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特許7468617光測定方法、光測定装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光測定方法、光測定装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20240409BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240409BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/107 800
A61B5/107 700
A61B5/00 M
A61B10/00 E
G01N21/17 620
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022507989
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2020012428
(87)【国際公開番号】W WO2021186703
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】赤川 武志
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-054986(JP,A)
【文献】特開2017-023474(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060376(WO,A1)
【文献】特表2016-526978(JP,A)
【文献】特開2006-000385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/00
A61B 10/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層撮影法を用いることによって肌から取得された第1の三次元断層画像データにおいて第1の深さにおける第1の平面画像から、前記第1の深さよりも深い第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去するステップであって、
前記光干渉断層撮影法を用いる際に、光干渉計の測定器を、透過部を介して前記肌に対向させ、前記透過部が前記肌の最表面上に接触することにより、毛が前記肌の最表面上に延び、
前記第1の深さは、前記第1の平面画像が示す平面において、前記毛が平面上に延びる深さであり、
前記第2の深さは、前記第2の平面画像が示す平面において、前記毛が延びることが無く、シワが存在する深さであるステップと、
前記線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定するステップと、を含み、
前記毛穴の位置を特定するステップでは、
前記線を除去した第1の平面画像が示す線の太さを検出し、前記太さを検出した線の最も太い部分の位置により、前記毛穴の位置を特定する、
光測定方法。
【請求項2】
前記光干渉計の前記測定器を前記透過部を介して前記肌に対向させて、前記光干渉断層撮影法を用いることによって、前記透過部表面を示す透過部表面画像を取得するステップと、
前記第1の平面画像から前記透過部表面画像が示す線を除去するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光測定方法。
【請求項3】
前記毛穴の位置を特定するステップを行った後、前記毛穴の位置が特定された毛を三次元表示するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光測定方法。
【請求項4】
前記毛穴における毛の傾きに基づいて、前記毛穴を示す複数の断層面データを取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光測定方法。
【請求項5】
前記第1の平面画像は、前記肌の表皮の表面を示す、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の光測定方法。
【請求項6】
前記第2の平面画像は、前記肌の表皮の内部における平面を示す、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の光測定方法。
【請求項7】
光干渉断層撮影法を用いることによって肌から取得された第1の三次元断層画像データにおいて第1の深さにおける第1の平面画像から、前記第1の深さよりも深い第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去する画像処理部と、
前記線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定する計測処理部と、
光干渉計の測定器と、を含み、
前記光干渉断層撮影法を用いる際に、前記光干渉計の測定器を、透過部を介して前記肌に対向させ、前記透過部が前記肌の最表面上に接触することにより、毛が前記肌の最表面上に延び、
