(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】加工情報形成システム、および、加工情報形成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20240409BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20240409BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F30/13
E04B1/26 E ESW
G06F30/20
(21)【出願番号】P 2023123069
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 和哉
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-209458(JP,A)
【文献】特開2003-248702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
E04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木軸における孔形成情報を形成する加工情報形成システムであって、
情報取得部と、
加工情報形成部と、を備え、
前記情報取得部は、木軸情報と、前記木軸に接続される金具の金具情報と、前記木軸に対する前記金具の固定位置を示す固定位置情報と、を取得し、
前記加工情報形成部は、
前記金具情報と前記固定位置情報とに基づいて、前記金具を前記木軸に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具をグループ化するグループ化処理と、
グループ内の各金具の前記金具情報に基づいて、前記グループ内の金具を固定するためのボルト孔候補を設定する孔候補設定処理と、
前記ボルト孔候補から、前記金具の固定条件を満たすボルト孔を選ぶ選定処理と、を含む、
加工情報形成システム。
【請求項2】
前記木軸は、第1側面と、第2側面と、前記第1側面と反対側の第3側面と、前記第2側面と反対側の第4側面と、を有し、
前記加工情報形成部は、
前記グループ化処理において、グループ化された金具のうちで、前記第1側面と前記第3側面とに配置される金具を第1サブグループに分類し、前記グループ化された金具のうちで、前記第2側面と前記第4側面とに配置される金具を第2サブグループに分類し、
前記孔候補設定処理において、前記第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補を設定し、前記第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補を設定し、
前記選定処理において、前記第1ボルト孔候補から選定されるボルト孔と、前記第2ボルト孔候補から選定されるボルト孔とが互いに干渉しないように、かつ、前記金具の固定条件を満たすように、前記第1ボルト孔候補および前記第2ボルト孔候補それぞれから、ボルト孔を選ぶ、
請求項1に記載の加工情報形成システム。
【請求項3】
前記加工情報形成部は、
前記グループ化処理において、高さ方向における前記金具の並びの順に前記金具に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成し、
前記グループ関連付け処理において、前記グループ化処理の対象となる金具の金具孔のうちいずれかの孔の位置が、当該金具よりも前にグループに属した金具の少なくとも1つの金具の金具孔の位置と重なる場合、前記対象となる金具をグループに属させる
請求項1に記載の加工情報形成システム。
【請求項4】
前記加工情報形成部は、さらに、ボルト孔種類決定処理を含み、
前記加工情報形成部は、前記ボルト孔種類決定処理において、前記ボルト孔候補それぞれ、または、選定された前記ボルト孔それぞれについて、前記金具の位置関係に基づいてボルト孔の種類を設定する、
請求項1に記載の加工情報形成システム。
【請求項5】
前記木軸は、第1側面と、第2側面と、前記第1側面と反対側の第3側面と、前記第2側面と反対側の第4側面と、を有し、
前記加工情報形成部は、
前記グループ化処理において、グループ化された金具のうちで、前記第1側面と前記第3側面とに配置される金具を第1サブグループに分類し、前記グループ化された金具のうちで、前記第2側面と前記第4側面とに配置される金具を第2サブグループに分類し、
前記孔候補設定処理において、前記第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補を設定し、前記第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補を設定し、
前記選定処理において、前記第1ボルト孔候補から選定されるボルト孔と、前記第2ボルト孔候補から選定されるボルト孔とが互いに干渉しないように、かつ、前記金具の固定条件を満たすように、前記第1ボルト孔候補および前記第2ボルト孔候補それぞれから、ボルト孔を選ぶ、
請求項4に記載の加工情報形成システム。
【請求項6】
前記加工情報形成部は、
前記グループ化処理において、高さ方向における前記金具の並びの順に前記金具に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成し、
前記グループ関連付け処理において、前記グループ化処理の対象となる金具の金具孔のうちいずれかの孔の位置が、当該金具よりも前にグループに属した金具の少なくとも1つの金具の金具孔の位置と重なる場合、前記対象となる金具をグループに属させる、
請求項5に記載の加工情報形成システム。
【請求項7】
前記加工情報形成部は、前記孔候補設定処理において、前記金具情報に含まれる固定用孔情報に基づいて、前記ボルト孔候補を選ぶ、
請求項1~6のいずれか一項に記載の加工情報形成システム。
【請求項8】
コンピュータに、木軸における孔形成情報を形成させる加工情報形成プログラムであって、
情報取得ステップと、加工情報形成ステップと、を含み、
前記情報取得ステップは、木軸情報と、前記木軸に接続される金具の金具情報と、前記木軸に対する前記金具の固定位置を示す固定位置情報と、を前記コンピュータに取得させ、
前記加工情報形成ステップは、前記コンピュータに、
前記金具情報と前記固定位置情報とに基づいて、前記金具を前記木軸に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具をグループ化させるグループ化処理と、
グループ内の各金具の前記金具情報に基づいて、前記グループ内の金具を固定するためのボルト孔候補を設定させる孔候補設定処理と、
