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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240409BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60W30/06
G01C21/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023536691
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 JP2022027019
(87)【国際公開番号】W WO2023002863
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2021119472
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道和 剛
(72)【発明者】
【氏名】北浦 真司
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-536734(JP,A)
【文献】特開2018-184149(JP,A)
【文献】特開2021-008243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公道(OL)と前記公道に沿う土地に設けられた駐車スペース(SP)との間におけるドライバによる車両(V)の運転操作を支援する運転支援装置であって、
前記駐車スペースからの出庫操作および前記駐車スペースへの入庫操作のうち、一方の操作を前記ドライバが行う際に前記車両が通過する走行経路および前記走行経路における前記車両の周辺状況を含む経路情報を記憶部(50)に記憶する経路記憶部(54)と、
前記経路情報に基づいて前記車両の出庫時または入庫時に前記車両が通るべき目標経路を生成する経路生成部(55)と、を備え、
前記経路記憶部は、前記一方の操作を行う際に、少なくとも前記公道と前記土地との境界となる車両出入口(B)と前記車両の現在位置との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に開始または停止する、運転支援装置。
【請求項2】
前記経路記憶部は、前記ドライバが前記出庫操作を行う際に、前記車両の現在位置と前記車両出入口との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に停止する、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記経路記憶部は、前記駐車スペースから発進した前記車両が前記車両出入口から所定距離以上はなれたことを契機に前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に停止する、請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記所定距離は、ゼロよりも大きい値である、請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記経路記憶部は、前記駐車スペースからの前記車両の発進操作を契機に前記経路情報の記憶を自動的に開始する、請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記経路記憶部は、前記ドライバが前記入庫操作を行う際に、前記車両の現在位置と前記車両出入口との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に開始する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記経路記憶部は、前記公道側から前記車両出入口に近づくように走行する際の前記車両と前記車両出入口との距離が基準距離以下となったことを契機に前記経路情報の前記記憶部への記憶を自動的に開始する、請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記経路記憶部は、前記駐車スペースへの前記車両の駐車操作を契機に前記経路情報の前記記憶部への記憶を停止する、請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記記憶部に記憶された前記経路情報には、前記駐車スペースから前記車両出入口までの第1経路(C1)と、前記車両出入口から前記公道における所定位置までの第2経路(C2)とを含んでいる、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記経路記憶部は、異なる前記走行経路を通過した際の前記経路情報を前記記憶部に記憶し、
前記経路生成部は、前記記憶部に記憶された複数の前記経路情報を学習し、その学習の結果に基づいて前記出庫操作または前記入庫操作に適した前記目標経路を生成する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記経路生成部は、前記入庫操作の支援を開始する支援開始位置が前記記憶部に記憶された前記走行経路外である場合、前記駐車スペースの周囲の道路情報に基づいて前記支援開始位置から前記走行経路までの経路を予測経路として生成するとともに、前記予測経路および前記経路情報に基づいて前記目標経路を生成する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記経路記憶部による前記経路情報の前記記憶部への記憶に関する記憶関連情報を前記ドライバに報知する報知装置(45)を備える、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記記憶関連情報には、前記経路情報の前記記憶部への記憶開始に関する情報および前記経路情報の前記記憶部への記憶終了に関する情報の少なくとも一方が含まれる、請求項12に記載の運転支援装置。
【請求項14】
コンピュータによって、公道(OL)と前記公道に沿う土地に設けられた駐車スペース(SP)との間におけるドライバによる車両(V)の運転操作を支援する運転支援方法であって、
前記駐車スペースからの出庫操作および前記駐車スペースへの入庫操作のうち、一方の操作を前記ドライバが行う際に、前記コンピュータによって、前記車両が通過する走行経路および前記走行経路における前記車両の周辺状況を含む経路情報を記憶部(50)に記憶することと、
前記コンピュータによって、前記経路情報に基づいて前記車両の出庫時または入庫時に前記車両が通るべき目標経路を生成することと、を含み、
前記一方の操作を行う際に、前記コンピュータによって、少なくとも前記公道と前記土地との境界となる車両出入口(B)と前記車両の現在位置との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に開始または停止する、運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2021年7月20日に出願された日本特許出願番号2021-119472号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、運転支援装置および運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、ドライバが操作要素によって指定した走行区間における実際の走行経路を記憶して、記憶した走行経路を基準に車両を自動ガイドする駐車支援方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2008-536734号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の駐車支援方法では、車両を自動ガイドする走行区間の始点および終点それぞれを操作要素によってドライバが指定する必要がある。このことは、車両の目標経路の生成に伴うドライバの負荷が増加することになり、好ましくない。
