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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】信号伝送線路
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240409BHJP
   H01P 3/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K1/02 A
H01P3/08 200
H01P3/08 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022516926
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2021014114
(87)【国際公開番号】W WO2021215216
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2020077161
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】飯田 汗人
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/130731(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0214802(US,A1)
【文献】特開2015-104131(JP,A)
【文献】特開2005-303778(JP,A)
【文献】米国特許第05724012(US,A)
【文献】特開2017-123404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁基材層が上下方向に積層され、上下方向に曲げられる第1区間を有する基材と、
前記基材に設けられている信号導体層と、
前記基材に設けられていて、下方向に見て前記信号導体層重なるように、前記信号導体層の上に配置されている第1グランド導体層と、
前記第1区間に形成された1以上の第1スペーサと、
を備えており、
記信号導体層及び前記複数の絶縁基材層のうちの一部を含んでいる信号領域と、前記第1グランド導体層及び前記複数の絶縁基材層のうちの一部を含み、かつ、前記信号領域の上に位置する第1グランド領域と、を含んでおり、
前記信号領域は、前記基材の前記第1区間において、前記第1グランド領域に固定されておらず、
前記1以上の第1スペーサは、前記信号領域に設けられており、かつ、前記第1グランド領域に固定されずに接触しており、又は、前記1以上の第1スペーサは、前記第1グランド領域に設けられており、かつ、前記信号領域に固定されずに接触しており、
前記1以上の第1スペーサは、前記第1区間に配置されてい
前記第1区間に、前記1以上の第1スペーサにより前記信号導体層と前記第1グランド導体層との間に形成された空隙が、前記下方向に見て前記信号導体層に交差する方向に前記基材の全幅を横断する、
信号伝送線路。
【請求項2】
前記1以上の第1スペーサの材料のヤング率は、前記基材の材料のヤング率より高い、
請求項1に記載の信号伝送線路。
【請求項3】
前記基材は、前記第1区間の曲率半径より大きな曲率半径を有する第2区間を有しており、
前記信号伝送線路は、1以上の第2スペーサを更に備えており、
前記1以上の第2スペーサは、前記信号領域及び前記第1グランド領域に固定されており、
前記1以上の第2スペーサは、前記第2区間に配置されている、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項4】
前記1以上の第2スペーサは、前記第1グランド導体層に固定されている、
請求項3に記載の信号伝送線路。
【請求項5】
前記第2区間において、上下方向において前記信号導体層と前記第1グランド導体層との間に第2空隙が配置されており、
前記基材に前記第2空隙が設けられることにより、前記信号領域が、前記第2区間において、前記第1グランド領域に固定されていない、
請求項3又は請求項4のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項6】
前記1以上の第1スペーサは、はんだバンプである、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項7】
前記信号伝送線路は、複数の前記第1スペーサを備えている、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項8】
前記第2スペーサは、はんだバンプである、
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項9】
前記第1区間において、上下方向において前記信号導体層と前記第1グランド導体層との間に第1空隙が配置されており、
前記信号領域が、前記第1区間において、前記第1グランド領域に固定されておらず、
前記1以上の第1スペーサは、前記第1空隙内に配置されている、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項10】
前記1以上の第1スペーサは、前記信号領域に固定されており、かつ、前記第1グランド領域に固定されずに接触している、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項11】
前記1以上の第1スペーサは、前記第1グランド導体層に接触している、
請求項10に記載の信号伝送線路。
【請求項12】
前記基材は、可撓性を有する、
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項13】
前記第1区間は、前記基材の上面が山折りされることにより曲げられていると共に、前記基材の上面が谷折りされることにより曲げられている、
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項14】
前記1以上の第1スペーサは、前記下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっている、
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の信号伝送線路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号導体層及びグランド導体層を備える信号伝送線路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の信号伝送線路に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の信号伝送線路が知られている。特許文献1に記載の信号伝送線路は、積層体、信号導体、第1グランド導体及び第2グランド導体を備えている。積層体は、複数の樹脂シートが上下方向に積層された構造を有する。積層体は、可撓性を有している。信号導体、第1グランド導体及び第2グランド導体は、積層体に設けられている。第1グランド導体は、信号導体の上に配置されている。第2グランド導体は、信号導体の下に配置されている。これにより、信号導体、第1グランド導体及び第2グランド導体は、ストリップライン構造を有している。また、積層体において、第1グランド導体と信号導体との間に空隙が設けられている。同様に、積層体において、第2グランド導体と信号導体との間に空隙が設けられている。これにより、特許文献1に記載の信号伝送線路では、誘電損失の発生を抑制している。このような特許文献1に記載の信号伝送線路は、上下方向に曲げられた状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/130731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の信号伝送線路が上下方向に曲げられると、信号伝送線路の特性インピーダンスが変化する。以下では、第2グランド導体が第1グランド導体より内側に位置するように信号伝送線路が曲げられた場合を例に挙げて説明する。信号伝送線路が曲げられると、樹脂シートに引っ張り応力及び圧縮応力が発生する。特に、信号導体より内側に位置する樹脂シートには、圧縮応力が発生する。このような圧縮応力は、信号導体より内側に位置する樹脂シートの一部に集中しやすい。そのため、信号導体より内側に位置する樹脂シートの一部分は、屈曲するように変形する。その結果、信号導体と第2グランド導体との間隔が変化する。信号導体と第2グランド導体との間の容量値が変化する。その結果、信号伝送線路の特性インピーダンスが変化する。なお、詳細な説明を省略するが、信号導体より外側に位置する樹脂シートにも変形が発生し、信号導体と第1グランド導体との間の容量値が変化する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、基材が上下方向に曲げられた場合であっても、信号伝送線路の特性インピーダンスの変化を抑制できる信号伝送線路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る信号伝送線路は、
