(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G03G21/18 132
G03G21/18 153
(21)【出願番号】P 2022514342
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2021008523
(87)【国際公開番号】W WO2021205791
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2020069780
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 大夢
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198818(JP,A)
【文献】特開2018-205618(JP,A)
【文献】特開平02-139587(JP,A)
【文献】特開平06-035321(JP,A)
【文献】米国特許第04478512(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を中心として上方向に回動させた後で装置本体から取り外されるように構成されたプロセスユニットを備える画像形成装置であって、
前記プロセスユニットは、
所定の回転方向に沿って回転する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面に対向して現像ニップを形成する現像装置と、
シートの上面に接触して該シートを前記現像ニップよりも前記回転方向の下流側へ
向かう搬送方向に沿って案内するガイド部材と、
前記現像装置と前記ガイド部材との間に回動可能に支持されたシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記プロセスユニットが前記装置本体に装着された状態では、前記現像装置と前記ガイド部材との隙間を開放し、前記プロセスユニットが前記装置本体から取り外される際に上方に回動されると、前記現像装置と前記ガイド部材との隙間を閉止するように回動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シール部材は、
前記現像装置に対して回動可能に支持される軸部材と、
前記軸部材から下方に延びるように設けられた錘と、
前記軸部材に支持されるシート材と、を備え、
前記プロセスユニットが前記装置本体に装着された状態では、前記シート材は前記ガイド部材から離間した姿勢に前記錘によって支持され、
前記プロセスユニットが前記装置本体から取り外される際に上方に回動されると、前記軸部材が前記現像装置に対して相対的に回動して、前記シート材が前記ガイド部材に接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の下面は、前記搬送方向に沿って上向きの円弧状に湾曲した平面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセスユニットが前記装置本体に装着された状態では、前記シール部材は、前記シート材が略水平な姿勢に支持されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、前記感光体ドラムよりも前記回動軸から遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムから転写ニップにシートを案内するガイド部材を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、現像装置の現像ローラーと感光体ドラムとの間に現像ニップが形成され、転写ローラーと感光体ドラムとの間に転写ニップが形成される。感光体ドラムに形成された静電潜像は、現像ニップでトナー像に現像され、現像されたトナー像が、転写ニップで感光体ドラムからシートに転写される。シートは、所定の搬送方向に沿って搬送されて、ガイド部材によって転写ニップに案内される。シートの搬送方向において、転写ニップよりも上流側の搬送路や、搬送路の近傍は、現像装置から飛散した現像剤(トナー)が堆積しやすい。
【0003】
そこで、現像装置とガイド部材との間へのトナーの侵入を防ぐために、ガイド部材と現像装置との間の隙間がスポンジ等の閉塞部材で塞がれる場合がある。
【0004】
一方で、画像形成装置は、現像装置や感光体ドラムがユニット化されたプロセスユニットが、装置本体に対して着脱可能に支持される場合がある。プロセスユニットは、水平方向に沿う回動軸と中心として上方向に回動させた後で、回動軸と直交する方向に沿って引き出されることで装置本体から取り外される。前述の閉塞部材は、プロセスユニットを回動した際に、ガイド部材の上面に堆積したトナーの落下を防ぐという役割もある。
