IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

特許7468760ペンデバイス、プログラム、及びペンシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ペンデバイス、プログラム、及びペンシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240409BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/01 510
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023115342
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2024-02-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 “人工筋肉機構による硬軟変化関節を備えた棒状インタフェースの提案”,ヒューマンインタフェース学会研究報告集Vol.24 No.6、SIG-DeMO-14、p43-46,令和4年9月29日 “人工筋肉機構による硬軟変化関節を備えた棒状インタフェースの提案”,2022年合同研究会,令和4年10月6日 “Transtiff:A Stick Interface with Various Stiffness by Artificial Muscle Mechanism”,UIST’22 Adjunct:Adjunct Proceedings of the 35th Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology,Article No.:54,1-3,令和4年10月28日 “Transtiff:A Stick Interface with Various Stiffness by Artificial Muscle Mechanism”,UIST’22 Adjunct:Adjunct Proceedings of the 35th Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology,令和4年10月31日、11月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 歩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘大
(72)【発明者】
【氏名】門村(吉田) 成朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 一敏
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2129213(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第112882587(CN,A)
【文献】特表2003-530975(JP,A)
【文献】特表2022-537027(JP,A)
【文献】特開2020-082239(JP,A)
【文献】特開2005-131839(JP,A)
【文献】特開昭56-167499(JP,A)
【文献】特開2014-155996(JP,A)
【文献】特開2007-223039(JP,A)
【文献】特開2022-123192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118313(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部、
ペン先、
前記ペン先及び前記本体部の間に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部、並びに
前記関節部の硬さを調節するように構成される調節機構、
を備える、
ペンデバイス。
【請求項2】
前記関節部は、人工筋肉により構成される、
請求項1に記載のペンデバイス。
【請求項3】
前記関節部は、流体圧人工筋肉により構成され、
前記調節機構は、前記流体圧人工筋肉内に流体を出し入れすることで、前記流体圧人工筋肉の硬さを調節するように構成される流体シリンダである、
請求項1に記載のペンデバイス。
【請求項4】
前記流体圧人工筋肉は、マッキベン型人工筋肉である、
請求項3に記載のペンデバイス。
【請求項5】
前記関節部は、硬さを自在に変更可能にそれぞれ構成される複数の関節材により構成される、
請求項1に記載のペンデバイス。
【請求項6】
前記複数の関節材は、流体圧人工筋肉及び機能性流体を含む、
請求項5に記載のペンデバイス。
【請求項7】
外部コンピュータと無線又は有線で接続され、当該外部コンピュータからの指令に応じて、前記調節機構を制御するように構成される制御装置を更に備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載のペンデバイス。
【請求項8】
前記外部コンピュータからの指令は、前記外部コンピュータにおけるインタラクション
処理に応じて、前記外部コンピュータから前記制御装置に送信され、
前記調節機構を制御することは、前記指令を受信したことに応じて、前記関節部の硬さが、前記インタラクション処理に対応する硬さになるように前記調節機構を制御することを含む、
請求項7に記載のペンデバイス。
【請求項9】
前記インタラクション処理に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含み、
前記調節機構を制御することは、前記動的な硬さに合わせて、前記関節部の硬さを徐々に変化させるように前記調節機構を制御することを含む、
請求項8に記載のペンデバイス。
【請求項10】
前記インタラクション処理は、ユーザによるタイプの選択を含み、
前記インタラクション処理に対応する硬さは、選択された前記タイプに対応する硬さを含む、
請求項8に記載のペンデバイス。
【請求項11】
前記タイプの選択は、前記外部コンピュータで実行される描画アプリケーションにおけるペンタイプの選択により構成される、
請求項10に記載のペンデバイス。
【請求項12】
前記インタラクション処理は、前記外部コンピュータにより出力されている画像上において、対象領域に対してタッチ操作することを含み、
前記インタラクション処理に対応する硬さは、タッチ操作された前記対象領域に対応する硬さを含む、
請求項8に記載のペンデバイス。
【請求項13】
前記外部コンピュータは、タッチパネルディスプレイに接続されており、
前記画像は、前記タッチパネルディスプレイに出力されており、
前記タッチ操作は、前記ペンデバイスにより前記タッチパネルディスプレイをタッチすることにより構成される、
請求項12に記載のペンデバイス。
【請求項14】
前記インタラクション処理は、前記外部コンピュータによりユーザに提示されている仮想現実の空間上に存在する対象物に対して操作することを含み、
前記インタラクション処理に対応する硬さは、操作された前記対象物に対応する硬さを含む、
請求項8に記載のペンデバイス。
【請求項15】
前記対象物に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含み、
前記調節機構を制御することは、前記動的な硬さに合わせて、前記関節部の硬さを徐々に変化させるように前記調節機構を制御することを含む、
請求項14に記載のペンデバイス。
【請求項16】
請求項7に記載のペンデバイスの前記制御装置に接続される前記外部コンピュータに、
前記関節部の硬さの変更に関する指示を受け付けること、及び
受け付けた前記指示に応じて、前記指令を前記制御装置に送信すること、
を実行させるための、
プログラム。
【請求項17】
ペンデバイス、及び
外部コンピュータ、
を備えるペンシステムであって、
前記ペンデバイスは、
本体部、
ペン先、
前記ペン先及び前記本体部の間に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部、
前記関節部の硬さを調節するように構成される調節機構、並びに
前記外部コンピュータと無線又は有線で接続され、前記外部コンピュータからの指令に応じて、前記調節機構を制御するように構成される制御装置、
を備える、
ペンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、日常的に、ペン等の棒状デバイスを道具として操作している。人間の手の感覚は鋭く、細かな情報を処理することができる。人間は、指先から得られる感覚の変化を知覚することで、道具を巧みに操作することができる。特に、棒状デバイスを巧みに操作することができるのは、棒状デバイスを通して棒状デバイスの向こう側にある物体の感触を間接的に知覚しているからである。したがって、棒状デバイスにより何らかの物体に触れた際の感触を制御することで、疑似的にその物体に対する触覚体験を拡張することができる。
【0003】
この点に着目して、拡張的な触覚体験を提供する様々なデバイスが提案されている。例えば、非特許文献1では、バイブレータ、衝撃発生器、テクスチャ表示部、及びスピーカを備えたスタイラスペンが提案されている。非特許文献2では、3D Systems社により、ユーザがPC(Personal Computer)上の仮想オブジェクトに触れて操作するための力覚イ
ンタラクションを実現する設置型デバイス(Touch X)が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Kyung K.-U. and Lee J.-Y., “wUbi-Pen: Windows graphical user interface interacting with haptic feedback stylus”, [online], Proceedings of the ACM SIGGRAPH 2008 New Tech Demos, No. 42, pp.1-4 (2008), [令和5年6月29日検索], インターネット<URL:https://history.siggraph.org/wp-content/uploads/2022/01/2008-42-Kyung_wUbi-Pen.pdf>
【文献】3D systems, “Touch X”, [online], [令和5年6月29日検索], インターネット<URL:https://www.3dsystems.com/haptics-devices/touch-x>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、鉛筆等の先端の硬い筆記具を使用する場合と筆等の先端の柔らかい筆記具を使用する場合とでは筆記具を操作する際の触覚が相違する。人間は、この触覚の相違を知覚することで、いずれの筆記具も巧みに操作することができる。すなわち、物体の硬さ(硬軟)は、棒状デバイスを操作する上で、重要な役割を果たす。そのため、ユーザの触覚体験を拡張する上で、物体の硬軟を表現可能であることが望ましい。
【0006】
非特許文献1で提案されるデバイスによれば、振動、衝撃、テクスチャ、及び音をフィードバックすることができる。しかしながら、このデバイスでは、長手方向に延びるハウジングにバイブレータ等の各構成要素が収容されており、このハウジングは、長手方向に直交する方向(左右方向)に分離可能になっているに過ぎない。そのため、非特許文献1で提案されるデバイスでは、物体の硬軟を表現することは困難である。
【0007】
一方で、非特許文献2で提案されるデバイス(Touch X)によれば、物体の硬軟を表現
することができる。しかしながら、このデバイスは、タレット、ジョイント及びリンクで構成されるリンク機構によりスタイラスを支持することで、物体の硬軟を表現している。そのため、機構が複雑であり、可搬性が低い。なお、本問題点は、棒状以外の形状のデバイスでも生じ得る。
