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特許7468657第1コネクタ、第2コネクタ、及びコネクタセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】第1コネクタ、第2コネクタ、及びコネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6471 20110101AFI20240409BHJP
【FI】
H01R13/6471
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022533842
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2021022966
(87)【国際公開番号】W WO2022004398
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2020113090
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 葵
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012553(JP,A)
【文献】特開2015-130266(JP,A)
【文献】特開2003-068408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6471
H01R 13/6582
H01R 12/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し、表面に開口を含むケースと、
絶縁性を有し、前記ケース内に保持されるホルダと、
導電性部材で形成され、相互に並列に配置されて前記ホルダに保持される2つの信号端子であって、各々が、
前記ケースと絶縁された状態で前記ケースの底と前記ホルダとの間に挟まれる信号端子基部、
凹に湾曲して前記ケースの前記開口に表出する信号端子雌接続部、及び
前記信号端子基部と前記信号端子雌接続部とをつなぐ信号端子中間部、を含む前記信号端子と、
導電性部材で形成され、前記信号端子同士の間に前記信号端子と並列に配置されて前記ホルダに保持されるグラウンド端子であって、
前記ケースの前記底と前記ホルダとの間に挟まれて前記ケースの前記底と接触するグラウンド端子基部、
凹に湾曲して前記ケースの前記開口に表出するグラウンド端子雌接続部であって、前記ケースの前記底と接触する前記グラウンド端子雌接続部、及び
前記グラウンド端子基部と前記グラウンド端子雌接続部とをつなぐグラウンド端子中間部、を含む前記グラウンド端子と、を備える、第1コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の第1コネクタであって、
前記グラウンド端子基部と前記ケースの前記底とが相互に部分的に接触する、第1コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の第1コネクタであって、
前記ケースの前記底に、前記グラウンド端子基部に向けて突出する第1突起が設けられる、第1コネクタ。
【請求項4】
請求項2に記載の第1コネクタであって、
前記グラウンド端子基部に、前記ケースの前記底に向けて突出する第1突起が設けられる、第1コネクタ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の第1コネクタであって、
前記グラウンド端子雌接続部と前記ケースの前記底とが相互に部分的に接触する、第1コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の第1コネクタであって、
前記ケースの前記底に、前記グラウンド端子雌接続部に向けて突出する第2突起が設けられる、第1コネクタ。
【請求項7】
請求項5に記載の第1コネクタであって、
前記グラウンド端子雌接続部に、前記ケースの前記底に向けて突出する第2突起が設けられる、第1コネクタ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の第1コネクタであって、
前記信号端子雌接続部と比較して、前記グラウンド端子雌接続部の大きさが前記ケースの前記底に向けて大きい、第1コネクタ。
【請求項9】
第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタセットであって、
前記第1コネクタは、
導電性を有し、表面に開口を含むケースと、
絶縁性を有し、前記ケース内に保持されるホルダと、
導電性部材で形成され、相互に並列に配置されて前記ホルダに保持される2つの信号端子であって、各々が、
前記ケースと絶縁された状態で前記ケースの底と前記ホルダとの間に挟まれる信号端子基部、
凹に湾曲して前記ケースの前記開口に表出する信号端子雌接続部、及び
前記信号端子基部と前記信号端子雌接続部とをつなぐ信号端子中間部、を含む前記信号端子と、
導電性部材で形成され、前記信号端子同士の間に前記信号端子と並列に配置されて前記ホルダに保持されるグラウンド端子であって、
前記ケースの前記底と前記ホルダとの間に挟まれて前記ケースの前記底と接触するグラウンド端子基部、
凹に湾曲して前記ケースの前記開口に表出するグラウンド端子雌接続部、及び
前記グラウンド端子基部と前記グラウンド端子雌接続部とをつなぐグラウンド端子中間部であって、前記ケースの前記開口に表出する凸部を有する前記グラウンド端子中間部、を含む前記グラウンド端子と、を備え、
前記第2コネクタは、
導電性を有し、表面に開口を含むフレームと、
絶縁性を有し、前記フレーム内に保持されるホルダと、
導電性部材で形成され、相互に並列に配置されて前記第2コネクタの前記ホルダに保持される2つの信号端子であって、各々が、
前記第2コネクタの前記ホルダに固定され、裏面が外部に露出する信号端子基部、
前記第2コネクタの前記ホルダに固定され、凸に湾曲して前記フレームの前記開口に表出する信号端子雄接続部、及び
前記第2コネクタの前記ホルダに固定され、前記第2コネクタの前記信号端子基部と前記第2コネクタの前記信号端子雄接続部とをつなぐ信号端子中間部、を含む前記信号端子と、
導電性部材で形成され、前記第2コネクタの前記信号端子同士の間に前記第2コネクタの前記信号端子と並列に配置されて前記第2コネクタの前記ホルダに保持されるグラウンド端子であって、
前記第2コネクタの前記ホルダに固定され、裏面が外部に露出するグラウンド端子基部、
前記第2コネクタの前記ホルダに固定され、凸に湾曲して前記フレームの前記開口に表出するグラウンド端子雄接続部、及び
前記第2コネクタの前記ホルダに固定され、前記第2コネクタの前記グラウンド端子基部と前記第2コネクタの前記グラウンド端子雄接続部とをつなぐグラウンド端子中間部、を含む前記グラウンド端子と、を備え、
前記第1コネクタが前記第2コネクタと組み合わされたときに、前記信号端子雌接続部が前記信号端子雄接続部と嵌合し、前記グラウンド端子雌接続部が前記グラウンド端子雄接続部と嵌合し、前記第1コネクタの前記グラウンド端子中間部の前記凸部が前記第2コネクタの前記フレームと接触する、コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタ、及び第2コネクタ、並びに第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2016-12553号公報(特許文献1)は、2本の同軸ケーブルが接続される第1コネクタを開示する。第1コネクタは、2つの信号端子と、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されるグラウンド端子と、を含む。信号端子及びグラウンド端子は、ホルダと共に、ケース内に保持される。ケースはグラウンド(GND)である。
【0003】
各信号端子の一方の端部は、対応する同軸ケーブルの中心導体と接続される。各信号端子の他方の端部は、凹に湾曲する信号端子雌接続部を有する。各同軸ケーブルの外導体はケースと接続され、グラウンド端子の一方の端部はケースと接続される。グラウンド端子の他方の端部は、凹に湾曲するグラウンド端子雌接続部を有する。
【0004】
第1コネクタは第2コネクタと組み合わされる。第2コネクタは、第1コネクタと同様に、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を含む。第2コネクタにおいて、各信号端子の一方の端部は、凸に湾曲する信号端子雄接続部を有する。各信号端子雄接続部は、第1コネクタの対応する信号端子雌接続部と嵌合する。第2コネクタにおいて、グラウンド端子の一方の端部は、凸に湾曲するグラウンド端子雄接続部を有する。グラウンド端子雄接続部は、第1コネクタのグラウンド端子雌接続部と嵌合する。
【0005】
第2コネクタは、回路基板(例:フレキシブル回路基板)上に実装される。第2コネクタにおいて、各信号端子の他方の端部は、回路基板の対応する信号線に接続される。グラウンド端子の他方の端部は、回路基板のグラウンド(GND)に接続される。
【0006】
特許文献1に開示される周知の第1コネクタでは、グラウンド端子は、グラウンド端子雌接続部から離れた端部の1箇所のみでケースと接続される。この第1コネクタと組み合わされる周知の第2コネクタでは、グラウンド端子は、グラウンド端子雄接続部から離れた端部の1箇所のみで回路基板と接続される。これらのコネクタを組み合わせた周知のコネクタセットの場合、グラウンド間の距離(以下、「GND距離」とも言う。)は、第1コネクタのグラウンド端子のうちでケースと接続される端部から、第2コネクタのグラウンド端子のうちで回路基板と接続される端部までの距離となる。
