプ821(作動油供給装置8C)は、タンク51内の作動油の液面Sよりも下方に配置されている。
【0135】
尚、本実施形態の場合、電動モータ80、第一ポンプ820、及び第二ポンプ821は、それぞれの中心軸が、前後方向に平行な状態で配置されている。但し、電動モータ80、第一ポンプ820、及び第二ポンプ821は、それぞれの中心軸が、前後方向に対して傾斜した状態で配置されてもよい。
【0136】
以上のように、本実施形態の場合、第一ポンプ820と第二ポンプ821とが並列に設けられている。このため、電動モータ80の中心軸の方向における作動油供給装置8Eの長さを短くできる。その他の作動油供給装置8Eの構成及び作用・効果は上述の実施形態1の作動油供給装置と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明に係るクレーンは、ラフテレーンクレーンに限らず、例えば、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、或いは積載形トラッククレーン(カーゴクレーンともいう。)等の各種の移動式クレーンであってよい。
【符号の説明】
【0138】
1 移動式クレーン
2 下部走行体
20 フレーム
20a 上側板部
20b 下側板部
20c 右側板部
20d 左側板部
20e 前側板部
20f 後側板部
200 伝達部材配置空間
201 バッテリー収容空間
202 前側アウトリガ支持部
203 後側アウトリガ支持部
21 ボディ
22 前側車軸
23 後側車軸
24 前側タイヤ
25 後側タイヤ
26 アウトリガ
26a 前側アウトリガ
26b 後側アウトリガ
3 上部旋回体
31 旋回台
32 伸縮式ブーム
33 キャブ
34 起伏用シリンダ
35 伸縮用シリンダ
36 ワイヤロープ
37 フック
38 ウインチ
4 伝達部材
5 油圧系システム
51、51A、51B、51D タンク
510 出口側ポート
52 下部油圧デバイス
53 上部油圧デバイス
530 上部第一油圧デバイス
531 上部第二油圧デバイス
6 弱電系システム
60 下部コントローラ
61 上部コントローラ
63 弱電系バッテリー
7 強電系システム
70 強電系バッテリー
701a、701b 第一バッテリー
73 走行用モータ
74 上部電動デバイス
8、8A、8B、8C、8D、8E 作動油供給装置
80 電動モータ
81 減速機
82、ポンプ
82A ポンプ
820 第一ポンプ
821 第二ポンプ
822 入り口側ポート
83 インバータ
84 固定部材
85 カップリング
86 ハウジング
87 サポート
88a、88b、88c 吐出ホース
880A、880B、880C 吐出ホース
881A、881B、881C 吐出ホース
882A、882B、882C 吐出ホース
883A、883B、883C 吐出ホース
89 伝達装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15