信号伝送線路であって、
複数の絶縁基材層が上下方向に積層された構造を有する基材であって、上下方向に曲げられる第1区間を有する基材と、
前記基材に設けられている信号導体層と、
前記基材に設けられている第1グランド導体層であって、下方向に見て前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の上に配置されている第1グランド導体層と、
1以上の第1スペーサと、
を備えており、
前記信号伝送線路は、前記信号導体層及び前記複数の絶縁基材層の内の一部を含んでいる信号領域と、前記第1グランド導体層及び前記複数の絶縁基材層の内の一部を含み、かつ、前記信号領域の上に位置する第1グランド領域と、を含んでおり、
前記信号領域は、前記基材の前記第1区間において、前記第1グランド領域に固定されておらず、
前記1以上の第1スペーサは、前記信号領域に固定されており、かつ、前記第1グランド領域に固定されずに接触しており、又は、前記1以上の第1スペーサは、前記信号領域に固定されずに接触しており、かつ、前記第1グランド領域に固定されており、
前記1以上の第1スペーサは、前記第1区間に配置されている。
【0007】
以下に、本明細書における用語の定義について説明する。本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。
【0008】
以下では、第1部材ないし第3部材とは、信号伝送線路の構成を意味する。本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【0009】
本明細書における任意の2つの部材を第1部材及び第2部材と定義した場合、任意の2つの部材の関係は以下のような意味になる。本明細書において、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定されている)場合、及び、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含む。また、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0010】
本明細書において、第1部材が第2部材に固定されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている場合を含み、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含まない。また、第1部材が第2部材に固定されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0011】
本明細書において、「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材と第2部材との間で電気が導通していることを意味する。従って、第1部材と第2部材とが接触していてもよいし、第1部材と第2部材とが接触していなくてもよい。第1部材と第2部材とが接触していない場合には、第1部材と第2部材との間に導電性を有する第3部材が配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る信号伝送線路によれば、基材が上下方向に曲げられた場合であっても、信号伝送線路の特性インピーダンスの変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、信号伝送線路10,10a,10bの外観斜視図である。
図2図2は、信号伝送線路10の分解斜視図である。
図3図3は、図1のA-Aにおける断面図である。
図4図4は、信号伝送線路10の製造時の工程断面図である。
図5図5は、信号伝送線路10の製造時の工程断面図である。
図6図6は、信号伝送線路10の製造時の工程断面図である。
図7図7は、図1のA-Aにおける断面図である。
図8図8は、信号伝送線路10aの分解斜視図である。
図9図9は、信号伝送線路10aの製造時の工程断面図である。
図10図10は、信号伝送線路10aの製造時の工程断面図である。
図11図11は、信号伝送線路10aの製造時の工程断面図である。
図12図12は、信号伝送線路10bの分解斜視図である。
図13図13は、図1のA-Aにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
[信号伝送線路の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る信号伝送線路10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、信号伝送線路10,10a,10bの外観斜視図である。図2は、信号伝送線路10の分解斜視図である。図3は、図1のA-Aにおける断面図である。
【0015】
また、本明細書において、方向を以下のように定義する。信号伝送線路10の基材12の積層方向を上下方向と定義する。基材12の長手方向を左右方向と定義する。基材12の短手方向を前後方向と定義する。上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交している。なお、本明細書における方向の定義は、一例である。従って、信号伝送線路10の実使用時における方向と本明細書における方向とが一致している必要はない。
【0016】
信号伝送線路10は、例えば、携帯電話等の電子機器内において、2つの回路基板を接続するために用いられる。信号伝送線路10は、図1及び図2に示すように、基材12、信号導体層20、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24、外部電極26,28、複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16、複数の第3スペーサb17,b18、複数のビアホール導体v1~v10及び複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76を備えている。
【0017】
なお、図2では、複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16、複数の第3スペーサb17,b18、複数のビアホール導体v1~v8及び複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76の内の、代表的なスペーサ、ビアホール導体及び接続導体層に参照符号を付した。
【0018】
