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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】画像処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1171 20160101AFI20240409BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240409BHJP
   G06V 40/18 20220101ALI20240409BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240409BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/1171 300
G06T7/00 510D
G06V40/18
H04N23/60 100
H04N23/56
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023074482
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2021501882の分割
【原出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2023106426
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019026941
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】蝶野 慶一
(72)【発明者】
【氏名】荻野 有加
(72)【発明者】
【氏名】塚田 正人
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-050995(JP,A)
【文献】特表2017-517165(JP,A)
【文献】国際公開第2009/016846(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1171
G06T 7/00
G06V 40/18
H04N 23/60
H04N 23/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虹彩撮像手段と、
前記虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段と、
被験者の次のまばたきが発生する期間と、前記被験者が前記虹彩撮像手段の合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置と、前記被験者が次のまばたきをする位置とを異ならせるように、前記虹彩撮像手段を制御する制御手段とを備える画像処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置が、前記次のまばたきが発生する期間における前記被験者の位置以外の位置になるように前記虹彩撮像手段を制御する請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記被験者の前回のまばたき時刻、まばたき間隔時間、及びまばたき継続時間に基づいて、次のまばたきが発生する期間を予測する請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記被験者の位置及び移動速度に基づいて、前記合焦位置を通過する期間を予測する請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記被験者に光を照らす照明手段を備え、
前記制御手段は、前記照明手段の光の照射を制御する請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記照明手段の点灯周期を前記虹彩撮像手段のフレームレートと同期させる請求項5に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、方法、システム、及びコンピュータ可読媒体に関し、特に虹彩を用いる認証の用途に用いられ得る画像処理装置、方法、システム、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
虹彩を用いる生体認証が知られている。この生体認証では、撮像装置を用いて被験者の虹彩が撮像され、撮像された虹彩のパターンから特徴量が抽出される。被験者を認証する場合、抽出された特徴量とあらかじめデータベースに登録された特徴量とが照合され、照合スコアに基づいて合否が判断される。一方、認証対象の被験者を登録する場合、抽出された特徴量がデータベースに追加される。
【0003】
非特許文献1に記載されるように、瞳孔を取り囲むドーナツ型の組織である虹彩は、非常に複雑なパターンで、人それぞれに固有のものとなる。また、虹彩の撮像においては、被験者の目に近赤外光が照射される。
【0004】
非特許文献2に記載されるように、虹彩の撮像においては、虹彩の半径を100画素から140画素で表現できる解像度で虹彩映像が撮像される。また、被験者の目に照射される近赤外光の波長は700nmから900nmとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】細矢、「虹彩による認証システムについて」、生体医工学44(1), page33-39, 2006
【文献】Daugman, "How Iris Recognition Works," https://www.cl.cam.ac.uk/~jgd1000/irisrecog.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
