(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】エレベータ制御システムおよびエレベータ制御システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/06 20060101AFI20240409BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B66B1/06 B
B66B11/02 F
(21)【出願番号】P 2023149467
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-189162(JP,A)
【文献】中国実用新案第214031309(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0355379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/06
B66B 11/02
F24F 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定部と、
空調装置を備える自律走行可能な自走型装置を管理する自走型装置管理部と、
を備え、
前記自走型装置管理部は、
前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たす場合、前記自走型装置に前記かご内への乗車を指示する、
エレベータ制御システム。
【請求項2】
前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たすと判定された場合に、前記自走型装置を前記かご内に乗車させるための乗車要請を前記自走型装置管理部に出力する要請部をさらに備え、
前記自走型装置管理部は、
複数の前記自走型装置を管理し、
前記乗車要請に応じて、前記複数の自走型装置のうち最も早く前記かご内に乗車可能な自走型装置に、前記かご内への乗車を指示する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たすと判定された場合に、前記自走型装置を前記かご内に乗車させるための乗車要請を前記自走型装置管理部に出力する要請部をさらに備え、
前記自走型装置管理部は、
前記乗車要請に応じて、前記自走型装置に前記エレベータの乗場への移動を指示する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
前記要請部は、
前記自走型装置が乗車後の前記かご内の空気の状態が第2基準を満たす場合、前記自走型装置を前記かご内から降車させるための降車要請を前記自走型装置管理部に出力し、
前記自走型装置管理部は、
前記降車要請に応じて前記自走型装置に前記かご内からの降車を指示する、
請求項3に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記エレベータの乗場の状況に関する乗場情報が所定の条件を満たす階床か否かを判定する乗場状況判定部をさらに備え、
前記要請部は、
前記所定の条件を満たすと判定された階床において前記自走型装置が前記かご内から降車するための前記降車要請を前記自走型装置管理部に出力する、
請求項4に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
前記エレベータは複数の号機を備え、
前記エレベータの利用者による乗場行先階呼びに対して前記複数の号機から割り当てる号機を決定する割当部、をさらに備え、
前記割当部は、
前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たす対象号機が検出されてから前記自走型装置が前記対象号機から降車するまでの期間、前記対象号機に割当可能な乗場行先階呼びの数の上限を所定値より低く設定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
前記割当部は、
前記自走型装置が前記対象号機から降車した後、前記上限を前記所定値に戻す、
請求項6に記載のエレベータ制御システム。
【請求項8】
エレベータのかご内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定ステップと、
前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たす場合、空調装置を備える自律走行可能な自走型装置に前記かご内への乗車を指示する乗車指示ステップと、
を含む、エレベータ制御システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータのかご内の空気の改善を支援するエレベータ制御システムおよびエレベータ制御システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅雨および夏場などにエレベータのかご内の温度および湿度が上昇し、利用者が不快に感じる場合がある。エレベータ利用客の快適性を向上するために、いろいろなエレベータの空調制御が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、サーモセンサでかご内の温度を検出し、検出された温度に基づいてかごに設けられた空調機を制御することにより、かご内の空調を行うかご用冷暖房装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、さまざまな機能を有する自走型装置がエレベータを利用して移動できるようになっている。
【0006】
本発明は、空調装置を備える自走型装置を用いて、エレベータのかご内の空調を行うことができるエレベータ制御システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るエレベータ制御システムは、エレベータのかご内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定部と、空調装置を備える自律走行可能な自走型装置を管理する自走型装置管理部と、を備え、前記自走型装置管理部は、前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たす場合、前記自走型装置に前記かご内への乗車を指示する。
【0008】
また、本開示の一態様に係るエレベータ制御システムの制御方法は、エレベータのかご内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定ステップと、前記かご内の空気の状態が第1基準を満たす場合、空調装置を備える自律走行可能な自走型装置に前記かご内への乗車を指示する乗車指示ステップと、を含む。
【0009】
本発明の各態様に係るエレベータ制御システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理システムをコンピュータにて実現させる情報処理システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、空調装置を備える自走型装置を用いて、エレベータのかご内の空調を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1に係るエレベータ制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】エレベータ制御システムが行う処理の流れの概略を説明するためのフローチャートである。
【
図5】エレベータ制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】エレベータ制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】自走型装置管理装置が乗車要請に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】更新された自走型装置情報の一例を示す図である。
【
図9】自走型装置管理装置が乗車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】更新された自走型装置情報の一例を示す図である。
【
図11】自走型装置管理装置が降車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】更新された自走型装置情報の一例を示す図である。
【
図13】自走型装置が移動指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】自走型装置が乗車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】自走型装置が降車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の実施形態2に係るエレベータ制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】群管理制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図19】群管理制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図20】更新された号機情報の一例を示す図である。
