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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】アクセル装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20240409BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240409BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023562376
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2022042543
(87)【国際公開番号】W WO2023090357
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2021188676
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野内 惣一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
(72)【発明者】
【氏名】山中 哲爾
(72)【発明者】
【氏名】北 卓人
(72)【発明者】
【氏名】藤中 勇多
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207045(JP,A)
【文献】特開2014-89738(JP,A)
【文献】特開2018-165891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
G05G 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏込操作に応じて動作可能であって、ペダル付勢部材(27)により戻し方向に付勢されるペダルレバー(20)と、
前記ペダルレバーと当接可能であってアクチュエータレバー付勢部材(47)により前記ペダルレバーの戻し方向に付勢されるアクチュエータレバー(45)を有し、駆動源(31)の駆動力により前記アクチュエータレバーを介して前記ペダルレバーに戻し方向の力である反力を付与可能である動力伝達機構(40)と、
前記駆動源の通電を制御する制御部(60)と、
を備え、
前記制御部は、前記ペダルレバーが全閉方向に戻るとき、前記アクチュエータレバーの戻り速度が小さくなるようにブレーキ制御を行うアクセル装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ブレーキ制御として、反力付与時と反対方向に通電する請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブレーキ制御として、前記駆動源に係る通電回路を閉回路とすることで回生ブレーキ力を発生させる請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ペダルレバーの回転角度であるペダル角度、および、前記アクチュエータレバーの回転角度であるアクチュエータ角度の少なくとも一方に基づいて前記ブレーキ制御の実施判定を行う請求項1~3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ペダルレバーの全閉状態からの前記ペダル角度または前記アクチュエータ角度が角度判定閾値以下となった場合、前記ブレーキ制御を行う請求項4に記載のアクセル装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ペダル角度と前記アクチュエータ角度との差分である角度離間量が離間量判定閾値以上である場合、前記ブレーキ制御を行う請求項4に記載のアクセル装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記アクチュエータレバーに対する前記ペダルレバーの相対速度が相対速度判定閾値以上である場合、前記ブレーキ制御を行う請求項1~3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ペダルレバーまたは前記アクチュエータレバーの戻り方向の角速度が速度判定閾値以上である場合、前記ブレーキ制御を行う請求項1~3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記アクチュエータレバーの戻り方向への動作による逆起電流を検出した場合、前記ブレーキ制御を行う請求項1~3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項10】
前記ブレーキ制御の開始判定に係る閾値は、アクチュエータ温度に応じて可変である請求項1~9のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ペダルレバーへの反力付与を行っていない状態における前記ペダルレバーの戻り時において、前記ブレーキ制御を行う請求項1~10のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記ブレーキ制御の実施中、前記ペダルレバーまたは前記アクチュエータレバーが全閉位置まで戻った場合、前記ブレーキ制御を解除する請求項1~11のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記ブレーキ制御を開始してからブレーキ保持時間が経過した場合、前記ブレーキ制御を解除する請求項1~12のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記ブレーキ制御の実施中、前記ペダルレバーまたは前記アクチュエータレバーの開方向への動作を検出した場合、前記ブレーキ制御を解除する請求項1~13のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記ブレーキ制御の実施中、前記ペダルレバーの踏み込みによる逆起電流を検出した場合、前記ブレーキ制御を解除する請求項1~13のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年11月19日に出願された特許出願番号2021-188676号に基づくものであり、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、アクセル装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、アクチュエータからアクセルペダルに反力を付与可能なアクセル装置が知られている。