IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ いすゞ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電動ファン装置及び車両 図1
  • 特許-電動ファン装置及び車両 図2
  • 特許-電動ファン装置及び車両 図3
  • 特許-電動ファン装置及び車両 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電動ファン装置及び車両
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/10 20060101AFI20240409BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20240409BHJP
   F01P 5/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F01P11/10 E
B60K11/04 K
F01P5/02 H
F01P11/10 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023046962
(22)【出願日】2023-03-23
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浮 朋冬
(72)【発明者】
【氏名】相園 斉
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-108672(JP,A)
【文献】特開2009-041569(JP,A)
【文献】特開2021-109522(JP,A)
【文献】特開2022-067220(JP,A)
【文献】実開昭58-070417(JP,U)
【文献】実開昭60-108720(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
E02F 9/00
F01P 5/02
F01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の熱交換器と対向して配置される電動ファン装置であって、
ファンダクト及びファンを有する複数の電動ファンと、
前記ファンダクトが配置される孔が前記電動ファンと同数形成されたパネル部を有するファンシュラウドと、
前記電動ファンの軸方向で、前記電動ファンの前記熱交換器側にそれぞれ隣接して設けられ、前記熱交換器側から前記電動ファン側に向かって傾斜して流路断面積が小さくなるテーパ状の複数の整流板と、
を備え
前記複数の電動ファンは、前記車両の左右方向及び上下方向にそれぞれ複数配置され、
前記ファンダクトは、前記パネル部に固定され、
前記整流板の一方の端部は前記熱交換器と対向して配置され、
前記整流板の他方の端部は、前記ファンダクトと連続し、前記ファンダクト又は前記パネル部に固定され、
前記整流板の前記熱交換器側の端部は、前記軸方向で前記ファンシュラウドの前記熱交換器側の端部と同じ位置にある電動ファン装置。
【請求項2】
前記整流板は、円筒状に形成される、請求項1に記載の電動ファン装置。
【請求項3】
熱交換器と、
前記熱交換器と対向して設けられる、請求項1又は請求項2に記載の電動ファン装置と、
を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用の電動ファン装置及び電動ファン装置を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラック等の車両用の熱交換装置として、車両前面に搭載する冷却回路に用いられるラジエータ等の熱交換器に、熱交換器の冷却風を補助するための大径の電動ファンを設ける技術が知られている。また、例えば、熱交換器を冷却する電動ファンを、車両の幅方向で2つ配置する技術も知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-252470号公報
【文献】特開2005-163758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電動ファンの駆動源が電力となることから、大径の電動ファンを用いると、電動ファンの消費電力が大きい。そこで、電動ファンを従来よりも小径として、小径の電動ファンを複数搭載することが考えられる。しかしながら、電動ファンの熱交換器側から入力される冷却風は、電動ファンの入力部においてダクト構造となることから、縮流が発生し、実際に有効な流速を生じるエリアが減少することになる。
【0005】