本開示は、車両の目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制可能な運転支援装置および運転支援方法を提供することを目的とする。
【0006】
本開示の1つの観点によれば、
運転支援装置は、公道と公道に沿う土地に設けられた駐車スペースとの間におけるドライバによる車両の運転操作を支援するものであって、
駐車スペースからの出庫操作および駐車スペースへの入庫操作のうち、一方の操作をドライバが行う際に車両が通過する走行経路および走行経路における車両の周辺状況を含む経路情報を記憶部に記憶する経路記憶部と、
経路情報に基づいて車両の出庫時または入庫時に車両が通るべき目標経路を生成する経路生成部と、を備え、
経路記憶部は、一方の操作を行う際に、少なくとも公道と土地との境界となる車両出入口と車両の現在位置との関係に基づいて、記憶部への経路情報の記憶を自動的に開始または停止する。
【0007】
本開示の別の観点によれば、
運転支援方法は、コンピュータによって、公道と公道に沿う土地に設けられた駐車スペースとの間におけるドライバによる車両の運転操作を支援するものであって、
駐車スペースからの出庫操作および駐車スペースへの入庫操作のうち、一方の操作をドライバが行う際に、コンピュータによって、車両が通過する走行経路および走行経路における車両の周辺状況を含む経路情報を記憶部に記憶することと、
経路情報に基づいて車両の出庫時または入庫時に車両が通るべき目標経路を生成することと、を含み、
一方の操作を行う際に、コンピュータによって、少なくとも公道と土地との境界となる車両出入口と車両の現在位置との関係に基づいて、記憶部への経路情報の記憶を自動的に開始または停止する。
【0008】
これらのように、車両出入口を基準に経路情報の記憶部への記憶を自動的に開始または停止する構成にすれば、経路情報の記憶を開始および停止するタイミングをドライバが指定する場合に比べて、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る自動駐車システムの概略構成図である。
図2】後向きで入庫する際の状況を説明するための説明図である。
図3】前向きでの出庫時の走行経路の一例を説明するための説明図である。
図4】第1実施形態の車両制御部が実行する学習処理の流れを示すフローチャートである。
図5】第1実施形態における経路情報の記憶の開始位置および停止位置を説明するための説明図である。
図6】第1実施形態の車両制御部が実行する追従制御処理の流れを示すフローチャートである。
図7】第1実施形態の車両制御部が実行する目標経路の生成処理の流れを示すフローチャートである。
図8】経路情報の記憶の停止位置の変形例を説明するための説明図である。
図9】第2実施形態の車両制御部が実行する目標経路の生成処理の一部を示すフローチャートである。
図10】後向きで出庫する際の状況を説明するための説明図である。
図11】前向きでの入庫時の走行経路の一例を説明するための説明図である。
図12】第3実施形態の車両制御部が実行する学習処理の流れを示すフローチャートである。
図13】第3実施形態における経路情報の記憶の開始位置および停止位置を説明するための説明図である。
図14】第3実施形態の車両制御部が実行する追従制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図7を参照して説明する。本実施形態では、本開示の運転支援装置5および運転支援方法を自動運転システム1に適用した例について説明する。図1に示すように、自動運転システム1は、周辺監視センサ3、各種ECU4、および運転支援装置5を有する。運転支援装置5は、周辺監視センサ3および各種ECU4に対して直接もしくは車内LAN(Local Area Network)等を介して通信可能に接続されている。
【0013】
周辺監視センサ3は、自身の車両Vの周辺環境を監視する自律センサである。例えば、周辺監視センサ3は、歩行者や他車両等の移動する動的物標および路上の構造物等の静止している静的物標といった自車周辺の立体物で構成される障害物OBや、駐車場PLに関する情報である駐車情報を示す駐車支援用マークを検知対象物として検知する。ここでは、周辺監視センサ3として、自車周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ31、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するソナー32、ミリ波レーダ33、LiDAR(Light Detection and Ranging)34等の探査波センサが備えられている。
【0014】
周辺監視カメラ31は、撮像装置に相当するもので、自車の周辺画像を撮影し、その撮像データをセンシング情報として運転支援装置5へ出力する。ここでは、周辺監視カメラ31として、車両前方、後方、左右側方の画像を撮影する前方カメラ31a、後方カメラ31b、左側方カメラ31c、右側方カメラ31dを例に挙げているが、これらは、これに限るものではない。
【0015】
探査波センサは、探査波を出力すると共にその反射波を取得することで得られた物標との相対速度や相対距離および物標が存在する方位角等の測定結果をセンシング情報として運転支援装置5へ逐次出力する。ソナー32は、探査波として超音波を用いた測定を行うものであり、車両Vに対して複数箇所に備えられ、例えば前後のバンパーに車両左右方向に複数個並べて配置されており、車両周囲に探査波を出力することで測定を行う。ミリ波レーダ33は、探査波としてミリ波を用いた測定を行う。LiDAR34は、探査波としてレーザ光を用いた測定を行う。ミリ波レーダ33およびLiDAR34は、共に、例えば車両Vの前方の所定範囲内に探査波を出力し、その出力範囲内において測定を行う。
【0016】
なお、本実施形態では、周辺監視センサ3として、周辺監視カメラ31、ソナー32、ミリ波レーダ33、LiDAR34を備えたもの例に挙げるが、これらのうちの1つもしくは複数の組み合わせによって周辺監視が行えれば良く、すべて備えていなくても良い。
【0017】
また、運転支援装置5は、地図データベース35およびGPS36に接続され、自身の車両Vの現在位置を測位可能になっている。なお、地図データベース35は、車載機器に構築されていてもよいし、車外の機器(例えば、外部サーバ)に構築されていてもよい。
【0018】
運転支援装置5は、自動運転システム1における運転支援方法を実現するための各種制御を行うためのECU(すなわち、電子制御装置)を構成するものであり、CPU、記憶部50、I/O等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。
【0019】
記憶部50は、ROM、RAM、EEPROM等を含んでいる。すなわち、記憶部50は、RAM等の揮発性メモリ50aと、EEPROM等の不揮発性メモリ50bとを有している。記憶部50は、非遷移有形記録媒体で構成されている。
【0020】
運転支援装置5は、公道OLと公道OLに沿う土地に設けられた駐車スペースSPとの間におけるドライバによる車両Vの運転操作を支援する。本実施形態の運転支援装置5は、図2に示すように、駐車スペースSPへの車両Vの入庫操作を支援する。なお、図2では、後向きで入庫する際の状況を図示しているが、運転支援装置5による運転支援は、後向きで入庫する場合に限らず、前向きでの入庫操作の際にも実施することができる。
【0021】
運転支援装置5は、ドライバによる車両Vの入庫操作または出庫操作が行われた際の車両Vの走行経路および当該走行経路における車両Vの周辺状況を含む経路情報に基づいて車両Vの駐車時に車両Vが通るべき目標経路を生成する。そして、運転支援装置5は、運転支援時に、目標経路に沿って駐車予定位置である駐車スペースSPまで車両Vを自動的に移動させたり、駐車スペースSPから所定位置まで車両Vを自動的に移動させたりする。
【0022】