【0007】
この場合、GND距離は比較的長い。このため、第1コネクタにおいて、信号端子のノイズが漏れるおそれがある。特に、高周波信号が伝導される場合、信号端子のノイズ漏れが顕著になりやすい。これと同様のことが第2コネクタでも言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-12553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、信号端子のノイズ漏れを抑制できる第1コネクタを提供することである。本発明の他の目的は、信号端子のノイズ漏れを抑制できる第2コネクタ、及びコネクタセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態による第1コネクタは、ケースと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。ケースは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、ケース内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雌接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ケースと絶縁された状態でケースの底とホルダとの間に挟まれる。信号端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。信号端子中間部は、信号端子基部と信号端子雌接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雌接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ケースの底とホルダとの間に挟まれてケースの底と電気的に接続する。グラウンド端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。グラウンド端子雌接続部は、ケースの底と接触する。グラウンド端子中間部は、グラウンド端子基部とグラウンド端子雌接続部とをつなぐ。
【0011】
本発明の実施形態による第2コネクタは、フレームと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。フレームは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、フレーム内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雄接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。信号端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。信号端子中間部は、ホルダに固定され、信号端子基部と信号端子雄接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雄接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。グラウンド端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。グラウンド端子雄接続部は、両端部のうちの少なくとも一方の端部の裏面が外部に露出する。グラウンド端子中間部は、ホルダに固定され、グラウンド端子基部とグラウンド端子雄接続部とをつなぐ。
【0012】
本発明の実施形態によるコネクタセットは、第1コネクタと第2コネクタとを備える。コネクタセットにおいて、第1コネクタは、ケースと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。ケースは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、ケース内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雌接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ケースと絶縁された状態でケースの底とホルダとの間に挟まれる。信号端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。信号端子中間部は、信号端子基部と信号端子雌接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雌接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ケースの底とホルダとの間に挟まれてケースの底と電気的に接続する。グラウンド端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。グラウンド端子中間部は、グラウンド端子基部とグラウンド端子雌接続部とをつなぐ。グラウンド端子中間部は、ケースの開口に表出する凸部を有する。
【0013】
コネクタセットにおいて、第2コネクタは、フレームと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。フレームは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、フレーム内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雄接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。信号端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。信号端子中間部は、ホルダに固定され、信号端子基部と信号端子雄接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雄接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。グラウンド端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。グラウンド端子中間部は、ホルダに固定され、グラウンド端子基部とグラウンド端子雄接続部とをつなぐ。
【0014】
コネクタセットにおいて、第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたときに、信号端子雌接続部が信号端子雄接続部と嵌合する。さらに、グラウンド端子雌接続部がグラウンド端子雄接続部と嵌合する。さらに、第1コネクタのグラウンド端子中間部の凸部が第2コネクタのフレームと接触する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態による第1コネクタは、信号端子のノイズ漏れを抑制できる。また、本発明の実施形態による第2コネクタ、及びコネクタセットは、信号端子のノイズ漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1実施形態の第1コネクタを備えるコネクタセットの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態において、同軸ケーブルが取り付けられた状態の第1コネクタの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態において、同軸ケーブルが取り付けられる前の状態の第1コネクタの斜視図である。
図4図4は、第1実施形態において、第1コネクタの各要素を分解して示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態において、図4に示される各要素を図4とは異なる視点から示す斜視図である。
図6図6は、第1実施形態の第1コネクタにおける信号端子の縦断面図である。
図7図7は、第1実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図8図8は、第1実施形態の第1コネクタが組み合わされる第2コネクタの斜視図である。
図9図9は、第1実施形態において、表面側から見たときの第2コネクタの平面図である。
図10図10は、第1実施形態において、裏面側から見たときの第2コネクタの平面図である。
図11図11は、第1実施形態の第2コネクタにおける信号端子の縦断面図である。
図12図12は、第1実施形態の第2コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図13図13は、第1実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおける信号端子の縦断面図である。
