(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】検査システム、検査方法及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240409BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240409BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240409BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/46 Z
G03G21/00 510
G03G15/00 303
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2023000820
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2019073365の分割
【原出願日】2019-04-08
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒畑 貴夫
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-121635(JP,A)
【文献】特開2017-040702(JP,A)
【文献】特開2007-148027(JP,A)
【文献】特開2015-001809(JP,A)
【文献】特開2017-202627(JP,A)
【文献】特開2017-170623(JP,A)
【文献】特開2009-025652(JP,A)
【文献】特開2001-341393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0212844(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0079293(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0291977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/46
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された用紙を読み取って生成した読取画像と基準画像とを比較して、前記読取画像の検査を行う検査部と、
前記検査部により検査を行う検査対象か否かの設定を受け付ける受付部と、
前記受付部により検査を行わない検査対象外の設定を受け付けた読取画像について、記憶部に記憶するよう制御する制御部と、
を備える検査システム。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記受付部により検査を行う検査対象の設定を受け付けた読取画像について、前記記憶部に記憶するよう制御する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記受付部は、前記画像が形成される用紙の用紙種類を受け付けることにより検査対象か否かの設定を受け付ける、請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記検査部は、検査対象外の用紙に対する検査を行わない、請求項1~3のいずれかに記載の検査システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された読取画像に基づいて、検査レポートを生成する、請求項1~4のいずれかに記載の検査システム。
【請求項6】
画像が形成された用紙を読み取って生成した読取画像と基準画像とを比較して、前記読取画像の検査を行う検査部を備える検査システムにおける検査方法であって、
前記検査部により検査を行う検査対象か否かの設定を受け付ける受付処理と、
前記受付処理で、検査を行わない検査対象外の設定を受け付けた読取画像について、記憶部に記憶するよう制御する制御処理と、
を実行する、検査方法。
【請求項7】
前記制御処理では、さらに、前記受付処理により検査を行う検査対象の設定を受け付けた読取画像について、前記記憶部に記憶するよう制御する、請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記受付処理では、前記画像が形成される用紙の用紙種類を受け付けることにより検査対象か否かの設定を受け付ける、請求項6または7に記載の検査方法。
【請求項9】
検査対象外の用紙に対する検査を行わないように、前記検査部を制御する検査制御処理、をさらに実行する、請求項6~8のいずれかに記載の検査方法。
【請求項10】
前記記憶部に記憶された読取画像に基づいて、検査レポートを生成する検査レポート作成処理をさらに実行する、請求項6~9のいずれかに記載の検査方法。
【請求項11】
