(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/04 20060101AFI20240409BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240409BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B41J2/04
B41J2/14 611
B41J2/015 101
(21)【出願番号】P 2022531206
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2020023996
(87)【国際公開番号】W WO2021255904
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 隆
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-158643(JP,A)
【文献】特開2009-045761(JP,A)
【文献】特開平10-138473(JP,A)
【文献】特開平11-138798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0070104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段
と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え
、
前記決定手段は、前記制御信号とともに前記駆動基板から前記インクジェットヘッドに受信されて前記変換手段において変換された基準信号に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定するインクジェット記録装置。
【請求項2】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、印字結果に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定するインクジェット記録装置。
【請求項3】
複数の前記変換手段を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する請求項1
または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する複数の変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一するインクジェット記録装置。
【請求項5】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する複数の変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一するインクジェット記録装置。
【請求項6】
複数のインクジェットヘッドを有し、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する請求項1
または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させる複数のインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一するインクジェット記録装置。
【請求項8】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させる複数のインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一するインクジェット記録装置。
【請求項9】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段
、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段、として機能させ
、
前記決定手段は、前記制御信号とともに前記駆動基板から前記インクジェットヘッドに受信されて前記変換手段において変換された基準信号に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定するプログラム。
【請求項10】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段、として機能させ、
前記決定手段は、印字結果に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定するプログラム。
【請求項11】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する複数の変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段として機能させ、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一するプログラム。
【請求項12】
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させる複数のインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段として機能させ、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクジェット記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルからインクを吐出させて媒体上に画像や構造などを形成するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置では、各ノズルに連通するインク流路においてインクに圧力変化を付与することで適切な量のインクを所望の速度で吐出させている。
【0003】
インクへの圧力付与の方法の一つとして、圧電素子などのアクチュエーターに所定の駆動波形電圧を印加することでインク流路中の圧力室の壁面を変形させる技術がある。アクチュエーターは、印加された電圧に対して高速かつ高精度に変形するので、吐出タイミングや吐出量の制御を精密に行うことができる。
【0004】