図14図14は、第1実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図15図15は、第2実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図16図16は、第2実施形態の第2コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図17図17は、第2実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図18図18は、第3実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図19図19は、第3実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図20図20は、第4実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図21図21は、第4実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図22図22は、第5実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図23図23は、第5実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図24図24は、第6実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図25図25は、第6実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図26図26は、第7実施形態の第1コネクタにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
図27図27は、第7実施形態の第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明はそれらの例示に限定されない。
【0018】
本実施形態による第1コネクタは、ケースと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。ケースは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、ケース内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雌接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ケースと絶縁された状態でケースの底とホルダとの間に挟まれる。信号端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。信号端子中間部は、信号端子基部と信号端子雌接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雌接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ケースの底とホルダとの間に挟まれてケースの底と接触する。グラウンド端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。グラウンド端子雌接続部は、ケースの底と電気的に接続する。グラウンド端子中間部は、グラウンド端子基部とグラウンド端子雌接続部とをつなぐ(第1の構成)。
【0019】
第1の構成の第1コネクタでは、グラウンド端子基部がケースの底と接触することにより、グラウンド端子基部がケースの底と電気的に接続する。さらに、グラウンド端子雌接続部がケースの底と電気的に接続する。この場合、グラウンド端子雌接続部がケースの底と直接接触してもよいし、グラウンド端子雌接続部が他の導電性部材を介してケースの底と接触してもよい。したがって、グラウンド端子は、グラウンド端子基部及びグラウンド端子雌接続部の2箇所でケースの底と電気的に接続する。つまり、グラウンド端子は、グラウンド端子雌接続部から離れたグラウンド端子基部でケースと接続され、さらにグラウンド端子雌接続部でケースと接続される。ケースはグラウンド(GND)である。
【0020】
第1の構成の第1コネクタによれば、グラウンド端子がグラウンド端子雌接続部でケースと接続されることにより、周知の第1コネクタと比較して、GND距離が短くなる。このため、信号端子のノイズが通り抜ける領域が狭まる。その結果、高周波信号が伝導される場合であっても、信号端子のノイズ漏れを抑制することができる。
【0021】
第1コネクタには伝送線路が接続される。伝送線路は信号線(信号線路)及びグラウンド導体を含む。典型的な例では、第1コネクタには2本の同軸ケーブルが接続される。各同軸ケーブルは中心導体及び外導体を含む。中心導体は信号線であり、外導体はグラウンド(GND)導体である。各中心導体は、第1コネクタの対応する信号端子に接続される。例えば、信号端子はソケット部を含む。ソケット部は、信号端子基部から信号端子雌接続部とは反対側に延びる。中心導体の先端がソケット部に挿入されることにより、中心導体が第1コネクタの信号端子に接続される。一方、各外導体は、第1コネクタのケースに接続される。例えば、ケースはかしめ部を含む。かしめ部が外導体を挟み込むことにより、外導体がかしめ部を通じて第1コネクタのケースに接続される。
【0022】
他の典型的な例では、第1コネクタには2つの回路基板(例:フレキシブル回路基板)が接続される。各回路基板は信号線路及びグラウンド(GND)導体を含む。各信号線路は、第1コネクタの対応する信号端子に接続される。具体的には、回路基板がフレキシブル回路基板である場合、フレキシブル回路基板は、第1領域と、第1領域の外側に連なる第2領域と、を含む。第1領域はストリップライン構造であり、信号線路と、この信号線路を相互の間に挟む2つのグラウンド導体と、信号線路とグラウンド導体との間を絶縁する絶縁層と、を含む。第2領域では、2つのグラウンド導体が取り除かれて、信号線路を覆う絶縁層がむき出しになっている。必要に応じて、第1領域において、信号線路に沿って所定間隔で、2つのグラウンド導体同士が接続されたり、又はフレキシブル回路基板の別のグラウンド部に接続されるグラウンドビアが複数配置されたりする。同軸ケーブルの外導体の場合のように、かしめ部が第1領域を挟み込むことにより、グラウンド導体がかしめ部を通じて第1コネクタのケースに接続される。また、信号端子のソケット部が第2領域の絶縁層に差し込まれて信号線路を挟持し、この状態でかしめ部が第2領域を挟み込むことにより、信号線路が第1コネクタの信号端子に接続される。第2領域については、絶縁層の一方面上に信号線路に接続する読み出し電極を設け、この読み出し電極とソケット部をはんだなどで接続させてもよい。この場合、ソケット部は読み出し電極と重なるように平板状であればよい。なお、第1コネクタに接続される2つの回路基板は、各々が独立していてもよいし、見た目が1つの一体であってもよい。
【0023】
第1の構成の第1コネクタにおいて、グラウンド端子基部とケースの底とが相互に部分的に接触することが好ましい(第2の構成)。この場合、グラウンド端子基部とケースとの接触面積が小さい。このため、グラウンド端子基部とケースとの接触圧が大きい。その結果、グラウンド端子基部とケースとの接触抵抗が低い。
【0024】
第2の構成の第1コネクタにおいて、典型的な例では、ケースの底に、グラウンド端子基部に向けて突出する第1突起が設けられる(第3の構成)。この場合、第1突起がグラウンド端子基部と接触する。これにより、グラウンド端子基部がケースの底と接触する。
【0025】
第2の構成の第1コネクタにおいて、他の典型的な例では、グラウンド端子基部に、ケースの底に向けて突出する第1突起が設けられる(第4の構成)。この場合、第1突起がケースの底と接触する。これにより、グラウンド端子基部がケースの底と接触する。
【0026】
第1~第4の構成の第1コネクタにおいて、グラウンド端子雌接続部とケースの底とが相互に部分的に接触することが好ましい(第5の構成)。この場合、グラウンド端子雌接続部とケースとの接触面積が小さい。このため、グラウンド端子雌接続部とケースとの接触圧が大きい。その結果、グラウンド端子雌接続部とケースとの接触抵抗が低い。
【0027】
第5の構成の第1コネクタにおいて、典型的な例では、ケースの底に、グラウンド端子雌接続部に向けて突出する第2突起が設けられる(第6の構成)。この場合、第2突起がグラウンド端子雌接続部と接触する。これにより、グラウンド端子雌接続部がケースの底と接触する。
【0028】
第5の構成の第1コネクタにおいて、他の典型的な例では、グラウンド端子雌接続部に、ケースの底に向けて突出する第2突起が設けられる(第7の構成)。この場合、第2突起がケースの底と接触する。これにより、グラウンド端子雌接続部がケースの底と接触する。
【0029】
第1~7の構成の第1コネクタにおいて、信号端子雌接続部と比較して、グラウンド端子雌接続部の大きさがケースの底に向けて大きくてもよい(第8の構成)。この場合、グラウンド端子雌接続部が第2コネクタのグラウンド端子雄接続部と嵌合するとき、グラウンド端子雌接続部の弾性的な可動域が広がる。これにより、グラウンド端子の寿命が向上する。
【0030】
第1~第8の構成の第1コネクタは、第2コネクタと組み合わされる。第2コネクタは、下記第9の構成の第2コネクタであってもよいし、周知の第2コネクタであってもよい。
【0031】
本実施形態による第2コネクタは、フレームと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。フレームは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、フレーム内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雄接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。信号端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。信号端子中間部は、ホルダに固定され、信号端子基部と信号端子雄接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雄接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。グラウンド端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。グラウンド端子雄接続部は、両端部のうちの少なくとも一方の端部の裏面が外部に露出する。グラウンド端子中間部は、ホルダに固定され、グラウンド端子基部とグラウンド端子雄接続部とをつなぐ(第9の構成)。
