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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】端末装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20220101AFI20240409BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20240409BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F3/0484
G06F3/04817
G06F3/0488
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022123035
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2020152439の分割
【原出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022145775
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 鉄平
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039479(WO,A1)
【文献】特開2016-35673(JP,A)
【文献】特開2003-87986(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0035017(KR,A)
【文献】特許第5963458(JP,B2)
【文献】特開2006-157374(JP,A)
【文献】特許第5946326(JP,B2)
【文献】特開2009-99092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0101581(US,A1)
【文献】特開2011-170834(JP,A)
【文献】特開2013-41378(JP,A)
【文献】特許第6194162(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第105549822(CN,A)
【文献】特開2009-42796(JP,A)
【文献】特開2014-157578(JP,A)
【文献】特許第7120280(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式の表示部においてユーザによるタッチ操作を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記タッチ操作が検出された領域の座標を座標情報として導出する導出手段と、
第1処理と前記第1処理が完了した後に引き続き実行される第2処理との二処理を一回の操作で実行させる特定の操作ボタンが表示されている状態で前記検出手段により前記タッチ操作を検出した場合に、前記導出手段による前記座標情報の導出と、前記第1処理の実行と、を並行して実行する処理実行手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当するならば前記第1処理に引き続き前記第2処理を実行する一方で、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当しないならば前記第2処理は実行しない、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記特定の操作ボタンは、シンボル読み取りのトリガーキーであり、
前記第1処理は、シンボルを読み取るシンボル読取手段の起動処理であり、
前記第2処理は、前記シンボル読取手段を用いたシンボルの読み取り処理であることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記処理実行手段は、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当しないならば前記第2処理は実行せず前記第1処理を取り消すための第3の処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記処理実行手段は、前記特定の操作ボタンが表示されていない状態で前記検出手段により前記タッチ操作を検出した場合に、前記第1処理の実行を開始しない、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
コンピュータを、
タッチパネル式の表示部においてユーザによるタッチ操作を検出する検出手段、
前記検出手段によって前記タッチ操作が検出された領域の座標を座標情報として導出する導出手段、
第1処理と前記第1処理が完了した後に引き続き実行される第2処理との二処理を一回の操作で実行させる特定の操作ボタンが表示されている状態で前記検出手段により前記タッチ操作を検出した場合に、前記導出手段による前記座標情報の導出と、前記第1処理の実行と、を並行して実行する処理実行手段、
として機能させ、
前記処理実行手段は、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当するならば前記第1処理に引き続き前記第2処理を実行する一方で、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当しないならば前記第2処理は実行しない、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗、倉庫の商品などの管理用の各種情報の入力を行う携帯式の情報処理端末としてのハンディターミナルが知られている。物理キーを多く有する従来のキー付きハンディターミナルでは、バーコードのコード情報を読み取るために押下されるトリガーキーも物理キーで構成されていた。