虹彩の直径は約1cmであり、その半径を100画素で表現しようとすると、50μm粒度となる。このように、虹彩のパターンは微細なため、被験者と撮像手段との距離が長い、撮像する視野が広い、及び被験者が移動するなど条件で、認証や照合できる品質で虹彩パターンを撮像することが困難である。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑み、認証や照合できる品質で虹彩パターンを撮像することが可能な画像処理装置、方法、システム、及びコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示は、第1の態様として、同じ視野範囲で互いに異なる位置に配置される複数の虹彩撮像手段と、前記虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段と、被験者を誘導するための誘導手段と、前記被験者に光を照らす照明手段と、前記全体撮像手段の画像を用いて、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出し、前記誘導手段の映像及び音声の少なくとも一方の提示、及び、前記照明手段の光の照射のうち少なくとも1つを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、更に、前記被験者の次のまばたきが発生する期間、及び、前記被験者が前記虹彩撮像手段の合焦位置を通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置と、前記被験者が次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記誘導手段及び前記虹彩撮像手段の少なくとも一方を制御する画像処理システムを提供する。
【0009】
本開示は、第2の態様として、移動する被験者の次のまばたきが発生する期間、及び、前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置で被験者がまばたきをしないように、前記被験者を誘導するための誘導手段を制御する制御手段を備える画像処理装置を提供する。
【0010】
本開示は、第3の態様として、移動する被験者の次のまばたきが発生する期間、及び、前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置が、前記次のまばたきが発生する期間における前記被験者の位置以外の位置になるように前記虹彩撮像手段を制御する制御手段を備える画像処理装置を提供する。
【0011】
本開示は、第4の態様として、同じ視野範囲で互いに異なる位置に配置される複数の虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段の画像を用いて、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出し、被験者を誘導するための誘導手段の映像及び音声の少なくとも一方の提示、及び、前記被験者に光を照らす照明手段の光の照射のうち少なくとも1つを実施する画像処理方法を提供する。
【0012】
本開示は、第5の態様として、移動する被験者の次のまばたきが発生する期間を予測し、前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なるか否かを判断し、重なると判断した場合、前記合焦位置と、前記被験者が次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記被験者の誘導、及び前記虹彩撮像手段の制御の少なくとも一方を実施する画像処理方法を提供する。
【0013】
本開示は、第6の態様として、同じ視野範囲で互いに異なる位置に配置される複数の虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段の画像を用いて、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出し、被験者を誘導するための誘導手段の映像及び音声の少なくとも一方の提示、及び、前記被験者に光を照らす照明手段の光の照射のうち少なくとも1つを実施する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0014】
本開示は、第7の態様として、移動する被験者の次のまばたきが発生する期間を予測し、前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なるか否かを判断し、重なると判断した場合、前記合焦位置と、前記被験者が次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記被験者の誘導、及び前記虹彩撮像手段の制御の少なくとも一方を実施する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る画像処理装置、方法、システム、及びコンピュータ可読媒体は、認証や照合できる品質で虹彩パターンを撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の第1実施形態に係る画像処理システムを示すブロック図。
図2】虹彩撮像制御の様子を示す図。
図3】画像処理システムにおける動作手順を示すフローチャート。
図4】本開示の第2実施形態に係る画像処理システムにおける動作手順を示すフローチャート。