このように、複数の小型の電動ファンを用いると、大型の電動ファンを用いた場合に比べて、消費電力を低減できるが、縮流による有効流量の減少により、効果的に熱交換器の冷却風の補助を行うことができない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、複数の小型の電動ファンを有する構成としても、縮流による有効流量の減少を抑制できる、電動ファン装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電動ファン装置は、車両の熱交換器と対向して配置される電動ファン装置であって、ファンダクト及びファンを有する複数の電動ファンと、前記ファンダクトが配置される孔が前記電動ファンと同数形成されたパネル部を有するファンシュラウドと、前記電動ファンの軸方向で、前記電動ファンの前記熱交換器側にそれぞれ隣接して設けられ、前記熱交換器側から前記電動ファン側に向かって傾斜して流路断面積が小さくなるテーパ状の複数の整流板と、を備え、前記複数の電動ファンは、前記車両の左右方向及び上下方向にそれぞれ複数配置され、前記ファンダクトは、前記パネル部に固定され、前記整流板の一方の端部は前記熱交換器と対向して配置され、前記整流板の他方の端部は、前記ファンダクトと連続し、前記ファンダクト又は前記パネル部に固定され、前記整流板の前記熱交換器側の端部は、前記軸方向で前記ファンシュラウドの前記熱交換器側の端部と同じ位置にある。
【0008】
本発明の一態様によれば、車両は、熱交換器と、前記熱交換器と対向して設けられる、上記の電動ファン装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の小型の電動ファンを有する構成としても、縮流による有効流量の減少を抑制できる、電動ファン装置及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を概略的に示す平面図である。
図2】実施形態に係る車両に用いられる熱交換器及び電動ファン装置の構成を概略的に示す断面図である。
図3】実施形態に係る電動ファン装置の構成を示す斜視図である。
図4】実施形態に係る電動ファン装置及び比較例に係る電動ファン装置の流れ場のシミュレーションの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る電動ファン装置14を有する車両1の説明を、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る車両1の構成を概略的に示す平面図であり、図2は、車両1に用いられる熱交換器13及び電動ファン装置14の構成を概略的に示す断面図である。図3は、電動ファン装置14の一例を示す斜視図である。なお、図1乃至図3において、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示す。
【0012】
車両1は、例えば、FCV(Fuel Cell Vehicle)又はEV(Electric Vehicle)等の電動機を駆動源とする電動車である。電動車1は、例えば、トラックである。電動車1は、例えば、平ボディ車、ウイング車、幌付き車、ユニック車、車載車、タンクローリー車等である。なお、電動車1は、トラックに限定されず、バス、乗用車、特殊用途自動車等であってもよい。本実施形態において、以下、車両1を電動車1として説明する。
【0013】
図1に示すように、電動車1は、シャーシ11と、キャビン12と、を備える。また、電動車1は、駆動源としての電動機と、バッテリ等の動力源と、熱交換器13を含む冷却回路と、電動ファン装置14と、を備える。
【0014】
シャーシ11は、フレーム21と、4つ以上の車輪22と、を備える。フレーム21は、適宜の剛性を有する種々の素材で形成される。フレーム21は、例えば、鉄やステンレス合金材等の溶接可能な金属材で形成されるが、その他、アルミニウム材又はアルミニウム合金材等の金属で形成されていてもよく、適宜の強化プラスチックで形成されていてもよい。フレーム21は、平板や、四角柱状、H鋼状など、種々の形状に形成されることが好適である。フレーム21には、キャビン12が固定されるとともに、車種に応じて対応するボディが固定される。車輪22は、フレーム21に回転可能に設けられる。車輪22は、電動機により駆動される。
【0015】
熱交換器13は、冷却回路に設けられるラジエータである。熱交換器13は、例えば、内部に冷却回路を流れる熱交換媒体が流れる。例えば、熱交換器13は、アルミニウム製の扁平チューブと、フィンとが交互に積層されることで形成される。なお、熱交換器13には、電動車1の前側に隣接して、冷凍回路内の熱交換媒体を冷却して凝縮液化する凝縮器が設けられていてもよい。
【0016】