【0003】
しかし、近年、スマートフォンのような全面タッチパネル式のハンディターミナルが増えてきており、これらのタッチパネル式のハンディターミナルでは、トリガーキーも仮想トリガーキー(ソフトキーのトリガーキー)としてタッチパネル上に配置される場合が多い。しかし、物理トリガーキーに比べ、タッチパネル上の仮想トリガーキーは、トリガーキーを押されたことを認識するまでに多くの内部処理を必要とするため、スキャナなどのアプリケーションを起動し、バーコードの読取を開始させるまで時間がかかってしまっていた。
【0004】
その対策に利用できる技術として、タッチ操作が可能な情報処理端末において、カメラアプリなどの所定のアプリケーションのアイコンが表示されている状態で、前記アプリケーションに対応付けて登録されている所定のタッチ操作(前記アプリケーションのアイコンの位置の方向への解除アイコンの所定の距離のドラッグ操作)が行われた際に、前記アプリケーションをバックグラウンドで起動し、前記アプリケーションのアイコンが選択された際に当該アプリケーションをアクティブ状態にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-246727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、ユーザのタッチ操作を受け付けた際に、アプリケーションに対応付けて登録されている所定のタッチ操作が行われたか否かを判別する必要があり、タッチ操作からアプリケーションを起動するまでの時間を十分に短縮できていなかった。また、アプリケーションに対応付けて登録されている所定のタッチ操作をユーザが覚えておく必要があり、ユーザの操作能力に依存するという課題もあった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、特定の操作アイコンに対応する処理の実行開始までの時間を短縮するとともに、タッチパネル入力による操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の端末装置は、タッチパネル式の表示部においてユーザによるタッチ操作を検出する検出手段と、前記検出手段によって前記タッチ操作が検出された領域の座標を座標情報として導出する導出手段と、第1処理と前記第1処理が完了した後に引き続き実行される第2処理との二処理を一回の操作で実行させる特定の操作ボタンが表示されている状態で前記検出手段により前記タッチ操作を検出した場合に、前記導出手段による前記座標情報の導出と、前記第1処理の実行と、を並行して実行する処理実行手段と、を備え、前記処理実行手段は、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当するならば前記第1処理に引き続き前記第2処理を実行する一方で、前記検出手段により前記タッチ操作が検出された後に前記導出手段により導出された当該タッチ操作に係る前記座標情報が前記特定の操作ボタンの表示領域の座標情報に該当しないならば前記第2処理は実行しない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の操作アイコンに対応する処理の実行開始までの時間を短縮できるとともに、タッチパネル入力による操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態のハンディターミナルの正面の外観図である。
図2】ハンディターミナルの機能構成を示すブロック図である。
図3】CPU及びタッチパネル部を示すブロック図である。
図4】シンボル読取処理を示すフローチャートである。
図5】ハンディターミナルのシンボル読取画面を示す図である。
図6】従来のタッチパネルのタッチ入力に応じたスキャンに関する動作のタイミングチャートである。
図7】本実施の形態のタッチパネルのタッチ入力に応じたスキャンに関する動作のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0012】
図1図7を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、図1図3を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態のハンディターミナル10の正面の外観図である。図2は、ハンディターミナル10の機能構成を示すブロック図である。図3は、CPU11及びタッチパネル部121を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す端末装置(携帯端末)としてのハンディターミナル10は、スーパーマーケット、量販店などの店舗や、商品を格納する倉庫などの導入先で使用され、当該導入先の店員、管理担当者などのユーザに操作されて情報が入力される携帯式の情報処理端末である。ハンディターミナル10は、シンボル(バーコード、2次元コード)のスキャン機能を有する。
【0014】