前記ボルト孔候補から、前記金具の固定条件を満たすボルト孔を選ばせる選定処理と、を実行させる、
加工情報形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建築物における木材の加工情報形成システム、および、加工情報形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物において、計算システムによって木材の加工データを形成することが知られている。例えば、特許文献1に記載の技術では、マスターデータを用いて、木材の加工データを形成する。同文献の技術では、木材のそれぞれの延設方向に応じて自動的に変更した金具の設計データを生成し、さらに、自動的に変更した金具の設計データに応じて接合する複数の木材の加工データを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物において、建築物の構造材である木軸に複数の金具が接続される場合がある。この場合、木軸に金具を固定するボルトが互いに干渉しないように、木材におけるボルトの位置が設定される。しかし、このようなボルトの位置の設定は手間を要する。このため、木軸の加工データの形成について、作業効率の観点から、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する加工情報形成システムは、木軸における孔形成情報を形成する加工情報形成システムであって、情報取得部と、加工情報形成部と、を備え、前記情報取得部は、木軸情報と、前記木軸に接続される金具の金具情報と、前記木軸に対する前記金具の固定位置を示す固定位置情報と、を取得し、前記加工情報形成部は、前記金具情報と前記固定位置情報とに基づいて、前記金具を前記木軸に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具をグループ化するグループ化処理と、グループ内の各金具の前記金具情報に基づいて、前記グループ内の金具を固定するためのボルト孔候補を設定する孔候補設定処理と、前記ボルト孔候補から、前記金具の固定条件を満たすボルト孔を選ぶ選定処理と、を実行する。
【0006】
従来、ボルト孔の位置が重なる金具のグループ化を行わずに、木軸において孔の位置を設定していた。例えば、ボルト孔の数が多い金具の順にボルト孔を設定する。このような設定方法では、最後に残った金具が金具条件を満たさないことがある。この場合に、全部の金具について、ボルト孔の位置を見直す必要が生じる。この点、上記構成では、ボルト孔の位置が重なる金具をグループ化するグループ化処理を行っているため、グループごとに、孔の位置を決定できる。これによって、孔の位置の設定のやり直しを少なくできる。このようにして、木軸の加工データの形成における作業効率を向上できる。
【0007】
(2)上記(1)の加工情報形成システムにおいて、前記木軸は、第1側面と、第2側面と、前記第1側面と反対側の第3側面と、前記第2側面と反対側の第4側面と、を有し、前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、グループ化された金具のうちで、前記第1側面と前記第3側面とに配置される金具を第1サブグループに分類し、前記グループ化された金具のうちで、前記第2側面と前記第4側面とに配置される金具を第2サブグループに分類し、前記孔候補設定処理において、前記第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補を設定し、前記第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補を設定し、前記選定処理において、前記第1ボルト孔候補から選定されるボルト孔と、前記第2ボルト孔候補から選定されるボルト孔とが互いに干渉しないように、かつ、前記金具の固定条件を満たすように、前記第1ボルト孔候補および前記第2ボルト孔候補それぞれから、ボルト孔を選ぶ。
【0008】
木軸に設けられる複数の金具それぞれで、独立してボルト孔の候補を設定する場合、互いに干渉しないボルト孔を選択するときの選択肢が多くなる結果、計算が煩雑になる虞がある。この点、上記構成によれば、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれは、木軸に対して互いに反対の位置にある金具をグループ化したものである。そして、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれで独立してボルト孔の候補が設定される。このため、ボルト孔を選択するときの選択肢が少なくなるため、計算効率を向上できる。
【0009】
(3)上記(1)に記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、高さ方向における前記金具の並びの順に前記金具に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成し、前記グループ関連付け処理において、前記グループ化処理の対象となる金具の金具孔のうちいずれかの孔の位置が、当該金具よりも前にグループに属した金具の少なくとも1つの金具の金具孔の位置と重なる場合、前記対象となる金具をグループに属させる。
【0010】
複数の金具のうちで高さ方向に離れている2つの金具でも、他の金具との関係によって、2つの金具と他の金具とが1つのグループに属する場合がある。したがって、1つの金具を基準として基準とした金具と他の金具との関係のみでグループ化すると、高さ方向に離れている2つの金具が同じグループに属さないようになる虞がある。この点、上記構成によれば、グループ化されるべき金具がそのグループから外れることを抑制できる。このように、金具を適切にグループ化できる。
【0011】
(4)上記(1)に記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、さらに、ボルト孔種類決定処理を含み、前記加工情報形成部は、前記ボルト孔種類決定処理において、前記ボルト孔候補それぞれ、または、選定された前記ボルト孔それぞれについて、前記金具の位置関係に基づいてボルト孔の種類を設定する。この構成によれば、ボルト孔の種類を設定できる。
【0012】