前記第1の深さは、前記第1の平面画像が示す平面において、前記毛が平面上に延びる深さであり、
前記第2の深さは、前記第2の平面画像が示す平面において、前記毛が延びることが無く、シワが存在する深さであり、
前記計測処理部は、前記線を除去した第1の平面画像が示す線の太さを検出し、前記太さを検出した線の最も太い部分の位置により、前記毛穴の位置を特定する、
光測定装置。
【請求項8】
光測定装置として機能するコンピュータに、
光干渉断層撮影法を用いることによって肌から取得された第1の三次元断層画像データにおいて第1の深さにおける第1の平面画像から、前記第1の深さよりも深い第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去するステップであって、
前記光干渉断層撮影法を用いる際に、前記光測定装置に含まれる光干渉計の測定器を、透過部を介して前記肌に対向させ、前記透過部が前記肌の最表面上に接触することにより、毛が前記肌の最表面上に延び、
前記第1の深さは、前記第1の平面画像が示す平面において、前記毛が平面上に延びる深さであり、
前記第2の深さは、前記第2の平面画像が示す平面において、前記毛が延びることが無く、シワが存在する深さであるステップと、
前記線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定するステップと、を実行させ、
前記毛穴の位置を特定するステップでは、
前記線を除去した第1の平面画像が示す線の太さを検出し、前記太さを検出した線の最も太い部分の位置により、前記毛穴の位置を特定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光測定方法、光測定装置、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
光測定は、多種多様な技術であり、例えば、光超音波技術、共焦点顕微鏡、光干渉断層撮影等がある。この技術の一例として、特許文献1には、表面を有する被験者の皮膚の光干渉断層撮影(OCT)スキャンを処理する方法が開示されている。当該方法は、被験者の皮膚を貫通する複数のスキャンを取得するステップを含む。複数のスキャンは、複数の平行面でユーザーの皮膚を貫通するスライスにおけるOCT信号を示すものである。複数のスキャンは、平行面に対して垂直な方向に互いにずれている。当該方法は、各スキャンにおける前記皮膚の表面の位置を決定するステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-526978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した方法では、毛と毛以外のものとを混同することによって、肌の表面において毛穴の位置を特定することができないことがあった。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、毛穴の位置を特定することができる光測定方法、光測定装置、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施の形態の一つに係る光測定方法は、
光干渉断層撮影法を用いることによって肌から取得された第1の三次元断層画像データにおいて第1の深さにおける第1の平面画像から、前記第1の深さよりも深い第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去するステップと、
前記線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定するステップと、を含む。
【0007】
本開示の実施の形態の一つに係る光測定装置は、
光干渉断層撮影法を用いることによって肌から取得された第1の三次元断層画像データにおいて第1の深さにおける第1の平面画像から、前記第1の深さよりも深い第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去する画像処理部と、
前記線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定する計測処理部と、を含む。
【0008】
本開示の実施の形態の一つに係るプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体は、
コンピュータに、
光干渉断層撮影法を用いることによって肌から取得された第1の三次元断層画像データにおいて第1の深さにおける第1の平面画像から、前記第1の深さよりも深い第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去するステップと、
前記線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、毛穴の位置を特定することができる光測定方法、光測定装置、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる光測定方法を示すフローチャートである。