図1に示すように、ハンディターミナル10は、筐体10a上に、操作部12と、表示部14と、シンボル読取手段としてのスキャナ部17と、を有する。操作部12は、タッチパネル部121と、物理キー部122と、を備える。タッチパネル部121は、タッチパネル121aを有する。タッチパネル121aは、筐体10aの正面側の表示部14の表示パネル上に設けられた静電容量式のタッチパネルであり、ユーザのタッチ入力を受け付ける。なお、タッチパネル121aは、抵抗膜式など、他の方式のタッチパネルとしてもよい。
【0015】
物理キー部122は、物理トリガーキー122aと、物理キー群122bと、を有する。物理トリガーキー122aは、筐体10aの左右側面にそれぞれ設けられ、ユーザからのスキャナ部17のスキャン(シンボル読み取り)実行入力を受け付ける物理キー(ハードキー)としてのトリガーキーである。物理キー群122bは、筐体10aの正面側に設けられ、ユーザからの各種入力を受け付ける複数の物理キーであり、例えば、ホーム画面の表示の入力を受け付けるホームキー、1つ前の表示画面に戻るためのバックキーなどを有する。
【0016】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)の表示パネルを有し、当該表示パネルに各種表示を行う。
【0017】
スキャナ部17は、筐体10aの天面に設けられ、エイマー光の発光素子と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャなどの撮像素子と、を有し、被写体であるシンボル(バーコード、2次元コード)を撮像して、当該シンボルを読み取るスキャナ部である。例えば、ユーザにより、ハンディターミナル10のスキャナ部17がエイマー光内にシンボルを位置するように向けられ、ユーザによる物理トリガーキー122aの押下入力、又は表示部14に表示されたソフトキーとしての仮想トリガーキーのタッチ入力により、当該シンボルが撮像されて読み取られる。
【0018】
ついで、図2を参照して、ハンディターミナル10の内部の機能構成を説明する。ハンディターミナル10は、第1特定制御手段、第2特定制御手段、判別手段としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、無線通信部16と、スキャナ部17と、カメラ部18と、出力部19と、電池20と、を備える。ハンディターミナル10の各部は、バス21を介して接続されている。
【0019】
CPU11は、ハンディターミナル10の各部を制御する。CPU11は、記憶部15に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、当該展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0020】
操作部12は、タッチパネル部121、物理キー部122を有し、ユーザからのタッチパネル部121(のタッチパネル121a)へのタッチ入力、物理キー部122へのキー入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。
【0021】
ここで、図3を参照して、タッチパネル部121の内部構成と、タッチパネル部121とCPU11との間の通信の信号とを説明する。図3に示すように、タッチパネル部121は、タッチパネル121aと、検出手段、出力手段としてのタッチパネル制御部121bと、を有する。タッチパネル制御部121bは、CPU11からの制御に従い、タッチパネル121aを制御するとともに、タッチパネル121aのタッチ入力に関する信号を取得してCPU11に出力する制御IC(Integrated Circuit)である。
【0022】
より具体的には、タッチパネル制御部121bは、タッチパネル121aと制御信号などの信号を入出力する。タッチパネル制御部121bは、タッチパネル121aへのユーザのタッチ入力に応じて、タッチパネル121aへのタッチ入力を示すタッチパネル割込信号をCPU11に出力する。また、タッチパネル制御部121bは、送信信号としての通信信号TxがCPU11から入力(受信)され、通信信号Txに対応する受信信号としての通信信号RxをCPU11に出力(送信)する。
【0023】
RAM13は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0024】
表示部14は、CPU11から指示された表示情報に従い、LCDの表示パネルに各種表示を行う。なお、表示部14は、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示部としてもよい。
【0025】
記憶部15は、情報を読み出し及び書き込み可能なフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部である。記憶部15には、各種データ及びプログラムが記憶されている。特に、記憶部15には、アプリケーションプログラムとして、後述するシンボル読取処理を実行するためのシンボル読取プログラムP1が記憶されているものとする。
【0026】
無線通信部16は、各種無線通信方式のアンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有し、通信先と無線通信を行う少なくとも一つの無線通信部である。無線通信部16の各無線通信部の無線通信方式は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)、ワイヤレスWAN(Wide Area Network)、NFC(Near Field Communication)などである。例えば、CPU11は、無線通信部16を介して、Wi-fi通信により、アクセスポイントとの無線送受信を行い、当該アクセスポイントにネットワーク接続された通信先の機器と情報の送受信を行う。