基材12は、板形状を有している。基材12は、図1に示すように、下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。従って、基材12の左右方向の長さは、基材12の前後方向の長さより長い。基材12の前後方向の長さは、基材12の上下方向の長さより長い。基材12は、可撓性を有する。従って、基材12は、電子機器内において上下方向に曲げられた状態で用いられる。そこで、基材12は、図2及び図3に示すように、第1区間A11及び第2区間A12,A13を有している。第1区間A11は、上下方向に曲げられる区間である。第2区間A12,A13は、上下方向に曲げられない区間である。すなわち、第2区間A12,A13は、第1区間A11の曲率半径より大きい曲率半径を有する。第2区間A12は、第1区間A11の左に位置している。第2区間A12は、第1区間A11と隣接している。第2区間A13は、第1区間A11の右に位置している。第2区間A13は、第1区間A11と隣接している。
【0019】
基材12は、複数の絶縁基材層16a~16e,18a,18bが上下方向に積層された構造を有している。絶縁基材層18a,16a~16e,18bは、上から下へとこの順に並ぶように積層されている。絶縁基材層16a~16eは、可撓性を有する誘電体シートである。絶縁基材層16a~16eの材料は、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂である。絶縁基材層16b~16dは、下方向に見て、基材12と同じ長方形状を有している。
【0020】
絶縁基材層16aは、絶縁基材層左部16a-1と絶縁基材層右部16a-2とに分離されている。絶縁基材層左部16a-1及び絶縁基材層右部16a-2は、下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。絶縁基材層左部16a-1及び絶縁基材層右部16a-2は、左から右へとこの順に並んでいる。絶縁基材層左部16a-1は、第2区間A12に配置されている。絶縁基材層右部16a-2は、第2区間A13に配置されている。絶縁基材層左部16a-1と絶縁基材層右部16a-2とは、左右方向に離れて配置されている。従って、絶縁基材層16aは、第1区間A11に配置されていない。
【0021】
絶縁基材層16eは、絶縁基材層左部16e-1と絶縁基材層右部16e-2とに分離されている。絶縁基材層左部16e-1及び絶縁基材層右部16e-2は、下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。絶縁基材層左部16e-1及び絶縁基材層右部16e-2は、左から右へとこの順に並んでいる。絶縁基材層左部16e-1は、第2区間A12に配置されている。絶縁基材層右部16e-2は、第2区間A13に配置されている。絶縁基材層左部16e-1と絶縁基材層右部16e-2とは、左右方向に離れて配置されている。従って、絶縁基材層16eは、第1区間A11に配置されていない。
【0022】
信号導体層20は、基材12に設けられている。より詳細には、信号導体層20は、絶縁基材層16cの上面に設けられている。これにより、信号導体層20は、基材12内に設けられている。信号導体層20は、図2に示すように、左右方向に延びる線形状を有している。信号導体層20は、絶縁基材層16cの上面の前後方向の中央に配置されている。信号導体層20の左端は、絶縁基材層16cの左端部に位置している。信号導体層20の右端は、絶縁基材層16cの右端部に位置している。信号導体層20には、高周波信号が伝送される。
【0023】
第1グランド導体層22は、基材12に設けられている。第1グランド導体層22は、下方向に見て信号導体層20と重なるように、信号導体層20の上に配置されている。本明細書において、「第1グランド導体層22が信号導体層20の上に配置される。」とは、以下の状態を指す。第1グランド導体層22の少なくとも一部は、信号導体層20が上方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、第1グランド導体層22は、信号導体層20が上方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、信号導体層20が上方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。本実施形態では、第1グランド導体層22は、信号導体層20が上方向に平行移動するときに通過する領域から突出している。
【0024】
第1グランド導体層22は、絶縁基材層16aの上面に設けられている。ただし、第1グランド導体層22は、絶縁基材層左部16a-1と絶縁基材層右部16a-2との間の区間(すなわち、第1区間A11)にも設けられている。第1グランド導体層22は、第1区間A11では、後述する絶縁基材層18aの下面に沿って左右方向に延びている。これにより、第1グランド導体層22は、基材12内に設けられている。第1グランド導体層22は、図2に示すように、下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。第1グランド導体層22は、下方向に見て、基材12と略一致する形状を有している。ただし、第1グランド導体層22は、下方向に見て、基材12より僅かに小さい。第1グランド導体層22には、グランド電位が接続される。
【0025】
第2グランド導体層24は、基材12に設けられている。第2グランド導体層24は、下方向に見て信号導体層20と重なるように、信号導体層20の下に配置されている。より詳細には、第2グランド導体層24は、絶縁基材層16eの下面に設けられている。ただし、第2グランド導体層24は、絶縁基材層左部16e-1と絶縁基材層右部16e-2との間の区間(すなわち、第1区間A11)にも設けられている。第2グランド導体層24は、第1区間A11では、後述する絶縁基材層18bの上面に沿って左右方向に延びている。これにより、第2グランド導体層24は、基材12内に設けられている。第2グランド導体層24は、図2に示すように、下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。第2グランド導体層24は、下方向に見て、基材12と略一致する形状を有している。ただし、第2グランド導体層24は、下方向に見て、基材12より僅かに小さい。第2グランド導体層24には、グランド電位が接続される。以上のような、信号導体層20、第1グランド導体層22及び第2グランド導体層24は、ストリップライン構造を有している。
【0026】
外部電極26は、絶縁基材層左部16e-1の下面に設けられている。外部電極26は、下方向に見て、長方形状を有している。外部電極26が第1グランド導体層22と絶縁されるように、外部電極26の周囲には第2グランド導体層24が設けられていない。外部電極26は、下方向に見て、信号導体層20の左端部と重なっている。外部電極26は、図示しない第1コネクタの中心導体に電気的に接続される。これにより、高周波信号は、外部電極26を介して、信号導体層20に入出力する。外部電極28は、外部電極26と左右対称な構造を有する。従って、外部電極28の説明を省略する。
【0027】
絶縁基材層18a,18bは、可撓性を有するレジスト層である。絶縁基材層18a,18bは、下方向に見て、基材12と同じ長方形状を有している。絶縁基材層18aは、絶縁基材層16aの上面の全面を覆っている。これにより、絶縁基材層18aは、第1グランド導体層22を保護している。
【0028】
絶縁基材層18bは、絶縁基材層16eの下面の略全面を覆っている。これにより、絶縁基材層18bは、第2グランド導体層24を保護している。ただし、絶縁基材層18bには、開口h1~h8が設けられている。開口h1は、下方向に見て、外部電極26と重なっている。これにより、外部電極26は、開口h1を介して信号伝送線路10から外部に露出している。開口h2は、開口h1の前に設けられている。開口h3は、開口h1の左に設けられている。開口h4は、開口h1の後に設けられている。これにより、第2グランド導体層24は、開口h2~h4を介して信号伝送線路10から外部に露出している。なお、開口h5~h8はそれぞれ、開口h1~h4と左右対称な構造を有する。従って、開口h5~h8の説明を省略する。
【0029】