電動ファン装置14は、熱交換器13に対向して配置される。電動ファン装置14は、ファンシュラウド31と、複数の電動ファン32と、整流板33と、を備える。また、電動ファン装置14は、複数の電動ファン32の駆動制御を行う制御装置を備えていてもよい。電動ファン装置14は、複数の電動ファン32が駆動することで、熱交換器13から空気を吸引する所謂吸い込み式電動ファンである。電動ファン装置14は、熱交換器13を冷却するための冷却風の補助を行う。
【0017】
ファンシュラウド31は、ダクト部51と、電動ファン32と同数の孔52aが形成されたパネル部52と、ダクト部51の端部に形成されたフランジ部53と、を備える。
【0018】
ダクト部51は、例えば、熱交換器13の外形状と略同形状の筒状に形成される。例えば、ダクト部51は、矩形筒状に形成される。
【0019】
パネル部52は、ダクト部51の熱交換器13側とは反対側の端部に設けられる。パネル部52には、電動ファン32を配置する孔52aが複数形成される。具体例として、パネル部52には、例えば、電動ファン装置14が電動車1に取り付けられた姿勢で、電動車1の幅方向及び上下方向において、それぞれ並んで複数配置される孔52aが形成される。
【0020】
図3に示す例においては、パネル部52には、例えば、左右方向及び上下方向において、二行二列に並ぶ4つの孔52aが形成される。なお、電動ファン32及びパネル部52に形成される孔52aの数及び配置は、電動ファン装置14に対向して配置される熱交換器13の形状、電動ファン32の形状や性能等に基づいて適宜設定される。パネル部52は、電動ファン32を駆動可能に固定する。
【0021】
電動ファン32は、例えば、ファンダクト61と、ファンダクト61に支持されるモータ62と、モータ62に回転可能に支持されるファン63と、を備える。複数の電動ファン32は、熱交換器13を冷却する冷却風を補助する性能及び数に設定される。即ち、実施形態の電動ファン32は、熱交換器13に1つのみ設けられる電動ファンのサイズよりも小型である。
【0022】
ファンダクト61は、パネル部52に設けられる。ファンダクト61は、円筒状に形成される。複数のファンダクト61は、複数の孔52aにそれぞれ配置される。ファンダクト61は、例えば、ネジ等の締結部材によって、孔52aの周囲のパネル部52に固定される。ファンダクト61は、例えば、モータ62を支持する複数の支持ステー61aを有する。なお、ファンダクト61は、矩形筒状に形成される構成であってもよい。
【0023】
なお、電動ファン32は、複数の支持ステー61aを有するファンダクト61を備えず、ファンシュラウド31のパネル部52が、孔52aを形成するファンダクト及びモータ62を支持する複数の支持ステーを有する構成であってもよい。
【0024】
モータ62は、複数の支持ステー61aに固定される。例えば、電動車1の前後方向において、モータ62は、ファン63と並んで配置される。例えば、電動車1の前後方向において、モータ62が後側、ファン63が前側となる姿勢で、電動ファン32がパネル部52に固定される。なお、例えば、電動車1の前後方向において、モータ62が前側、ファン63が後側となる姿勢で、電動ファン32がパネル部52に固定される構成であってもよい。
【0025】
ファン63は、モータ62に回転軸を介して接続される。ファン63は、モータ62が駆動することで回転する。例えば、電動ファン装置14が熱交換器13と対向して電動車1に取り付けられる姿勢で、ファン63は、熱交換器13側からの空気を吸い込む。
【0026】
整流板33は、ファン63を回転軸の軸方向に対して傾斜するテーパ状に形成される。整流板33は、一方の端部側から他方の端部側に向かって流路断面積が小さくなる筒状に形成される。整流板33は、一方の端部が熱交換器13側に解放し、そして、他方の端部がファンダクト61と連続する、テーパ形状を有する。換言すると、整流板33は、流路断面積が大きい端部が熱交換器13と対向し、そして、流路断面積が小さい端部がファンダクト61により形成される流路と連続する。
【0027】
例えば、整流板33は、一様に傾斜する。整流板33は、ファンダクト61のダクト径全体に渡り流速を発生させ、縮流を減少させて、断面平均流速を均一化させる。整流板33の傾斜角度は、ファンシュラウド31及び熱交換器13の形状や位置関係等によって適宜設定される。
【0028】
具体例として、整流板33は、図2及び図3に示すように、例えば、テーパ状に形成された円筒状に形成され、熱交換器13側からファン63側に向かって径が小さくなる。また、図2に示す例において、整流板33の傾斜角度は、整流板33の中心軸(ファン63の回転軸)に対して20°であるが、この傾斜角度に限定されない。
【0029】
整流板33の熱交換器13側の端部は、隣り合う整流板33の熱交換器13側の端部と当接するか又は離間して隣接する。本実施の形態において、整流板33の熱交換器13側の端部は熱交換器13と離間するとするが、熱交換器13と当接していてもよい。また、整流板33の熱交換器13側の端部は、軸方向において、例えば、ファンシュラウド31のダクト部51の端部と同じ位置に配置される。