例えば特許文献1では、追加スプリングにより、モータ側アームをペダル側アームと常に当接するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5443607号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1において、無通電状態にてペダル側アームの戻り速度がモータ側アームの戻り速度より大きい場合、追従遅れによりモータ側アームがペダル側アームに衝突し、衝撃力や振動、騒音等が発生する虞がある。また、モータ側アームの追従遅れを防ぐべく、追加スプリングのスプリング力を大きくすると、ペダルの基本踏力特性への影響が大きく、ペダル踏み込みが重くなる虞がある。本開示の目的は、ペダルレバー戻り時におけるペダルレバーとアクチュエータレバーとの衝突により生じる衝撃を緩和可能なアクセル装置を提供することにある。
【0006】
本開示のアクセル装置は、ペダルレバーと、動力伝達機構と、制御部と、を備える。ペダルレバーは、踏込操作に応じて動作可能であって、ペダル付勢部材により戻し方向に付勢される。動力伝達機構は、ペダルレバーと当接可能であってアクチュエータレバー付勢部材によりペダルレバーの戻し方向に付勢されるアクチュエータレバーを有し、駆動源の駆動力によりアクチュエータレバーを介してペダルレバーに戻し方向の力である反力を付与可能である。
【0007】
制御部は、駆動源への通電を制御する。制御部は、ペダルレバーが全閉方向に戻るとき、アクチュエータレバーの戻り速度が小さくなるようにブレーキ制御を行う。これにより、ペダルレバーの戻り時におけるペダルレバーとアクチュエータレバーとの衝突により生じる衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
図1図1は、第1実施形態によるアクセル装置を示す模式図であり、
図2図2は、第1実施形態によるモータドライバを示す回路図であり、
図3図3は、第1実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが踏み込まれた状態を示す模式図であり、
図4図4は、第1実施形態によるアクセル装置において、反力を付与する状態を示す模式図であり、
図5図5は、第1実施形態によるアクセル装置において、反力付与時の通電状態を示す回路図であり、
図6図6は、第1実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが全閉方向に戻る状態を示す模式図であり、
図7図7は、第1実施形態によるブレーキ制御時の通電状態を示す回路図であり、
図8図8は、第1実施形態によるブレーキ制御時の通電状態を示す回路図であり、
図9図9は、第1実施形態によるブレーキ制御時の通電状態を示す回路図であり、
図10図10は、第1実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図11図11は、第1実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図12図12は、第2実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図13図13は、第2実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図14図14は、第3実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図15図15は、第3実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図16図16は、第4実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図17図17は、第4実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図18図18は、第5実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図19図19は、第5実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図20図20は、第6実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図21図21は、第6実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図22図22は、第7実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図23図23は、第7実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートであり、
図24図24は、第8実施形態によるブレーキ制御を説明するフローチャートであり、
図25図25は、第8実施形態によるブレーキ制御を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示によるアクセル装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態を図1図11に示す。図1に示すように、アクセル装置1は、ペダルレバー20、モータ31、動力伝達機構40、および、ECU50等を備える。
