(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】撮像システム、撮像方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/18 20220101AFI20240409BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240409BHJP
H04N 23/76 20230101ALI20240409BHJP
H04N 23/743 20230101ALI20240409BHJP
【FI】
G06V40/18
G06T7/00 510D
H04N23/76
H04N23/743
(21)【出願番号】P 2022536076
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2020027722
(87)【国際公開番号】W WO2022014020
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】塚田 正人
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-165031(JP,A)
【文献】特開2003-263629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/18
G06T 7/00
H04N 23/76
H04N 23/743
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像する撮像手段と、
前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得する取得手段と、
前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記目領域に照明光を照射する照射手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記第1情報及び補正された前記第2情報から、前記対象者の虹彩特徴を含む虹彩画像を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記撮像手段は、2つ以上の異なる輝度レンジで前記画像を複数撮像し、
前記取得手段は、前記第1情報及び前記第2情報の各々を、異なる輝度レンジで撮像された前記画像から取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記取得手段は、異なる輝度レンジで撮像された前記画像から前記第2の領域の画素値が飽和していない非飽和画像を選択し、前記非飽和画像から前記第2情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記補正手段は、前記第2の領域の画素値の平均値から前記第1の領域の画素値の平均値に基づく値を差し引くことで、前記第2情報を補正することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記虹彩画像及び前記虹彩画像の認証処理に用いる登録画像の少なくとも一方を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項
3のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記虹彩画像と、前記撮像手段で撮像された前記画像とを、同時に又は相互に切り替えて表示することを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。
【請求項9】
観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、
前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、
前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正する
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項10】
観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、
前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、
前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正する
ようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、対象者の目領域を撮像する撮像システム、撮像方法、及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、対象者の目周辺に光を照射して、虹彩画像を撮像するものが知られている。例えば特許文献1では、眼球へ一の入射角で光を照射して撮影を行い、撮影画像が良好でないと判断した場合に、順次異なる入射角で光を照射する技術が開示されている。また、虹彩画像を撮像する際に、眼鏡等による光の反射を考慮する技術も提案されている(例えば、特許文献2から4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-005195号公報
【文献】特開2001-167284号公報
【文献】特開2008-276328号公報
【文献】特開2015-112151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象者が眼鏡を装着している場合、眼鏡のレンズにおいて照明光の反射が発生し、反射が生じた領域の虹彩特徴を取得できなくなるおそれがある。上述した各引用文献は、このような問題点に関する議論が不十分であり、改善の余地がある。
【0005】
