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特許7468783車載機、サーバ、運転支援実施プログラム、補助標示活用データ送信プログラム、地図データ更新プログラム及び走行制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車載機、サーバ、運転支援実施プログラム、補助標示活用データ送信プログラム、地図データ更新プログラム及び走行制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20240409BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20240409BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240409BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/06
G01C21/34
G09B29/00 A
G09B29/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023512880
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2022010649
(87)【国際公開番号】W WO2022215431
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2021064750
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】野村 俊男
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-38365(JP,A)
【文献】特開2019-8348(JP,A)
【文献】特開2016-149050(JP,A)
【文献】特開2009-176223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/10
G01C 21/34
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶部(8)と、
前記活用可否情報を取得する活用可否情報取得部(5a)と、
前記活用可否情報により示される交差点内の補助標示の活用可否を判定する活用可否判定部(5b)と、
交差点内の補助標示の活用可否の判定結果に基づいて前記補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定する運転支援実施部(5c)と、を備え
前記活用可否情報は、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定されるものである車載機。
【請求項2】
前記地図データは、前記活用可否情報と対応付けられた車種に関する車種情報を含み、
前記活用可否情報取得部は、前記活用可否情報と前記車種情報とを取得し、
前記活用可否判定部は、前記車種情報を判定すると共に、前記活用可否情報により示される交差点内の補助標示の活用可否を判定する請求項1に記載した車載機。
【請求項3】
前記地図データは、前記活用可否情報と対応付けられた対向車の有無に関する対向車情報を含み、
前記活用可否情報取得部は、前記活用可否情報と前記対向車情報とを取得し、
前記活用可否判定部は、前記対向車情報を判定すると共に、前記活用可否情報により示される交差点内の補助標示の活用可否を判定する請求項1又は2に記載した車載機。
【請求項4】
交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む補助標示活用データを生成する補助標示活用データ生成部(5h)と、
前記補助標示活用データをサーバに送信させる送信制御部(5i)と、を備え
前記活用可否情報は、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定されるものである車載機。
【請求項5】
前記補助標示活用データ生成部は、前記活用可否情報と、車種に関する車種情報とを対応付け、前記活用可否情報と前記車種情報とを含む前記補助標示活用データを生成する請求項4に記載した車載機。
【請求項6】
前記補助標示活用データ生成部は、前記活用可否情報と、対向車の有無に関する対向車情報とを対応付け、前記活用可否情報と前記対向車情報とを含む前記補助標示活用データを生成する請求項4又は5に記載した車載機。
【請求項7】
交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための走路を第1走路として生成する第1走路生成部(5d)と、
交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための走路を第2走路として生成する第2走路生成部(5e)と、
車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量を取得する第1操作量取得部(5f)と、
車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量を取得する第2操作量取得部(5g)と、を備え、
前記補助標示活用データ生成部は、前記第1操作量と前記第2操作量との比較結果に基づいた前記活用可否情報を含む前記補助標示活用データを生成する請求項4から6の何れか一項に記載した車載機。
【請求項8】
地図データを記憶する地図データ記憶部(15)と、
交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報が含まれた補助標示活用データを車載機から受信する受信制御部(12a)と、
前記活用可否情報を前記地図データに反映して当該地図データを更新する地図データ更新部(12b)と、を備え
前記活用可否情報は、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定されるものであるサーバ。
【請求項9】
前記受信制御部は、前記活用可否情報と、車種に関する車種情報とが対応付けられた前記補助標示活用データを車載機から受信する請求項8に記載したサーバ
【請求項10】
前記受信制御部は、前記活用可否情報と、対向車の有無に関する対向車情報とが対応付けられた前記補助標示活用データを車載機から受信する請求項8又は9に記載したサーバ。
【請求項11】
前記地図データ更新部により更新された地図データを車載機に配信させる配信制御部(12c)と、を備える請求項8から10の何れか一項に記載したサーバ。
【請求項12】
交差点内の補助標示の活用可否を示す情報であって、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定される活用可否情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶部(8)を備える車載機(2)の制御部(5)に、
前記活用可否情報を取得する活用可否情報取得手順と、
前記活用可否情報により示される交差点内の補助標示の活用可否を判定する活用可否判定手順と、
交差点内の補助標示の活用可否の判定結果に基づいて前記補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定する運転支援実施手順と、を実行させる運転支援実施プログラム。
【請求項13】
車載機(2)の制御部(5)に、
交差点内の補助標示の活用可否を示す情報であって、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定される活用可否情報を含む補助標示活用データを生成する補助標示活用データ生成手順と、