【
図21】更新された号機情報の一例を示す図である。
【
図22】更新された号機情報の一例を示す図である。
【
図23】更新された号機情報の一例を示す図である。
【
図24】自走型装置管理装置が乗車要請に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図25】自走型装置管理装置が乗車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図26】自走型装置管理装置が降車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(エレベータ制御システム100の概要)
エレベータのかご内には換気装置が設けられていることが多い。例えば、蒸し暑い時期にかご内が蒸し暑い状態となった場合、換気するだけではかご内の空気の状態が改善しない場合がある。
【0013】
かご内の空気を改善するためには、冷房機能および除湿機能などを備える空調装置を用いることが効果的であるが、かご内に空調装置が設けられているエレベータは少ない。本発明の実施形態に係るエレベータ制御システム(例えば、後述のエレベータ制御システム100、100a)は、空調装置31を備える自走型装置3を利用して、エレベータ5のかご51内の空気の状態を改善することができる。
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0015】
図1は、エレベータ制御システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、エレベータ制御システム100は、自走型装置管理装置2、空調装置31を有する自走型装置3、エレベータ制御装置4、エレベータ5、建物管理装置6、および撮像装置7を備えていてもよい。
【0016】
エレベータ制御システム100において、自走型装置管理装置2、自走型装置3、エレベータ制御装置4、建物管理装置6、および撮像装置7は、情報伝送可能なネットワークを介して接続されている。エレベータ制御システム100には、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどのネットワークが用いられていてもよい。
【0017】
本実施形態では、エレベータ制御装置4およびエレベータ5が1つ設けられている建物にエレベータ制御システム100を適用した場合を例に挙げて説明する。なお、エレベータ制御システム100が備える自走型装置管理装置2、自走型装置3、および撮像装置7は、それぞれ1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0018】
<自走型装置管理装置2>
自走型装置管理装置2は、自走型装置3の移動を含む各種動作を管理する。自走型装置管理装置2は、自走型装置3に対して各種指示を送信し、自走型装置3からの連絡を受信する。各種指示には、例えば、移動指示、エレベータ5のかご51内への乗車指示、およびかご51内からの降車指示などが含まれ得る。
【0019】
また、自走型装置管理装置2は、エレベータ制御装置4から乗車指示および降車指示を受け付ける。乗車指示は、自走型装置3をエレベータ5のかご51内に乗車させることを指示する制御信号である。自走型装置管理装置2は、エレベータ制御装置4からの乗車指示に応じて、自走型装置3に対してかご51内への乗車を指示する。一方、降車指示は、自走型装置3をエレベータ5のかご51内から降車させることを指示する制御信号である。自走型装置管理装置2は、エレベータ制御装置4からの降車指示に応じて、自走型装置3に対してかご51内からの降車を指示する。
【0020】
自走型装置管理装置2は、エレベータ制御装置4から乗車要請および降車要請を受け付けてもよい。乗車要請は、自走型装置3をエレベータ5のかご51内への乗車を要請する制御信号である。乗車要請は、エレベータ制御装置4からの乗車指示が出力される前に出力され得る。自走型装置管理装置2(例えば、後述の自走型装置管理部211)は、エレベータ制御装置4からの乗車要請に応じて、自走型装置IDおよび自走型装置3がかご51内に乗車する階床を示す乗車階情報をエレベータ制御装置4に通知する。また、自走型装置管理装置2(例えば、後述の自走型装置管理部211)は、自走型装置3に対してエレベータ5の乗場への移動を指示してもよい。エレベータ制御装置4からの降車要請に応じて、自走型装置3は、空調装置31の動作を開始させてもよい。一方、降車要請は、自走型装置3をエレベータ5のかご51内からの降車を要請する制御信号である。降車要請は、エレベータ制御装置4から降車指示が出力される前に出力され得る。自走型装置管理装置2は、エレベータ制御装置4からの降車要請に応じて、自走型装置3に対してかご51内から降車するための準備処理を行うよう指示してもよい。ここで、降車するための準備処理としては、例えば、エレベータ制御装置4は、かご51内から降車する旨の音声アナウンスの出力、および、かご呼びの登録をしてもよい。エレベータ制御装置4からの降車要請に応じて、自走型装置3は、空調装置31の動作を停止させてもよい。
【0021】
自走型装置管理装置2は、コンピュータを利用して構成され、制御部21および記憶部22を備えている。記憶部22は、自走型装置管理装置2において用いられる各種情報を記憶する。
図1に示すように、記憶部22は、自走型装置情報221を記憶している。
【0022】
自走型装置情報221は、自走型装置3の現在の動作状況および現在の位置、および今後の動作予定に関する情報を含んでいてもよい。
図2は、自走型装置情報221の一例を示す図である。ここでは、自走型装置3が3台である場合を例に挙げて説明するが、自走型装置3の数は1~2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0023】
自走型装置情報221には、
図2に示すように、「自走型装置ID」、「状況」、「現在地」、「予約時刻」、および「作業終了時刻」が含まれていてもよい。「自走型装置ID」は、自走型装置3の各々を識別可能な識別情報であり、自走型装置3の各々の名称であってもよい。「状況」は、自走型装置3の各々の現在の動作状況を示す情報である。「現在地」は、自走型装置3の各々の現在の位置を示す情報である。「予約時刻」は、エレベータ制御装置4からの乗車要請に対応中の自走型装置3が、乗場に到着する時刻(すなわち、当該自走型装置3がかご51内に乗車可能となる時刻)を示す情報である。「作業終了時刻」は、自走型装置3が現在行っている作業が終了する時刻を示す情報である。
図2において、例えば、自走型装置ID「Robot1」の自走型装置3は現在5階にて待機中であり、自走型装置ID「Robot2」の自走型装置3は現在6階にて作業中であり、その作業は13:30に終了する。
【0024】
制御部21は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部21は、記憶部22に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。制御部21は、自走型装置管理部211を備えている。
【0025】
自走型装置管理部211は、自走型装置3の移動、自走型装置3への作業割当、および自走型装置3による作業進捗等を管理する。自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4からの乗車要請、乗車指示、降車要請、および降車指示に基づいて、自走型装置3に対して、乗場への移動指示、かご51内への乗車指示、およびかご51内からの降車指示などを送信する。自走型装置管理部211は、自走型装置3に対して移動指示、乗車指示、および降車指示を送信したことに応じて、自走型装置情報221を適宜更新してもよい。例えば、自走型装置管理部211は、乗車指示を自走型装置3に送信した場合、自走型装置情報221の「状況」を「作業中」および「乗車中」などに更新してもよい。
【0026】
自走型装置管理部211は、複数の自走型装置3を管理してもよい。この場合、自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4からの乗車要請に応じて、複数の自走型装置3のうち最も早くかご51内に乗車可能な自走型装置3に、かご51内への乗車を指示してもよい。また、自走型装置管理部211は、降車要請に応じて、自走型装置3にかご51内からの降車を指示してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100は、かご51内の空気の状態を迅速に改善させることができる。
【0027】
自走型装置管理部211は、自走型装置3から各種情報を取得する。例えば、自走型装置3からかご51内への乗車が完了した旨を示す乗車完了報告、およびかご51内からの降車が完了した旨を示す降車完了報告などを受信してもよい。自走型装置管理部211は、自走型装置3から乗車完了報告および降車完了報告を受信した旨を、エレベータ制御装置4に実時間で報告する構成であってもよい。これにより、エレベータ制御装置4は、乗車指示および降車指示に対応している自走型装置3のかご51内への乗車状況および降車状況に基づいて当該かご51の運行を制御することができる。
【0028】