運転支援装置5は、例えば、図3に示すように、ドライバによる車両Vの出庫操作が行われた際に、後述の認識処理部51によって逐次取得される車両Vの走行経路および当該走行経路における車両Vの周辺状況を含む経路情報を記憶部50に記憶する。なお、運転支援装置5は、例えば、図2に示すように、ドライバによる車両Vの入庫操作が行われた際に、認識処理部51によって逐次取得される経路情報を記憶部50に記憶するようになっていてもよい。このように、運転支援装置5は、ドライバの手動運転時に経路情報を記憶する学習処理を実施する。この学習処理は、公道OLと駐車場PLとの境界となる車両出入口Bと車両Vの現在位置との関係に基づいて自動的に開始または停止される。また、運転支援は、ドライバから運転支援を行うことの指示が出されると実行される。駐車場PLは、公道OLに沿う土地であって、車両Vの駐車スペースSPが設けられている。なお、“車両Vの周辺状況”とは、例えば、車両Vの周辺の人や他車両等の動的物標、車両Vの周辺の縁石、建物等の静的物標、各種標識、ガイド線等の路面標示等の状況である。
【0023】
運転支援装置5は、学習処理の開始位置STPから停止位置SPPまで移動する間、周辺監視センサ3のセンシング情報に基づいて、車両Vの走行経路における物標、駐車可能なフリースペース、駐車位置等を認識する。これらの認識結果は、経路情報として記憶部50に記憶され、運転支援時に利用される。
【0024】
運転支援装置5は、記憶部50に記憶された経路情報、運転支援時に認識処理部51によって逐次取得される経路情報に基づいて、目標経路の生成および運転支援のための各種制御を行う。すなわち、運転支援装置5は、運転支援の指示が出されると、記憶部50に記憶されたセンシング情報および運転支援時の周辺監視センサ3のセンシング情報に基づいて、目標経路を生成し、その経路に従った経路追従制御を行う。具体的には、運転支援装置5は、各種制御を実行する機能部として、認識処理部51、車両情報取得部52、車両制御部53を有した構成とされている。
【0025】
認識処理部51は、周辺監視センサ3からセンシング情報を入力し、そのセンシング情報に基づいて、駐車しようとしている自車の周辺環境の認識、どのような駐車を行うシーンであるかのシーン認識、さらには自車の周辺に存在する立体物の認識等を行う。ここでは、認識処理部51を画像認識部51a、空間認識部51b、フリースペース認識部51c、地図情報照合部51dによって構成している。
【0026】
画像認識部51aは、シーン認識部51aa、立体物認識部51ab、ランドマーク・マーカ認識部51acを有している。これらは、センシング情報として、周辺監視カメラ31から撮像データを入力し、その撮像データを画像解析することでシーン認識、立体物認識、ランドマーク・マーカ認識を行っている。
【0027】
シーン認識では、駐車シーンがどのようなシーンであるか、例えば、駐車スペースSPまでの経路の通路幅に余裕がある通常の駐車シーンであるか、障害物OBによって駐車スペースSPまでの経路の通路幅に余裕がない特殊な駐車シーンであるかの認識を行う。
【0028】
周辺監視カメラ31から入力される撮像データは、その周辺の様子が映し出されたものであるため、その画像を解析すれば、通常の駐車シーンであるか特殊な駐車シーンであるかを判別できる。例えば、撮像データから駐車スペースSPの間口を算出し、その間口が自車の幅に基づいて予め設定されている所定範囲内であれば特殊な駐車シーンと判別できる。なお、シーン認識は、周辺監視カメラ31のセンシング情報だけでなく、探査波センサのセンシング情報に基づいて為されていてもよい。
【0029】
立体物認識では、動的物標や静的物標といった自車周辺に存在する立体物で構成される障害物OBを検知対象物として認識する。この立体物認識によって認識された検知対象物、好ましくはそのうちの静的物標の形状等に基づいて、上記したシーン認識や、障害物OBを含む運転支援マップの生成が行われる。
【0030】
ランドマーク・マーカ認識では、駐車スペースSPを示すランドマーク、駐車場PLを示す図形マーク、駐車の向きを示す図形マーク、駐車シーンや駐車の向き等を示す二次元バーコード等を認識する。ランドマーク・マーカ認識によって認識されたマークに基づいて、上記したシーン認識が行われる。また、例えば、駐車スペースSP内やその前方に、駐車シーン等の駐車情報を示す駐車支援用マークを付しておき、撮像データ中に駐車支援用マークがあった場合に、その駐車支援用マークが示す駐車シーンの種別を認識することができる。
【0031】
空間認識部51bは、立体物認識部51baを有している。立体物認識部51baは、ソナー32、ミリ波レーダ33、LiDAR34の少なくとも1つからのセンシング情報に基づいて、自車の周辺の空間内における立体物認識を行っている。ここでの立体物認識については、画像認識部51aで行われる立体物認識と同様である。このため、画像認識部51aと空間認識部51bのいずれか一方が備えられていれば立体物認識を行うことができる。また、本実施形態の場合、空間認識部51bではシーン認識を行っていないが、空間認識部51bにおいて、ソナー32、ミリ波レーダ33、LiDAR34の少なくとも1つからのセンシング情報に基づいてシーン認識を行うこともできる。
【0032】
なお、画像認識部51aと空間認識部51bのいずれか一方によって立体物認識やシーン認識を行うことができるが、双方を用いることでより精度良い立体物認識やシーン認識を行うことが可能となる。例えば、画像認識部51aによる立体物認識やシーン認識を空間認識部51bによる立体物認識やシーン認識によって補完することで、より精度良く立体物認識やシーン認識を行うことが可能となる。
【0033】
フリースペース認識部51cは、駐車場PLの中からフリースペースとなっている場所を認識するフリースペース認識を行う。フリースペースは、例えば、駐車場PLの中で車両Vを走行させることが可能な大きさおよび形状となっているスペースを意味している。
【0034】
フリースペース認識部51cは、画像認識部51aや空間認識部51bによるシーン認識および立体物認識の認識結果に基づいて、駐車場PLでのフリースペースを認識している。フリースペース認識部51cは、例えば、シーン認識および立体物認識の結果から、駐車場PLの形状や他車両の駐車の有無を把握できるため、それに基づいて駐車場PLの中からフリースペースを認識している。
【0035】
地図情報照合部51dは、地図データベース35から地図情報を取得し、取得した地図情報とGPS36で取得された位置情報とを照合することで、車両Vの地図上における位置を現在位置として特定する。地図情報照合部51dは、地図データベース35の地図情報およびGPS36で取得される位置情報以外の情報を利用して車両Vの現在位置を特定するようになっていてもよい。
【0036】
車両情報取得部52は、他のECU4等から車両Vの操作量に関する情報を取得する。具体的には、車両情報取得部52は、車両Vに搭載されたアクセルポジションセンサ、ブレーキ踏力センサ、舵角センサ、車輪速センサ、シフトポジションセンサ等の各センサから出力される検出信号を取得する。
【0037】
車両制御部53は、運転支援に必要とされる各種制御を実行する。具体的には、車両制御部53は、各種制御を実行する機能部として、経路記憶部54、経路生成部55、位置推定部56、追従制御部57を有した構成とされている。
【0038】
経路記憶部54は、駐車スペースSPからの出庫操作および駐車スペースSPへの入庫操作のうち、一方の操作をドライバが行う際に車両Vが通過する走行経路および当該走行経路における車両Vの周辺状況を含む経路情報を記憶部50に記憶する。本実施形態の経路記憶部54は、駐車スペースSPからの出庫操作をドライバが行う際の経路情報を記憶部50に記憶する。具体的には、経路記憶部54は、認識処理部51によって逐次取得される車両Vの走行経路における物標、駐車可能なフリースペース、駐車位置等を含む経路情報を記憶部50に記憶する。
【0039】
経路記憶部54は、地図データベース35およびGPS36を利用して、公道OLと駐車場PLとの境界となる車両出入口Bと車両Vの現在位置との関係を判定する位置判定機能を有する。そして、経路記憶部54は、ドライバが車両Vの出庫操作を行う際に、公道OLと駐車場PLとの境界となる車両出入口Bと車両Vの現在位置との関係に基づいて、記憶部50への経路情報の記憶を自動的に開始または停止する。具体的には、経路記憶部54は、駐車スペースSPからの車両Vの発進操作を契機に経路情報の記憶を自動的に開始する。そして、経路記憶部54は、ドライバが出庫操作を行う際に、車両Vの現在位置と車両出入口Bとの位置関係に基づいて、記憶部50への経路情報の記憶を自動的に停止する。