複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44は、絶縁基材層16bの上面に設けられている。複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44は、下方向に見て、長方形状を有している。複数の接続導体層30は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の後に配置されている。複数の接続導体層30は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。ここで、「下方向に見て、複数の接続導体層30が信号導体層20の後に配置される。」とは、以下の状態を指す。下方向に見て、複数の接続導体層30が信号導体層20の後に配置され、かつ、下方向以外の方向に見て、複数の接続導体層30が信号導体層20の後に配置されていても、複数の接続導体層30が信号導体層20の後に配置されていなくてもよい。
【0030】
複数の接続導体層34は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の前に配置されている。複数の接続導体層34は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。接続導体層38は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の左端の左に配置されている。複数の接続導体層42は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の後に配置されている。複数の接続導体層42は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数の接続導体層44は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の前に配置されている。複数の接続導体層44は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。なお、複数の接続導体層32,36,40はそれぞれ、複数の接続導体層30,34,38と左右対称な構造を有する。従って、複数の接続導体層32,36,40の説明を省略する。
【0031】
複数の接続導体層46,48,50,52,54,56,58,60は、絶縁基材層16cの上面に設けられている。複数の接続導体層46,48,50,52,54,56,58,60は、下方向に見て、長方形状を有している。ただし、複数の接続導体層46,48,50,52,54,56,58,60のそれぞれの構造は、複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44の構造と同じであるので、説明を省略する。
【0032】
複数の接続導体層62,64,66,68,70,72,74,76は、絶縁基材層16dの下面に設けられている。複数の接続導体層62,64,66,68,70,72,74,76は、下方向に見て、長方形状を有している。ただし、複数の接続導体層62,64,66,68,70,72,74,76のそれぞれの構造は、複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44の構造と同じであるので、説明を省略する。
【0033】
以上のような信号導体層20、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24、外部電極26,28及び複数の接続導体層30、32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76は、例えば、絶縁基材層16a~16eの上面又は下面に設けられた銅箔にエッチングが施されることにより形成されている。
【0034】
複数のビアホール導体v1~v8は、絶縁基材層16b~16eを上下方向に貫通している。複数のビアホール導体v1~v8のそれぞれは、絶縁基材層16bを上下方向に貫通するビアホール導体、絶縁基材層16cを上下方向に貫通するビアホール導体、及び、絶縁基材層16dを上下方向に貫通するビアホール導体が上から下へとこの順に接続された構造を有する。
【0035】
複数のビアホール導体v1は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の後に配置されている。複数のビアホール導体v1は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数のビアホール導体v1は、接続導体層30,46,62を電気的に接続している。複数のビアホール導体v3は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の前に配置されている。複数のビアホール導体v3は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数のビアホール導体v3は、接続導体層34,50,66を電気的に接続している。ビアホール導体v5は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の左端の左に配置されている。ビアホール導体v5は、接続導体層38,54,70を電気的に接続している。複数のビアホール導体v2,v4,v6は、複数のビアホール導体v1,v3,v5と左右対称な構造を有する。従って、複数のビアホール導体v2,v4,v6の説明を省略する。
【0036】
複数のビアホール導体v7は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の後に配置されている。複数のビアホール導体v7は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数のビアホール導体v7は、接続導体層42,58,74を電気的に接続している。複数のビアホール導体v8は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の前に配置されている。複数のビアホール導体v8は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数のビアホール導体v8は、接続導体層44,60,76を電気的に接続している。
【0037】
複数のビアホール導体v9,v10は、絶縁基材層16c~16eを上下方向に貫通している。複数のビアホール導体v9,v10のそれぞれは、絶縁基材層16cを上下方向に貫通するビアホール導体、絶縁基材層16dを上下方向に貫通するビアホール導体、及び、絶縁基材層16eを上下方向に貫通するビアホール導体が上から下へとこの順に接続された構造を有する。
【0038】
ビアホール導体v9は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の左端部と重なっている。ビアホール導体v9は、信号導体層20の左端部と外部電極26とを電気的に接続している。ビアホール導体v10は、第2区間A13において、下方向に見て、信号導体層20の右端部と重なっている。ビアホール導体v10は、信号導体層20の右端部と外部電極28とを電気的に接続している。以上のようなビアホール導体v1~v10は、例えば、絶縁基材層16b~16dに設けられた貫通孔に銀等の金属及び樹脂を含む導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが加熱により固化されることにより形成される。
【0039】
ここで、第1グランド領域A1、信号領域A2及び第2グランド領域A3について図2を参照しながら説明する。信号伝送線路10は、信号導体層20及び絶縁基材層16a~16e,18a,18bの内の一部を含んでいる信号領域A2と、第1グランド導体層22及び絶縁基材層16a~16e,18a,18bの内の一部を含み、かつ、信号領域A2の上に位置する第1グランド領域A1と、第2グランド導体層24及び絶縁基材層16a~16e,18a,18bの内の一部を含み、かつ、信号領域A2の下に位置する第2グランド領域A3と、を含んでいる。信号領域A2は、絶縁基材層16b~16d及び信号導体層20を含んでいる。第1グランド領域A1は、絶縁基材層16a,18a及び第1グランド導体層22を含んでいる。第2グランド領域A3は、絶縁基材層16e,18b及び第2グランド導体層24を含んでいる。