前記補助標示活用データをサーバに送信させる送信制御手順と、を実行させる補助標示活用データ送信プログラム。
【請求項14】
地図データを記憶する地図データ記憶部(15)を備えるサーバ(3)の制御部(12)に、
交差点の補助標示の活用可否を示す情報であって、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定される活用可否情報が含まれた補助標示活用データを前記地図データに反映して当該地図データを更新する地図データ更新手順を実行させる地図データ更新プログラム。
【請求項15】
車両の走行を制御するためにプロセッサにより実行される方法であって、
交差点内の補助標示の活用可否を示す情報であって、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が前記第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が前記第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定される活用可否情報を取得することと、
前記活用可否情報に応じて設定された前記補助標示を活用した走路及び前記補助標示とは無関係に設定された走路のうち何れかを選択的に採用して前記車両に前記交差点を通過させることと、を含む走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年4月6日に出願された日本出願番号2021-064750号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車載機、サーバ、運転支援実施プログラム、補助標示活用データ送信プログラム、地図データ更新プログラム及び走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
交差点内の運転支援を行うための走路を生成する手法が供されている。例えば特許文献1には、GPS(Global Positioning System)を用いて実際の走行軌跡に基づいて交差点内の走路を生成する手法が開示されている。例えば特許文献2には、交差点内の路面上にペイントされているダイヤモンド形状のマーク等の補助標示に基づいて交差点内の走路を生成する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-114005号公報
【文献】特開2020-38365号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、GPSの位置精度が悪い箇所では交差点内の走路を適切に生成することができない。特許文献2の手法では、実在する交差点内の補助標示に基づいて当該交差点内の走路を生成するので、GPSの位置精度の影響を受けることはないが、補助標示に基づいて生成された交差点内の走路が現実的でない場合がある。例えば普通自動車と大型自動車とでは車体サイズが異なるので、例えば道路交通法で車両の左側通行が規定されている国や地域では、普通自動車が交差点内を右折する際に適する走路と、大型自動車が交差点内を右折する際に適する走路とは異なる。又、対向車が存在しない状況で交差点内を右折する際に適する走路と、対向車が存在する状況で交差点内を右折する際に適する走路とは異なる。このように交差点内の補助標示を適切に活用することができていない事情がある。
【0006】
本開示は、交差点内の補助標示を適切に活用することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様によれば、地図データ記憶部は、交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む地図データを記憶する。活用可否情報取得部は、活用可否情報を取得する。活用可否判定部は、活用可否情報により示される交差点内の補助標示の活用可否を判定する。運転支援実施部は、交差点内の補助標示の活用可否の判定結果に基づいて補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定する。活用可否情報は、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定されるものである。
【0008】
交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を取得し、交差点内の補助標示の活用可否を判定し、交差点内の補助標示の活用可否の判定結果に基づいて補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定するようにした。交差点内の補助標示の活用否を判定すると、補助標示を用いた運転支援を実施せず、交差点内の補助標示の活用可を判定すると、補助標示を用いた運転支援を実施することで、交差点内の補助標示を活用するの相応しい状況に限って補助標示を用いた運転支援を実施することができ、交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0009】
本開示の一態様によれば、補助標示活用データ生成部は、交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む補助標示活用データを生成する。送信制御部は、補助標示活用データをサーバに送信させる。活用可否情報は、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定されるものである。
【0010】
交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む補助標示活用データを生成し、その生成した補助標示活用データをサーバに送信することで、サーバにおいて、交差点内の補助標示の活用可否を管理することができ、交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0011】
本開示の一態様によれば、地図データ記憶部は、地図データを記憶する。受信制御部は、交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報が含まれた補助標示活用データを車載機から受信する。地図データ更新部は、活用可否情報を地図データに反映して当該地図データを更新する。活用可否情報は、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための第1走路、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための第2走路、車両が第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量、及び車両が第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量に基づいて交差点内の補助標示の活用可否が特定されるものである。
【0012】
活用可否情報が含まれた補助標示活用データを車載機から受信し、その受信した活用可否情報を地図データに反映して当該地図データを更新することで、交差点内の補助標示の活用可否を反映した地図データを生成することができ、交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
図1図1は、一実施形態の車両通信システムの全体構成を示す機能ブロック図であり、
図2図2は、車載機の構成を示す機能ブロック図であり、
図3図3は、第1走路を生成する態様を示す図(その1)であり、
図4図4は、第1走路を生成する態様を示す図(その2)であり、
図5図5は、第1走路を生成する態様を示す図(その3)であり、
図6図6は、第1走路を生成する態様を示す図(その4)であり、