図2】実施の形態1にかかる光測定方法を示すフローチャートである。
図3】実施の形態1にかかる光測定方法の一変形例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2にかかる光測定方法を示すフローチャートである。
図5】断層図の一例を示す模式図である。
図6】肌の最表面の一例を示す模式図である。
図7】肌の最表面から所定の深さにおける平面図の一例を示す模式図である。
図8】透過部における測定器側表面の一例を示す模式図である。
図9】シワに相当する線を除去した平面図の一例を示す模式図である。
図10】異物に相当する線を除去した平面図の一例を示す模式図である。
図11】残存した線の太さの測定方法を示す模式図である。
図12】特定した毛穴の位置座標の測定方法を示す模式図である。
図13】特定した毛穴を含む断層図の一例を示す模式図である。
図14】光測定装置の制御ブロック図である。
図15】肌の最表面とその断面との一例を示す模式図である。
図16】光測定装置に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
(実施の形態)
図1を参照して実施の形態にかかる光測定方法について説明する。図1は、実施の形態にかかる光測定方法を示すフローチャートである。
【0013】
第1の三次元断層画像データにおいて、第1の深さにおける第1の平面画像から、第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去する(ステップST11)。
【0014】
第1の三次元断層画像データは、光干渉断層撮影法(OCT:Optical Coherence Tomography)を用いることによって、肌から取得される。この取得された第1の三次元断層画像データは、肌の最表面と当該肌の内部における複数の平面画像を含む。当該複数の平面画像は、第1の深さにおける第1の平面画像、及び第2の深さにおける第2の平面画像を含む。当該平面画像は、当該肌の最表面から所定の深さまでの、最表面と略平行な平面を示す。
【0015】
第2の深さは、第1の深さよりも深い。第1の深さは、第1の平面画像が示す平面において、毛が平面上に延びるような深さであるとよく、例えば、肌の最表面であるとよい。第1の平面画像が示す線は、毛、シワ、異物を示すことが多い。異物は、肌以外の構成物であり、例えば、ゴミ、埃、塵等が挙げられる。第2の深さは、第2の平面画像が示す平面において、毛が延びることが無く、シワが存在する深さであるとよい。第2の平面画像が示す線は、シワを示すことが多い。
【0016】
最後に、上記した線を除去した第1の平面画像から、毛穴の位置を特定する(ステップST12)。
【0017】
以上より、シワを示す線を除去した第1の平面画像を取得することができる。よって、シワを毛と誤認するおそれを抑制して、毛穴の位置を特定することができる。また、細い毛等は、太い毛と比較して特定し難い傾向にある。このような太い毛は、肉眼で容易に確認できるものである。このような細い毛は、肉眼で確認し難いものであり、例えば、産毛等が挙げられる。よって、上記した実施の形態1にかかる光測定方法は、このような細い毛の位置を特定する用途に特に好ましい。
【0018】
(実施の形態1)
図2を参照して実施の形態1にかかる光測定方法について説明する。図2は、実施の形態1にかかる光測定方法を示すフローチャートである。
【0019】
光干渉断層撮影法を用いることによって、肌から第1の三次元断層画像データを取得する(ステップST21)。
【0020】
続いて、第1の平面画像が示す線の太さを検出する(ステップST22)。例えば、線の複数の部位の太さを検出してもよい。また、第1の平面画像が示す線の一端部の幅と、他端部の幅とを計測し、一端部の幅、及び他端部の幅を線の一端部の太さ、及び他端部の太さと認定してもよい。
【0021】
最後に、上記太さを検出した線の最も太い部分の座標を毛穴の位置と認定する(ステップST23)。多くの場合、毛の毛根は、毛の先端部と比較して太い。一端部及び他端部のうち、太い方を毛根であると認定する。例えば、一端部が他端部よりも太い場合、一端部が毛根であると認定する。
【0022】
以上より、第1の平面画像から毛穴の位置を機械的に特定することができる。
【0023】
(一変形例)
なお、実施の形態1にかかる光測定方法の一変形例として、図3に示すフローチャートが示す光測定方法がある。当該光測定方法は、上記した実施の形態、及び上記した実施の形態1にかかる光測定方法の一部を組み合わせたものである。
【0024】
具体的には、ステップST21と同様に、光干渉断層撮影法を用いることによって、肌から第1の三次元断層画像データを取得する(ステップST31)。続いて、ステップST11と同様に、第1の深さにおける第1の平面画像から、第2の深さにおける第2の平面画像が示す線を除去する(ステップST32)。続いて、ステップST22と同様に、第1の平面画像が示す線の太さを検出する(ステップST33)。最後に、ステップST23と同様に、上記太さを検出した線の最も太い部分の座標を毛穴の位置と認定する(ステップST34)。