【0040】
信号領域A2は、基材12の第1区間A11において、第1グランド領域A1に固定されていない。より詳細には、絶縁基材層16aは、第1区間A11に配置されていない。そのため、第1区間A11において、信号領域A2に含まれる絶縁基材層16bは、第1グランド領域A1に含まれる絶縁基材層16a、及び、第1グランド領域A1に含まれる第1グランド導体層22に接触していない。そして、図3に示すように、第1区間A11において、上下方向において信号導体層20(図3に図示せず)と第1グランド導体層22との間に第1空隙Sp1が配置されている。本実施形態では、第1空隙Sp1は、上下方向において絶縁基材層16aと第1グランド導体層22との間に配置されている。このように、本実施形態では、基材12に第1空隙Sp1が設けられることにより、信号領域A2が、基材12の第1区間A11において、第1グランド領域A1に固定されていない。
【0041】
複数の第1スペーサb7,b8は、信号領域A2に固定されており、かつ、第1グランド領域A1に固定されずに接触している。複数の第1スペーサb7,b8は、第1区間A11に配置されている。複数の第1スペーサb7,b8は、第1空隙Sp1内に配置されている。複数の第1スペーサb7は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の後に配置されている。複数の第1スペーサb7は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数の第1スペーサb7は、複数の接続導体層42から上方向に突出している。複数の第1スペーサb7は、複数の接続導体層42に固定されている。複数の接続導体層42は、絶縁基材層16bに固定されている。従って、複数の第1スペーサb7は、信号領域A2に固定されている。複数の第1スペーサb7,b8は、例えば、はんだバンプである。
【0042】
前記の通り、複数の第1スペーサb7は、複数の接続導体層42から上方向に突出している。更に、複数の第1スペーサb7は、下方向に見て、第1グランド導体層22と重なっている。これにより、複数の第1スペーサb7は、第1グランド導体層22に固定されずに接触している。従って、複数の第1スペーサb7は、第1区間A11が変形すると、第1グランド導体層22に対して前後方向及び左右方向に滑るように変位できる。これにより、複数の第1スペーサb7は、第1グランド領域A1に固定されずに接触している。
【0043】
複数の第1スペーサb8は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の前に配置されている。複数の第1スペーサb8は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数の第1スペーサb8は、複数の接続導体層44の上に形成されている。複数の第1スペーサb8の構造は、複数の第1スペーサb7と同じであるので説明を省略する。
【0044】
信号伝送線路10は、基材12が上下方向に曲げられた場合であっても、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化を抑制できる。以下では、信号伝送線路10が上方向に曲げられた場合を例に挙げて説明する。信号伝送線路10では、第1区間A11が上方向に曲げられると、第1区間A11において第1グランド領域A1に圧縮応力が発生する。第1グランド領域A1が信号領域A2に固定されていると、圧縮応力は、第1グランド領域A1の全体に広がらずに第1グランド領域A1の一部分に集中する。この場合、第1グランド領域A1の一部分が屈曲するように変形する。その結果、信号伝送線路10の特性インピーダンスが変化する。
【0045】
そこで、信号伝送線路10では、信号領域A2が第1グランド領域A1に固定されていない。更に、複数の第1スペーサb7,b8は、信号領域A2に固定されており、かつ、第1グランド領域A1に固定されずに接触している。これにより、圧縮応力が第1グランド領域A1の一部分に集中することが抑制され、第1グランド領域A1の一部分が屈曲するように変形することが抑制される。より詳細には、信号領域A2が第1グランド領域A1に固定されていない。そのため、第1区間A11が上方向に曲げられると、第1グランド領域A1が信号領域A2に対して前後方向及び左右方向にずれることができる。更に、複数の第1スペーサb7,b8は、信号領域A2に固定されており、かつ、第1グランド領域A1に固定されずに接触している。これにより、複数の第1スペーサb7,b8は、第1区間A11が変形すると、第1グランド領域A1に対して前後方向及び左右方向に滑るように変位できる。そのため、複数の第1スペーサb7,b8は、第1グランド領域A1が信号領域A2に対して前後方向及び左右方向にずれることを妨げない。従って、圧縮応力が第1グランド領域A1の一部分に集中することが抑制され、第1グランド領域A1の一部分が屈曲するように変形することが抑制される。その結果、信号伝送線路10は、基材12が上方向に曲げられた場合であっても、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化を抑制できる。
【0046】
更に、複数の第1スペーサb7,b8は、信号領域A2に固定されており、かつ、第1グランド領域A1に固定されずに接触している。これにより、信号導体層20と第1グランド導体層22との上下方向における間隔が変化することが抑制される。その結果、信号伝送線路10は、基材12が上方向に曲げられた場合であっても、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化を抑制できる。
【0047】
また、信号伝送線路10では、第1区間A11が上下方向に容易に曲げられる。より詳細には、信号伝送線路10では、第1区間A11が上方向に曲げられると、第1区間A11において第1グランド領域A1に大きな圧縮応力が発生する。そのため、第1グランド領域A1が信号領域A2に固定されていると、圧縮応力が第1グランド領域A1の一部分に集中する。この場合、第1グランド領域A1の一部分が屈曲するように変形する。このような変形は、圧縮応力が第1グランド領域A1に均等に加わることを妨げる。その結果、第1グランド領域A1が屈曲せずに滑らかに変形することを妨げる。そこで、信号領域A2は、基材12の第1区間A11において、第1グランド領域A1に固定されていない。これにより、信号伝送線路10では、第1区間A11が上下方向に容易に曲げられる。
【0048】
また、信号伝送線路10では、以下の理由によっても、第1区間A11が上下方向に容易に曲げられる。より詳細には、信号伝送線路10では、上下方向において信号導体層20と第1グランド導体層22との間に第1空隙Sp1が配置されている。これにより、第1空隙Sp1が変形することにより、第1区間A11が曲げられるようになる。
【0049】
また、信号伝送線路10では、誘電損失の発生が抑制される。より詳細には、信号伝送線路10では、第1空隙Sp1が基材12の第1区間A11に設けられている。これにより、第1区間A11において、信号導体層20の周囲に第1空隙Sp1が存在するようになる。そのため、信号伝送線路10の周囲の誘電率が低下する。その結果、信号伝送線路10では、誘電損失の発生が抑制される。
【0050】
また、信号伝送線路10では、第1グランド導体層22をグランド電位に、より確実に接続できる。複数の第1スペーサb7,b8は、第1グランド導体層22に接触している。これにより、第1グランド導体層22は、複数の第1スペーサb7,b8を介して、グランド電位に接続されることが可能となる。