【0030】
整流板33のファン63側の端部は、例えば、パネル部52又はファンダクト61に固定される。整流板33は、パネル部52又はファンダクト61に、螺子等の締結部材による固定や嵌合等によって固定される。なお、例えば、締結部材による固定を適用する場合には、整流板33は、整流板33内の空気の流れを乱さないように、整流板33の外面側においてパネル部52又はファンダクト61に固定する。また、例えば、嵌合による固定を適用する場合には、整流板33は、整流板33内の空気の流れを乱さないように、整流板33の内周面や、整流板33の内周面とファンダクト61の内周面との境界に段差や凹凸が生じないように、パネル部52又はファンダクト61に嵌合して固定する。
【0031】
整流板33は、例えば、一部品で形成される。なお、整流板33は、複数の部品を組み合わせることで形成されていてもよい。また、複数の整流板33は、一体に組み立てられて形成されていてもよく、内部に円錐台形状のテーパ状の流路を形成可能であれば、複数の整流板33は、一つの部品で形成されていてもよい。なお、整流板33を複数の部品を組み合わせて形成する場合、又は、複数の整流板33を複数の部品を組み合わせて一体に形成する場合には、空気の流れを乱さないように、整流板33の外周面側において、組み立ての為の部品や形状を設け、整流板33の内周面に段差や凹凸が生じない形状とする。
【0032】
即ち、整流板33は、内部を通過し、ファンダクト61へ連続する空気の流れにおいて、乱流が生じることを抑制するために、整流板33の内周面は滑らかなテーパ状とすることが好適である。また、整流板33は、ファンダクト61との境界に凹凸や段差が生じない形状及び固定とすることが好適である。
【0033】
このように構成された電動ファン装置14によれば、熱交換器13に対して、複数の電動ファン32を有する構成とするため、電動ファン32を小型とすることが可能となり、電動ファン32の消費電力を低減することが可能となる。
【0034】
また、電動ファン32を小型とすると、ファンシュラウド31のダクト部51の開口面積(ダクト径)と各電動ファン32のファンダクト61の開口面積(ダクト径)との差が大きくなる。しかしながら、実施形態の電動ファン装置14は、電動ファン32にテーパ状の整流板33を設けることで、整流板33の熱交換器13側から入力される冷却風は、整流板33を通ってファンダクト61に移動することから、ファンダクト61の径全体に渡り流速が発生する。即ち、整流板33は、熱交換器13から各ファンダクト61(ファン63)への空気の流れにおいて、縮流の発生を抑制するため、ファンダクト61において断面平均流速が均一化され、有効流量の減少を防止できる。よって、電動ファン装置14は、整流板33により、ファン63により生じる冷却風を有効的に利用できる。
【0035】
これらのように、電動ファン装置14は、電動ファン32を小型とし、複数設ける構成としても、各電動ファン32に、熱交換器13側から冷却風をスムースに導くためのテーパ状の整流板33を設けることで、ファン63による冷却風を熱交換器13の冷却に有効に利用することが可能となる。よって、電動ファン装置14は、消費電力を低減しつつ、熱交換器13の冷却性能が向上する。
【0036】
図4に、実施形態に係る整流板33を有する電動ファン装置14と、比較例に係る整流板33を有さない電動ファン装置と、を用いて流れ場の解析結果を示す。図4の左図に示すように、比較例の整流板を有さない電動ファン装置においては、電動ファンの熱交換器側において縮流が生じていることが分かる。これに対し、図4の右図に示すように、実施形態の整流板33を有する電動ファン装置14においては、整流板33によって空気が案内され、縮流が解消されており、比較例に比べて流量が増加していることが分かる。このような結果からも、電動ファン装置14は、小型として複数の電動ファン32のそれぞれにテーパ状の整流板33を設けることで、縮流を解消できるため、整流板を有さない構成に比べて、縮流による有効流量の減少を防止できることが明らかである。
【0037】
また、電動ファン32を小型とすることで、ファン63を回転させるために必要な外力を低減することができる。よって、電動ファン装置14は、走行により生じる走行風の風圧によって押し込まれたラムエアを利用して圧力を上げる、所謂ラム圧を利用する技術を電動車(車両)1に適用した場合に、ラムエアを阻害することを防止できる。
【0038】