【0008】
本発明は、一側面では、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能なデバイス及びそれを利用する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。なお、以下の発明の構成は適宜組み合わせ可能である。
【0010】
すなわち、本発明の一側面に係るデバイスは、本体部、前記本体部の一端部に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部、及び前記関節部の硬さを調節するように構成される調節機構、を備える。
【0011】
ユーザがデバイスを把持して、関節部の先端側で物体を操作する際に、関節部の硬さを調節機構により調節することで、当該ユーザに対して物体の硬軟の触覚体験を拡張することができる。すなわち、本体部の一端部に関節部を設けるという簡単な機構で、物体の硬軟を表現可能である。したがって、当該構成によれば、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能なデバイスを提供することができる。なお、関節部の先端部(本体部に接続する端部とは反対側の端部)には、ペン先等の任意の構成要素が取り付けられてよい。
【0012】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記関節部は、人工筋肉により構成されてよい。人工筋肉を用いることで、関節部における硬さの調節を適切に行うことができる。したがって、当該構成によれば、物体の硬軟を適切に表現可能なデバイスを提供することができる。
【0013】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記関節部は、流体圧人工筋肉により構成されてよい。前記調節機構は、前記流体圧人工筋肉内に流体を出し入れすることで、前記流体圧人工筋肉の硬さを調節するように構成される流体シリンダであってよい。当該構成によれば、流体圧人工筋肉を用いることで、物体の硬軟を適切に表現可能なデバイスを提供することができる。
【0014】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記流体圧人工筋肉は、マッキベン型人工筋肉であってよい。マッキベン型人工筋肉は、編組チューブにより構成される。編組チューブの内部に流体を収容し、流体の圧力を調節することで硬さを変更することができる。そのため、このマッキベン型人工筋肉は、機構が比較的に簡単であり、低コストでかつ容易に製造可能である。したがって、当該構成によれば、マッキベン型人工筋肉を用いることで、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能でかつ低コストで製造可能なデバイスを提供することができる。
【0015】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記関節部は、硬さを自在に変更可能にそれぞれ構成される複数の関節材により構成されてよい。当該構成によれば、複数の関節材を用いることで、物体の硬軟を細かく表現可能なデバイスを提供することができる。なお、複数の関節材の少なくとも一部の特性が異なっていてよい。特性の異なる関節材を用いることで、物体のより細かな硬軟を表現することができる。
【0016】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記複数の関節材は、流体圧人工筋肉及び機能性流体を含んでよい。大きな剛性変化を流体圧人工筋肉で、小さな剛性変化を機能性流体で再現することができる。よって、当該構成によれば、簡単な機構で物体の硬軟を細かく表現可能なデバイスを提供することができる。なお、機能性流体は、流体圧人工筋肉に内蔵されてよい。
【0017】
上記一側面に係るデバイスは、外部コンピュータと無線又は有線で接続され、当該外部コンピュータからの指令に応じて、前記調節機構を制御するように構成される制御装置を更に備えてよい。当該構成によれば、外部制御可能なデバイスを提供することができる。
【0018】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記外部コンピュータからの指令は、前記外部コンピュータにおけるインタラクション処理に応じて、前記外部コンピュータから前記制御装置に送信されてよい。前記調節機構を制御することは、前記指令を受信したことに応じて、前記関節部の硬さが、前記インタラクション処理に対応する硬さになるように前記調節機構を制御することを含んでよい。インタラクション処理は、外部コンピュータにおける任意のユーザ操作を含んでよい。当該構成によれば、インタラクション処理における物体の硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0019】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記インタラクション処理に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含んでよい。前記調節機構を制御することは、前記動的な硬さに合わせて、前記関節部の硬さを徐々に変化させるように前記調節機構を制御することを含んでよい。当該構成によれば、インタラクション処理において、物体の動的な硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0020】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記インタラクション処理は、ユーザによるタイプの選択を含んでよく、前記インタラクション処理に対応する硬さは、選択された前記タイプに対応する硬さを含んでよい。当該構成によれば、ユーザにより選択されたタイプに応じた硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0021】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記タイプの選択は、前記外部コンピュータで実行される描画アプリケーションにおけるペンタイプの選択により構成されてよい。当該構成によれば、描画アプリケーションにおいて選択されたペンタイプに応じた硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0022】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記インタラクション処理は、前記外部コンピュータにより出力されている画像上において、対象領域に対してタッチ操作することを含んでよく、前記インタラクション処理に対応する硬さは、タッチ操作された前記対象領域に対応する硬さを含んでよい。当該構成によれば、タッチ操作の対象に応じた硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0023】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記外部コンピュータは、タッチパネルディスプレイに接続されてよく、前記画像は、前記タッチパネルディスプレイに出力されてよい。前記タッチ操作は、前記デバイスにより前記タッチパネルディスプレイをタッチすることにより構成されてよい。当該構成によれば、タッチパネルディスプレイ上でのタッチ操作において、操作対象に応じた硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0024】
上記一側面に係るデバイスにおいて、前記インタラクション処理は、前記外部コンピュータによりユーザに提示されている仮想現実(VR:Virtual Reality)の空間上に存在
する対象物に対して操作することを含んでよい。前記インタラクション処理に対応する硬さは、操作された前記対象物に対応する硬さを含んでよい。当該構成によれば、仮想現実での操作の対象に応じた硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0025】
なお、当該構成において、前記対象物に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含んでよい。前記調節機構を制御することは、前記動的な硬さに合わせて、前記関節部の硬さを徐々に変化させるように前記調節機構を制御することを含んでよい
。当該構成によれば、仮想現実での操作において、物体の動的な硬軟を表現するデバイスを提供することができる。
【0026】
なお、本発明の形態は、上記デバイスに限られなくてよい。他の一例では、本発明の一側面は、上記いずれかの側面に係るデバイスの制御装置に指令を与える外部コンピュータであってもよい。また、本発明の一側面は、そのような外部コンピュータによる情報処理方法であってもよいし、プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記憶した、コンピュータ等の機械が読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータ等の機械が読み取り可能な記憶媒体とは、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積する媒体である。更に、本発明の一側面は、上記いずれかの側面に係るデバイスを含むシステムであってもよい。
【0027】
例えば、本発明の一側面に係るプログラムは、上記いずれかの側面に係るデバイスの制御装置に接続される外部コンピュータに、前記関節部の硬さの変更に関する指示を受け付けること、及び受け付けた前記指示に応じて、前記指令を前記制御装置に送信すること、を実行させるためのプログラムであってよい。
【0028】
また、例えば、本発明の一側面に係るシステムは、デバイス、及び外部コンピュータを備えてよい。前記デバイスは、本体部、前記本体部の一端部に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部、前記関節部の硬さを調節するように構成される調節機構、及び前記外部コンピュータと無線又は有線で接続され、前記外部コンピュータからの指令に応じて、前記調節機構を制御するように構成される制御装置を備えてよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能なデバイス及びそれを利用する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明が適用される場面の一例を模式的に示す。
図2図2は、実施の形態に係る棒状デバイス(デバイス)の構成(断面)の一例を模式的に示す。
図3A図3Aは、実施の形態に係る棒状デバイスの使用場面(ペン操作)の一例を模式的に示す。
図3B図3Bは、実施の形態に係る棒状デバイスの使用場面(ペン操作)の一例を模式的に示す。
図4A図4Aは、実施の形態に係る棒状デバイスの使用場面(タッチ操作)の一例を模式的に示す。
図4B図4Bは、実施の形態に係る棒状デバイスの使用場面(タッチ操作)の一例を模式的に示す。
図5A図5Aは、実施の形態に係る棒状デバイスの使用場面(VR操作)の一例を模式的に示す。
図5B図5Bは、実施の形態に係る棒状デバイスの使用場面(VR操作)の一例を模式的に示す。
図6図6は、実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を模式的に示す。
図7図7は、実施の形態に係る外部コンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。
