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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】エレベーターの配線用ダクト構造
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20240409BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B66B7/06 Q
H02G3/04 050
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023526710
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2021021866
(87)【国際公開番号】W WO2022259402
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 麦平
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特許第6053872(JP,B1)
【文献】特開平07-143638(JP,A)
【文献】特開平09-172717(JP,A)
【文献】特開2008-104248(JP,A)
【文献】特開平10-108334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/06
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの配線を収納するエレベーターの配線用ダクト構造において、
長手方向に延びる矩形筒状の第一ダクトと、
前記第一ダクトの内側に篏合し、前記第一ダクトに対して前記長手方向にスライド自在に構成された矩形筒状の第二ダクトと、
を備え
前記第一ダクトは、
底面及び側面を構成する第一ダクト本体部と、
上面を構成する第一ダクトカバーと、を含み、
前記第一ダクト本体部の前記側面の途中には、切り欠き部が設けられ、
前記切り欠き部を塞ぐように取り付ける側面部材を備え、
前記側面部材は、前記第二ダクトに対して固定されていないことを特徴とするエレベーターの配線用ダクト構造。
【請求項2】
前記第二ダクトは、
底面及び側面を構成する第二ダクト本体部と、
上面を構成する第二ダクトカバーと、を含み、
前記第二ダクトカバーは、前記長手方向に直交する方向に沿って複数に分割された構造であることを特徴とする請求項1に記載のエレベーターの配線用ダクト構造。
【請求項3】
前記側面部材は、
前記配線を通すための1つ又は複数の出口孔が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの配線用ダクト構造。
【請求項4】
前記第一ダクト又は前記第二ダクトの端部に、前記第一ダクト又は前記第二ダクトの端部を更に連結するための接続ダクトを更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のエレベーターの配線用ダクト構造。
【請求項5】
前記接続ダクトは、
矩形形状の接続ダクトカバーと、
前記接続ダクトカバーの隅角部に固定される4つの独立した柱部材と、を備え、
前記柱部材のそれぞれは、異なる2方向に突出する2つのダクト挿入部を有し、
前記2つのダクト挿入部の突出方向の成す角は90度又は180度であり、
前記接続ダクトは、
前記第一ダクト又は前記第二ダクトの端部が配置される側面において、両端に位置する前記柱部材のそれぞれから、前記2つのダクト挿入部のうちの一方が前記側面から垂直に突出するように、前記柱部材の前記突出方向の成す角及び固定される向きが設定される
請求項に記載のエレベーターの配線用ダクト構造。
【請求項6】
前記接続ダクトは、
前記第一ダクト又は前記第二ダクトの端部が配置されていない側面において、両端に位置する前記柱部材のそれぞれから、前記2つのダクト挿入部の内の一方が互いに向かい合うように、前記柱部材の前記突出方向の成す角及び固定される向きが設定され、
向かい合う前記ダクト挿入部の間には、側板が固定される
請求項に記載のエレベーターの配線用ダクト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの配線用ダクト構造に係り、特にエレベーターの機械室の床面に設置されるエレベーターの配線用ダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エレベーター用配線ダクトに関する技術が開示されている。この技術では、ダクトの幅方向に平面的に変位を可能にすることにより、配線に要する平面的なスペースを縮小し、機械室のスペースを有効活用できるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2009-166965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーターの改修工事又は新設工事では、エレベーターの機械室において、エレベータ配線を収納するためのダクトを床面に設置する作業が行われる。ダクトの長さ及び設置経路は、機械室内の機器のレイアウトによって異なる。このため、現場の作業者は、ダクトの切断、バリ取り、穴開け等を現場で行うことがあり、作業負担の増大及び騒音の発生が課題となっている。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、現場での高負荷な加工作業を不要としたエレベーターの配線用ダクト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、エレベーターの配線を収納するエレベーターの配線用ダクト構造であって、長手方向に延びる矩形筒状の第一ダクトと、前記第一ダクトの内側に篏合し、前記第一ダクトに対して前記長手方向にスライド自在に構成された矩形筒状の第二ダクトと、を備え、第一ダクトは、底面及び側面を構成する第一ダクト本体部と、上面を構成する第一ダクトカバーと、を含み、第一ダクト本体部の側面の途中には、切り欠き部が設けられ、切り欠き部を塞ぐように取り付ける側面部材を備え、側面部材は、第二ダクトに対して固定されていないものである。

【発明の効果】
【0007】
本開示のエレベーターの配線用ダクト構造によれば、第二ダクトが、第一ダクトの内側にスライド自在に篏合されている。このような構成によれば、現場での高負荷な加工作業を行わずにダクトの長さを調整することが可能となる。これにより、作業者の作業負担を軽減するとともに、現場での騒音の発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係るダクト構造の全体斜視図である。
図2】第一ダクトの構造を説明するための三面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示している。
図3】第一ダクトの構造を説明するための分解図である。
図4】第二ダクトの構造を説明するための三面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示している。
図5】第二ダクトの構造を説明するための分解図である。
図6】組み合わせダクトの組み合わせ構造を説明するための図である。
図7図2中のA部を拡大して取り付け穴部品の構造を説明するための拡大図である。
図8】取り付け穴部品の取り付け構造を説明するための分解図である。
図9】接続ダクトの構造を説明するための図である。
図10】第一柱部材の構造を説明するための三面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示している。
図11】第二柱部材の構造を説明するための二面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示している。
図12】接続ダクトの接続形態の第1変形例を説明するための図である。
図13】接続ダクトの接続形態の第2変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態.