図7図7は、第1走路を生成する態様を示す図(その5)であり、
図8図8は、第2走路を生成する態様を示す図であり、
図9図9は、車載機の補助標示活用データを示す図(その1)であり、
図10図10は、車載機の補助標示活用データを示す図(その2)であり、
図11図11は、サーバの構成を示す機能ブロック図であり、
図12図12は、サーバの補助標示活用データを示す図(その1)であり、
図13図13は、補助標示活用データ生成処理を示すフローチャート(その1)であり、
図14図14は、補助標示活用データ生成処理を示すフローチャート(その2)であり、
図15図15は、補助標示活用データ生成処理を示すフローチャート(その3)であり、
図16図16は、車載機の補助標示活用データを示す図(その3)であり、
図17図17は、車載機の補助標示活用データに各種情報を格納する態様を示す図(その1)であり、
図18図18は、車載機の補助標示活用データに各種情報を格納する態様を示す図(その2)であり、
図19図19は、補助標示活用データ送信処理を示すフローチャートであり、
図20図20は、地図データ更新処理を示すフローチャートであり、
図21図21は、地図データ配信処理を示すフローチャートであり、
図22図22は、サーバの補助標示活用データを示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、道路交通法で車両の左側通行が規定されている国や地域を対象とする。交差点内の補助標示とは、車両が交差点内を右折する際に車両進行方向を案内するための道路標示であり、交差点内の路面上にペイントされているダイヤモンド形状のマーク、ゼブラゾーン、車線区画線、特定色の領域等であっても良い。例えば車線区画線であれば補助線と表現することもでき、ダイヤモンド形状のマーク、ゼブラゾーン、特定色の領域であれば補助領域と表現することもできる。又、交差点内の補助標示とは、道路交通法又は交通規則に定められたもの以外の表示であって、交通の安全及び円滑を図るために設置された所謂法定外表示であっても良い。運転支援とは、運転者の運転操作を必要としない自動運転時の支援、運転者の運転操作をアシストする手動運転時の支援の両方の概念を含む。
【0015】
図1に示すように、車両通信システム1は、車両に搭載されている車載機2と、ネットワーク側に配置されているサーバ3とが例えばインターネット等を含む通信ネットワーク4を介してデータ通信可能に構成されている。車載機2が搭載されている車両は、自動運転機能を有する車両であっても良いし、自動運転機能を有しない車両であっても良い。自動運転機能を有する車両は、自動運転と手動運転とを逐次切り替えて走行する。車載機2とサーバ3とは複数対1の関係にあり、サーバ3は複数の車載機2との間でデータ通信可能である。
【0016】
車載機2は、車両に搭載されている各種センサや各種電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)から車両周辺に関する周辺情報、車両走行に関する走行情報、車両位置に関する位置情報を入力する。車載機2は、周辺情報として、車載カメラにより撮影された車両進行方向のカメラ画像、例えばミリ波センサ等のセンサにより車両周囲が検知されたセンサ情報、レーダにより車両周囲が検知されたレーダ情報、ライダ(LiDAR:Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)により車両周囲が検知されたライダ情報等を入力する。カメラ画像には、道路上に設置されている信号機、交通標識、看板、車線区画線、上記した交差点内の道路標示等が含まれる。車載機2は、周辺情報として、カメラ画像、センサ情報、レーダ情報、ライダ情報のうち少なくとも一つを入力すれば良い。
【0017】
車載機2は、走行情報として、車速センサにより検知された車速情報を入力する。車載機2は、位置情報として、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されたGPS信号に基づいて測位されたGPS位置座標を入力する。GPS位置座標は車両位置を示す座標である。衛星測位システムとしては、GPSに限らず、GLONASS、Galileo、BeiDou、IRNSS等の多様なGNSS(Global Navigation Satellite System)を採用することができる。
【0018】
車載機2は、制御部5と、データ通信部6と、プローブデータ記憶部7と、地図データ記憶部8と、補助標示活用データ記憶部9とを備える。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、車載機2の動作全般を制御する。マイクロコンピュータはプロセッサと同じ意味である。車載機2において、非遷移的実体的記憶媒体は、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。プローブデータ記憶部7、地図データ記憶部8、補助標示活用データ記憶部9は、それぞれ対応するデータ用に独立して設けられた非遷移的実態的記憶媒体を主体として構成されていても良い。
【0019】
サーバ3は、制御部12と、データ通信部13と、プローブデータ記憶部14と、地図データ記憶部15と、補助標示活用データ記憶部16とを備える。制御部12は、CPU、ROM、RAM及びI/Oを有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、サーバ3の動作全般を制御する。サーバ3においても、非遷移的実体的記憶媒体は、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。プローブデータ記憶部14、地図データ記憶部15、補助標示活用データ記憶部16は、それぞれ対応するデータ用に独立して設けられた非遷移的実態的記憶媒体を主体として構成されていても良い。
【0020】
車載機2において、制御部5は、周辺情報、走行情報及び位置情報を入力すると、その入力した各種情報からプローブデータを生成し、その生成したプローブデータをプローブデータ記憶部7に記憶させる。プローブデータは、周辺情報、走行情報及び位置情報を含んで構成されるデータであり、道路上に設置されている信号機、交通標識、看板、車線区画線、交差点内の道路標示等の位置、色、特徴、相対的な位置関係等を示すデータを含む。又、プローブデータは、車両が走行中の道路に関する道路形状、道路特徴、道路幅等を示すデータも含む。
【0021】
制御部5は、例えば所定時間が経過したこと、又は車両の走行距離が所定距離に到達したことを契機とし、プローブデータ記憶部7に記憶されているプローブデータを読出し、その読出したプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させる。制御部5は、上記した時間や車両の走行距離を契機とすることに代えて、サーバ3がプローブデータ送信要求を車載機2に所定周期で送信する構成であれば、サーバ3から送信されたプローブデータ送信要求がデータ通信部6により受信されたことを契機とし、プローブデータ記憶部7に記憶されているプローブデータを読出し、その読出したプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良い。又、制御部5は、例えばイグニッションオン時に前回のイグニッションオン時からイグニッションオフ時までのトリップで蓄積されたプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良いし、イグニッションオフ時に今回のイグニッションオン時からイグニッションオフ時までのトリップで蓄積されたプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良い。制御部5は、プローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させる際に、地図を管理する上で予め決められたエリアの単位であるセグメント単位でプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良いし、セグメント単位とは無関係な所定エリアの単位でプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良い。