図5】コンピュータ装置の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施の形態の説明に先立ち、課題を定量化する。以下では、Automated border control systems(ABC)の運用条件などで想定される下記の条件を例として説明する。被験者と撮像手段の距離(被験者とゲートの間の距離)は2mであり、水平視野、すなわち被験者1人の両目をカバーできる水平方向の範囲は0.2mであるとする。また、垂直視野、すなわち、典型的には男性である背の高い被験者の目から、典型的には女性である背の低い被験者の目までカバーできる垂直方向の範囲は0.4mであるとする。また、ゲートに対する被験者の歩行速度(移動速度)は、成人のゆっくりとした歩行速度の平均値、例えば1m/sであるとする。
【0018】
上記運用条件で、画素ピッチ5μmのイメージセンサ、絞りF2で焦点距離200mmのレンズが用いられることを仮定すると、撮像手段には、後述するように、32M画素の高解像度と100fps(frame per second)の高フレームレートの両方が要求される。
【0019】
解像度について、撮像装置から2m離れた位置において水平0.2mの視野を確保するためには、撮像装置には水平方向に4000画素(0.2[m]÷50[μm]=4000)が必要となる。また、撮像装置から2m離れた位置において垂直0.4mの視野を確保するためには、撮像装置には垂直方向に8000画素(0.4[m]÷50[μm]=8000)が必要となる。結果として、撮像装置には32M画素の解像度が要求される。
【0020】
一方、上記レンズが用いられる場合で、許容錯乱円径が0.03mmの場合、2m先に確保できる被写界深度は約1cmとなる。被験者の歩行速度が1m/sの場合、被験者が被写体深度1cmを通過する時間は1[cm]÷100[cm/s]=0.01秒である。この場合、歩行する被験者の虹彩が合焦した瞬間0.01秒を捉えるためには、撮像装置には100fps(1[秒]÷100[fps]=0.01秒の時間分解能)の性能が要求される。
【0021】
32M画素の高解像度と100fpsの高フレームレートを1台で満たせる撮像機器は普及品では存在しない。このため、上記運用条件にて、認証や照合できる品質で虹彩パターンを撮像することが困難である。以上で、課題の定量化の説明を終了する。
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る画像処理システムを示す。画像処理システムは、全体撮像器100、誘導器200、照明器300、虹彩撮像器401~404、及び制御器500を有する。なお、図1では、虹彩撮像器の数を4台としているが、虹彩撮像器の台数は特に限定されない。虹彩撮像器の数は、カバーしたい視野範囲や、利用できる虹彩撮像器の解像度などに応じて、適宜設定され得る。
【0023】
全体撮像器(全体撮像手段)100は、背の高い被験者から背の低い被験者までの全体をカバーできるように、広い視野範囲で被験者を撮像する。全体撮像器100は、被験者を顔で認証できる解像度を備えていてもよい。
【0024】
制御器(制御手段)500は、全体撮像器100から供給される全体映像を監視し、誘導器(誘導手段)200、照明器(照明手段)300、及び複数の虹彩撮像器(虹彩撮像手段)401~404を制御する。制御器500の機能は、ハードウェアで構成することも可能であるが、コンピュータプログラムにより実現することも可能である。制御器500は、全体撮像器100から供給される全体映像、又は外部入力に基づいて被験者に対する生体認証の開始を判断する。
【0025】
制御器500が実施する制御は、誘導制御、照明制御、及び虹彩撮像制御を含む。制御器500は、誘導制御では、被験者を誘導するための誘導制御情報を誘導器200に供給する。誘導器200は、誘導制御情報に基づいて被験者を誘導する。誘導器200は、例えばディスプレイやスピーカなどを含む。誘導器200は、例えば、生体認証を開始することを提示するための映像や音声をディスプレイやスピーカで提示する。また、誘導器200は、虹彩撮像器に被験者の視線を誘導させるための映像や音声などをディスプレイやスピーカで提示する。
【0026】
制御器500は、照明制御では、被験者に照明光を照射するための照明制御情報を照明器300に供給する。照明器300は、照明制御情報に基づいて被験者に光(例えば近赤外光)を照射する。照明器300は、光源であるLED(Light Emitting Diode)や同期信号発生器を含む。照明器300から被験者に照射される光量は、LEDへの供給電流値、LEDの点灯時間、及び点灯周期で決定される、照明制御情報は、これらの数値を含む。LEDを常時点灯させない場合、LEDの点灯周期は、複数の虹彩撮像器401~404のフレームレートと同期される。
【0027】
制御器500は、虹彩撮像制御では、全体撮像器100から供給される全体映像に基づいて、複数の虹彩撮像器401~404のうち、被験者の目を含む領域を好適に撮像できる虹彩撮像器を決定する。また、制御器500は、決定した虹彩撮像器内で高速に読み出す注視領域の垂直位置を決定する。
【0028】
図2は、虹彩撮像制御の様子を示す図である。図2を用いて、虹彩撮像制御の詳細を説明する。ここでは、虹彩撮像器401~404に、12M画素(水平4000画素、垂直3000画素)かつ60fpsの汎用カメラが使用される場合を想定する。そのようなカメラは、産業用カメラなどで普及品となりつつある。虹彩で認証できる粒度の50μmで撮像する場合、各虹彩撮像器の水平視野と垂直視野はそれぞれ0.2m(4000×50[μm]=0.2[m])と0.15m(3000×50[μm]=0.15[m])となる。
【0029】
複数の虹彩撮像器401~404は、垂直方向に互いに積み重ねられるように配置される。このとき、複数の虹彩撮像器401~404のそれぞれは、隣接する虹彩撮像器との間で映像領域が一部重複するように配置される。虹彩撮像器401~404は、例えば隣接する虹彩撮像器間で、映像領域が2.5cm重複するように配置される。その場合、2m先の合焦位置にて、4台で水平0.2mと垂直0.45m((0.15-0.025)+(0.15-0.025-0.025)+(0.15-0.025-0.025)+(0.15-0.025)m)の視野を確保できる。つまり、水平0.2mと垂直0.4mの要求視野を確保できる。なお、図面と上述した説明により、各虹彩撮像器は同じ視野範囲であり、互いに異なる位置に配置されることが分かる。