近年、インクジェット記録装置の高速化や高精度化の要求に従って、ノズル及びこれに対応するアクチュエーターの数が増加傾向にある。これに伴い、インクを吐出するノズルに対応するアクチュエーターを選択する駆動ICの数も増える。したがって、駆動ICの制御信号数、インクジェットヘッドのコネクタのピン数、及びケーブル本数が増えるので、プリンターの配線の引き回しが難しくなる。また、信号のクロストークによるノイズ誤動作などの問題もある。
これに対して、制御信号をシリアル変換して送信する事で、インクジェットヘッドのコネクタのピン数を減らす対策が考えられる。
また、プリントヘッドにシリアル通信でデータを送信する技術として、特許文献1には、標準コンピューターとプリントヘッドを、ユニバーサルシリアルバス(USB)を介して、直接接続する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アクチュエーターを駆動する駆動信号は複雑な波形のため、作成するには回路面積が必要で、発熱も大きいので、駆動基板で作成し、インクジェットヘッドに供給する必要がある。したがって、駆動基板からシリアル信号方式で制御信号を受信し、且つアナログで駆動信号を受信するヘッドインタフェースを持つインクジェットヘッドとした場合、制御信号にはシリアルからパラレルに変換する時間分の遅延が生じるため、駆動信号と同期させることが難しいという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、駆動基板からインクジェットヘッドに送信されるシリアル信号形式の制御信号と駆動信号とを好適に同期をさせることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、前記制御信号とともに前記駆動基板から前記インクジェットヘッドに受信されて前記変換手段において変換された基準信号に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定する。
また、請求項2に記載の発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、印字結果に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定する。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、
複数の前記変換手段を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
また、請求項4に記載の発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する複数の変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
また、請求項5に記載の発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する複数の変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、
複数のインクジェットヘッドを有し、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
また、請求項7に記載の発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させる複数のインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
また、請求項8に記載の発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させる複数のインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備え、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段と、を備え、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
【0014】
また、請求項9記載の発明のプログラムは、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段、として機能させ、
前記決定手段は、前記制御信号とともに前記駆動基板から前記インクジェットヘッドに受信されて前記変換手段において変換された基準信号に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定する。
また、請求項10記載の発明のプログラムは、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段、
前記駆動信号を遅延させる時間を決定する決定手段、として機能させ、
前記決定手段は、印字結果に基づいて前記駆動信号を遅延させる時間を決定する。
また、請求項11記載の発明のプログラムは、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する複数の変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段として機能させ、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、複数の前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
また、請求項12記載の発明のプログラムは、
複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板と、前記駆動基板にケーブルを介して接続され、前記駆動基板から出力される前記制御信号及び前記駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させる複数のインクジェットヘッドと、を備えるインクジェット記録装置であって、
前記駆動基板は、前記制御信号及び前記駆動信号を生成する生成手段を備え、
前記インクジェットヘッドは、
前記ケーブルを介して受信された前記制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段と、
前記ケーブルを介して受信された前記駆動信号と前記変換手段によりパラレル変換された前記制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段と、を備えるインクジェット記録装置のコンピューターを、