図8図8は、実施の形態に係る制御装置のソフトウェア構成の一例を模式的に示す。
図9図9は、実施の形態に係る外部コンピュータのソフトウェア構成の一例を模式的に示す。
図10図10は、実施の形態に係る制御装置及び外部コンピュータの処理手順(タイプ選択)の一例を示す。
図11図11は、実施の形態に係る制御装置及び外部コンピュータの処理手順(タッチ操作)の一例を示す。
図12図12は、実施の形態に係る制御装置及び外部コンピュータの処理手順(VR操作)の一例を示す。
図13A図13Aは、他の形態に係る棒状デバイスの構成(断面)の一例を模式的に示す。
図13B図13Bは、他の形態に係る棒状デバイスの構成(断面)の一例を模式的に示す。
図14図14は、実験に使用した棒の構成を説明するための図である。
図15A図15Aは、第1の握り方で第1の棒を使用した際の実験結果を示す。
図15B図15Bは、第1の握り方で第2の棒を使用した際の実験結果を示す。
図15C図15Cは、第1の握り方で第3の棒を使用した際の実験結果を示す。
図15D図15Dは、第1の握り方で第4の棒を使用した際の実験結果を示す。
図15E図15Eは、第1の握り方で第5の棒を使用した際の実験結果を示す。
図15F図15Fは、第1の握り方で第6の棒を使用した際の実験結果を示す。
図15G図15Gは、第1の握り方で第7の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16A図16Aは、第2の握り方で第1の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16B図16Bは、第2の握り方で第2の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16C図16Cは、第2の握り方で第3の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16D図16Dは、第2の握り方で第4の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16E図16Eは、第2の握り方で第5の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16F図16Fは、第2の握り方で第6の棒を使用した際の実験結果を示す。
図16G図16Gは、第2の握り方で第7の棒を使用した際の実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良又は変形が行われてよい。本発明の実施にあたって、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、本実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメータ、マシン語等で指定される。
【0032】
§1 適用例
図1は、本発明が適用される場面の一例を模式的に示す。本実施形態に係るシステムSは、棒状デバイス1、及び外部コンピュータ5を備える。棒状デバイス1は、本発明のデバイスの一例である。棒状デバイス1は、本体部10、関節部11、調節機構12、及び制御装置2を備える。関節部11は、本体部10の先端部101に設けられる。先端部101は、一端部の一例である。関節部11は、硬さを自在に変更可能に構成される。調節機構12は、関節部11の硬さを調節するように構成される。制御装置2は、外部コンピュータ5と無線又は有線で接続される。外部コンピュータ5は、関節部11の硬さの変更に関する指示を受け付ける。外部コンピュータ5は、受け付けた指示に応じて、指令60を制御装置2に送信する。制御装置2は、外部コンピュータ5からの指令60に応じて、調節機構12を制御するように構成される。
【0033】
一例では、ユーザは、本体部10を把持し、関節部11の先端側で物体を操作してよい。この際に、関節部11の硬さを調節機構12により調節することで、当該ユーザに対し
て物体の硬軟の触覚体験を拡張することができる。すなわち、本体部10の一端部(先端部101)に関節部11を設けるという簡単な機構で、棒状デバイス1の向こう側に存在する物体の硬軟を表現可能である。したがって、本実施形態の一例によれば、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。また、本実施形態の一例によれば、制御装置2を備えていることにより、外部制御可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0034】
(本体部)
本体部10は、関節部を端部に配置可能であればよく、本体部10の形状、寸法及び材料は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。本体部10は、一方向に延びる形状を有してもよい。本体部10の少なくとも一部は湾曲していてもよい。一例では、本体部10は、棒状デバイス1の持ち手部を構成してよい。本体部10の少なくとも一部は、調節機構12等の他の構成要素の一部を構成してもよい。
【0035】
(関節部)
関節部11は、硬さを自在に変更可能(すなわち、剛性の可変性を有する)ものであれば、その構成は、特に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。関節部11は、硬さを自在に変更可能な1つ以上の関節材により構成されてよい。関節材のタイプは任意に選択されてよい。
【0036】
一例では、関節部11(関節材)は、剛性変化自在な機能性流体により構成されてよい。機能性流体は、例えば、電気粘性流体(Electrorheological Fluid)、磁性流体(magnetorheological fluid)等であってよい。関節材の少なくとも一つに機能性流体を採用する場合、調節機構12は、機能性流体に電気又は磁気を印加するための電気回路を含んでよい。電気回路は、コイル、電磁石等を含んでよい。機能性流体は、硬軟変化に対する優れた応答性を有する。そのため、本実施形態の一例によれば、応答速度が高速で、連続的な硬度を提示可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0037】
また、一例では、関節部11(関節材)は、磁気粘性エラストマ(MRE:Magnetorheological Elastomer)により構成されてよい。磁気粘性エラストマは、エラストマ(例えば、ゴム)中に磁性粒子を充填することで形成される。関節材の少なくとも一つに磁気粘性エラストマを採用する場合、調節機構12は、磁気粘性エラストマに磁気を印加するための電気回路を含んでよい。磁気粘性エラストマは、機能性流体と同様に、硬軟変化に対する優れた応答性を有する。そのため、本実施形態の一例によれば、応答速度が高速で、連続的な硬度を提示可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0038】
また、一例では、関節部11(関節材)は、相転移性を有する材料(相転移材)により構成されてよい。相転移材は、例えば、形状記憶合金(SMA:Shape Memory Alloys)
等であってよい。関節材の少なくとも一つに相転移材を採用する場合、調節機構12は、相転移材に対して相転移を引き起こさせるための機構を含んでよい。例えば、形状記憶合金等の低い融点で相転移する材料を用いる場合、調節機構12は、電熱線等の加熱機構を含んでよい。相転移材は、硬度の広い提示幅を有する。そのため、本実施形態の一例によれば、硬度の提示幅の広い棒状デバイス1を提供することができる。
【0039】
また、一例では、関節部11(関節材)は、柔軟性を有し、可動域を変更可能な材料(柔軟材)により構成されてよい。可動域が長いほど柔軟材は柔らかくなり、可動域が短いほど柔軟材は硬くなる。このような可動域を変更可能な柔軟材を関節材の少なくとも一つに採用する場合、調節機構12は、柔軟材の可動域の長さを調節するための機構を含んでよい。一例として、柔軟性は一方向に延びる形状を有してよく、調節機構12は、柔軟材の径方向外側を囲い、長さを調節可能に構成された外筒を含んでよい。この場合、外筒の
長さを変更することで、柔軟材の露出幅を変えることにより、関節部11(関節材)の硬さを調節することができる。このような機構によれば、関節部11の硬さを容易に調節可能である。そのため、本実施形態の一例によれば、物体の硬軟を容易に表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0040】
また、一例では、関節部11(関節材)は、人工筋肉により構成されてよい。関節材の少なくとも一つに人工筋肉を採用する場合、調節機構12は、人工筋肉を駆動するための機構を含んでよい。人工筋肉によれば、硬さの調節を適切に行うことができる。そのため、本実施形態の一例によれば、物体の硬軟を適切に表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0041】
なお、人工筋肉の種類は、特に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。一例では、関節部11(関節材)は、流体圧人工筋肉により構成されてよい。これに応じて、調節機構12は、流体圧人工筋肉に流体を出し入れすることで、流体圧人工筋肉の硬さを調節するように構成される流体シリンダであってよい。流体は、気体及び液体のいずれであってもよい。流体は、例えば、空気、油、水等から適宜選択されてよい。関節部11(関節材)は、空気圧人工筋肉、油圧人工筋肉、及び水圧人工筋肉のいずれかにより構成されてよい。関節材の少なくとも一つに空気圧人工筋肉を採用する場合、調節機構12は、エアコンプレッサ及びバルブを更に含んでよい。流体圧人工筋肉によれば、硬さの調節を適切に行うことができる。そのため、本実施形態の一例によれば、物体の硬軟を適切に表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0042】
具体例として、流体圧人工筋肉は、マッキベン型人工筋肉であってよい。マッキベン型人工筋肉は、編組チューブにより構成される。編組チューブの内部に流体を収容し、流体の圧力を調節することで硬さを変更することができる。このマッキベン型人工筋肉は、機構が比較的に簡単であり、低コストでかつ容易に製造可能である。したがって、本実施形態の一例によれば、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能でかつ低コストで製造可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0043】
本実施形態の一例では、関節材は、上記機能性流体、磁気粘性エラストマ、相転移材、可動域を変更可能な柔軟材、及び人工筋肉から適宜選択されてよい。
【0044】
(棒状デバイスの構成例)
図2は、関節部11にマッキベン型人工筋肉を採用した場合における棒状デバイス1の構成(断面)の一例を模式的に示す。図2の例では、棒状デバイス1は、本体部10、関節部11、及び調節機構12を備えている。関節部11は、マッキベン型の流体圧人工筋肉により構成され、調節機構12は、流体シリンダにより構成されている。
【0045】
本体部10は、筒状に形成され、一方向に延びる形状を有している。これにより、本体部10は、調節機構12のシリンダ121を構成している。本体部10の内周及び外周の形状は、特に限られなくてよく、例えば、円形状、多角形状等から適宜選択されてよい。本体部10は硬質な任意の材料で構成されてよい。
【0046】