【0022】
地図データ記憶部8は、運転支援を実現するための高精度な地図データを記憶している。地図データ記憶部8に記憶されている地図データには、三次元地図情報、地物情報、道路の属性情報等が含まれている。三次元地図情報は、道路形状や構造物の特徴点の点群を含む情報である。地物情報は、車線区画線、停止線、横断歩道及び交差点内の補助標示の形状や位置に関する情報である。道路の属性情報は、道路の車線に関する情報であり、車線数、右折専用車線の有無等に関する情報である。地図データ記憶部8に記憶されている地図データは、後述するサーバ3の地図データ記憶部15に記憶されている地図データが当該サーバ3から車載機2にダウンロードされることで逐次更新される。
【0023】
サーバ3において、地図データ記憶部15は、運転支援を実現するための高精度な地図データを記憶している。地図データ記憶部15に記憶されている地図データは、車載機2の地図データ記憶部8に記憶されている地図データよりも大容量のデータであり、広域なエリアの情報を反映しているデータである。制御部12は、車載機2から送信されたプローブデータを受信し、その受信したプローブデータをプローブデータ記憶部14に記憶させる。制御部12は、プローブデータ記憶部14に記憶されているプローブデータを読出し、その読出したプローブデータを、地図データ記憶部15に記憶されている地図データに反映して当該地図データを更新する。
【0024】
本実施形態では、交差点内の補助標示を活用することを目的とし、車載機2及びサーバ3は以下に示す機能を有する。車載機2は、上記したプローブデータを生成して送信する機能に加え、交差点内の補助標示の活用可否の判定結果に基づいて補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定する機能、交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む補助標示活用データを生成してサーバ3に送信する機能を有する。サーバ3は、上記したプローブデータを地図データに反映して当該地図データを更新する機能に加え、活用可否情報を地図データに反映して当該地図データを更新する機能を有する。以下、車載機2及びサーバ3の機能について説明する。
【0025】
車載機2において、制御部5は、図2に示すように、活用可否情報取得部5aと、活用可否判定部5bと、運転支援実施部5cと、第1走路生成部5dと、第2走路生成部5eと、第1操作量取得部5fと、第2操作量取得部5gと、補助標示活用データ生成部5hと、送信制御部5iとを有する。これらの各部5a~5cは運転支援実施プログラムにより実行される機能に相当し、各部5d~5iは補助標示活用データ送信プログラムにより実行される機能に相当する。即ち、制御部5は、運転支援実施プログラムを実行することで各部5a~5cの機能を行い、補助標示活用データ送信プログラムを実行することで各部5d~5iの機能を行う。
【0026】
活用可否情報取得部5aは、サーバ3から送信された地図データがデータ通信部6により受信され、その受信された地図データが地図データ記憶部8に記憶されると、地図データ記憶部8から地図データを読出し、その読出した地図データに反映されている活用可否情報を取得する。活用可否判定部5bは、活用可否情報が活用可否情報取得部5aにより取得されると、その取得された活用可否情報を判定する。
【0027】
運転支援実施部5cは、活用可否情報が活用可否判定部5bにより判定されると、その判定結果に基づいて補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定し、制御信号を走行制御システム10や報知システム11に出力する。運転支援実施部5cは、活用可否情報の判定結果が「可」であれば、補助標示を用いた運転支援の実施を指示する制御信号を走行制御システム10や報知システム11に出力する。運転支援実施部5cは、活用可否情報の判定結果が「否」であれば、補助標示を用いない運転支援の実施を指示する制御信号を走行制御システム10や報知システム11に出力する。
【0028】
走行制御システム10は、加速制御、減速制御及び操舵制御等の車両走行を制御するシステムである。走行制御システム10は、自動運転時では、運転支援実施部5cから制御信号を入力すると、その入力した制御信号にしたがって車両が交差点内を右折するように車両走行を制御する。即ち、走行制御システム10は、補助標示を用いた運転支援の実施を指示する制御信号を入力すると、補助標示を用いた走路にしたがって車両が交差点を通過するように車両走行を制御する。走行制御システム10は、例えば活用可否判定の対象となる補助標示がダイヤモンド形状のマークやゼブラゾーンのような導流帯であれば、車両が当該導流帯内に侵入せずに当該導流帯の外部に設定された走路にしたがって走行するように車両走行を制御する。又、走行制御システム10は、例えば活用可否判定の対象となる補助標示が車線両側の一対の車線区画線であれば、車両が当該一対の車線区画線の間の領域に設定された走路にしたがって走行するように車両走行を制御する。
【0029】
一方、走行制御システム10は、補助標示を用いない運転支援の実施を指示する制御信号を入力すると、補助標示を用いない走路にしたがって車両が交差点を通過するように車両走行を制御する。走行制御システム10は、例えば活用可否判定の対象となる補助標示がダイヤモンド形状のマークやゼブラゾーンのような導流帯であれば、車両が当該導流帯とは無関係に設定された走路にしたがって走行するように車両走行を制御する。又、走行制御システム10は、例えば活用可否判定の対象となる補助標示が車線両側の一対の車線区画線であれば、車両が当該一対の車線区画線とは無関係に設定された走路にしたがって走行するように車両走行を制御する。したがって、車両が回避することを意図して設定された補助標示であっても、車両が補助標示を踏むような走路が設定されることがある。
【0030】
報知システム11は、例えばメータ表示器、ヘッドアップディスプレイ、スピーカ等を含んで構成され、報知情報を運転者に対して報知するシステムである。報知システム11は、手動運転時では、運転支援実施部5cから制御信号を入力すると、その入力した制御信号にしたがって車両が交差点内を右折するような運転操作を運転者に対して報知する。即ち、報知システム6は、補助標示を用いた運転支援の実施を指示する制御信号を入力すると、補助標示を用いた走路にしたがって交差点内での停止位置、操舵の開始タイミング、終了タイミング等を運転者に対して報知する。報知システム6は、補助標示を用いない運転支援の実施を指示する制御信号を入力すると、補助標示を用いない走路にしたがって交差点内での停止位置、操舵の開始タイミング、終了タイミング等を運転者に対して報知する。
【0031】
第1走路生成部5dは、交差点内の補助標示を用いない運転支援を行うための走路を第1走路として生成する。具体的に説明すると、第1走路生成部5dは、図3に示すように、地図データ記憶部8から地図データを読出し、車両が通過する交差点に対し、交差点に進入する車線である進入車線の車線中心線の交差点入口を始点psとして設定し、交差点から退出する車線である退出車線の車線中心線の交差点出口を終点pfとして設定する。第1走路生成部5dは、始点ps及び終点pfを設定すると、始点ps及び終点pfの各々に関する位置情報及び角度情報を地図データから取得する。始点psに関する位置情報は始点psの位置を示す情報であり、始点psに関する角度情報は始点psにおける進入車線の交差点への接続角度を示す情報である。終点pfに関する位置情報は終点pfの位置を示す情報であり、終点pfに関する角度情報は終点pfにおける退出車線の交差点への接続角度を示す情報である。