1.実施の形態のダクト構造の概要
図1は、本開示の実施の形態に係るダクト構造の全体斜視図である。この図に示す組み合わせダクト8は、エレベーターの配線を通すための配線用ダクトである。典型的には、組み合わせダクト8は、改修工事又は新設工事において、エレベーターの機械室の床面に設置される。
【0011】
組み合わせダクト8は、第一ダクト10と第二ダクト20と、を備えている。第二ダクト20は、第一ダクト10の内部に篏合可能なように、第一ダクト10の内寸よりも小さな外寸とされる。これにより、第二ダクト20は、第一ダクト10に対して長手方向にスライド自在に構成される。
【0012】
このように、組み合わせダクト8は、第二ダクト20のスライド量を調整することによって全長を任意の長さに設定することができる。これにより、改修工事又は新設工事の作業者は、ダクトの切断等の高負荷な作業を現場で行うことなく、機械室の機器の配置に応じて最適なダクトの長さに調整することができる。以下、本実施の形態の組み合わせダクト8を構成する各部品について、さらに詳細に説明する。
【0013】
2.第一ダクト
図2は、第一ダクトの構造を説明するための三面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示している。また、図3は、第一ダクトの構造を説明するための分解図である。第一ダクト10は、長手方向に延びる矩形筒状のダクトである。第一ダクト10の全長L1に限定はない。好ましくは、第一ダクト10は、複数種類の全長のものが準備される。例えば、第一ダクト10は、L1=1200mmと600mmの2種類、のものが準備される。
【0014】
第一ダクト10は、第一ダクト本体部12と、第一ダクトカバー14と、取り付け穴部品16と、複数の締結ネジ18とを備える。第一ダクト本体部12は、底面部121と、側面部122と内フランジ部123と、により構成される。底面部121は、第一ダクト10の底面を構成する。側面部122は、第一ダクト10の長手方向に沿った一対の側面を構成する。内フランジ部123は、それぞれの側面部122の上端から内側に向かって張り出した内フランジを構成する。第一ダクト本体部12は、金属板に板金加工を施すことにより形成される。
【0015】
第一ダクトカバー14は、第一ダクト本体部12の上面側を覆う矩形形状の金属板である。第一ダクトカバー14の全長及び全幅は、第一ダクト本体部12の全長及び全幅と同等である。第一ダクトカバー14は、第一ダクト本体部12の内フランジ部123の上に重ねて設置される。
【0016】
取り付け穴部品16は、側面部122に設けられた切り欠き部124を塞ぐように取り外し自在に固定される側面部材である。典型的には、取り付け穴部品16には、エレベータ用配線をダクト内から引き出すための出口孔が設けられている。取り付け穴部品16の取り付け構造については詳細を後述する。
【0017】
締結ネジ18は、第一ダクトカバー14を内フランジ部123に締結するための締結部材である。典型的には、締結ネジ18はタッピングビスを採用することができる。
【0018】
3.第二ダクト
図4は、第二ダクトの構造を説明するための三面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示している。また、図5は、第二ダクトの構造を説明するための分解図である。第二ダクト20は、長手方向に延びる矩形筒状のダクトである。第二ダクト20の全長L2に限定はない。例えば、第二ダクト20は、1又は複数種類の全長のものが準備される。ここでは、例えば、L1=600mmの1種類の第二ダクト20が準備される。第二ダクト20の高さ及び幅の外寸は、第一ダクト10の高さ及び幅の内寸よりも小さくなるように構成されている。
【0019】
第二ダクト20は、第二ダクト本体部22と、複数の第二ダクトカバー24と、複数の締結ネジ26とを備える。
【0020】
第二ダクト本体部22は、底面部221と、側面部222と内フランジ部223と、により構成される。第二ダクト本体部22の構造は、第一ダクト本体部12と同様である。第二ダクトカバー24は、第二ダクト本体部22の上面側を覆う矩形形状の金属板である。ただし、第二ダクトカバー24は、第一ダクトカバー14と異なり、長手方向に直交する方向に沿って複数の矩形のダクトカバーに分割された構造を有している。図4に示す例では、6枚の第二ダクトカバー24を長手方向に並べることによって第二ダクト本体部22の上面全体が覆われている。