【0025】
以上より、シワを毛と誤認するおそれを抑制して、毛穴の位置を機械的に特定することができる。
【0026】
(実施の形態2)
図4図13を参照して実施の形態2にかかる光測定方法について説明する。図4は、実施の形態2にかかる光測定方法を示すフローチャートである。図5図13に示す図は、一例であり、実施の形態2にかかる光測定方法を限定するものでないことに留意する。
【0027】
図5は、断層図の一例を示す模式図である。図6は、肌の最表面の一例を示す模式図である。図7は、肌の最表面から所定の深さにおける平面図の一例を示す模式図である。図8は、透過部における測定器側表面の一例を示す模式図である。図9は、シワに相当する線を除去した平面図の一例を示す模式図である。図10は、異物に相当する線を除去した平面図の一例を示す模式図である。図11は、残存した線の太さの測定方法を示す模式図である。図12は、特定した毛穴の位置座標の測定方法を示す模式図である。図13は、特定した毛穴を含む断層図の一例を示す模式図である。また、図13は、見やすさのため、ハッチングを省略した。
【0028】
なお、当然のことながら、図5及びその他の図面に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸プラス向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0029】
光干渉断層撮影法を用いることによって、肌から第1の三次元断層画像データを取得する(ステップST41)。第1の三次元断層画像データは、所定の深さにおける各平面を示す画像データである。このような画像データは、例えば、第1の深さにおける第1の平面B1、第2の深さにおける第2の平面B2を示す画像データを含む。また、このような画像データの複数に基づいて、断層図を生成することができる。
【0030】
図5を参照して、断層図の一例である断層図A1について説明する。図5に示すように、断層図A1は、皮膚SK1と、透過部T11と、空間SP1とを示す。透過部T11は、皮膚SK1の上に接触しており、空間SP1が透過部T11の上に広がる。空間SP1の上方(ここでは、Z軸方向プラス側)に測定器(図示略)が配置される。
【0031】
図6に示すように、第1の平面B1には、線L1~L5を確認することができる。なお、線L1、L2は、異物である。線L3、L4は、シワである。線L5は、毛である。シワや毛は、当該光測定方法の測定対象である肌に由来する。しかし、第1の平面B1を示す画像のみを考慮しても、線L1~L5が異物、シワ、及び毛のいずれかであるかを確認し難い。
【0032】
図7に示すように、第2の平面B2には、線L3、及び線L4を確認することができる。一方、第2の平面B2には、線L1、L2、及び線L5を確認することができなかった。
【0033】
続いて、光干渉断層撮影法を用いることによって、透過部T11から透過部表面画像データを取得する(ステップST42)。光干渉断層撮影法では、光干渉計の測定器を透過部を介して肌に対向させる。透過部表面画像データは、透過部T11の測定器側の透過部表面B3(図5参照)を示す画像データである。例えば、図8に示すように、透過部表面B3には、線L1、線L2を確認することができる。一方、第2の平面B2には、線L3、L4、L5を確認することができなかった。
【0034】
続いて、第1の平面B1(図6参照)を示す画像から、第2の平面B2(図7参照)の線を除去する(ステップST43)。例えば、第1の平面B1における線L3、L4を除去する。図9に示すように、第1の平面B1には、線L1、L2、L5を確認することができる。
【0035】
続いて、上記線が除去された第1の平面B1(図9参照)を示す画像から、透過部表面B3(図8参照)の線を除去する(ステップST44)。例えば、第1の平面B1から、線L1、L2を除去する。図10に示すように、第1の平面B1には、線L5を確認することができる。
【0036】
続いて、第1の平面B1を示す画像が示す線の太さを検出する(ステップST45)。例えば、図11に示すように、線L5の一端部L51の太さD1と、線L5の他端部L52の太さD2とを計測する。
【0037】
続いて、ステップST23、ST34と同様に、上記太さを検出した線の最も太い部分の座標を毛穴の位置と認定する(ステップST46)。例えば、図11に示すように、一端部L51の太さD1は、線L5の他端部L52の太さD2と比較して太い。そのため、一端部L51を毛穴の位置と認定する。
【0038】
最後に、この毛穴の位置と認定した座標における断層図を抽出する(ステップST47)。断層図は、毛、毛穴、その周辺の断面を示す。例えば、図12に示すように、毛穴の位置と認定された一端部L51における断層図CS1を抽出する。図13に示すように、断層図CS1には、毛H1を確認することができる。断層図CS1の面は、YZ面に沿う。一端部L51は、毛H1の毛穴の位置に相当する。毛H1、及び毛H1の周辺は、適宜、三次元表示すると、毛H1の毛穴をさらに把握できてよい。
【0039】