【0011】
ペダルレバー20は、パッド21、アーム23、および、ペダル25を有し、ドライバの踏込操作等により一体に駆動される。パッド21は、ドライバにより踏込操作可能に設けられる。パッド21は、ハウジングHに設けられる支点部材22により回転可能に支持される。図1では、パッド21がハウジングHの一面に沿う方向に延びて設けられる、いわゆる床置き型(オルガン型)を示しているが、吊り下げ型(ペンダント型)であってもよい。本実施形態では、ペダルハウジングやモータハウジング等、モータ31の駆動およびペダルレバー20の踏込操作等により駆動されない筐体部分を、まとめて「ハウジングH」とする。
【0012】
アーム23は、パッド21とペダル25とを連結する。ペダル25は、一端が支点部材26によりハウジングHに回転可能に支持され、他端がアーム23と連結される。これにより、ドライバによるパッド21の操作により、パッド21、アーム23およびペダル25が一体となって駆動される。ペダル25の一端側には、ペダル開度を検出するペダル開度センサ29が設けられている。
【0013】
ペダル付勢部材27は、圧縮コイルばねであって、一端がペダル25に固定され、他端がハウジングHに固定され、ペダル25をアクセル閉方向に付勢する。図1等では、アクセル全開時および全閉時のパッド21の位置を適宜破線で示した。
【0014】
モータ31は、例えばブラシ付きのDCモータである。モータ31の駆動力は、動力伝達機構40を介して、ペダルレバー20に伝達される。ここで、駆動源であるモータ31から動力伝達機構40を介してペダルレバー20に動力を伝達する一連の構成をアクチュエータ30とする。
【0015】
動力伝達機構40は、ギアセット41、アクチュエータレバー45およびアクチュエータレバー付勢部材47等を有する。ギアセット41は、モータシャフトと一体に回転するモータギア、および、モータギアと噛み合う複数のギアから構成され、モータ31の駆動力をアクチュエータレバー45に伝達する。ギアセット41を構成するいずれかのギアには、回転位置を検出する位置センサ49が設けられる。
【0016】
アクチュエータレバー45は、一端がギアセット41と接続され、他端がペダルレバー20と当接する。これにより、動力伝達機構40を介してモータ31の駆動力がペダルレバー20に伝達される。図1では、アクチュエータレバー45の他端がパッド21と当接しているが、アーム23またはペダル25と当接するように構成してもよい。アクチュエータレバー付勢部材47は、圧縮コイルばねであって、アクチュエータレバー45を反力付与方向に付勢する。
【0017】
ECU50は、モータドライバ51、および、制御部60等を備える。図2に示すように、モータドライバ51は、モータ31への通電切り替えに係るスイッチング素子511~514を有するHブリッジ回路である。図2等では、電源側の端子をVpwrとした。
【0018】
図1に戻り、制御部60は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部60における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。また、図1では各機能ブロックが1つの制御部60にて構成されるものとして記載しているが、一部の機能が別のECUにて構成されていてもよい。
【0019】
制御部60は、機能ブロックとして、ペダル開度検出部61、アクチュエータ角度検出部62、目標反力演算部64、および、駆動制御部65等を有する。ペダル開度検出部61は、ペダル開度センサ29の検出値に基づき、全閉位置からのペダルレバー20の回転角度であるペダル角度θpを検出する。ペダル開度センサ29の検出値は、ペダル開度センサ29から直接的に取得するように構成してもよいし、図示しない他のECUから通信等にて取得するように構成してもよい。
【0020】
アクチュエータ角度検出部62は、位置センサ49の検出値に基づき、アクチュエータ角度θaを検出する。アクチュエータ角度θaは、ペダルレバー20が全閉位置にてアクチュエータレバー45が当接している状態を基準としたアクチュエータレバー45の回転角度である。本実施形態では、アクチュエータ角度θaは、ペダル角度θpと対応するようにギア比等で換算した値とする。
【0021】
目標反力演算部64は、ペダルレバー20に付与する目標反力を演算する。駆動制御部65は、目標反力等に基づいてスイッチング素子511~514のオンオフ作動を制御する制御信号を生成し、スイッチング素子511~514のオンオフ作動を制御することで、モータ31の駆動を制御する。
【0022】
図1は、ペダルレバー20が踏み込まれておらず、モータ31への通電が行われていない初期状態を示している。初期状態において、ペダルレバー20は、ペダル付勢部材27の付勢力により全閉位置となる。アクチュエータレバー45は、アクチュエータレバー付勢部材47の付勢力により、パッド21と当接している。
【0023】
図3は、モータ31に通電せず、ドライバによりペダルレバー20が踏み込まれた状態を示している。矢印Y1で示すように、無通電状態にてペダルレバー20が踏み込まれると、矢印Y2で示すように、アクチュエータレバー45を介してギアセット41が回転し、これに伴って矢印Y3で示すように、モータ31が連れ回りする。
【0024】
モータ31への通電を行わない場合、通電回路をオープン状態とする。通電回路をオープン状態とするとき、モータドライバ51において、(1)スイッチング素子511~514を全てオフにする、(2)スイッチング素子511~514のうち任意の3つをオフにする、(3)スイッチング素子511、513をオフ、スイッチング素子512、514をオン、(4)スイッチング素子511、513をオン、スイッチング素子512、514をオフのいずれかとする。
【0025】
図4は、ペダルレバー20が踏み込まれている中間位置にて反力を付与する状態を示している。矢印Y11で示すように、モータ31への通電によりモータ31が反力付与方向に回転すると、矢印Y12で示すように、ギアセット41が回転する。これにより、矢印Y13で示すように、アクチュエータレバー45を介してペダルレバー20に反力が付与される。