本体部10の先端部101には、マッキベン型人工筋肉である関節部11が設けられている。具体的に、関節部11は、シリコンチューブ111、編組チューブ112、及び流体115により構成されている。シリコンチューブ111及び編組チューブ112は、筒状に構成されており、編組チューブ112がシリコンチューブ111の外周を覆っている。編組チューブ112は、例えば、繊維をメッシュ状に編み込むことで形成される。本体部10と同様に、シリコンチューブ111及び編組チューブ112の内周及び外周の形状は、特に限られなくてよく、例えば、円形状、多角形状等から適宜選択されてよい。
【0047】
シリコンチューブ111の先端部の穴は、プラグ15により閉じられている。具体的に、プラグ15は、後端側から順に第1部分151及び第2部分152を備えている。第1部分151の外周形状がシリコンチューブ111の内周形状とほぼ同一又は小さいことでで、第1部分151は、シリコンチューブ111の端部の穴から内部空間に挿入可能に構成されている。これに対して、第2部分152の後端部(第1部分151との接続部分)は、第1部分151の外周から拡がった形状を有しており、第2部分152の後端部の外周は、シリコンチューブ111の内周よりも大きくなっている。これにより、プラグ15は、第1部分151がシリコンチューブ111の穴に挿入され、第2部分152の後端側の端面がシリコンチューブ111及び編組チューブ112の先端部に接するように配置されることでシリコンチューブ111の先端部の穴を閉じている。
【0048】
なお、プラグ15は、接着剤等により適宜固定されてよい。第2部分152の先端部は任意の形状を有してよい。例えば、スタイラスペン等のペンとして棒状デバイス1を用いる場合、第2部分152の先端部は、円錐形状等のペン先の形状を有してよい。棒状デバイス1をスタイラスペンとして用いる場合、プラグ15の少なくとも第2部分152の先端部は、導電性部材(例えば、シリコンゴム)により構成されてよい。シリコンチューブ111の先端側の穴を閉じる方法は、図2の例に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0049】
一方、シリコンチューブ111の後端部は、流体シリンダにより構成される調節機構12に接続されている。調節機構12は、シリンダ121、ピストン122、ロッド123及びモータ125を備える。シリンダ121は、本体部10により構成されている。ロッド123は、シリンダ121の内部空間に配置され、一方向に延びる形状を有している。ロッド123の外周は、シリンダ121の内周よりも小さいため、ロッド123は、前後方向(図の左右方向)に自在に移動可能である。
【0050】
ロッド123の先端にはピストン122が設けられている。ピストン122の外周は、シリンダ121の内周とほぼ同一の形状を有していることで、ピストン122の外壁とシリンダ121の内壁とが密着している。これにより、シリンダ121の内部空間が先端側と後端側とに分離されている。ピストン122の外壁とシリンダ121の内壁との間に隙間が生じる場合には、パッキン等により封止されてよい。ピストン122は、シリンダ121の内壁に密着しながら前後方向に摺動可能に構成される。
【0051】
本体部10(シリンダ121)の後端部102にはモータ固定部品171が取り付けられており、モータ125は、このモータ固定部品171によりシリンダ121の後端側に配置されている。モータ125には送りねじ126が接続されており、送りねじ126は、ナット127を介してロッド123に結合されている。モータ125が回転することでナット127が前後方向に移動し、これに応じて、ロッド123が前後方向に移動することで、ピストン122の往復運動が可能となる。
【0052】
シリンダ121の先端部(本体部10の先端部101)は、シリコンチューブ111と連結されており、これにより、ピストン122よりも先端側のシリンダ121の内部空間とシリコンチューブ111の内部空間とが繋がっている。すなわち、プラグ15及びピストン122により密封された内部空間が構成される。流体115は、この内部空間に充填される。
【0053】
図2の例では、シリンダ121の先端部の少なくとも一部の外周形状がシリコンチューブ111の内周形状とほぼ同一又は小さいことで、先端部の少なくとも一部がシリコンチューブ111内に挿入されている。更に、シリンダ121とシリコンチューブ111との
連結部分にはコーキングテープ161が巻き付けられており、その上からホースバンド162により締め付けられている。これにより、流体115の漏れを防止した上で、シリンダ121の先端部は、シリコンチューブ111と連結されている。ただし、連結方法は、このような例に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0054】
この棒状デバイス1では、モータ125を駆動し、ピストン122を前進させることで、内部空間が狭くなり、これに応じて、内部空間に充填された流体115の圧力が大きくなる。その結果、編組チューブ112が径方向外側に膨張することで、関節部11が硬くなる。一方で、ピストン122を後進させると、流体115の圧力は小さくなり、関節部11が柔らかくなる。制御装置2は、このようなモータ125の駆動を制御するようにモータ125に適宜接続されてよい。
【0055】
なお、図2の例では、調節機構12の一部が本体部10に内蔵されている。このように、棒状デバイス1において、調節機構12の少なくとも一部が本体部10に内蔵されてよい。ただし、調節機構12の配置は、このような例に限られなくてよい。他の一例では、調節機構12は、本体部10の外部に配置されてもよい。また、関節部11は、棒状デバイス1の端部からやや内側に配置されているが、この関節部11の配置も、図2の例に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。他の一例では、関節部11は、棒状デバイス1の端部に配置されてよい。更に、棒状デバイス1は、全体的に一直線上に延びる形状を有しているが、棒状デバイス1の形状も、このような例に限られなくてよい。他の一例では、棒状デバイス1の少なくとも一部が曲がっていてよい。棒状デバイス1の少なくとも一部が柔軟性を有する部材で構成されていてもよい。
【0056】
(使用例)
棒状デバイス1は、任意の道具に適用されてよい。適用される道具において、対象物と接触する部位(例えば、ペン先)と持ち手部とが離れている場合に、関節部11は、接触部位と持ち手部との間の部分(例えば、接続部分)に配置されてよい。
【0057】
一例では、棒状デバイス1は、筆記具又はスタイラスペンであってよい。棒状デバイス1が筆記具又はスタイラスペンとして構成される場合、一例では、関節部11は、ペン先端手前に配置されてよい。図2は、棒状デバイス1が筆記具又はスタイラスペンとして構成され、関節部11がペン先端手前に配置される形態を採用したケースの一例を示す。本実施形態の一例によれば、筆記の場面で、物体の硬軟を表現可能である。例えば、ペン先の感触を再現することができる。
【0058】
また、一例では、棒状デバイス1は、箸、カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン等)等の食事用道具であってよい。棒状デバイス1が食事用道具として構成される場合、一例では、関節部11は、食事用道具の先端手前に配置されてよい。本実施形態の一例によれば、食事用道具を使用する場面で、物体の硬軟を表現可能である。例えば、食材の感触を再現することができる。この形態の棒状デバイス1は、食事用道具の訓練に使用されてもよい。
【0059】
また、一例では、棒状デバイス1は、包丁等の調理器具であってよい。関節部11は、調理器具の任意の場所に配置されてよい。棒状デバイス1が包丁として構成される場合、一例では、関節部11は、包丁の持ち手と刃との間の接続部分に配置されてよい。本実施形態の一例によれば、調理器具を使用する場面で、物体の硬軟を表現可能である。この形態の棒状デバイス1は、調理器具の訓練に使用されてもよい。
【0060】
また、一例では、棒状デバイス1は、訓練用の手術器具(例えば、鉗子等)等の医療器具であってよい。関節部11は、医療器具の任意の場所に配置されてよい。棒状デバイス
1が訓練用の鉗子として構成される場合、一例では、関節部11は、鉗子の先端手前に配置されてよい。本実施形態の一例によれば、医療器具の使用を訓練する場面で、物体の硬軟を表現可能である。これにより、より現実性の高い訓練を期待することができる。
【0061】
また、一例では、棒状デバイス1は、スポーツ用具であってよい。スポーツ用具のタイプは、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、棒状デバイス1は、縄跳びであってよい。棒状デバイス1が縄跳びとして構成される場合、一例では、関節部11は、持ち手と縄との接続部分に配置されてよい。また、例えば、棒状デバイス1は、ゴルフクラブであってよい。棒状デバイス1がゴルフクラブとして構成される場合、一例では、関節部11は、ゴルフヘッド手前に配置されてよい。本実施形態の一例によれば、スポーツ用具を使用する場面で、物体の硬軟を表現可能である。
【0062】
また、一例では、棒状デバイス1は、歯ブラシ等の日用品であってよい。関節部11は、日用品の任意の場所に配置されてよい。棒状デバイス1が歯ブラシとして構成される場合、一例では、関節部11は、持ち手とブラシ部分との間の接続部分に配置されてよい。本実施形態の一例によれば、日用品を使用する場面で、物体の硬軟を表現可能である。
【0063】
(硬さの調節)
関節部11の硬さを調節するタイミング及び条件は、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。外部コンピュータ5は、実行中の情報処理に応じて制御装置2に指令60を適宜リアルタイムに送信してよい。例えば、外部コンピュータ5は、任意の情報処理により、硬さの変更に関する指示を受け付けてよい。任意の情報処理は、ユーザ操作を伴う処理(例えば、ユーザ入力等)及びユーザ操作を伴わない処理(例えば、フラグの成立等)の少なくともいずれかであってよい。外部コンピュータ5は、受け付けた指示に応じて、硬さの変更を指示するための指令60を制御装置2に送信してよい。
【0064】
一例では、外部コンピュータ5からの指令60は、外部コンピュータ5におけるインタラクション処理に応じて、外部コンピュータ5から制御装置2に送信されてよい。インタラクション処理は、外部コンピュータ5とユーザとの間のインタラクションに関するものであり、外部コンピュータ5における何らかのユーザ操作を含んでよい。本実施形態の一例によれば、インタラクション処理における物体の硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。
【0065】
指令60により指示される硬さは、静的な硬さ及び動的な硬さのいずれであってもよい。静的な硬さは、一定の目標値で硬さを指定することである。一方、動的な硬さは、段階的な硬さの変化を指定する(すなわち、複数の目標値が設定される)ことである。
【0066】
一例では、インタラクション処理に応じて指令60が与えられる場合に、当該インタラクション処理に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含んでよい。調節機構12を制御することは、動的な硬さに合わせて、関節部11の硬さを徐々に変化させるように調節機構12を制御することを含んでよい。本実施形態の一例によれば、インタラクション処理において、物体の動的な硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。
【0067】
(インタラクション処理の例)
インタラクション処理は適宜規定されてよい。インタラクションは、例えば、ユーザ入力、ユーザ選択、対象の操作等であってよい。
【0068】
(A)タイプの選択
一例では、インタラクション処理は、ユーザによるタイプの選択を含んでよい。インタ