この開示は、上述した課題を解決することが可能な撮像システム、撮像方法、及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の撮像システムの一の態様は、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像する撮像手段と、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得する取得手段と、前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正する補正手段とを備える。
【0007】
この開示の撮像方法の一の態様は、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正する。
【0008】
この開示のコンピュータプログラムの一の態様は、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正するようにコンピュータを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る撮像システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る撮像システムの変形例に係る機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】眼鏡レンズにおいて光反射が生じている場合の撮像例を示す図である。
【
図5】対象者の虹彩で反射する光及び眼鏡レンズで反射する光の経路を示す概念図である。
【
図6】第1実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係る撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図8】第2実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】異なる輝度レンジで撮像される複数の画像の一例を示す図である。
【
図11】第1の領域及び第2の領域において観測される光量の一例を示すグラフである。
【
図12】第1の領域の画素値の平均値及び第2の領域の画素値の平均値を算出する方法を示す概念図である。
【
図13】第1の領域の画素値の平均値と第2の領域の画素値の平均値との差分を示すグラフである。
【
図14】画素値の平均値を用いて補正した後の画素値の一例を示すグラフである。
【
図15】第5実施形態に係る撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図16】第5実施形態に係る撮像システムにおける表示例を示す図(その1)である。
【
図17】第5実施形態に係る撮像システムにおける表示例を示す図(その2)である。
【
図18】第5実施形態に係る撮像システムにおける表示例を示す図(その3)である。
【
図19】第6実施形態に係る撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図20】第6実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、撮像システム、撮像方法、及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る撮像システムについて、
図1から
図6を参照して説明する。
【0012】
(ハードウェア構成)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る撮像システムのハードウェア構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る撮像システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る撮像システム10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。撮像システム10は更に、入力装置15と、出力装置16とを備えていてもよい。プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16とは、データバス17を介して接続されている。
【0014】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、プロセッサ11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込むように構成されている。或いは、プロセッサ11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。プロセッサ11は、ネットワークインタフェースを介して、撮像システム10の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。プロセッサ11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、プロセッサ11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、プロセッサ11内には、対象者の虹彩画像を処理するための機能ブロックが実現される。また、プロセッサ11として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Demand-Side Platform)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうち一つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。
【0015】
RAM12は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムを実行している際にプロセッサ11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0016】
ROM13は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0017】