【0030】
各虹彩撮像器のフレームレートが60fpsである場合、そのままでは要求フレームレート100fpsを満たせない。ここで、産業用カメラなどでは、注視領域モードがある。注視領域モードでは、画面全体ではなく、注視領域として設定された部分領域のみが読み出される。このような注視領域モードを利用することで、フレームレートを高めることができる。
【0031】
制御器500は、任意の虹彩撮像器に注視領域を設定し、その虹彩撮像器から注視領域の画像を読み出す。図2の例では、画面半分の水平4000画素、垂直1500画素の部分領域が注視領域として設定される例が示されている。この場合、1フレームあたりの画素数が全体の1/2となるため、全画面を読み出す場合のフレームレート60fpsの2倍の120fpsにフレームレートを高めることができる。ただし、部分領域の水平視野と垂直視野は、それぞれ0.2mと0.75mとなる。なお、人の両目は水平方向に並ぶ。このため、注視領域モードにおいては、両目を撮像できるように、水平ではなく垂直の画素数を削減することが好ましい。
【0032】
上記した隣接する虹彩撮像器で映像領域が重複する範囲で目領域が撮像されない条件では、目領域を撮像する虹彩撮像器は4台の虹彩撮像器401~404のうちの何れか1台のみとなる。また、120fpsで読み出させる条件は、その虹彩撮像器内の部分領域となる。制御器500は、複数の虹彩撮像器401~404のうち目領域を好適に撮像できる虹彩撮像器を推定し、その虹彩撮像器内で高速に読み出す注視領域の垂直位置を推定する。
【0033】
上記推定は、次に示す方法で実現できる。全体撮像器100は、被験者を顔で認証できる解像度を有しており、制御器500は、全体撮像器100で撮像された全体映像における被験者の目位置を導出する。制御器500は、全体撮像器100と各虹彩撮像器のカメラパラメータと配置関係とを用いて、全体映像における被験者の目位置に対応する虹彩撮像器と、その撮像器内で存在する目位置を導出する。注視領域モードを利用することで、水平0.2m及び垂直0.4mよりも広い視野と100fpsより高い時間分解能とを、汎用カメラを用いて実現できる。
【0034】
なお、上記した注視領域モードで垂直位置を変更すると、撮像開始までに遅延が発生する。このため、上記の推定においては、被験者が虹彩撮像器の合焦位置である2m先よりも先、例えば3m先で撮像される映像を用いればよい。3m先の被験者を顔で認証できる解像度は2M画素程度のカメラでも実現可能であり、全体撮像器100には、虹彩撮像カメラより低いスペックのカメラを利用できる。
【0035】
制御器500は、上述した虹彩撮像制御に基づいて、虹彩撮像器401~404のそれぞれに虹彩撮像情報を供給する。制御器500は、被験者の目領域をうつす虹彩撮像器には、注視領域の垂直位置を含む虹彩撮像情報を供給する。制御器500は、その他の虹彩撮像器については、任意の虹彩撮像情報を供給してもよい。制御器500は、例えば虹彩映像の総データ量を削減する目的で、虹彩映像の供給停止の情報を含む虹彩撮像情報をその他の虹彩撮像器に供給してもよい。
【0036】
虹彩撮像器401~404は、それぞれ、制御器500から供給される虹彩撮像情報に基づいて、虹彩映像を制御器500に供給する。このとき、虹彩撮像器401~404は、虹彩撮像情報を用いて制御器500から設定された注視領域の画像(虹彩映像)を、制御器500に出力する。虹彩撮像器401~404は、注視領域の虹彩映像に対して非可逆圧縮を適用し、圧縮した虹彩映像を制御器500に出力してもよい。例えば、虹彩撮像器401~404は、量子化(画素ごとに圧縮)、予測符号化と量子化(複数の画素の組で圧縮)、又は変換符号化と量子化との組み合わせ(複数の画素の組で圧縮)を用いて、注視領域の虹彩映像を圧縮する。制御器500は、虹彩撮像器401~404から供給される虹彩映像を用いて、背景技術で述べた認証や登録を行う。制御器500は、次の被験者が存在する場合、あるいは、認証や登録に失敗した場合、次の処理に戻る。
【0037】
続いて、動作手順を説明する。図3は、画像処理システムにおける動作手順を示す。制御器500は、誘導制御を行い、誘導器200を用いて被験者を誘導する(ステップS1001)。制御器500は、照明制御を行い、照明器300を用いて被験者に赤外光を照射する(ステップS1002)。制御器500は、上述した虹彩撮像制御を行い、複数の虹彩撮像器401~404を用いて撮像された虹彩の画像(虹彩映像)を取得する(ステップS1003)。ステップS1003で取得された虹彩映像は、虹彩認証や登録のために使用される。ステップS1003では、制御器500は、上述したように、ある被験者に対して虹彩撮像器401~404の全てから虹彩映像を得る必要はない。制御器500は、被験者の目領域を撮像している虹彩撮像器から、虹彩映像を取得する。
【0038】
制御器500は、ステップS1003で取得した虹彩映像を用いて虹彩認証を行い、或いは虹彩映像を登録する(ステップS1004)。制御器500は、次の被験者がいるか否か、或いは再認証若しくは再登録を行うか否かを判断する(ステップS1005)。次の被験者がいる場合、又は再認証若しくは再登録を行うと判断された場合、処理はステップS1001に戻り、誘導制御から処理が実施される。
【0039】