ラクション処理に対応する硬さは、選択されたタイプに対応する硬さを含んでよい。タイプは、例えば、棒状デバイス1の適用先である道具の種類、その道具により操作する対象等に応じて適宜設定されてよい。選択されたタイプにより指定される硬さは、静的な硬さ及び動的な硬さのいずれであってもよい。本実施形態の一例によれば、ユーザにより選択されたタイプに応じた硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。
【0069】
(A-1)ペンタイプの選択
図3A及び図3Bは、本実施形態に係る棒状デバイス1の使用場面(ペン操作)の一例を模式的に示す。図3A及び図3Bの例では、棒状デバイス1はペンとして構成されるケースを想定している。
【0070】
このケースにおいて、一例では、タイプの選択は、外部コンピュータ5で実行される描画アプリケーションにおけるペンタイプの選択により構成されてよい。ペンタイプは、適宜設定されてよい。ペンタイプは、例えば、鉛筆、マーカ、ブラシ等を含んでよい。選択されたペンタイプにより指定される関節部11の硬さは、静的な硬さ及び動的な硬さのいずれであってもよい。描画アプリケーションでは、ペンタイプに応じて線の太さが設定されていてよい。
【0071】
例えば、鉛筆等の硬いペンタイプが選択された場合、棒状デバイス1の制御装置2は、外部コンピュータ5からの指令60に応じて、関節部11を硬くするように調節機構12を制御してよい。これと共に、外部コンピュータ5は、描画アプリケーションにおいて、棒状デバイス1の操作に応じて、細い線を描画してよい(図3A)。一方、ブラシ等の柔らかいペンタイプが選択された場合、棒状デバイス1の制御装置2は、外部コンピュータ5からの指令60に応じて、関節部11を柔らかくするように調節機構12を制御してよい。これと共に、外部コンピュータ5は、描画アプリケーションにおいて、棒状デバイス1の操作に応じて、太い線を描画してよい(図3B)。本実施形態の一例によれば、描画アプリケーションにおいて選択されたペンタイプに応じた硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。
【0072】
なお、棒状デバイス1による入力は任意の方法で取得されてよい。一例では、外部コンピュータ5は、タッチパネルディスプレイ55に接続されてよく、棒状デバイス1はスタイラスペンとして使用されてよい。この場合、棒状デバイス1をタッチパネルディスプレイ55に接触させることで、外部コンピュータ5は、棒状デバイス1による入力を取得することができる。他の一例では、外部コンピュータ5は、カメラ等のセンサに接続されてよく、センサから得られるセンシングデータにより、棒状デバイス1の動作を認識することで、棒状デバイス1による入力を取得してよい。
【0073】
(B)タッチ操作
図4A及び図4Bは、本実施形態に係る棒状デバイス1の使用場面(タッチ操作)の一例を模式的に示す。
【0074】
図4A及び図4Bに示されるように、一例では、インタラクション処理に対応する硬さは、外部コンピュータ5により出力されている画像上において、対象領域に対してタッチ操作することを含んでよい。インタラクション処理に対応する硬さは、タッチ操作された対象領域に対応する硬さを含んでよい。対象領域は、例えば、画像、画像内に存在する対象物等に応じて適宜設定されてよい。タッチ操作された対象領域により指定される関節部11の硬さは、静的な硬さ及び動的な硬さのいずれであってもよい。
【0075】
例えば、硬い対象物の写る領域(図の例では、ダイヤモンド)がタッチされたことに応じて、外部コンピュータ5は、制御装置2に指令60を送信してよい。制御装置2は、外
部コンピュータ5からの指令60に応じて、関節部11を硬くするように調節機構12を制御してよい(図4A)。一方、柔らかい対象物の写る領域(図の例では、マシュマロ)がタッチされたことに応じて、外部コンピュータ5は、制御装置2に指令60を送信してよい。制御装置2は、外部コンピュータ5からの指令60に応じて、関節部11を柔らかくするように調節機構12を制御してよい(図4B)。なお、タッチ操作される領域が予測可能な場合には、外部コンピュータ5は、タッチ操作される前に指令60を制御装置2に送信してもよい。本実施形態の一例によれば、タッチ操作の対象に応じた硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。
【0076】
なお、このケースにおいて、一例では、外部コンピュータ5は、タッチパネルディスプレイ55に接続されてよい。画像は、タッチパネルディスプレイ55に出力されてよい。タッチ操作は、棒状デバイス1によりタッチパネルディスプレイ55(具体的には、タッチパネルディスプレイ55に出力されている画像)をタッチすることにより構成されてよい。本実施形態の一例によれば、タッチパネルディスプレイ55上でのタッチ操作において、操作対象に応じた硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。
【0077】
ただし、棒状デバイス1の入力を取得する方法は、このような例に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。他の一例では、画像は、任意の出力装置に出力されてよい。外部コンピュータ5は、カメラ等のセンサに接続されてよく、センサから得られるセンシングデータにより、棒状デバイス1の動作を認識することで、棒状デバイス1によるタッチ操作の入力を取得してよい。例えば、画像は、プロジェクタにより投影されてよい。外部コンピュータ5は、投影された画像に対する棒状デバイス1のタッチ操作をセンサ認識により検知してよい。
【0078】
(C)VR操作
図5A及び図5Bは、本実施形態に係る棒状デバイス1の使用場面(VR操作)の一例を模式的に示す。
【0079】
図5A及び図5Bに示されるように、一例では、インタラクション処理は、外部コンピュータ5によりユーザに提示されている仮想現実の空間上に存在する対象物VOに対して操作することを含んでよい。インタラクション処理に対応する硬さは、操作された対象物VOに対応する硬さを含んでよい。対象物VOの硬さは、例えば、仮想現実のコンテンツ等に応じて適宜設定されてよい。なお、以下では、仮想現実のコンテンツを「VRコンテンツ」と記載し、仮想現実の空間を「VR空間」と記載することがある。
【0080】
仮想現実のコンテンツはユーザに任意の方法で提示されてよい。一例では、外部コンピュータ5は、VRヘッドセット56に接続されてよく、仮想現実のコンテンツは、VRヘッドセット56に出力されることで、ユーザに提示されてよい。仮想現実のコンテンツには、カメラ等のセンサにより得られる実空間の情報が反映されてよい。この場合、実空間上に存在する対象物ROが認識されてよく、対象物VOは、実空間の対象物ROの認識結果に応じて仮想現実の空間上に配置されてよい。また、棒状デバイス1の位置も認識されてよく、この認識結果に応じて、操作具VAが、仮想現実の空間上で表示されてよい。
【0081】
例えば、外部コンピュータ5は、実空間上において棒状デバイス1により対象物ROを操作したことに応じて、仮想現実の空間上での対象物VOの操作を検知してよい。これに応じて、外部コンピュータ5は、制御装置2に指令60を送信してよい。制御装置2は、外部コンピュータ5からの指令60に応じて、関節部11の硬さが対象物VOに応じた硬さになるように調節機構12を制御してよい。仮想現実の空間上で対象物VOの硬さのパラメータが硬い値に設定されている場合、制御装置2は、関節部11を硬くするように調節機構12を制御してよい(図5A)。一方、対象物VOの硬さのパラメータが柔らかい
値に設定されている場合、制御装置2は、関節部11を柔らかくするように調節機構12を制御してよい(図5B)。本実施形態の一例によれば、仮想現実での操作の対象に応じた硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。また、操作の感触を拡張することで、仮想現実への没入感の向上を期待することができる。
【0082】
対象物VOにより指定される関節部11の硬さは、静的な硬さ及び動的な硬さのいずれであってもよい。一例では、対象物VOに対応する硬さは、動的な硬さを含んでよく、調節機構12を制御することは、動的な硬さに合わせて、関節部11の硬さを徐々に変化させるように調節機構12を制御することを含んでよい。本実施形態の一例によれば、仮想現実での操作において、物体の動的な硬軟を表現する棒状デバイス1を提供することができる。また、仮想現実への没入感の更なる向上を期待することができる。
【0083】
なお、仮想現実の空間上での対象物VOの操作が予測可能な場合には、外部コンピュータ5は、対象物VOが操作される前に指令60を制御装置2に送信してもよい。例えば、仮想現実の空間上では、対象物VO及びその近傍範囲に、対象物VOの硬さのパラメータが設定されてよい。外部コンピュータ5は、操作具VAがこの範囲に入ったことに応じて、対象物VOの操作を予測し、関節部11の硬さを対象物VOに対応する硬さにさせるための指令60を制御装置2に送信してもよい。
【0084】
(指令)
指令60は、制御装置2が硬さ調節の指示内容を解釈可能であれば、その構成は、特に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。一例では、指令60は、指示内容を直接的に示すように構成されてよい。他の一例では、指令60は、指示内容を間接的に示す(すなわち、任意の解釈処理を経て指示内容が特定される)ように構成されてもよい。
【0085】
インタラクション処理に応じて指令60が与えられる場合、指令60は、棒状デバイス1においてインタラクション処理の内容に応じた硬さ調節が可能なように適宜構成されてよい。一例では、指令60は、インタラクション処理の情報(例えば、選択されたタイプ、対象領域のカテゴリ、VR空間上の対象物のカテゴリ等)を含んでよい。他の一例では、指令60は、インタラクション処理で指定される硬さを示す情報を含んでよい。
【0086】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
<制御装置>
図6は、本実施形態に係る制御装置2のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。図6の一例では、制御装置2は、制御部21、記憶部22、通信インタフェース23、及び外部インタフェース24が電気的に接続されたコンピュータである。
【0087】
制御部21は、ハードウェアプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、
RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、プログラム及び各種データに基づいて情報処理を実行するように構成される。制御部21(CPU)は、制御装置2のプロセッサ・リソースの一例である。
【0088】
記憶部22は、例えば、半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部22、RAM及びROMは、制御装置2のメモリ・リソースの一例である。本実施形態では、記憶部22は、制御プログラム82等の各種情報を記憶する。制御プログラム82は、調節機構12の制御に関する情報処理(後述の図10図12)を制御装置2に実行させるためのプログラムである。制御プログラム82は、当該情報処理の一連の命令を含む。
【0089】
通信インタフェース23は、ネットワークを介した有線又は無線通信を行うように構成される。通信インタフェース23は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等により構成されてよい。制御装置2は、通信インタフェース23を介して、他のコンピュータ(例えば、外部コンピュータ5)との間でデータ通信を実行してよい。