記憶装置14は、撮像システム10が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、プロセッサ11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0018】
入力装置15は、撮像システム10のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0019】
出力装置16は、撮像システム10に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、撮像システム10に関する情報を表示可能な表示装置(例えば、ディスプレイ)であってもよい。
【0020】
(機能的構成)
次に、
図2を参照しながら、第1実施形態に係る撮像システム10の機能的構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、第1実施形態に係る撮像システム10は、対象者Pの画像(特に、虹彩を含む目周辺の画像)を撮像可能に構成されている。撮像システム10は、例えば対象者Pの虹彩認証を実行するシステムの一部として構成されていてもよい。撮像システム10は、撮像部110と、照射部120と、計算部130とを備えている。
【0022】
撮像部110は、例えば対象者Pを撮像可能な位置に配置されたカメラとして構成されている。撮像部110は、対象者Pの虹彩の特徴(以下、適宜「虹彩特徴」と称する)を捉えることが可能な解像度を有している。撮像部110は、目領域付近からの反射光を飽和することなく撮像可能なダイナミックレンジを有するイメージセンサを有している。より具体的には、撮像部110は、対象者Pが掛けている眼鏡のレンズ面で光反射が生じた場合であっても、光の反射を含まない領域(以下、適宜「第1の領域」と称する)と、光の反射を含む領域(以下、適宜「第2の領域」と称する)との両方で画素値が飽和しないダイナミックレンジを有するイメージセンサを有している。このようなイメージセンサの一例として、非特許文献1に示すイメージセンサを利用することができる。
【0023】
【文献】M. Murata et al., “A High Near-Infrared Sensitivity Over 70-dB SNR CMOS Image Sensor With Lateral Overflow Integration Trench Capacitor,” IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, pp. 1-7, 2020.
【0024】
なお、撮像部110が撮像を行う際には、対象者Pの虹彩特徴を画像として効果的に捉えられるように、露光、シャッタースピード、及びゲイン等が適宜調整される。撮像部110で撮像された対象者Pの目領域の画像は、計算部130に出力される構成となっている。
【0025】
照射部120は、撮像部110が対象者Pの画像を撮像する際に、対象者Pに向けて照明光を照射する。照射部120の照射タイミングは、撮像部110の撮像タイミングと同期されていてもよい。なお、照射部120の数は1つに限られず、複数の照射部120が備えられていてもよい。この場合、複数の照射部120は、それぞれ同時に照明光を照射してもよいし、状況に応じて一部の照射部120から照明光が照射されるようにしてもよい。複数の照射部120を備える場合、それらは二次元的に(即ち、同一平面上にあるように)配置されてもよいし、三次元的に配置されていてもよい。
【0026】
計算部130は、撮像部110で撮像された画像に対して各種処理を実行可能に構成されている。計算部130は、例えば
図1のプロセッサ11の一部として構成されればよい。計算部130は、その機能を実現するための処理ブロックとして、取得部131及び補正部132を備えている。
【0027】
取得部131は、撮像部110で撮像された画像から、虹彩に関する情報を取得可能に構成されている。取得部131は特に、第1の領域(即ち、眼鏡レンズによる光の反射を含まない領域)に関する第1情報、及び第2の領域(即ち、眼鏡レンズによる光の反射を含む領域)に関する第2情報を取得可能に構成されている。第1情報及び第2情報は、例えば画素値として取得される。なお、眼鏡レンズにおける光反射が生じていない場合、取得部131は、第1情報のみを取得するようにしてもよい。取得部131で取得された第1情報及び第2情報は、補正部132に出力される構成となっている。
【0028】
補正部132は、第1情報に基づいて、第2情報を補正可能に構成されている。より具体的には、補正部132は、第2情報に含まれる眼鏡レンズにおける光反射の影響が小さくなるように(好ましくはゼロとなるように)、第2情報を補正する。
【0029】
(変形例)
次に、
図3を参照しながら、第1実施形態に係る撮像システム10の変形例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る撮像システムの変形例に係る機能的構成を示すブロック図である。なお、
図3では、
図2で示した構成要素と同様のものに、同一の参照符号を付している。
【0030】
図3に示すように、変形例に係る撮像システム10は、撮像部110と、計算部130とを備えている。即ち、撮像システム10は、必ずしも照射部120を備えずともよい。この場合、対象者Pに対しては、システム外部の照明(例えば、蛍光灯等)からの光、或いは自然光等が照射されればよい。
【0031】
(眼鏡レンズによる光反射の影響)
次に、眼鏡レンズにおいて発生する光反射が画像に与える影響について、
図4を参照して説明する。