ここでは、エレベータ制御システム100において、自走型装置3に対する各種指示が自走型装置管理装置2から自走型装置3に送信される構成について説明するが、この構成に限定されない。例えば、エレベータ制御装置4が、自走型装置管理部211の機能を備えていてもよく、その場合、エレベータ制御システム100は、エレベータ制御装置4から直接自走型装置3に各種指示を送信可能な構成であってもよい。
【0029】
<自走型装置3>
自走型装置3は、空調装置31を備え、自律走行可能な装置である。ここで、空調装置31は、冷房機能、暖房機能、除湿機能、および加湿機能のうちの少なくとも1つの機能を備えている。自走型装置3は、脚部、車輪、およびキャタピラなどのうちのいずれかを用いた走行機能および/または歩行機能を備えるロボットであってもよい。自走型装置3は、エレベータ5を利用して階床間を移動することも可能である。
【0030】
乗車指示を受信した自走型装置3は、かご51内への乗車が完了した時点で乗車完了報告を自走型装置管理装置2に送信してもよい。また、降車指示を受信した自走型装置3は、かご51内からの降車が完了した時点で降車完了報告を自走型装置管理装置2に送信してもよい。
【0031】
<撮像装置7>
撮像装置7は、建物の各階床に設置され、エレベータ5の乗場を撮像可能な装置である。撮像装置7は、デジタルカメラおよび監視カメラであってもよい。以下、撮像装置7によって撮像された画像を「乗場画像」と記す。
【0032】
<建物管理装置6>
建物管理装置6は、建物の各階床の状況を監視・管理する。建物管理装置6は、一例において、建物の維持および管理を行う会社によって管理されているクラウドサーバであってもよい。
【0033】
建物管理装置6は、コンピュータを利用して構成され、制御部61および記憶部62を備えている。記憶部62は、建物管理装置6において用いられる各種情報を記憶する。
図1に示すように、制御部61は、各階床情報管理部611を備え、記憶部62は各階床情報621を記憶している。
【0034】
各階床情報管理部611は、建物の各階床に設置されている各種センサによって計測された計測結果を取得し、各階床情報621に記憶する。各種センサには、各階床の空気の温度を計測可能な温度センサおよび湿度を計測可能な湿度センサなどが含まれ得る。
【0035】
図3は、各階床情報621の一例を示す図である。ここでは、建物が1~12階の階床を有している場合を例に挙げて説明する。各階床情報621は、各階床にて計測された温度および湿度の計測結果が含まれている。
図3において、例えば、1階の温度は「29℃」であり、湿度は「65%」である。各階床情報621は、各階床のエレベータ乗場に設置されている各種センサによって計測された計測結果(乗場の状況を示す乗場情報)を含んでいてもよい。
【0036】
また、各階床情報管理部611は、乗場画像を撮像装置7から取得してもよい。この場合、各階床情報管理部611は、取得した各階床の乗場画像を記憶部62(例えば、各階床情報621)に記憶してもよい。あるいは、各階床情報管理部611は、取得した乗場画像に基づいて各階床の乗場の混雑具合を判定し、判定結果(乗場の状況を示す乗場情報)を記憶部62(例えば、各階床情報621)に記憶してもよい。
【0037】
各階床情報管理部611は、エレベータ制御装置4からの情報要求に応じて、各階床情報621に含まれる各階床の温度および湿度に関する情報、および各階床の乗場の混雑具合についての判定結果などの乗場情報を、エレベータ制御装置4に提供してもよい。
【0038】
<エレベータ5>
エレベータ5は、エレベータ制御装置4の制御に従い、かご51の階床間の移動、および扉の開閉を行う。エレベータ5は、利用者および自走型装置3が乗車可能なかご51、およびかご51内の空気の状態を計測するかご内センサ52を備えている。以下では、かご内センサ52が、かご51内の温度および湿度を計測可能なセンサである場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、かご内センサ52は、かご51内の温度を測定のみを可能なセンサであってもよいし、湿度のみを計測可能なセンサであってもよい。
【0039】
<エレベータ制御装置4>
エレベータ制御装置4は、巻上機等の動作を制御することにより、かご51の上昇、下降、停止、走行速度等、エレベータ5の運行を統合的に制御する。また、エレベータ制御装置4は、かご内センサ52から計測結果を取得する。エレベータ制御装置4は、取得した計測結果を記憶部42のかご情報421に記憶してもよい。
【0040】
エレベータ制御装置4は、取得した計測結果が第1基準を満たす場合、自走型装置3をかご51内へ乗車させるための乗車指示を出力する。なお、エレベータ制御装置4は、取得した計測結果が第1基準を満たす場合、乗車指示を出力する前に乗車要請を出力してもよい。
【0041】
エレベータ制御装置4は、コンピュータを利用して構成され、制御部41および記憶部42を備える。
【0042】
まず、記憶部42について説明する。記憶部42は、エレベータ制御装置4において用いられる各種情報を記憶する。
図1に示すように、記憶部42は、少なくともかご情報421および乗車階情報422を記憶している。
【0043】
かご情報421は、かご内センサ52から取得した計測結果である。計測結果には、かご51内の温度および湿度を示す情報が含まれる。以下では、エレベータ制御装置4が、かご内センサ52から現在のかご51内の温度および湿度の計測結果を一定の時間間隔で取得する構成を例に挙げて説明する。ここで、計測結果を取得する頻度は、かご51内の空気の状態が第1基準を満たす(すなわち利用者に不快感を与える可能性のある状態)時間の長さが過度に長くならないように任意に設定され得る。計測結果を取得する頻度は、一例において、5秒毎であってもよいし、10秒毎であってもよい、30秒毎、1分毎であってもよい。
【0044】
乗車階情報422は、エレベータ制御装置4からの乗車要請に応じて、自走型装置管理装置2からエレベータ制御装置4に通知される、自走型装置IDおよび自走型装置3がかご51内に乗車する階床を示す情報である。なお、エレベータ制御装置4からの乗車要請に応じて、自走型装置管理装置2からエレベータ制御装置4に自走型装置3がかご51内へ乗車することが可能となる乗車可能時刻がさらに通知されてもよい。この場合、乗車階情報422には、自走型装置ID、乗車可能時刻、および乗車階情報が格納され得る。
【0045】
続いて、制御部41について説明する。制御部41は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部41は、記憶部42に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。制御部41は、取得部411、状態判定部412、要請部413、指示部414、および乗場状況判定部415を備えている。
【0046】
取得部411は、各種情報を取得し、取得した情報を適宜、記憶部42に格納し管理する。例えば、取得部411は、かご内センサ52から取得した計測結果を記憶部42のかご情報421に格納する。また、取得部411は、建物管理装置6から、各階床の温度および湿度に関する情報、および各階床の乗場の混雑具合に関する情報(判定結果)を取得してもよい。
【0047】
状態判定部412は、エレベータ5のかご51内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する。ここで、第1基準は、かご51内の利用者が不快に感じる可能性のある状態か否かを判定するために設定された基準である。例えば、第1基準を満たす状態は、温度および/または湿度の計測値が予め設定された適正範囲内ではない状態である。適正範囲は、季節(および天候)に応じて異なっていてもよい。一例において、気温が高くなり蒸し暑い時期の場合、適正範囲は、「温度28℃以下」、「湿度60%以下」、または「温度28℃以下かつ湿度60%以下」などと設定され得る。一方、気温が低くなり寒く乾燥している時期の場合、適正範囲は、「温度18℃以上」、「湿度30%以上」、または「温度18℃以下かつ湿度30%以上」などと設定され得る。
【0048】
状態判定部412は、エレベータ5のかご51内の空気の状態が第2基準を満たすか否かを判定してもよい。ここで、第2基準は、かご51内の空気として理想的な状態(すなわち、維持されることが望ましい状態)として設定された基準である。すなわち、第2基準は、かご51内の空気を自走型装置3によって改善する場合の目標とする基準である。例えば、第2基準を満たす状態は、温度および/または湿度の計測値が予め設定された基準範囲内である状態である。基準範囲は、季節(および天候)に応じて異なっていてもよい。一例において、気温が高くなり蒸し暑い時期の場合、基準範囲は、「温度26℃以下」、「湿度50%以下」、または「温度26℃以下かつ湿度50%以下」などと設定され得る。一方、気温が低くなり寒く乾燥している時期の場合、基準範囲は、「温度20℃以上」、「湿度40%以上」、または「温度18℃以下かつ湿度40%以上」などと設定され得る。
【0049】
要請部413は、かご51内の空気の状態が第1基準を満たすと判定された場合に、自走型装置3をかご51内に乗車させるための乗車要請を自走型装置管理装置2(自走型装置管理部211)に出力してもよい。この構成によれば、エレベータ制御装置4は、空気の状態の改善が必要なかご51内に自走型装置3を乗車させるよう要請することができる。