(5)上記(4)に記載の加工情報形成システムにおいて、前記木軸は、第1側面と、第2側面と、前記第1側面と反対側の第3側面と、前記第2側面と反対側の第4側面と、を有し、前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、グループ化された金具のうちで、前記第1側面と前記第3側面とに配置される金具を第1サブグループに分類し、前記グループ化された金具のうちで、前記第2側面と前記第4側面とに配置される金具を第2サブグループに分類し、前記孔候補設定処理において、前記第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補を設定し、前記第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補を設定し、前記選定処理において、前記第1ボルト孔候補から選定されるボルト孔と、前記第2ボルト孔候補から選定されるボルト孔とが互いに干渉しないように、かつ、前記金具の固定条件を満たすように、前記第1ボルト孔候補および前記第2ボルト孔候補それぞれから、ボルト孔を選ぶ。
【0013】
この構成によれば、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれは、木軸に対して互いに反対の位置にある金具をグループ化したものである。そして、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれで独立してボルト孔の候補が設定される。このため、ボルト孔を選択するときの選択肢が少なくなるため、計算効率を向上できる。
【0014】
(6)上記(5)に記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、高さ方向における前記金具の並びの順に前記金具に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成し、前記グループ関連付け処理において、前記グループ化処理の対象となる金具の金具孔のうちいずれかの孔の位置が、当該金具よりも前にグループに属した金具の少なくとも1つの金具の金具孔の位置と重なる場合、前記対象となる金具をグループに属させる。この構成によれば、グループ化されるべき金具がそのグループから外れることを抑制できる。このように、金具を適切にグループ化できる。
【0015】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、前記孔候補設定処理において、前記金具情報に含まれる固定用孔情報に基づいて、前記ボルト孔候補を選ぶ。この構成によれば、金具に適したボルト孔候補を選ぶことができる。
【0016】
(8)上記課題を解決する加工情報形成プログラムは、コンピュータに、木軸における孔形成情報を形成させる加工情報形成プログラムであって、情報取得ステップと、加工情報形成ステップと、を含み、前記情報取得ステップは、木軸情報と、前記木軸に接続される金具の金具情報と、前記木軸に対する前記金具の固定位置を示す固定位置情報と、を前記コンピュータに取得させ、前記加工情報形成ステップは、前記コンピュータに、前記金具情報と前記固定位置情報とに基づいて、前記金具を前記木軸に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具をグループ化させるグループ化処理と、グループ内の各金具の前記金具情報に基づいて、前記グループ内の金具を固定するためのボルト孔候補を設定させる孔候補設定処理と、前記ボルト孔候補から、前記金具の固定条件を満たすボルト孔を選ばせる選定処理と、を実行させる。
【0017】
この構成によれば、孔の位置が重なる金具をグループ化するグループ化処理を実行するため、グループごとに、孔の位置を決定できる。これによって、孔の位置の設定のやり直しを少なくできる。このようにして、木軸の加工データの形成における作業効率を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、木軸の加工データの形成における作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】
図2の木軸について、A-A線に沿う断面図である。
【
図5】
図2の木軸について、B-B線に沿う断面図である。
【
図9】第1サブグループについて、第1ボルト孔候補およびボルト孔種類を説明する図である。
【
図10】第1サブグループについて、第2ボルト孔候補およびボルト孔種類を説明する図である。
【
図12】ボルト孔の選定およびボルト孔種類を説明する図である。
【
図13】加工情報形成システムが実行する処理フローのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~
図13を参照して、本実施形態に係る加工情報形成システム40を説明する。
図1および
図2に示されるように、木軸2には、金具10を介して幾つかの他の軸部材が接続される。加工情報形成システム40は、金具10を介して他の軸部材が接続される木軸2を計算の対象とする。
【0021】
加工情報形成システム40は孔形成情報を形成するために、構造設計システム1によって形成される情報を取得する。
【0022】
建築物の構造設計は、加工情報形成システム40と別の構造設計システム1で行われる。加工情報形成システム40は、構造設計システム1内に統合されてもよい。構造設計システム1において、建築物の構造が設計される。構造設計システム1において、次の事項が設定される。構造設計システム1の設定される事項は、木軸2と横架材とによって構成される骨組み構造、木軸2の寸法、横架材の寸法、木軸2と横架材との接続部分における接続関係、および、木軸2に設けられる金具10の種類である。
【0023】
木軸2は、建築物の構造材である。木軸2は柱を含む。本実施形態において、木軸2は、間柱を含まない。木軸2は、金具10を介して他の構造材と連結される。他の構造材は、横架材、および、他の木軸2を含む。他の構造材は、勾配梁を含んでもよい。横架材の例として、梁、および、桁が挙げられる。
【0024】
図2~
図5を参照して、木軸2の一例を説明する。
図2に示される木軸2は、基礎に接続される。
図3は、
図2から木軸2の記載を省略したときの図である。
図4は、
図2の木軸2のA-A線に沿う断面図である。
図5は、
図2の木軸2のB-B線に沿う断面図である。
【0025】
木軸2の第1側面2Aには、木軸2に第1横架材21を接続するための第1金具11が接続される。木軸2の第2側面2Bには、木軸2に第2横架材22を接続するための第2金具12が接続される。木軸2の第3側面2Cには、木軸2に第3横架材23を接続するための第3金具13が接続される。木軸2の第3側面2Cには、木軸2に第4横架材24を接続するための第4金具14が接続される。木軸2の第3側面2Cには、木軸2に第5横架材25を接続するための第5金具15が接続される。木軸2の第4側面2Dには、木軸2に第6横架材26を接続するための第6金具16が接続される。木軸2の上端面2Eには、他の木軸2と連結するための木軸連結軸部材17が上下方向に挿通される。木軸2の下端面2Fには、基礎金具18が接続される。基礎金具18は、基礎と木軸2とを接続する。