【0040】
経路生成部55は、シーン認識や立体物認識およびフリースペース認識の結果に基づいて経路生成を行う。経路生成部55は、学習処理時に記憶した経路情報等に基づいて車両Vの入庫時または出庫時に車両Vが通るべき目標経路を生成する。経路生成部55は、例えば、車両Vの走行経路を基準経路とし、当該基準経路において車両Vと障害物OBとの間隔が所定値以下となる区間がある場合、当該区間を車両Vと障害物OBとの間隔が所定値を超える経路に置き換えたものを目標経路として生成する。なお、障害物OBは、立体物認識で認識された立体物で構成される。
【0041】
ここで、経路生成部55は、目標経路の生成の際に障害物OBを避けるようにしているが、そのうちの静的物標のみを避けるようにして目標経路を生成するようにしても良い。動的物標については移動していくため、動的物標との衝突の危険性が無くなってから車両Vを移動させれば良く、その場合には静的物標のみを考慮した目標経路を生成すれば足りる。
【0042】
位置推定部56は、記憶部50に記憶された経路情報および運転支援時に認識処理部51によって逐次取得される経路情報に基づいて、車両Vの現在位置を推定する。位置推定部56は、例えば、記憶部50に記憶されたセンシング情報と運転支援時に取得されるセンシング情報とを比較し、それらの差分に基づいて現在位置を推定する。
【0043】
追従制御部57は、車両Vの加減速制御や操舵制御等の車両運動制御を行うことで目標経路に沿って駐車スペースSPまで車両Vを自動的に移動させる。具体的には、追従制御部57は、車両Vが目標経路に沿って駐車スペースSPに到達するように各種ECU4に対して制御信号を出力する。
【0044】
各種ECU4は、操舵制御を行うステアリングECU41、加減速制御を行うブレーキECU42、パワーマネージメントECU43、ライト、ドアミラー等の各種電装品の制御を行うボディECU44等が挙げられる。
【0045】
具体的には、追従制御部57は、車両情報取得部52を介して車両Vに搭載されたアクセルポジションセンサ、ブレーキ踏力センサ、舵角センサ、車輪速センサ、シフトポジションセンサ等の各センサから出力される検出信号を取得している。そして、追従制御部57は、取得した検出信号より各部の状態を検出し、目標経路に追従して車両Vを移動させるべく、各種ECU4に対して制御信号を出力する。
【0046】
ここで、最初に目標経路を算出した際には認識できていなかった静的物標が存在している場合もあり得る。このため、目標経路に追従して車両Vが移動している途中にも、立体物認識部51ab、51baによる立体物認識を継続している。また、静的物標が目標経路に追従して車両Vが移動した場合に衝突し得る場所に存在していれば、目標経路の再生成を行うようにしている。なお、例えば、車両Vを現在位置から駐車スペースSPに移動させる際に人や他車が近づいてくることもあり得る。このため、追従制御部57は、動的物標が目標経路と車幅から推定される車両Vの移動予定軌跡の範囲外に動的物標が出るまで車両Vを一時停止して、車両Vが動的物標と衝突しないようにする。
【0047】
追従制御部57は、ドライバに対して目標経路を提案する提案部58を含んでいる。提案部58は、HMI(Human Machine Interfaceの略)45を通じてドライバに向けて運転支援を含む各種提案を行う。HMI45は、ドライバに対して各種の支援を行うための機器である。HMI45は、ECU、ディスプレイ、スピーカ等を有する報知装置として機能する。なお、提案部58は、追従制御部57に特化した機能でなく、他の機能部と併用可能になっていてもよい。
【0048】
以上のようにして、本実施形態に係る自動運転システム1が構成されている。続いて、このようにして構成された自動運転システム1の作動について説明する。本実施形態では、図2に示すように、公道OLに沿う駐車場PLに設けられた駐車スペースSPに車両Vを駐車させる場合を例にして説明する。図2に示す駐車場PLは、公道OLから駐車スペースSPまでの通路に一台の車両Vが通行可能な通路幅を有する部分が存在している。また、図2では、駐車スペースSPに車両Vを後向きに移動させて駐車する後向き駐車を例示している。
【0049】
まず、ドライバの手動運転時の経路情報を記憶する学習処理について、図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図4に示す学習処理は、イグニッションスイッチIGがオンされた場合等、駐車状態から発進することの指示が出されたときに、所定の制御周期毎に車両制御部53によって実行される。なお、本フローチャートに示される各処理は、運転支援装置5の各機能部によって実現される。また、本処理を実現する各ステップは、運転支援方法を実現する各ステップとしても把握される。
【0050】
図4に示すように、車両制御部53は、ステップS100にて、認識処理を開始する。この認識処理では、周辺監視センサ3のセンシング情報を入力し、入力したセンシング情報に基づいて上記したシーン認識、立体物認識、フリースペース認識が開始される。また、認識処理では、地図データベース35およびGPS36を利用した車両Vの現在位置の検出が開始される。
【0051】
続いて、車両制御部53は、ステップS110にて、所定の駐車スペースSPからの出庫であるか否かを判定する。車両制御部53は、車両Vの現在位置が、記憶部50等に事前に登録された駐車スペースSPであり、且つ、シフトポジションが走行可能なポジション(例えば、DポジションまたはRポジション)に切り替えるといった発進操作の有無を判定する。なお、所定の駐車スペースSPは、例えば、自宅前の駐車スペースSPとしてドライバがナビゲーションシステム等に事前に登録した場所である。
【0052】
車両制御部53は、所定の駐車スペースSPからの出庫である場合はステップS120に移行し、所定の駐車スペースSPからの出庫でない場合は以降の処理をスキップして学習処理を抜ける。車両制御部53は、ステップS120にて、運転支援に必要な各種情報の記憶を開始する。車両制御部53は、認識処理部51によって逐次取得される車両Vの走行経路および走行経路の周辺状況を含む経路情報を記憶部50に記憶する。
【0053】
続いて、車両制御部53は、ステップS130にて、駐車スペースSPから発進した車両Vが車両出入口Bから所定距離L以上はなれたか否かを判定する。所定距離Lは、ゼロより大きい値に設定されている。この判定処理では、図5に示すように、車両Vの現在位置が、公道OLにおいて車両出入口Bに設定される基準点BPから所定距離Lとなるエリアの外側であるか否かを判定する。
【0054】
車両制御部53は、公道OL上での車両Vと車両出入口Bとの距離が所定距離L未満である場合は待機し、公道OL上での車両Vと車両出入口Bとの距離が所定距離L以上である場合はステップS140に移行して、各種情報の記憶を停止する。
【0055】
ここで、記憶部50に記憶される経路情報には、駐車スペースSPから車両出入口Bまでの第1経路C1に加えて、車両出入口Bから公道OLにおける車両出入口Bから所定距離Lはなれた位置までの第2経路C2が含まれる。第1経路C1は、公道OLに沿う駐車場PL内での経路である。第2経路C2は、公道OL上の経路である。
【0056】
続いて、車両制御部53は、ステップS150にて、HMI45を介して各種情報の記憶が完了した旨をドライバに報知して、学習処理を抜ける。この処理では、経路記憶部54による経路情報の記憶部50への記憶に関する記憶関連情報が、報知装置であるHMI45を介してドライバに報知されるようになっていることが望ましい。この記憶関連情報には、経路情報の記憶部50への記憶開始に関する情報および経路情報の記憶部50への記憶終了に関する情報の少なくとも一方が含まれていることが望ましい。例えば、車両制御部53は、学習開始位置および学習終了位置を記憶関連情報とし、各位置を示すマークや枠を車両Vのディスプレイ等に表示されたカメラ画像に重畳表示してドライバに報知する。また、車両制御部53は、学習処理時における車両Vの走行経路や走行経路における周囲の状況を報知するようになっていてもよい。なお、ステップS100~ステップS150までの学習処理は、車両制御部53の経路記憶部54によって行われる。