【0050】
かご51内に自走型装置3が乗車していることで、当該かご51内に乗車できない利用者が発生する可能性がある。そこで、自走型装置3が乗車後のかご51内の空気の状態が第2基準を満たす場合(すなわち、かご51内の空気の状態が改善された場合)、要請部413は、自走型装置3をかご51内から降車させるための降車要請を自走型装置管理装置2(自走型装置管理部211)に出力してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100は、かご51内の空気の状態が改善すれば自走型装置3をかご51内から降車させる。これにより、エレベータ制御システム100は、空気の状態が改善したかご51内に、より多くの利用者が乗車できるようにすることができる。
【0051】
状態判定部412は、エレベータ5のかご51内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する前に、かご51内の空気の状態が第2基準を満たしているか否かを判定する構成であってもよい。すなわち、状態判定部412は、エレベータ5のかご51内の空気の状態が、第2基準を満たしていないことが確認された場合にのみ、かご51内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定してもよい。例えば、かご51内の空気の状態が第2基準を満たす場合、かご51内の空気の状態は良好である。かご51内の空気が第1基準も第2基準も満たさない状態からさらに悪化し、第1基準を満たす状態になれば、エレベータ制御システム100は、かご51内の空気の状態を改善させるため、自走型装置3にかご51内へ乗車を指示する。
【0052】
要請部413は、自走型装置3がかご51内から降車するための降車要請を自走型装置管理装置2(自走型装置管理部211)に出力してもよい。
【0053】
指示部414は、取得した計測結果が第1基準を満たす場合、自走型装置3をかご51内へ乗車させるための乗車指示を自走型装置管理装置2に出力する。指示部414は、乗車階情報422に記憶されている階床にかご51が停止して戸開した場合に、自走型装置管理装置2に乗車指示を出力してもよい。
【0054】
乗場状況判定部415は、エレベータ5の乗場の状況に関する乗場情報が所定条件を満たす階床か否かを判定する。乗場状況判定部415は、所定条件を満たす階床を決定し、当該階床を行先階とするかご呼びを登録してもよい。この場合、指示部414(および要請部413)は、乗場状況判定部415による判定結果に基づいて、自走型装置3をかご51内から降車させるための階床を指定した降車指示(および降車要請)を出力してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100は、かご51内から自走型装置3を降車させる階床を、当該階床の乗場の状況を参照して決定する。これにより、空気の状態が改善されたかご51内から自走型装置3が降車するときに、改善したかご51内の空気の状態が乗場の状況に影響されて悪化する可能性を回避することができる。
【0055】
(エレベータ制御システム100が行う処理の概略)
エレベータ制御システム100が行う処理について説明する。
図4はエレベータ制御システム100が行う処理の流れの概略を説明するためのフローチャートである。
【0056】
まず、取得部411は、かご51内の空気の状態を取得する(ステップS1)。
【0057】
次に、状態判定部412は、かご51内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する(ステップS2:状態判定ステップ)。かご51内の空気の状態が第1基準を満たさない場合(ステップS2にてNO)、空気の状態の改善は不要であるとして、ステップS1に戻る。
【0058】
一方、かご51内の空気の状態が第1基準を満たす場合(ステップS2にてYES)、自走型装置管理装置2は、(エレベータ制御装置4からの乗車指示に応じて)自走型装置3にかご51内への乗車を指示する(ステップS3:乗車指示ステップ)。
【0059】
上記構成によれば、エレベータ制御システム100は、かご51内の空気の状態が第1基準を満たす場合、空調装置31を備える自走型装置3をかご51内に乗車させる。これにより、エレベータ制御システム100は、自走型装置3を用いてかご51内の空気の状態を適時に改善させることができる。
【0060】
(エレベータ制御システム100が行う処理の流れ)
以下、エレベータ制御システム100が行う処理の流れについて、
図5~
図15を用いて説明する。なお、以下では、気温が高く、かご51内が蒸し暑くなりやすい時期における処理を例に挙げて説明する。
【0061】
<エレベータ制御装置4が行う処理>
まず、エレベータ制御装置4が行う処理について、
図5および
図6を用いて説明する。
図5および
図6は、エレベータ制御装置4が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
取得部411がかご51内の空気の状態を取得し(
図4のステップS1と同じ)、状態判定部412は、かご51内の温度および湿度は基準範囲内か否かを判定する(ステップS41)。かご51内の温度および湿度が基準範囲内ではない場合(ステップS41にてNO)、状態判定部412は、かご51内の温度および湿度は適正範囲内か否かを判定する(ステップS42)。
【0063】
かご51内の温度および湿度が適正範囲内ではない場合(ステップS42にてNO)、要請部413は、自走型装置管理装置2に、自走型装置3をかご51内へ乗車させるための乗車要請を出力し(ステップS43a)、自走型装置ID、および自走型装置3がかご51内へ乗車する階床を示す乗車階情報を自走型装置管理装置2から受信するまで待機する。自走型装置管理装置2から自走型装置IDおよび乗車階情報を受信した場合(ステップS43bにてYES)、要請部413は、受信した自走型装置IDおよび乗車階情報を記憶部42(乗車階情報422)に記憶する(ステップS43c)。自走型装置管理装置2から乗車可能時刻を受信した場合、要請部413は、乗車可能時刻を自走型装置IDおよび乗車階情報と共に記憶部42(乗車階情報422)に記憶してもよい。
【0064】
なお、
図5に示す例では、ステップS43cにおいて、乗車階情報に示された階床にかご51を停止するためのかご呼びを登録していない。これは、かご51内の利用者が意図しないかご呼びを登録すると、利用者に不安を与える可能性があるためである。ステップS43cにおいて、自走型装置3を乗車させることをかご51内の利用者に通知するアナウンスの出力と、乗車階情報に示された階床にかご51を停止させるためのかご呼びの登録とが行われる構成であってもよい。
【0065】
乗車階情報が示す階床にかご51が停止して戸開した場合(ステップS43dにてYES)、処理は
図6の「P」に進み、指示部414は、自走型装置管理装置2に、自走型装置3をかご51内へ乗車させるための乗車指示を出力する(ステップS43e)。
【0066】
取得部411が、自走型装置3がかご51内への乗車が完了したことを示す乗車完了報告を受信すると(ステップS44にてYES)、状態判定部412は、かご51内の温度および湿度が基準範囲内か否かを判定する(ステップS45)。
【0067】
乗場状況判定部415は、かご51内の温度および湿度が基準範囲内である場合(ステップS45にてYES)、所定条件を満たす降車階を決定してかご呼びを登録する(ステップS46)。ステップS46にて決定した降車階にかご51が停止して戸開した場合(ステップS47にてYES)、要請部413は、自走型装置管理装置2に、自走型装置3をかご51内から降車させるための降車要請を出力し(ステップS48a)、その後に、指示部414は、自走型装置3をかご51内から降車させるための降車指示を出力する(ステップS48b)。
【0068】
取得部411が、自走型装置3がかご51内からの降車が完了したことを示す降車完了報告を受信すれば(ステップS49にてYES)、処理は終了する。
【0069】
<自走型装置管理装置2が乗車要請に応じて行う処理>
次に、自走型装置管理装置2が乗車要請に応じて行う処理について、
図7および
図8を用いて説明する。
図7は、自走型装置管理装置2が乗車要請に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8は、更新された自走型装置情報221の一例を示す図である。
【0070】
自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4から乗車要請を受信した場合(ステップS201にてYES)、自走型装置情報221の「状況」が「待機中」である自走型装置3の中から最適な自走型装置3を選定する。そして、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3の自走型装置IDおよび乗車階情報をエレベータ制御装置4に送信する(ステップS202)。ここで、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3の乗車可能時刻、自走型装置IDおよび乗車階情報と共にエレベータ制御装置4に送信してもよい。
【0071】