【0021】
締結ネジ26は、第二ダクトカバー24を内フランジ部223に締結するための締結部材である。締結ネジ26の構造は、第一ダクト10の締結ネジ18と同様である。複数の第二ダクトカバー24は、それぞれ複数の締結ネジ26を用いて固定される。
【0022】
4.組み合わせダクト
図6は、組み合わせダクトの組み合わせ構造を説明するための図である。この図に示すように、組み合わせダクト8をエレベーターの機械室に設置する場合、先ず第二ダクト本体部22を第一ダクト本体部12の内側に挿入する。次に、組み合わせダクト8の全長が機械室のレイアウトから決定される設計値になるように、第二ダクト本体部22の挿入量を調整する。この状態で、第一ダクト本体部12及び第二ダクト本体部22は、機械室の床面に鋲等によって直接固定される。
【0023】
エレベーターの配線類Wを組み合わせダクト8の内部に通した後、第二ダクトカバー24を固定する。ここで、第一ダクト10の第一ダクトカバー14を取り付けた後に外部に露出しない第二ダクト20の範囲については、必ずしも第二ダクトカバー24で覆う必要はなく、また、部品同士の干渉可能性を勘案すると、むしろ不要な部品は取り付けない方が好ましい。
【0024】
そこで、本実施の形態の組み合わせダクト8では、外部に露出する範囲を覆うことが可能な最低限の枚数の第二ダクトカバー24が取り付けられる。図6に示す例では、2枚の第二ダクトカバー24が固定されている。このような構成によれば、部品点数の削減、及び部品同士の意図しない干渉の抑制が図れる。
【0025】
次いで、第一ダクト10の第一ダクト本体部12の上面側に第一ダクトカバー14が固定される。このような組み合わせダクト8の組み合わせ構造によれば、ダクトの切断等の加工を行うことなく全長を設計値に調整することができる。
【0026】
5.取り付け穴部品の取り付け構造
図7は、図2中のA部を拡大して取り付け穴部品の構造を説明するための拡大図である。図8は、取り付け穴部品の取り付け構造を説明するための分解図である。第一ダクト10の側面部122の長手方向中間部には、取り付け穴部品16を取り付けるための取り付け穴としての切り欠き部124が形成されている。典型的には、切り欠き部124は、側面部122を上端側から矩形形状に切り欠くことにより構成される。切り欠き部124における内フランジ部123は、切り欠き部124の幅よりも更に幅広に切り欠かれている。これにより、切り欠き部124の長手方向の端面部124aには、側面部122の端面が露出している。
【0027】
取り付け穴部品16は、矩形板材の上端面にフランジが形成された壁面部161と、エレベーターの配線を壁面部161からダクト外部へ引き出すための1又は複数の出口孔162と、切り欠き部124の端面部124aを間に挟み込むための切り欠き挿入部163と、を備える。出口孔162の個数及び配置に限定はない。例えば、取り付け穴部品16は、出口孔162を備えていなくてもよい。図7の取り付け穴部品16では、穴径の異なる2つの出口孔162が並んで配置されている。切り欠き挿入部163は、壁面部161の長手方向両端にそれぞれ設けられている。取り付け穴部品16は、切り欠き部124の端面部124aが切り欠き挿入部163と壁面部161との隙間に挟み込まれるように、上方から切り欠き部124へと挿入される。そして、壁面部161のフランジが、第一ダクトカバー14の上から締結ネジ18により固定される。
【0028】
なお、組み合わせダクト8は、出口孔162の有無、径、個数の異なる複数種類の取り付け穴部品16を備えていることが好ましい。このような構成によれば、エレベーターの仕様に応じて、適した取り付け穴部品16を選択して取り付けることが可能となる。
【0029】
6.接続ダクト
図9は、接続ダクトの構造を説明するための図である。接続ダクト30は、ダクト同士を同一直線方向、直交する方向、或いはこれらの組み合わせた複数方向に自在に連結するためのダクトである。この図に示す例は、第一ダクト10の端部と、当該第一ダクト10に直交する第二ダクト20の端部とをL字状に接続する接続構造を示している。図9に示す接続ダクト30には、接続ダクトカバー32と、柱部材としての第一柱部材34及び第二柱部材36と、側板38と、が用いられている。