【0032】
尚、第1走路生成部5dは、これらの情報に加え、始点ps及び終点pfの各々から左右の車線区画線までの距離情報を取得しても良い。又、第1走路生成部5dは、始点ps及び終点pfに関する少なくとも一部の情報を、車載カメラにより撮影されたカメラ画像等から取得しても良い。即ち、第1走路生成部5dは、始点psに関する情報を、画像認識により取得した進入車線の停止線の位置や形状等の情報に基づいて取得しても良い。第1走路生成部5dは、終点pfに関する情報を、画像認識により取得した退出車線の対向車線の停止線の位置や形状等の情報に基づいて取得しても良い。又、第1走路生成部5dは、これらの情報を地図データ記憶部8から読出した地図データと車載カメラにより撮影されたカメラ画像とを併用して取得しても良い。
【0033】
次に、第1走路生成部5dは、図4に示すように、始点psから交差点内への進入方向、即ち、進入車線の進行方向前方に延びる直線L1と、交差点内から終点pfへの退出方向の反対方向、即ち、退出車線の進行方向後方に延びる直線L2とが交差する点を交点Xとして設定する。第1走路生成部5dは、交点Xを設定すると、始点ps、終点pf及び交点Xの3点を頂点とした三角形Tを設定する。
【0034】
次に、第1走路生成部5dは、図5に示すように、始点psと交点Xとを結ぶ直線上に追加点p1を設定し、終点pfと交点Xとを結ぶ直線上に追加点p2を設定する。この場合、第1走路生成部5dは、下記に示す計算式を満たすように追加点p1,p2の初期位置を計算し、追加点p1,p2を設定する。
p1=α・ps+(1-α)・X
p2=β・pf+(1-β)・X
0<α<1
0<β<1
α、βの初期値はそれぞれ例えば「0.5」である。
第1走路生成部5dは、追加点p1,p2を設定すると、始点ps、終点pf及び追加点p1,p2の4点を頂点とした四角形Sを設定する。
【0035】
次に、第1走路生成部5dは、図6に示すように、上記した四角形S内に収まるように経路線Lを算出する。この場合、第1走路生成部5dは、車両が交差点内を経路線Lに沿って通過すると仮定したときの操舵挙動が安定するように曲率連続性を持つ3次以上のパラメータ曲線を補間曲線として補間を行う。パラメータ曲線には、例えばベジエ曲線、B-スプライン曲線等を使用する。第1走路生成部5dは、例えば3次のB-スプライン曲線により補間を行う場合、始点ps及び終点pfをそれぞれ3点重複した制御点として扱うことで、始点ps及び終点pfを確実に通過するB-スプライン曲線を経路線Lとして算出する。
【0036】
次に、第1走路生成部5dは、このようにして算出したB-スプライン曲線を曲率や曲率変化率に基づいて評価する。第1走路生成部5dは、算出したB-スプライン曲線の最大曲率の大きさ及び曲率のプラスマイナスの変化回数が各々の閾値より小さくなるような曲線である条件を満たしているか否かを判定し、B-スプライン曲線を評価する。第1走路生成部5dは、条件を満たしていると判定すると、その条件を満たしているB-スプライン曲線を第1走路として採用する。一方、第1走路生成部5dは、条件を満たしていないと判定すると、図7に示すように、α,βの値を変更して追加点p1,p2の位置を変更し、B-スプライン曲線を再度算出し、B-スプライン曲線を再度評価する。第1走路生成部5dは、B-スプライン曲線の算出と評価とを繰返し、条件を満たしているB-スプライン曲線を第1走路として採用する。
【0037】
第2走路生成部5eは、交差点内の補助標示を用いる運転支援を行うための走路を第2走路として生成する。具体的に説明すると、第2走路生成部5eは、図8に示すように、例えば交差点内の路面上にダイヤモンド形状のマークMがペイントされており、交差点内に補助標示が存在する場合に、補助標示に接近しつつも当該補助標示を走行不可エリアとして避けて走行可能な走路を第2走路として生成する。第2走路生成部5eは、補助標示からの離間距離を、補助標示の位置やサイズ、車体サイズ、予め設定されている所定のマージン等に基づいて算出する。第2走路生成部5eは、追加点p1,p2を結ぶ線分と補助標示との距離が上記した離間距離以上となる条件を満たすように追加点p1,p2の位置を再度計算し、追加点p1,p2を再度設定する。第2走路生成部5eは、始点ps、終点pf及び再度設定した追加点p1,p2の4点を頂点とした四角形Sを設定し、上記した第1走路を生成した場合と同様にして、B-スプライン曲線を経路線Lとして算出し、B-スプライン曲線の算出と評価とを繰返し、条件を満たしているB-スプライン曲線を第2走路として採用する。
【0038】
第1操作量取得部5fは、第1走路生成部5dにより生成された第1走路を用い、車両が第1走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第1操作量を取得する。第1操作量は、車両が実際に第1走路にしたがって交差点を通過した際には、実測値として取得される。
【0039】
第2操作量取得部5gは、第2走路生成部5eにより生成された第2走路を用い、車両が第2走路にしたがって交差点を通過するときの運転操作に係る第2操作量を取得する。第2操作量は、車両が実際に第1走路にしたがって交差点を通過した際には、シミュレーションにより計算値として取得される。
【0040】
補助標示活用データ生成部5hは、第1走路及び第2走路の各々の軌跡を数値化し、両者の差分を計算して第1走路と第2走路との乖離度を数値化する。補助標示活用データ生成部5hは、その数値化した乖離度を所定値と比較して補助標示の活用可否を判定し、補助標示の活用可否を示す活用可否情報を生成する。補助標示活用データ生成部5hは、乖離度が所定値以上であり、第2走路が第1走路に対して外側に極端に大きく膨らんで大回りしている、又は内側に極端に小さく縮んで小回りしていると判定すると、補助標示の活用否を判定する。
【0041】
一方、補助標示活用データ生成部5hは、乖離度が所定値未満であり、第2走路が第1走路に対して極端に大回りも小回りもしていないと判定すると、第1操作量取得部5fにより取得された第1操作量と、第2操作量取得部5gにより取得された第2操作量とを比較する。補助標示活用データ生成部5hは、第2操作量が第1操作量よりも少なくなく、即ち、第2走路にしたがう操舵操作が第1走路にしたがう操舵操作よりも滑らかでないと判定すると、この場合も、補助標示の活用否を判定する。一方、補助標示活用データ生成部5hは、第2操作量が第1操作量よりも少なく、即ち、第2走路にしたがう操舵操作が第1走路にしたがう操舵操作よりも滑らかであると判定すると、補助標示の活用可を判定する。
【0042】
補助標示活用データ生成部5hは、このようにして補助標示の活用可否を判定し、活用可否情報を生成すると、図9及び図10に示すように、その生成した活用可否情報と、静的情報と、動的情報とを対応付けて補助標示活用データを生成する。静的情報は、WANT項目として車種を示す車種情報を含み、MUST項目として交差点を示す交差点情報、車両進行方向を示す進行方向情報、補助標示の種別を示す補助標示情報を含む。動的情報は、WANT項目として対向車の有無に関する対向車情報を含む。WANT項目は必須でない項目であり、MUST項目は必須な項目である。
【0043】