画像が形成された用紙を読み取って生成した読取画像と基準画像とを比較して、前記読取画像の検査を行う検査部を備える検査システムで動作する検査プログラムであって、
前記検査システムの制御部に、請求項6~10のいずれかに記載の検査方法を実行させる、ことを特徴とする検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システム、検査方法及び検査プログラムに関し、特に、ジョブに基づいて画像が形成された用紙を読み取った読み取り画像を検査する検査システム、当該検査システムにおける検査方法、及び当該検査システムで動作する検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Functional Peripherals)などの画像形成装置では、用紙上の原稿画像にトナーなどによる汚れ、スジ、スポット状の画像ノイズ(ホタルと呼ばれる。)が発生したり、色再現性や印字位置精度が悪化したりする場合がある。そこで、画像形成装置に自動検品機能を設け、画像形成後の用紙の検査を行っている。この自動検品機能とは、本印刷前のプルーフやサンプル出力時にスキャンして得た画像(基準画像)と本印刷中にスキャンして得た画像(検査画像)とを比較し、基準画像と検査画像との差分を抽出することによって検査画像の良否を判定する機能である。また、自動検品機能とパージ機能とを連動させて、差分が抽出された出力物を除外することで、良品のみの出力物を得ることもできる。
【0003】
このような画像の検査に関して、例えば、下記特許文献1には、原稿画像データに基づいて各ページの印刷を行う印刷システムにおけるページ間の整合性を検査するページ誤り検査装置において、前記原稿画像データ内から取得したページ順を示すコード情報に基づいてページ間の整合性の検査を行う第1の検査処理手段と、前記原稿画像データと該原稿画像データに基づく印刷物を撮像した印刷画像データとから取得したページ順を示すコード情報に基づいてページ間の整合性の検査を行う第2の検査処理手段とを具備する構成が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、記録媒体上に画像形成出力された画像を読み取った読取画像の検査を行う画像検査装置であって、画像形成出力された画像が読み取られて生成された読取画像を取得する読取画像取得部と、前記読取画像の検査を行うために画像形成出力するべき画像の情報に基づいて生成された検査用画像と前記読取画像との差分を示す差分画像及び前記差分画像に基づいて前記読取画像の欠陥を判定した結果である検査結果を取得する検査結果取得部と、検査対象となった読取画像の元となる画像が画像形成出力された際の条件を示す印刷条件情報を取得する印刷条件情報取得部と、前記差分画像、前記検査結果及び前記印刷条件情報を関連付け、画像の検査によって保存される保存情報として記憶媒体に記憶させる記憶処理部と、前記印刷条件情報及び前記検査結果に基づき、前記保存情報の重要度を示す評価値を算出する評価値算出部と、算出された前記評価値に基づき、前記記憶媒体から削除するべき保存情報を決定する削除決定部と、決定された前記削除するべき保存情報を削除する削除処理部と、を含む構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-241413号公報
【文献】特開2015-141093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した自動検品機能を用いて、同じ条件で用紙に形成された基準画像と検査画像とを比較することによって、検査画像の良否を判定することができるが、基準画像と検査画像とが異なる条件で形成された場合は、これらを比較しても、検査画像の良否を判定することはできない。例えば、エンボス紙等の用紙は用紙毎に同じ凹凸パターンであっても、エンボス紙の製造時の精度(誤差)によって凹凸は微妙に異なる場合があり、凹凸が異なると、その上に形成される基準画像と検査画像とに差分があると判定されてしまう。そこで、自動検品機能に適さない種類の用紙を使用するページは検査対象から除外するようにしており、このような検査対象外のページについては、検査のためのスキャンを実施しないか、スキャンを実施してもスキャンデータは破棄するため、検査画像は保存されない。
【0007】
その結果、検査結果を示す検査レポートには、検査対象のページの検査画像と検査結果しか含まれないことになり、印刷依頼元に検査対象外のページを含めた全ての出力物の印刷結果を提示することができない。また、検査レポートには、検査対象外のページの検査画像が含まれないため、大量に出力された実際の出力物の中から検査対象外のページを探し出して印刷結果を確認しなければならず、ユーザの負担が増大してしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、検査対象外のページを含めた全ての出力物の印刷結果を確認可能に保存できる検査システム、検査方法及び検査プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、検査システムであって、画像が形成された用紙を読み取って生成した読取画像と基準画像とを比較して、前記読取画像の検査を行う検査部と、