【0057】
次に、目標経路に沿って駐車スペースSPまで車両Vを自動的に移動させる追従制御処理について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図6に示す追従制御処理は、少なくとも一回は学習処理がなされている状況下において、所定の制御周期毎に車両制御部53によって実行される。なお、本フローチャートに示される各処理は、運転支援装置5の各機能部によって実現される。また、本処理を実現する各ステップは、運転支援方法を実現する各ステップとしても把握される。
【0058】
図6に示すように、車両制御部53は、ステップS200にて、認識処理を開始する。この認識処理では、周辺監視センサ3のセンシング情報を入力し、入力したセンシング情報に基づいて上記したシーン認識、立体物認識、フリースペース認識が開始される。
【0059】
続いて、車両制御部53は、ステップS210にて、車両Vの現在位置が自宅の駐車場PLの車両出入口B付近であるか否かを判定する。具体的には、車両制御部53は、周辺監視センサ3のセンシング情報や地図データベース35およびGPS36を利用して、車両Vの現在位置が車両出入口B付近であるか否かを判定する。
【0060】
車両制御部53は、車両Vの現在位置が車両出入口B付近でない場合は待機し、車両Vの現在位置が車両出入口B付近である場合はステップS220に移行する。車両制御部53は、ステップS220に移行すると、HMI45を介してドライバに入庫操作の運転支援を提案する。そして、車両制御部53は、ステップS230にて、HMI45を介してドライバから入庫操作の運転支援を行うことの指示があったか否かを判定する。
【0061】
車両制御部53は、ドライバから入庫操作の運転支援を行うことの指示がなかった場合、以降の処理をスキップして本処理を抜ける。一方、車両制御部53は、ドライバから入庫操作の運転支援を行うことの指示があった場合にステップS240にて目標経路の生成処理を実行する。このステップS240の処理は、車両制御部53の経路生成部55によって行われる。以下、目標経路の生成処理について、図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図7に示す処理は、車両制御部53の経路生成部55によって行われる。
【0062】
図7に示すように、車両制御部53は、ステップS300にて、入庫操作の支援開始位置が記憶部50に記憶された走行経路上であるか否かを判定する。すなわち、車両制御部53は、入庫操作の支援開始位置における経路情報を有しているか否かを判定する。なお、支援開始位置は、ドライバから入庫操作の運転支援を行うことの指示があった際の車両Vの位置である。
【0063】
支援開始位置が記憶部50に記憶された走行経路上である場合、車両制御部53は、ステップS310にて、学習処理時の車両Vの走行経路等を含む経路情報に基づいて車両Vの駐車時に車両Vが通るべき目標経路を生成する。
【0064】
一方、入庫操作の支援開始位置が記憶部50に記憶された走行経路上ではない場合、支援開始位置から走行経路までの経路に関する情報が記憶部50に記憶されておらず、学習処理時の車両Vの走行経路等を含む経路情報から目標経路を生成することが困難となる。このため、支援開始位置が記憶部50に記憶された走行経路上ではない場合、車両制御部53は、ステップS320にて、駐車スペースSPの周囲の道路情報を取得し、当該道路情報に基づいて支援開始位置から走行経路までの経路を予測経路として生成する。車両制御部53は、例えば、地図データベース35およびGPS36を利用して駐車スペースSPの周囲の道路情報を取得し、取得した道路情報から予測経路を生成する。
【0065】
続いて、車両制御部53は、ステップS330にて、予測経路および学習処理時の車両Vの走行経路等を含む経路情報に基づいて車両Vの駐車時に車両Vが通るべき目標経路を生成する。
【0066】
以上のようにして目標経路が算出されると、車両制御部53は、図6に示すステップS250に移行する。車両制御部53は、ステップS250にて、記憶部50に記憶されたセンシング情報および運転支援時に周辺監視センサ3によって逐次取得されるセンシング情報に基づいて、車両Vの現在位置を推定する。
【0067】
続いて、車両制御部53は、ステップS260にて、車両Vの加減速制御や操舵制御等の車両運動制御を行うことで駐車スペースSPまで車両Vを自動的に移動させる。具体的には、車両制御部53は、車両Vが目標経路に沿って駐車スペースSPに到達するように各種ECU4に対して制御信号を出力する。その後、車両制御部53は、ステップS270にて、車両Vが駐車スペースSPに到達したか否かを判定する。車両制御部53は、車両Vが駐車スペースSPに到達していない場合にステップS250の処理に戻り、車両Vが駐車スペースSPに到達すると支援処理を抜ける。このステップS250、S260、S270の処理は、車両制御部53の追従制御部57によって行われる。
【0068】
以上説明した運転支援装置5は、駐車スペースSPからの出庫操作および駐車スペースSPへの入庫操作のうち、一方の操作をドライバが行う際に車両Vが通過する走行経路を含む経路情報を記憶部50に記憶する経路記憶部54を備える。また、運転支援装置5は、経路情報に基づいて車両Vの出庫時または入庫時に車両Vが通るべき目標経路を生成する経路生成部55を備える。経路記憶部54は、出向操作および入庫操作のうち一方の操作を行う際に、少なくとも公道OLと土地との境界となる車両出入口Bと車両Vの現在位置との関係に基づいて、記憶部50への経路情報の記憶を自動的に開始または停止する。
【0069】
このように、車両出入口Bを基準に走行経路の記憶部50への記憶を自動的に開始または停止する構成にすれば、経路情報の記憶を開始および停止するタイミングをドライバが指定する場合に比べて、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。特に、ドライバが公道OL上で経路情報の記憶を開始や停止の操作を行う必要がないので、安全性を充分に確保することができる。
【0070】
また、本実施形態の運転支援装置5によれば、以下の効果を得ることができる。
【0071】
(1)経路記憶部54は、ドライバが出庫操作を行う際に、車両Vの現在位置と車両出入口Bとの位置関係に基づいて、記憶部50への経路情報の記憶を自動的に停止する。駐車スペースSPからの出庫は、車両Vが停止している状態から車両Vを発進させることになるので、駐車スペースSPへの入庫に比べて、車両Vの周囲の状況を確認し易く、ドライバにとって車両Vの操作が簡易となりがちである。故に、ドライバが出庫操作を行う際の経路情報を自動的に記憶部50に記憶しておけば、より好ましい目標経路の生成を期待することができる。
【0072】
(2)経路記憶部54は、駐車スペースSPから発進した車両Vが車両出入口Bから所定距離L以上はなれたことを契機に経路情報の記憶を自動的に停止する。これによれば、記憶部50に記憶する走行経路の終点をドライバが指定する必要がないので、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。
【0073】
(3)所定距離Lは、ゼロよりも大きい値である。これによれば、駐車スペースSPから車両出入口Bまでの区間だけでなく、車両出入口Bに連なる公道OL上においてもドライバによる車両Vの運転支援を行うことができる。
【0074】
(4)経路記憶部54は、駐車スペースSPからの車両Vの発進操作を契機に経路情報の記憶を自動的に開始する。これによれば、記憶部50に記憶する走行経路の始点をドライバが指定する必要がないので、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。
【0075】
