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特許7468831光学レンズ、カメラモジュール、および電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光学レンズ、カメラモジュール、および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20240409BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20240409BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
G02B17/08
G02B13/00
G03B30/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022573256
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 CN2021095889
(87)【国際公開番号】W WO2021238945
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】202010482151.0
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、シュアイ
(72)【発明者】
【氏名】ジア、ユアンリン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、シウウェン
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114939(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0187446(US,A1)
【文献】特表2018-503131(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110908077(CN,A)
【文献】特開昭62-184425(JP,A)
【文献】特開平11-316343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G03B 29/00 - 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンポーネントを備える光学レンズであって、前記複数のコンポーネントは、物側から像側まで配置された第1コンポーネントおよび第2コンポーネントを含み、
前記第1コンポーネントは、正の焦点屈折力を有し、前記第2コンポーネントは、負の焦点屈折力を有し、
各コンポーネントは、少なくとも1つの光学素子を含み、各光学素子は、前記物側に面する物側面および前記像側に面する像側面を含み、
前記第1コンポーネントにおける1つの光学素子は、反射光学素子であり、
光は、前記反射光学素子において複数回反射し、
前記第2コンポーネントにおける全ての光学素子は、透過光学素子であり、
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.25≦TTL/EFL≦0.5
TTLは、前記光学レンズの総トラック長であり、EFLは、前記光学レンズの有効焦点距離であ
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.3≦|f /f|≦0.8
は、前記第1コンポーネントの焦点距離であり、fは、前記光学レンズの総焦点距離であり、
前記第2コンポーネントは、少なくとも2つの光学素子を含み、
前記反射光学素子の前記物側面は、第1反射領域と、前記第1反射領域の周りに配置された第1透過領域とを含み、
前記第1透過領域は、前記第1透過領域を通って入射する前記光の進行方向に交差する平面である、
光学レンズ。
【請求項2】
前記反射光学素子の前記像側面は、第2透過領域と、前記第2透過領域を囲む第2反射領域とを含み、
光軸方向における前記像側面上の前記第1透過領域の投影は、前記第2反射領域に位置し、
前記第1透過領域を通って入射する前記光は、その後、前記第2反射領域において反射し、前記第1反射領域において反射し、その後、前記第2透過領域から発せられる、
請求項1に記載の光学レンズ。
【請求項3】
前記第1反射領域は、前記第2透過領域に向かって屈曲する凹状自由形状面であり、
前記第2反射領域および前記第2透過領域の両方は、前記第1反射領域から離れる方向に突出する凸状自由形状面である、
請求項2に記載の光学レンズ。
【請求項4】
複数のコンポーネントを備える光学レンズであって、前記複数のコンポーネントは、物側から像側まで配置された第1コンポーネントおよび第2コンポーネントを含み、
前記第1コンポーネントは、正の焦点屈折力を有し、前記第2コンポーネントは、負の焦点屈折力を有し、