なお、本実施形態の全体撮像器100が顔で認証できる解像度を備えており、被験者を顔認証するため特徴量をデータベースに保有しており、かつ、被験者を虹彩認証するための特徴量をデータベースに保有してない場合、本開示に係る装置は、顔認証に基づいて被験者を特定し、抽出したその虹彩の特徴量をデータベースに登録する用途にも使用できる。また、本開示に係る装置は、虹彩撮像制御で得られる目位置情報、又は、虹彩撮像器で得られた虹彩映像を認証若しくは登録する際に得られる目位置情報に基づいて被験者の身長情報を推定し、データベースに登録する用途にも使用できる。さらに、本開示に係る装置は、推定した身長情報を用いて、複数の虹彩撮像器から目領域を好適に撮像できる虹彩撮像器と同撮像器内で高速に読み出す注視領域の垂直位置の決定や校正に用いることができる。
【0040】
本実施形態では、要求される0.2m×0.4mの視野に対応する高解像度と時間分解能0.01秒に相当する高フレームレートの性能を、汎用カメラの組み合わせで達成できる。結果として、被験者と撮像手段の距離が長い、撮像する視野が広い、及び被験者が移動する条件で、認証や照合できる品質で虹彩パターンを撮像することを容易にした。
【0041】
次いで、本開示の第2実施形態を説明する。本実施形態に係る画像処理システムの構成は、図1に示される第1実施形態における画像処理システムの構成と同様でよい。本実施形態において、制御器500は、被験者の次のまばたきの発生期間、及び被験者が虹彩撮像器の合焦位置(2m先)を通過する期間をそれぞれ予測する。制御器500は、それらの期間が重なる場合、合焦位置でまばたきが起きないように誘導器200を制御する。本実施形態において、制御器500は、まばたきに関連した画像処理方法(制御方法)を実施する画像処理装置(制御装置)としても機能する。他の点は、第1実施形態と同様でよい。
【0042】
ここで、まばたきは生理現象のため、被験者努力でもコントロールが難しく、虹彩撮像器401~404の合焦位置でまばたきが発生する可能性がある。人のまばたきは1分間に平均で20回(間隔時間3秒)、1回あたり0.2秒(継続時間0.2秒)であり、目が開いている時間率は約93.3%となる。単純計算をすると、まばたきに起因する認証や登録のやり直し確率は6.6%あり、100人あたり約7人は認証や登録をやり直すことになる。
【0043】
制御器500は、全体撮像器100の全体映像の目領域を解析することにより、被験者が目を閉じているか否かの情報を取得できる。また、制御器500は、Time of Flight(ToF)などの測距機能を有する全体撮像器100を利用することにより、被験者との距離情報を取得できる。制御器500は、距離情報を時系列で解析することにより、被験者の位置情報だけでなく、被験者の歩行速度の情報を取得できる。
【0044】
続いて、以後の説明のため、被験者が目を閉じているか否かの情報、被験者の位置情報、被験者の歩行速度、まばたきの間隔時間、まばたきの継続時間、合焦位置の情報、及び合焦範囲の情報を以下のように定義する。
【0045】
被験者が時刻tで目を閉じているか否かの情報をb(t)とする。ここでは、b(t)=1は、被験者が目を閉じていることを示すとする。また、b(t)=0は、被験者が目を開いていることを示すとする。b(t)=1はまばたきに対応し、b(t)=0は非まばたきに対応する。
【0046】
被験者の時刻tでの位置情報、すなわち、全体撮像器100から被験者までの距離をd(t)[m]とする。被験者の平均の歩行速度をv[m/s]とする。まばたきの間隔時間をb_i_t[s]とする。まばたきの継続時間をb_p_t[s]とする。合焦位置の情報、すなわち、虹彩撮像器401~404から合焦位置までの距離をdf[m]とする。合焦範囲の情報をdof[m]とする。以上で、それぞれの情報の定義を終了する。
【0047】
制御器500は、被験者の次のまばたきの発生期間を以下で予測できる(以後、次回まばたき期間予測とも呼ぶ)。制御器500は、現在の時刻tcからb_i_t秒前までの期間(tc-b_i_t≦t≦tc)で、b(t)=1となる最後の時刻tblastを探す。制御器500は、tblastにb_i_tを加えてb_p_tを減じた値を、次のまばたきの発生開始時刻tbnext(=tblast+b_i_t-b_p_t)とする。制御器500は、次のまばたきの発生開始時刻tbnextから、tbnext+b_p_tまでの時刻(tbnext≦t≦tbnext+b_p_t)を、次のまばたきの発生期間と予測する。
【0048】
制御器500は、被験者が合焦位置を通過する期間を以下で予測できる(以後、合焦位置通過期間予測とも呼ぶ)。制御器500は、時刻tにおいて距離d(t)にいる被験者が合焦位置に辿り着く時刻taを計算する。時刻taは、距離d(t)から距離dfを減じて歩行速度vで割った時間を時刻tに加えた時刻で計算できる。つまり、ta=t+(d(t)-df)÷vである。制御器500は、時刻taから、時刻taに被験者が合焦範囲を通過する時間を加えた時刻までの期間(ta≦t≦ta+(dof÷v))を、被験者が合焦位置を通過する期間と予測する。
【0049】
制御器500は、上記のようにして導出した被験者の次のまばたき発生期間と、被験者が合焦位置を通過する期間とが重なるか否かを判断する。制御器500は、次のまばたき発生期間と合焦位置を通過する期間とが重なる場合、合焦位置でまばたきが起きないように誘導器200を用いて被験者を誘導する(以後、まばたき回避誘導制御とも呼ぶ)。
【0050】
制御器500は、まばたき回避誘導制御では、例えば、被験者が合焦位置にたどり着く時刻を遅延させるように、誘導器200を制御する。その場合、制御器500は、誘導器200に、被験者を「遅く歩かせる」あるいは「立ち止まらせる」ための映像や音声などをディスプレイやスピーカを用いて提示させる。被験者が、誘導に従って歩行速度を低下させ、或いは一時的に立ち止まることで、被験者が合焦位置に辿り着く時刻が遅延し、合焦位置でのまばたきを回避できる可能性を高めることができる。
【0051】