【0026】
図5に示すように、反力付与方向にモータ31を駆動するとき、スイッチング素子511、514をオン、スイッチング素子512、513をオフにすることで、モータ電流Imが流れる。本実施形態では、反力付与時のモータ31の回転方向および通電方向を正とする。
【0027】
図6は、モータ31への通電が行われていない図3の状態から、ペダルレバー20が全閉方向に戻る状態を示している。ペダルレバー20への踏力印加が解除されると、矢印Y21で示すように、ペダルレバー20は、ペダル付勢部材27の付勢力により全閉方向に戻される。また、矢印Y22で示すように、アクチュエータレバー45がアクチュエータレバー付勢部材47の付勢力にて全閉側へ駆動されると、矢印Y23で示すようにギアセット41が回転する。これにより、矢印Y24で示すように、モータ31が連れ回る。
【0028】
ここで、ペダルレバー20の戻り速度がアクチュエータレバー45の戻り速度より大きい場合、追従遅れによりアクチュエータレバー45がペダルレバー20から離間した後、ペダルレバー20に再度当接する際、衝突による衝撃力や振動、騒音が発生する虞がある。以下、振動、騒音をまとめて「NV」とする。これを回避すべく、アクチュエータレバー付勢部材47のスプリング力を大きくすると、ペダルレバー20の基本踏力特性への影響が大きくなり、通常のペダル踏み込みが重くなる虞がある。
【0029】
そこで本実施形態では、ペダルレバー20の戻り時において、矢印Y31で示すように、モータ31をブレーキ制御することでアクチュエータレバー45の戻り速度を小さくする。すなわち、アクチュエータレバー付勢部材47の付勢力にてアクチュエータレバー45が全閉方向に戻ろうとするのに対し(矢印Y22)、モータ31を反力付与方向とは反対方向に駆動することでアクチュエータレバー45の踏込方向に力を作用させることで(矢印Y32)、アクチュエータレバー45の全閉方向への戻り速度を低下させる。これにより、アクチュエータレバー付勢部材47の荷重を大きくすることなく、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45との当接時の衝撃力を緩和する。
【0030】
図7に示すように、ブレーキ制御では、スイッチング素子512、513をオン、スイッチング素子511、514をオフにすることで、反力付与時と反対方向に通電し、ペダルレバー20の踏込方向へ通電トルクを印加する。これにより、比較的大きなブレーキ力を発生させることができる。
【0031】
また、図8に示すように、スイッチング素子511、512をオン、スイッチング素子513、514をオフにして通電回路をクローズ状態とする。図9に示すように、スイッチング素子513、514をオン、スイッチング素子511、512をオフにすることで通電回路をクローズ状態としてもよい。通電回路をクローズ状態とすることで、回生により踏み込み方向への抵抗トルクを発生させることで、ブレーキ制御を行う。回生によるブレーキ制御とすることで、ブレーキ制御における消費電力を低減することができる。
【0032】
本実施形態のブレーキ制御を図10のフローチャートに基づいて説明する。この処理は制御部60にて所定の周期で実行される。以下、ステップS101等の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
【0033】
S101では、制御部60は、反力付与制御を行っているか否か判断する。反力付与制御を行っていると判断された場合(S101:YES)、S102以降の処理をスキップする。反力付与制御を行っていないと判断された場合(S101:NO)、S102へ移行する。
【0034】
S102では、制御部60は、ペダルレバー20の戻り時か否か判断する。ペダルレバー20の戻り時ではないと判断された場合(S102:NO)、S103以降の処理をスキップする。ペダルレバー20の戻り時であると判断された場合(S102:YES)、S103へ移行する。
【0035】
S103では、制御部60は、アクチュエータ角度θaが角度判定閾値θth以下か否か判断する。ここではアクチュエータ角度θaに基づいて判断する場合を示しているが、アクチュエータ角度θaに替えてペダル角度θpを用いてもよい。S105も同様である。アクチュエータ角度θaを用いることで、比較的応答性よく判定を行うことができる。また、ペダル角度θpを用いることで、ペダルレバー20の戻り状態を確実に検知することができる。角度判定閾値θthは、ブレーキ制御を開始する角度に応じて設定される。アクチュエータ角度θaが角度判定閾値θthより大きいと判断された場合(S103:NO)、S102へ戻る。アクチュエータ角度θaが角度判定閾値θth以下であると判断された場合(S103:YES)、S104へ移行し、ブレーキ制御を行う。ブレーキ制御は、図7図9のいずれの通電状態としてもよい。
【0036】
S105では、制御部60は、アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ったか否か判断する。アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻っていないと判断された場合(S105:NO)、S104へ戻り、ブレーキ制御を継続する。アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ったと判断された場合(S105:YES)、S106へ移行し、スイッチング素子511~514をオフにし、ブレーキ制御を解除する。
【0037】
本実施形態のブレーキ制御を図11のタイムチャートに基づいて説明する。図11では、共通時間軸を横軸とし、上段からペダル開度、モータ電流、ブレーキ力を示している。図13および図17についても同様である。
【0038】