車種情報は、車両が交差点内を右折する際に適する走路が車体サイズに影響されることから、補助標示活用データの項目として含まれている。対向車情報は、車両が交差点を右折する際に適する走路が対向車の有無、即ち、交差点内で対向車の通過を待機してから右折するか又は交差点内で対向車の通過を待機せずに右折するかに影響されることから、補助標示活用データの項目として含まれている。尚、動的情報として信号機情報を加えても良く、車両の進行方向の信号機の点灯状態が赤信号であり、且つ右折を許可する右折矢印が表示されている状況では、対向車が存在していないと判定しても良い。このように補助標示活用データ生成部5hにより生成される補助標示活用データは、交差点の補助標示の活用可否を示す活用可否情報と、車載機2を搭載している車両の車種に関する車種情報と、車載機2を搭載している車両に対して対向する対向車の有無に関する対向車情報とを構成要素として含むデータ構造となっている。
【0044】
図9は、車種Aの車両が、路面上にダイヤモンド形状のマークがペイントされている交差点Pを、対向車が存在していない状況で南方向から進入して交差点内で右折して東方向に退出した場合の補助標示活用データを例示している。この場合、補助標示活用データ生成部5hは、交差点情報の欄に「交差点P」を格納し、進行方向情報の欄に「南→東」を格納し、補助標示情報の欄に「ダイヤ形状」を格納し、対向車情報の欄に「なし」を格納する。又、補助標示活用データ生成部5hは、第1操作量取得部5fにより取得された第1操作量と、第2操作量取得部5gにより取得された第2操作量とを比較し、第2操作量が第1操作量よりも少ないと判定すると、活用可否情報の欄に「可」を格納する。
【0045】
図10は、車種Bの車両が、同じく交差点Pを、対向車が存在している状況で北方向から進入して交差点内で右折して西方向に退出した場合の補助標示活用データを例示している。この場合、補助標示活用データ生成部5hは、交差点情報の欄に「交差点P」を格納し、進行方向情報の欄に「北→西」を格納し、補助標示情報の欄に「ダイヤ形状」を格納し、対向車情報の欄に「あり」を格納する。又、補助標示活用データ生成部5hは、第1操作量取得部5fにより取得された第1操作量と、第2操作量取得部5gにより取得された第2操作量とを比較し、第1操作量と第2操作量とを比較して第2操作量が第1操作量よりも少なくないと判定すると、活用可否情報の欄に「否」を格納する。
【0046】
補助標示活用データ生成部5hは、車両が交差点を通過する毎に、上記したように交差点情報、進行方向情報、補助標示情報、対向車情報、活用可否情報に値を格納し、補助標示活用データを補助標示活用データ記憶部9に記憶して蓄積する。
【0047】
送信制御部5iは、補助標示活用データの送信条件が成立すると、補助標示活用データ記憶部9に記憶されている補助標示活用データを読出し、その読出した補助標示活用データをデータ通信部6からサーバ3に送信させる。この場合、送信制御部5iは、上記したプローブデータをサーバ3に送信させることと同期して補助標示活用データをサーバ3に送信させても良いし、プローブデータをサーバ3に送信させることと同期せずに補助標示活用データをサーバ3に送信させても良い。送信制御部5iは、例えば所定時間が経過したこと、又は車両の走行距離が所定距離に到達したことを契機とし、補助標示活用データをサーバ3に送信させても良い。又、送信制御部5iは、例えばイグニッションオン時に前回のイグニッションオン時からイグニッションオフ時までのトリップで蓄積された補助標示活用データをサーバ3に送信させても良いし、イグニッションオフ時に今回のイグニッションオン時からイグニッションオフ時までのトリップで蓄積された補助標示活用データをサーバ3に送信させても良い。
【0048】
サーバ3において、制御部12は、図11に示すように、受信制御部12aと、地図データ更新部12bと、配信制御部12cとを備える。これらの各部12a~12cは、地図データ更新プログラムにより実行される機能に相当し、各部12a~12cは地図データ更新プログラムにより実行される機能に相当する。即ち、制御部12は、地図データ更新プログラムを実行することで各部12a~12cの機能を行う。
【0049】
受信制御部12aは、車載機2から送信された補助標示活用データをデータ通信部13により受信し、その受信した補助標示活用データを補助標示活用データ記憶部9に記憶させる。即ち、受信制御部12aは、不特定多数の車載機2から送信された補助標示活用データを受信するので、図12に示すように、例えば車種情報でソートして補助標示活用データを管理する。尚、補助標示活用データにおいて、車種は、車両毎の区分でも良いし、普通自動車、大型自動車、大型特殊自動車、二輪車等の道路交通法で規定されているグループ毎の区分でも良い。
【0050】
地図データ更新部12bは、地図データの更新条件が成立すると、補助標示活用データ記憶部16に記憶されている補助標示活用データを読出し、地図データ記憶部15に記憶されている地図データに当該読出した補助標示活用データを反映して当該地図データを更新する。即ち、地図データ更新部12bは、地図データにより特定される交差点と、補助標示活用データにより特定される交差点とを対応付け、地図データが読出されたときに、その読出された地図データに含まれている交差点の補助標示活用データが読出されるように地図データと補助標示活用データとを対応付ける。
【0051】
配信制御部12cは、地図データの配信条件が成立すると、地図データ記憶部15に記憶されている地図データを読出し、その読出した地図データをデータ通信部13から車載機2に配信させる。即ち、配信制御部12cは、地図データ記憶部15から読出した地図データに補助標示活用データが反映されていれば、補助標示活用データが反映されている地図データをデータ通信部13から車載機2に配信させる。この場合、配信制御部12cは、例えば車載機2から送信された地図データ送信要求を受信することを契機とし、その車載機2を搭載している車両位置周辺の地図データをデータ通信部13から当該車載機2に配信させても良い。例えば車載機2がイグニッションオン時を契機とし、地図データ送信要求を送信する構成であれば、配信制御部12cは、イグニッションオン時を契機とし、その車載機2を搭載している車両の車両位置周辺の地図データをデータ通信部13から車載機2に配信させても良い。
【0052】
次に、上記した構成の作用について図13から図22を参照して説明する。ここでは、車載機2が行う処理として、補助標示活用データ生成処理、補助標示活用データ送信処理について説明し、サーバ3が行う処理として、地図データ更新処理、地図データ配信処理について説明する。又、車両の車種が「車種A」であり、車両が自動運転で走行していることを前提として説明する。
【0053】
(1)補助標示活用データ生成処理(図13から図18参照)
車載機2において、制御部5は、例えばイグニッションオンにより補助標示活用データ生成処理の開始イベントが成立すると、補助標示活用データ生成処理を開始し、補助標示活用データの静的情報及び動的情報の項目を設定する(A1)。制御部5は、静的情報の項目として車種情報、交差点情報、進行方向情報及び補助標示情報を設定し、動的情報の項目として対向車情報を設定する。この場合、初期状態では、図16に示すように、車種情報の欄には車両の車種(車種A)が格納されるが、交差点情報、進行方向情報及び補助標示情報の欄には値が格納されていない。制御部5は、車両制御を開始し(A2)、車両位置、車両の進行方向、交差点位置に基づいて車両が交差点を通過するか否かを判定する(A3)。制御部5は、車両が交差点を通過すると判定すると(A3:YES)、交差点内制御処理に移行する(A4)。
【0054】