前記検査部により検査を行う検査対象か否かの設定を受け付ける受付部と、
前記受付部により検査を行わない検査対象外の設定を受け付けた読取画像について、記憶部に記憶するよう制御する制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一側面は、画像が形成された用紙を読み取って生成した読取画像と基準画像とを比較して、前記読取画像の検査を行う検査部を備える検査システムにおける検査方法であって、
前記検査部により検査を行う検査対象か否かの設定を受け付ける受付処理と、
前記受付処理で、検査を行わない検査対象外の設定を受け付けた読取画像について、記憶部に記憶するよう制御する制御処理と、を実行する。
【0011】
本発明の一側面は、画像が形成された用紙を読み取って生成した読取画像と基準画像とを比較して、前記読取画像の検査を行う検査部を備える検査システムで動作する検査プログラムであって、
前記検査部により検査を行う検査対象か否かの設定を受け付ける受付処理と、
前記受付処理で、検査を行わない検査対象外の設定を受け付けた読取画像について、記憶部に記憶するよう制御する制御処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検査システム、検査方法及び検査プログラムによれば、検査対象外のページを含めた全ての出力物の印刷結果を確認可能に保存できる。
【0013】
その理由は、検査システムに、ジョブに基づいて画像が形成された用紙が読み取られた読取画像と予め用意した基準画像とを比較して読取画像の検査を行う検査部と、ジョブに対して、検査の対象とする検査対象ページと、検査の対象外とする検査対象外ページと、を設定する検査対象設定部と、検査対象設定部の設定に基づいて、検査対象ページに対して検査を行い、検査対象外ページに対して検査を行わないように、検査部を制御する検査制御部と、検査対象外ページを含む全ページの読取画像を含む検査レポートを作成する検査レポート作成部と、を設けるからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例に係る検査システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る検査システムの他の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る検査システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る検査方法(エンボス紙の場合)を説明する模式図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る検査システムの動作を示すフローチャート図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る検査レポートの一例である。
【
図7】本発明の一実施例に係る検査レポートの他の例である。
【
図8】本発明の一実施例に係る検査レポートの他の例である。
【
図9】パンチ穴ありの用紙を使用した場合の問題点を説明する模式図である。
【
図10】パンチ穴ありの用紙を使用した場合の問題点を説明する模式図である。
【
図11】本発明の一実施例に係る検査システムに表示される画面(ジョブ編集画面)の一例を示す模式図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る検査システムに表示される画面(指示画面)の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
背景技術で示したように、画像形成装置では、用紙上の原稿画像にトナーなどによる汚れ、スジ、スポット状の画像ノイズ(ホタル)が発生したり、色再現性や印字位置精度が悪化したりする場合がある。そこで、画像形成装置に自動検品機能を設け、画像形成後の用紙の検査を行っている。
【0016】
しかしながら、エンボス紙等の用紙は用紙毎に凹凸が微妙に異なる場合があり、凹凸が異なると、その上に形成される基準画像と検査画像とに差分があると判定されてしまう。
そこで、自動検品機能に適さない種類の用紙を使用するページは検査対象から除外するようにしているが、検査対象外ページについては、検査画像が保存されない。
【0017】
その結果、検査レポートには、検査対象のページの検査画像と検査結果しか含まれないことになり、印刷依頼元に検査対象外のページを含めた全ての出力物の印刷結果を提示することができない。また、検査レポートには、検査対象外のページの検査画像が含まれないため、大量に出力された実際の出力物の中から検査対象外のページを探し出して印刷結果を確認しなければならず、ユーザの負担が増大してしまう。