(5)記憶部50に記憶された経路情報には、駐車スペースSPから車両出入口Bまでの第1経路C1と、車両出入口Bから公道OLにおける所定位置までの第2経路C2とを含んでいる。これによれば、駐車スペースSPから車両出入口Bまでの区間だけでなく、車両出入口Bに連なる公道OL上においてもドライバによる車両Vの運転支援を行うことができる。
【0076】
(6)経路生成部55は、入庫操作の支援を開始する支援開始位置が記憶部50に記憶された走行経路外である場合、駐車スペースSPの周囲の道路情報に基づいて支援開始位置から走行経路までの経路を予測経路として生成する。そして、経路生成部55は、予測経路および経路情報に基づいて目標経路を生成する。これによれば、駐車スペースSPから車両出入口Bまでの区間だけでなく、車両出入口Bに連なる公道OL上においてもドライバによる車両Vの入庫操作を支援することができる。
【0077】
(7)運転支援装置5は、経路記憶部54による経路情報の記憶部50への記憶に関する記憶関連情報をドライバに報知する報知装置を含むHMI45を備える。これによると、経路記憶部54による経路情報の記憶部50への記憶に関する記憶関連情報をドライバに対して提供することが可能となる。
【0078】
(8)上記の記憶関連情報には、経路情報の記憶部50への記憶開始に関する情報および経路情報の記憶部50への記憶終了に関する情報の少なくとも一方が含まれる。これによると、記憶部50に記憶される走行経路の始点および終点に関する情報をドライバに対して提供することが可能となる。すなわち、運転支援がどのような情報に基づいてなされるのかをドライバに伝えることができる。
【0079】
(第1実施形態の変形例)
運転支援装置5は、例えば、図8に示すように、駐車スペースSPから発進した車両Vが車両出入口Bを通過したことを契機に経路情報の記憶を自動的に停止するようになっていてもよい。すなわち、運転支援装置5は、駐車スペースSPから発進した車両Vと車両出入口Bとの距離がゼロとなったことを契機に経路情報の記憶を自動的に停止するようになっていてもよい。運転支援装置5は、駐車スペースSPから発進した車両Vが車両出入口Bを通過してから所定時間経過したことを契機に経路情報の記憶を自動的に停止するようになっていてもよい。
【0080】
また、運転支援装置5は、駐車スペースSPにおいてイグニッションスイッチIGがオンされたことを契機に経路情報の記憶を自動的に開始するようになっていてもよい。
【0081】
また、運転支援装置5は、入庫操作の支援を開始する支援開始位置が記憶部50に記憶された走行経路外である場合、走行経路までの予測経路をドライバに報知するようになっていてもよい。この場合、予測経路によらず目標経路を生成することになる。
【0082】
また、運転支援装置5は、ドライバが出庫操作を行う際に得られた経路情報に基づいて入庫時の目標経路を生成するものを例示したが、これに限らず、ドライバが入庫操作を行う際に得られる経路情報に基づいて入庫時の目標経路を生成するようになっていてもよい。
【0083】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態では、目標経路の生成過程の一部が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0084】
同じ駐車スペースSPに対して、学習処理を複数回実施して、記憶部50に対して複数の経路情報を蓄積すると、目標経路を生成するための情報量が増えることで、より適切な目標経路を生成することが期待できる。なお、“複数の経路情報”は、異なるタイミングで実行される学習処理時に記憶部50に記憶される情報である。
【0085】
このことを加味して、本実施形態の運転支援装置5は、異なる走行経路を通過した際の経路情報を記憶部50に記憶するようになっている。なお、記憶部50の記憶容量は無限にある訳ではないので、記憶部50への経路情報の蓄積は、例えば、直近の2、3回分等のように制限されていることが望ましい。
【0086】
そして、運転支援装置5は、記憶部50に記憶された複数の経路情報を学習し、その学習の結果に基づいて入庫操作に適した目標経路を生成する。以下、本実施形態の目標経路の生成処理について、図9に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図9に示す処理は、車両制御部53の経路生成部55によって行われる。
【0087】
図9に示すように、車両制御部53は、ステップS400にて、記憶部50に複数の経路情報が記憶されているか否かを判定する。この結果、記憶部50に複数の経路情報が記憶されていない場合、車両制御部53は、ステップS410にて、学習処理時の車両Vの走行経路等を含む経路情報に基づいて車両Vの駐車時に車両Vが通るべき目標経路を生成する。
【0088】
一方、記憶部50に複数の経路情報が記憶されている場合、車両制御部53は、ステップS420にて、複数の経路情報を学習する。この処理では、例えば、車両Vの切り返し回数が少ない際に得られた経路情報、車両Vの加減速に伴う操作量や車両Vの旋回に伴う操作量等の各種操作量が少ない際に得られた経路情報を抽出する。
【0089】
続いて、車両制御部53は、ステップS430にて、上記の学習結果に基づいて目標経路を生成する。車両制御部53は、例えば、上記の学習結果に基づいて、車両Vの切り返し回数および各種操作量を少なく抑えることが可能な目標経路を生成する。
【0090】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の運転支援装置5は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0092】
(1)経路記憶部54を構成する車両制御部53は、異なる走行経路を通過した際の経路情報を記憶部50に記憶する。そして、経路生成部55を構成する車両制御部53は、記憶部50に記憶された複数の経路情報を学習し、その学習の結果に基づいて入庫操作に適した目標経路を生成する。これによると、より適切な目標経路の生成が期待できる。
【0093】
(第2実施形態の変形例)
運転支援装置5は、学習処理が実施される度に、記憶部50に記憶する経路情報の少なくとも一部を更新するようになっていてもよい。この場合、記憶部50に必要とされる記憶容量を抑えることができる。
【0094】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図10図14を参照して説明する。本実施形態では、出庫時に運転を支援する点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0095】
本実施形態の運転支援装置5は、図10に示すように、駐車スペースSPから車両Vの出庫操作を支援する。なお、図10では、後向きで出庫する際の状況を図示しているが、運転支援装置5による運転支援は、後向きで出庫する場合に限らず、前向きでの出庫操作する際にも実施することができる。
【0096】
また、運転支援装置5は、例えば、図11に示すように、ドライバによる車両Vの入庫操作が行われた際に経路情報を記憶部50に記憶する。そして、運転支援装置5は、記憶部50に記憶された経路情報、運転支援時に認識処理部51によって取得される経路情報に基づいて、目標経路の生成および運転支援のための各種制御を行う。なお、運転支援装置5は、例えば、図10に示すように、ドライバによる車両Vの出庫操作が行われた際に、認識処理部51によって逐次取得される経路情報を記憶部50に記憶するようになっていてもよい。
【0097】
本実施形態の学習処理では、ドライバが入庫操作を行う際に、車両Vの現在位置と車両出入口Bとの位置関係に基づいて、記憶部50への経路情報の記憶を自動的に開始する。以下、本実施形態の学習処理について、図12に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図12に示す学習処理は、イグニッションスイッチIGがオンされた場合等、駐車状態から発進することの指示が出されたときに、所定の制御周期毎に車両制御部53によって実行される。なお、本フローチャートに示される各処理は、運転支援装置5の各機能部によって実現される。また、本処理を実現する各ステップは、運転支援方法を実現する各ステップとしても把握される。