【0026】
図2に示されるように、金具10はボルト20によって木軸2に固定される。ボルト20は、木軸2に設けられるボルト孔28に挿通する。木軸2には複数のボルト孔28が形成される。木軸2に複数の金具10を接続する場合、ボルト孔28は、互いに干渉しないように配置される。以下、加工情報形成システム40を説明する。
【0027】
[加工情報形成システム]
加工情報形成システム40は、
図1~
図5に示される木軸2の状態を実現できるようにするための、孔形成情報を形成する。
【0028】
図6に示されるように、加工情報形成システム40は、情報取得部41と、加工情報形成部42とを備える。加工情報形成部42には、処理結果を表示する表示部43が接続される。加工情報形成システム40は、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。加工情報形成システム40は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサを含んでもよい。加工情報形成システム40は、上述のプロセッサ、および、ハードウェア回路の組み合わせを含んでもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAMおよびROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0029】
加工情報形成システム40は、木軸2における孔形成情報を形成する。加工情報形成システム40は、構造設計システム1によって設定された情報に基づいて、木軸2について孔形成情報を形成する。孔形成情報は、木軸2におけるボルト孔28の数および配置に関する情報を含む。
【0030】
[情報取得部]
情報取得部41は、木軸情報と、金具情報と、固定位置情報と、を取得する。以下、木軸情報、金具情報、および、固定位置情報をまとめて「木軸関連情報」という。情報取得部41は、建築物の骨組み構造を構成する全てまたは幾つかの木軸2それぞれについて、木軸関連情報を取得する。本実施形態では、木軸関連情報を構造設計システム1から取得する。
【0031】
木軸情報は、木軸2の形状に関する情報である。木軸情報は、木軸2を構成する各面の寸法、各面の関係、および、骨組み構造における木軸2の位置、それぞれの情報を含む。例えば、木軸2は、第1側面2Aと、第2側面2Bと、第1側面2Aと反対側の第3側面2Cと、第2側面2Bと反対側の第4側面2Dと、を有する。木軸2は、さらに、上端面2Eと、下端面2Fとを有する。この場合、木軸情報には、第1側面2A~第4側面2Dの寸法、および、第1側面2A~第4側面2Dの配置関係が含まれる。木軸情報には、建築物の基準方向に対する第1側面2Aの向きに関する情報が含まれてもよい。
【0032】
金具情報は、木軸2に接続される金具10に関する情報である。金具情報は、構造設計システム1によって木軸2に対して設定された金具10に関する情報である。金具情報は、情報として、金具10の形状および寸法、金具10が有する金具孔10Aの個数、固定のために使用できない金具孔10Aの位置(以下、無効孔位置)、および、木軸2に対して金具10を固定するために必要なボルト数(以下、必要ボルト数)を含む。必要ボルト数は、木軸2と横架材との接続強度の計算に基づいて設定される。必要ボルト数は、構造設計システム1によって設定される。
【0033】
木軸2に使用される金具10の種類は予め設定されている。使用可能な金具10は、すべて、共通孔ピッチ(以下、共通孔ピッチ)を有する。共通孔ピッチは、金具10において、隣接する2つの金具孔10Aの間隔距離を示す。金具10には、共通孔ピッチの整数倍のピッチで金具孔10Aが設けられる。加工情報形成システム40は、共通孔ピッチを記憶している。
【0034】
固定位置情報は、木軸2に対する金具10の固定位置を示す。金具10の固定位置は、木軸2の基準面から高さ方向の位置を示す。木軸2の基準面は、上端面2Eまたは下端面2Fである。固定位置情報は、建築物の骨組み構造に基づいて設定される。固定位置情報は、構造設計システム1によって設定される。
【0035】
金具10の固定位置は、位置ルールに準ずるように設定される。位置ルールによれば、金具10の固定位置は、木軸2の基準面から基準ピッチの整数倍の距離で設定される。基準ピッチは、共通孔ピッチと等しい。位置ルールは、構造設計システム1と加工情報形成システム40とにおいて共有されている。これによって、干渉しないボルト孔28の設定が行われ易くなる。
【0036】
[加工情報形成部]
加工情報形成部42は、グループ化処理と、孔候補設定処理と、選定処理と、を実行する。加工情報形成部42は、ボルト孔種類決定処理を実行してもよい。
【0037】
[グループ化処理]
加工情報形成部42は、グループ化処理において、金具情報と固定位置情報とに基づいて、金具10を木軸2に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具10をグループ化する。
【0038】
加工情報形成部42は、グループ化処理において、高さ方向における金具10の並びの順に、金具10に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成する。
【0039】
加工情報形成部42は、グループ関連付け処理において、グループ化処理の対象となる金具孔10Aのうちいずれかの孔の位置が、当該金具10よりも前にグループに属した金具10の少なくとも1つの金具孔10Aの位置と重なる場合、対象となる金具10をグループに属させる。
【0040】
図7を参照して、グループ化の一例を説明する。本実施形態では、加工情報形成部42は、第1側面2A~第4側面2Dに設けられる金具10についてグループ化処理を実行する。
【0041】
図7に示されるように、加工情報形成部42は、計算対象の木軸2に対して、上端面2Eから所定のピッチだけ下方に進みつつ、木軸2において第1側面2A、第3側面2C、第2側面2B、第4側面2Dの順に、金具10の有無を検出する。所定ピッチだけ下方への進行は、第1側面2A~第4側面2Dの検出が済んだ後に行われる。これによって、高さ方向における金具10の並びの順に金具10に対してグループ関連付け処理を繰り返すことが出来る。
【0042】
最初、第1グループは1つの要素を含む。具体的には、第1グループには、木軸2において最も高い位置の金具10が属させる。例えば、第1グループには、最初に、第1側面2Aの第1金具11が含まれる。
【0043】