【0018】
そこで、本発明の一実施の形態では、検査システムに、ジョブに基づいて画像が形成された用紙が読み取られた読取画像と予め用意した基準画像とを比較して読取画像の検査を行う検査部と、ジョブに対して、検査の対象とする検査対象ページと、検査の対象外とする検査対象外ページと、を設定する検査対象設定部と、検査対象設定部の設定に基づいて、検査対象ページに対して検査を行い、検査対象外ページに対して検査を行わないように、検査部を制御する検査制御部と、検査対象外ページを含む全ページの読取画像を含むPDF(Portable Document Format)ファイルなどの検査レポートを作成する検査レポート作成部と、を設ける。
【0019】
このように、検査対象外のページも含めて印刷結果を確認可能な検査レポートを作成することにより、全ての出力物の印刷結果が確認可能になり、印刷依頼元への印刷結果の提示も容易になる。また、検査対象外のページに対しても印刷結果を目視で確認することができるため、大量の出力物の中から検査対象外のページを探し出す必要がなくなり、ユーザの負担を軽減することができる。そして、これらにより、不良印刷物の流出を防止することができる。
【実施例】
【0020】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る検査システム、検査方法及び検査プログラムについて、
図1乃至
図12を参照して説明する。
図1及び
図2は、本実施例の検査システムの構成を示す模式図であり、
図3は、本実施例の検査システムの構成を示すブロック図である。また、
図4は、本実施例の検査方法(エンボス紙の場合)を説明する模式図であり、
図5は、本実施例の検査システムの動作を示すフローチャート図である。また、
図6乃至
図8は、本実施例の検査レポートの一例、
図9及び
図10は、パンチ穴ありの用紙を使用した場合の問題点を説明する模式図であり、
図11及び
図12は、本実施例の検査システムに表示される画面の一例を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、本実施例の検査システム10は、用紙に画像を形成し、用紙に形成した画像を検査して出力する装置である。なお、
図1では、用紙に画像を形成する画像形成装置10aと、用紙に形成した画像を検査する検査装置10bとが一体となった構成を示しているが、
図2に示すように、用紙に画像を形成する画像形成装置10aと、用紙に形成した画像を検査する検査装置10bと、を別々の装置としてもよい。以下、
図1の構成を前提にして説明する。
【0022】
図1及び
図3(a)に示すように、本実施例の検査システム10は、制御部11、記憶部12、ネットワークI/F部13、表示操作部14、画像処理部15、印刷部16、画像読み取り部17、検査部18、仕分け部19などで構成される。
【0023】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11aと、ROM(Read Only Memory)11bやRAM(Random Access Memory)11c等のメモリとで構成される。CPU11aは、ROM11b又は記憶部12から処理内容に応じたプログラム(検査プログラムを含む。)を読み出し、RAM11cに展開して実行することにより、検査システム10の動作を集中制御する。
【0024】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU11aが各部を制御するためのプログラム(検査プログラムを含む。)、自装置の処理機能に関する情報、画像読み取り部17が読み取った画像データ、後述する検査レポート作成部23が作成した検査レポートなどを記憶する。
【0025】
ネットワークI/F部13は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、検査システム10をLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続し、外部の情報機器(例えばクライアント装置)との間で各種データの送受信を行う。
【0026】
表示操作部14は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示部上に、透明電極が格子状に配置された感圧式や静電容量式などの操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどで構成され、表示部及び操作部として機能する。表示部は、制御部11から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面(後述するジョブ編集画面や指示画面など)、画像の形成状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部は、ユーザによる各種入力操作(ジョブ編集画面における検査対象外ページの設定や指示画面における検査レポートの作成条件の設定など)を受け付けて、操作信号を制御部11に出力する。