以上より、毛穴の位置を特定して、さらに毛等を示す断層図を取得することができる。ユーザーは断層図を参照することにより、この認定した座標が毛穴の位置であることを確認する。すなわち、高い精度で毛穴の位置を特定することができる。
【0040】
なお、ステップST47でが、毛穴における毛の傾きに基づいて、毛穴を示す複数の断層面データを取得してもよい。例えば、図12に示すように、一端部L51における断層図CS2を抽出してもよい。断層図CS2の面は、平面(ここでは、XY平面)上において線L5の向きに沿っているため、断層図CS2は、線L5全体を包括的に示すことができてよい。
【0041】
また、上記した光測定方法を用いて、ステップST41で取得した第1の三次元断層画像データと異なる第2の三次元断層画像データにおいて、毛穴の位置を特定してもよい。第2の三次元断層画像データが示す肌の部位は、第1の三次元断層画像データが示す肌の部位と異なる。また、第2の三次元断層画像データが示す肌の部位は、第1の三次元断層画像データから特定した毛穴の位置を含む。また、第1及び第2の三次元断層画像データによってそれぞれ特定された、線L5等の毛穴の位置を比較してもよい。これによって、毛穴の位置の検出精度の向上を図ることができる。
【0042】
(制御構成)
上記した実施の形態3にかかる光測定方法では、図14に示す光測定装置100を使用することができる。図14は、光測定装置の制御ブロック図である。
【0043】
図14に示すように、光測定装置100は、測定器1と、制御部10とを備える。
【0044】
測定器1は、光干渉計の測定器である。測定器1は、2つの光を合流させて干渉させた干渉光を測定する。具体的には、1つの光を2つの経路に分割し、分割した一方の光を被測定対象物に反射させて、分割した他方の光を参照ミラーにより反射させた後、2つの光を合流させる。当該被測定対象物は、例えば、肌等である。測定器1は、例えば、この測定した干渉光に基づく信号を明度変換する等して、肌の第1の三次元断層画像データを生成する。
【0045】
制御部10は、画像処理部11と、計測処理部12とを備える。
【0046】
画像処理部11は、測定器1から肌の第1の三次元断層画像データを取得する。画像処理部11は、第1の三次元断層画像データが含む平面画像を画像処理することによって、画像データを生成する。この画像処理は、例えば、第1の三次元断層画像データが含む画像同士を比較し、一方の画像から、他方の画像が示す線を削除する処理である。また、この画像処理は、例えば、複数の平面画像に基づいて断層画像を生成する処理であってもよい。
【0047】
計測処理部12は、測定器1から第1の三次元断層画像データを取得する。また、計測処理部12は、画像処理部11が画像処理した画像データを取得する。また、計測処理部12は、この取得した第1の三次元断層画像データ、又は画像データから、線の太さを検出する。計測処理部12は、例えば、線の各部位の太さを検出してもよい。計測処理部12は、この検出した線の各部位のうち、最も太い部位を検出してもよい。
【0048】
制御部10は、ハードウェア構成として、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有する演算回路と、プログラムメモリやデータメモリその他のRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を有する記憶装置等を備えてもよい。制御部10は、測定器1等の光測定装置100の各構成からデータを取得し、当該記憶装置に記憶されたプログラムに従って各種データを演算回路によって演算する。制御部10は、演算結果に応じて、画像処理部11、及び計測処理部12として機能させてもよい。
【0049】
なお、光測定装置100は、適宜、表示部を備えてもよい。当該表示部は、適宜、上記した第1の三次元断層画像データに基づいて、断層画像、及び平面画像を表示する。また、当該表示部は、適宜、上記した画像処理された画像データに基づいて、画像処理された断層画像、平面画像等を表示する。
【0050】
(平面画像の深さと皮膚の構造との関係)
次に、図15を参照して、実施の形態にかかる光測定方法のステップST11(図1参照)における、第1及び第2の平面画像の深さと、皮膚の構造との関係について説明する。図15は、肌の最表面とその断面との一例を示す模式図である。また、図15は、見やすさのため、ハッチングを省略した。
【0051】
肌は、多くの場合、図15に示す肌K100と同じ構成を備える。図15に示すように、肌K100は、皮下組織K1と、真皮K2と、表皮K3とを備え、この順に積層する。真皮K2は、例えば、2mm未満である。表皮K3の厚みは、例えば、0.2mmである。表皮K3は、最表面K31を備える。最表面K31は、外気と直接接触する。毛穴K5や汗孔K7が最表面K31に位置する。毛K4が毛穴K5から延び出る。毛K4の毛包K6が毛穴K5の底に位置し、毛穴K5の底は、皮下組織K1内、又は真皮K2内に位置する。エクリン汗腺K8は、真皮K2内に位置し、汗孔K7とつながる。脂腺K9、及び立毛筋K10は、真皮K2内に位置する。
【0052】