図4は、眼鏡レンズにおいて光反射が生じている場合の撮像例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、対象者Pが眼鏡を掛けている場合、照射部120から照射された照明光が眼鏡レンズで反射することで、撮像部110で撮像される画像に影響が及ぶおそれがある。具体的には、光反射の影響を受ける第2の領域が、対象者Pの虹彩の領域と重なってしまい、虹彩特徴を適切に取得できなくなるおそれがある。特に、イメージセンサのダイナミックレンジが狭い(例えば、50dB程度)場合、眼鏡レンズにおける反射の影響を受ける第2の領域の画素値は飽和してしまい、虹彩特徴が全く取得できない可能性もある。このような状況を回避するために、本実施形態に係る撮像システム10は、すでに説明したように、反射光を飽和することなく撮像可能なダイナミックレンジを有するイメージセンサを有している。
【0033】
(反射する光の経路)
次に、照射部120から照射された照明光が、撮像部110に到達するまでの経路について、
図5を参照して具体的に説明する。
図5は、対象者の虹彩で反射する光及び眼鏡レンズで反射する光の経路を示す概念図である。
【0034】
図5に示すように、照射部120から照射された照明光は、眼鏡レンズ200の表面又は裏面で反射して撮像部110へ向かう反射光Aの成分と、対象者Pの虹彩Eで反射して撮像部110へ向かう反射光Bの成分とに分かれる。ここで、第1の領域からの反射光は反射光Bを含むものである。一方で、第2の領域からの反射光は、反射光A及び反射光Bの両方を含むものである。よって、第2の領域に関する第2情報に対して、反射光Aの成分に由来するものを分離するような補正を行うことができれば、眼鏡レンズ200における反射の影響を小さくすることができる。
【0035】
(動作の流れ)
次に、
図6を参照しながら、第1実施形態に係る撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図6は、第1実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0036】
図6に示すように、第1実施形態に係る撮像システム10が動作する際には、まず撮像部110が対象者Pの目領域の画像を撮像する(ステップS101)。
【0037】
続いて、取得部131が第1情報及び第2情報を取得して、第2の領域が存在しているか否かを判定する(ステップS102)。言い換えれば、眼鏡レンズ200による光の反射を含む領域があるか否かを判定する。第2の領域が存在するか否かは、例えば局所的に光量が大きくなっている部分が存在するか否かによって判定することができる。
【0038】
第2の領域が存在していない場合(ステップS102:NO)、第1の領域のみが存在することになるため、光反射の影響を考慮する必要はない。よって、この場合には、一連の処理が終了する。
【0039】
一方、第2の領域が存在している場合(ステップS102:YES)、そのままでは第2の領域における虹彩特徴を取得することが難しい。よって、この場合には、補正部132が、第1情報に基づいて第2情報を補正する(ステップS104)。なお、ここでの具体的な補正方法については、後述する第4実施形態において詳しく説明する。
【0040】
(技術的効果)
次に、第1実施形態に係る撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0041】
図1から
図6で説明したように、第1実施形態に係る撮像システム10では、眼鏡レンズ200による光の反射を含む第2情報が、補正部132によって補正される。この結果、眼鏡レンズ200における反射の影響を小さくすることができ、第2の領域についても対象者Pの虹彩特徴を取得することができる。
【0042】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る撮像システム10について、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみであり、例えばハードウェア構成については第1実施形態(
図1参照)と同一であってよい。このため、以下では、第1実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0043】
図7に示すように、第2実施形態に係る撮像システム10は、撮像部110と、照射部120と、計算部130とを備えている。そして特に、第2実施形態に係る計算部130は、取得部131、補正部132、及び生成部133を備えている。即ち、第2実施形態に係る計算部130は、第1実施形態の構成に加えて、生成部133を更に備えて構成されている。
【0044】
生成部133は、取得部131で取得された第1情報、及び補正部132で補正された第2情報から、対象者Pの虹彩特徴を含む虹彩画像を生成可能に構成されている。例えば、生成部133は、第1情報に含まれる虹彩情報(即ち、もともと光反射の影響を受けずに取得された虹彩情報)と、補正された第2情報に含まれる虹彩情報(即ち、補正によって光反射の影響が小さくなったことで得られた虹彩情報)とを用いて、対象者Pの虹彩画像を生成する。生成部133は、生成した虹彩画像を出力する機能を有していてもよい。
【0045】
(動作の流れ)
次に、
図8を参照しながら、第1実施形態に係る撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図8は、第2実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図8では、
図6で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0046】
図8に示すように、第2実施形態に係る撮像システム10が動作する際には、まず撮像部110が対象者Pの目領域の画像を撮像する(ステップS101)。そして、取得部131が第1情報及び第2情報を取得して、第2の領域が存在しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0047】
第2の領域が存在していない場合(ステップS102:NO)、第1の領域のみが存在することになるため、光反射の影響を考慮する必要はない。よって、この場合には、生成部133が、第1の領域に関する第1情報から虹彩画像を生成する(ステップS103)。
【0048】