【0098】
図12に示すように、車両制御部53は、ステップS500にて、認識処理を開始する。この認識処理では、周辺監視センサ3のセンシング情報を入力し、入力したセンシング情報に基づいて上記したシーン認識、立体物認識、フリースペース認識を開始する。また、認識処理では、地図データベース35およびGPS36を利用した車両Vの現在位置の検出を開始する。
【0099】
続いて、車両制御部53は、ステップS510にて、公道OL側から車両出入口Bに近づくように走行する際の車両Vと車両出入口Bとの距離が基準距離Lr以下であるか否かを判定する。基準距離Lrは、ゼロより大きい値に設定されている。この判定処理では、図13に示すように、車両Vの現在位置が、公道OLにおいて車両出入口Bに設定される基準点BPから基準距離Lrとなるエリアの内側であるか否かを判定する。
【0100】
車両制御部53は、公道OL上での車両Vと車両出入口Bとの距離が基準距離Lrを超えている場合は待機し、公道OL上での車両Vと車両出入口Bとの距離が基準距離Lr以下である場合はステップS520に移行する。
【0101】
車両制御部53は、ステップS520にて、運転支援に必要な各種情報の記憶を開始する。車両制御部53は、例えば、認識処理部51によって逐次取得される車両Vの走行経路における物標、駐車可能なフリースペース、駐車位置等を経路情報として記憶部50に記憶する。
【0102】
続いて、車両制御部53は、ステップS530にて、駐車スペースSPに到着してシフトポジションが駐車を示すPポジションに切り替えられたか否かを判定する。すなわち、車両制御部53は、車両Vの駐車操作の有無を判定する。なお、所定の駐車スペースSPは、例えば、運転支援を受ける場所としてドライバがナビゲーションシステム等に事前に登録した場所である。
【0103】
車両制御部53は、シフトポジションがPポジションに切り替えられていない場合は待機し、シフトポジションがPポジションに切り替えられた場合はステップS540に移行して各種情報の記憶を停止する。
【0104】
ここで、記憶部50に記憶される経路情報には、車両出入口Bから駐車スペースSPまでの第1経路C1に加えて、車両出入口Bから公道OLにおける車両出入口Bから所定距離Lはなれた位置までの第2経路C2が含まれる。第1経路C1は、公道OLに沿う駐車場PL内での経路である。第2経路C2は、公道OL上の経路である。
【0105】
続いて、車両制御部53は、ステップS550にて、HMI45を介して各種情報の記憶が完了した旨をドライバに報知して、学習処理を抜ける。この処理は、第1実施形態で説明したステップS150の処理と同様であるため、その説明を省略する。なお、ステップS500~ステップS550までの学習処理は、車両制御部53の経路記憶部54によって行われる。
【0106】
次に、目標経路に沿って駐車スペースSPから車両Vを自動的に移動させる追従制御処理について、図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図14に示す追従制御処理は、少なくとも一回は学習処理がなされている状況下において、車両VのイグニッションスイッチIGがオンされると実行される。なお、本フローチャートに示される各処理は、運転支援装置5の各機能部によって実現される。また、本処理を実現する各ステップは、運転支援方法を実現する各ステップとしても把握される。
【0107】
図14に示すように、車両制御部53は、ステップS600にて、認識処理を開始する。この認識処理では、周辺監視センサ3のセンシング情報を入力し、入力したセンシング情報に基づいて上記したシーン認識、立体物認識、フリースペース認識を開始する。
【0108】
続いて、車両制御部53は、ステップS610にて、車両Vの現在位置が自宅の駐車場PLの駐車スペースSP付近であるか否かを判定する。具体的には、車両制御部53は、周辺監視センサ3のセンシング情報や地図データベース35およびGPS36を利用して、車両Vの現在位置が駐車スペースSP付近であるか否かを判定する。
【0109】
車両制御部53は、車両Vの現在位置が駐車スペースSP付近である場合はステップS620に移行し、車両Vの現在位置が駐車スペースSP付近でない場合は以降の処理をスキップして追従制御処理を抜ける。車両制御部53は、ステップS620に移行すると、HMI45を介してドライバに出庫操作の運転支援を提案する。そして、車両制御部53は、ステップS630にて、HMI45を介してドライバから出庫操作の運転支援を行うことの指示があったか否かを判定する。
【0110】
車両制御部53は、ドライバから出庫操作の運転支援を行うことの指示がなかった場合、以降の処理をスキップして本処理を抜ける。一方、車両制御部53は、ドライバから出庫操作の運転支援を行うことの指示があった場合にステップS640にて目標経路の生成処理を実行する。このステップS640の処理は、車両制御部53の経路生成部55によって行われる。具体的には、車両制御部53は、学習処理時の車両Vの走行経路等を含む経路情報に基づいて車両Vの駐車時に車両Vが通るべき目標経路を生成する。
【0111】
続いて、車両制御部53は、ステップS650にて、記憶部50に記憶されたセンシング情報および運転支援時に周辺監視センサ3によって逐次取得されるセンシング情報に基づいて、車両Vの現在位置を推定する。
【0112】
続いて、車両制御部53は、ステップS660にて、車両Vの加減速制御や操舵制御等の車両運動制御を行うことで駐車スペースSPから支援終了位置まで車両Vを自動的に移動させる。具体的には、車両制御部53は、車両Vが目標経路に沿って支援終了位置に到達するように各種ECU4に対して制御信号を出力する。その後、車両制御部53は、ステップS670にて、車両Vが支援終了位置に到達したか否かを判定する。なお、支援終了位置は、例えば、予めドライバが指定した位置や、車両出入口B等の代表的な位置に設定される。
【0113】
車両制御部53は、車両Vが支援終了位置に到達していない場合にステップS650の処理に戻り、車両Vが支援終了位置に到達すると支援処理を抜ける。このステップS650、S660、S670の処理は、車両制御部53の追従制御部57によって行われる。
【0114】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の運転支援装置5は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0116】
(1)経路記憶部54は、ドライバが入庫操作を行う際に、車両Vの現在位置と車両出入口Bとの位置関係に基づいて、記憶部50への経路情報の記憶を自動的に開始する。このように、ドライバが入庫操作を行う際の経路情報を自動的に記憶部50に記憶しておけば、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。
【0117】
(2)経路記憶部54は、公道OL側から車両出入口Bに近づくように走行する際の車両Vと車両出入口Bとの距離が基準距離Lr以下となったことを契機に経路情報の記憶部50への記憶を自動的に開始する。これによれば、記憶部50に記憶する走行経路の始点をドライバが指定する必要がないので、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。
【0118】
(3)経路記憶部54は、駐車スペースSPへの車両Vの駐車操作を契機に経路情報の記憶部50への記憶を停止する。これによれば、記憶部50に記憶する走行経路の終点をドライバが指定する必要がないので、目標経路の生成に伴うドライバの負荷を抑制することができる。
【0119】
(第3実施形態の変形例)
運転支援装置5は、例えば、車両Vが車両出入口Bを通過したことを契機に経路情報の記憶を自動的に開始するようになっていてもよい。すなわち、運転支援装置5は、車両Vと車両出入口Bとの距離がゼロとなったことを契機に経路情報の記憶を自動的に開始するようになっていてもよい。
【0120】
また、運転支援装置5は、駐車スペースSPにおいてイグニッションスイッチIGがオフされたことを契機に経路情報の記憶を自動的に停止するようになっていてもよい。