【0027】
スキャナ部17は、CPU11の制御に従い、シンボルを被写体として撮像してその画像データを生成し、CPU11に出力する。CPU11は、スキャナ部17により撮像されたシンボルの画像データをデコードして当該シンボルに含まれるコード情報を取得する。なお、スキャナ部17は、シンボルとしてのバーコードにレーザー光を照射して走査しその反射光の入力により得られた信号をデコードして当該バーコードに含まれたデータを得るレーザースキャナとしてもよい。
【0028】
カメラ部18は、光学系、撮像素子を有し、CPU11の制御に従い、被写体を撮像して画像データを生成するデジタルカメラ部である。
【0029】
出力部19は、LED(Light Emitting Diode)などの発光部や、アンプ、スピーカーなどの音出力部を有し、CPU11の制御に従い、発光部の点灯/消灯や、音出力部による音出力を行う。
【0030】
電池20は、リチウムイオン電池などの充電池(2次電池)であり、ハンディターミナル10の各部に電源電力の供給を行う。また、電池20は、CPU11の制御に従い、ハンディターミナル10の各部への電源電力の供給をオフ(電源オフ)する。
【0031】
つぎに、図4図7を参照して、ハンディターミナル10の動作を説明する。図4は、シンボル読取処理を示すフローチャートである。図5は、ハンディターミナル10のシンボル読取画面30を示す図である。図6は、従来のタッチパネルのタッチ入力に応じたスキャンに関する動作のタイミングチャートである。図7は、本実施の形態のタッチパネル121aのタッチ入力に応じたスキャンに関する動作のタイミングチャートである。
【0032】
図4を参照して、ハンディターミナル10で実行されるシンボル読取処理を説明する。ハンディターミナル10において、例えば、ユーザからの電源キーの押下入力による電源オンをトリガーとして、CPU11は、記憶部15から読み出され適宜RAM13に展開されたシンボル読取プログラムP1との協働で、シンボル読取処理を実行する。
【0033】
図4に示すように、まず、CPU11は、タッチパネル部121を介するタッチ入力に応じてタッチパネル制御部121bから出力されるタッチパネル割込信号を検出したか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11において、タッチパネル制御部121bからCPU11へタッチパネル割込信号が出力されると、CPU11は、タッチパネル制御部121bとの通信準備完了に応じて通信準備完了通知をタッチパネルの通信信号Txとしてタッチパネル制御部121bに出力する。後述するステップS12、S13と並行して、タッチパネル制御部121bは、通信準備完了信号に応じて、タッチパネル121aからタッチ入力の座標の信号を取得し、タッチパネル121aのタッチ入力の座標情報を通信信号RxとしてCPU11に出力する。
【0034】
タッチパネル割込信号を検出していない場合(ステップS11;NO)、ステップS11に移行される。タッチパネル割込信号を検出した場合(ステップS11;NO)、CPU11は、(ステップS11のタッチ入力前(タッチパネル割込信号検出前)から)シンボル読み取りのトリガーキー(仮想トリガーキー)を表示部14に表示中であるか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12において、例えば、ハンディターミナル10で、図5に示すシンボル読取画面30を表示部14に表示中である場合を考える。シンボル読取画面30は、コード情報表示欄31と、トリガーキー32,33と、を有する。
【0035】
コード情報表示欄31は、スキャナ部17を用いたシンボル読み取りにより得られた、当該シンボルに含まれるコード情報(文字情報)の表示欄である。トリガーキー32,33は、スキャナ部17を用いたシンボル読み取りのトリガー入力を受け付ける操作アイコンとしてのソフトキーである仮想トリガーキーである。タッチパネル121a上のトリガーキー32,33がタッチ入力されることにより、スキャナ部17を用いたシンボル読み取りが実行される。ステップS12では、例えば、トリガーキー32,33(を含むシンボル読取画面30)が表示中であるか否かが判別される。
【0036】
トリガーキーを表示中である場合(ステップS12;YES)、CPU11は、スキャナ部17などの対応するデバイスを起動し、シンボルの読み取り準備を行う(ステップS13)。ステップS13のシンボルの読み取り準備には、シンボルの読み取り準備に対応するソフトウェアの処理実行を含めてもよい。
【0037】
そして、CPU11は、タッチパネル制御部121bから入力された座標情報に応じて、表示部14の表示画面上のステップS11のタッチ入力の位置座標情報を計算する(ステップS14)。そして、CPU11は、ステップS14で計算されたタッチ入力の位置座標情報が、表示中のトリガーキーの表示領域内であるか否かを判別する(ステップS15)。
【0038】
トリガーキーの表示領域内である場合(ステップS15;YES)、CPU11は、スキャナ部17によりシンボルを読み取り(ステップS16)、ステップS11に移行する。ステップS16では、例えば、シンボルCPU11は、スキャナ部17によりシンボルを撮像して得られた画像データをデコードして、当該シンボルに含まれるコード情報を取得し、図5に示すシンボル読取画面30において、当該コード情報を表示部14のコード情報表示欄31に表示する。
【0039】