各コンポーネントは、少なくとも1つの光学素子を含み、各光学素子は、前記物側に面する物側面および前記像側に面する像側面を含み、
前記第1コンポーネントにおける1つの光学素子は、反射光学素子であり、
光は、前記反射光学素子において複数回反射し、
前記第2コンポーネントにおける全ての光学素子は、透過光学素子であり、
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.25≦TTL/EFL≦0.5
TTLは、前記光学レンズの総トラック長であり、EFLは、前記光学レンズの有効焦点距離であり、
前記反射光学素子の前記物側面は、第1反射領域と、前記第1反射領域の周りに配置された第1透過領域とを含み、前記像側面は、第2透過領域と、前記第2透過領域を囲む第2反射領域とを含み、
光軸方向における前記像側面上の前記第1透過領域の投影は、前記第2反射領域に位置し、
前記光は、前記第1透過領域を通って入射し、その後、前記第2反射領域において反射し、前記第1反射領域において反射し、その後、前記第2透過領域から発せられ、
前記第1透過領域は、前記第1透過領域を通って入射する前記光の進行方向に交差する平面であり、
前記第2透過領域は、前記第1反射領域から離れる方向に突出する凸状自由形状面であり、
前記第2コンポーネントは、少なくとも2つの光学素子を含む、
光学レンズ。
【請求項5】
前記第1反射領域は、前記第2透過領域に向かって屈曲する凹状自由形状面であり、
前記第2反射領域は、前記第1反射領域から離れる方向に突出する凸状自由形状面である、
請求項4に記載の光学レンズ。
【請求項6】
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.3≦|f/f|≦0.8
は、前記第1コンポーネントの焦点距離であり、fは、前記光学レンズの総焦点距離である、
請求項4または5に記載の光学レンズ。
【請求項7】
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.25≦OBS≦0.5
OBSは、前記反射光学素子の前記物側面の直径に対する前記第1反射領域の直径の比率である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項8】
記第2コンポーネントにおける各光学素子の前記物側面および前記像側面の両方は、非球面である、請求項1から7のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項9】
前記光学レンズで最大直径を有する前記光学素子の直径は、7mmから10mmの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項10】
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.05≦IH/EFL≦0.15
IHは、前記光学レンズの最大像高であり、EFLは、前記光学レンズの前記有効焦点距離である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項11】
感光素子と、請求項1から10のいずれか一項に記載の光学レンズとを備えるカメラモジュールであって、前記感光素子は、前記光学レンズの像側に位置し、前記光学レンズの焦点面上に位置する、カメラモジュール。
【請求項12】
ハウジングと、請求項11に記載のカメラモジュールとを備える電子デバイスであって、
前記カメラモジュールは、前記ハウジングに配置され、前記カメラモジュールの光軸は、前記電子デバイスの厚さ方向と同じである、
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施形態は、レンズ分野に関し、特に、光学レンズ、カメラモジュール、および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの電子デバイスによる撮影に対する要求がますます高まっており、遠くのシーンのクリアな撮影が、ユーザの関心の焦点になっている。言い換えれば、望遠レンズに対する要求がますます強くなっている。しかしながら、望遠レンズは通常、相対的に長い長さを有し、レンズの長さは、携帯電話などの電子デバイスの厚さに影響する重要な要素である。したがって、望遠レンズの構成は、電子デバイスの薄型化に影響を与える傾向がある。
【0003】
現在、携帯電話の望遠レンズのほとんどは、ペリスコープレンズである。光路を曲げるために用いられるガラスプリズムがペリスコープレンズに配置され、これにより、レンズに進入する光がプリズム内で屈曲する。このように、望遠撮影を実装可能であり、望遠レンズの長さが短縮可能であり、望遠レンズの長さが電子デバイスの薄型化に与える影響を低減する。しかしながら、ガラスプリズムなどの構造がペリスコープレンズに用いられており、その結果、相対的に高い製作精度が要求され、製造コストが相対的に高くなる。
【発明の概要】
【0004】