【0090】
外部インタフェース24は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、専用ポート等であってよく、有線又は無線で外部装置と接続するように構成される。外部インタフェース24の種類及び数は任意に選択されてよい。制御装置2は、外部インタフェース24を介して調節機構12(図2の例では、モータ125)に接続されてよい。制御装置2は、外部インタフェース24を介して外部コンピュータ5に接続されてもよい。また、制御装置2は、外部インタフェース24を介してドライブ29に接続されてよい。
【0091】
ドライブ29は、記憶媒体92に記憶されたプログラム等の各種情報を読み込むための装置である。上記制御プログラム82は、記憶部22に代えて又は記憶部22と共に、記憶媒体92に格納されていてもよい。記憶媒体92は、コンピュータ等の機械が各種情報(記憶されたプログラム等)を読み取り可能なように、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用により当該情報を蓄積するように構成される。制御装置2は、上記制御プログラム82を記憶媒体92から取得してよい。なお、記憶媒体92は、CD、DVD等のディスク型の記憶媒体であってもよいし、又は半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)等のディスク型以外の記憶媒体であってもよい。ドライブ29の種類は、記憶媒体92の種類に応じて適宜選択されてよい。
【0092】
なお、制御装置2の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部21のハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(digital signal processor)等により構成されてよい。記憶部22は、制御部21に含まれ
るRAM及びROMにより構成されてもよい。通信インタフェース23及び外部インタフェース24の少なくともいずれかは省略されてよい。制御装置2は、操作子等の入力装置を更に備えてよい。入力装置を介した操作に応じて、制御装置2は、調節機構12を制御するように構成されてよい。制御装置2は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、マイクロコンピュータ等であってよい。制御装置2は、棒状デバイス1に積載可能な小型のコンピュータで構成されるのが好ましい。
【0093】
<外部コンピュータ>
図7は、本実施形態に係る外部コンピュータ5のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。図7の一例では、外部コンピュータ5は、制御部51、記憶部52、通信インタフェース53、及び外部インタフェース54が電気的に接続されたコンピュータである。外部コンピュータ5の制御部51~外部インタフェース54、ドライブ59及び記憶媒体95は、制御装置2の制御部21~外部インタフェース24、ドライブ29及び記憶媒体92と同様に構成されてよい。
【0094】
制御部51(CPU)は、外部コンピュータ5のプロセッサ・リソースの一例である。記憶部52は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等により構成されてよい。記憶部52、RAM及びROMは、外部コンピュータ5のメモリ・リソースの一例である。本実施形態の一例では、記憶部52は、プログラム85等の各種情報を記憶する。
【0095】
プログラム85は、制御装置2に指令60を与えることに関する情報処理(後述の図10図12)を外部コンピュータ5に実行させるためのプログラムである。プログラム8
5は、当該情報処理の一連の命令を含む。一例では、プログラム85は、描画アプリケーション、VRアプリケーション等のアプリケーションと共に実行されてよい。他の一例では、プログラム85は、当該アプリケーションのプログラムに組み込まれていてもよい。プログラム85は、記憶部52に代えて又は記憶部52と共に、記憶媒体95に格納されていてもよい。外部コンピュータ5は、プログラム85を記憶媒体95から取得してよい。
【0096】
外部コンピュータ5は、通信インタフェース53又は外部インタフェース54を介して制御装置2に接続されてよい。外部コンピュータ5は、外部インタフェース54を介してタッチパネルディスプレイ55、VRヘッドセット56、及びドライブ59の少なくともいずれかに接続されてよい。タッチパネルディスプレイ55、VRヘッドセット56、及びドライブ59の少なくともいずれかは、外部コンピュータ5に直接的に接続されていてもよい。
【0097】
なお、外部コンピュータ5の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部51は、複数のハードウェアプロセッサを含んでもよい。ハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ、FPGA、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)等により構成されてよい。通信インタフェース53及び外部インタフェース54の少なくともいずれかは省略されてよい。外部コンピュータ5は、例えば、マウス、キーボード等の入力装置に接続されてよい。外部コンピュータ5は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置に接続されてよい。外部コンピュータ5は、複数台のコンピュータにより構成されてよい。この場合、各コンピュータのハードウェア構成は、一致していてもよいし、或いは一致していなくてもよい。外部コンピュータ5は、提供されるサービス専用に設計されたコンピュータの他、汎用のPC(Personal Computer)、端末装置(例えば、タブレットPC、スマートフォン
等)、ウェアラブルデバイス(例えば、VRヘッドセット、VRゴーグル)等であってよい。外部コンピュータ5は、タッチパネルディスプレイ55、VRヘッドセット56等の出力装置自体であってもよい。
【0098】
[ソフトウェア構成]
<制御装置>
図8は、本実施形態に係る制御装置2のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。制御装置2の制御部21は、記憶部22に記憶された制御プログラム82に含まれる命令をCPUにより実行する。これにより、制御装置2は、決定部211及び調節部212をソフトウェアモジュールとして備えるコンピュータとして動作する。
【0099】
決定部211は、関節部11の硬さを決定するように構成される。決定部211は、外部コンピュータ5からの指令60に応じて、関節部11の硬さを決定するように構成されてよい。指令60が指示内容を直接的に示すように構成される場合、関節部11の硬さを決定することは、指令60を受信することにより構成されてよい。調節部212は、指令60により決定された硬さに関節部11の硬さがなるように調節機構12を制御する(すなわち、調節機構12による関節部11の硬さの調節を制御する)ように構成される。
【0100】
<外部コンピュータ>
図9は、本実施形態に係る外部コンピュータ5のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。外部コンピュータ5の制御部51は、記憶部52に記憶されたプログラム85に含まれる命令をCPUにより実行する。これにより、外部コンピュータ5は、指令生成部511及び指令送信部512をソフトウェアモジュールとして備えるコンピュータとして動作する。
【0101】
指令生成部511は、指令60を適宜生成するように構成される。指令生成部511は、インタラクション処理に応じて指令60を生成するように構成されてよい。指令送信部512は、生成された指令60を制御装置2に送信するように構成される。
【0102】
<その他>
なお、本実施形態の一例では、制御装置2及び外部コンピュータ5の各ソフトウェアモジュールがいずれも汎用のCPUによって実現される例について説明している。しかしながら、上記ソフトウェアモジュールの一部又は全部は、1又は複数の専用のプロセッサ又はチップセットにより実現されてもよい。上記各モジュールは、ハードウェアモジュールとして実現されてもよい。制御装置2及び外部コンピュータ5のソフトウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、モジュールの省略、置換及び追加が行われてもよい。
【0103】
§3 動作例
(A)タイプの選択
図10は、タイプ選択により硬さを指定するケースにおける制御装置2及び外部コンピュータ5の処理手順の一例を示す。以下のタイプ選択に関する処理手順は、一例に過ぎず、各ステップは可能な限り変更されてよい。また、以下の処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0104】
(初期)
外部コンピュータ5は、描画アプリケーション等の関連するアプリケーションの起動に応じて、ステップS101から処理の実行を開始してよい。なお、開始時点では、タイプは、任意に選択されていてよい。一例では、タイプは、デフォルト値で設定されてよい。デフォルト値は、プログラム内の設定値、ユーザ指定等により適宜与えられてよい。この場合、制御部51は、デフォルト値に応じて指令60を生成し、生成された指令60を制御装置2に送信してよい。制御装置2は、指令60の受信に応じて、指定されたデフォルトの硬さに関節部11の硬さがなるように調節機構12を制御してよい。これにより、関節部11の硬さがデフォルトのタイプに対応する硬さに初期設定されてよい。なお、この初期設定の動作は省略されてもよい。
【0105】
(ステップS101~ステップS104)
ステップS101では、外部コンピュータ5の制御部51は、タイプの選択を受け付ける。タイプの選択方法は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。一例では、制御部51は、スライドバーを表示し、表示されたスライドバーの操作によりタイプの選択を受け付けてよい。他の一例では、制御部51は、リスト形式、アイコン形式等の表示形式で複数の候補を出力し、出力された複数の候補の中から選択を受け付けてよい。タイプの選択は、ペンタイプの選択により構成されてもよい。
【0106】
ステップS102では、制御部51は、タイプの選択を受け付けたか否かを判定する。タイプの選択がない場合、制御部51は、ステップS101に処理を戻し、ステップS101の処理を再度実行する。タイプの選択を受け付けるまで、制御部51は、ステップS101の処理を繰り返し実行する。タイプの選択を受け付けると、制御部51は、次のステップS103に処理を進める。
【0107】
ステップS103では、制御部51は、ステップS101において選択されたタイプを特定する。そして、制御部51は、指令生成部511として動作し、特定したタイプに対応する硬さに関節部11の硬さを調節させるための指令60を生成する。一例では、外部コンピュータ5は、タイプと硬さとの対応関係を示す情報を保持してよく、制御部51は、この情報を参照することで、指令60を生成してよい。
【0108】
ステップS104では、制御部51は、指令送信部512として動作し、生成された指令60を制御装置2に送信する。指令60の送信が完了すると、制御部51は、本動作例に係る外部コンピュータ5の処理手順を終了する。例えば、プログラムの実行が停止される等の所定の終了条件が満たされるまで、制御部51は、ステップS101に処理を戻し、ステップS101から再度処理を実行してよい。
【0109】
(ステップS111~ステップS112)
