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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20240409BHJP
   G01R 31/67 20200101ALI20240409BHJP
【FI】
G01D5/12 G
G01R31/67
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023500666
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2022002525
(87)【国際公開番号】W WO2022176522
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2021022367
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高▲瀬▼ 恭英
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特公昭56-47484(JP,B2)
【文献】特開2014-98577(JP,A)
【文献】特開2018-31630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0177280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12 - 5/252
G01R 31/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出される物理量に応じて特性が変化するセンサ素子を少なくとも1つ備えるブリッジ回路と、
前記センサ素子の特性変化に応じて前記ブリッジ回路の検出信号出力端から出力されるセンサ検出信号を受信する検出信号受信回路と、
前記ブリッジ回路の作動に要するバイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と、
前記バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧を前記ブリッジ回路のバイアス端に印加すると共に、前記ブリッジ回路に供給するバイアス電流を監視するレギュレータ回路と、
前記バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧の値および前記レギュレータ回路で監視されるバイアス電流の値を入力して前記ブリッジ回路のインピーダンスを計算するインピーダンス計算回路と、
前記インピーダンス計算回路によって計算される前記ブリッジ回路のインピーダンスに基づいて、前記バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧を前記ブリッジ回路の特性変化を補償する電圧に補正させるバイアス電圧補正回路と
を備えるセンサ装置。
【請求項2】
前記バイアス電圧補正回路は、前記インピーダンス計算回路によって計算される前記ブリッジ回路のインピーダンスに基づいて前記ブリッジ回路の温度を検出し、検出した前記ブリッジ回路の温度に基づいて、前記バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧を前記ブリッジ回路の温度変化による特性変化を補償する電圧に補正させる
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記バイアス電圧補正回路は、前記インピーダンス計算回路によって計算される前記ブリッジ回路のインピーダンスに基づいて前記ブリッジ回路の経年変化を検出し、検出した前記ブリッジ回路の経年変化に基づいて、前記バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧を前記ブリッジ回路の経年変化による特性変化を補償する電圧に補正させる
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記バイアス電圧補正回路は、前記インピーダンス計算回路によって計算される前記ブリッジ回路のインピーダンスに基づいて前記ブリッジ回路の故障を検出することを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記バイアス電圧補正回路は、前記検出信号受信回路の信号入力端に接続され、前記検出信号受信回路の信号入力端に入力される電圧に基づいて、前記ブリッジ回路および前記検出信号受信回路間における配線の異常を監視する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子を備えるブリッジ回路の特性変化を補償する機能を備えるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のセンサ装置としては、例えば、特許文献1に開示された液体クロマトグラフ用ポンプの圧力センサに用いられるものがある。