【0032】
第9の構成の第2コネクタは、回路基板(例:フレキシブル回路基板、リジッド回路基板)上に実装される。この回路基板は、2つの信号線と、グラウンド(GND)と、を含む。回路基板の各信号線は、第2コネクタの対応する信号端子に接続される。具体的には、信号端子は、信号端子基部の裏面で回路基板の信号線に接合される。
【0033】
一方、回路基板のグラウンドは、第2コネクタのグラウンド端子に接続される。具体的には、グラウンド端子は、グラウンド端子雄接続部の両端部のうちの一方又は両方の端部の裏面でグラウンドに接合される。つまり、グラウンド端子は、グラウンド端子雄接続部で回路基板のグラウンドと電気的に接続される。ただし、グラウンド端子は、グラウンド端子基部の裏面で回路基板のグラウンドに接合されてもよい。この場合、グラウンド端子は、さらに、グラウンド端子雄接続部から離れたグラウンド端子基部で回路基板のグラウンドと接続される。
【0034】
第9の構成の第2コネクタによれば、グラウンド端子がグラウンド端子雄接続部で回路基板のグラウンドと接続されることにより、周知の第2コネクタと比較して、GND距離が短くなる。このため、信号端子のノイズが通り抜ける領域が狭まる。その結果、高周波信号が伝導される場合であっても、信号端子のノイズ漏れを抑制することができる。
【0035】
第9の構成の第2コネクタは、第1コネクタと組み合わされる。第1コネクタは、上記第1~第8の構成の第1コネクタであってもよいし、周知の第1コネクタであってもよい。
【0036】
本実施形態によるコネクタセットは、第1コネクタと第2コネクタとを備える。コネクタセットにおいて、第1コネクタは、ケースと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。ケースは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、ケース内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雌接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ケースと絶縁された状態でケースの底とホルダとの間に挟まれる。信号端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。信号端子中間部は、信号端子基部と信号端子雌接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雌接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ケースの底とホルダとの間に挟まれてケースの底と接触する。グラウンド端子雌接続部は、凹に湾曲してケースの開口に表出する。グラウンド端子中間部は、グラウンド端子基部とグラウンド端子雌接続部とをつなぐ。グラウンド端子中間部は、ケースの開口に表出する凸部を有する。
【0037】
コネクタセットにおいて、第2コネクタは、フレームと、ホルダと、2つの信号端子と、グラウンド端子と、を備える。フレームは、導電性を有し、表面に開口を含む。ホルダは、絶縁性を有し、フレーム内に保持される。2つの信号端子は、導電性部材で形成され、相互に並列に配置されてホルダに保持される。信号端子の各々は、信号端子基部、信号端子雄接続部、及び信号端子中間部、を含む。信号端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。信号端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。信号端子中間部は、ホルダに固定され、信号端子基部と信号端子雄接続部とをつなぐ。グラウンド端子は、導電性部材で形成される。グラウンド端子は、信号端子同士の間に信号端子と並列に配置されてホルダに保持される。グラウンド端子は、グラウンド端子基部、グラウンド端子雄接続部、及びグラウンド端子中間部、を含む。グラウンド端子基部は、ホルダに固定され、裏面が外部に露出する。グラウンド端子雄接続部は、ホルダに固定され、凸に湾曲してフレームの開口に表出する。グラウンド端子中間部は、ホルダに固定され、グラウンド端子基部とグラウンド端子雄接続部とをつなぐ。
【0038】
コネクタセットにおいて、第1コネクタが第2コネクタと組み合わされたときに、信号端子雌接続部が信号端子雄接続部と嵌合する。さらに、グラウンド端子雌接続部がグラウンド端子雄接続部と嵌合する。さらに、第1コネクタのグラウンド端子中間部の凸部が第2コネクタのフレームと接触する(第10の構成)。
【0039】
第10の構成のコネクタセットでは、第1コネクタのグラウンド端子は、グラウンド端子基部でケースの底と接触し、グラウンド端子中間部の凸部で第2コネクタのフレームと接触する。つまり、グラウンド端子は、グラウンド端子雌接続部から離れたグラウンド端子基部でケースと接続され、さらにグラウンド端子雌接続部とグラウンド端子基部との間のグラウンド端子中間部でフレームと接続される。ケースはフレームと嵌合することから、フレームはケースと共にグラウンド(GND)である。
【0040】
第10の構成のコネクタセットによれば、第1コネクタのグラウンド端子がグラウンド端子中間部で第2コネクタのフレームと接続されることにより、周知のコネクタセットの第1コネクタと比較して、GND距離が短くなる。このため、信号端子のノイズが通り抜ける領域が狭まる。その結果、高周波信号が伝導される場合であっても、信号端子のノイズ漏れを抑制することができる。
【0041】
第10の構成のコネクタセットの第1コネクタに、第1~第8の構成の第1コネクタの特徴を追加してもよい。第10の構成のコネクタセットの第1コネクタに、第9の構成の第2コネクタの特徴を追加してもよい。
【0042】
以下に、図面を参照しながら、本実施形態の第1コネクタ、第2コネクタ、及びコネクタセットについて、具体例を説明する。
【0043】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の第1コネクタ1を備えるコネクタセットの斜視図である。図1を参照して、コネクタセットは、第1コネクタ1と第2コネクタ2とを備える。第1コネクタ1には、2本の同軸ケーブル3が接続される。第2コネクタ2には、回路基板(図示省略)が接続される。第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされることによって、各同軸ケーブル3と回路基板(図示省略)とが相互に電気的に接続される。同軸ケーブルを接続された第1コネクタ1は、プラグとも称される。この場合、第1コネクタの相手方のコネクタである第2コネクタは、レセプタクルとも称される。
【0044】
[第1コネクタ1]
図2図5は、第1実施形態の第1コネクタ1の斜視図である。図2は、同軸ケーブル3が取り付けられた状態の第1コネクタ1を示す。図3は、同軸ケーブル3が取り付けられる前の状態の第1コネクタ1を示す。図4は、第1コネクタ1の各要素を分解して示す。図5は、図4に示される各要素を図4とは異なる視点から示す。図2図5には、第1コネクタ1を表面側から見たときの状況が示される。
【0045】
本明細書において、第1コネクタ1の表面とは、第2コネクタ2と向き合う面を意味する。これと同様の観点から、第2コネクタ2の表面とは、第1コネクタ1と向き合う面を意味する。また、方向を示すとき、説明の便宜上、同軸ケーブル3が延びる方向を前後方向と言う場合がある。さらに、前後方向のうち、同軸ケーブル3が存在する側を後と言い、それとは反対側を前と言う場合がある。各図面において、後をReで示し、前をFrで示すことがある。
【0046】
図2図5を参照して、同軸ケーブル3は、軸心から順に、中心導体31と、絶縁体33と、外導体32と、保護膜34と、を備える。絶縁体33によって、中心導体31が外導体32と絶縁される。
【0047】
第1コネクタ1は、ケース13と、ホルダ14と、2つの信号端子11と、グラウンド端子12と、を備える。ケース13は、導電性を有し、表面に開口130を含む。ケース13は、例えば金属板からなる。金属板を曲げ加工することによって、ケース13が製造される。ケース13(金属板)の材質は、例えば銅合金である。ケース13(金属板)にめっき(例:Ni(ニッケル)めっき、Au(金)めっき)が施されてもよい。
【0048】
図4及び図5を参照して、ケース13は、底壁131、前壁132、及び2つの側壁133を含む。底壁131の平面形状は、概ね矩形である。底壁131は、中央より後寄りの位置に第1隆起部131aを含む。底壁131に切り起こし加工を施すことによって、第1隆起部131aは形成される。さらに、底壁131は、中央より前寄りの位置に第2隆起部131bを含む。底壁131に切り起こし加工を施すことによって、第2隆起部131bは形成される。前壁132及び2つの側壁133で囲まれた領域のうち、底壁131とは反対側に位置する表面は、開口130となる。
【0049】
第1隆起部131aは、底壁131よりケース13の開口130側に一段上がった位置にある。第2隆起部131bも、底壁131よりケース13の開口130側に一段上がった位置にある。第2隆起部131bの高さは、第1隆起部131aの高さとほぼ同じである。第1隆起部131aは第1突起131aaを含む。第1突起131aaは、第1隆起部131aからケース13の開口130側に向けて突出する。要するに、第1突起131aaは、ケース13の内側に突出する。第1突起131aaは、例えば円柱状や半球状を有する。