一方、第2の領域が存在している場合(ステップS102:YES)、そのままでは第2の領域における虹彩特徴を取得することが難しい。よって、この場合には、補正部132が、第1情報に基づいて第2情報を補正する(ステップS104)。その後、生成部133が、第1情報及び補正された第2情報から虹彩画像を生成する(ステップS105)。
【0049】
(技術的効果)
次に、第2実施形態に係る撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0050】
図7及び
図8で説明したように、第2実施形態に係る撮像システム10では、第1情報及び補正された第2情報から虹彩画像が生成される。よって、眼鏡レンズ200による光の反射が生じた場合であっても、適切に虹彩画像を生成することができる。このような技術的効果は、例えば正確な虹彩特徴が要求される虹彩認証を実行する際に顕著に発揮される。これにより、例えば対象者Pが眼鏡を外す手間が省けたり、或いは撮像のやり直しのリスクが低減されたりして、虹彩画像を撮像する際の利便性が大きく向上する。
【0051】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る撮像システム10について、
図9を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1及び第2実施形態と比べて一部の動作が異なるのみであり、その構成について第1及び第2実施形態(
図1、
図2、
図3、及び
図7参照)と同一であってよい。このため、以下では、第1及び第2実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0052】
(動作の流れ)
まず、
図9を参照しながら、第3実施形態に係る撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図9は、第3実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図9では、
図6及び
図8で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0053】
図9に示すように、第3実施形態に係る撮像システム10が動作する際には、まず撮像部110が、対象者Pの目領域の画像を、2つ以上の異なる輝度レンジで複数枚撮像する(ステップS201)。例えば、2つの輝度レンジで画像を撮像する場合、撮像部110は、比較的低い輝度レンジで画像を1枚撮像し、比較的高い輝度レンジで画像を1枚撮像すればよい。
【0054】
続いて、取得部131が一の画像から第1情報及び第2情報を取得して、第2の領域が存在しているか否かを判定する(ステップS102)。一の画像は、第1情報から適切に虹彩特徴を取得できる輝度レンジで撮像された画像(例えば、輝度レンジが最も低い画像)であることが好ましい。
【0055】
第2の領域が存在していない場合(ステップS102:NO)、第1の領域のみが存在することになるため、生成部133が、一の画像から取得した第1情報から虹彩画像を生成する(ステップS103)。
【0056】
一方、第2の領域が存在している場合(ステップS102:YES)、取得部131が、他の画像(即ち、一の画像とは輝度レンジが異なる画像)から第2情報を取得する(ステップS202)。他の画像は、第2の領域の虹彩特徴を多少なりとも取得できるような画像(例えば、一の画像よりも輝度レンジが高い画像)であることが好ましい。
【0057】
その後、補正部132が、第1情報に基づいて第2情報を補正する(ステップS104)。そして、生成部133が、第1情報及び補正された第2情報から虹彩画像を生成する(ステップS105)。
【0058】
(技術的効果)
次に、第3実施形態に係る撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0059】
図9で説明したように、第3実施形態に係る撮像システム10では、2つ以上の輝度レンジで撮像された複数の画像を用いて、対象者Pの虹彩画像が生成される。ここで仮に、輝度レンジが固定されている場合、その輝度レンジで撮像した画像からは、第1の領域及び第2の領域の両方の虹彩特徴を取得できない可能性がある。しかるに本実施形態では、2つ以上の輝度レンジで撮像された複数の画像を利用するため、それぞれの画像から第1情報及び第2情報を別々に取得できる。よって、より適切に対象者Pの虹彩画像を生成することができる。
【0060】
(変形例)
ここで、
図10を参照しながら、第3実施形態に係る撮像システム10の変形例について説明する。
図10は、異なる輝度レンジで撮像される複数の画像の一例を示す図である。
【0061】
図10に示すように、変形例に係る撮像システム10では、撮像部110が5つの異なる輝度レンジで対象者Pの画像を撮像する。この例では、輝度レンジが最も小さい低輝度画像からは、第1の領域に関する虹彩特徴が取得できる一方で、第2の領域に関する虹彩特徴が取得できない。具体的には、低輝度画像では第2の領域の画素値が飽和してしまっている(各画像のビット深度が8ビットの場合、飽和状態の画素値は255となる)。
【0062】
このような場合、取得部131は、第2の領域の画素値が飽和していない非飽和画像から第2の領域に関する第2情報を取得する。具体的には、輝度レンジが最も大きい最高輝度画像から第2情報を取得する。最高輝度画像は、
図10を見ても分かるように、第2の領域以外の周辺部分については飽和しているが、第2の領域については飽和しておらず、第2情報として虹彩特徴が取得できる。
【0063】
このように、低輝度画像において第2の領域の画素値が飽和している場合であっても、第2の領域が飽和していない画像から第2情報を取得するようにすれば、適切に虹彩画像を生成することができる。なお、上述した例では、最高輝度画像から第2情報を取得する例について説明したが、中~高輝度画像群においても第2の領域の画素値が飽和していない場合には、そこから第2情報を取得してもよい。
【0064】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る撮像システム10について、