次に、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3について、自走型装置情報221の「状況」を「予約」、「予約時刻」を乗車可能時刻として登録する(ステップS203)。
図8には、自走型装置IDが「Robot1」である自走型装置3が選定された場合の例が示されている。
図8では、乗車可能時刻である「13:20」が「予約時刻」として登録されている例を示している。
【0072】
続いて、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3に、所定時刻までに所定場所へ移動させるための移動指示を送信する(ステップS204)。ここで、所定場所は、エレベータ乗場であってもよい。所定時刻は、自走型装置管理装置2によって設定された時刻であって、自走型装置3について登録された乗車可能時刻に基づいて設定された時刻であってもよい。乗車可能時刻が「13:20」と登録されている場合、所定時刻として、乗車可能時刻より以前の時刻(例えば「13:15」)が設定され得る。
【0073】
<自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9は、自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10は、更新された自走型装置情報221の一例を示す図である。
【0074】
自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4から乗車指示を受信した場合(ステップS205にてYES)、自走型装置3に、かご51内に乗車するように指示する(ステップS206)。
【0075】
その後、自走型装置3から乗車完了報告を受信した場合(ステップS207にてYES)、自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4に、自走型装置3がかご51内に乗車したことを連絡する(ステップS208)。
【0076】
そして、自走型装置管理部211は、自走型装置3について、自走型装置情報221の「状況」を「作業中」、「現在地」を「かご内」とし、「予約時刻」を削除して(空欄として)登録する(ステップS209)。
図10には、自走型装置IDが「Robot1」である自走型装置3について、
図8に示す自走型装置情報221からの更新結果が示されている。
図10では、「状況」が「予約」から「作業中」に更新され、「現在地」が「5F」から「かご内」に変更され、「予約時刻」が「13:20」から空欄へと更新された例を示している。
【0077】
<自走型装置管理装置2が降車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置管理装置2が降車指示に応じて行う処理について、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は、自走型装置管理装置2が降車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12は、更新された自走型装置情報221の一例を示す図である。
【0078】
自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4から降車指示を受信した場合(ステップS211にてYES)、自走型装置3に、かご51内から降車するように指示する(ステップS212)。
【0079】
その後、自走型装置3から降車完了報告を受信した場合(ステップ213にてYES)、自走型装置管理部211は、エレベータ制御装置4に、自走型装置3がかご51内から降車したことを連絡する(ステップS214)。
【0080】
そして、自走型装置管理部211は、自走型装置3について、自走型装置情報221の「状況」を「待機中」、「現在地」を降車階として登録する(ステップS215)。
図12には、自走型装置IDが「Robot1」である自走型装置3について、
図10に示す自走型装置情報221からの更新結果が示されている。
図12では、「状況」が「作業中」から「待機中」に更新され、「現在地」が「かご内」から「7F」(自走型装置IDが「Robot1」である自走型装置3は、かご51内に5階から乗車し、7階で降車している)に変更された例を示している。
【0081】
<自走型装置3が移動指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置3が移動指示に応じて行う処理について、
図13を用いて説明する。
図13は、自走型装置3が移動指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0082】
自走型装置3は、自走型装置管理装置2から移動指示を受信した場合(ステップS301にてYES)、所定場所に所定時刻までに到着するように移動する(ステップS302)。そして、自走型装置3は、所定場所までの移動が完了した場合(ステップS303にてYES)、自走型装置管理装置2に所定場所に到着したことを送信する(ステップS304)。
【0083】
<自走型装置3が乗車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置3が乗車指示に応じて行う処理について、
図14を用いて説明する。
図14は、自走型装置3が乗車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0084】
自走型装置3は、自走型装置管理装置2から乗車指示を受信した場合(ステップS305にてYES)、かご51内に乗車する(ステップS306)。そして、かご51内への乗車が完了した場合(ステップS307にてYES)、自走型装置管理装置2に乗車が完了したことを送信する(ステップS308)。
【0085】
<自走型装置3が降車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置3が降車指示に応じて行う処理について、
図15を用いて説明する。
図15は、自走型装置3が降車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0086】
自走型装置3は、自走型装置管理装置2から降車指示を受信した場合(ステップS309にてYES)、かご51内から降車する(ステップS310)。そして、かご51内からの降車が完了した場合(ステップS311にてYES)、自走型装置管理装置2に降車が完了したことを送信する(ステップS312)。
【0087】
〔実施形態2〕
複数号機の運行を制御するシステムでは、以下のような構成であってもよい。本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0088】
図16は、エレベータ制御システム100aの構成の一例を示すブロック図である。
図16に示すように、エレベータ制御システム100aは、群管理制御装置1、自走型装置管理装置2、空調装置31を有する自走型装置3、エレベータ制御装置4a、エレベータ5、建物管理装置6、および撮像装置7を備えていてもよい。
【0089】
エレベータ制御システム100aにおいて、群管理制御装置1、自走型装置管理装置2、自走型装置3、エレベータ制御装置4a、建物管理装置6、および撮像装置7は、情報伝送可能なネットワークを介して接続されている。エレベータ制御システム100には、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどのネットワークが用いられていてもよい。
【0090】
本実施形態では、エレベータ制御装置4aおよびエレベータ5が複数設けられている建物にエレベータ制御システム100aを適用した場合を例に挙げて説明する。なお、エレベータ制御システム100aが備える自走型装置管理装置2、自走型装置3、および撮像装置7は、それぞれ1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0091】
<自走型装置管理装置2>
自走型装置管理装置2は、群管理制御装置1から乗車指示および降車指示を受け付ける。乗車要請は、自走型装置3を、かご51内の空気の状態の改善が必要な号機(以下、対象号機)に乗車させることを指示する制御信号である。自走型装置管理装置2は、群管理制御装置1からの乗車指示に応じて、自走型装置3に対して対象号機への乗車を指示する。一方、降車指示は、自走型装置3をエレベータ5の対象号機から降車させることを指示する制御信号である。自走型装置管理装置2は、群管理制御装置1からの降車指示に応じて、自走型装置3に対して対象号機からの降車を指示する。
【0092】
自走型装置管理装置2は、群管理制御装置1から乗車要請および降車要請を受け付けてもよい。乗車要請は、群管理制御装置1からの乗車指示が出力される前に出力され得る。自走型装置管理装置2は、群管理制御装置1からの乗車要請に応じて、自走型装置3に対してエレベータ5の乗場への移動を指示してもよい。降車要請は、群管理制御装置1から降車指示が出力される前に出力され得る。自走型装置管理装置2は、群管理制御装置1からの降車要請に応じて、自走型装置3に対して対象号機から降車するための準備処理を行うよう指示してもよい。
【0093】