前記駆動信号を、前記変換手段における前記制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段として機能させ、
前記遅延手段は、前記駆動信号を遅延させる時間を、前記複数のインクジェットヘッドの前記変換手段における前記制御信号の遅延時間のうち最大のものに統一する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従うと、駆動基板からインクジェットヘッドに送信されるシリアル信号形式の制御信号と駆動信号とを好適に同期をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態のインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の各種信号の遅延を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態の変形例1のインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態の変形例2のインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、インクジェット記録装置1の機能構成を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1は、駆動基板2と、インクジェットヘッド3とを備える。ここでは、インクジェットヘッド3として1つのみが示されているが、インクジェット記録装置1が複数のインク色を吐出させるカラープリンターである場合には、インクジェットヘッド3は、当該複数のインク色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)にそれぞれ対応して設けられる。また、同色のインク吐出に係るインクジェットヘッド3を複数設けて更にノズル数を増やしても良い。駆動基板2とインクジェットヘッド3との間は、例えば、ケーブルとしてのFPC4(Flexible Printed Circuit)などで接続されている。
【0019】
駆動基板2は、FPGA21(Field-Programmable Gate Array)と、入出力インターフェイス22と、シリアライザー23と、駆動信号生成回路24と、ユニット制御部25、メモリー(図示なし)などを備える。
【0020】
FPGA21は、演算処理を行い、インクジェット記録装置1における画像記録動作に係る各種制御処理を行う。
具体的には、FPGA21は、インクジェットヘッド3の複数のノズルから各々インクを吐出させるためのデジタル形式の制御信号及び駆動信号を生成する。
制御信号には、画素データの転送や駆動信号の供給などの動作可否や動作タイミングの制御を行うための信号が含まれる。
【0021】
入出力インターフェイス22は、外部装置から画像記録に係る命令、設定や記録対象の画像データを受け取り、また、FPGA21から外部装置に対して画像記録動作に係るステータスや異常発生情報などを出力するためのインターフェイスである。入出力インターフェイス22としては、ネットワークカード(LANカード)などが用いられる。
【0022】
シリアライザー23は、FPGA21から出力されたパラレル信号方式の各種制御信号をシリアル変換する。
シリアル変換された制御信号は、駆動基板2とインクジェットヘッド3を接続するFPC4を介して、インクジェットヘッド3内のデシリアライザー31に出力される。
【0023】
駆動信号生成回路24は、FPGA21から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換後、増幅し、駆動信号を生成する。
生成された駆動信号は、FPC4を介して、インクジェットヘッド3内の駆動IC32に出力され、インクジェットヘッド3内のアクチュエーター33を駆動するために用いられる。
よって、FPGA21及び駆動信号生成回路24は、生成手段として機能する。
【0024】
ユニット制御部25は、インクジェット記録装置1の全体動作の統括制御を行う。
【0025】
メモリー(図示なし)は、外部装置から取得された記録対象の画像データや、当該画像データから生成された各ノズルからのインク吐出状態を定める画素データを記憶する。メモリー(図示なし)からは、画素データがインクジェットヘッド3の駆動IC32に出力されて、インクを吐出するノズルを選択するのに用いられる。
【0026】
インクジェットヘッド3はデシリアライザー31と、駆動IC32と、アクチュエーター33、ノズル列34などを有する。
【0027】
デシリアライザー31は、シリアライザー23から出力されたシリアル信号方式の制御信号をパラレル信号方式に変換する。ここで、デシリアライザー31は、変換手段として機能する。
パラレル変換された制御信号は、駆動IC32に出力される。
【0028】
駆動IC32は、駆動信号生成回路24から出力された駆動信号、デシリアライザー31から出力された制御信号、及びメモリー(図示なし)から出力された画像データを入力する。
駆動IC32は、画像データや制御信号に基づいて、アクチュエーター33を適切なタイミング、振幅及び期間で変形させるための駆動信号を、選択されたノズルに対応するアクチュエーター33に出力する。
よって、駆動IC32は、駆動手段として機能する。
【0029】
アクチュエーター33は、各ノズルに連通してインクを供給するチャネル(インク流路)ごとにインクを吐出させたり、インクを吐出させずに液面(メニスカス)を振動させたりするための圧力変化をインクに付与する。アクチュエーター33としては、ここでは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)といった圧電素子が用いられ、この圧電素子が、一次元配列されたチャネルの隔壁として各チャネル間に配置される。アクチュエーターの両側面(すなわち、チャネルの内側面)に設けられた電極膜を介してアクチュエーターに所定の電圧が印加されることで、当該アクチュエーターが屈曲変形し、内部のインクに圧力を付与する。なお、一次元配列されたチャネルの両端には、当該両端のチャネルに対して屈曲変形の影響を与えるためのダミーチャネルが設けられ、インクが供給、吐出されずに変形動作がなされる。アクチュエーターの変形には、ここでは、せん断モード(シアモード)が用いられるが、ベンドモードなど他のモードでの変形が利用されても良い。
【0030】
ノズル列34は、適宜パターンで配列された2以上の所定数のノズルを有する。
【0031】