【0051】
また、複数の第1スペーサb7は、下方向に見て、第1グランド導体層22と重なっている。これにより、信号導体層20と第1グランド導体層22との上下方向の間隔が変化することが抑制される。その結果、信号伝送線路10は、基材12が上下方向に曲げられた場合であっても、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化を抑制できる。
【0052】
信号領域A2は、基材12の第1区間A11において、第2グランド領域A3に固定されていない。より詳細には、絶縁基材層16eは、第1区間A11に配置されていない。そのため、第1区間A11において、信号領域A2に含まれる絶縁基材層16dは、第2グランド領域A3に含まれる絶縁基材層16e、及び、第2グランド領域A3に含まれる第2グランド導体層24に接触していない。そして、図3に示すように、上下方向において信号導体層20(図3に図示せず)と第2グランド導体層24との間に空隙Sp3が配置されている。本実施形態では、空隙Sp3は、上下方向において絶縁基材層16dと第2グランド導体層24との間に配置されている。このように、本実施形態では、基材12に空隙Sp3が設けられることにより、信号領域A2が、基材12の第1区間A11において、第2グランド領域A3に固定されていない。
【0053】
複数の第3スペーサb17,b18は、信号領域A2に固定されており、かつ、第2グランド領域A3に固定されずに接触している。複数の第3スペーサb17,b18は、第1区間A11に配置されている。複数の第3スペーサb17,b18は、空隙Sp3内に配置されている。複数の第3スペーサb17,b18は、例えば、はんだバンプである。ただし、第3スペーサb17,b18は、第1スペーサb7,b8と上下対称な構造を有する。従って、第3スペーサb17,b18の説明を省略する。
【0054】
複数の第2スペーサb1~b6は、信号領域A2及び第1グランド領域A1に固定されている。複数の第2スペーサb1,b3,b5は、第2区間A12に配置されている。複数の第2スペーサb2,b4,b6は、第2区間A13に配置されている。複数の第2スペーサb1は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の後に配置されている。複数の第2スペーサb1は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数の第2スペーサb1は、複数の接続導体層30から上方向に突出している。複数の第2スペーサb1は、複数の接続導体層30に固定されている。複数の接続導体層30は、絶縁基材層16bに固定されている。従って、複数の第2スペーサb1は、信号領域A2に固定されている。複数の第2スペーサb1~b6は、例えば、はんだバンプである。
【0055】
前記の通り、複数の第2スペーサb1は、複数の接続導体層30から上方向に突出している。そして、複数の第2スペーサb1は、絶縁基材層16aに設けられた貫通孔を上下方向に貫通している。これにより、複数の第2スペーサb1は、絶縁基材層16aに固定されている。更に、複数の第2スペーサb1は、下方向に見て、第1グランド導体層22と重なっている。そして、複数の第2スペーサb1の上端は、第1グランド導体層22に固定されている。従って、複数の第2スペーサb1は、第1区間A11が変形しても、第1グランド導体層22に対して前後方向及び左右方向に滑るように変位できない。これにより、複数の第2スペーサb1は、第1グランド領域A1に固定されている。
【0056】
信号伝送線路10では、第2区間A12が上下方向に曲げられにくい。より詳細には、複数の第2スペーサb1は、第2区間A12において、信号領域A2及び第1グランド領域A1に固定されている。これにより、第2区間A12において第1グランド領域A1が信号領域A2に対して前後方向及び左右方向に変位することが第2スペーサb1により阻害される。その結果、信号伝送線路10では、第2区間A12が上下方向に曲げられにくい。第2区間A12には、例えば、コネクタが設けられたり、回路が設けられたりする。そのため、第2区間A12が曲げられにくくなることにより、コネクタと第2区間A12との接続の信頼性が向上する。また、第2区間A12が曲げられにくくなることにより、回路が変形しにくくなり、回路の電気的特性が変化することが抑制される。
【0057】
特に、複数の第2スペーサb1は、第1グランド導体層22に固定されている。そして、第2スペーサb1は、はんだバンプである。そのため、複数の第2スペーサb1は、第1グランド導体層22と強く固定されやすい。よって、信号伝送線路10では、第2区間A12が上下方向により曲げられにくい。
【0058】
また、第1スペーサb7,b8と第2スペーサb1~b6の両方がはんだバンプであってもよい。この場合、第1スペーサb7,b8と第2スペーサb1~b6とを同時に形成でき、工程数を減らすことができる。
【0059】
複数の第2スペーサb3は、第2区間A12において、下方向に見て、信号導体層20の前に配置されている。複数の第2スペーサb3は、左右方向に等間隔に一列に並んでいる。複数の第2スペーサb3は、複数の接続導体層34の上に形成されている。複数の第2スペーサb3の構造は、複数の第2スペーサb1と同じであるので説明を省略する。
【0060】
第2スペーサb5は、第1区間A11において、下方向に見て、信号導体層20の左端の左に配置されている。第2スペーサb5は、接続導体層38の上に形成されている。第2スペーサb5の構造は、複数の第2スペーサb1と同じであるので説明を省略する。
【0061】
複数の第4スペーサb11~b16は、信号領域A2及び第2グランド領域A3に固定されている。複数の第4スペーサb11,b13,b15は、第2区間A12に配置されている。複数の第4スペーサb12,b14,b16は、第2区間A13に配置されている。複数の第4スペーサb11~b16は、複数の第2スペーサb1~b6と上下対称な構造を有する。従って、複数の第4スペーサb11~b16の説明を省略する。
【0062】
以上のような複数の第2スペーサb1~b6の材料のヤング率、複数の第1スペーサb7,b8の材料のヤング率、複数の第4スペーサb11~b16の材料のヤング率及び複数の第3スペーサb17,b18の材料のヤング率は、基材12の材料のヤング率より高い。複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18は、基材12よりも高い剛性を有する。従って、複数の第2スペーサb1~b6及び複数の第1スペーサb7,b8は、信号導体層20と第1グランド導体層22との上下方向の間隔を維持するようになる。複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18は、信号導体層20と第2グランド導体層24との上下方向の間隔を維持するようになる。複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18の材料は、例えば、はんだ(鉛及びすずの合金)である。
【0063】
以上のような信号伝送線路10は、電子機器内において曲げられた状態で用いられる。例えば、第1区間A11は、図3に示すように、基材12の上面が山折りされることにより曲げられていると共に、基材12の上面が谷折りされることにより曲げられている。信号伝送線路10では、第1区間A11が上記のように曲げられた場合に、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化がより効果的に抑制される。より詳細には、基材12の上面が谷折りされると、絶縁基材層16a,18aに圧縮応力が発生する。基材12の上面が山折りされると、絶縁基材層16a,18aに引っ張り応力が発生する。ただし、信号領域A2は、基材12の第1区間A11において、第1グランド領域A1に固定されていない。そのため、基材12の第1区間A11において、絶縁基材層16a,18aに発生する圧縮応力と絶縁基材層16a,18aに発生する引っ張り応力とが相殺される。その結果、基材12の第1区間A11において、絶縁基材層16a,18aの一部分が屈曲するような変形が発生しにくい。同じ理由により、基材12の第1区間A11において、絶縁基材層16d,18bの一部分が屈曲するような変形が発生しにくい。その結果、信号導体層20と第1グランド導体層22との上下方向の間隔、及び、信号導体層20と第2グランド導体層24との上下方向の間隔が変化することが抑制される。信号導体層20と第1グランド導体層22との間の容量値、及び、信号導体層20と第2グランド導体層24との間の容量値が変化することが抑制される。以上より、信号伝送線路10では、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化がより効果的に抑制される。