制御部5は、交差点内制御処理を開始すると、地図データ記憶部8に記憶されている地図データを参照し、これから車両が通過する交差点を特定する(A11)。制御部5は、これから車両が通過する交差点を特定すると、地図データに反映されている補助標示活用データ内の交差点と一致するか否かを判定し、これから車両が通過する交差点の補助標示活用データが存在するか否かを判定する(A12)。制御部5は、両者が一致しないと判定し、これから車両が通過する交差点の補助標示活用データが存在しないと判定すると(A12:NO)、補助標示を用いない運転支援を実施する(A13)。即ち、制御部5は、交差点内の補助標示を用いない第1走路を生成し、補助標示を用いない運転支援の実施を指示する制御信号を走行制御システム10に出力する。このとき、走行制御システム10は、第1走路にしたがって車両が交差点内を走行するように制御する。制御部5は、補助標示を用いない運転支援を終了し、交差点内制御処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻り、車両制御で補助標示を用いたか否かを判定する(A5)。
【0055】
一方、制御部5は、両者が一致すると判定し、これから車両が通過する交差点の補助標示活用データが存在すると判定すると(A12:YES)、車両の交差点内の進行方向を特定し(A14)、その特定した進行方向と、補助標示活用データに格納されている進行方向情報が示す進行方向とが一致するか否かを判定する(A15)。制御部5は、両者が一致しないと判定すると(A15:NO)、この場合も、補助標示を用いない運転支援を実施し(A13)、交差点内制御処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻り、車両制御で補助標示を用いたか否かを判定する(A5)。
【0056】
制御部5は、両者が一致すると判定すると(A15:YES)、補助標示活用データにWANT項目が格納されているか否かを判定する(A16)。制御部5は、補助標示活用データにWANT項目が格納されていないと判定すると(A16:NO)、この場合も、補助標示を用いない運転支援を実施し(A13)、交差点内制御処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻り、車両制御で補助標示を用いたか否かを判定する(A5)。
【0057】
制御部5は、補助標示活用データにWANT項目が格納されていると判定すると(A16:YES)、WANT項目である車種情報及び対向車情報を取得し(A17)、その取得した車種情報及び対向車情報と、車両の車種及び対向車有無の状況が一致するか否かを判定する(A18)。制御部5は、車両の車種が補助標示活用データの車種情報と一致しない、又は対向車有無の状況が補助標示活用データの対向車情報と一致しないと判定すると(A18:NO)、この場合も、補助標示を用いない運転支援を実施し(A13)、交差点内制御処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻り、車両制御で補助標示を用いたか否かを判定する(A5)。
【0058】
制御部5は、車両の車種が補助標示活用データの車種情報と一致し、且つ対向車有無の状況が補助標示活用データの対向車情報と一致すると判定すると(A18:YES)、活用可否情報を取得し(A19、活用可否情報取得手順に相当する)、その取得した活用可否情報の可否を判定する(A20、活用可否判定手順に相当する)。制御部5は、活用可否情報が「否」であると判定すると(A20:NO)、この場合も、補助標示を用いない運転支援を実施し(A13、運転支援実施手順に相当する)、交差点内制御処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻り、車両制御で補助標示を用いたか否かを判定する(A5)。
【0059】
制御部5は、活用可否情報が「可」であると判定すると(A20:YES)、地図データに反映されている補助標示を用いる運転支援を実施する(A21、運転支援実施手順に相当する)。即ち、制御部5は、交差点内の補助標示を用いて第2走路を生成し、補助標示を用いた運転支援の実施を指示する制御信号を走行制御システム10に出力する。このとき、走行制御システム10は、第2走路にしたがって車両が交差点内を走行するように制御する。制御部5は、交差点内の車両制御の実施を終了し、交差点内制御処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻り、車両制御で補助標示を用いたか否かを判定する(A5)。
【0060】
制御部5は、補助標示を用いない運転支援を実施し、車両制御で補助標示を用いなかったと判定すると(A5:NO)、活用可否判定処理に移行する(A6)。制御部5は、活用可否判定処理を開始すると、実際に車両制御を行った第1走路を取得し(A31)、実際に車両制御を行っていない第2走路を取得する(A32)。制御部5は、第1走路と第2走路との乖離度を判定し(A33)、乖離度が所定値以上であり、第2走路が第1走路に対して外側に極端に大きく膨らんで大回りしている、又は内側に極端に小さく縮んで小回りしていると判定すると(A33:YES)、補助標示の活用否を判定する(A34)。即ち、制御部5は、補助標示を用いずに実際に車両制御を行った第1走路と、補助標示を用いて計算した第2走路との乖離度が所定値以上であると判定すると、補助標示の活用否を判定する。制御部5は、活用可否判定処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻る。
【0061】
一方、制御部5は、乖離度が所定値未満であり、第2走路が第1走路に対して極端に大回りも小回りもしていないと判定すると(A33:NO)、車両が実際に第1走路にしたがって交差点を通過したときの運転操作に係る第1操作量を測定して取得し(A35)、車両が第2走路にしたがって交差点を通過すると計算したときの運転操作に係る第2操作量を計算して取得する(A36)。
【0062】
制御部5は、補助標示活用データ生成部5hは、第1操作量と第2操作量とを比較し(A37)、第2操作量が第1操作量よりも少なくないと判定すると(A37:NO)、この場合も、補助標示の活用否を判定する(A34)
【0063】
一方、制御部5は、第2操作量が第1操作量よりも少ないと判定すると(A37:YES)、補助標示の活用可を判定する(A38)。即ち、制御部5は、補助標示を用いずに実際に車両制御を行った第1走路と、補助標示を用いて計算した第2走路との乖離度が所定値未満であり、且つ第2走路にしたがう操舵操作が第1走路にしたがう操舵操作よりも滑らかであると判定すると、補助標示の活用可を判定する。制御部5は、活用可否判定処理を終了すると、補助標示活用データ生成処理に戻る。
【0064】
制御部5は、このようにして補助標示の活用可否を判定すると、活用可否情報と、静的情報と、動的情報とを対応付け、交差点情報、進行方向情報、補助標示情報及び対向車情報の欄に値を格納し、補助標示活用データを生成する(A39、補助標示活用データ生成手順に相当する)。制御部5は、その生成した補助標示活用データを補助標示活用データ記憶部9に記憶し(A40)、活用可否判定処理を終了し、補助標示活用データ生成処理に戻る。
【0065】
即ち、車種Aの車両が、路面上にダイヤモンド形状のマークがペイントされている交差点Xを、対向車が存在している状況で北方向から進入して交差点内で右折して西方向に退出した場合であれば、制御部5は、補助標示の活用否を判定すると、図17に示すように、交差点情報の欄に「交差点X」、進行方向情報の欄に「北→西」、補助標示情報の欄に「ダイヤ形状」、対向車情報の欄に「あり」、活用可否情報の欄に「否」を格納する。又、車種Aの車両が、路面上にダイヤモンド形状のマークがペイントされている交差点Yを、対向車が存在していない状況で南方向から進入して交差点内で右折して東方向に退出した場合であれば、制御部5は、補助標示の活用可を判定すると、図18に示すように、交差点情報の欄に「交差点Y」、進行方向情報の欄に「南→東」、補助標示情報の欄に「ダイヤ形状」、対向車情報の欄に「なし」、活用可否情報の欄に「可」を格納する。