図16に示すように、自走型装置管理装置2は、コンピュータを利用して構成され、制御部21および記憶部22を備えている。記憶部22は、自走型装置情報221を記憶している。自走型装置情報221には、
図2に示すように、「自走型装置ID」、「状況」、「現在地」、「予約時刻」、および「作業終了時刻」が含まれていてもよい。「予約時刻」は、群管理制御装置1からの乗車要請に対応中の自走型装置3が、乗場に到着する時刻(すなわち、当該自走型装置3が対象号機に乗車可能となる時刻)を示す情報である。
【0094】
制御部21は、自走型装置管理部211を備えている。自走型装置管理部211は、自走型装置3の移動、自走型装置3への作業割当、および自走型装置3による作業進捗等を管理する。自走型装置管理部211は、群管理制御装置1からの乗車要請、乗車指示、降車要請、および降車指示に基づいて、自走型装置3に対して、乗場への移動指示、対象号機への乗車指示、および対象号機からの降車指示などを送信する。自走型装置管理部211は、自走型装置3に対して移動指示、乗車指示、および降車指示を送信したことに応じて、自走型装置情報221を適宜更新してもよい。
【0095】
自走型装置管理部211は、複数の自走型装置3を管理してもよい。この場合、自走型装置管理部211は、群管理制御装置1からの乗車要請に応じて、複数の自走型装置3のうち最も早くかご51内に乗車可能な自走型装置3に、かご51内への乗車を指示してもよい。また、自走型装置管理部211は、降車要請に応じて、自走型装置3にかご51内からの降車を指示してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100は、かご51内の空気の状態を迅速に改善させることができる。
【0096】
自走型装置管理部211は、自走型装置3から各種情報を取得する。例えば、自走型装置3から対象号機への乗車が完了した旨を示す乗車完了報告、および対象号機からの降車が完了した旨を示す降車完了報告などを受信してもよい。自走型装置管理部211は、自走型装置3から乗車完了報告および降車完了報告を受信した旨を、群管理制御装置1に実時間で報告する構成であってもよい。これにより、群管理制御装置1は、乗車指示および降車指示に対応している自走型装置3の対象号機への乗車状況および降車状況に基づいて当該かご51の運行を制御することができる。
【0097】
ここでは、エレベータ制御システム100aにおいて、自走型装置3に対する各種指示が自走型装置管理装置2から自走型装置3に送信される構成について説明するが、この構成に限定されない。例えば、群管理制御装置1が、自走型装置管理部211の機能を備えていてもよく、その場合、エレベータ制御システム100aは、群管理制御装置1から直接自走型装置3に各種指示を送信可能な構成であってもよい。
【0098】
<建物管理装置6>
建物管理装置6は、建物の各階床の状況を監視・管理する。建物管理装置6は、一例において、建物の維持および管理を行う会社によって管理されているクラウドサーバであってもよい。
【0099】
建物管理装置6は、コンピュータを利用して構成され、制御部61および記憶部62を備えている。記憶部62は、建物管理装置6において用いられる各種情報を記憶する。
図16に示すように、制御部61は、各階床情報管理部611を備え、記憶部62は各階床情報621を記憶している。
【0100】
各階床情報管理部611は、建物の各階床に設置されている各種センサによって計測された計測結果を取得し、各階床情報621に記憶する。各種センサには、各階床の空気の温度を計測可能な温度センサおよび湿度を計測可能な湿度センサなどが含まれ得る。各階床情報管理部611は、群管理制御装置1からの情報要求に応じて、各階床情報621に含まれる各階床の温度および湿度に関する情報、および各階床の乗場の混雑具合についての判定結果を、群管理制御装置1に提供してもよい。
【0101】
<エレベータ制御装置4a>
エレベータ制御装置4aは、巻上機等の動作を制御することにより、対応する号機のかご51の上昇、下降、停止、走行速度等、エレベータ5の運行を統合的に制御する。エレベータ制御装置4aは、取得部411、状態判定部412、要請部413、指示部414、および乗場状況判定部415を備えていない点で、実施形態1におけるエレベータ制御装置4と異なっている。
【0102】
<群管理制御装置1>
群管理制御装置1は、エレベータ制御装置4aとの通信を介してエレベータ5のかご51(以下、号機と記す場合がある)の運行を統合的に制御する。群管理制御装置1は、コンピュータを利用して構成され、制御部11および記憶部12を備える。
【0103】
まず、記憶部12について説明する。記憶部12は、群管理制御装置1において用いられる各種情報を記憶する。
図16に示すように、記憶部12は、号機情報121を記憶している。
【0104】
号機情報121は、各号機のかご内センサ52から取得した計測結果である。計測結果には、各号機のかご51内の温度および湿度を示す情報が含まれる。以下では、群管理制御装置1が、かご内センサ52から各号機の現在のかご51内の温度および湿度の計測結果を一定の時間間隔で取得する構成を例に挙げて説明する。
【0105】
図17は、号機情報121の一例を示す図である。ここでは、群管理制御装置1が6台の号機の運行を制御している場合を例に挙げて説明する。号機情報121には、
図17に示すように、各号機についての、「号機名」、「温度」、「湿度」、「定員」、「乗車情報」、「乗車可能時刻」、「乗車階」(乗車階情報)、および「自走型装置ID」が含まれていてもよい。
【0106】
「号機名」は、各号機に固有の名称あるいは号機IDであってもよい。「温度」および「湿度」はそれぞれ、各号機のかご内センサによって計測された、現在の各号機のかご51内の温度および湿度を示す情報である。「定員」は、各号機に乗車可能な利用者数の上限を示す情報である。各号機のかご51の大きさなどに応じて予め設定されている。「定員」は、群管理制御装置1によって変更され得る。「乗車情報」は、乗車指示(および乗車要請)に対応している自走型装置3の移動状況および乗車状況などに関する情報である。「乗車可能時刻」は、乗車指示(および乗車要請)に対応している自走型装置3が対象号機に乗車可能な時刻である。「乗車可能時刻」は、自走型装置管理装置2から群管理制御装置1に通知され得る。「乗車階」は、乗車指示(および乗車要請)に対応している自走型装置3が対象号機に乗車する階床を示す情報である。
図17において、例えば、「A号機」の現在のかご51内の温度は「29℃」であり、湿度は「65%」である。なお、
図17に示す号機情報121には、「A号機」についての「乗車情報」は「無」であり、「乗車可能時刻」、「乗車階」、および「自走型装置ID」はいずれも空欄である。このことは、群管理制御装置1から乗車指示および乗車要請などが未だ見出力であることを示している。
【0107】
続いて、制御部11について説明する。制御部11は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部11は、記憶部12に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。制御部11は、取得部111、状態判定部112、要請部113、指示部114、乗場状況判定部115、および割当部116を備えている。
【0108】
取得部111は、各種情報を取得し、取得した情報を適宜、記憶部12に格納し管理する。例えば、取得部111は、各号機のかご内センサ52から取得した計測結果を記憶部12の号機情報121に格納する。また、取得部111は、建物管理装置6から、各階床の温度および湿度に関する情報、および各階床の乗場の混雑具合に関する情報(判定結果)を取得してもよい。
【0109】
状態判定部112は、各号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する。状態判定部112は、各号機のかご51内の空気の状態が第2基準を満たすか否かを判定してもよい。
【0110】
要請部113は、いずれかの号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たすと判定された場合(すなわち、対象号機が検出された場合)に、自走型装置3を対象号機のかご51内に乗車させるための乗車要請を自走型装置管理装置2(自走型装置管理部211)に出力してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100aは、空気の状態の改善が必要な対象号機のかご51内に自走型装置3を乗車させるよう要請することができる。
【0111】
対象号機に自走型装置3が乗車していることで、対象号機のかご51内に乗車できない利用者が発生する可能性がある。そこで、要請部113は、自走型装置3が乗車後の対象号機のかご51内の空気の状態が第2基準を満たす場合、自走型装置3を対象号機から降車させるための降車要請を自走型装置管理装置2(自走型装置管理部211)に出力してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100aは、対象号機のかご51内の空気の状態が改善すれば自走型装置3を対象号機から降車させる。これにより、エレベータ制御システム100aは、空気の状態が改善した対象号機に、より多くの利用者が乗車できるようにすることができる。
【0112】