【0064】
[信号伝送線路の製造方法]
以下に、図面を参照しながら信号伝送線路10の製造方法について説明する。図4ないし図6は、信号伝送線路10の製造時の工程断面図である。
【0065】
まず、図2に示すように、信号導体層20、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24、外部電極26,28、複数のビアホール導体v1~v10及び複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76を絶縁基材層16a~16eに形成する。本工程は、一般的な工程であるので説明を省略する。
【0066】
次に、図4(a)に示すように、絶縁基材層16b~16dを上から下へとこの順に積み重ねる。そして、図4(b)に示すように、絶縁基材層16b~16dに対して熱圧着を施す。これにより、絶縁基材層16b~16dが一体化される。その結果、信号領域A2が形成される。
【0067】
次に、図4(c)に示すように、複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44,62,64,66,68,70,72,74,76上に複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18を形成する。
【0068】
次に、図5(a)及び図6(a)に示すように、信号領域A2の上に第1グランド領域A1を配置すると共に、信号領域A2の下に第2グランド領域A3を配置する。そして、図5(b)及び図6(b)に示すように、第1グランド領域A1、信号領域A2及び第2グランド領域A3に対して熱圧着を施す。この際、図5(b)に示すように、第2スペーサb1~b6は、絶縁基材層16aに設けられた貫通孔に挿入される。第4スペーサb11~b16は、絶縁基材層16eに設けられた貫通孔に挿入される。そして、熱圧着により、第2スペーサb1~b6は、絶縁基材層16a及び第1グランド導体層22に固定される。熱圧着により、第4スペーサb11~b16は、絶縁基材層16e及び第2グランド導体層24に固定される。ただし、第1スペーサb7,b8は、第1グランド導体層22に固定されない。第3スペーサb17,b18は、第2グランド導体層24に固定されない。以上の工程により、信号伝送線路10が完成する。
【0069】
貫通孔が用いられることにより、第1スペーサb7,b8及び第2スペーサb1~b6の位置決めが容易となる。
【0070】
(第1の変形例)
[信号伝送線路の構造]
以下に、第1の変形例に係る信号伝送線路10aの構造について図面を参照しながら説明する。図7は、図1のA-Aにおける断面図である。図8は、信号伝送線路10aの分解斜視図である。信号伝送線路10aの外観斜視図については、図1を援用する。
【0071】
信号伝送線路10aは、図7及び図8に示すように、第2区間A12において、上下方向において信号導体層20と第1グランド導体層22との間に第2空隙Sp2が配置されている点において、信号伝送線路10と相違する。本実施形態では、上下方向において絶縁基材層18cと絶縁基材層16bとの間に第2空隙Sp2が配置されている。基材12に第2空隙Sp2が設けられることにより、信号領域A2が、基材12の第2区間A12において、第1グランド領域A1に接触していない。また、第2区間A12において、上下方向において信号導体層20と第2グランド導体層24との間に空隙Sp4が配置されている。本実施形態では、上下方向において絶縁基材層18dと絶縁基材層16dとの間に空隙Sp4が配置されている。基材12に空隙Sp4が設けられることにより、信号領域A2が、基材12の第2区間A12において、第2グランド領域A3に接触していない。以下に、かかる相違点を中心に、信号伝送線路10aについて説明する。
【0072】
基材12は、図8に示すように、複数の絶縁基材層16b~16d,18a~18dが上下方向に積層された構造を有している。絶縁基材層18a,18c,16b~16d,18d,18bは、上から下へとこの順に並ぶように積層されている。絶縁基材層18c,18dは、レジスト層である。絶縁基材層18c,18dは、下方向に見て、基材12と同じ形状を有している。
【0073】
第1空隙Sp1は、第1区間A11において絶縁基材層18cと絶縁基材層16bとの間に配置されている。第1スペーサb7,b8は、第1空隙Sp1を上下方向に通過している。第1スペーサb7,b8は、絶縁基材層18cの下面に固定されずに接触している。これにより、複数の第1スペーサb7,b8は、信号領域A2に固定されており、かつ、第1グランド領域A1に固定されずに接触している。なお、第3スペーサb17,b18は、第1スペーサb7,b8と上下対称な構造を有する。従って、第3スペーサb17,b18の説明を省略する。
【0074】
第2空隙Sp2は、第2区間A12において絶縁基材層18cと絶縁基材層16bとの間に配置されている。複数の第2スペーサb1,b3,b5は、第2空隙Sp2を上下方向に通過している。複数の第2スペーサb1,b3,b5は、絶縁基材層18cに設けられた貫通孔を上下方向に貫通している。これにより、複数の第2スペーサb1,b3,b5は、絶縁基材層18cに固定されている。更に、複数の第2スペーサb1,b3,b5の上端は、第1グランド導体層22に固定されている。これにより、複数の第2スペーサb1,b3,b5は、第1グランド領域A1及び信号領域A2に固定されている。なお、第2スペーサb2,b4,b6は、第2スペーサb1,b3,b5と左右対称な構造を有する。従って、第2スペーサb1,b3,b5の説明を省略する。また、第4スペーサb11~b16は、第2スペーサb1~b6と上下対称な構造を有する。従って、第4スペーサb11~b16の説明を省略する。
【0075】
信号伝送線路10aでは、誘電損失の発生が抑制される。より詳細には、信号伝送線路10aでは、第2空隙Sp2が基材12の第2区間A12に設けられている。これにより、第2区間A12において、信号導体層20の周囲に第2空隙Sp2が存在するようになる。そのため、信号伝送線路10の周囲の誘電率が低下する。その結果、信号伝送線路10aでは、誘電損失の発生が抑制される。
【0076】
[信号伝送線路の製造方法]
以下に、図面を参照しながら信号伝送線路10aの製造方法について説明する。図9ないし図11は、信号伝送線路10aの製造時の工程断面図である。
【0077】
まず、図8に示すように、信号導体層20、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24、外部電極26,28、複数のビアホール導体v1~v10及び複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76を絶縁基材層16b~16d,18a~18dに形成する。本工程は、一般的な工程であるので説明を省略する。
【0078】
次に、図9(a)に示すように、絶縁基材層16b~16dを上から下へとこの順に積み重ねる。そして、図9(b)に示すように、絶縁基材層16b~16dに対して熱圧着を施す。これにより、絶縁基材層16b~16dが一体化される。これにより、信号領域A2が形成される。
【0079】