【0003】
この圧力センサは、4つの抵抗がブリッジ接続されたブリッジ回路から構成され、ブリッジ回路を定電流駆動して、その入力電圧および出力電圧を測定する。補正部は、入力電圧検出部によって測定された入力電圧値と、温度と入力電圧の関係を示すデータとを基に、ブリッジ回路の温度を取得する。そして、取得したブリッジ回路の温度と、温度毎の出力電圧と圧力の関係を示す校正表とを基に、ポンプユニットから吐出される移動相の正確な圧力値を求める。補正部は、出力電圧検出部より伝送された出力電圧の値を、求めた圧力値に応じた値に補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-31630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の特許文献1に開示されたセンサ装置では、出力電圧検出部より伝送された出力電圧の値を補正するため、補正部における増幅回路の利得を変化させる必要がある。しかしながら、その増幅回路に、離散的に利得が設定される可変利得増幅回路を用いると、増幅回路の出力電圧に不連続なノイズが重畳する。また、線形なアナログ電圧信号を用いて利得が設定される可変利得増幅回路を用いると、増幅回路の出力電圧に歪みが発生しやすい。このため、ブリッジ回路の出力電圧の補正にいずれの可変利得増幅回路を用いても、センサ装置としての検出出力精度を劣化させてしまう問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
検出される物理量に応じて特性が変化するセンサ素子を少なくとも1つ備えるブリッジ回路と、
センサ素子の特性変化に応じてブリッジ回路の検出信号出力端から出力されるセンサ検出信号を受信する検出信号受信回路と、
ブリッジ回路の作動に要するバイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と、
バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧をブリッジ回路のバイアス端に印加すると共に、ブリッジ回路に供給するバイアス電流を監視するレギュレータ回路と、
バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧の値およびレギュレータ回路で監視されるバイアス電流の値を入力してブリッジ回路のインピーダンスを計算するインピーダンス計算回路と、
インピーダンス計算回路によって計算されるブリッジ回路のインピーダンスに基づいて、バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧をブリッジ回路の特性変化を補償する電圧に補正させるバイアス電圧補正回路と
を備え、センサ装置を構成した。
【0007】
本構成によれば、バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧はレギュレータ回路によってブリッジ回路のバイアス端に印加される。また、バイアス電圧生成回路によって生成されるバイアス電圧は、インピーダンス計算回路によって計算されるブリッジ回路のインピーダンスに基づくバイアス電圧補正回路の出力により、ブリッジ回路の特性変化を補償する電圧に補正される。ブリッジ回路は、バイアス端に印加されるブリッジ回路の特性変化を補償する電圧と、ブリッジ回路を構成する各抵抗の抵抗比との積で演算される電圧を出力する。
【0008】
したがって、ブリッジ回路は、何らかの原因でその特性が変化しても、ブリッジ回路自体が従来の可変利得増幅回路に代わる乗算回路として機能するので、従来のように、検出出力精度を劣化させてしまう可変利得増幅回路によって検出信号出力端に出力されるセンサ検出信号を増幅して補正する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0009】
このため、本発明によれば、ブリッジ回路の特性が何らかの原因で変化しても、検出出力精度を劣化させることのないセンサ装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態によるセンサ装置の概略構成を示す回路図である。
図2】本発明の第2の実施形態によるセンサ装置の概略構成を示す回路図である。
図3】本発明の第3の実施形態によるセンサ装置の概略構成を示す回路図である。
図4】本発明の第4の実施形態によるセンサ装置の概略構成を示す回路図である。
図5】本発明の第5の実施形態によるセンサ装置の概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のセンサ装置を実施するための形態について、説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態によるセンサ装置1Aの概略構成を示す回路図である。