即ち、従来の大型の電動ファンにおいては、停止時に走行風によって回転しない。しかしながら、実施形態の電動ファン装置14のように、熱交換器13に対して複数の電動ファン32を用いる構成とすることで、一つ当たりの電動ファン32が小さくなることから、電動ファン32の停止時に電動車1の走行により生じる走行風によってファン63を回転することができる。これにより、実施形態に係る電動ファン装置14は、走行風で回転するファン63がラムエアを阻害しないことから、ラム圧を利用する技術を電動車(車両)1に適用した場合に、ファン63がラム圧を低下させることを抑制できる。
【0039】
また、電動ファン装置14を、電力により駆動する電動機を有する電動車1に適用することで、電動車1のバッテリの消費電力を抑制することが可能となる。その結果、電動車1の航続可能距離を向上させることができる。
【0040】
上述したように、実施形態に係る電動ファン装置14及び電動車1によれば、複数の小型の電動ファン32を有する構成としても、縮流による有効流量の減少を抑制できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、整流板33は円形筒状とする例を説明したが、これに限定されない。例えば、整流板33は、熱交換器13側を多角形状の開口とし、ファン63側を円形状の開口とし、熱交換器13側からファン63側に向かって多角形状から円形状に流路断面形状が変化する形状であってもよい。即ち、整流板33の形状は、各電動ファン32にそれぞれ設けられ、テーパ状に形成されることで、熱交換器13側から各電動ファン32への空気の流れにおいて、縮流の発生を抑制できる形状であれば適宜設定できる。但し、整流板33は、電動ファン32の駆動によって生じる空気の流れを整えるために用いられることから、熱交換器13側の開口形状を矩形状とした場合には、内周面の角部を所定の曲率の曲面状とする等、空気の流れを阻害しない形状とすることが好ましい。
【0042】
また、上述した実施形態では、車両1が電動車である例を説明したが、車両1は電動車に限定されない。例えば、車両1は、電動車でなく、駆動源として内燃機関を有する車両であってもよく、駆動源として内燃機関及び電動機を有するハイブリット車であってもよい。電動ファン装置14は、小型の複数の電動ファン32を有する構成とすることで、各種の車両1において、消費電力を低減することができる。但し、電動ファン装置14は、消費電力を低減できることから、電動機を電力により駆動して走行する電動車に用いることで、航続可能距離が向上する効果を生じさせことができるため、車両1は電動車であることが好適である。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 車両の熱交換器と対向して配置される電動ファン装置であって、
複数の電動ファンと、
前記電動ファンの軸方向で、前記電動ファンの前記熱交換器側にそれぞれ隣接して設けられ、前記熱交換器側から前記電動ファン側に向かって傾斜して流路断面積が小さくなるテーパ状の複数の整流板と、
を備える電動ファン装置。
[2] 前記複数の電動ファンを配置するファンシュラウドをさらに有し、
前記ファンシュラウドには、前記複数の電動ファンを配置する複数のファンダクトが設けられ、
前記整流板の一方の端部は前記熱交換器と対向して配置され、前記整流板の他方の端部は、前記ファンダクトに配置される、[1]に記載の電動ファン装置。
[3] 前記整流板の前記熱交換器側の端部は、前記軸方向で前記ファンシュラウドの前記熱交換器側の端部と同じ位置にある、[2]に記載の電動ファン装置。
[4] 前記複数の電動ファンは、前記車両の左右方向及び上下方向にそれぞれ複数配置される、[1]に記載の電動ファン装置。
[5] 前記整流板は、円筒状に形成される、[1]に記載の電動ファン装置。
[6] 熱交換器と、
前記熱交換器と対向して設けられる、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の電動ファン装置と、
を備える車両。
【符号の説明】
【0044】
1…電動車(車両)、11…シャーシ、12…キャビン、13…熱交換器、14…電動ファン装置、21…フレーム、22…車輪、31…ファンシュラウド、32…電動ファン、33…整流板、51…ダクト部、52…パネル部、52a…孔、53…フランジ部、61…ファンダクト、61a…支持ステー、62…モータ、63…ファン。
【要約】
【課題】複数の小型の電動ファンを有する構成としても、縮流による有効流量の減少を抑制できる、電動ファン装置及び車両を提供すること。
【解決手段】車両の熱交換器と対向して配置される電動ファン装置は、複数の電動ファンと、前記電動ファンの軸方向で、前記電動ファンの前記熱交換器側にそれぞれ隣接して設けられ、前記熱交換器側から前記電動ファン側に向かって傾斜して流路断面積が小さくなるテーパ状の複数の整流板と、を備える。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4