制御器500は、まばたき回避誘導制御では、被験者が合焦位置にたどり着く時刻を早めるように、誘導器200を制御してもよい。その場合、制御器500は、誘導器200に、被験者を「速く歩かせる」ための映像や音声などをディスプレイやスピーカを用いて提示させてもよい。被験者が、誘導に従って歩行速度を上げることで、被験者が合焦位置に辿り着く時刻が早まり、合焦位置でのまばたきを回避できる可能性を高めることができる。
【0052】
制御器500は、まばたき回避誘導制御では、被験者にまばたきさせるように、誘導器200を制御してもよい。例えば、b(t)を長時間記憶できない場合、制御器500は、時刻taからまばたきの継続時間を減じた時刻までに被験者に「まばたきをさせる」ための映像や音声などをディスプレイやスピーカで提示させてもよい。その場合、合焦位置を通過する前に被験者に一度まばたきをさせることで、被験者が合焦位置を通過する期間にまばたきが起きないようにすることができる。さらには、虹彩撮像手段が合焦位置を動かす機能を有する場合、制御器500は、次のまばたきの発生期間以外で合焦するように合焦位置を動かしてもよい。合焦位置を動かす機能は、例えば虹彩撮像器が備える液体レンズなどのピント位置を制御する手段を駆動することで実現できる。
【0053】
続いて、動作手順を説明する。図4は、画像処理システムにおける動作手順を示す。制御器500は、上述した次回まばたき期間予測を行う(ステップS2001)。また、制御器500は、制御器500は上述した合焦位置通過期間予測を行う(ステップS2002)。制御器500は、ステップS2001で予測した次回まばたき期間と、ステップS2002で予測した合焦位置通過期間とが重なるか否かを判断する(ステップS2003)。制御器500は、ステップS2003で期間が重なると判断した場合、制御器500は上述したまばたき回避誘導制を行い、誘導器200を用いて被験者を誘導する(ステップS2004)。
【0054】
制御器500は、第1実施形態で説明した誘導制御を行い、誘導器200を用いて被験者を誘導する(ステップS2005)。制御器500は、照明制御を行い、照明器300を用いて被験者に赤外光を照射する(ステップS2006)。制御器500は、虹彩撮像制御を行い、複数の虹彩撮像器401~404を用いて撮像された虹彩の画像(虹彩映像)を取得する(ステップS2007)。ステップS2007では、制御器500は、第1実施形態で説明したように、ある被験者に対して虹彩撮像器401~404の全てから虹彩映像を得る必要はない。制御器500は、被験者の目領域を撮像している虹彩撮像器から、虹彩映像を取得する。
【0055】
制御器500は、ステップS2007で取得した虹彩映像を用いて虹彩認証を行い、或いは虹彩映像を登録する(ステップS2008)。制御器500は、次の被験者がいるか否か、或いは再認証若しくは再登録を行うか否かを判断する(ステップS2009)。次の被験者がいる場合、又は再認証若しくは再登録を行うと判断された場合、処理はステップS2001に戻り、次回まばたき期間予測から処理が実施される。ステップS2005~S2009は、図3のステップS1001~1005と同様でよい。
【0056】
本実施形態では、制御器500は、被験者の次のまばたき期間を予測する。また、制御器500は、被験者が虹彩撮像器の合焦位置を通過する期間を予測する。制御器500は、次のまばたき期間と合焦位置を通過する期間とが重なる場合は、まばたき回避誘導制を行い、誘導器200を用いて被験者を誘導する。このようにすることで、被験者が合焦位置でまばたきすることを回避できる可能性が高まり、まばたきに起因する認証や登録のやり直し率を低減できる。
【0057】
なお、図2では、水平4000画素×垂直1500画素の部分領域が注視領域として設定される例を示したが、本開示はこれには限定されない。注視領域の形状は矩形には限定されず、また注視領域の数も1つには限定されない。制御器500は、例えば全体撮像器100で撮像された全体映像(俯瞰映像)から被験者の右目及び左目の位置を導出し、右目の位置に対応した注視領域と、左目の位置に対応した注視領域とを虹彩撮像器に設定してもよい。その場合、虹彩撮像器は、右目の虹彩映像、及び左目の虹彩映像を制御器500に供給する。注視領域の形状は、矩形であってもよいし、楕円形であってもよい。制御器500は、俯瞰映像に代えて、虹彩撮像器が撮像した虹彩映像に基づいて被験者の右目及び左目の位置を導出してもよい。例えば、制御器500は、図2に示される部分領域を一旦注視領域として設定し、その注視領域の映像から右目及び左目の位置を導出してもよい。その場合、制御器500は、導出した右目及び左目の位置に基づいて、右目の位置に対応した部分領域と、左目の位置に対応した部分領域とを、それぞれ注視領域として虹彩撮像器に設定してもよい。
【0058】
上記各実施形態において、制御器500は、コンピュータ装置として構成され得る。図5は、制御器500に用いられ得る情報処理装置(コンピュータ装置)の構成例を示す。情報処理装置600は、制御部(CPU:Central Processing Unit)610、記憶部620、ROM(Read Only Memory)630、RAM(Random Access Memory)640、通信インタフェース(IF:Interface)650、及びユーザインタフェース660を有する。
【0059】
通信インタフェース650は、有線通信手段又は無線通信手段などを介して、情報処理装置600と通信ネットワークとを接続するためのインタフェースである。ユーザインタフェース660は、例えばディスプレイなどの表示部を含む。また、ユーザインタフェース660は、キーボード、マウス、及びタッチパネルなどの入力部を含む。
【0060】
記憶部620は、各種のデータを保持できる補助記憶装置である。記憶部620は、必ずしも情報処理装置600の一部である必要はなく、外部記憶装置であってもよいし、ネットワークを介して情報処理装置600に接続されたクラウドストレージであってもよい。ROM630は、不揮発性の記憶装置である。ROM630には、例えば比較的容量が少ないフラッシュメモリなどの半導体記憶装置が用いられる。CPU610が実行するプログラムは、記憶部620又はROM630に格納され得る。