【0027】
画像処理部15は、RIP(Raster Image Processor)として機能し、ジョブから中間データ(中間言語であるディスプレイリスト(DL:Display List))を生成し、原稿の各ページをラスタライズしてビットマップ形式の画像データを生成する。また、画像処理部15は、必要に応じて、画像データに対して、スクリーン処理、階調補正、濃度バランス調整、細線化、網点処理などを行う。そして、画像処理部15は、生成した画像データを印刷部16に出力する。
【0028】
印刷部16は、印刷処理を実行するエンジンである。具体的には、画像データに基づいてレーザ光を照射して露光する露光部と、感光体ドラムと現像装置と帯電装置と感光体クリーニング部と1次転写ローラとを備え、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Black)の各色のトナー像を形成する画像形成部と、ローラによって回転され、画像形成部で形成されたトナー像を用紙に搬送する中間転写体として機能する中間転写ベルトと、中間転写ベルト上に形成されたトナー像を用紙に転写する2次転写ローラと、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部と、用紙を搬送する給紙ローラやレジストローラ、ループローラ、反転ローラ、排紙ローラ等の搬送部などで構成される。
【0029】
画像読み取り部17は、印刷後の用紙をスキャンするセンサであり、例えば、上記印刷部16の定着部と検査部18との間の用紙の搬送経路などに設けられたインラインセンサである。このインラインセンサは、例えば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3種類のセンサで構成され、用紙で反射された光の光量に応じたRGB値を検出し、画像データとして出力する。
【0030】
検査部18は、ジョブに基づいて画像が形成された用紙を読み取った読取画像(検査画像)と、予め用意した判定の基準となる基準画像(本実施例では、正解画像と呼ぶ。)と、を比較することによって検査画像の良否(差分の有無)を判定する。
【0031】
仕分け部19は、必要に応じて設けられ、検査部18の検査結果に基づいて、差分のない良品の出力物と差分のある不良品の出力物とを分別し、各々を異なる排紙トレイに排紙する。
【0032】
また、上記制御部11は、
図3(b)に示すように、正解画像登録部20、検査対象設定部21、検査制御部22、検査レポート作成部23などとして機能する。
【0033】
正解画像登録部20は、本印刷前に、画像読み取り部17がジョブの各ページを読み取った画像を、正解画像として記憶部12などに登録する。
【0034】
検査対象設定部21は、ジョブに対して、検査の対象とするページ(検査対象ページと呼ぶ。)と、検査の対象外とするページ(検査対象外ページと呼ぶ。)と、を設定する。
例えば、ジョブに含まれるページ毎の用紙種類情報に基づいて、検査対象外ページであるか否かを判断する。この用紙種類は、インデックス紙やエンボス紙などの特殊紙、パンチ穴が空いているような処理済紙、画像形成を行わない挿入紙のいずれかを含むことが好ましい。
【0035】
検査制御部22は、検査対象設定部21の設定に基づいて、検査対象ページに対して検査を行い、検査対象外ページに対して検査を行わないように、検査部18を制御する。また、検査制御部22は、検査画像と正解画像とに差分がある場合は、仕分け部19を制御して、そのページを正常なページとは異なる排紙トレイに排紙してパージしたり、表示操作部14に、検査画像と正解画像とに差分がある旨の画面を表示させて、異常を通知したりすることができる。
【0036】
検査レポート作成部23は、検査対象外ページも含めたジョブの全ページの読取画像を含む検査レポート(例えば、PDFファイル)を作成する。その際、検査対象ページに対して検査結果と読取画像とを含み、検査対象外ページに対して読取画像を含む検査レポートを作成することができる。また、検査レポート作成部23は、検査レポートに、検査対象ページと検査対象外ページとを識別可能にする情報を付加することができ、例えば、検査対象外ページの読取画像に、検査対象外であることを示す情報を合成したり、検査ページリストを作成し、当該対象ページリストに検査対象ページと検査対象外ページとを識別可能に記載したりすることができる。また、検査レポート作成部23は、必要に応じて、検査対象外ページも含めて検査レポートを作成するか否かをユーザに指定させる指示画面を表示操作部14に表示させる。
【0037】