【0005】
閉塞部材を備える場合、ガイド部材に沿って案内されたシートの先端が感光体ドラムに接触した際に、現像装置と、閉塞部材と、ガイド部材と、シートと、感光体ドラムとによって閉じた空間が形成される。感光体ドラムの回転に伴ってシートが移動すると、シートの移動分だけ空間の体積が変動して空間内に気流が発生し、感光体ドラムに形成されたトナー像の位置がずれて横筋等の画像欠陥が発生するという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載のガイド部材は、先端部にリブが設けられて、搬送されたシートと先端部との間にリブを介した隙間が形成される。これにより、前記の空間において、感光体ドラムの回転に伴ってシートが移動した場合の空間の体積が変動を小さくできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記特許文献1に記載のガイド部材では、ガイド部材とシートとの間に隙間が開いているので、この隙間を通って搬送路へ流れる気流が発生する場合がある。すると、飛散したトナーがこの気流に乗って搬送路へ流れ込むという問題がある。このように、閉塞部材を設けた際の問題が十分に解消されていない状況では、前述の閉じた空間を形成しないように、閉塞部材を設けないことが好ましい。しかし、閉塞部材を設けない場合、プロセスユニットを回動した際に、ガイド部材の上面に堆積したトナーが落下するという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情を考慮し、転写ニップへシートが進入する際の気流の発生を抑制すると共に、プロセスユニットの回動時のトナーの落下を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、回動軸と中心として上方向に回動させた後で装置本体から取り外されるように構成されたプロセスユニットを備える画像形成装置であって、前記プロセスユニットは、所定の回転方向に沿って回転する感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面に対向して現像ニップを形成する現像装置と、シートの上面に接触して該シートを前記現像ニップよりも前記回転方向の下流側へ案内するガイド部材と、前記現像装置と前記ガイド部材との間に回動可能に支持されたシール部材と、を備え、前記シール部材は、前記プロセスユニットが前記装置本体に装着された状態では、前記現像装置と前記ガイド部材との隙間を開放し、前記プロセスユニットが前記装置本体から取り外される際に上方に回動されると、前記現像装置と前記ガイド部材との隙間を閉止するように回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プロセスユニットの回動に伴って、シール部材が、ガイド部材と現像装置との間の隙間を開放する姿勢と、ガイド部材に堆積したトナーを堰き止める姿勢とに回動するので、シートが転写ニップへ搬送される際の気流の発生を抑制できると共にガイド部材に堆積したトナーの落下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を模式的に示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のシール部材を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、プロセスユニット装着時のシール部材を示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、現像装置に取り付けられたシール部材の端部を示す斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、上カバーが開かれた状態を模式的に示す側面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、前カバーが開かれて、プロセスユニットが回動した状態を模式的に示す側面図である。
【
図5C】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、プロセスユニットが装置本体から引き出される状態を模式的に示す側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、プロセスユニット回動時のシール部材を示す側面図である。
【
図7】比較例として、感光体ドラムにシートが当接した状態を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の画像形成装置について説明する。