時刻x10以前において、モータ31への通電による反力付与が行われていない状態にて、一定のペダル開度が保たれている。時刻x10にて、ペダルレバー20が戻り始めると、ペダルレバー20が先行して戻り、アクチュエータレバー45の追従が遅れ、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが離間する。
【0039】
時刻x11にて、アクチュエータ角度θaが角度判定閾値θth以下になると、ブレーキ制御を行う。ここでは、図7のように、反力付与時と反対方向への通電を行うものとして記載した。ブレーキ制御によりブレーキ力が発生すると、破線で示すブレーキ制御を行わない場合と比較し、アクチュエータレバー45の戻り速度が小さくなる。
【0040】
時刻x12にて、アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻り、ペダルレバー20に当接するとき、アクチュエータレバー45の戻り速度が抑えられているので、衝撃やNVを緩和することができる。
【0041】
以上説明したように、アクセル装置1は、ペダルレバー20と、動力伝達機構40と、制御部60と、を備える。ペダルレバー20は、踏込操作に応じて動作可能であって、ペダル付勢部材27により戻し方向に付勢される。動力伝達機構40は、ペダルレバー20と当接可能であってアクチュエータレバー付勢部材47によりペダルレバー20の戻し方向に付勢されるアクチュエータレバー45を有し、モータ31の駆動力によりアクチュエータレバー45を介してペダルレバー20に戻し方向の力である反力を付与可能である。
【0042】
制御部60は、モータ31の通電を制御する。制御部60は、ペダルレバー20が全閉方向に戻るとき、アクチュエータレバー45の戻り速度が小さくなるようにブレーキ制御を行う。これにより、ペダルレバー20の戻り時におけるペダルレバー20とアクチュエータレバー45との衝突により生じる衝撃やNVを緩和可能である。
【0043】
制御部60は、ブレーキ制御として、反力付与時と反対方向に通電する。これにより、比較的大きなブレーキ力により、アクチュエータレバー45の戻り速度を確実に低減させることができる。
【0044】
制御部60は、ブレーキ制御として、モータ31に係る通電回路を閉回路とすることで回生ブレーキ力を発生させるようにしてもよい。これにより、ブレーキ制御における消費電力を抑制することができる。
【0045】
制御部60は、ペダルレバー20の回転角度であるペダル角度θp、または、アクチュエータレバー45の回転角度であるアクチュエータ角度θaの少なくとも一方に基づいてブレーキ制御の実施判定を行う。これにより、ブレーキ制御の実施判定を適切に行うことができる。
【0046】
本実施形態では、ペダルレバー20の全閉状態からのペダル角度θpまたはアクチュエータ角度θaが角度判定閾値θth以下となった場合、ブレーキ制御を行う。これにより、比較的簡素にブレーキ制御の実施判定を行うことができる。
【0047】
制御部60は、ペダルレバー20への反力付与を行っていない状態におけるペダルレバー20の戻り時において、ブレーキ制御を行う。換言すると、ペダルレバー20への反力付与を行っている場合、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが当接状態が維持されるため、ブレーキ制御を行わない。これにより、ブレーキ制御を適切に実施することができる。
【0048】
制御部60は、ブレーキ制御の実施中、ペダルレバー20またはアクチュエータレバー45が全閉位置まで戻った場合、ブレーキ制御を解除する。これにより、ブレーキ制御を適切に解除可能である。ブレーキ制御を解除することで踏力特性が通常に戻るため、再踏み込み時の操作フィーリングの悪化を防ぐことができる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態を図12および図13に基づいて説明する。第2実施形態以降は、ブレーキ制御処理が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。本実施形態のブレーキ制御を図12のフローチャートに基づいて説明する。S201およびS202の処理は図10中のS101およびS102の処理と同様である。
【0050】
反力付与を行っておらず、ペダルレバー20の戻り時であると判断された場合(S201:NO、S202:YES)に移行するS203では、制御部60は、ペダル角度θpとアクチュエータ角度θaとの差分である角度離間量Δθが、離間量判定閾値Δθth以上か否か判断する。離間量判定閾値Δθthは、アクチュエータレバー45がペダルレバー20に当接するときに発生する衝撃やNV等に応じて設定される。角度離間量Δθが離間量判定閾値Δθthより小さいと判断された場合(S203:NO)、S202へ戻る。角度離間量Δθが離間量判定閾値Δθth以上であると判断された場合(S203:YES)、S204へ移行する。S204~S206の処理は図10中のS104~S106の処理と同様である。
【0051】
本実施形態のブレーキ制御を図13のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x20以前は、図11の時刻x10以前と同様である。時刻x20にてペダルレバー20およびアクチュエータレバー45が戻り始め、時刻x21にて、角度離間量Δθが離間量判定閾値Δθth以上になると、ブレーキ制御を行う。ブレーキ制御の詳細は図11と同様である。時刻x22にてアクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0052】
本実施形態では、制御部60は、ペダル角度θpとアクチュエータ角度θaとの差分である角度離間量Δθが離間量判定閾値Δθth以上である場合、ブレーキ制御を行う。これにより、比較的簡素にブレーキ制御の実施判定を行うことができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態のブレーキ制御処理を図14のフローチャートに基づいて説明する。S301およびS302の処理は、図10中のS101およびS102の処理と同様である。