【0050】
ケース13は、底壁131及び2つの側壁133の後方に、側壁133に近い方から順に、2つの第1かしめ部134、2つの第2かしめ部135、2つの第3かしめ部136及び2つの第4かしめ部137を含む。各第1かしめ部134は、ホルダ14を挟み込むことにより、詳細は後述する信号端子11及びグラウンド端子12を、ホルダ14と共にケース13に保持する役割を担う。同軸ケーブル3の中心導体31の先端は、詳細は後述する信号端子11のソケット部114に挿入され、これにより中心導体31は信号端子11と接続される。第2かしめ部135は、中心導体31がソケット部114に挿入された同軸ケーブル3の絶縁体33を挟み込むことにより、同軸ケーブル3をケース13に保持する役割を担う。第3かしめ部136は、同軸ケーブル3の外導体32を挟み込むことにより、外導体32をケース13に接続する役割を担う。第4かしめ部137は、同軸ケーブル3(保護膜34)を挟み込むことにより、同軸ケーブル3をケース13に保持する役割を担う。
【0051】
ホルダ14は、絶縁性を有し、ケース13内に保持される。ホルダ14は、例えば樹脂からなる。射出成型によって、ホルダ14は製造される。ホルダ14の材質は、例えば液晶ポリマである。
【0052】
図4及び図5を参照して、ホルダ14は、相互に積み重なる第1ホルダ141及び第2ホルダ142からなる。第1ホルダ141は、ケース13の開口130側に配置され、第2ホルダ142は、ケース13の底壁131側に配置される。第1ホルダ141及び第2ホルダ142は、詳細は後述する2つの信号端子11及びグラウンド端子12を保持する。第1ホルダ141及び第2ホルダ142は、個別に射出成型される。ただし、第2ホルダ142はケース13と一体となるようにインサートモールド成形されてもよい。
【0053】
第2ホルダ142は板部142aを含む。板部142aは、ケース13の底壁131上に重なる。板部142aは、ケース13の第1隆起部131aに対応する位置に第1凹部142aaを有する。第1凹部142aaに第1隆起部131aが収納される。さらに、板部142aは、ケース13の第2隆起部131bに対応する位置に第2凹部142abを有する。第2凹部142abに第2隆起部131bが収納される。
【0054】
第1ホルダ141は凹部141aを含む。凹部141aは、詳細は後述する各信号端子11の信号端子雌接続部112、及びグラウンド端子12のグラウンド端子雌接続部122を収容する。凹部141aにおいて、各信号端子雌接続部112及びグラウンド端子雌接続部122のそれぞれに対応する部分が貫通する。
【0055】
2つの信号端子11及びグラウンド端子12は、ホルダ14(第1ホルダ141及び第2ホルダ142)に保持される。具体的には、第2ホルダ142がケース13の底壁131上に重なり、この第2のホルダ14上に、2つの信号端子11及びグラウンド端子12が配置される。ここで、2つの信号端子11は、相互に並列に配置される。グラウンド端子12は、信号端子11同士の間に信号端子11と並列に配置される。各信号端子11及びグラウンド端子12はそれぞれ前後方向に延びる。
【0056】
信号端子11は、導電性部材で形成される。例えば、信号端子11は、金属板からなる。つまり、信号端子11は、導電性を有する。細長い金属板を曲げ加工することによって、信号端子11が製造される。信号端子11(金属板)の材質は、例えば銅合金である。信号端子11(金属板)にめっき(例:Ni(ニッケル)めっき、Au(金)めっき)が施されてもよい。
【0057】
信号端子11と同様に、グラウンド端子12は、導電性部材で形成される。例えば、グラウンド端子12は、金属板からなる。つまり、グラウンド端子12は、導電性を有する。細長い金属板を曲げ加工することによって、グラウンド端子12が製造される。グラウンド端子12(金属板)の材質は、例えば銅合金である。グラウンド端子12(金属板)にめっき(例:Ni(ニッケル)めっき、Au(金)めっき)が施されてもよい。
【0058】
信号端子11は、信号端子基部111、信号端子雌接続部112、及び信号端子中間部113、を含む。信号端子基部111は前後方向に延びる。信号端子雌接続部112は信号端子基部111の前方に配置される。信号端子雌接続部112は凹に湾曲する。信号端子中間部113は、信号端子基部111と信号端子雌接続部112とをつなぐ。信号端子中間部113は、信号端子基部111につながる直線部と、信号端子雌接続部112の後端につながる起立部と、を含む。さらに、信号端子11は、ソケット部114を含む。ソケット部114は、信号端子基部111から斜め後方に延びて起立する。別の観点では、ソケット部114は、信号端子基部111から信号端子雌接続部112とは反対側に延びる。ソケット部114は切込みを有する。ソケット部114の切込みに同軸ケーブル3の中心導体31の先端が挿入される。
【0059】
グラウンド端子12は、グラウンド端子基部121、グラウンド端子雌接続部122、及びグラウンド端子中間部123、を含む。グラウンド端子基部121は前後方向に延びる。グラウンド端子雌接続部122はグラウンド端子基部121の前方に配置される。グラウンド端子雌接続部122は凹に湾曲する。グラウンド端子中間部123は、グラウンド端子基部121とグラウンド端子雌接続部122とをつなぐ。グラウンド端子中間部123は、グラウンド端子基部121につながる直線部と、グラウンド端子雌接続部122の後端につながる起立部と、を含む。
【0060】
ここで、グラウンド端子基部121は、ケース13の第1隆起部131a上に配置される。グラウンド端子雌接続部122は、ケース13の第2隆起部131b上に配置される。一方、信号端子基部111は、第2ホルダ142の板部142a上に配置される。これと同様に、信号端子雌接続部112は、第2ホルダ142の板部142a上に配置される。
【0061】
各信号端子11及びグラウンド端子12は、ケース13内でホルダ14(第1ホルダ141及び第2ホルダ142)に保持される。この状態で、第1かしめ部134が曲げられてホルダ14を挟み込む。このようにして、各信号端子11及びグラウンド端子12がホルダ14と共にケース13に組み込まれる。これにより、図3に示すように、第1コネクタ1が得られる。各信号端子雌接続部112はケース13の開口130に表出する。これと同様に、グラウンド端子雌接続部122はケース13の開口130に表出する。
【0062】
この第1コネクタ1に2本の同軸ケーブル3が接続される。具体的には、同軸ケーブル3の中心導体31の先端が信号端子11のソケット部114に挿入され、中心導体31が信号端子11と接続される。そして、第2かしめ部135が折り曲げられて同軸ケーブル3の絶縁体33を挟み込む。これにより、同軸ケーブル3がケース13に保持される。そして、第3かしめ部136が折り曲げられて同軸ケーブル3の外導体32を挟み込む。これにより、外導体32が第3かしめ部136を通じてケース13と接続される。そして、第4かしめ部137が折り曲げられて同軸ケーブル3を挟み込む。これにより、同軸ケーブル3が第1コネクタ1に保持される。このようにして、2本の同軸ケーブル3が第1コネクタ1に取り付けられる。これにより、図2に示すように、同軸ケーブル3が接続された第1コネクタ1が得られる。
【0063】
図6及び図7は、第1実施形態の第1コネクタ1の断面図である。図6は、信号端子11の前後方向に沿う縦断面を示す。図7は、グラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面を示す。
【0064】
図6を参照して、第1かしめ部134による挟み込みによって、信号端子基部111は、ケース13と絶縁された状態でケース13の底とホルダ14との間に挟まれる。具体的には、信号端子基部111はケース13の底壁131と第1ホルダ141との間に挟まれる。ただし、信号端子基部111とケース13の底壁131との間に、第2ホルダ142の板部142aが存在する。第2ホルダ142が絶縁性を有するため、信号端子基部111はケース13と絶縁される。
【0065】
信号端子雌接続部112はケース13の開口130に表出する。信号端子雌接続部112の凹はケース13の開口130に向く。信号端子雌接続部112とケース13の底壁131との間に、第2ホルダ142の板部142aが存在する。このため、信号端子雌接続部112はケース13と絶縁される。さらに、信号端子中間部113とケース13の底壁131との間にも、第2ホルダ142の板部142aが存在する。このため、信号端子中間部113もケース13と絶縁される。要するに、信号端子11はケース13と絶縁される。
【0066】
ここで、信号端子基部111がケース13の底とホルダ14との間に挟まれることにより、ホルダ14から信号端子11に与えられる力は、信号端子基部111と第2ホルダ142の板部142aとの接触部分からやや信号端子雌接続部112寄りの位置に作用する。これにより、力学的に、信号端子雌接続部112は第2ホルダ142の板部142aに向けて押圧される。このため、信号端子雌接続部112の姿勢が安定する。
【0067】
図7を参照して、第1かしめ部134による挟み込みによって、グラウンド端子基部121は、ケース13の底とホルダ14との間に挟まれる。具体的には、グラウンド端子基部121はケース13の第1隆起部131aと第1ホルダ141との間に挟まれる。これにより、グラウンド端子基部121はケース13の第1隆起部131aと部分的に接触する。より具体的には、グラウンド端子基部121は、ケース13の第1隆起部131aから突出する第1突起131aaと接触する。このため、グラウンド端子基部121はケース13と電気的に接続される。