【0014】
まず、
図1を用いて、画像形成装置の全体の構成について説明する。
図1は画像形成装置の内部構成を模式的に示す側面図である。以下、
図1における紙面左側を画像形成装置の正面側(前側)とする。各図に示される、Fr、Rr、L、Rは、画像形成装置の前側、後側、左側、右側を示す。
【0015】
画像形成装置1は、略直方体状の中空部を有する装置本体3を備えている。装置本体3の天板には、垂直な後壁5と、後壁5の下端から前方に向けて上方に傾斜した排出トレイ7と、が形成されている。また、天板には、排出トレイ7の前方に開口が形成されている。開口は上カバー9によって開閉される。上カバー9が開かれると、装置本体3の中空部が開口を通して露出する。後壁5の上部には、シートの排出口11が形成されている。
【0016】
装置本体3の前板の下部には、手差し給紙口13が形成されている。さらに、装置本体3の前板には、手差しトレイ15が、手差し給紙口13の下方の支点を中心として回動可能に支持されている。また、前板には、手差し給紙口13よりも上方に開口が形成されている。開口は前カバー17によって開閉される。前カバー17が開かれると、装置本体3の中空部が開口を通して露出する。
【0017】
装置本体3の中空部には、給紙カセット21と、給紙部23と、画像形成部25と、定着装置27と、が収容されている。さらに、装置本体3内には、シートが搬送される主搬送路29、反転路31、手差し経路33が形成されている。
【0018】
給紙カセット21は、中空部の下部に収容されて、装置本体3の前板に形成された開口を通して前後方向って着脱可能である。給紙カセット21は、シートSが載置される載置板37と、リタードローラー39と、を備えている。載置板37は、給紙カセット21の底板に、後端部を中心として上下方向に回動可能に支持されている。リタードローラー39は、載置板37の前方に配置されている。
【0019】
給紙部23は、給紙カセット21の前端部の上方に配置されて、ピックアップローラー41と、ピックアップローラー41の前方に配置されるフィードローラー43と、を備えている。ピックアップローラー41は、上方に回動した載置板37に載置されたシートSに接触して回転し、シートSを前方に送り出す。フィードローラー43はリタードローラー39に接触して、両者間に分離ニップを形成する。
【0020】
画像形成部25は、給紙カセット21の上方に配置されて、感光体ドラム47と、帯電器49と、現像装置51と、転写ローラー53と、クリーニング装置55と、露光装置57と、を含んでいる。感光体ドラム47は、
図1の反時計回り方向に回転可能に支持されている。帯電器49と、現像装置51と、転写ローラー53と、クリーニング装置55とは、感光体ドラム47の周囲に、感光体ドラム47の回転方向に沿って順に配置されている。この例では、感光体ドラム47の上方に帯電器49が配置され、前方に現像装置51が配置され、下方に転写ローラー53が配置され、後方にクリーニング装置55が配置されている。
【0021】
現像装置51は、現像ハウジング61と、2本の撹拌部材63と、現像ローラー65と、を備えている。2本の撹拌部材63は現像ハウジング61内に収容されて、現像剤を撹拌する。現像ローラー65は、現像ハウジング61の開口を通して感光体ドラム47に対向するように配置されて、現像ローラー65と感光体ドラム47との間に現像ニップを形成する。現像ニップにおいて、現像ローラー65から感光体ドラム47へトナーが移動する。現像ハウジング61には、トナーコンテナ67が着脱可能に接続している。
【0022】
転写ローラー53は下方から感光体ドラム47に対向して、感光体ドラム47と転写ローラー53との間に転写ニップを形成している。
【0023】
定着装置27は、画像形成部25の後方に配置されて、定着ローラーと加圧ローラーとを備えている。
【0024】
主搬送路29は、分離ニップから上向きに湾曲した後、転写ニップと定着装置27とを通るように略水平に後方に延び、定着装置27から上向きに湾曲して排出口11に向かうように形成されている。主搬送路29に沿う方向をシートSの搬送方向とし、以下の説明における上流側及び下流側は、シートSの搬送方向における上流側及び下流側を示す。反転路31は、定着装置27の下流側で主搬送路29から分岐し、分離ニップの下流側で主搬送路29に合流している。手差し経路33は、手差し給紙口13から、分離ニップの下流側で主搬送路29に合流している。
【0025】