【0054】
S303では、制御部60は、アクチュエータレバー45の戻り方向の角速度ωaに対するペダルレバー20の戻り方向の角速度ωpである相対速度RVが相対速度判定閾値RVth以上か否か判断する。相対速度判定閾値RVthは、アクチュエータレバー45がペダルレバー20に当接するときにする衝撃やNV等に応じて設定される。相対速度RVが相対速度判定閾値RVthより小さいと判断された場合(S303:NO)、S302へ戻る。相対速度RVが相対速度判定閾値RVth以上であると判断された場合(S303:YES)、S304へ移行する。
【0055】
S304では、制御部60は、相対速度RVが相対速度判定閾値RVth以上となってから判定時間が経過したか否か判断する。判定時間が経過していないと判断された場合(S304:NO)、S302へ戻る。判定時間が経過したと判断された場合(S304:YES)、S305へ移行する。S305~S307の処理は、図10中のS104~S106の処理と同様である。
【0056】
本実施形態のブレーキ制御を図15のタイムチャートに基づいて説明する。図14では、共通時間軸を横軸とし、上段から、ペダル開度、ペダル速度、モータ電流、ブレーキ力を示している。図19等も同様である。
【0057】
時刻x30以前は、図11の時刻x10以前と同様である。時刻x30にてペダルレバー20が戻り始める。この例では、ペダルレバー20の戻り方向の角速度ωpが、アクチュエータレバー45の戻り方向の角速度ωaより大きく、相対速度RVが相対速度判定閾値RVth以上である。
【0058】
相対速度RVが相対速度判定閾値RVth以上の状態が判定時間に亘って継続された時刻x31にて、ブレーキ制御が実施される。ブレーキ制御の詳細は図11と同様である。時刻x32にて、アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0059】
制御部60は、アクチュエータレバー45に対するペダルレバー20の相対速度RVが相対速度判定閾値RVth以上である場合、ブレーキ制御を行う。これにより、より確実にブレーキ制御の実施判定を行うことができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
(第4実施形態)
第4実施形態のブレーキ制御処理を図16のフローチャートに基づいて説明する。S401およびS402の処理は、図10中のS101およびS102の処理と同様である。
【0061】
S403では、制御部60は、逆起電流Ic1が検出されたか否か判断する。ここでは、反力付与を行っていないときにも、少なくともペダル踏み込み時には通電回路をクローズ状態とする。また、逆起電流Ic1は反力付与方向とは反対方向に流れる負方向の電流であるので、絶対値として電流判定閾値Ith1より大きい場合、肯定判断する。逆起電流Ic1が検出されていないと判断された場合(S403:NO)、S402へ戻る。逆起電流Ic1が検出されたと判断された場合(S403:YES)、S404へ移行する。
【0062】
S404では、制御部60は、逆起電流Ic1が検出されてから判定時間が経過したか否か判断する。判定時間が経過していないと判断された場合(S404:NO)、S402へ戻る。判定時間が経過したと判断された場合(S404:YES)、S405へ移行する。S405~S407の処理は、図10中のS104~S106の処理と同様である。
【0063】
本実施形態のブレーキ制御を図17のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x40以前において、モータ31への通電による反力付与が行われていない状態にて、一定のペダル開度が保たれている。このときの通電回路はクローズ状態となっているものとする。
【0064】
時刻x40にて、ペダルレバー20が戻り始めると、ペダルレバー20が先行して戻り、アクチュエータレバー45の追従が遅れ、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが離間する。ここで、通電回路が閉回路となっているので、アクチュエータレバー45の回転に伴ってモータ31が回転することで、逆起電流Ic1が流れる。本実施形態では、図示しない電流センサ等により逆起電流Ic1を検出することで、アクチュエータレバー45の戻り状態を検出する。
【0065】
逆起電流Ic1の絶対値が電流判定閾値Ith1以上の状態が判定時間に亘って継続された時刻x41にて、ブレーキ制御が実施される。ブレーキ制御の詳細は図11と同様である。時刻x42にて、アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0066】
制御部60は、逆起電流Ic1が検出された場合、ブレーキ制御を行う。詳細には、制御部60は、アクチュエータレバー45の戻り方向への動作による逆起電流を検出した場合、ブレーキ制御を行う。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0067】
(第5実施形態)
第5実施形態のブレーキ制御を図18のフローチャートに基づいて説明する。S501およびS502の処理は、図10中のS101およびS102の処理と同様である。
【0068】
S503では、制御部60は、閾値設定済みか否か判断する。閾値設定済みであると判断された場合(S503:YES)、S505へ移行する。閾値設定済みでないと判断された場合(S503:NO)、S504へ移行する。
【0069】
S504では、制御部60は、アクチュエータ温度に応じ、速度判定閾値ωthを設定する。アクチュエータ温度が高いと、ブレーキ力が低下するため、本実施形態では、高温時ほどブレーキ制御の開始タイミングが早くなるように、速度判定閾値ωthを設定する。
【0070】
S505では、制御部60は、アクチュエータレバー45の戻り方向の角速度ωaが速度判定閾値ωth以上か否か判断する。ここでは、アクチュエータレバー45の角速度ωaに基づいて判断しているが、アクチュエータレバー45の角速度ωaに替えて、ペダルレバー20の角速度ωpを用いてもよい。角速度ωaが速度判定閾値ωthより小さいと判断された場合(S505:NO)、S502へ戻る。角速度ωaが速度判定閾値ωth以上であると判断された場合(S505:YES)、S506へ移行する。