図11から
図14を参照して説明する。なお、第4実施形態は、上述した第1から第3実施形態における第2情報の具体的な補正方法(即ち、補正部132の具体的な動作例)について説明する形態であり、その構成や動作の流れについては第1実施形態(
図1、
図2及び
図5参照)、第2実施形態(
図8参照)、又は第3実施形態(
図9参照)と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した部分と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0065】
(第1の領域及び第2の領域の光量)
まず、
図11を参照しながら、第1の領域及び第2の領域における反射光の光量について説明する。
図11は、第1の領域及び第2の領域において観測される光量の一例を示すグラフである。このグラフは、図中の第1の領域及び第2の領域を跨ぐ太線部分を横方向(即ち、X軸方向)に走査して得られる値をプロットしたものである。
【0066】
図11に示すように、眼鏡レンズ200で光反射が発生していない第1の領域における観測光の光量が比較的少なくなるため、画素値が小さくなる。一方で、眼鏡レンズ200で光反射が発生している第2の領域では、観測光の光量が多くなるため、画素値が大きくなる。
【0067】
ここで、虹彩で反射した反射光(即ち、
図4の反射光B)については、虹彩が有する視覚特徴により、その光量が変動する。一方、眼鏡レンズ200で反射した反射光(即ち、
図4の反射光A)については、眼鏡レンズ200に模様などの視覚特徴がないため、その光量がほぼ均一となる。この特徴の違いを利用することで、反射光Aの成分と反射光Bの成分とを分離する(言い換えれば、反射光Aの成分だけを取り除く)補正が行える。
【0068】
(画素値の補正)
次に、
図12から
図14を参照しながら、画素値の補正方法について説明する。
図12は、第1の領域の画素値の平均値及び第2の領域の画素値の平均値を算出する方法を示す概念図である。
図13は、第1の領域の画素値の平均値と第2の領域の画素値の平均値との差分を示すグラフである。
図14は、画素値の平均値を用いて補正した後の画素値の一例を示すグラフである。
【0069】
図12において、実線で囲まれた領域は、虹彩領域の画素値(即ち、第1の領域の画素値)を表している。また、点線で囲まれた領域は、眼鏡レンズ200の光反射の影響を受けた領域の画素値(即ち、第2の領域の画素値)を示している。なお、第1の領域と第2の領域とは、画素値が大きく異なる特性を利用することで、容易に判定することが可能である。
【0070】
第4実施形態に係る撮像システム10では、補正部132が第1の領域の画素値の平均値O(バー:Oにオーバーライン)iを計算する。また補正部132は、第2の領域の画素値の平均値O(バー)gを計算する。ここで平均値O(バー)iは、虹彩で反射された光(即ち、
図4の反射光B)の平均値を表している。平均値O(バー)gは、虹彩で反射された光と眼鏡レンズ200で反射された光の和(即ち、
図4の反射光AとBの和)の和の平均値を表している。よって、反射光Aの平均値O(バー)aは、下記の式(1)を用いて算出できる。
【0071】
【0072】
また、所定のマージンを考慮した係数αを利用して、下記の式(2)のように算出することもできる。
【0073】
【0074】
ここでのαは、実験により統計的に求められる値でもよいし、ユーザが任意に設定できる値でもよい。なお、後述する第5実施形態のように、生成される虹彩画像を表示可能な構成を有する場合、表示画面上でαの値を調整できるようにし、調整の度に虹彩画像の表示を更新するようにしてもよい。
【0075】
図13に示すように、眼鏡レンズ200で反射された反射光Aの平均値O(バー)aは、平均値O(バー)iを示す直線と平均値O(バー)gを示す直線との間との長さとしてグラフ上に表すことができる。なお、平均値O(バー)aを求める際は、
図12に示した画像上の1ライン上だけなく、複数ラインを用いてそれぞれの領域の画素値の平均値を求めてもよい。
【0076】
補正部132は、第2の領域の画像上の座標位置(x,y)における画素値Og(x,y)から、第1の領域の画素値Oi(x,y)を計算する(下記の式(3)参照)。
【0077】
【0078】
以上の手順に従うことにより、
図14に示すように、第2領域の画素値から眼鏡レンズ200における反射光の影響を取り除いた画素値Oi(x,y)が計算される。眼鏡レンズ200からの反射光の影響を受けている全ての画素について画素値Oi(x,y)を求めることで、対象者Pの目の虹彩の視覚特徴を捉えた虹彩画像を生成することができる。
【0079】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る撮像システム10について、
図15から
図18を参照して説明する。なお、第5実施形態は、上述した第1から第4実施形態と比べて一部の構成が異なるのみで、ハードウェア構成や動作の流れ等については第1実施形態(
図1、
図2及び
図5参照)、第2実施形態(
図7及び
図8参照)、又は第3実施形態(
図9参照)と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した部分と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0080】
(機能的構成)
まず、
図15を参照しながら、第5実施形態に係る撮像システム10の機能的構成について説明する。
図15は、第5実施形態に係る撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図12では、
図2で示した構成要素と同様のものに同一の符号を付している。
【0081】
図15に示すように、第5実施形態に係る撮像システム10は、撮像部110と、照射部120と、計算部130と、表示部140とを備えている。即ち、第5実施形態に係る撮像システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、表示部140を更に備えて構成されている。