アクチュエーター33及びノズル列34は、それぞれ一つのブロックとして構成されているが、複数のブロックに分けて構成されてもよい。
【0032】
図2は、各種信号の遅延を示す図である。
図2の上部のDCLK、SA[1:0]、LAT、LOAD、STB、GSCLK及びGScounterの信号は、制御信号の例であり、シリアライザー23及びデシリアライザー31による変換を行わない場合に、駆動IC32に入力される波形である。
また、
図2の上部のCOM1、COM2及びDO1-256の信号は、駆動IC32に入力される駆動信号の例である。
制御信号をシリアライザー23及びデシリアライザー31で変換を行うと、数μ[sec]の遅延が生じる。駆動IC32に入力される遅延が生じた制御信号を
図2の下部に示す。
図2の2本の破線間が遅延時間である。
制御信号と駆動信号はタイミングが同期されている状態で駆動IC32に入力される必要がある。そのため、制御信号をシリアライザー23及びデシリアライザー31で変換を行い、遅延が生じた場合、タイミングを同期させるため、駆動信号も制御信号の遅延時間と同時間の遅延をさせる必要がある。
また、制御信号と駆動信号を同期させるために駆動信号を遅延させる際、遅延時間を必要以上に取ると、その分駆動周波数が落ちる。そのため、制御信号をシリアライザー23及びデシリアライザー31で変換する時間分だけ駆動信号を遅延させる事で、駆動周波数が落ちるのを防ぐことができる。
具体的には、
図2の下部に示すように、COM1、COM2及びDO1-256の信号は、FPGA21により制御信号の遅延時間に対応する時間分だけ遅延されて駆動ICに入力される。
【0033】
シリアライザー23及びデシリアライザー31での変換で生じる制御信号の遅延時間は、シリアライザー23及びデシリアライザー31の個体差、FPC4の長さ、使用環境や使用時間等で変化する。
そこで、駆動信号の遅延時間を制御信号の遅延時間と同一にするために、
図1に示す基準信号26を用いる。
基準信号26は、FPGA21から制御信号とともにパラレル信号方式で出力され、シリアライザー23に入力される。次いで、基準信号26は、シリアライザー23において、制御信号とともにシリアル変換され、FPC4を介して、デシリアライザー31に入力される。次いで、基準信号26は、デシリアライザー31において、制御信号とともにパラレル変換され出力される。デシリアライザー31から出力された基準信号26は、FPC4を介して、FPGA21に入力される。
したがって、基準信号26には、制御信号と同様にシリアライザー23及びデシリアライザー31での変換で遅延が生じる。制御信号の遅延時間と基準信号26の遅延時間は同等である。
FPGA21は、基準信号26の遅延時間に基づいて、駆動信号の遅延時間を決定し、遅延させた信号を駆動信号生成回路24に出力する。ここで、FPGA21は、遅延手段及び決定手段として機能する。
シリアライザー23及びデシリアライザー31での変換で遅延した制御信号とFPGA21で遅延を設定された駆動信号が、駆動IC32に入力されることによってタイミングが同期される。
【0034】
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、複数のノズルから各々インクを吐出させるための制御信号及び駆動信号を出力する駆動基板2と、駆動基板2にケーブル4を介して接続され、駆動基板2から出力される制御信号及び駆動信号に基づいてノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッド3と、を備えるインクジェット記録装置1であって、駆動基板2は、制御信号及び駆動信号を生成する生成手段(FPGA21、駆動信号生成回路24)を備え、インクジェットヘッド3は、ケーブル4を介して受信された制御信号をシリアル信号からパラレル信号に変換する変換手段(デシリアライザー31)と、ケーブル4を介して受信された駆動信号と変換手段によりパラレル変換された制御信号の入力によりインクを吐出させるアクチュエーターを駆動させる駆動手段(駆動IC32)と、を備え、駆動信号を、変換手段における制御信号の遅延時間だけ遅延させる遅延手段(FPGA21)を備える。
従って、駆動基板2からインクジェットヘッド3に送信されるシリアル信号形式の制御信号と駆動信号とを好適に同期をさせることができる。
【0035】
(変形例1)
図3は、変形例1に係るインクジェット記録装置1を示す図である。以下では、上記実施形態のインクジェット記録装置1を示す
図1との差異を中心に説明する。
【0036】
本変形例1の構成では、駆動基板2は二つのシリアライザー23a、23bを有する。また、インクジェットヘッド3はシリアライザー23a、23bに対応する二つのデシリアライザー31a、31bを有する。
ここでは、シリアライザー23及びデシリアライザー31は二つずつの構成にしたが、これに限らない。それぞれ三つ以上を有する構成としてもよい。
【0037】
シリアライザー23aは、FPGA21から出力されたパラレル信号方式の制御信号の一部及び基準信号26aをシリアル変換する。
シリアライザー23aによってシリアル変換された制御信号及び基準信号26aは、FPC4を介して、デシリアライザー31aに入力される。
デシリアライザー31aは、入力されたシリアル変換された制御信号及び基準信号26aをパラレル変換する。
制御信号及び基準信号26aには、シリアライザー23a及びデシリアライザー31aにおける変換で遅延時間aの遅延が生じる。
パラレル変換された制御信号は、駆動IC32に入力される。
パラレル変換された基準信号26aは、FPC4を介して、FPGA21に入力される。
【0038】
同様に、シリアライザー23bは、FPGA21から出力されたパラレル信号方式の制御信号の一部及び基準信号26bをシリアル変換する。
シリアライザー23bによってシリアル変換された制御信号及び基準信号26bは、FPC4を介して、デシリアライザー31bに入力される。
デシリアライザー31bは、入力されたシリアル変換された制御信号及び基準信号26bをパラレル変換する。
制御信号及び基準信号26bには、シリアライザー23b及びデシリアライザー31bにおける変換で遅延時間bの遅延が生じる。
パラレル変換された制御信号は、駆動IC32に入力される。
パラレル変換された基準信号26bは、FPC4を介して、FPGA21に入力される。
【0039】
FPGA21は、入力された基準信号26aが示す遅延時間aと基準信号26bが示す遅延時間bを比較し、時間が長い方に基づいて駆動信号の遅延時間を決定する。