要請部113は、自走型装置3が対象号機から降車するための降車要請を自走型装置管理装置2(自走型装置管理部211)に出力してもよい。
【0113】
指示部114は、いずれかの号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たすと判定された場合(すなわち、対象号機が検出された場合)に、自走型装置3を対象号機に乗車させるための乗車指示を自走型装置管理装置2に出力する。
【0114】
乗場状況判定部115は、エレベータ5の乗場の状況に関する乗場情報が所定の条件を満たす階床か否かを判定する。この場合、要請部113は、乗場状況判定部115による判定結果に基づいて、自走型装置3を対象号機から降車させるための階床を指定してもよい。この構成によれば、エレベータ制御システム100aは、対象号機から自走型装置3を降車させる階床を、当該階床の乗場の状況を参照して決定する。これにより、空気の状態が改善された対象号機から自走型装置3が降車するときに、改善した対象号機のかご51内の空気の状態が乗場の状況に影響されて悪化する可能性を回避することができる。
【0115】
割当部116は、エレベータ5の利用者による乗場行先階呼びに対して複数の号機から割り当てる号機を決定する。それゆえ、割当部116は、各号機に割り当てる乗り場行先階呼びの数を制御し得る。割当部116は、号機情報121を適宜更新してもよい。例えば、割当部116がA号機に関する号機情報121の「定員」を「15」から「10」へと更新した場合、A号機に割り当てられる乗場行先階呼びの数の上限は10以下に制限される。割当部116が号機情報121を更新する処理については、後に具体例を挙げて説明する。
【0116】
対象号機が混雑していた場合、対象号機に自走型装置3が乗車するためのスペースが無く、自走型装置3が乗車できない可能性がある。また、対象号機が混雑していた場合、自走型装置3が対象号機に乗車していても、空気の循環が悪く、かご51内の空気の状態を改善するまでに長い時間を要する可能性がある。そこで、割当部116は、かご51内の空気の状態が第1基準を満たす対象号機が検出されてから自走型装置3が対象号機から降車するまでの期間、対象号機に割当可能な乗場行先階呼びの数の上限を所定値より低く設定してもよい。これにより、対象号機の空気の状態を速やか改善させることができる。
【0117】
また、割当部116は、自走型装置3が対象号機から降車した後、対象号機に割当可能な乗場行先階呼びの数の上限を所定値に戻してもよい。これにより、自走型装置3が乗車している間は低下していた対象号機の利便性を、自走型装置3が降車した後に回復させることができる。
【0118】
(エレベータ制御システム100aが行う処理の概略)
エレベータ制御システム100aが行う処理を、
図4を用いて説明すれば以下である。
【0119】
まず、取得部111は、各号機のかご51内の空気の状態を取得する(ステップS1)。
【0120】
次に、状態判定部112は、各号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する(ステップS2:状態判定ステップ)。すべての号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たさない場合(ステップS2にてNO)、空気の状態の改善は不要であるとして、ステップS1に戻る。
【0121】
一方、いずれかの号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たす場合(ステップS2にてYES)、自走型装置管理装置2は、(群管理制御装置1からの乗車指示に応じて)自走型装置3に当該号機のかご51内への乗車を指示する(ステップS3:乗車指示ステップ)。
【0122】
上記構成によれば、エレベータ制御システム100aは、ある号機のかご51内の空気の状態が第1基準を満たす場合、空調装置31を備える自走型装置3を当該号機のかご51内に乗車させる。これにより、エレベータ制御システム100aは、自走型装置3を用いて各号機のかご51内の空気の状態を適時に改善させることができる。
【0123】
(エレベータ制御システム100aが行う処理の流れ)
以下、エレベータ制御システム100aが行う処理の流れについて、
図18~
図26を用いて説明する。なお、以下では、気温が高く、かご51内が蒸し暑くなりやすい時期における処理を例に挙げて説明する。
【0124】
<群管理制御装置1が行う処理>
次に、群管理制御装置1が行う処理について、
図20~
図23を参照しつつ、
図18および
図19を用いて説明する。
図18および
図19は、群管理制御装置1が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0125】
取得部111が各号機のかご51内の空気の状態を取得し(
図4のステップS1と同じ)、状態判定部112は、各号機のかご51内の温度および湿度は基準範囲内か否かを判定する(ステップS101)。いずれかの号機のかご51内の温度および湿度が基準範囲内ではない場合(ステップS101にてNO)、状態判定部112は、当該号機のかご51内の温度および湿度は適正範囲内か否かを判定する(ステップS102)。以下では、かご51内の空気を改善すべき号機がA号機である場合を例に挙げて説明するがこれに限定されない。また、かご51内の空気を改善すべき号機の数は1つではなく複数であってもよい。
【0126】
A号機のかご51内の温度および湿度が適正範囲内ではない場合(ステップS102にてNO)、割当部116は、A号機について、号機情報(例えば「乗車情報」および「定員」)を更新する(ステップS103)。
図20は、更新された号機情報121の一例を示す図である。
図20には、かご51内の温度が「29℃」、湿度が「65%」であり、かご51内の空気を改善すべきA号機について、
図17に示す号機情報121からの更新結果が示されている。
図20では、A号機の「乗車情報」が「無」から「乗車待ち」へと更新され、「定員」が「15」から「10」へと更新された例を示している。
【0127】
次に、要請部113は、自走型装置管理装置2に、自走型装置3をA号機に乗車させるための乗車要請を出力する(ステップS104)。
【0128】
取得部111が、自走型装置管理装置2から「乗車可能時刻」、「乗車階」、「自走型装置ID」を受信すると(ステップS105にてYES)、割当部116は、A号機の情報(「乗車可能時刻」、「乗車階」、「自走型装置ID」)を更新する(ステップS106)。
図21は、更新された号機情報121の一例を示す図である。
図21には、A号機について、
図20に示す号機情報121からの更新結果が示されている。
図21では、A号機の「乗車可能時刻」が空欄から「13:20」へと更新され、「乗車階」が空欄から「5F」へと更新され、「自走型装置ID」が空欄から「Robot1」へと更新された例を示している。
【0129】
時刻が「乗車可能時刻」を経過した場合(ステップS107にてYES)、処理は
図19の「Q」に進み、割当部116は、A号機を制御するエレベータ制御装置4aにかご呼びを登録する(ステップS108)。このかご呼びでは自走型装置3の乗車階(
図21に示す例の場合は5階)が登録される。
【0130】
A号機が自走型装置3の乗車階に停止して戸開した場合(ステップS109にてYES)、指示部114は、自走型装置管理装置2に、自走型装置3をA号機に乗車させるための乗車指示を出力する(ステップS110)。
【0131】
自走型装置3の乗車が完了すると(ステップS111にてYES)、次に、割当部116は、A号機についての号機情報121(「乗車情報」、「乗車可能時刻」、および「乗車階」)を更新する(ステップS112)。
図22は、更新された号機情報121の一例を示す図である。
図22には、A号機について、
図21に示す号機情報121からの更新結果が示されている。
図22では、A号機の「乗車情報」が「乗車待ち」から「乗車中」へと更新され、「乗車可能時刻」が「13:20」から空欄へと更新され、「乗車階」が「5F」から空欄へと更新された例を示している。
【0132】
続いて、取得部111がA号機のかご51内の温度および湿度を取得し、状態判定部112は、A号機のかご51内の温度および湿度は基準範囲内か否かを判定する(ステップS113)。A号機のかご51内の温度および湿度が基準範囲内であれば(ステップS113にてYES)、指示部114は、自走型装置3をA号機のかご51内から降車させるための降車指示を出力する(ステップS114)。このとき、割当部116は、乗場状況判定部115によって、所定条件を満たすと判定された階床を自走型装置3の降車階として登録してもよい。割当部116は、A号機を制御するエレベータ制御装置4aにかご呼びを登録してもよい。このかご呼びでは自走型装置3の降車階が登録される。
【0133】
自走型装置3の降車が完了すると(ステップS115にてYES)、次に、割当部116は、A号機についての号機情報121(「定員」、「乗車情報」、および「自走型装置ID」)を更新する(ステップS116)。
図23は、更新された号機情報121の一例を示す図である。
図23には、A号機について、
図22に示す号機情報121からの更新結果が示されている。
図23では、A号機の「定員」が「10」から「15」へと更新され、「乗車情報」が「乗車中」から空欄へと更新され、「自走型装置ID」が「Robot1」から空欄へと更新された例を示している。