【0082】
表示部140は、例えばディスプレイを有するモニタとして構成されている。表示部140は、
図1に示す出力装置16の一部として構成されてもよい。表示部140は、生成部133で生成された虹彩画像、及び虹彩画像を用いた認証処理用の登録画像の少なくとも一方を表示可能に構成されている。
【0083】
(表示例)
次に、第5実施形態に係る撮像システム10の表示例について、
図16から
図18を参照して説明する。なお、以下で説明する第1表示例から第3表示例については、適宜組み合わせて利用することも可能である。
【0084】
(第1表示例)
図16を参照しながら、第1表示例について説明する。
図16は、第5実施形態に係る撮像システムにおける表示例を示す図(その1)である。
【0085】
図16(a)に示すように、表示部140は、登録画像と虹彩画像とを並べて表示してもよい。このとき、表示部140は、登録画像及び虹彩画像の表示/非表示を切り替え可能な態様で表示を行ってもよい。具体的には、各画像の下に表示/非表示を切り替えるためのボタンを表示してもよい。この場合、登録画像を非表示にするボタンを押すと、
図16(b)に示すように、登録画像が消え、虹彩画像のみが表示される。なお、いずれか一方の画像のみを表示する場合には、表示する画像を拡大して中央に表示するようにしてもよい。
【0086】
(第2表示例)
図17を参照しながら、第2表示例について説明する。
図17は、第5実施形態に係る撮像システムにおける表示例を示す図(その2)である。
【0087】
図17(a)に示すように、表示部140は、虹彩画像の補正あり/なしを切り替え可能な態様で表示を行ってもよい。具体的には、虹彩画像の下に補正あり/なしを切り替えるためのボタンを表示してもよい。この場合、補正なしにするボタンを押すと、
図17(b)に示すように、虹彩画像が補正前の状態(即ち、補正部132による補正が実行されていない撮像時の状態)で表示される。このようにすれば、虹彩画像のどの部分がどのように補正されているのかを知ることが可能である。なお、補正前の虹彩画像と、補正後の虹彩画像とを同時に表示するようにしてもよい。
【0088】
(第3表示例)
図18を参照しながら、第3表示例について説明する。
図18は、第5実施形態に係る撮像システムにおける表示例を示す図(その3)である。
【0089】
図18(a)に示すように、表示部140は、補正した箇所(言い換えれば、第2領域に相当する箇所)の強調表示ON/OFFを切り替え可能な態様で表示を行ってもよい。具体的には、登録画像及び虹彩画像の下に強調表示ON/OFFを切り替えるためのボタンを表示してもよい。この場合、登録画像及び虹彩画像の両方の強調表示がONとなるようにボタンを押すと、
図18(b)に示すように、登録画像及び虹彩画像の第2領域に相当する箇所が枠で囲まれて表示される。このようにすれば、虹彩画像のどの部分が補正されているのかを知ることが可能である。なお、枠で囲う表示は強調表示の一例であり、その他の態様(例えば、色や濃度の変更、或いは点滅等)で強調表示を行ってもよい。
【0090】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る撮像システム10について、
図19及び
図20を参照して説明する。なお、第6実施形態は、上述した第1から第5実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみであり、例えばハードウェア構成については第1実施形態(
図1参照)と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した部分と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0091】
図19に示すように、第6実施形態に係る撮像システム10は、撮像部110と、計算部130とを備えている。そして特に、第6実施形態に係る計算部130は、取得部131と、眼鏡検知部134とを備えている。即ち、第6実施形態に係る計算部130は、上述した各実施形態の補正部132に代えて、眼鏡検知部134を備えて構成されている。
【0092】
眼鏡検知部134は、取得部131で取得された第1情報及び第2情報に基づいて、対象者Pが眼鏡を掛けていることを検知可能に構成されている。例えば、眼鏡検知部134は、取得部131で第1情報及び第2情報の両方が取得された場合、対象者Pが眼鏡を掛けていることを検知する。一方で、取得部131で第1情報のみが取得された場合、対象者Pが眼鏡を掛けていることを検知しない。
【0093】
(動作の流れ)
次に、
図20を参照しながら、第6実施形態に係る撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図20は、第6実施形態に係る撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0094】
図8に示すように、第6実施形態に係る撮像システム10が動作する際には、まず撮像部110が対象者Pの目領域の画像を撮像する(ステップS501)。そして、取得部131が第1情報及び第2情報を取得する(ステップS502)。
【0095】
続いて、眼鏡検知部134が、取得部131の取得結果(即ち、第1情報及び第2情報)に基づいて、眼鏡検知処理を実行する(ステップS503)。眼鏡検知部134は、対象者Pが眼鏡を掛けていることを検知した場合、その情報をディスプレイ等に出力するようにしてもよい。
【0096】
(技術的効果)
次に、第6実施形態に係る撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0097】
図19及び
図20で説明したように、第6実施形態に係る撮像システム10では、取得部131の取得結果(具体的には、眼鏡による光の反射を含まない第1情報、及び眼鏡による光の反射を含む第2情報)に基づいて、眼鏡を掛けていることが検知される。よって、対象者Pを撮像した画像から、対象者Pが眼鏡を掛けているか否かを適切に判定することが可能である。