【0121】
また、運転支援装置5は、ドライバが入庫操作を行う際に得られた経路情報に基づいて出庫時の目標経路を生成するものを例示したが、これに限らず、ドライバが出庫操作を行う際に得られる経路情報に基づいて出庫時の目標経路を生成するようになっていてもよい。
【0122】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0123】
上述の実施形態では、運転支援装置5の詳細な構成、学習処理の詳細な内容、追従制御処理の詳細な内容について説明したが、これらに限定されず、これらの一部が異なっていてもよい。
【0124】
上述の実施形態では、入庫支援および出庫支援を別個に実施するものを例示したが、これに限らず、運転支援装置5は、入庫支援および出庫支援それぞれを実施するようになっていてもよい。
【0125】
上述の実施形態では、経路情報の記憶部50への記憶に関する記憶関連情報を、HMI45を介してドライバに報知するものを例示したが、これに限らず、運転支援装置5は、HMI45以外の機器を介してドライバに報知するようになっていてもよい。なお、記憶関連情報のドライバへの報知は必須ではない。
【0126】
上述の実施形態では、本開示の運転支援装置5を自宅の前の狭小な駐車場PLでの運転支援に適用した例について説明したが、これに限らず、自宅の前の駐車場PL以外の他の土地での運転支援にも適用することができる。
【0127】
上述の実施形態では、自動運転システム1による運転支援制御を含む自動運転制御について説明したが、運転支援は自動運転であるか否かにかかわらず、自車を移動させて駐車スペースSPに駐車させるための目標経路の生成を行う制御等が含まれていればよい。例えば、目標経路を単にディスプレイに表示し、ドライバが自身の運転による入庫または出庫時の指標として用いるような場合も運転支援に含まれ、自動的に自車を目標経路に従って移動させる経路追従制御が行われることは必須ではない。
【0128】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0129】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0130】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0131】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0132】
[本開示の特徴]
本開示は以下の技術的な特徴を開示している。
【0133】
[開示1]
公道(OL)と前記公道に沿う土地に設けられた駐車スペース(SP)との間におけるドライバによる車両(V)の運転操作を支援する運転支援装置であって、
前記駐車スペースからの出庫操作および前記駐車スペースへの入庫操作のうち、一方の操作を前記ドライバが行う際に前記車両が通過する走行経路および前記走行経路における前記車両の周辺状況を含む経路情報を記憶部(50)に記憶する経路記憶部(54)と、
前記経路情報に基づいて前記車両の出庫時または入庫時に前記車両が通るべき目標経路を生成する経路生成部(55)と、を備え、
前記経路記憶部は、前記一方の操作を行う際に、少なくとも前記公道と前記土地との境界となる車両出入口(B)と前記車両の現在位置との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に開始または停止する、運転支援装置。
【0134】
[開示2]
前記経路記憶部は、前記ドライバが前記出庫操作を行う際に、前記車両の現在位置と前記車両出入口との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に停止する、開示1に記載の運転支援装置。
【0135】
[開示3]
前記経路記憶部は、前記駐車スペースから発進した前記車両が前記車両出入口から所定距離以上はなれたことを契機に前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に停止する、開示2に記載の運転支援装置。
【0136】
[開示4]
前記所定距離は、ゼロよりも大きい値である、開示3に記載の運転支援装置。
【0137】
[開示5]
前記経路記憶部は、前記駐車スペースからの前記車両の発進操作を契機に前記経路情報の記憶を自動的に開始する、開示2ないし4のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【0138】
[開示6]
前記経路記憶部は、前記ドライバが前記入庫操作を行う際に、前記車両の現在位置と前記車両出入口との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に開始する、開示1ないし5のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【0139】
[開示7]
前記経路記憶部は、前記公道側から前記車両出入口に近づくように走行する際の前記車両と前記車両出入口との距離が基準距離以下となったことを契機に前記経路情報の前記記憶部への記憶を自動的に開始する、開示6に記載の運転支援装置。
【0140】
[開示8]
前記経路記憶部は、前記駐車スペースへの前記車両の駐車操作を契機に前記経路情報の前記記憶部への記憶を停止する、開示6または7に記載の運転支援装置。
【0141】
[開示9]
前記記憶部に記憶された前記経路情報には、前記駐車スペースから前記車両出入口までの第1経路(C1)と、前記車両出入口から前記公道における所定位置までの第2経路(C2)とを含んでいる、開示1ないし8のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【0142】
[開示10]
前記経路記憶部は、異なる前記走行経路を通過した際の前記経路情報を前記記憶部に記憶し、
前記経路生成部は、前記記憶部に記憶された複数の前記経路情報を学習し、その学習の結果に基づいて前記出庫操作または前記入庫操作に適した前記目標経路を生成する、開示1ないし9のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【0143】
[開示11]
前記経路生成部は、前記入庫操作の支援を開始する支援開始位置が前記記憶部に記憶された前記走行経路外である場合、前記駐車スペースの周囲の道路情報に基づいて前記支援開始位置から前記走行経路までの経路を予測経路として生成するとともに、前記予測経路および前記経路情報に基づいて前記目標経路を生成する、開示1ないし10のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【0144】
[開示12]
前記経路記憶部による前記経路情報の前記記憶部への記憶に関する記憶関連情報を前記ドライバに報知する報知装置(45)を備える、開示1ないし11のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【0145】
[開示13]
前記記憶関連情報には、前記経路情報の前記記憶部への記憶開始に関する情報および前記経路情報の前記記憶部への記憶終了に関する情報の少なくとも一方が含まれる、開示12に記載の運転支援装置。
【0146】
[開示14]
公道(OL)と前記公道に沿う土地に設けられた駐車スペース(SP)との間におけるドライバによる車両(V)の運転操作を支援する運転支援方法であって、
前記駐車スペースからの出庫操作および前記駐車スペースへの入庫操作のうち、一方の操作を前記ドライバが行う際に前記車両が通過する走行経路および前記走行経路における前記車両の周辺状況を含む経路情報を記憶部(50)に記憶することと、
前記経路情報に基づいて前記車両の出庫時または入庫時に前記車両が通るべき目標経路を生成することと、を含み、
前記一方の操作を行う際に、少なくとも前記公道と前記土地との境界となる車両出入口(B)と前記車両の現在位置との関係に基づいて、前記記憶部への前記経路情報の記憶を自動的に開始または停止する、運転支援方法。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図14