【0030】
接続ダクトカバー32は、接続ダクト30の上部を覆う矩形の板材である。図9では、接続ダクトカバー32を鎖線で示し、接続ダクト30の内部を透視して示している。接続ダクトカバー32の隅角部には、対角方向に幅広となる長穴321がそれぞれ設けられている。
【0031】
第一柱部材34及び第二柱部材36は、接続ダクトカバー32の隅角部に固定される柱部材である。本実施の形態の接続ダクト30では、ダクトの接続形態に応じて、隅角部に固定されるそれぞれの柱部材が、第一柱部材34及び第二柱部材36の中から個別に選択される。
【0032】
図10は、第一柱部材の構造を説明するための三面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示している。第一柱部材34は、接続ダクトカバー32の隅角部に固定される柱部材である。第一柱部材34は、柱本体部340と、ダクト挿入部としての第一ダクト挿入部341及び第二ダクト挿入部342と、カバー固定部としての第一カバー固定部343及び第二カバー固定部344と、を備える。柱本体部340は、接続ダクト30の柱となる平面視L型の部品であり、第一ダクト10及び第二ダクト20と同等の高さ寸法に構成されている。
【0033】
第一ダクト挿入部341及び第二ダクト挿入部342は、第一ダクト10、第二ダクト20、及び側板38の何れかの端部を挟んで保持するための部位である。第一ダクト挿入部341及び第二ダクト挿入部342は、一対の平行な平板が隙間を空けて配置された構造を有し、柱本体部340の両側端からそれぞれの延在方向に沿って突出するように形成されている。第一柱部材34は、柱本体部340が平面視L型であるため、第二ダクト挿入部342の突出方向と第一ダクト挿入部341の突出方向とが成す角度は90度である。つまり、第一柱部材34は、挿入方向が90度異なる2方向から、第一ダクト10、第二ダクト20、又は側板38を挿入することが可能に構成されている。
【0034】
第一カバー固定部343は、柱本体部340の上端及び下端からL型の外側に向かって延びるようにそれぞれ設けられる。第二カバー固定部344は、柱本体部340の上端及び下端からL型の内側に向かって延びるようにそれぞれ設けられる。第一カバー固定部343及び第二カバー固定部344には、それぞれ接続ダクトカバー32をネジで固定するための穴が設けられている。第一柱部材34は、接続ダクトカバー32の隅角部に固定される。この際、第一柱部材34は、上下を反転させて固定することもできる。
【0035】
図11は、第二柱部材の構造を説明するための二面図であり、図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示している。第二柱部材36は、第一柱部材34と同様に、接続ダクトカバー32の隅角部に固定される柱部材である。第二柱部材36は、柱本体部360と、ダクト挿入部としての第一ダクト挿入部361及び第二ダクト挿入部362と、カバー固定部としての第一カバー固定部363及び第二カバー固定部364と、を備える。柱本体部360は、接続ダクト30の柱となる平面視I型の部品であり、第一ダクト10及び第二ダクト20と同等の高さ寸法に構成されている。
【0036】
第一ダクト挿入部361及び第二ダクト挿入部362は、第一ダクト10、第二ダクト20、及び側板38の何れかの端部を挟んで保持するための部位である。第一ダクト挿入部361及び第二ダクト挿入部362は、一対の平行な平板が隙間を空けて配置された構造を有し、柱本体部360の両側端からそれぞれの延在方向に沿って突出するように形成されている。第二柱部材36は、柱本体部340が平面視I型であるため、第二ダクト挿入部362の突出方向と第一ダクト挿入部361の突出方向とが成す角度は180度である。つまり、第二柱部材36は、挿入方向が180度異なる2方向から、第一ダクト10、第二ダクト20、又は側板38を挿入することが可能に構成されている。
【0037】