【0098】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0099】
(付記1)
付記1に記載の撮像システムは、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像する撮像手段と、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得する取得手段と、前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正する補正手段とを備える撮像システムである。
【0100】
(付記2)
付記2に記載の撮像システムは、前記目領域に照明光を照射する照射手段を更に備えることを特徴とする付記1に記載の撮像システムである。
【0101】
(付記3)
付記3に記載の撮像システムは、前記第1情報及び補正された前記第2情報から、前記対象者の虹彩特徴を含む虹彩画像を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする付記1又は2に記載の撮像システムである。
【0102】
(付記4)
付記4に記載の撮像システムは、前記撮像手段は、2つ以上の異なる輝度レンジで前記画像を複数撮像し、前記取得手段は、前記第1情報及び前記第2情報の各々を、異なる輝度レンジで撮像された前記画像から取得することを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の撮像システムである。
【0103】
(付記5)
付記5に記載の撮像システムは、前記取得手段は、異なる輝度レンジで撮像された前記画像から前記第2の領域の画素値が飽和していない非飽和画像を選択し、前記非飽和画像から前記第2情報を取得することを特徴とする付記4に記載の撮像システムである。
【0104】
(付記6)
付記6に記載の撮像システムは、前記推定手段は、前記補正手段は、前記第2の領域の画素値の平均値から前記第1の領域の画素値の平均値に基づく値を差し引くことで、前記第2情報を補正することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の撮像システムである。
【0105】
(付記7)
付記7に記載の撮像システムは、前記虹彩画像及び前記虹彩画像の認証処理に用いる登録画像の少なくとも一方を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載の撮像システムである。
【0106】
(付記8)
付記8に記載の撮像システムは、前記表示手段は、前記虹彩画像と、前記撮像手段で撮像された前記画像とを、同時に又は相互に切り替えて表示することを特徴とする付記7に記載の撮像システムである。
【0107】
(付記9)
付記9に記載の撮像システムは、前記表示手段は、前記虹彩画像における前記第2の領域に該当する部分、及び前記登録画像における前記第2の領域に該当する部分の少なくとも一方を強調表示することを特徴とする付記7又は8に記載の撮像システムである。
【0108】
(付記10)
付記10に記載の撮像システムは、前記表示手段は、前記強調表示の有無を切り替え可能であることを特徴とする付記9に記載の撮像システムである。
【0109】
(付記11)
付記11に記載の撮像方法は、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正することを特徴とする撮像方法である。
【0110】
(付記12)
付記12に記載のコンピュータプログラムは、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、前記第1情報に基づいて、前記反射の影響が小さくなるように前記第2情報を補正するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0111】
(付記13)
付記13に記載の撮像システムは、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像する撮像手段と、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得する取得手段と、前記取得手段の取得結果に基づき、前記対象者の眼鏡を検知する検知手段とを備えることを特徴とする撮像システムである。
【0112】
(付記14)
付記14に記載の撮像方法は、観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、前記取得手段の取得結果に基づき、前記対象者の眼鏡を検知することを特徴とする撮像システムである。
【0113】
(付記15)
付記15に記載のコンピュータプログラムは、観観測光を飽和することなく撮像可能なイメージセンサを用いて、対象者の目領域の画像を撮像し、前記画像から、前記対象者の眼鏡レンズによる光の反射を含まない第1の領域に関する第1情報、及び前記光の反射を含む第2の領域に関する第2情報を取得し、前記取得手段の取得結果に基づき、前記対象者の眼鏡を検知するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0114】
(付記16)
付記16に記載の記録媒体は、付記12又は15に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体である。
【0115】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う撮像システム、撮像方法、及びコンピュータプログラムもまたこの開示の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
10 撮像システム
11 プロセッサ
110 撮像部
111 レンズ
112 イメージセンサ
120 照射部
130 計算部
131 取得部
132 補正部
133 生成部
134 眼鏡検知部
140 表示部
200 眼鏡レンズ
P 対象者