ステップS111では、制御装置2の制御部21は、決定部211として動作し、外部コンピュータ5からの指令60を受信する。制御部21は、受信した指令60に応じて、関節部11の硬さを決定する。
【0110】
ステップS112では、制御部21は、調節部212として動作し、指令60に応じて決定された硬さに関節部11の硬さがなるように調節機構12を制御する。これにより、関節部11の硬さは、選択されたタイプに対応する硬さになるように調節される。ペンタイプのケースでは、関節部11の硬さは、選択されたペンタイプに対応する硬さになるように調節される。調節機構12の制御が完了すると、制御部21は、本動作例に係る制御装置2の処理手順を終了する。制御部21は、ステップS111に処理を戻し、外部コンピュータ5から指令60を再度受信するまで、待機してもよい。
【0111】
(B)タッチ操作
図11は、タッチ操作の対象に応じて硬さを指定するケースにおける制御装置2及び外部コンピュータ5の処理手順の一例を示す。以下のタッチ操作に関する処理手順は、一例に過ぎず、各ステップは可能な限り変更されてよい。また、以下の処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0112】
(ステップS201~ステップS205)
ステップS201では、外部コンピュータ5の制御部51は、画像を出力する。画像の各領域には、棒状デバイス1に指示する硬さが適宜設定されてよい。画像の出力先は任意に選択されてよい。一例では、制御部51は、タッチパネルディスプレイ55に画像を出力してよい。なお、制御部51は、任意のタイミングでステップS201の処理を繰り返し実行することで、出力される画像を更新してよい。
【0113】
ステップS202では、制御部51は、画像に対するタッチ操作を受け付ける。一例では、制御部51は、タッチパネルディスプレイ55に対するタッチ操作を受け付けてよい。制御部51は、タッチ操作される対象領域を予測(すなわち、タッチ操作される蓋然性の高い対象領域を推測)してもよい。
【0114】
ステップS203では、制御部51は、タッチ操作を受け付けたか否かを判定する。タッチ操作がない場合、制御部51は、ステップS202に処理を戻し、ステップS202から処理を再度実行する。タッチ操作を受け付けるまで、制御部51は、ステップS202の処理を繰り返し実行する。タッチ操作を受け付けると、制御部51は、次のステップS204に処理を進める。なお、タッチ操作に応じて、制御部51は、出力する画像を更新してもよい。
【0115】
ステップS204では、制御部51は、ステップS202においてタッチ操作された対象領域を特定する。ステップS202で予測した場合、制御部51は、予測結果に応じて、タッチ操作される対象領域を特定してもよい。制御部51は、指令生成部511として動作し、特定された対象領域に対応する硬さに関節部11の硬さを調節させるための指令60を生成する。一例では、外部コンピュータ5は、画像の各領域と硬さとの対応関係を示す情報を保持してよく、制御部51は、この情報を参照することで、指令60を生成し
てよい。
【0116】
ステップS205では、制御部51は、指令送信部512として動作し、生成された指令60を制御装置2に送信する。指令60の送信が完了すると、制御部51は、本動作例に係る外部コンピュータ5の処理手順を終了する。例えば、プログラムの実行が停止される等の所定の終了条件が満たされるまで、制御部51は、ステップS201又はステップS202に処理を戻し、ステップS201又はステップS202から再度処理を実行してよい。
【0117】
(ステップS211~ステップS212)
ステップS211では、制御装置2の制御部21は、決定部211として動作し、外部コンピュータ5からの指令60を受信する。制御部21は、受信した指令60に応じて、関節部11の硬さを決定する。
【0118】
ステップS212では、制御部21は、調節部212として動作し、指令60に応じて決定された硬さに関節部11の硬さがなるように調節機構12を制御する。これにより、関節部11の硬さは、タッチ操作された対象領域に対応する硬さになるように調節される。調節機構12の制御が完了すると、制御部21は、本動作例に係る制御装置2の処理手順を終了する。制御部21は、ステップS211に処理を戻し、外部コンピュータ5から指令60を再度受信するまで、待機してもよい。
【0119】
(C)VR操作
図12は、VR操作の対象に応じて硬さを指定するケースにおける制御装置2及び外部コンピュータ5の処理手順の一例を示す。以下のVR操作に関する処理手順は、一例に過ぎず、各ステップは可能な限り変更されてよい。また、以下の処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0120】
(ステップS301~ステップS305)
ステップS301では、外部コンピュータ5の制御部51は、VRコンテンツを出力する。VRコンテンツ内の各対象物には、棒状デバイス1に指示する硬さが適宜設定されてよい。VRコンテンツの出力先は任意に選択されてよい。一例では、制御部51は、VRヘッドセット56にVRコンテンツを出力してよい。なお、制御部51は、任意のタイミングでステップS301の処理を繰り返し実行することで、出力されるVRコンテンツを更新してよい。
【0121】
ステップS302では、制御部51は、VRコンテンツとしてユーザに提示されているVR空間上に存在する対象物VOに対する操作を受け付ける。制御部51は、操作される対象物を予測(すなわち、操作される蓋然性の高い対象物を推測)してもよい。
【0122】
ステップS303では、制御部51は、操作を受け付けたか否かを判定する。操作がない場合、制御部51は、ステップS302に処理を戻し、ステップS302から処理を再度実行する。対象物の操作を受け付けるまで、制御部51は、ステップS302の処理を繰り返し実行する。対象物の操作を受け付けると、制御部51は、次のステップS304に処理を進める。なお、対象物の操作に応じて、制御部51は、出力するVRコンテンツを更新してもよい。
【0123】
ステップS304では、制御部51は、ステップS302において操作された対象物を特定する。ステップS302で予測した場合、制御部51は、予測結果に応じて、操作される対象物を特定してもよい。制御部51は、指令生成部511として動作し、特定された対象物に対応する硬さに関節部11の硬さを調節させるための指令60を生成する。一
例では、外部コンピュータ5は、VR空間内の各対象物と硬さとの対応関係を示す情報を保持してよく、制御部51は、この情報を参照することで、指令60を生成してよい。
【0124】
ステップS305では、制御部51は、指令送信部512として動作し、生成された指令60を制御装置2に送信する。指令60の送信が完了すると、制御部51は、本動作例に係る外部コンピュータ5の処理手順を終了する。例えば、プログラムの実行が停止される等の所定の終了条件が満たされるまで、制御部51は、ステップS301又はステップS302に処理を戻し、ステップS301又はステップS302から再度処理を実行してよい。
【0125】
(ステップS311~ステップS312)
ステップS311では、制御装置2の制御部21は、決定部211として動作し、外部コンピュータ5からの指令60を受信する。制御部21は、受信した指令60に応じて、関節部11の硬さを決定する。
【0126】
ステップS312では、制御部21は、調節部212として動作し、指令60に応じて決定された硬さに関節部11の硬さがなるように調節機構12を制御する。これにより、関節部11の硬さは、VR空間内で操作された対象物に対応する硬さになるように調節される。調節機構12の制御が完了すると、制御部21は、本動作例に係る制御装置2の処理手順を終了する。制御部21は、ステップS311に処理を戻し、外部コンピュータ5から指令60を再度受信するまで、待機してもよい。
【0127】
[特徴]
本実施形態の一例によれば、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。また、本実施形態の一例によれば、制御装置2を備えていることで、ステップS111、ステップS211、及びステップS312の処理に例示されるように、外部制御により物体の硬軟を表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0128】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。上記実施形態において、種々の改良又は変更が適宜行われてよい。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0129】
<4.1>
上記実施形態において、制御装置2は省略されてよい。この場合、外部コンピュータ5も省略されてよい。調節機構12は、任意の方法で制御されてよい。他の一例では、調節機構12は、手動操作により制御されてよい。また、他の一例では、調節機構12は、操作子による操作に応じて制御されてよい。
【0130】
<4.2>
上記実施形態の一例では、関節部11は、1つの関節材により構成されている。しかしながら、関節部11を構成する関節材の数は、1つに限られなくてよい。他の一例では、関節部11は、複数の関節材により構成されてよい。各関節材のタイプ及び配置は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。本変形例によれば、複数の関節材を関節部11に用いることで、物体の硬軟を細かく表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。
【0131】
なお、複数の関節材を関節部11に用いる場合、複数の関節材の少なくとも一部の特性が異なっていることが好ましい。関節材の特性は、例えば、応答速度、剛性等である。特
性の異なる関節材を用いることで、物体のより細かな硬軟を表現することができる。一例として、関節部11は、応答速度は速いが剛性変化の小さい第1関節材及び剛性変化は大きいが応答速度の遅い第2関節材を含んでよい。この場合、第1関節材により瞬時的な硬軟の変化を表現し、第2関節材により大きな合成変化を表現することができる。
【0132】
具体例として、複数の関節材は、流体圧人工筋肉及び機能性流体を含んでよい。大きな剛性変化を流体圧人工筋肉により、瞬時的で小さな剛性変化を機能性流体により再現することができる。そのため、本変形例によれば、簡単な機構で物体の硬軟を細かく表現可能な棒状デバイス1を提供することができる。なお、機能性流体は、流体圧人工筋肉に流体として内蔵されてよい。これにより、棒状デバイス1をコンパクトにすることができる。また、流体圧人工筋肉には、上記マッキベン型人工筋肉が用いられてよい。
【0133】
図13Aは、マッキベン型人工筋肉及び機能性流体の2つの関節材を関節部11Aに採用した場合における棒状デバイス1Aの構成(断面)の一例を模式的に示す。図13Aの例では、マッキベン型人工筋肉の内部空間には、機能性流体として磁性流体13が充填されている。本変形例では、マッキベン型人工筋肉及び磁性流体13がそれぞれ、関節材の一例である。調節機構12Aは、流体シリンダに加えて、電磁石131を備えている。電磁石131が、磁性流体13に対応する調節機構の一例である。電磁石131は、ピストン122の先端に装着されていることで、磁性流体13に磁界を印加することができる。ただし、電磁石131の配置は、このような例に限られなくてよく、磁性流体13に磁界を印加可能であれば、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0134】