上記正解画像登録部20、検査対象設定部21、検査制御部22、検査レポート作成部23はハードウェアとして構成してもよいし、制御部11を、正解画像登録部20、検査対象設定部21、検査制御部22、検査レポート作成部23(特に、検査対象設定部21、検査制御部22、検査レポート作成部23)として機能させる検査プログラムとして構成し、当該検査プログラムをCPU11aに実行させるようにしてもよい。
【0038】
次に、上記構成の検査システム10を用いた検査方法について、
図4の模式図を参照して説明する。なお、
図4は、ジョブの一部のページの用紙種類がエンボス紙の場合の例である。
【0039】
まず、正解画像登録部20は、検査時に比較対象となる正解画像を登録する。例えば、ジョブの全ページを普通紙でスキャンした画像を正解画像として登録する。検査時は、検査するジョブと正解画像とを関連付けた上で、検査ジョブを実行する。この検査ジョブの用紙種類設定はユーザが自由に変更することができるため、例えば、1~5ページのジョブの3ページ目のみをエンボス紙の設定にすると、
図4(a)に示すように、1、2ページ目と4、5ページ目が普通紙で3ページ目のみがエンボス紙という構成になり、ユーザが実際に出力する印刷物となる。
【0040】
検査対象設定部21は、ジョブに含まれるページ単位の用紙種類の情報に基づいて、ユーザが設定したエンボス紙が指定されているページを自動的に判定する。そして、検査制御部22は、この検査対象設定部21の設定に基づいて、当該ページを検査から除外するように検査部18を制御する。
図4(a)の構成の場合、エンボス紙は自動的に検査対象から除外されるため、
図4(b)に示すように、エンボス紙を除いた1、2ページ目と4、5ページ目が検査対象となる。
【0041】
ここで、従来の検査方法では、検査対象ページのみの検査結果を出力するため、エンボス紙を除いた1、2ページ目と4、5ページ目しか検査画像が保存されない。その結果、印刷依頼元に全ての出力物の印刷結果を提示することができず、大量に出力された実際の出力物の中から検査対象外のページを探し出して印刷結果を確認しなければならない。
【0042】
一方、本実施例では、検査対象外ページである3ページ目についても検査画像を保存しておき、
図4(c)に示すように、検査対象外の3ページ目も含めた検査レポート(PDFファイル)を作成する。その際、必要に応じて、検査対象外の3ページ目については、検査対象外であることを識別可能にする情報が付加される。例えば、読取画像に「検査対象外」の文字が合成される。これにより、全ての出力物の印刷結果が確認可能になり、印刷依頼元への印刷結果の提示も容易になる。また、大量の出力物の中から検査対象外のページを探し出す必要がなくなり、ユーザの負担を軽減することができる。なお、
図4(c)では、検査対象外ページの読取画像に、検査対象外であることを識別可能にする情報を付加したが、検査対象ページと検査対象外ページとが識別可能であればよく、例えば、検査対象ページの読取画像に、検査対象であることを識別可能にする情報を付加してもよい。
【0043】
次に、本実施例の検査システム10の動作(検査ジョブ実行時の動作)について説明する。CPU11aは、ROM11b又は記憶部12に記憶した検査プログラムをRAM11cに展開して実行することにより、
図5のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、予め、正解画像登録部20は、正解画像を記憶部12などに登録しているものとする。
【0044】
まず、制御部11(検査制御部22)は、記憶部12などから正解画像を読み出す(S101)。次に、制御部11(検査対象設定部21)は、ジョブの用紙種類設定に基づいて、ジョブのページの中に検査対象外となる用紙種類のページが含まれるかを判断する(S102)。検査対象外となる用紙種類のページが含まれる場合は(S102のYes)、当該ページを検査対象外ページに設定する(S103)。
【0045】
次に、印刷部16は、用紙に各ページの画像を形成し、画像読み取り部17は、各ページの画像を形成した用紙をスキャンして検査画像を取得する(S104)。ここで、本実施例では、検査対象外ページの検査画像(読取画像)も検査レポートに含ませるため、ジョブに含まれる全てのページをスキャンして検査画像を取得する。
【0046】
次に、制御部11(検査制御部22)は、スキャンしたページが検査対象ページであるかを判断する(S105)。スキャンしたページが検査対象ページでなければ(S105のNo)、S109にスキップし、スキャンしたページが検査対象ページであれば(S105のYes)、制御部11(検査制御部22)は、検査部18を制御して、S104で取得した検査画像とS101で読み出した正解画像とを比較する(S106)。
【0047】