【0068】
グラウンド端子雌接続部122はケース13の開口130に表出する。グラウンド端子雌接続部122の凹はケース13の開口に向く。グラウンド端子雌接続部122はケース13の第2隆起部131bと接触する。このため、グラウンド端子雌接続部122はケース13と電気的に接続される。
【0069】
ここで、グラウンド端子基部121がケース13の第1隆起部131aとホルダ14との間に挟まれることにより、ホルダ14からグラウンド端子12に与えられる力は、グラウンド端子基部121とケース13の第1隆起部131aとの接触部分からややグラウンド端子雌接続部122寄りの位置に作用する。これにより、力学的に、グラウンド端子雌接続部122はケース13の第2隆起部131bに向けて押圧される。このため、グラウンド端子雌接続部122の姿勢が安定し、グラウンド端子雌接続部122とケース13の第2隆起部131bとの接触状態が安定する。つまり、グラウンド端子雌接続部122とケース13との接続状態が安定する。
【0070】
[第2コネクタ2]
図8図12は、第1実施形態の第1コネクタ1が組み合わされる第2コネクタ2の模式図である。図8は、第2コネクタ2の斜視図を示す。図9は、表面側から見たときの第2コネクタ2の平面図を示す。図10は、裏面側から見たときの第2コネクタ2の平面図を示す。図11は、第2コネクタ2における信号端子21の前後方向に沿う縦断面を示す。図12は、第2コネクタ2におけるグラウンド端子22の前後方向に沿う縦断面を示す。図8には、第2コネクタ2を表面側から見たときの状況が示される。
【0071】
図8図12を参照して、第2コネクタ2は、フレーム23と、ホルダ24と、2つの信号端子21と、グラウンド端子22と、を備える。フレーム23は、導電性を有し、表面に開口230を含む。フレーム23は、例えば金属板からなる。金属板を曲げ加工することによって、フレーム23が製造される。フレーム23(金属板)の材質は、例えば銅合金である。フレーム23(金属板)にめっき(例:Ni(ニッケル)めっき、Au(金)めっき)が施されてもよい。
【0072】
フレーム23は、前壁232、後壁234、2つの側壁233、及び2つのフランジ235を含む。前壁232、後壁234、及び2つの側壁233によって、フレーム23は概ね筒形を有する。各フランジ235は、対応する側壁233から外側に張り出す。前壁232、後壁234及び2つの側壁233で囲まれた領域のうち、フランジ235とは反対側に位置する表面は開口230となる。
【0073】
ホルダ24は、絶縁性を有し、フレーム23内に保持される。ホルダ24は、例えば樹脂からなる。射出成型によって、ホルダ24は製造される。ホルダ24の材質は、例えば液晶ポリマである。
【0074】
ホルダ24は、詳細は後述する2つの信号端子21及びグラウンド端子22を保持する。ホルダ24はフレーム23と一体となるようにインサートモールド成形されてもよい。さらに、ホルダ24が各信号端子21及びグラウンド端子22と一体となるようにインサートモールド成形されてもよい。
【0075】
ホルダ24は凹部24aを含む。凹部24aは、詳細は後述する各信号端子21の信号端子雄接続部212、及びグラウンド端子22のグラウンド端子雄接続部222を収容する。凹部24aにおいて、各信号端子雄接続部212及びグラウンド端子雄接続部222のそれぞれに対応する部分が貫通する。
【0076】
2つの信号端子21及びグラウンド端子22は、ホルダ24に固定される。具体的には、2つの信号端子21は、相互に並列に配置される。グラウンド端子22は、信号端子21同士の間に信号端子21と並列に配置される。各信号端子21及びグラウンド端子22はそれぞれ前後方向に延びる。
【0077】
信号端子21は、導電性部材で形成される。例えば、信号端子21は、金属板からなる。つまり、信号端子21は、導電性を有する。細長い金属板を曲げ加工することによって、信号端子21が製造される。信号端子21(金属板)の材質は、例えば銅合金である。信号端子21(金属板)にめっき(例:Ni(ニッケル)めっき、Au(金)めっき)が施されてもよい。
【0078】
信号端子21と同様に、グラウンド端子22は、導電性部材で形成される。例えば、グラウンド端子22は、金属板からなる。つまり、グラウンド端子22は、導電性を有する。細長い金属板を曲げ加工することによって、グラウンド端子22が製造される。グラウンド端子22(金属板)の材質は、例えば銅合金である。グラウンド端子22(金属板)にめっき(例:Ni(ニッケル)めっき、Au(金)めっき)が施されてもよい。
【0079】
信号端子21は、信号端子基部211、信号端子雄接続部212、及び信号端子中間部213、を含む。信号端子基部211は前後方向に延びる。信号端子基部211の前端部はホルダ24から突出する。この前端部の裏面が外部に露出する。信号端子雄接続部212は信号端子基部211の後方に配置される。信号端子雄接続部212は凸に湾曲する。信号端子雄接続部212の前端部の裏面は外部に露出する。一方、信号端子雄接続部212の後端部はホルダ24内に留まる。つまり、信号端子雄接続部212の後端部は外部に露出しない。信号端子中間部213は、信号端子基部211と信号端子雄接続部212とをつなぐ。信号端子中間部213は直線部を含む。
【0080】
グラウンド端子22は、グラウンド端子基部221、グラウンド端子雄接続部222、及びグラウンド端子中間部223、を含む。グラウンド端子基部221は前後方向に延びる。グラウンド端子基部221の前端部はホルダ24から突出する。この前端部の裏面が外部に露出する。グラウンド端子雄接続部222はグラウンド端子基部221の後方に配置される。グラウンド端子雄接続部222は凸に湾曲する。グラウンド端子雄接続部222の前端部の裏面は外部に露出する。一方、グラウンド端子雄接続部222の後端部はホルダ24内に留まる。つまり、グラウンド端子雄接続部222の後端部は外部に露出しない。グラウンド端子中間部223は、グラウンド端子基部221とグラウンド端子雄接続部222とをつなぐ。グラウンド端子中間部223は直線部を含む。
【0081】
図11及び図12を参照して、この第2コネクタ2が回路基板4上に実装される。回路基板4はフレキシブル回路基板である。回路基板4は、2つの信号線41と、グラウンド(GND)42と、を含む。各信号線41は、第2コネクタ2の対応する信号端子21に接続される。グラウンド42は、第2コネクタ2のグラウンド端子22に接続される。
【0082】
具体的には、図11を参照して、信号端子基部211の前端部は回路基板4の信号線41に重なる。この信号端子基部211の前端部の裏面は外部に露出しており、この前端部の裏面が、はんだ付けによって、回路基板4の信号線41に接合される。このため、信号端子基部211は回路基板4の信号線41と電気的に接続される。
【0083】
一方、回路基板4の信号線41は、信号端子中間部213及び信号端子雄接続部212に対応する位置に形成されていない。このため、信号端子中間部213及び信号端子雄接続部212は回路基板4の信号線41と接続されない。
【0084】
図12を参照して、グラウンド端子基部221の前端部は回路基板4のグラウンド42に重なる。このグラウンド端子基部221の前端部の裏面は外部に露出しており、この前端部の裏面が、はんだ付けによって、回路基板4のグラウンド42に接合される。このため、グラウンド端子基部221は回路基板4のグラウンド42と電気的に接続される。
【0085】
一方、回路基板4のグラウンド42は、グラウンド端子中間部223及びグラウンド端子雄接続部222に対応する位置に形成されていない。このため、グラウンド端子中間部223及びグラウンド端子雄接続部222は回路基板4のグラウンド42と接続されない。
【0086】
このような第2コネクタ2は周知の第2コネクタに相当する。
【0087】
[コネクタセット]
図13及び図14は、第1実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットの断面図である。図13は、信号端子11及び21の前後方向に沿う縦断面を示す。図14は、グラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面を示す。
【0088】
図13及び図14を参照して、第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたとき、各信号端子雌接続部112が、対応する信号端子雄接続部212と嵌合する。これと同時に、グラウンド端子雌接続部122がグラウンド端子雄接続部222と嵌合する。ケース13はフレーム23と嵌合する。このため、フレーム23はケース13と共にグラウンド(GND)である。
【0089】
第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされる際、信号端子雌接続部112及びグラウンド端子雌接続部122はそれぞれ、第1ホルダ141の凹部141aの空間内で弾性変形し得る。このため、信号端子雌接続部112は、信号端子雄接続部212の進入に伴って、口が開くように弾性変形した後、口が閉じるように復元する。これにより、信号端子雌接続部112が信号端子雄接続部212と強く接触し、信号端子雌接続部112が信号端子雄接続部212と電気的に接続される。これと同様に、グラウンド端子雌接続部122は、グラウンド端子雄接続部222の進入に伴って、口が開くように弾性変形した後、口が閉じるように復元する。これにより、グラウンド端子雌接続部122がグラウンド端子雄接続部222と強く接触し、グラウンド端子雌接続部122がグラウンド端子雄接続部222と接続される。
【0090】
[効果]