トリガーキーの表示領域内でない場合(ステップS15;NO)、CPU11は、スキャナ部17の起動を停止する(ステップS17)。そして、CPU11は、ステップS11のタッチ入力に対応する(シンボル読み取り以外の)処理を実行し(ステップS18)、ステップS11に移行する。
【0040】
トリガーキーを表示中でない場合(ステップS12;YES)、CPU11は、タッチパネル制御部121bから入力された座標情報に応じて、表示部14の表示画面上のステップS11のタッチ入力の位置座標情報を計算する(ステップS19)。そして、CPU11は、ステップS11のタッチ入力に対応する処理を実行し(ステップS20)、ステップS11に移行する。
【0041】
ここで、図6図7を参照して、従来のハンディターミナルで実行される通常のシンボル読取処理の動作と、本実施の形態のシンボル読取処理の動作と、を比較する。従来のハンディターミナルは、ハンディターミナル10と同様の装置構成を有するものとする。
【0042】
図6に示すように、従来の通常のシンボル読取処理において、タッチパネルのタッチ入力に応じてローアクティブのタッチパネル割込信号がローに切り替えられてタッチパネル制御部からCPUに入力される。タッチパネル割込信号のローへの切り替えに応じて、通信信号Txとしての通信準備完了通知がCPUからタッチパネル制御部に出力され、通信準備完了通知に応じて、通信信号Rxとしてのタッチ入力の座標情報(x座標、y座標)がタッチパネル制御部からCPUに出力される。
【0043】
そして、CPUにより、表示画面上のタッチ入力の位置座標情報が計算され、計算されたタッチ入力の位置座標情報が、表示中のトリガーキーの表示領域内であるか否かが判別される。そして、表示中のトリガーキーの表示領域内であると判別(認識)された後に、デバイスとしてのスキャナ部が起動され、スキャナ部の起動完了に続いてスキャナ部によるシンボルの読み取り(スキャン)が実行される。スキャナ部の起動処理は、上記トリガーキーの表示領域内であるか否かの判別後に実行されるため、シンボルの読み取り開始までに時間がかかっている。
【0044】
これに対し、図7に示すように、本実施の形態のシンボル読取処理において、CPU11における、タッチパネル121aのタッチ入力に応じたタッチパネル割込信号(ロー)入力(ステップS11に対応)、通信準備完了通知出力の実行タイミングは、従来の通常のシンボル読取処理と同様である。
【0045】
ただし、タッチパネル割込信号入力に応じて、CPU11によるトリガーキーが表示部14に表示中であるか否かの判別(ステップS12に対応)が行われ、トリガーキーが表示中である場合に、CPU11によるデバイスとしてのスキャナ部17の起動(ステップS13に対応)が実行開始されるとともに、タッチ入力の座標情報入力、タッチ入力の位置座標情報が表示中のトリガーキーの表示領域内であるか否かの判別(ステップS14,S15に対応)が順に実行される。このため、スキャナ部17の起動処理と、CPU11による通信準備完了通知出力、タッチ入力の座標情報入力、タッチ入力の位置座標情報が表示中のトリガーキーの表示領域内であるか否かの判別と、が並行して実行される。
【0046】
そして、CPU11により、タッチ入力の位置座標情報が表示中のトリガーキーの領域内であると判別(認識)され、かつスキャナ部17の起動完了に続いて、シンボルの読み取り(スキャン)が実行される。このように、本実施の形態のシンボル読取処理では、シンボルの読み取りの開始タイミングが、従来の通常のシンボル読取処理よりも早くなる。
【0047】
以上、本実施の形態によれば、ハンディターミナル10は、タッチパネル式の表示部14においてユーザによるタッチ操作をタッチパネル121aから検出し、タッチ操作が検出された領域の座標を座標情報として出力するタッチパネル制御部121bと、タッチ操作が検出された際に、第1処理としてのスキャナ部17の起動処理とスキャナ部17の起動処理が完了した後に実行される第2処理としてのスキャナ部17を用いたシンボルの読み取り処理との二処理を実行させる特定の操作アイコンとしてのシンボルの読み取りのトリガーキーが表示部14に表示されているか否かを判別し、トリガーキーが表示部14に表示されていると判別された場合、タッチパネル制御部121bによる座標情報の出力を待たずにスキャナ部17の起動処理を実行するCPU11と、を備えた。
【0048】
このため、タッチ操作が検出されると表示中のトリガーキーに対応してすぐにスキャナ部17の起動処理を実行するので、シンボルの読み取り処理の実行開始までの時間を短縮できるとともに、タッチパネル121a入力による操作性を向上させることができる。よって、シンボルの読取時間を短縮できる。シンボル(バーコード)の読取時間は、100[ms]以下を1つの基準としており、本実施の形態のシンボル読み取り処理により、10[ms]程度、つまり10%程度のシンボル読取時間の改善が期待できる。
【0049】
また、CPU11は、スキャナ部17の起動処理が実行されている状態で、タッチパネル制御部121bによって出力された(タッチ操作の)座標情報がトリガーキーの表示領域の座標情報に該当する(表示領域内である)と判別された場合、スキャナ部17を用いたシンボルの読み取り処理を実行させる。このため、シンボルの読み取り処理を早く実行開始でき、シンボルの読取時間を短縮できる。
【0050】
また、CPU11は、タッチ操作が検出された領域の座標情報がトリガーキーの表示領域の座標情報に該当していない場合、スキャナ部17の起動処理の実行を停止する。このため、タッチ操作がトリガーキーの操作でなくシンボル読み取りの準備が必要でない場合のスキャナ部17の起動処理の実行を防いで処理負担を低減できる。