【0061】
上記プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、情報処理装置600に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、又はハードディスクなどの磁気記録媒体、例えば光磁気ディスクなどの光磁気記録媒体、CD(compact disc)、又はDVD(digital versatile disk)などの光ディスク媒体、及び、マスクROM、PROM(programmable ROM)、EPROM(erasable PROM)、フラッシュROM、又はRAMなどの半導体メモリを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体を用いてコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0062】
RAM640は、揮発性の記憶装置である。RAM640には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)などの各種半導体メモリデバイスが用いられる。RAM640は、データなどを一時的に格納する内部バッファとして用いられ得る。CPU610は、記憶部620又はROM630に格納されたプログラムをRAM640に展開し、実行する。CPU610がプログラムを実行することで、例えば誘導制御、照明制御、及び虹彩撮像制御を含む各種制御が実行される。また、CPU610がプログラムを実行することで、まばたきに関連した画像処理方法を含む各種処理が実行される。
【0063】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本開示に含まれる。
【0064】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0065】
[付記1]
同じ視野範囲で互いに異なる位置に配置される複数の虹彩撮像手段と、
前記虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段と、
被験者を誘導するための誘導手段と、
前記被験者に光を照らす照明手段と、
前記全体撮像手段の画像を用いて、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出し、前記誘導手段の映像及び音声の少なくとも一方の提示、及び、前記照明手段の光の照射のうち少なくとも1つを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、更に、前記被験者の次のまばたきが発生する期間、及び、前記被験者が前記虹彩撮像手段の合焦位置を通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置と、前記被験者が次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記誘導手段及び前記虹彩撮像手段の少なくとも一方を制御する画像処理システム。
【0066】
[付記2]
前記制御手段は、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出しを実施し、
前記制御手段は、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出しでは、前記全体撮像手段で撮像された映像に基づいて、前記複数の虹彩撮像手段のうち前記被験者の目を撮像できる虹彩撮像手段を特定し、該特定した虹彩撮像手段に前記被験者の目の位置を含む注視領域を設定し、前記特定した虹彩撮像手段から前記注視領域の映像を取得する付記1に記載の画像処理システム。
【0067】
[付記3]
前記制御手段は、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置で被験者がまばたきをしないように前記誘導手段を制御する付記1又は2に記載の画像処理システム。
【0068】
[付記4]
前記制御手段は、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置が、前記次のまばたきが発生する期間における前記被験者の位置以外の位置になるように前記虹彩撮像手段を制御する付記1又は2に記載の画像処理システム。
【0069】
[付記5]
前記制御手段は、前記被験者の前回のまばたき時刻、まばたき間隔時間、及びまばたき継続時間に基づいて、次のまばたきが発生する期間を予測する付記3又は4に記載の画像処理システム。
【0070】
[付記6]
前記制御手段は、前記被験者の位置及び移動速度に基づいて、前記合焦位置を通過する期間を予測する付記3から5何れか1つに記載の画像処理システム。
【0071】
[付記7]
移動する被験者の次のまばたきが発生する期間、及び、前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置で被験者がまばたきをしないように、前記被験者を誘導するための誘導手段を制御する制御手段を備える画像処理装置。
【0072】
[付記8]
前記制御手段は、前記被験者の前回のまばたき時刻、まばたき間隔時間、及びまばたき継続時間に基づいて、次のまばたきが発生する期間を予測する付記7に記載の画像処理装置。
【0073】
[付記9]
前記制御手段は、前記被験者の位置及び移動速度に基づいて、前記合焦位置を通過する期間を予測する付記7又は8に記載の画像処理装置。
【0074】
[付記10]