ステップST11では、光干渉断層撮影法を用いることによって肌K100から取得された第1の三次元断層画像データが利用される。この第1の三次元断層画像データは、肌の最表面と当該肌の内部における複数の平面画像を含む。
【0053】
複数の平面画像の深さDp1は、最表面K31から皮下組織K1までの範囲内であればよく、例えば、最表面K31から深さ5mmまでの範囲内である。
【0054】
第1の平面画像の深さDp11は、例えば、最表面K31から表皮K3内部と同じ深さまでの範囲内である。第1の平面画像の深さDp11は、例えば、最表面K31から30μm(=0.030mm)までの範囲内である。
【0055】
第2の平面画像の深さDp12は、例えば、最表面K31から皮下組織K1内部までの範囲内であればよく、例えば、最表面K31から深さ5mmまでの範囲内である。
【0056】
第2の平面画像の深さDp12が、表皮K3の内部であるとよい。表皮K3は、毛包K6、エクリン汗腺K8、脂腺K9、及び立毛筋K10を含まない傾向にある。そのため、深さDp12が、表皮K3の内部であると、第2の平面画像は、毛包K6、エクリン汗腺K8、脂腺K9、及び立毛筋K10の影響を受けなくてよい。よって、第2の平面画像がシワを安定して示し得て、毛穴の位置を良好な精度で検出することができてよい。
【0057】
第2の平面画像の深さDp12が、真皮K2の内部であるとよい。真皮K2は、毛穴K5、及び汗孔K7を含まない傾向にある。そのため、深さDp12が、真皮K2の内部であると、第2の平面画像は、毛穴K5、及び汗孔K7の影響を受けなくてよい。よって、第2の平面画像がシワを安定して示し得て、毛穴の位置を良好な精度で検出することができてよい。
【0058】
第2の平面画像の深さDp12が、皮下組織K1の内部であるとよい。深さDp12が、皮下組織K1の内部であると、毛穴K5、汗孔K7、エクリン汗腺K8、脂腺K9、及び立毛筋K10が皮下組織K1に無い傾向にある。そのため、深さDp12が、皮下組織K1の内部であると、第2の平面画像は、毛穴K5、汗孔K7、エクリン汗腺K8、脂腺K9、及び立毛筋K10の影響を受けなくてよい。よって、第2の平面画像がシワを安定して示し得て、毛穴の位置を良好な制度で検出することができてよい。
【0059】
(他の実施の形態)
上述の実施の形態では、本発明を光測定方法として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。光測定方法を光測定装置100(図14参照)が実施できるとよい。本発明は、任意の方法、又はステップを、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0060】
光測定装置100は、次のようなハードウェア構成を備えてもよい。図16は、光測定装置100に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【0061】
図16に示す装置200は、インタフェース203とともに、プロセッサ201及びメモリ202を備える。上述した実施の形態で説明した制御部10、画像処理部11及び計測処理部12(図14参照)は、プロセッサ201がメモリ202に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより実現される。つまり、この制御プログラムは、プロセッサ201を図14の制御部10又はその一部として機能させるためのプログラムである。この制御プログラムは、図14の制御部10又はその一部における処理を実行させるためのプログラムであると言える。
【0062】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0063】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、上記した実施の形態では、光干渉断層撮影を用いて肌から三次元断層画像データを取得したが、光超音波技術や共焦点顕微鏡などの光測定方法を用いて肌から三次元断層画像データ、又はそれに近い構成のデータを取得してもよい。
【0064】
また、上記した実施の形態、上記した実施の形態1、2に係る光測定方法で、多種多様な産業に利用することができる。このような産業として、例えば、美容、医療等が挙げられる。
【符号の説明】
【0065】
100 光測定装置
1 測定器 10 制御部
11 画像処理部 12 計測処理部
200 装置
201 プロセッサ 202 メモリ
203 インタフェース
A1、A11 断層図 B1、B2、B11、B12 平面
B11a、B12a、B13a 領域 B3、B13 透過部表面
CS1、CS2 断層図
H1 毛
K100 肌
K1 皮下組織 K2 真皮
K3 表皮 K31 最表面
K4 毛 K5 毛穴
K6 毛包
L1~L5、L11~L14 線
L51 一端部 L52 他端部
SK1、SK11 皮膚 SP1、SP11 空間
ST1~ST 、ST11~ST13、ST21~ST23、ST31~ST34、ST41~ST47 ステップ
T11、T21 透過部
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