次に、加工情報形成部42は、グループ関連付け処理を実行する。具体的には、加工情報形成部42は、第3側面2Cにおいて第3金具13を検出する。このとき、第3金具13の孔のうちでいずれかの孔の位置が、当該金具10よりも前にグループに属した第1金具11のいずれかの孔の位置と重なるか否かを判定する。第3金具13の孔のうちでいずれかの孔と第1金具11のいずれかの孔の位置と重なる場合、第3金具13は、第1グループに属させる。
【0044】
加工情報形成部42は、グループ関連付け処理を繰り返す。そして、加工情報形成部42は、4回連続で金具10を検出しない場合、第1グループについてのグループ化を完了する。次に、加工情報形成部42は、新たなグループとして第2グループを形成し、引き続き、グループ関連付け処理を繰り返す。
【0045】
図8に示されるように、本実施形態では、第1グループには、第1金具11、第2金具12、第3金具13、第4金具14、および、第6金具16が含まれる。第2グループには、第5金具15が含まれる。
【0046】
加工情報形成部42は、木軸2において全ての金具10のグループ分けを完了した後、次の処理を実行する。
【0047】
図9に示されるように、加工情報形成部42は、グループ化処理において、グループ化された金具10のうちで、第1側面2Aと第3側面2Cとに配置される金具10を第1サブグループに分類する。
【0048】
図10に示されるように、加工情報形成部42は、グループ化処理において、グループ化された金具10のうちで、第2側面2Bと第4側面2Dとに配置される金具10を第2サブグループに分類する。
【0049】
[孔候補設定処理]
図9および
図10を参照して、孔候補設定処理を説明する。
加工情報形成部42は、孔候補設定処理において、グループ内の各金具10の金具情報に基づいて、グループ内の金具10を固定するためのボルト孔候補を設定する。ここでは、第1グループについて説明する。
【0050】
図9に示されるように、加工情報形成部42は、第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補X1を設定する。
具体的には、加工情報形成部42は、第1金具11の金具孔10Aと、第3金具13の金具孔10Aと、第4金具14の金具孔10Aとに基づいて、第1ボルト孔候補X1が設定される。第1ボルト孔候補X1は、第1金具11の金具孔10A、第3金具13の金具孔10A、および、第4金具14の金具孔10Aの全ての孔がボルト孔候補として設定される。高さ方向において、第3金具13の金具孔10Aおよび第4金具14の金具孔10Aとのうち、第1金具11の孔と同じ高さにある金具孔10Aは、両金具10に共通するボルト孔候補となる。
【0051】
図10に示されるように、加工情報形成部42は、第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補X2を設定する。
具体的には、加工情報形成部42は、第2金具12の金具孔10Aと、第6金具16とに基づいて、第2ボルト孔候補X2が設定される。第2ボルト孔候補X2は、第2金具12の金具孔10A、および、第4金具14の金具孔10Aの全ての孔がボルト孔候補として設定される。高さ方向において、第4金具14の金具孔10Aのうち、第2金具12の金具孔10Aと同じ高さにある孔は、両金具10に共通するボルト孔候補となる。
【0052】
さらに、加工情報形成部42は、孔候補設定処理において、金具情報に含まれる固定用孔情報に基づいて、ボルト孔候補を選ぶ。
固定用孔情報は、金具10においてボルト孔28として使用できない孔(以下、無効孔28D)に関する情報を含む。固定用孔情報は、無効孔28Dの有無、および、金具10における無効孔28Dの無効孔位置、それぞれの情報を含む。一例には、金具10において最も上の位置にある金具孔10Aが無効孔28Dに設定される。
【0053】
加工情報形成部42は、固定用孔情報に無効孔28Dが含まれる場合、第1ボルト孔候補X1および第2ボルト孔候補X2から、当該無効孔28Dを除外する。
【0054】
[ボルト孔種類決定処理]
加工情報形成部42は、ボルト孔種類決定処理において、ボルト孔候補それぞれについて、金具10の位置関係に基づいてボルト孔28の種類を設定する。
【0055】
ボルト孔28の種類の決定は、選定処理の後に行われてもよい。加工情報形成部42は、ボルト孔種類決定処理において、選定されたボルト孔28それぞれについて、ボルト孔28と金具10との配置関係に基づいてボルト孔28の種類を設定する。
【0056】
ボルト孔28の種類は、ボルトヘッドを収容する座繰り29の有無によって、3種類に区分される。第1種のボルト孔28Aは、基準方向からみて右端に座繰り29が有る孔である。第2種のボルト孔28Bは、基準方向からみて左端に座繰り29が有る孔である。第3種のボルト孔28Cは、両端に座繰り29が無い孔である。
【0057】
基準方向は予め設定される。基準方向は、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれに定義される。本実施形態では、第1サブグループの基準方向は、
図2のA-A断面に向く方向である。第2サブグループの基準方向は、
図2のB-B断面に向く方向である。
【0058】
ボルト孔28において、金具10が配置される面に開口端を有する場合、当該面には座繰り29は設けられない。ボルト孔28において、金具10が配置されない面に開口端を有する場合、当該面には座繰り29が設けられる。
【0059】
加工情報形成部42は、ボルト孔種類決定処理において、金具10との関係に基づいて、ボルト孔28の種類を決定する。
【0060】
「選定処理」
図11および
図12を参照して選定処理を説明する。
図11および
図12に示される第1方向は、第1側面2Aから第3側面2Cに向く方向である。
図11および
図12に示される第2方向は、第2側面2Bから第4側面2Dに向く方向である。
図12において、ボルト孔28を囲む円は座繰り29を示す。実線の座繰り29は、第1方向または第2方向から見る場合、見た方向において木軸2の表側面にある座繰り29を示す。破線の座繰り29は、第1方向または第2方向から見る場合、見た方向において木軸2の裏側面にある座繰り29を示す。
【0061】
加工情報形成部42は、選定処理において、ボルト孔候補から、金具10の所定条件を満たすボルト孔28を選ぶ。
【0062】
具体的には、加工情報形成部42は、選定処理において、第1条件および第2条件を満たすように、第1ボルト孔候補X1および第2ボルト孔候補X2それぞれから、ボルト孔28を選ぶ。第1条件は、第1ボルト孔候補X1から選定されるボルト孔28と、第2ボルト孔候補X2から選定されるボルト孔28とが互いに干渉しないことである。第2条件は、金具10の固定条件を満たすことである。金具10の固定条件は、ボルト孔28の数が必要ボルト数を満たすことである。