【0066】
制御部5は、補助標示活用データ生成処理に戻ると、車両制御の終了条件が成立したか否かを判定する(A7)。制御部5は、車両制御の終了条件が成立していないと判定すると(A7:NO)、ステップA3に戻り、ステップA3以降を繰返す。即ち、制御部5は、車両が交差点を通過する毎に、交差点内制御処理を行い、交差点内制御処理の車両制御で補助標示を用いなかったと判定すると、活用可否判定処理を行う。制御部5は、例えばイグニッションオフにより車両制御の終了条件が成立したと判定すると(A7:YES)、車両制御を終了し(A8)、補助標示活用データ生成処理を終了する。
【0067】
(2)補助標示活用データ送信処理(図19参照)
車載機2において、制御部5は、補助標示活用データの送信条件が成立し、補助標示活用データ送信処理の開始イベントが成立すると、補助標示活用データ記憶部9に記憶されている補助標示活用データを読出す(A51)。制御部5は、その読出した補助標示活用データをデータ通信部6からサーバ3に送信させ(A52、送信制御手順に相当する)、補助標示活用データ送信処理を終了し、次の補助標示活用データの送信条件の成立を待機する。
【0068】
(3)地図データ更新処理(図20参照)
サーバ3において、制御部12は、地図データの更新条件が成立し、地図データ更新処理の開始イベントが成立すると、補助標示活用データ記憶部16に記憶されている補助標示活用データを読出す(B1)。制御部12は、その読出した補助標示活用データを、地図データ記憶部15に記憶されている地図データに反映して当該地図データを更新し(B2、地図データ更新手順に相当する)、地図データ更新処理を終了し、次の地図データの更新条件の成立を待機する。
【0069】
(4)地図データ配信処理(図21参照)
サーバ3において、制御部12は、地図データの配信条件が成立し、地図データ配信処理の開始イベントが成立すると、地図データ記憶部15に記憶されている地図データを読出す(B11)。制御部12は、その読出した地図データをデータ通信部13から車載機2に配信させ(B12)、地図データ配信処理を終了し、次の地図データの配信条件の成立を待機する。
【0070】
尚、以上は、車両が自動運転で走行していることを前提とし、走行制御システム10において、第1走路又は第2走路にしたがって車両が交差点を通過するように車両走行を制御する場合を説明したが、車両が手動運転で走行している場合には、報知システム11において、第1走路又は第2走路にしたがって交差点内での停止位置、操舵の開始タイミング、終了タイミング等を運転者に対して報知する。
【0071】
又、補助標示活用データにWANT項目とMUST項目とが含まれる場合を説明したが、図22に示すように、補助標示活用データにWANT項目が省かれていても良い。即ち、車両が交差点内を右折する際に適する走路が車体サイズや対向車の有無に影響される交差点では、図12に示したように、車種情報や対向車情報を含む補助標示活用データを生成し、車両が交差点内を右折する際に適する走路が車体サイズや対向車の有無に影響されない交差点では、図22に示したように、車種情報や対向車情報を含まない補助標示活用データを生成しても良い。車種情報及び対向車情報の両方を含む補助標示活用データでなく、車種情報及び対向車情報のうち何れかを含む補助標示活用データを生成しても良い。
【0072】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車載機2において、交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を取得し、交差点内の補助標示の活用可否を判定し、交差点内の補助標示の活用可否の判定結果に基づいて補助標示を用いた運転支援を実施するか否かを判定するようにした。交差点内の補助標示の活用否を判定すると、補助標示を用いた運転支援を実施せず、交差点内の補助標示の活用可を判定すると、補助標示を用いた運転支援を実施することで、交差点内の補助標示を活用するの相応しい状況に限って補助標示を用いた運転支援を実施することができ、交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0073】
車載機2において、車種に関する車種情報を判定し、交差点内の補助標示の活用可否を判定するようにした。車種情報を考慮して交差点内の補助標示の活用可否を判定することで、例えば普通自動車が交差点内を右折する際に適する走路と、大型自動車が交差点内を右折する際に適する走路とが異なる問題を解消することができ、車種に応じて交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0074】
車載機2において、対向車の有無に関する対向車情報を判定し、交差点内の補助標示の活用可否を判定するようにした。対向車の有無を考慮して交差点内の補助標示の活用可否を判定することで、対向車が存在しない状況で交差点内を右折する際に適する走路と、対向車が存在する状況で交差点内を右折する際に適する走路とが異なる問題を解消することができ、対向車の有無に応じて交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0075】
車載機2において、交差点内の補助標示の活用可否を示す活用可否情報を含む補助標示活用データを生成し、その生成した補助標示活用データをサーバ3に送信するようにした。サーバ3において、交差点内の補助標示の活用可否を管理することができ、交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0076】
車載機2において、活用可否情報と、車種に関する車種情報とを対応付けて補助標示活用データを生成し、その生成した補助標示活用データをサーバ3に送信するようにした。サーバ3において、車種に応じて交差点内の補助標示の活用可否を管理することができる。
【0077】
車載機2において、活用可否情報と、対向車の有無に関する対向車情報とを対応付けて補助標示活用データを生成し、その生成した補助標示活用データをサーバ3に送信するようにした。サーバ3において、対向車の有無に応じて交差点内の補助標示の活用可否を管理することができる。
【0078】
サーバ3において、補助標示活用データを車載機2から受信すると、その補助標示活用データを地図データに反映して当該地図データを更新するようにした。交差点内の補助標示の活用可否を反映した地図データを生成することができ、交差点内の補助標示を適切に活用することができる。
【0079】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0080】
道路交通法で車両の左側通行が規定されている国や地域を対象とする場合を例示したが、道路交通法で車両の右側通行が規定されている国や地域を対象としても良く、車両が交差点内を左折する状況に適用することも可能である。
【0081】
対向車情報として対向車の有無に関する情報を例示したが、対向車の車種に関する情報を加えても良い。即ち、車両が交差点内を右折する際に適する走路が対向車の車体サイズにも影響され得ることを想定し、同一の交差点を対象とし、交差点内に存在する対向車のうち先頭で待機する車両が車種Aであれば補助標示の活用可を判定し、交差点内に存在する対向車のうち先頭で待機する車両が車種Bであれば補助標示の活用否を判定する等、先頭で待機する車両の車種に応じて補助標示の活用可否を判定しても良い。
【0082】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
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