主搬送路29には、上流側から順に、中間ローラー対71、レジストローラー対73、スイッチバック部75、排出ローラー対77、が備えられている。中間ローラー対71は、反転路31及び手差し経路33と主搬送路29との合流部の下流側に配置されている。レジストローラー対73は、中間ローラー対71と転写ニップとの間に配置されている。スイッチバック部75は、定着装置27の下流側に配置されている。排出ローラー対77は、排出口11の内側に配置されている。
【0026】
レジストローラー対73から転写ニップまでの主搬送路29は、現像装置51の下方において、上ガイド部材81と下ガイド部材83との間に、前方から後方に向かって略水平方向に沿って形成されている。上ガイド部材81は、現像装置51の現像ハウジング61に支持され、下ガイド部材83は装置本体3に支持されている。
【0027】
上ガイド部材81は、最大サイズのシート幅に対応する幅と、搬送方向に沿った所定の長さとを有している。上ガイド部材81の下面は平面状であり、搬送方向に沿って上向きの円弧状に湾曲している。
【0028】
感光体ドラム47と、帯電器49と、現像装置51と、クリーニング装置55と、トナーコンテナ67と、上ガイド部材81とは、プロセスユニットPとしてユニット化されている。前述のように、感光体ドラム47の上方に帯電器49が配置され、前方に現像装置51と上ガイド部材81とが配置され、後方にクリーニング装置55が配置されている。プロセスユニットPは、クリーニング装置55の側の端部が、水平方向に沿った回動軸87を中心として回動可能に支持されて、装置本体3に対して所定の位置に位置決めされている。すなわち、プロセスユニットPが所定の位置に装着されると、感光体ドラム47は転写ローラー53に対向して転写ニップを形成し、上ガイド部材81は下ガイド部材83と対向して主搬送路を形成する。プロセスユニットPの着脱については後述する。
【0029】
現像装置51と上ガイド部材81との間の隙間Gには、シール部材91が備えられている。シール部材91について、
図2~
図4を参照して説明する。
図2はシール部材を示す斜視図、
図3は現像装置に取り付けられたシール部材を示す側面図、
図4は現像装置に取り付けられたシール部材の端部を示す斜視図である。
【0030】
図2に示されるように、シール部材91は、軸部材93と、軸部材93に片持ち式に支持されるシート材95と、軸部材93の左右両端にそれぞれ設けられる錘99と、各錘99の外側から突出するボス97と、を備えている。
【0031】
軸部材93は、断面矩形状の細長い部材であり、シートSの最大幅よりも長い長さを有している。軸部材93の後面には、軸部材93と同じ厚さを有する複数個の固定片93aが、左右方向に所定の間隔を開けて突出している。シート材95は、左右方向に長い矩形状を有し、可撓性を有する材料で形成されている。シート材95の前端部は、軸部材93及び固定片93aの下面に、接着等により固定されている。
【0032】
2個の錘99のそれぞれは、上下方向に長い直方体形状を有し、樹脂等の材料で形成されている。軸部材93の左右端面は、錘99の内側の面の上部に固定されて、錘99は軸部材93から下方に延びている。ボス97は、各錘99の外側の面の上部に突設されている。
【0033】
図3に示されるように、シール部材91は、シート材95が感光体ドラム47とは反対側の前方に延出した姿勢で、感光体ドラム47にできるだけ近接した位置に配置される。そして、両方のボス97(
図2参照)が現像ハウジング61の下面に形成された軸支部61a(
図4参照)に回転可能に支持されている。また、左右の錘99は、上ガイド部材81に形成された切り欠き81a(
図4参照)内に収容される。
【0034】
シール部材91は、シート材95が略水平な姿勢に、錘99によって支持される。詳細には、固定片93aとシート材95が軸部材93を
図3の反時計回り方向に回転させる力と、錘99が軸部材93を
図3の時計回り方向に回転させる力とが釣り合った位置で、シート材95が略水平な姿勢となるように、錘99の重さが設定されている。このシール部材91の姿勢を平衡姿勢とする。
【0035】
このようにシール部材91が平衡姿勢に支持された状態において、シート材95の先端部は上ガイド部材81から上方に離間している。すなわち、プロセスユニットPが装置本体3に装着された状態では、現像装置51の現像ハウジング61と上ガイド部材81との間には隙間Gが開いている。
【0036】
次に、画像形成動作について説明する。まず、帯電器49が感光体ドラム47を帯電し、画像データに基づいて露光装置57が感光体ドラム47を露光する。これにより、感光体ドラム47に静電潜像が形成される。現像装置51は、静電潜像をトナー像に現像する。一方で、給紙カセット21の載置板37に載置されたシートSはピックアップローラー41で給紙され、分離ニップにおいて捌かれた後で主搬送路29に搬送される。シートSは、その後、中間ローラー対71によって搬送され、レジストローラー対73によって搬送タイミングを調整された後、転写ニップへ搬送される。