本実施形態の第1コネクタ1では、グラウンド端子12は、グラウンド端子基部121及びグラウンド端子雌接続部122の2箇所でケース13の底と電気的に接続する。つまり、グラウンド端子12は、グラウンド端子雌接続部122から離れたグラウンド端子基部121でケース13と接続され、さらにグラウンド端子雌接続部122でケース13と接続される。
【0091】
グラウンド端子12がグラウンド端子雌接続部122でケース13と接続されることにより、周知の第1コネクタと比較して、GND距離が短くなる。このため、信号端子11のノイズが通り抜ける領域が狭まる。その結果、低周波信号が伝導される場合はもとより、高周波信号が伝導される場合であっても、信号端子11のノイズ漏れを抑制することができる。
【0092】
ここで、信号端子11に着目すれば、信号端子雌接続部112でノイズの放射が発生しやすい。信号端子雌接続部112は第2コネクタ2の信号端子雄接続部212と嵌合し、この嵌合した接続部分でインピーダンスのミスマッチが起こりやすいからである。このため、信号端子雌接続部112の近傍にあるグラウンド端子雌接続部122でグラウンド端子12をケース13と接続することは、ノイズ漏れの抑制に極めて有効である。
【0093】
本実施形態では、第1コネクタ1において、グラウンド端子雌接続部122はケース13の底と単に接触する。換言すれば、グラウンド端子雌接続部122はケース13の底に固定されない。これにより、グラウンド端子雌接続部122が第2コネクタ2のグラウンド端子雄接続部222と嵌合するときに、グラウンド端子雌接続部122の弾性変形は全く阻害されない。ただし、グラウンド端子雌接続部の弾性変形を許容できる限り、グラウンド端子雌接続部122は、はんだ付け等によってケース13と接合されてもよい。
【0094】
本実施形態では、第1コネクタ1において、グラウンド端子基部121は、ケース13の第1隆起部131aから突出する第1突起131aaと接触する。つまり、グラウンド端子基部121とケース13の底とが相互に部分的に接触する。この場合、グラウンド端子基部121とケース13との接触面積が小さい。このため、グラウンド端子基部121とケース13との接触圧が大きい。その結果、グラウンド端子基部121とケース13との接触抵抗が低い。
【0095】
ただし、第1コネクタ1において、グラウンド端子基部121とケース13の底とが、必ずしも相互に部分的に接触する必要はない。例えば、ケース13の第1隆起部131aに第1突起131aaが設けられずに、ケース13の第1隆起部131aが平坦であってもよい。この場合、グラウンド端子基部121は、ケース13の第1隆起部131aと広範囲で接触する。
【0096】
[第2実施形態]
以下に、図15図17を参照して第2実施形態を説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態の第1コネクタ1及び第2コネクタ2を変形したものである。以下、第1実施形態と重複する構成についての説明は適宜省略する。後述する実施形態でも同様とする。
【0097】
[第1コネクタ1]
図15は、第2実施形態の第1コネクタ1におけるグラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子12に関係する構成が第1実施形態と異なる。信号端子11に関係する構成は第1実施形態と同様である。
【0098】
図15を参照して、グラウンド端子12そのものの形態は第1実施形態と同じである。本実施形態では、ケース13は、第1実施形態の第2隆起部131bを有しない。その代わりに、ケース13において、グラウンド端子雌接続部122に対応する位置に底壁131が存在する。さらに第2ホルダ142の板部142aは、第1実施形態の第2凹部142abを有しない。つまり、第2ホルダ142において、グラウンド端子雌接続部122に対応する位置にある板部142aは平坦である。
【0099】
この場合、グラウンド端子雌接続部122とケース13の底壁131との間に、第2ホルダ142の板部142aが存在する。このため、グラウンド端子雌接続部122はケース13と絶縁される。要するに、本実施形態の第1コネクタ1では、グラウンド端子12は、グラウンド端子基部121の1箇所でケース13の底と接触する。つまり、グラウンド端子12は、グラウンド端子雌接続部122から離れたグラウンド端子基部121でケース13と接続される。
【0100】
このような第1コネクタ1は周知の第1コネクタに相当する。
【0101】
[第2コネクタ2]
図16は、第2実施形態の第2コネクタ2におけるグラウンド端子22の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子22に関係する構成が第1実施形態と異なる。信号端子21に関係する構成は第1実施形態と同様である。
【0102】
図16を参照して、グラウンド端子22そのものの形態は第1実施形態と概ね同じである。ただし、本実施形態では、グラウンド端子雄接続部222の前端部の裏面が外部に露出し、さらに、グラウンド端子雄接続部222の後端部も外部に露出する。つまり、グラウンド端子雄接続部222の後端部がホルダ24の裏面まで延びる。
【0103】
この第2コネクタ2が回路基板4上に実装される。この回路基板4のグラウンド42は、グラウンド端子基部221の前端部に対応する位置に形成され、さらに、グラウンド端子雄接続部222に対応する位置にも形成される。グラウンド端子雄接続部222の前端部及び後端部は回路基板4のグラウンド42に重なる。このグラウンド端子雄接続部222の前端部は外部に露出しており、この前端部の裏面が、はんだ付けによって、回路基板4のグラウンド42に接合される。さらに、グラウンド端子雄接続部222の後端部も外部に露出しており、この後端部の裏面が、はんだ付けによって、回路基板4のグラウンド42に接合される。また、グラウンド端子基部221の前端部の裏面が、はんだ付けによって、回路基板4のグラウンド42に接合される。
【0104】
[コネクタセット]
図17は、第2実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面図である。図17を参照して、第1実施形態と同様に、グラウンド端子雌接続部122がグラウンド端子雄接続部222と嵌合する。これにより、グラウンド端子雌接続部122がグラウンド端子雄接続部222と接続される。
【0105】
[効果]
本実施形態の第2コネクタ2では、グラウンド端子22は、グラウンド端子基部221の前端部の裏面で回路基板4のグラウンド42に接合される。さらに、グラウンド端子22は、グラウンド端子雄接続部222の前端部及び後端部の両方の裏面でグラウンド42に接合される。つまり、グラウンド端子22は、グラウンド端子雄接続部222から離れたグラウンド端子基部221で回路基板4のグラウンド42と接続され、さらにグラウンド端子雄接続部222で回路基板4のグラウンド42と接続される。
【0106】
グラウンド端子22がグラウンド端子雄接続部222で回路基板4のグラウンド42と接続されることにより、周知の第2コネクタと比較して、GND距離が短くなる。このため、信号端子21のノイズが通り抜ける領域が狭まる。その結果、低周波信号が伝導される場合はもとより、高周波信号が伝導される場合であっても、信号端子21のノイズ漏れを抑制することができる。
【0107】
ここで、信号端子21に着目すれば、信号端子雄接続部212でノイズの放射が発生しやすい。信号端子雄接続部212は第1コネクタ1の信号端子雌接続部112と嵌合し、この嵌合した接続部分でインピーダンスのミスマッチが起こりやすいからである。このため、信号端子雄接続部212の近傍にあるグラウンド端子雄接続部222でグラウンド端子22を回路基板4のグラウンド42と接続することは、ノイズ漏れの抑制に極めて有効である。
【0108】
もっとも、グラウンド端子22は、グラウンド端子雄接続部222の前端部及び後端部のうちの一方の裏面でグラウンド42に接合されても構わない。また、グラウンド端子22は、グラウンド端子基部221の前端部の裏面でグラウンド42に接合されなくてもよい。換言すれば、回路基板4のグラウンド42は、信号端子基部211の前端部に対応する位置に形成されなくてもよい。
【0109】
[第3実施形態]
以下に、図18及び図19を参照して第3実施形態を説明する。第3実施形態は、上記第1実施形態の第1コネクタ1を変形したものである。
【0110】
図18は、第3実施形態の第1コネクタ1におけるグラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面図である。図19は、第3実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子12に関係する構成が第1実施形態と異なる。信号端子11に関係する構成は第1実施形態と同様である。
【0111】
図18及び図19を参照して、グラウンド端子12そのものの形態は第1実施形態と概ね同じである。ただし、本実施形態では、第1コネクタ1において、ケース13の第1隆起部131aは、第1実施形態の第1突起131aaを有しない。つまり、ケース13の第1隆起部131aは平坦である。その代わりに、グラウンド端子12において、グラウンド端子基部121に第1突起121aが設けられる。この第1突起121aはケース13の第1隆起部131aに向けて突出する。つまり、第1突起121aは、ケース13の底に向けて突出する。第1突起121aは、例えば円柱状や半球状を有する。
【0112】
本実施形態では、第1コネクタ1において、ケース13の第1隆起部131aは、グラウンド端子基部121から突出する第1突起121aと接触する。つまり、第1実施形態と同様に、グラウンド端子基部121とケース13の底とが相互に部分的に接触する。この場合、グラウンド端子基部121とケース13との接触抵抗が低い。