【0013】
センサ装置1Aは、ブリッジ回路2、バイアス回路3および検出信号受信回路4から構成される。
【0014】
ブリッジ回路2は、センサを構成し、本実施形態では、1つのセンサ素子Dと3つの抵抗R1,R2,R3とがブリッジ接続されて、構成されている。ブリッジ回路2は、センサ素子Dを少なくとも1つ備えて構成されればよい。したがって、例えば、4つのセンサ素子Dがブリッジ接続されて構成されてもよい。センサ素子Dは、検出される物理量に応じて特性が変化する、例えば、磁気抵抗素子などから構成され、例えば、磁気抵抗効果によって周囲の磁界変化によってその電気抵抗値が変化する。このセンサ素子Dは、同図では抵抗に矢印を付した記号で表され、センサ素子Dの抵抗値が検出物理量に応じて変化することを示している。
【0015】
センサ素子Dと抵抗R1との接続点、および、抵抗R2と抵抗R3との接続点はそれぞれバイアス端2a,2bを構成し、バイアス端2aにはバイアス回路3によってバイアス電圧Vbiasが印加され、バイアス端2bは接地される。また、センサ素子Dと抵抗R2との接続点、および、抵抗R1と抵抗R3との接続点はそれぞれ検出信号出力端2c,2dを構成し、検出信号出力端2c,2dにはセンサ素子Dで検出される物理量の変化がセンサ検出信号sとして現れる。本実施形態では、センサ素子Dと3つの抵抗R1,R2,R3の各抵抗値は、各検出信号出力端2c,2dにバイアス電圧Vbiasの所定比の電圧が現れる値に設定されている。
【0016】
検出信号受信回路4は、センサ素子Dの特性変化に応じてブリッジ回路2の検出信号出力端2c,2dから出力されるセンサ検出信号sを受信する。本実施形態では、検出信号受信回路4は、検出信号出力端2c,2dから出力されるセンサ検出信号sを受信して増幅する増幅回路から構成され、センサ検出信号sを増幅したアナログの検出出力信号Sを出力する。
【0017】
バイアス回路3は、バイアス電圧生成回路31、レギュレータ回路32、インピーダンス計算回路33およびバイアス電圧補正回路34から構成され、ブリッジ回路2を励起する。バイアス電圧生成回路31は、ブリッジ回路2の作動に要するバイアス電圧Vbiasを生成する。レギュレータ回路32は、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasをブリッジ回路2のバイアス端2a,2bに印加すると共に、ブリッジ回路2に供給するバイアス電流Ibiasを監視する。インピーダンス計算回路33は、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasの値vxおよびレギュレータ回路32で監視されるバイアス電流Ibiasの値ixを入力して、ブリッジ回路2のインピーダンスZ(=vx/ix)を計算する。バイアス電圧補正回路34は、インピーダンス計算回路33によって計算されるブリッジ回路2のインピーダンスZに基づいて、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasを、ブリッジ回路2の特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正させる。
【0018】
このような本実施形態によるセンサ装置1Aによれば、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasは、レギュレータ回路32によってブリッジ回路2のバイアス端2a,2bに印加される。また、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasは、インピーダンス計算回路33によって計算されるブリッジ回路2のインピーダンスZに基づくバイアス電圧補正回路34の出力により、ブリッジ回路2の特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正される。ブリッジ回路2は、バイアス端2a,2bに印加されるブリッジ回路2の特性変化を補償する電圧Vbiasxと、ブリッジ回路2を構成する各抵抗の抵抗比との積で演算される電圧を検出信号出力端2c,2dに出力する。
【0019】
したがって、ブリッジ回路2は、何らかの原因でその特性が変化しても、ブリッジ回路自体が従来の可変利得増幅回路に代わる乗算回路として機能するので、従来のように、検出出力精度を劣化させてしまう可変利得増幅回路によって検出信号出力端2c,2dに出力されるセンサ検出信号sを増幅して補正する必要がなくなる。このため、何らかの原因でブリッジ回路2の特性が変化しても、特性変化に応じた感度補正をすることができ、検出出力精度を劣化させることのないセンサ装置1Aを提供することができる。この結果、センサ装置1Aからは、常に、センサ素子Dが検出する物理量変化に応じた正確な検出出力信号Sが出力される。
【0020】