【0063】
加工情報形成部42は、第1パターン選定処理を実行する。具体的には、加工情報形成部42は、第1ボルト孔候補X1において、金具10の固定条件を満たすように、ボルト孔28の候補を選択する。一例では、第1金具11において最も上にある1つが無効孔28Dである場合、加工情報形成部42は、第1ボルト孔候補X1から最も上にある1つを除き、上から2つ目の孔を開始孔として、1つおきに、ボルト孔28を選択する。そして、加工情報形成部42は、第1サブグループの金具10の全てにおいて、固定条件を満たすか否かを判定する。具体的には、加工情報形成部42は、第1サブグループの金具10の全てにおいて、選定されたボルト孔28の数が、当該金具10についての必要ボルト数以上である場合、固定条件を満たすと判定する。
【0064】
次に、加工情報形成部42は、第1ボルト孔候補X1から選定されるボルト孔28と、第2ボルト孔候補X2から選定されるボルト孔28とが互いに干渉しないように、第2ボルト孔候補X2からボルト孔28を選定する。具体的には、加工情報形成部42は、第2ボルト孔候補X2から、第1ボルト孔候補X1から選定されたボルト孔28と同じ高さにあるボルト孔28を除外する。そして、加工情報形成部42は、除外によって残された残りのボルト孔28を、ボルト孔28として選定する。そして、加工情報形成部42は、第2サブグループの金具10の全てにおいて、固定条件を満たすか否かを判定する。具体的には、加工情報形成部42は、第2サブグループの金具10の全てにおいて、選定されたボルト孔28の数が、当該金具10についての必要ボルト数以上である場合、固定条件を満たすと判定する。固定条件が満たされている場合、加工情報形成部42は処理を完了する。
【0065】
加工情報形成部42は、固定条件が満たされていない場合、第1ボルト孔候補X1から選択されたボルト孔28と、第2ボルト孔候補X2から選択されたボルト孔28とをリセットする。
【0066】
そして、加工情報形成部42は、次のように、第2パターン選定処理を実行する。具体的には、加工情報形成部42は、最初に、第2ボルト孔候補X2からボルト孔28を選定する。加工情報形成部42は、第2サブグループの金具10の全てにおいて、固定条件を満たすか否かを判定する。次に、加工情報形成部42は、第2ボルト孔候補X2からボルト孔28と干渉しないように、第1ボルト孔候補X1からボルト孔28を選定する。加工情報形成部42は、第1サブグループの金具10の全てにおいて、固定条件を満たすか否かを判定する。
【0067】
加工情報形成部42は、第2パターン選定処理において、全ての金具10について、固定条件を満たすと判定する場合、処理を完了する。加工情報形成部42は、第2パターン選定処理において、金具10のいずれか1つでも固定条件が満たされていない場合、条件を変更する。例えば、加工情報形成部42は、第1パターン選定処理では、上から2つ目の金具孔10Aを選定の開始孔としているが、次の処理では、上から3つ目の金具孔10Aを選定の開始孔として設定する。そして、加工情報形成部42は、変更後の条件で、第1パターン選定処理を実行する。第1パターン選定処理で固定条件が満たされない場合、加工情報形成部42は、第2パターン選定処理を実行する。加工情報形成部42は、第1パターン選定処理、第2パターン選定処理、および、開始孔の変更を繰り返すことによって、固定条件を満たすボルト孔28を選定する。開始孔を変更できる最大回数MAXは、予め設定されている。開始孔の変更を最大回数MAXまで行っても、1または幾つかの金具10について固定条件を満たすことができない場合、加工情報形成部42は、選定不可を表示部43に表示して、処理を終了する。
【0068】
図13を参照して、加工情報形成システム40が実行する処理フローを説明する。処理フローは、建築物の複数の木軸2それぞれに対して実行される。
【0069】
処理フローにおいて、NAの値は、金具10のグループの序数を示す。NAの初期値は0である。NAが1のとき、第1グループを示す。NAが2のとき、第2グループを示す。NBは、パターン選定処理の序数を示す。NBの初期値は0である。NBが1のとき、第1パターン選定処理を示す。NBが2のとき、第2パターン選定処理を示す。NCは、開始孔の変更の回数を示す。NCの初期値は-1である。NCが1のとき、開始孔を1回変更することを示す。
【0070】
第1ステップS1において、情報取得部41は、処理対象の木軸2について、木軸情報と、金具情報と、固定位置情報と、を取得する。
【0071】
第2ステップS2において、加工情報形成部42は、処理対象の木軸2について、グループ化処理を実行する。
【0072】
第3ステップS3において、NAの数を1つ増やす。NAが1のとき、処理対象は第1グループである。NAが2のとき、処理対象は第1グループである。すなわち、グループごとに、ボルト孔28の選定の処理が実行される。
【0073】
第4ステップS4において、加工情報形成部42は、上述のように孔候補設定処理を実行する。第5ステップS5において、NCの数を1つ増やす。
【0074】
第6ステップS6において、加工情報形成部42は、NCに応じた開始孔を設定する。NCが0のとき、開始孔の変更が行われない。加工情報形成部42は、NCが1のとき、開始孔の位置を1つの下の位置に変更する。
【0075】
第7ステップS7において、NBの数を1つ増やす。NBが1のとき、第1パターン選定処理の実行が準備される。NBが2のとき、第2パターン選定処理の実行が準備される。
【0076】
第8ステップS8において、加工情報形成部42は、第7ステップS7において準備された処理を実行することによって、ボルト孔28を選定する。
【0077】
第9ステップS9において、加工情報形成部42は、各金具10について、選定されたボルト孔28の数が固定条件を満たすか否かを判定する。全ての金具10が固定条件を満たす場合、固定条件を満たすと判定する。この場合、加工情報形成部42は、第12ステップS12の処理を実行する。金具10の1つでも固定条件を満たさない場合、固定条件を満たさないと判定する。この場合、加工情報形成部42は、次の第10ステップS10の処理を実行する。
【0078】
第10ステップS10において、NBが2のとき、加工情報形成部42は、次の第11ステップS11の処理を実行する。NBが2でないとき、加工情報形成部42は、第7ステップS7の処理を実行する。
【0079】
第11ステップS11において、NCが最大回数MAXを超えているか否かを判定する。NCが最大回数MAXを超えていない場合、加工情報形成部42は、第5ステップS5の処理を実行する。このとき、第5ステップS5においてNCの値が1つ増加するため、開始孔の条件が変更される。NCが最大回数MAXを超えている場合、加工情報形成部42は、次の第12ステップS12を実行するとともに、当該グループでは、ボルト孔28を選定することができなかった旨を表示部43に出力する。