【0037】
レジストローラー対73を通過したシートSは、上側の面が、上ガイド部材81の下面に沿って搬送され、上ガイド部材81の下面の湾曲方向に沿って、上ガイド部材81から感光体ドラム47に案内される。この際、シートSの先端は、感光体ドラム47の回転方向の上流側から感光体ドラム47の表面に接触し、感光体ドラム47の回転に伴って転写ニップへ進入する。
【0038】
転写ニップにおいて、感光体ドラム47に形成されたトナー像がシートSに転写される。その後、シートSは定着装置27に搬送される。定着装置27は、トナー像をシートに定着する。トナー像が定着されたシートは主搬送路29に沿って排出口11に向けて搬送され、排出ローラー対77によって排出口11から排出されて排出トレイ7に積載される。トナー像がシートに転写された後で感光体ドラム47に残留したトナーはクリーニング装置55で除去される。
【0039】
次に、
図5A~
図5C及び
図6を参照して、プロセスユニットPの取り外し方法の一例について説明する。
図5A~
図5Cは、プロセスユニットが回動した状態の画像形成装置を模式的に示す側面図である。
図6は、プロセスユニット回動時のシール部材を示す側面図である。
【0040】
プロセスユニットPを装置本体3から取り外す際、まず、
図5Aに示されるように、上カバー9を開いて装置本体3の中空部を開放する。そして、トナーコンテナ67(
図1参照)を現像装置51から取り外して、装置本体3の天板の開口を通して引き出す。次に、
図6Bに示されるように、前カバー17を開き、プロセスユニットPを、回動軸87を中心として上方に回動させる。回動角度は、例えば、11度である。
【0041】
プロセスユニットPの回動に伴い、
図6に示されるように、シール部材91は、現像装置51に対して
図6の反時計回り方向に自重によって回動し、シート材95の先端部が上ガイド部材81に接触する。この際、シート材95の先端部は、上ガイド部材81の上面に沿ってやや変形し、シール部材91は平衡姿勢から
図6の反時計回り方向にやや回動する。プロセスユニットPの回動時、錘99は上ガイド部材81には接触しない。
【0042】
その後、
図5Cに示されるように、プロセスユニットPを、装置本体3の天板及び前板の開口を通して斜め前上方向に沿って引き出す。これにより、プロセスユニットPが装置本体3から取り外される。
【0043】
図7を参照して、比較例として、現像装置51と上ガイド部材81との間の隙間Gを塞ぐ閉塞部材101が設けられた場合について説明する。この場合、シートSの先端が感光体ドラム47の表面に接触した際に、現像装置51(現像ハウジング61及び現像ローラー65)と、閉塞部材101と、上ガイド部材81と、シートSと、感光体ドラム47とによって囲まれる閉じた空間Xが形成される。感光体ドラム47の回転に伴ってシートSの先端が転写ニップの方向へ移動すると、移動した分Yだけ空間Xの体積が変動する(増える)。このように空間Xの体積が変動すると、空間X内に下方に向かう気流が発生し、感光体ドラム47の表面に形成されたトナー像の位置が下方にずれて、横筋等の画像欠陥が発生する。
【0044】
これに対して、本実施形態では、前述のように、現像装置51と上ガイド部材81との間には隙間Gが開いており、比較例のような閉じた空間は形成されない。したがって、感光体ドラム47の回転に伴ってシートSの先端が転写ニップの方向へ移動した場合の気流の発生を抑制できるので、画像欠陥は発生しない。
【0045】
ただし、このように隙間Gが空いていると、隙間Gを通って飛散したトナーが上ガイド部材81に堆積する場合がある。すると、プロセスユニットPを装置本体3から取り外す際にプロセスユニットPを上方に回動させると、上ガイド部材81に堆積したトナーTが、上ガイド部材81と現像装置51との間の隙間Gを通って落下する虞がある。
【0046】
しかし、本実施形態では、プロセスユニットPを装置本体3から取り外す際にプロセスユニットPを回動させると、
図6に示されるように、シール部材91のシート材95の先端部が上ガイド部材81に接触するので、上ガイド部材81に堆積したトナーTがシート材95で堰き止められる。したがって、上ガイド部材81に堆積したトナーの落下を防ぐことができる。
【0047】
また、シール部材91は、プロセスユニットPの回動に伴って、上ガイド部材81と現像装置51との間の空間を開放する姿勢と、シート材95が上ガイド部材81に接触する姿勢とに自重によって回動するので、シール部材91を回動させる構成が不要になる。
【0048】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。