電磁石131より発生し、磁性流体13に印加する磁界の強さは、電磁石131に与える電流の大きさにより調整可能である。磁性流体13に印加する磁界の強さを調整することで、磁性流体13の硬さを調節することができる。これらを除き、関節部11A及び調節機構12Aは、上記関節部11及び調節機構12と同様に構成されてよい。棒状デバイス1Aの他の構成は、上記棒状デバイス1と同様であってよい。本変形例によれば、関節部11Aにおいて、マッキベン型人工筋肉により大きな剛性変化を再現することができ、瞬時的で小さな剛性変化を磁性流体13により再現することができる。
【0135】
図13Bは、図13Aの棒状デバイス1Aの電磁石131をコイル135に置き換えた場合における棒状デバイス1Bの構成(断面)の一例を模式的に示す。図13Bの例では、調節機構12Bは、電磁石131の代わりに、コイル135を備えている。コイル135が、磁性流体13に対応する調節機構の他の一例である。コイル135は、関節部11Bのシリコンチューブ111及び編組チューブ112の間に配置され、シリコンチューブ111の外周に巻き付けられている。これにより、コイル135は、磁性流体13に磁界を印加することができる。ただし、コイル135の配置は、磁性流体13に磁界を印加可能であれば、このような例に限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0136】
電磁石131と同様に、コイル135より発生し、磁性流体13に印加する磁界の強さは、電磁石131に与える電流の大きさにより調整可能である。磁性流体13に印加する磁界の強さを調整することで、磁性流体13の硬さを調節することができる。これらを除き、関節部11B及び調節機構12Bは、上記関節部11A及び調節機構12Aと同様に構成されてよい。棒状デバイス1Bの他の構成は、上記棒状デバイス1Aと同様であってよい。本変形例によっても、関節部11Bにおいて、マッキベン型人工筋肉により大きな剛性変化を再現することができ、瞬時的で小さな剛性変化を磁性流体13により再現することができる。
【0137】
<4.3>
上記実施形態では、デバイス(棒状デバイス1)は、棒状の形状を有している。しかしながら、デバイスの形状は、棒状に限られなくてもよい。他の一例として、デバイスは、円(S1)、円筒(S1xL)、球殻(S2)、トーラス(種数が1以上)及び連続変形可能な形状の少なくともいずれかの形状を有してよい。
【0138】
§5 実施例
関節部を設けることにより、ユーザの触覚体験を拡張し、かつ物体の硬軟を表現可能であるかを検証するため、以下の実験を行った。
【0139】
<事前準備>
図14は、実験に使用した棒の構成を説明するための図である。図14に示されるように、先端及び持ち手の間にウレタンゴムで構成される関節部を配置した6つの棒を用意した。先端及び持ち手には、PETG樹脂を採用した。先端は、滑らかな半円形状に形成した。また、関節部をなくし、その他の条件は6つの棒と同一である棒を用意した。すなわち、合計7種類の棒を用意した。各棒の長さは166mmであった。また、各棒の太さは8.9mmであった。各棒の関節部の条件は、以下のとおりである。
【0140】
(棒の条件)
・第1の棒:長さ20mmのウレタンゴム(硬度50)の関節部を配置
・第2の棒:長さ15mmのウレタンゴム(硬度50)の関節部を配置
・第3の棒:長さ10mmのウレタンゴム(硬度50)の関節部を配置
・第4の棒:長さ20mmのウレタンゴム(硬度70)の関節部を配置
・第5の棒:長さ15mmのウレタンゴム(硬度70)の関節部を配置
・第6の棒:長さ10mmのウレタンゴム(硬度70)の関節部を配置
・第7の棒:関節部なし
【0141】
また、棒により操作する対象物として、硬度10、硬度30、硬度50、硬度70及び硬度90のシリコンゴムでそれぞれ構成される5種類の硬度板(ゴム片)を用意した。各硬度板はケースで囲い、このケースを硬度板の持ち手として使用した。
【0142】
更に、被験者の視界を区切るため、中抜けの箱を用意した。被験者側にはカーテンを取り付けて、被験者から箱の中が見えないようにした。被験者と指示者とが対面で向かい合って着座した。被験者には、カーテン越しに箱の中に手を入れさせ、指示者の指示の下、対となる2つのパターンそれぞれについて、棒で硬度板を触る実験を行った。第1のパターンは、最も硬い第7の棒で5種類の硬度板のいずれかを触るものと設定した。第2のパターンは、7種類の棒のいずれかで最も硬い硬度板(硬度90)を触るものと設定した。被験者には、第1のパターン及び第2のパターンのどちらが柔らかいと感じたかを回答させた。第1の持ち方(ペン持ち)及び第2の持ち方(握り持ち)の2種類の持ち方で実験を行った。被験者数は4名であった。具体的な実験手順は以下のとおりである。
【0143】
(実験手順)
(i)被験者にヘッドフォンを装着させ、ホワイトノイズを流した
(ii)被験者に、第1の持ち方及び第2の持ち方のいずれかを指定した
(iii)指示者が設定した棒と硬度板とを被験者に握らせた後、棒で硬度板を触れさせた
(iv)被験者に(iii)と対になる条件の棒と硬度板とを握らせた後、棒で硬度板を触れさせ

(v)(iii)(iv)のどちらの触覚を柔らかく感じたかを被験者に回答させた
(vi)棒7種類×硬度板5種類×試行3回が終わるまで、(iii)~(v)を繰り返した
(vii)(ii)で指定しなかった持ち方で(iii)~(vi)を行った
【0144】
図15A図15Gは、第1の握り方で第1~第7の棒それぞれを使用したときの実験結果を示す。図16A図16Gは、第2の握り方で第1~第7の棒それぞれを使用したときの実験結果を示す。各図の縦軸は、第2のパターンの方を柔らかいと回答した比率を示す。第1のパターンは、棒を介して、操作対象の物体の感触を得ているケースに相当し、第2のパターンは、関節部の硬軟により物体の感触を拡張しているケースに相当する。比率が0.5であることは、第1のパターン及び第2のパターンが等価である、すなわち、関節部により物体の硬軟を表現可能であることを示す。各図に示される実験結果から、関節部があまりに柔らかすぎる場合(例えば、図15A図16Aのケース)には、物体の硬軟を表現することは困難であるが、そうでなければ、物体の硬軟を表現可能であることが分かった。したがって、以上の実験結果から、関節部を設けるという簡単な機構でも物体の硬軟を表現可能であることが分かった。
【0145】
本明細書は以下の開示を含む。
[付記1]
本体部(10)、
前記本体部(10)の一端部(101)に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部(11)、及び
前記関節部(11)の硬さを調節するように構成される調節機構(12)、
を備える、
デバイス(1)。
[付記2]
前記関節部(11)は、人工筋肉により構成される、
付記1に記載のデバイス(1)。
[付記3]
前記関節部(11)は、流体圧人工筋肉により構成され、
前記調節機構(12)は、前記流体圧人工筋肉内に流体を出し入れすることで、前記流体圧人工筋肉の硬さを調節するように構成される流体シリンダである、
付記1に記載のデバイス(1)。
[付記4]
前記流体圧人工筋肉は、マッキベン型人工筋肉である、
付記3に記載のデバイス(1)。
[付記5]
前記関節部(11)は、硬さを自在に変更可能にそれぞれ構成される複数の関節材により構成される、
付記1から4のいずれか1つに記載のデバイス(1)。
[付記6]
前記複数の関節材は、流体圧人工筋肉及び機能性流体を含む、
付記5に記載のデバイス(1)。
[付記7]
外部コンピュータ(5)と無線又は有線で接続され、当該外部コンピュータ(5)からの指令(60)に応じて、前記調節機構(12)を制御するように構成される制御装置を更に備える、
付記1から6のいずれか1つに記載のデバイス(1)。
[付記8]
前記外部コンピュータ(5)からの指令(60)は、前記外部コンピュータ(5)におけるインタラクション処理に応じて、前記外部コンピュータ(5)から前記制御装置に送信され、
前記調節機構(12)を制御することは、前記指令(60)を受信したことに応じて、前記関節部(11)の硬さが、前記インタラクション処理に対応する硬さになるように前記調節機構(12)を制御することを含む、
付記7に記載のデバイス(1)。
[付記9]
前記インタラクション処理に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含み、
前記調節機構(12)を制御することは、前記動的な硬さに合わせて、前記関節部(11)の硬さを徐々に変化させるように前記調節機構(12)を制御することを含む、
付記8に記載のデバイス(1)。
[付記10]
前記インタラクション処理は、ユーザによるタイプの選択を含み、
前記インタラクション処理に対応する硬さは、選択された前記タイプに対応する硬さを含む、
付記8又は9に記載のデバイス(1)。
[付記11]
前記タイプの選択は、前記外部コンピュータ(5)で実行される描画アプリケーションにおけるペンタイプの選択により構成される、
付記10に記載のデバイス(1)。
[付記12]
前記インタラクション処理は、前記外部コンピュータ(5)により出力されている画像上において、対象領域に対してタッチ操作することを含み、
前記インタラクション処理に対応する硬さは、タッチ操作された前記対象領域に対応する硬さを含む、
付記8から11のいずれか1つに記載のデバイス(1)。
[付記13]
前記外部コンピュータ(5)は、タッチパネルディスプレイに接続されており、
前記画像は、前記タッチパネルディスプレイに出力されており、
前記タッチ操作は、前記デバイス(1)により前記タッチパネルディスプレイをタッチすることにより構成される、
付記12に記載のデバイス(1)。
[付記14]
前記インタラクション処理は、前記外部コンピュータ(5)によりユーザに提示されている仮想現実の空間上に存在する対象物に対して操作することを含み、
前記インタラクション処理に対応する硬さは、操作された前記対象物に対応する硬さを含む、
付記8から13のいずれか1つに記載のデバイス(1)。
[付記15]
前記対象物に対応する硬さは、段階的な硬さの変化を指定する動的な硬さを含み、
前記調節機構(12)を制御することは、前記動的な硬さに合わせて、前記関節部(11)の硬さを徐々に変化させるように前記調節機構(12)を制御することを含む、
付記14に記載のデバイス(1)。
[付記16]
付記7から15のいずれか1つに記載のデバイス(1)の前記制御装置に接続される前記外部コンピュータ(5)に、
前記関節部(11)の硬さの変更に関する指示を受け付けること、及び
受け付けた前記指示に応じて、前記指令(60)を前記制御装置に送信すること、
を実行させるための、
プログラム。
[付記17]
デバイス(1)、及び
外部コンピュータ(5)、
を備えるシステムであって、
前記デバイス(1)は、
本体部(10)、
前記本体部(10)の一端部(101)に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部(11)、
前記関節部(11)の硬さを調節するように構成される調節機構(12)、及び
前記外部コンピュータ(5)と無線又は有線で接続され、前記外部コンピュータ(5)からの指令(60)に応じて、前記調節機構(12)を制御するように構成される制御装置、
を備える、
システム(S)。
【符号の説明】
【0146】
1…棒状デバイス(デバイス)、
10…本体部、101…先端部(一端部)、
11…関節部、12…調節機構、
2…制御装置、
5…外部コンピュータ、
55…タッチパネルディスプレイ、
56…VRヘッドセット、
60…指令
【要約】
【課題】本発明の目的の一つは、簡単な機構で物体の硬軟を表現可能なデバイスを提供することである。
【解決手段】本発明の一側面に係るデバイス(1)は、本体部(10)、本体部(10)の一端部(101)に設けられ、硬さを自在に変更可能に構成される関節部(11)、及び関節部(11)の硬さを調節するように構成される調節機構(12)、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G