【0051】
また、CPU11は、タッチ操作のタッチパネル割込信号を検出し、タッチパネル割込信号が検出された際に、シンボルの読み取りのトリガーキーが表示部14に表示されているか否かを判別する。このため、トリガーキーが表示されている場合のスキャナ部17の起動処理をより早く実行開始できる。
【0052】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROMなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0053】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る端末装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、タッチ入力を受け付ける表示された特定の操作アイコンを、シンボル読み取りのトリガーキーとし、特定の操作アイコンに対応する準備処理を、スキャナ部17の起動処理とし、特定の操作アイコンに対応するメイン処理を、スキャナ部17を用いたシンボルの読み取り処理としたが、これに限定されるものではない。例えば、特定の操作アイコンを、被写体撮影のトリガーキーとし、特定の操作アイコンに対応する準備処理を、カメラ部18の起動処理とし、メイン処理を、カメラ部18を用いた被写体の撮影処理とする構成としてもよい。また、特定の操作アイコンを、所定アプリケーションプログラム起動のトリガーキーとし、特定の操作アイコンに対応する準備処理を、当該所定アプリケーションプログラムの起動処理とし、メイン処理を、当該所定アプリケーションプログラムに含まれる予め設定された特定の処理の実行とする構成としてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態におけるハンディターミナル10の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0056】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
タッチパネル式の表示部においてユーザによるタッチ操作を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記タッチ操作が検出された領域の座標を座標情報として出力する出力手段と、
前記検出手段により前記タッチ操作が検出された際に、第1処理と前記第1処理が完了した後に実行される第2処理との二処理を実行させる特定の操作アイコンが前記表示部に表示されているか否か判別する判別手段と、
前記判別手段により前記特定の操作アイコンが前記表示部に表示されていると判別された場合、前記出力手段による前記座標情報の出力を待たずに前記第1処理を実行する第1特定制御手段と、
を備えたことを特徴とする端末装置。
<請求項2>
前記第1特定制御手段によって前記第1処理が実行されている状態で、前記出力手段によって出力された前記座標情報が前記特定の操作アイコンの表示領域の座標情報に該当すると判別された場合、前記第2処理を実行させる第2特定制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
<請求項3>
前記第2特定制御手段は、前記タッチ操作が検出された領域の座標情報が前記特定の操作アイコンの表示領域の座標情報に該当していない場合、前記第1処理の実行を停止することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
<請求項4>
前記検出手段は、前記タッチ操作の割込信号を検出し、
前記判別手段は、前記検出手段により前記タッチ操作の割込信号が検出された際に、前記特定の操作アイコンが前記表示部に表示されているか否か判別することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項5>
前記特定の操作アイコンは、シンボル読み取りのトリガーキーであり、
前記第1処理は、シンボルを読み取るシンボル読取手段の起動処理であり、
前記第2処理は、前記シンボル読取手段を用いたシンボルの読み取り処理であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の端末装置。
<請求項6>
コンピュータを、
タッチパネル式の表示部においてユーザによるタッチ操作を検出する検出手段、
前記検出手段によって前記タッチ操作が検出された領域の座標を座標情報として出力する出力手段、
前記検出手段により前記タッチ操作が検出された際に、第1処理と前記第1処理が完了した後に実行される第2処理との二処理を実行させる特定の操作アイコンが前記表示部に表示されているか否か判別する判別手段、
前記判別手段により前記特定の操作アイコンが前記表示部に表示されていると判別された場合、前記出力手段による前記座標情報の出力を待たずに前記第1処理を実行する第1特定制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0057】
10 ハンディターミナル
10a 筐体
11 CPU
12 操作部
121 タッチパネル部
121a タッチパネル
121b タッチパネル制御部
122 物理キー部
122a 物理トリガーキー
122b 物理キー群
13 RAM
14 表示部
15 記憶部
16 無線通信部
17 スキャナ部
18 カメラ部
19 出力部
20 電池
21 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7