【0080】
第12ステップS12において、NAがグループ数であるか否かを判定する。NCがグループ数である場合、加工情報形成部42は、処理を終了する。処理の終了時、木軸2について設定された各グループについて、ボルト孔28が選定されている。
【0081】
(本実施形態の作用)
木軸2に接続される金具10が多くなる場合、金具10を固定するためのボルト孔28の数が多くなる。このため、ボルト孔28が互いに干渉することなく、かつ、固定条件を満たすように、ボルト孔28を設定することは難しい。グループ化を行わずに、金具10それぞれについて順にボルト孔28を選定する場合、選定の途中で、互いに干渉しあうボルト孔28が見つかったとき、選定作業を再度やり直すことがある。
【0082】
本実施形態の加工情報形成システム40によれば、加工情報形成部42はグループ化処理を実行する。グループ化処理では、金具情報と固定位置情報とに基づいて、金具10を木軸2に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具10をグループ化する。金具10をグループ化することによって、互いに干渉する虞があるボルト孔28の群において、ボルト孔28を選定できるため、互いに干渉しあうボルト孔28の見落としを抑制できる。これによって、ボルト孔28の選定の作業効率が向上する。
【0083】
また、グループごとにボルト孔28の位置を決定できる。これによって、孔の位置の設定のやり直しを少なくできる。このようにして、木軸2の加工データの形成における作業効率を向上できる。
【0084】
(本実施形態の効果)
(1)加工情報形成システム40において、加工情報形成部42はグループ化処理を実行する。グループ化処理では、金具情報と固定位置情報とに基づいて、金具10を木軸2に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具10をグループ化する。
【0085】
この構成によれば、孔の位置が重なる金具10をグループ化するグループ化処理を行っているため、グループごとにボルト孔28の位置を決定できる。これによって、ボルト孔28の位置の設定のやり直しを少なくできる。このようにして、木軸2の加工データの形成における作業効率を向上できる。
【0086】
(2)加工情報形成部42は、グループ化処理において、グループ化された金具10のうちで、第1側面2Aと第3側面2Cとに配置される金具10を第1サブグループに分類する。加工情報形成部42は、グループ化された金具10のうちで、第2側面2Bと第4側面2Dとに配置される金具10を第2サブグループに分類する。そして、孔候補設定処理において、第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補X1を設定し、第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補X2を設定する。
【0087】
この構成によれば、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれは、木軸2に対して互いに反対の位置にある金具10をグループ化したものである。そして、第1サブグループおよび第2サブグループそれぞれで独立してボルト孔28の候補が設定される。このため、ボルト孔28を選択するときの選択肢が少なくなるため、計算効率を向上できる。
【0088】
(3)加工情報形成部42は、グループ化処理において、高さ方向における金具10の並びの順に金具10に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成する。グループ関連付け処理において、グループ化処理の対象となる金具10の金具孔10Aのうちいずれかの孔の位置が、当該金具10よりも前にグループに属した金具10の少なくとも1つの金具10の金具孔10Aの位置と重なる場合、対象となる金具10をグループに属させる。
【0089】
この構成によれば、グループ化されるべき金具10がそのグループから外れることを抑制できる。このように、金具10を適切にグループ化できる。
【0090】
(4)加工情報形成部42は、ボルト孔種類決定処理において、ボルト孔候補それぞれ、または、選定されたボルト孔28それぞれについて、金具10の位置関係に基づいてボルト孔28の種類を設定する。この構成によれば、ボルト孔28の種類を設定できる。
【0091】
(5)加工情報形成部42は、孔候補設定処理において、金具情報に含まれる固定用孔情報に基づいて、ボルト孔候補を選ぶ。この構成によれば、金具10に適したボルト孔候補を選ぶことができる。
【0092】
<変形例>
上記実施形態は、加工情報形成システム40が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。加工情報形成システム40は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0093】
・本開示の技術は、コンピュータで実行されるプログラムとして構成されてもよい。加工情報形成プログラムは、コンピュータに、木軸2における孔形成情報を形成させる。加工情報形成プログラムは、情報取得ステップと、加工情報形成ステップと、を含み。
情報取得ステップは、木軸情報と、木軸2に接続される金具10の金具情報と、木軸2に対する金具10の固定位置を示す固定位置情報と、をコンピュータに取得させる。
加工情報形成ステップは、コンピュータに、グループ化処理と、孔候補設定処理と、選定処理とを実行させる。
グループ化処理では、コンピュータに、金具情報と固定位置情報とに基づいて、金具10を木軸2に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具10をグループ化させる。
孔候補設定処理では、コンピュータに、グループ内の各金具10の金具情報に基づいて、グループ内の金具10を固定するためのボルト孔候補を設定させる。
選定処理では、コンピュータに、ボルト孔候補から、金具10の固定条件を満たすボルト孔28を選ばせる。
【0094】
この構成によれば、孔の位置が重なる金具10をグループ化するグループ化処理を実行するため、グループごとに、孔の位置を決定できる。これによって、孔の位置の設定のやり直しを少なくできる。このようにして、木軸2の加工データの形成における作業効率を向上できる。
【0095】
本明細書は、さらに、次の技術を開示する。
[付記1]