比較した結果、検査画像と正解画像とに差分がある(異常を検知した)場合は(S107のYes)、制御部11(検査制御部22)は、仕分け部19を制御して、そのページを正常なページとは異なる排紙トレイに排紙してパージしたり、表示操作部14に、検査画像と正解画像とに差分がある旨の画面を表示させて、異常を通知したりする(S108)。
【0048】
その後、制御部11(検査制御部22)は、ジョブの全ページの検査が終了したかを判断し(S109)、未検査のページがある場合は(S109のNo)、S104に戻って、次のページの検査を行う。そして、全ページの検査が終了したら(S109のYes)、制御部11(検査レポート作成部23)は、全ページの検査画像と、検査対象ページの検査結果と、を含む検査レポートを作成し(S110)、表示操作部14に表示したり、PDFファイルとして外部に出力したりする。
【0049】
上記フローでは、ジョブの全ページの検査が終了した後に検査レポートを作成し、表示操作部14に表示したが、一部のページの検査が終了した段階で、そのページの検査レポートを順次作成(すなわち、ジョブの全ページの検査が終了する前に検査レポートの作成を開始)してもよいし、ジョブの全ページの検査が終了する前に、検査が終了したページの検査レポートを表示操作部14に表示して、検査結果を確認できるようにしてもよい。
また、上記フローでは、1ページ毎に印刷、スキャン、検査を実施しているが、
図2に示すように、画像形成装置10aと検査装置10bとが別々の装置として構成されている場合は、画像形成装置10aでジョブの全ページの印刷を行い、その後、検査装置10bで1ページ毎にスキャン及び検査を実施してもよいし、画像形成装置10aでジョブの全ページの印刷及びスキャンを行い、その後、検査装置10bで1ページ毎に検査を実施してもよい。
【0050】
図6乃至
図8は、1~5ページの内の3ページ目の用紙がエンボス紙のジョブの検査レポートの一例であり、2ページ目の検査画像と正解画像とに許容範囲を超える差分があり、4ページ目の検査画像と正解画像とに許容範囲内の差分がある場合を示している。
【0051】
例えば、検査レポート作成部23は、
図6に示すように、全ページ(1~5ページ)の検査画像と、検査対象ページ(1、2、4、5ページ)の検査結果と、を含む検査レポートを作成したり、
図7に示すように、全ページ(1~5ページ)の検査画像と、検査対象ページ(1、2、4、5ページ)の検査画像と正解画像との差分画像と、を含む検査レポートを作成したりする。その際、3ページ目が検査対象外ページであることを識別できるように、例えば、3ページ目の検査画像に検査対象外であることを示す文字が合成される。また、検査レポート作成部23は、
図8に示すように、全ページ(1~5ページ)の検査画像と、検査対象ページ(1、2、4、5ページ)の検査結果(若しくは差分画像)と、に加えて、検査対象ページを明示するリスト(検査ページリスト)を含む検査レポートを作成してもよい。この場合は、検査ページリストから、どのページが検査対象外ページであるかを判断することができるため、検査画像に検査対象外であることを示す情報を付加する必要はない。
【0052】
なお、
図6乃至
図8では、全ページの正解画像が登録され、検査ジョブのページの中に検査対象外ページが含まれている場合の例を示したが、正解画像の作成時、検査対象外ページが含まれていた場合、当該ページの読取画像は正解画像として保存しない。そのため、全てのページが検査対象の用紙種類(例えば、普通紙)の設定で検査ジョブを実行した場合、正解画像が保存されていないページに対応する検査対象ページは、検査から除外されるが、本実施例では、検査から除外されたページの読取画像も検査レポートに含まれるため、その読取画像を確認することによって、画像不良があるかないかを確認することができる。
【0053】
また、正解画像が保存されている全てのページが検査対象外ページとなる場合、検査ジョブと正解画像とを関連付けて検査を実施したとき、正解画像が存在しないことと同義であるため、検査ジョブは停止制御されて実行しないことになるが、本実施例では、検査ジョブの全ページが検査対象外であっても、全ページの読取画像が検査レポートに含まれるため、その読取画像を確認することによって、画像不良があるかないかを確認することができる。
【0054】
以上、用紙種類がエンボス紙の場合を例にして説明したが、用紙種類がインデックス紙などの特殊紙、パンチ穴を有する処理済紙、画像形成を行わない挿入紙の場合も同様である。
【0055】
例えば、パンチ穴ありの用紙に印刷する場合、
図9に示すように、パンチ穴の位置が用紙に対して一定でない(パンチ穴の左右位置や上下位置が異なる)場合があり、その場合は、読取画像における原稿画像に対するパンチ穴の画像がずれるため、用紙ずれとして検知されてしまう場合がある。また、