図2は、本発明の第2の実施形態によるセンサ装置1Bの概略構成を示す回路図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0021】
センサ装置1Bは、バイアス回路3において、上記のバイアス電圧補正回路34がブリッジ温度推定回路35によって構成される点だけが、上記の第1の実施形態によるセンサ装置1Aと相違する。
【0022】
ブリッジ温度推定回路35は、インピーダンス計算回路33によって計算されるブリッジ回路2のインピーダンスZに基づいてブリッジ回路2の温度Tを検出し、検出したブリッジ回路2の温度Tに基づいて、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasを、ブリッジ回路2の温度変化による特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正させるバイアス電圧補正回路を構成する。ブリッジ温度推定回路35における、検出したブリッジ回路2のインピーダンスZからブリッジ回路2の温度Tへの変換は、インピーダンスZから温度Tを算出する演算式や、インピーダンスZと温度Tとの関係を予め記憶したテーブルを用いることなどで、行われる。バイアス電圧生成回路31は、ブリッジ温度推定回路35で検出されたブリッジ回路2の温度Tを入力し、温度Tから補償電圧Vbiasxを算出する演算式や、温度Tと補償電圧Vbiasxとの関係を予め記憶したテーブルを用いて、生成するバイアス電圧Vbiasをブリッジ回路2の温度Tに基づいて補償電圧Vbiasxに補正する。
【0023】
本実施形態によるセンサ装置1Bによれば、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasは、上記のように、インピーダンス計算回路33によって計算されるインピーダンスZに基づいて、ブリッジ温度推定回路35により、ブリッジ回路2の温度変化による特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正される。したがって、ブリッジ回路2は、温度変化によってその特性が変化しても、バイアス端2a,2bに印加されるバイアス電圧Vbiasが温度変化によるその特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正されることで、ブリッジ回路自体が、検出出力精度を劣化させる可変利得増幅回路に代わる乗算回路として機能する。このため、センサ装置1Bは、ブリッジ回路2が温度変化によってその特性が変化しても、検出出力精度を劣化させることなく、センサ素子Dが検出する物理量変化に応じた正確な検出出力信号Sを出力する。よって、ブリッジ感度の温度依存性が連続的に精度よく補正されることとなる。
【0024】
図3は、本発明の第3の実施形態によるセンサ装置1Cの概略構成を示す回路図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0025】
センサ装置1Cは、バイアス回路3において、上記のバイアス電圧補正回路34が監視回路36によって構成される点だけが、上記の第1の実施形態によるセンサ装置1Aと相違する。
【0026】
監視回路36は、インピーダンス計算回路33によって計算されるブリッジ回路2のインピーダンスZに基づいてブリッジ回路2の経年変化を検出し、検出したブリッジ回路2の経年変化に基づいて、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasを、ブリッジ回路2の経年変化による特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正させるバイアス電圧補正回路を構成する。ブリッジ回路2を構成する各抵抗R1~R3およびセンサ素子Dは、経年変化によってそれらのインピーダンスZが変化する。監視回路36における、検出したブリッジ回路2のインピーダンスZからの経年変化の検出は、インピーダンスZから経年変化を算出する演算式や、インピーダンスZと経年変化との関係を予め記憶したテーブルを用いることなどで、行われる。インピーダンスZから経年変化を算出する演算式や、インピーダンスZと経年変化との関係を予め記憶したテーブルは、図示しない温度センサより出力される温度信号を付加的な入力として用いて、経年劣化の影響と温度による影響を分離するように構成してもよい。バイアス電圧生成回路31は、監視回路36で検出されたブリッジ回路2の経年変化を入力し、経年変化から補償電圧Vbiasxを算出する演算式や、経年変化と補償電圧Vbiasxとの関係を予め記憶したテーブルを用いて、生成するバイアス電圧Vbiasをブリッジ回路2の経年変化に基づいて補償電圧Vbiasxに補正する。
【0027】