第一カバー固定部363は、柱本体部360の上端及び下端からI型の一方の側に向かって延びるようにそれぞれ設けられる。第二カバー固定部364は、柱本体部340の上端及び下端からI型の他方の側に向かって延びるようにそれぞれ設けられる。第一カバー固定部363及び第二カバー固定部364には、それぞれ接続ダクトカバー32をネジで固定するための穴が設けられている。第二柱部材36は、接続ダクトカバー32の隅角部に固定される。この際、第一柱部材34は、上下を反転させて固定することもできる。
【0038】
接続ダクト30は、以下の条件を満たすように柱部材の種類及び固定する向きが設定される。
第一条件:接続ダクト30の側面のうち、接続される第一ダクト10及び第二ダクト20の端部が配置される側面において、当該側面の両端に位置する柱部材のそれぞれから、何れかのダクト挿入部を当該側面から垂直に突出させる。
第二条件:接続ダクト30の側面のうち、第一ダクト10又は第二ダクト20が配置されていない側面において、当該側面の両端に位置する柱部材のそれぞれから、何れかのダクト挿入部を互いに向かい合わせる。
【0039】
図9に示す接続ダクト30では、上記条件を満たすために、2つの第一ダクト挿入部361と2つの第二ダクト挿入部362が、図に示す向きでそれぞれ固定されている。そして、接続ダクト30の側面のうち、第一ダクト10又は第二ダクト20が配置されていない側面には、矩形板材の側板38が設置されている。接続ダクトカバー32は、長穴321に対応するカバー固定部の穴にネジ止めされる。
【0040】
なお、接続ダクト30に第一ダクト10を接続する場合、第二ダクト20を接続する場合よりも両端の柱部材の間隔が若干大きくなる。そこで、本実施の形態の接続ダクト30では、何れのダクトが接続される場合にも対応可能なように、側板38の全長及び天板の長穴321が、この間隔差を吸収可能な寸法に設定されている。このような接続ダクト30の構成によれば、第一ダクト10及び第二ダクト20の何れのダクトであっても、接続ダクト30に接続することができる。
【0041】
また、接続ダクト30は、使用する柱部材の種類及び向きを変更することによって、種々の接続形態を実現することができる。図12は、接続ダクトの接続形態の第1変形例を説明するための図である。図12に示す第1変形例の接続形態では、接続ダクト30は、第一ダクト10に対して直交する2つの第二ダクト20を接続することによって、T字状の接続形態を実現している。この接続形態では、上記の第一条件及び第2条件を満たすように、2つの第一柱部材34と2つの第二柱部材36の固定向きを設定している。
【0042】
図13は、接続ダクトの接続形態の第2変形例を説明するための図である。図13に示す第2変形例の接続形態では、接続ダクト30は、第一ダクト10に対して直交する2つの第二ダクト20と、同方向の第一ダクト10をそれぞれ接続することによって、+字状の接続形態を実現している。この接続形態では、接続ダクト30の側面のうち、第一ダクト10又は第二ダクト20が配置されていない側面が存在しない。このため、この接続形態では、接続ダクト30の全ての側面おいて第一条件を満たすように、4つの第一柱部材34の固定向きを設定している。
【0043】
このように、本実施の形態の接続ダクト30によれば、ダクト同士を同一直線方向或いは直交する方向に自在に連結することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
8 組み合わせダクト、 10 第一ダクト、 12 第一ダクト本体部、 14 第一ダクトカバー、 16 取り付け穴部品、 20 第二ダクト、 22 第二ダクト本体部、 24 第二ダクトカバー、 30 接続ダクト、 32 接続ダクトカバー、 34 第一柱部材、 36 第二柱部材、 38 側板、 121 底面部、 122 側面部、 123 内フランジ部、 124 切り欠き部、 124a 端面部、 161 壁面部、 162 出口孔、 163 切り欠き挿入部、 221 底面部、 222 側面部、 223 内フランジ部、 321 長穴、 340 柱本体部、 341 第一ダクト挿入部、 342 第二ダクト挿入部、 343 第一カバー固定部、 344 第二カバー固定部、 360 柱本体部、 361 第一ダクト挿入部、 362 第二ダクト挿入部、 363 第一カバー固定部、 364 第二カバー固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13