【0071】
S506では、制御部60は、角速度ωaが速度判定閾値ωth以上となってから判定時間が経過したか否か判断する。判定時間が経過していないと判断された場合(S506:NO)、S502に戻る。判定時間が経過したと判断された場合(S506:YES)、S507へ移行する。S507~S509の処理は、図10中のS104~S106の処理と同様である。
【0072】
本実施形態のブレーキ制御を図19のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x50以前の処理は、図11の時刻x10以前の処理と同様である。時刻x50にて、ペダルレバー20が戻り始め、角速度ωaが速度判定閾値ωth以上となる。
【0073】
角速度ωaが速度判定閾値ωth以上の状態が判定時間に亘って継続された時刻x51にて、ブレーキ制御が実施される。ブレーキ制御の詳細は図11と同様である。時刻x52にて、アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻ると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0074】
本実施形態では、ペダルレバー20またはアクチュエータレバー45の戻り方向の角速度が速度判定閾値ωth以上である場合、ブレーキ制御を行う。これにより、確実にブレーキ制御の実施判定を行うことができる。また、例えばペダル角度θpに係る検出値を他の制御部から通信で取得する場合等において、角速度ωaに基づいてブレーキ制御の実施判定を行うことで、システム内にて制御が完結するため、相対速度RVを用いる場合と比較し、制御ロジックを簡素化可能である。
【0075】
また、ブレーキ制御の開始判定に係る閾値(本実施形態では、速度判定閾値ωth)は、アクチュエータ温度に応じて可変である。詳細には、アクチュエータ温度が高いほど、ブレーキ制御の開始タイミングが早まるように、閾値を変更する。これにより、ブレーキ力が低下する高温時においても、適切にブレーキ制御を実施することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0076】
(第6実施形態)
第6実施形態~第8実施形態では、主に、ブレーキ制御の解除について説明する。第6実施形態~第8実施形態では、第5実施形態と同様、角速度ωaを用いてブレーキ制御の開始を判定する例を示しているが、ブレーキ制御の開始判定は、第1実施形態~第4実施形態と同様としてもよい。
【0077】
第6実施形態のブレーキ制御処理を図20のフローチャートに基づいて説明する。S601およびS602の処理は、図18中のS501およびS502の処理と同様であり、S603~S605の処理は、図18中のS505~S507の処理と同様である。
【0078】
S606では、制御部60は、ブレーキ制御を開始してからブレーキ保持時間Xbが経過したか否か判断する。ブレーキ制御開始からブレーキ保持時間Xbが経過していないと判断された場合(S606:NO)、S605に戻り、ブレーキ制御を継続する。ブレーキ制御開始からブレーキ保持時間Xbが経過したと判断された場合(S606:YES)、S607へ移行し、ブレーキ制御を解除する。
【0079】
本実施形態のブレーキ制御を図21のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x60~時刻x61の処理は、図19の時刻x50~時刻x51の処理と同様である。本実施形態では、ブレーキ制御開始からブレーキ保持時間Xbが経過した時刻x62にて、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0080】
ブレーキ制御開始からブレーキ保持時間Xbの間、ブレーキ制御を継続することで、ブレーキ制御を確実に行うことができる。また、図21の例では、時刻x62よりも前のタイミングにてアクチュエータレバー45が全閉位置まで戻っており、アクチュエータレバー45が全閉の状態にてブレーキ制御を解除しているが、アクチュエータレバー45が全閉位置まで戻っていない状態にてブレーキ制御を解除しても差し支えない。これにより、アクチュエータレバー45の戻り速度が遅い場合であっても、ブレーキ制御を適切に解除可能である。
【0081】
本実施形態では、制御部60は、ブレーキ制御を開始してからブレーキ保持時間Xbが経過した場合、ブレーキ制御を解除する。これにより、ブレーキ制御を適切に解除し、通常の踏力特性に戻すことができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0082】
(第7実施形態)
第7実施形態のブレーキ制御処理を図22のフローチャートに基づいて説明する。S701~S705の処理は、図20中のS601~S605の処理と同様である。S706では、制御部60は、アクチュエータ角度θaに基づき、アクチュエータレバー45が開方向に動いているか否か判定する。アクチュエータレバー45に替えて、ペダル角度θpに基づいてペダルレバー20が開方向に動いていることを判定してもよい。アクチュエータレバー45が開方向に動いていないと判断された場合(S706:NO)、S705へ戻り、ブレーキ制御を継続する。アクチュエータレバー45が開方向に動いていると判断された場合(S706:YES)、S707へ移行し、ブレーキ制御を解除する。
【0083】
本実施形態のブレーキ制御を図23のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x70~時刻x71の処理は、図19の時刻x50~時刻x51の処理と同様である。時刻x72にて、ペダルレバー20が踏み込まれると、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが離間している間は、ペダルレバー20が単独で開方向へ動く。