次に、図9(c)に示すように、複数の接続導体層30,32,34,36,38,40,42,44,62,64,66,68,70,72,74,76上に複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18を形成する。信号伝送線路10aの第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18は、信号伝送線路10の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18より長い。
【0080】
次に、図10(a)及び図11(a)に示すように、信号領域A2の上に第1グランド領域A1を配置すると共に、信号領域A2の下に第2グランド領域A3を配置する。そして、図10(b)及び図11(b)に示すように、第1グランド領域A1、信号領域A2及び第2グランド領域A3に対して熱圧着を施す。この際、図10(b)に示すように、第2スペーサb1~b6は、絶縁基材層18cに設けられた貫通孔に挿入される。第4スペーサb11~b16は、絶縁基材層18dに設けられた貫通孔に挿入される。そして、熱圧着により、第2スペーサb1~b6は、絶縁基材層18c及び第1グランド導体層22に固定される。熱圧着により、第4スペーサb11~b16は、絶縁基材層18d及び第2グランド導体層24に固定される。ただし、第1スペーサb7,b8は、第1グランド導体層22に固定されない。第3スペーサb17,b18は、第2グランド導体層24に固定されない。また、第1グランド領域A1と信号領域A2との間に第1空隙Sp1、第2空隙Sp2及び空隙Sp5が形成される。第2グランド領域A3と信号領域A2との間に空隙Sp3,Sp4,Sp6が形成される。以上の工程により、信号伝送線路10aが完成する。
【0081】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る信号伝送線路10bの構造について図面を参照しながら説明する。図12は、信号伝送線路10bの分解斜視図である。図13は、図1のA-Aにおける断面図である。信号伝送線路10bの外観斜視図については、図1を援用する。
【0082】
信号伝送線路10bは、第1スペーサb7,b8、第3スペーサb17,b18及び接続導体層42,44,74,76の構造において信号伝送線路10と相違する。以下にかかる相違点を中心に信号伝送線路10bについて説明する。
【0083】
信号伝送線路10bの第1スペーサb7,b8のそれぞれは、信号伝送線路10の複数の第1スペーサb7,b8が1つに繋がった構造を有している。これにより、第1スペーサb7,b8は、下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。信号伝送線路10bの第3スペーサb17,b18のそれぞれは、信号伝送線路10の複数の第3スペーサb17,b18が1つに繋がった構造を有している。これにより、第3スペーサb17,b18は、左右方向に延びる線形状を有している。
【0084】
また、信号伝送線路10bの接続導体層42,44,74,76のそれぞれは、信号伝送線路10の複数の接続導体層42,44,74,76が1つに繋がった構造を有している。これにより、信号伝送線路10bの接続導体層42,44,74,76のそれぞれは、下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。
【0085】
信号伝送線路10bによれば、第1区間A11が曲がった状態を維持することが容易になる。より詳細には、第1スペーサb7,b8は、第1区間A11において左右方向に延びている。これにより、第1区間A11が曲げられると、第1スペーサb7,b8が塑性変形するようになる。その結果、第1区間A11が曲げられた状態は、第1スペーサb7,b8により維持されるようになる。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明に係る信号伝送線路は、信号伝送線路10,10a,10bに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、信号伝送線路10,10a,10bの構成を組み合わせることが可能である。
【0087】
なお、信号伝送線路10,10a,10bにおいて、1以上の第1スペーサb7,b8は、信号領域A2に固定されずに接触しており、かつ、第1グランド領域A1に固定されていてもよい。また、1以上の第3スペーサb17,b18は、信号領域A2に固定されずに接触しており、かつ、第2グランド領域A3に固定されていてもよい。
【0088】
なお、信号伝送線路10,10a,10bにおいて、第2グランド導体層24は、必須の構成ではない。
【0089】
なお、信号伝送線路10,10a,10bにおいて、第1空隙Sp1は、必須の構成ではない。信号領域A2は、基材12の第1区間A11において、第1グランド領域A1に接触した状態で固定されていなくてもよい。空隙Sp3は、必須の構成ではない。信号領域A2は、基材12の第1区間A11において、第2グランド領域A3に接触した状態で固定されていなくてもよい。
【0090】
なお、信号伝送線路10,10a,10bにおいて、複数の第2スペーサb1~b6、複数の第1スペーサb7,b8、複数の第4スペーサb11~b16及び複数の第3スペーサb17,b18の数は、例示した数に限らない。信号伝送線路10,10a,10bは、1以上の第2スペーサb1~b6、1以上の第1スペーサb7,b8、1以上の第4スペーサb11~b16及び1以上の第3スペーサb17,b18を備えていればよい。
【0091】
なお、信号伝送線路10,10a,10bにおいて、第2スペーサb1~b6、第1スペーサb7,b8、第4スペーサb11~b16及び第3スペーサb17,b18は、はんだバンプ以外の構成により実現されてもよい。
【0092】
なお、信号伝送線路10,10a,10bにおいて、第1スペーサb7,b8は、下方向に見て、第1グランド導体層22と重なっていなくてもよい。第3スペーサb17,b18は、下方向に見て、第2グランド導体層24と重なっていなくてもよい。
【0093】
なお、信号伝送線路10,10a、10bが延びる方向は、左右方向でなく、前後方向であってもよいし、斜め方向であってもよい。信号伝送線路10,10a,10bが延びる方向が前後方向である場合には、信号伝送線路10,10a、10bを上下方向に曲げやすくなる。
【0094】
なお、図12では、第2スペーサb1~b6は、2列に左右方向に並んでいる。しかしながら、第2スペーサb1~b6は、3列以上に左右方向に並んでいてもよい。また、第2スペーサb1~b6は、千鳥状に配列されていてもよい。
【0095】
なお、第2区間A12,A13は、第1区間A11の曲率半径より大きい曲率半径を有していればよい。従って、第2区間A12,A13は、上下方向に曲がっていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10,10a,10b:信号伝送線路
12:基材
16a~16e,18a~18d:絶縁基材層
16a-1,16e-1:絶縁基材層左部
16a-2,16e-2:絶縁基材層右部
20:信号導体層
22:第1グランド導体層
24:第2グランド導体層
26,28:外部電極
30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,5
6,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76:接続導体層
A1:第1グランド領域
A11:第1区間
A12,A13:第2区間
A2:信号領域
A3:第2グランド領域
Sp1:第1空隙
Sp2:第2空隙
Sp3~Sp6:空隙
b1~b6:第2スペーサ
b11~b16:第4スペーサ
b17,b18:第3スペーサ
b7,b8:第1スペーサ
h1~h8:開口
v1~v10:ビアホール導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13