図10に示すように、用紙に対してパンチ穴の位置が一定であったとしても、原稿画像の印刷位置に対してパンチ穴の位置が一定でない場合がある。その場合、正解画像と検査画像との位置合わせ時にパンチ穴の画像もしくは原稿画像のどちらかが不一致となるため、誤って異常画像であると判断される可能性がある。さらに、パンチ穴ありの用紙の製造時にパンチ穴の周囲に残留物(バリ)が残ってしまい、正解画像又は検査画像の一方にその残留物が写っている場合、画像比較で差分ありと判断されてしまう可能性がある。このように、パンチ穴ありの用紙の場合も、誤って画像不良と判断される可能性があるため、パンチ穴ありの用紙に印刷するページは検査対象外ページとなり得る。
【0056】
また、インデックス紙や画像形成を行わない挿入紙は、本印刷前のプルーフやサンプル出力時には挿入せず、本印刷時のみ挿入する場合があり、この場合、インデックス紙や挿入紙に対する正解画像が存在しない。また、インデックス紙や挿入紙は、原稿を印刷することを想定していないため、画像検査を行う必要がない。従って、インデックス紙や挿入紙のページは、上記のパンチ穴ありの用紙と同様に、検査対象外ページとなり得る。
【0057】
上記のエンボス紙やインデックス紙などの特殊紙、パンチ穴を有する処理済紙、画像形成を行わない挿入紙などを検査対象外ページに設定する場合、
図11に示すようなジョブ編集画面30を用いることができる。このジョブ編集画面30では、エンボス紙の情報は、ジョブ編集画面30の用紙設定欄(図の中央下部)の用紙種類の項目(太い実線の枠内参照)で、ユーザが任意に設定することができる。また、パンチ穴ありの用紙は、ジョブ編集画面30の用紙設定欄(図の中央下部)のパンチの項目(太い破線の枠内参照)で、パンチ穴ありかなしかをユーザが任意に設定することができる。従って、給紙トレイにエンボス紙又はパンチ穴ありの用紙がセットされていれば、ページ選択欄(図の上部の矢印やバー)でページを選択し、用紙設定欄でエンボス紙又はパンチ穴ありの用紙を設定することで、ジョブの各ページの画像を所望の用紙を印刷することができる。これらの用紙種類情報は、検査ジョブを実行したタイミングで、検査対象設定部21が検査対象外ページであるかどうかを判断する際に用いられる。
【0058】
また、上記では、検査対象外ページの検査画像も含めて検査レポートを作成する場合について説明したが、検査対象外ページの検査画像を検査レポートに含めるか否かをユーザが選択できるようにしてもよい。その場合は、検査レポート作成部23は、表示操作部14に
図12に示すような指示画面31を表示させ、この指示画面31で、「はい」が選択された場合は、検査対象外ページの検査画像も含めて検査レポートを作成し、「いいえ」が選択された場合は、検査対象外ページの検査画像を含めずに検査レポートを作成することができる。
【0059】
以上説明したように、ジョブに基づいて画像が形成された用紙を読み取った読取画像と予め用意した基準画像とを比較して読取画像の検査を行う検査部18を備える検査システム10に、ジョブに対して、検査対象ページと検査対象外ページとを設定する検査対象設定部21と、検査対象設定部21の設定に基づいて、検査対象ページに対して検査を行い、検査対象外ページに対して検査を行わないように、検査部18を制御する検査制御部22と、検査対象外ページを含むジョブの全ページの読取画像を含む検査レポートを作成する検査レポート作成部23と、を設けることにより、全ての出力物の印刷結果が確認可能になり、印刷依頼元への印刷結果の提示も容易になる。また、検査対象外ページに対しても印刷結果を目視で確認することができるため、大量の出力物の中から検査対象外のページを探し出す必要がなくなり、ユーザの負担を軽減することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施例では、画像形成装置10aと検査装置10bとが一体的に形成された検査システム10について説明したが、検査装置10bを単体で動作させる場合に対しても、本発明の検査方法を同様に適用することができる。その場合は、検査装置10bに制御部と記憶部と検査部と必要に応じて表示操作部とを設け、制御部を正解画像登録部、検査対象設定部、検査制御部、検査レポート作成部として機能させる(制御部のCPUに検査プログラム実行させる)ようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ジョブに基づいて画像が形成された用紙を読み取った読み取り画像を検査する検査システム、当該検査システムにおける検査方法、当該検査システムで動作する検査プログラム及び当該検査プログラムを記録した記録媒体に利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 検査システム
10a 画像形成装置
10b 検査装置
11 制御部
11a CPU
11b ROM
11c RAM
12 記憶部
13 ネットワークI/F部
14 表示操作部
15 画像処理部
16 印刷部
17 画像読み取り部
18 検査部
19 仕分け部
20 正解画像登録部
21 検査対象設定部
22 検査制御部
23 検査レポート作成部
30 ジョブ編集画面
31 指示画面