【0134】
<自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置管理装置2が乗車要請に応じて行う処理について、
図24を用いて説明する。
図24は、自走型装置管理装置2が乗車要請に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0135】
自走型装置管理部211は、群管理制御装置1から乗車要請を受信した場合(ステップS201aにてYES)、自走型装置情報221の「状況」が「待機中」である自走型装置3の中から最適な自走型装置3を選定する。そして、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3の自走型装置ID、乗車可能時刻、および乗車階情報を群管理制御装置1に送信する(ステップS202a)。
【0136】
次に、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3について、自走型装置情報221の「状況」を「予約」、「予約時刻」を乗車可能時刻として登録する(ステップS203a)。
【0137】
続いて、自走型装置管理部211は、選定した自走型装置3に、所定時刻までに所定場所へ移動させるための移動指示を送信する(ステップS204a)。ここで、所定場所は、エレベータ乗場であってもよい。所定時刻は、自走型装置管理装置2によって設定された時刻であって、自走型装置3について登録された乗車可能時刻に基づいて設定された時刻であってもよい。
【0138】
<自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理について、
図25を用いて説明する。
図25は、自走型装置管理装置2が乗車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0139】
自走型装置管理部211は、群管理制御装置1から乗車指示を受信した場合(ステップS205aにてYES)、自走型装置3に、A号機に乗車するように指示する(ステップS206a)。
【0140】
その後、自走型装置3から乗車完了報告を受信した場合(ステップS207aにてYES)、自走型装置管理部211は、群管理制御装置1に、自走型装置3がA号機に乗車したことを連絡する(ステップS208a)。
【0141】
そして、自走型装置管理部211は、自走型装置3について、自走型装置情報221の「状況」を「作業中」、「現在地」を「かご内」とし、「予約時刻」を削除して(空欄として)登録する(ステップS209a)。
【0142】
<自走型装置管理装置2が降車指示に応じて行う処理>
次に、自走型装置管理装置2が降車指示に応じて行う処理について、
図26を用いて説明する。
図26は、自走型装置管理装置2が降車指示に応じて行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0143】
自走型装置管理部211は、群管理制御装置1から降車指示を受信した場合(ステップS211aにてYES)、自走型装置3に、A号機から降車するように指示する(ステップS212a)。
【0144】
その後、自走型装置3から降車完了報告を受信した場合(ステップS213aにてYES)、自走型装置管理部211は、群管理制御装置1に、自走型装置3がA号機から降車したことを連絡する(ステップS214a)。
【0145】
そして、自走型装置管理部211は、自走型装置3について、自走型装置情報221の「状況」を「待機中」、「現在地」を降車階として登録する(ステップS215a)。
【0146】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータ制御システム100、100a(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11、21、41、61に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0147】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0148】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータが読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0149】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0150】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0151】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0152】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るエレベータ制御システムは、エレベータのかご内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定部と、空調装置を備える自律走行可能な自走型装置を管理する自走型装置管理部と、を備え、前記自走型装置管理部は、前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たす場合、前記自走型装置に前記かご内への乗車を指示する。
【0153】
本開示の態様2に係るエレベータ制御システムは、態様1において、前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たすと判定された場合に、前記自走型装置を前記かご内に乗車させるための乗車要請を前記自走型装置管理部に出力する要請部をさらに備え、前記自走型装置管理部は、複数の前記自走型装置を管理し、前記乗車要請に応じて、前記複数の自走型装置のうち最も早く前記かご内に乗車可能な自走型装置に、前記かご内への乗車を指示してもよい。
【0154】
本開示の態様3に係るエレベータ制御システムは、態様1または2において、前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たすと判定された場合に、前記自走型装置を前記かご内に乗車させるための乗車要請を前記自走型装置管理部に出力する要請部をさらに備え、前記自走型装置管理部は、前記乗車要請に応じて、前記自走型装置に前記かご内への乗車を指示してもよい。
【0155】
本開示の態様4に係るエレベータ制御システムは、態様3において、前記要請部は、前記自走型装置が乗車後の前記かご内の空気の状態が第2基準を満たす場合、前記自走型装置を前記かご内から降車させるための降車要請を前記自走型装置管理部に出力し、前記自走型装置管理部は、前記降車要請に応じて前記自走型装置に前記かご内からの降車を指示してもよい。
【0156】
本開示の態様5に係るエレベータ制御システムは、態様4において、前記エレベータの乗場の状況に関する乗場情報が所定の条件を満たす階床か否かを判定する乗場状況判定部をさらに備え、前記要請部は、前記所定の条件を満たすと判定された階床において前記自走型装置が前記かご内から降車するための前記降車要請を前記自走型装置管理部に出力してもよい。
【0157】
本開示の態様6に係るエレベータ制御システムは、態様1から5のいずれかにおいて、前記エレベータは複数の号機を備え、前記エレベータの利用者による乗場行先階呼びに対して前記複数の号機から割り当てる号機を決定する割当部、をさらに備え、前記割当部は、前記かご内の空気の状態が前記第1基準を満たす対象号機が検出されてから前記自走型装置が前記対象号機から降車するまでの期間、前記対象号機に割当可能な乗場行先階呼びの数の上限を所定値より低く設定してもよい。
【0158】
本開示の態様7に係るエレベータ制御システムは、態様6において、前記割当部は、前記自走型装置が前記対象号機から降車した後、前記上限を前記所定値に戻してもよい。
【0159】
本開示の態様8に係るエレベータ制御システムの制御方法は、エレベータのかご内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定ステップと、前記かご内の空気の状態が第1基準を満たす場合、空調装置を備える自律走行可能な自走型装置に前記かご内への乗車を指示する乗車指示ステップと、を含む。
【符号の説明】
【0160】
3 自走型装置
5 エレベータ
31 空調装置
51 かご
100、100a エレベータ制御システム
111、411 取得部
112、412 状態判定部
113、413 要請部
114、414 指示部
115、415 乗場状況判定部
116 割当部
211 自走型装置管理部
【要約】
【課題】空調装置を備える自走型装置を用いて、エレベータのかご内の空調を行う。
【解決手段】エレベータ制御システム(100)は、エレベータ(5)のかご(51)内の空気の状態が第1基準を満たすか否かを判定する状態判定部(412)と、空調装置(31)を備える自律走行可能な自走型装置(3)を管理する自走型装置管理部(211)と、を備え、自走型装置管理部(211)は、かご(51)内の空気の状態が第1基準を満たす場合、自走型装置(3)にかご(51)内への乗車を指示する。
【選択図】
図1