【0113】
[第4実施形態]
以下に、図20及び図21を参照して第4実施形態を説明する。第4実施形態は、上記第1実施形態の第1コネクタ1を変形したものである。
【0114】
図20は、第4実施形態の第1コネクタ1におけるグラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面図である。図21は、第4実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子12に関係する構成が第1実施形態と異なる。信号端子11に関係する構成は第1実施形態と同様である。
【0115】
図20及び図21を参照して、グラウンド端子12そのものの形態は第1実施形態と概ね同じである。ただし、本実施形態では、第1コネクタ1において、ケース13の第2隆起部131bは第2突起131baを含む。第2突起131baは、第2隆起部131bからケース13の開口130側に向けて突出する。要するに、第2突起131baは、ケース13の内側に突出する。第2突起131baは、例えば円柱状や半球状を有する。
【0116】
本実施形態では、第1コネクタ1において、グラウンド端子雌接続部122は、ケース13の第2隆起部131bから突出する第2突起131baと接触する。つまり、グラウンド端子雌接続部122とケース13の底とが相互に部分的に接触する。この場合、グラウンド端子雌接続部122とケース13との接触面積が小さい。このため、グラウンド端子雌接続部122とケース13との接触圧が大きい。その結果、グラウンド端子雌接続部122とケース13との接触抵抗が低い。
【0117】
[第5実施形態]
以下に、図22及び図23を参照して第5実施形態を説明する。第5実施形態は、上記第4実施形態の第1コネクタ1を変形したものである。
【0118】
図22は、第5実施形態の第1コネクタ1におけるグラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面図である。図23は、第5実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子12に関係する構成が第4実施形態と異なる。
【0119】
図22及び図23を参照して、グラウンド端子12そのものの形態は第4実施形態と概ね同じである。ただし、本実施形態では、第1コネクタ1において、ケース13の第2隆起部131bは、第4実施形態の第2突起131baを有しない。つまり、ケース13の第2隆起部131bは平坦である。その代わりに、グラウンド端子12において、グラウンド端子雌接続部122に第2突起122aが設けられる。この第2突起122aはケース13の第2隆起部131bに向けて突出する。つまり、第2突起122aは、ケース13の底に向けて突出する。第2突起122aは、例えば円柱状や半球状を有する。
【0120】
本実施形態では、第1コネクタ1において、ケース13の第2隆起部131bは、グラウンド端子雌接続部122から突出する第2突起122aと接触する。つまり、第4実施形態と同様に、グラウンド端子雌接続部122とケース13の底とが相互に部分的に接触する。この場合、グラウンド端子雌接続部122とケース13との接触抵抗が低い。
【0121】
[第6実施形態]
以下に、図24及び図25を参照して第6実施形態を説明する。第6実施形態は、上記第1実施形態の第1コネクタ1を変形したものである。
【0122】
図24は、第6実施形態の第1コネクタ1におけるグラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面図である。図25は、第6実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子12に関係する構成が第1実施形態と異なる。信号端子11に関係する構成は第1実施形態と同様である。
【0123】
図24及び図25を参照して、グラウンド端子12そのものの形態は第1実施形態と概ね同じである。ただし、本実施形態では、第1コネクタ1において、ケース13は、第1実施形態の第2隆起部131bを有しない。その代わりに、ケース13において、グラウンド端子雌接続部122に対応する位置に底壁131が存在する。さらに第2ホルダ142の板部142aは、第1実施形態の第2凹部142abに代えて、貫通穴142acを有する。第2ホルダ142の板部142aにおいて、貫通穴142acはグラウンド端子雌接続部122に対応する位置に成形される。
【0124】
第1コネクタ1において、信号端子雌接続部112(図6及び図13参照)と比較して、グラウンド端子雌接続部122の大きさがケース13の底に向けて大きい。グラウンド端子雌接続部122はケース13の底壁131と接触する。このため、グラウンド端子雌接続部122はケース13と電気的に接続される。
【0125】
この場合、グラウンド端子雌接続部122が第2コネクタ2のグラウンド端子雄接続部222と嵌合するとき、グラウンド端子雌接続部122の弾性的な可動域が広がる。これにより、グラウンド端子12の寿命が向上する。
【0126】
[第7実施形態]
以下に、図26及び図27を参照して第7実施形態を説明する。第7実施形態は、上記第2実施形態の第1コネクタ1を変形し、さらに、上記第1実施形態の第2コネクタ2を用いたものである。
【0127】
図26は、第7実施形態の第1コネクタ1におけるグラウンド端子12の前後方向に沿う縦断面図である。図27は、第7実施形態の第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたコネクタセットにおけるグラウンド端子12及び22の前後方向に沿う縦断面図である。本実施形態では、グラウンド端子12に関係する構成が第1実施形態と異なる。
【0128】
図26及び図27を参照して、グラウンド端子12そのものの形態は第1実施形態と概ね同じである。ただし、本実施形態では、第1コネクタ1において、グラウンド端子中間部123は凸部123aを有する。凸部123aはケース13の開口130に表出する。別の観点では、凸部123aは、グラウンド端子中間部123の直線部からケース13の開口130に向けて突出する。グラウンド端子中間部123において、凸部123aは、第2コネクタ2のフレーム23のうちの後壁234の後面に対応する位置に形成される。
【0129】
図27を参照して、第1コネクタ1が第2コネクタ2と組み合わされたとき、第1コネクタ1のグラウンド端子中間部123の凸部123aは、第2コネクタ2のフレーム23のうちの後壁234と接触する。このため、第1コネクタ1のグラウンド端子中間部123の凸部123aは第2コネクタ2のフレーム23と電気的に接続される。
【0130】
本実施形態の第1コネクタ1では、グラウンド端子12は、グラウンド端子基部121でケース13の底と接触する。さらに、グラウンド端子12は、グラウンド端子中間部123の凸部123aで第2コネクタ2のフレーム23と接触する。つまり、グラウンド端子12は、グラウンド端子雌接続部122から離れたグラウンド端子基部121でケース13と接続され、さらにグラウンド端子中間部123で第2コネクタ2のフレーム23と接続される。上記のとおり、フレーム23はグラウンド(GND)である。
【0131】
この場合、第1コネクタ1のグラウンド端子12がグラウンド端子中間部123で第2コネクタ2のフレーム23と接続されることにより、周知のコネクタセットの第1コネクタ1と比較して、GND距離が短くなる。このため、信号端子11のノイズが通り抜ける領域が狭まる。その結果、低周波信号が伝導される場合はもとより、高周波信号が伝導される場合であっても、信号端子11のノイズ漏れを抑制することができる。
【0132】
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、第1実施形態の第2コネクタ2、及び第3~第7実施形態の第2コネクタ2をそれぞれ、第2実施形態の第2コネクタ2に置き換えてもよい。第1実施形態~第7実施形態それぞれの第1コネクタ1及び第2コネクタ2を適宜組み合わせることも可能である。
【0133】
第1コネクタ1に接続される同軸ケーブル3の数は、2本に限定されない。同軸ケーブル3の数は、3本であってもよいし、それ以上であってもよい。例えば、同軸ケーブル3の数が3本である場合、第1コネクタ1は、3つの信号端子11と、2つのグラウンド端子12と、を備える。3つの信号端子11は、相互に並列に配置される。2つのグラウンド端子12は、信号端子11同士それぞれの間に信号端子11と並列に配置される。また、第1コネクタ1には、2本の同軸ケーブル3に代えて、回路基板(例:フレキシブル回路基板)が接続されてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1:第1コネクタ
11:信号端子
111:信号端子基部
112:信号端子雌接続部
113:信号端子中間部
12:グラウンド端子
121:グラウンド端子基部
122:グラウンド端子雌接続部
123:グラウンド端子中間部
13:ケース
130:開口
131:底壁
131a:第1隆起部
131b:第2隆起部
14:ホルダ
141第1ホルダ
141a:凹部
142:第2ホルダ
142a:板部
2:第2コネクタ
21:信号端子
211:信号端子基部
212:信号端子雄接続部
213:信号端子中間部
22:グラウンド端子
221:グラウンド端子基部
222:グラウンド端子雄接続部
223:グラウンド端子中間部
23:フレーム
230:開口
24:ホルダ
24a:凹部
3:同軸ケーブル
4:回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27