【0040】
以上のように、駆動基板2が複数のシリアライザー23を有し、インクジェットヘッド3が複数のデシリアライザー31を有する場合においても、駆動基板からインクジェットヘッドに送信されるシリアル信号形式の制御信号と駆動信号とを好適に同期をさせることができる。
【0041】
(変形例2)
図4は、変形例2に係るインクジェット記録装置1を示す図である。以下では、上記実施形態のインクジェット記録装置1を示す
図1との差異を中心に説明する。
【0042】
本変形例2の構成では、駆動基板2は二つのシリアライザー23a、23bと二つの駆動信号生成回路24a、24bを有する。
また、駆動基板2には、FPC4aを介して、インクジェットヘッド3aが接続され、同様に、FPC4bを介して、インクジェットヘッド3bが接続されている。
シリアライザー23a及び駆動信号生成回路24aは、インクジェットヘッド3aに対応しており、シリアライザー23b及び駆動信号生成回路24bは、インクジェットヘッド3bに対応している。
ここで、駆動基板2に接続されているインクジェットヘッドは二つとしたが、これに限らない。三つ以上のインクジェットヘッドが接続されていてもよい。
【0043】
インクジェットヘッド3aは、デシリアライザー31a、駆動IC32a、アクチュエーター33a及びノズル列34a等を有する。
インクジェットヘッド3bは、デシリアライザー31b、駆動IC32b、アクチュエーター33b及びノズル列34b等を有する。
【0044】
シリアライザー23aは、FPGA21から出力されたパラレル信号方式の制御信号の一部及び基準信号26aをシリアル変換する。
シリアライザー23aによってシリアル変換された制御信号及び基準信号26aは、FPC4aを介して、デシリアライザー31aに入力される。
デシリアライザー31aは、入力されたシリアル変換された制御信号及び基準信号26aをパラレル変換する。
制御信号及び基準信号26aには、シリアライザー23a及びデシリアライザー31aにおける変換で遅延時間aの遅延が生じる。
パラレル変換された制御信号は、駆動IC32aに入力される。
パラレル変換された基準信号26aは、FPC4aを介して、FPGA21に入力される。
【0045】
同様に、シリアライザー23bは、FPGA21から出力されたパラレル信号方式の制御信号の一部及び基準信号26bをシリアル変換する。
シリアライザー23bによってシリアル変換された制御信号及び基準信号26bは、FPC4bを介して、デシリアライザー31bに入力される。
デシリアライザー31bは、入力されたシリアル変換された制御信号及び基準信号26bをパラレル変換する。
制御信号及び基準信号26bには、シリアライザー23b及びデシリアライザー31bにおける変換で遅延時間bの遅延が生じる。
パラレル変換された制御信号は、駆動IC32bに入力される。
パラレル変換された基準信号26bは、FPC4bを介して、FPGA21に入力される。
【0046】
アクチュエーター33a、33bを駆動する駆動信号の遅延時間は、同一の駆動基板2で駆動されるインクジェットヘッド間で統一される必要がある。
そのため、FPGA21は、入力された基準信号26aが示す遅延時間aと基準信号26bが示す遅延時間bを比較し、時間が長い方に基づいて駆動信号の遅延時間を決定する。
【0047】
以上のように、一つの駆動基板2に複数のインクジェットヘッド3が接続されている場合においても、駆動基板からインクジェットヘッドに送信されるシリアル信号形式の制御信号と駆動信号とを好適に同期をさせることができる。
【0048】
上記実施の形態及び変形例における、駆動信号の遅延時間の決定は、インクジェット記録装置1への電源投入後に行ってもよいし、定期的に実施されてもよい。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態及び変形例では、駆動信号の遅延時間を基準信号26の遅延時間に基づいて決定するとしたが、これに限らない。インクジェット記録装置1で印字を行い、印字結果を読み取った読み取りデータから印字タイミングのずれ量を算出し、かかるずれ量から制御信号とのタイミング同期に必要な駆動信号の遅延時間を決定してもよい。
【0050】
また、上記実施の形態及び変形例では、決定手段としてFPGA21が基準信号26の遅延時間に基づいて、駆動信号の遅延時間を決定するとしたがこれに限らない。入出力インターフェイス22を介して接続されているコンピューター等の外部装置が駆動信号の遅延時間を決定してもよい。この場合、基準信号26の遅延時間情報はFPGA21及び入出力インターフェイス22を介して、外部装置に出力され、駆動信号の遅延時間の決定に用いられる。よって、この場合、外部装置もインクジェット記録装置1に含まれる。
また、遅延時間は予め定められた固定値でもよい。
【0051】
また、上記実施の形態及び変形例では、FPGA21が演算処理を行い、インクジェット記録装置1における画像記録動作に係る各種制御処理を行い、また基準信号26の遅延時間に基づいて、駆動信号の遅延時間を決定するとしたがこれに限らない。FPGAとともにCPU(Central Processing Unit)を有し、FPGA及びCPUが演算処理を行い、インクジェット記録装置1における画像記録動作に係る各種制御処理を行い、また基準信号26の遅延時間に基づいて、駆動信号の遅延時間を決定するとしてもよい。
また、CPUがプログラムを実行することにより遅延手段として機能するように構成してもよい。
【0052】
その他、上記実施の形態で示した構成、回路配置や動作手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
この発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置を制御するプログラムに利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 インクジェット記録装置
2 駆動基板
21 FPGA(生成手段、遅延手段)
22 入出力インターフェイス
23、23a、23b シリアライザー
24、24a、24b 駆動信号生成回路(生成手段)
25 ユニット制御部
26、26a、26b 基準信号
3、3a、3b インクジェットヘッド
31、31a、31b デシリアライザー(変換手段)
32a、32b 駆動IC(駆動手段)
33、33a、33b アクチュエーター
34、34a、34b ノズル列
4、4a、4b FPC(ケーブル)