【0084】
時刻x73にて、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが当接すると、ペダルレバー20の踏み込みに応じ、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが一体となって、開方向へ動く。アクチュエータレバー45の開方向への動作が検出されると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0085】
本実施形態では、制御部60は、ブレーキ制御の実施中、ペダルレバー20またはアクチュエータレバー45の開方向への動作を検出した場合、ブレーキ制御を解除する。これにより、ブレーキ制御を適切に解除し、通常の踏力特性に戻すことができるので、ドライバのペダル操作フィーリング悪化を抑制することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0086】
(第8実施形態)
第8実施形態のブレーキ制御処理を図24のフローチャートに基づいて説明する。S801~S805の処理は、図20中のS601~S605の処理と同様である。S806では、制御部60は、踏み込み時の逆起電流Ic2を検出したか否か判断する。踏み込み時の逆起電流Ic2は、ブレーキ電流と反対方向、すなわち正方向の電流であり、電流判定閾値Ith2より大きい場合、肯定判断する。逆起電流Ic2が検出されていないと判断された場合(S806:NO)、S805へ戻り、ブレーキ制御を継続する。逆起電流Ic2が検出されたと判断された場合(S806:YES)、S807へ移行し、ブレーキ制御を解除する。
【0087】
本実施形態のブレーキ制御を図25のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x80~時刻x82の処理は、図23中の時刻x70~時刻x72の処理と同様である。時刻x82にてペダルレバー20が踏み込まれ、時刻x83までの間、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが離間している。
【0088】
時刻x83にて、ペダルレバー20とアクチュエータレバー45とが当接し、ペダルレバー20の踏み込みによりアクチュエータレバー45が開方向へ駆動されると、ブレーキ電流と反対方向の逆起電流Ic2が流れる。電流センサ等により逆起電流Ic2が検出されると、モータ31への通電をオフにし、ブレーキ制御を終了する。
【0089】
本実施形態では、制御部60は、ブレーキ制御の実施中、ペダルレバー20の踏み込みによる逆起電流Ic2を検出した場合、ブレーキ制御を解除する。これにより、ブレーキ制御を適切に解除し、通常の踏力特性に戻すことができるので、ドライバのペダル操作フィーリング悪化を抑制することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0090】
(他の実施形態)
上記実施形態では、アクチュエータ角度の検出に係る位置センサは、動力伝達機構を構成するギアセットに設けられる。他の実施形態では、位置センサは、アクチュエータ角度に換算可能ないずれの箇所に設けてもよく、例えばモータの回転を検出するモータ回転角センサであってもよい。また他の実施形態では、アクセル開度センサまたは位置センサの一方を省略してもよい。
【0091】
上記実施形態では、モータは、ブラシ付きDCモータである。他の実施形態では、モータの種類が異なっていてもよい。また、モータドライバや動力伝達機構の構成や部品配置等は上記実施形態と異なっていてもよい。
【0092】
第1実施形態~第5実施形態ではアクチュエータレバーの全閉検出、第6実施形態ではブレーキ制御開始からのブレーキ保持時間、第7実施形態ではペダルレバーの踏み込み検出、第8実施形態では、ペダルレバー踏み込みによる逆起電流検出によりブレーキ制御を解除する。他の実施形態では、例えばブレーキ保持時間内に全閉や踏み込みが検出された場合は、ブレーキ制御を解除し、ブレーキ保持時間内に全閉や踏み込みが検出されなかった場合は、ブレーキ保持時間の経過によりブレーキ制御を解除する、と言った具合に、複数の実施形態を組み合わせてブレーキ制御の解除判定を行ってもよい。
【0093】
第5実施形態では、アクチュエータ温度に応じて速度判定閾値ωthを設定する。他の実施形態では、第5実施形態以外の実施形態におけるブレーキ制御の開始判定に係る閾値をアクチュエータ温度に応じて設定してもよい。具体的には、角度判定閾値θth、離間量判定閾値Δθth、相対速度判定閾値RVthまたは電流判定閾値Ith1をアクチュエータ温度に応じて設定してもよい。すなわち、角度判定閾値θth、離間量判定閾値Δθth、相対速度判定閾値RVth、電流判定閾値Ith1、または、速度判定閾値ωthが「ブレーキ制御の開始判定に係る閾値」に対応する。
【0094】
また、速度判定閾値ωthを、アクチュエータ温度によらず所定値としてもよい。さらにまた、判定閾値の設定に用いるパラメータであるアクチュエータ温度は、アクチュエータそのものの温度に限らず、周辺部材の温度や雰囲気温度としてもよい。
【0095】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本開示は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【0096】
本開示は実施形態に準拠して記述された。しかしながら、本開示は当該実施形態および構造に限定されるものではない。本開示は、様々な変形例および均等の範囲内の変形をも包含する。また、様々な組み合わせおよび形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせおよび形態も、本開示の範疇および思想範囲に入るものである。
図1
図2
図3
図4
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