前記制御手段は、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記被験者が前記合焦位置に到達する時刻を遅らせるように前記誘導手段を制御する付記7から9何れか1つに記載の画像処理装置。
【0075】
[付記11]
前記制御手段は、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記被験者が前記合焦位置に到達する時刻を早めるように前記誘導手段を制御する付記7から9何れか1つに記載の画像処理装置。
【0076】
[付記12]
前記制御手段は、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記被験者にまばたきさせるように前記誘導手段を制御する付記7から9何れか1つに記載の画像処理装置。
【0077】
[付記13]
移動する被験者の次のまばたきが発生する期間、及び、前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なる場合、前記合焦位置が、前記次のまばたきが発生する期間における前記被験者の位置以外の位置になるように前記虹彩撮像手段を制御する制御手段を備える画像処理装置。
【0078】
[付記14]
前記制御手段は、前記被験者の前回のまばたき時刻、まばたき間隔時間、及びまばたき継続時間に基づいて、次のまばたきが発生する期間を予測する付記13に記載の画像処理装置。
【0079】
[付記15]
前記制御手段は、前記被験者の位置及び移動速度に基づいて、前記合焦位置を通過する期間を予測する付記13又は14に記載の画像処理装置。
【0080】
[付記16]
同じ視野範囲で互いに異なる位置に配置される複数の虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段の画像を用いて、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出し、被験者を誘導するための誘導手段の映像及び音声の少なくとも一方の提示、及び、前記被験者に光を照らす照明手段の光の照射のうち少なくとも1つを実施する画像処理方法。
【0081】
[付記17]
前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、
前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なるか否かを判断し、
重なると判断した場合、前記合焦位置と、前記被験者が次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記被験者の誘導、及び前記虹彩撮像手段の制御の少なくとも一方を実施する画像処理方法。
【0082】
[付記18]
前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なると判断した場合、前記合焦位置で前記被験者がまばたきしないように、前記被験者を誘導する次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記被験者を誘導する付記17に記載の画像処理方法。
【0083】
[付記19]
前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なると判断した場合、前記合焦位置が、前記次のまばたきが発生する期間における前記被験者の位置以外の位置になるように前記虹彩撮像手段を制御する付記17又は18に記載の画像処理方法。
【0084】
[付記20]
同じ視野範囲で互いに異なる位置に配置される複数の虹彩撮像手段の視野範囲より広い視野範囲で撮像する全体撮像手段の画像を用いて、前記複数の虹彩撮像手段の画像の読み出し、被験者を誘導するための誘導手段の映像及び音声の少なくとも一方の提示、及び、前記被験者に光を照らす照明手段の光の照射のうち少なくとも1つを実施する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0085】
[付記21]
移動する被験者の次のまばたきが発生する期間を予測し、
前記被験者の虹彩を撮像するための虹彩撮像手段の合焦位置を前記被験者が通過する期間を予測し、
前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なるか否かを判断し、
重なると判断した場合、前記合焦位置と、前記被験者が次の瞬きをする位置とを異ならせるように、前記被験者の誘導、及び前記虹彩撮像手段の制御の少なくとも一方を実施する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0086】
[付記22]
前記プログラムは、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なると判断した場合、前記合焦位置で前記被験者が瞬きしないように、前記被験者を誘導する処理をコンピュータに実行させる付記21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0087】
[付記23]
前記プログラムは、前記次のまばたきが発生する期間と前記合焦位置を通過する期間とが重なると判断した場合、前記合焦位置が、前記次のまばたきが発生する期間における前記被験者の位置以外の位置になるように前記虹彩撮像手段を制御する処理をコンピュータに実行させる付記21又は22に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0088】
この出願は、2019年2月18日に出願された日本出願特願2019-026941を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0089】
100:全体撮像器
200:誘導器
300:照明器
401~404:虹彩撮像器
500:制御器
600:情報処理装置


図1
図2
図3
図4
図5