加工情報形成システムは、木軸における孔形成情報を形成する加工情報形成システムであって、情報取得部と、加工情報形成部と、を備える。
前記情報取得部は、木軸情報と、前記木軸に接続される金具の金具情報と、前記木軸に対する前記金具の固定位置を示す固定位置情報と、を取得する。
前記加工情報形成部は、前記金具情報と前記固定位置情報とに基づいて、前記金具を前記木軸に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具をグループ化するグループ化処理と、グループ内の各金具の前記金具情報に基づいて、前記グループ内の金具を固定するためのボルト孔候補を設定する孔候補設定処理と、前記ボルト孔候補から、前記金具の固定条件を満たすボルト孔を選ぶ選定処理と、を含む。
【0096】
[付記2]
付記1に記載の加工情報形成システムにおいて、前記木軸は、第1側面と、第2側面と、前記第1側面と反対側の第3側面と、前記第2側面と反対側の第4側面と、を有する。
前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、グループ化された金具のうちで、前記第1側面と前記第3側面とに配置される金具を第1サブグループに分類し、前記グループ化された金具のうちで、前記第2側面と前記第4側面とに配置される金具を第2サブグループに分類し、前記孔候補設定処理において、前記第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補を設定し、前記第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補を設定し、前記選定処理において、前記第1ボルト孔候補から選定されるボルト孔と、前記第2ボルト孔候補から選定されるボルト孔とが互いに干渉しないように、かつ、前記金具の固定条件を満たすように、前記第1ボルト孔候補および前記第2ボルト孔候補それぞれから、ボルト孔を選ぶ。
【0097】
[付記3]
付記1に記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、高さ方向における前記金具の並びの順に前記金具に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成する。前記加工情報形成部は、前記グループ関連付け処理において、前記グループ化処理の対象となる金具の金具孔のうちいずれかの孔の位置が、当該金具よりも前にグループに属した金具の少なくとも1つの金具の金具孔の位置と重なる場合、前記対象となる金具をグループに属させる。
【0098】
[付記4]
付記1に記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、さらに、ボルト孔種類決定処理を含む。前記加工情報形成部は、前記ボルト孔種類決定処理において、前記ボルト孔候補それぞれ、または、選定された前記ボルト孔それぞれについて、前記金具の位置関係に基づいてボルト孔の種類を設定する。
【0099】
[付記5]
付記4に記載の加工情報形成システムにおいて、前記木軸は、第1側面と、第2側面と、前記第1側面と反対側の第3側面と、前記第2側面と反対側の第4側面と、を有する。
前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、グループ化された金具のうちで、前記第1側面と前記第3側面とに配置される金具を第1サブグループに分類し、前記グループ化された金具のうちで、前記第2側面と前記第4側面とに配置される金具を第2サブグループに分類し、前記孔候補設定処理において、前記第1サブグループにおいて第1ボルト孔候補を設定し、前記第2サブグループにおいて第2ボルト孔候補を設定し、前記選定処理において、前記第1ボルト孔候補から選定されるボルト孔と、前記第2ボルト孔候補から選定されるボルト孔とが互いに干渉しないように、かつ、前記金具の固定条件を満たすように、前記第1ボルト孔候補および前記第2ボルト孔候補それぞれから、ボルト孔を選ぶ。
【0100】
[付記6]
付記5に記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、前記グループ化処理において、高さ方向における前記金具の並びの順に前記金具に対してグループ関連付け処理を繰り返すことによって、グループを作成する。前記加工情報形成部は、前記グループ関連付け処理において、前記グループ化処理の対象となる金具の金具孔のうちいずれかの孔の位置が、当該金具よりも前にグループに属した金具の少なくとも1つの金具の金具孔の位置と重なる場合、前記対象となる金具をグループに属させる。
【0101】
[付記7]
付記1~6のいずれか1つに記載の加工情報形成システムにおいて、前記加工情報形成部は、前記孔候補設定処理において、前記金具情報に含まれる固定用孔情報に基づいて、前記ボルト孔候補を選ぶ。
【0102】
[付記8]
コンピュータに、木軸における孔形成情報を形成させる加工情報形成プログラムであって、情報取得ステップと、加工情報形成ステップと、を含み、前記情報取得ステップは、木軸情報と、前記木軸に接続される金具の金具情報と、前記木軸に対する前記金具の固定位置を示す固定位置情報と、を前記コンピュータに取得させ、前記加工情報形成ステップは、前記コンピュータに、前記金具情報と前記固定位置情報とに基づいて、前記金具を前記木軸に配置したときに、高さ方向において、孔の位置が重なる金具をグループ化させるグループ化処理と、グループ内の各金具の前記金具情報に基づいて、前記グループ内の金具を固定するためのボルト孔候補を設定させる孔候補設定処理と、前記ボルト孔候補から、前記金具の固定条件を満たすボルト孔を選ばせる選定処理と、を実行させる。
【符号の説明】
【0103】
1…構造設計システム、2…木軸、10…金具、10A…金具孔、17…木軸連結軸部材、18…基礎金具、20…ボルト、28…ボルト孔、28D…無効孔、29…座繰り、40…加工情報形成システム、41…情報取得部、42…加工情報形成部、43…表示部。
【要約】
【課題】木材の加工データの形成についての作業効率を向上できる、加工情報形成システム、および、加工情報形成プログラムを提供する。
【解決手段】加工情報形成システムは、木軸2における孔形成情報を形成する。当該システムは、情報取得部と、加工情報形成部と、を備える。情報取得部は、木軸情報と、金具情報と、金具10の固定位置を示す固定位置情報と、を取得する。加工情報形成部は、高さ方向において、孔の位置が重なる金具10をグループ化するグループ化処理と、グループ内の金具10を固定するためのボルト孔候補を設定する孔候補設定処理と、ボルト孔候補から金具10の固定条件を満たすボルト孔28を選ぶ選定処理と、を実行する。
【選択図】
図8