本実施形態によるセンサ装置1Cによれば、バイアス電圧生成回路31によって生成されるバイアス電圧Vbiasは、上記のように、インピーダンス計算回路33によって計算されるインピーダンスZに基づいて、監視回路36により、ブリッジ回路2の経年変化による特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正される。したがって、ブリッジ回路2は、経年変化によってその特性が変化しても、バイアス端2a,2bに印加されるバイアス電圧Vbiasが経年変化によるその特性変化を補償する電圧Vbiasxに補正されることで、ブリッジ回路自体が、検出出力精度を劣化させる可変利得増幅回路に代わる乗算回路として機能する。このため、センサ装置1Cは、ブリッジ回路2が経年変化によってその特性が変化しても、検出出力精度を劣化させることなく、感度を一定に保って、センサ素子Dが検出する物理量変化に応じた正確な検出出力信号Sを出力する。
【0028】
なお、上記の実施形態によるセンサ装置1Cにおいて、監視回路36が、インピーダンス計算回路33によって計算されるブリッジ回路2のインピーダンスZに基づいてブリッジ回路2の故障を検出するように構成してもよい。この場合、ブリッジ回路2の故障が検出されるときに、バイアス電圧Vbiasの印加を停止したり、上位システムに通知することができる。例えば、監視回路36は、インピーダンス計算回路33によって計算されるブリッジ回路2のインピーダンスZが異常に大きい場合、ブリッジ回路2が故障していると判断する。そして、バイアス電圧Vbiasの印加を停止したり,上位システムに通知する。本構成によれば、ブリッジ回路2の故障を検出でき、監視回路36が出力する通知により、ブリッジ回路2が故障したことを知らせることができて、ブリッジ回路2の故障に対する速やかな対応を促すことができる。
【0029】
図4は、本発明の第4の実施形態によるセンサ装置1Dの概略構成を示す回路図である。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0030】
センサ装置1Dは、ブリッジ温度推定回路35が、検出信号受信回路4の信号入力端に接続され、検出信号受信回路4の信号入力端に入力される電圧に基づいて、ブリッジ回路2および検出信号受信回路4間における配線5の異常を監視する点だけが、第2の実施形態によるセンサ装置1Bと相違する。
【0031】
本センサ装置1Dによれば、ブリッジ回路2および検出信号受信回路4間における配線5の異常がブリッジ温度推定回路35によって監視され、配線5の異常、例えば配線5の断線などが監視される場合に、ブリッジ温度推定回路35によって、上記の監視回路36と同様に、バイアス電圧Vbiasの印加を停止したり、上位システムに通知を出力したり等することができる。したがって、センサ装置1Dは、ブリッジ回路2の特性がその温度変化によって変化しても、検出精度を劣化させることなく、センサ素子Dが検出する物理量変化に応じた正確な検出出力信号Sを出力すると共に、配線5に異常が監視される場合には、通知を出力したりすることで、その配線異常に対する速やかな対応を促すことができる。
【0032】
図5は、本発明の第5の実施形態によるセンサ装置1Eの概略構成を示す回路図である。なお、同図において図3と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0033】
センサ装置1Eは、監視回路36が、検出信号受信回路4の信号入力端に接続され、検出信号受信回路4の信号入力端に入力される電圧に基づいて、ブリッジ回路2および検出信号受信回路4間における配線5の異常を監視する点だけが、第3の実施形態によるセンサ装置1Cと相違する。
【0034】
本センサ装置1Eによれば、ブリッジ回路2および検出信号受信回路4間における配線5の異常が監視回路36によって監視され、配線5の異常が監視される場合に監視回路36によって上記のようにバイアス電圧Vbiasの印加を停止したり、上位システムに通知を出力したり等することができる。したがって、センサ装置1Eは、ブリッジ回路2の特性がその経年変化によって変化しても、検出精度を劣化させることなく、センサ素子Dが検出する物理量変化に応じた正確な検出出力信号Sを出力すると共に、配線5に異常が監視される場合には、通知を出力したりすることで、その配線異常に対する速やかな対応を促すことができる。さらに、センサ装置1Eでは、監視回路36が、ブリッジ回路2のインピーダンスZに基づいてブリッジ回路2の故障を検出する場合にも、バイアス電圧Vbiasの印加を停止したり、上位システムに通知を出力したり等することで、その故障に対する速やかな対応を促すことができる。
【符号の説明】
【0035】
1A,1B,1C,1D,1E…センサ装置
2…ブリッジ回路
2a,2b…バイアス端
2c,2d…検出信号出力端
3…バイアス回路
4…検出信号受信回路
5…配線
31…バイアス電圧生成回路
32…レギュレータ回路
33…インピーダンス計算回路
34…バイアス電圧補正回路
35…ブリッジ温度推定回路(バイアス電圧補正回路)
36…監視回路(バイアス電圧補正回路)
D…センサ素子
図1
図2
図3
図4
図5