本願は、光学レンズ、光学レンズを含むカメラモジュール、およびカメラモジュールを含む電子デバイスを提供することにより、良好な結像効果を実現し、望遠効果、相対的に短い長さ、相対的に単純な製造工程、および相対的に低いコストを有する光学レンズを得る。
【0005】
第1態様によれば、本願は、光学レンズを提供する。光学レンズは、複数のコンポーネントを含み、複数のコンポーネントは、物側から像側まで配置された第1コンポーネントおよび第2コンポーネントを含む。第1コンポーネントは、正の焦点屈折力を有し、第2コンポーネントは、負の焦点屈折力を有する。各コンポーネントは、少なくとも1つの光学素子を含む。各光学素子は、物側に面する物側面および像側に面する像側面を含む。第1コンポーネントにおける1つの光学素子は、反射光学素子であり、光は、反射光学素子において複数回反射する。第2コンポーネントにおける全ての光学素子は、透過光学素子である。光学レンズは、以下の関係式を満たす。
0.25≦TTL/EFL≦0.5
ここで、TTLは光学レンズの総トラック長であり、EFLは光学レンズの有効焦点距離であり、TTL/EFLは光学レンズの望遠比率である。
【0006】
本願において、光学レンズに進入する光は、光学レンズの反射光学素子を用いることによって軸方向に折り曲げられ、これにより、光学レンズの有効焦点距離に対する光学レンズの総トラック長の比率は、前述の関係式を満たすことができる。このように、光学レンズは、相対的に長い焦点距離を有することができることにより、長距離撮影効果を実現し、光学レンズの総トラック長を低減することができる。さらに、本願において、光路の折り曲げを実装するために、プリズムを光学レンズで用いる必要がない。プリズムが光路の折り曲げを実行するために用いられる光学レンズと比較すると、光学レンズの製作精度および製造コストは、相対的に低い。さらに、プリズムが光路の折り曲げを実行するために用いられるペリスコープレンズと比較すると、本願の光学レンズは、反射光学素子を用いることによって光を軸方向に折り曲げる。したがって、光学レンズの総トラック長が短縮され、光学レンズは、別の方向において相対的に小さいスペースを占有する。
【0007】
いくつかの実装において、光学レンズは、以下の関係式を満たす。
0.3≦|f/f|≦0.8
ここで、fは第1コンポーネントの焦点距離であり、fは光学レンズの総焦点距離である。
【0008】
光学レンズの総焦点距離に対する第1コンポーネントの焦点距離の比率は、前述の関係式で規定される。言い換えれば、光学レンズにおける第1コンポーネントの焦点屈折力および第2コンポーネントの焦点屈折力は、ある程度適切に割り当てられ、これにより、光学レンズは、良好な長距離撮影効果を得ることができ、光学レンズの長さを低減可能となり、光学レンズが薄型電子デバイスに適した場合を実装する。具体的には、本願の実装において、光学レンズの総焦点距離に対する第1コンポーネントの焦点距離の比率は、相対的に大きい。言い換えれば、第1コンポーネントは、相対的に高い焦点屈折力を有し、主に、光学レンズの焦点距離を増加させ、より良好な長距離撮影効果を実現するために用いられる。第2コンポーネントは、主に、視野補正の機能を実装するために用いられ、これにより、光学レンズは、高品質画像を捕捉することができる。
【0009】
いくつかの実装において、前記反射光学素子の物側面は、第1反射領域と、前記第1反射領域の周りに配置された第1透過領域とを含み、像側面は、第2透過領域と、前記第2透過領域を囲む第2反射領域とを含み、光軸方向における、前記像側面への前記第1透過領域の投影は、前記第2反射領域に位置し、光は、前記第1透過領域を通って入射し、その後、前記第2反射領域において反射し、前記第1反射領域において反射し、その後、前記第2透過領域から発せられる。
【0010】
実装において、第1反射領域は反射光学素子の物側面上に配置され、第2反射領域は、像側面に配置され、これにより、光は、第1反射領域および第2反射領域の両方において反射可能となり、言い換えれば、光は、反射光学素子において2回折り曲げられる。したがって、光学レンズの長い焦点距離を実装するために所望の光の方向調整効果が得られ、光学レンズにおける光学素子の厚さが低減することにより、光学レンズの長さが低減する。
【0011】
いくつかの実装において、第1反射領域は、第2透過領域に向かって屈曲する凹状自由形状面であり、第2反射領域および第2透過領域の両方は、第1反射領域から離れる方向に突出する凸状自由形状面であることにより、第2反射領域において反射する光が第1反射領域へと確実に反射可能となり、第1反射領域において反射した光は、第2透過領域を通って発せられ、これにより、規定された要件を満たす。
【0012】
いくつかの実装において、光学レンズは、以下の関係式を満たす。
0.25≦OBS≦0.5
ここで、OBSは、反射光学素子の物側面の直径に対する第1反射領域の直径の比率である。
【0013】
反射光学素子の物側面の直径に対する第1反射領域の直径の比率は、前述の関係式で規定され、言い換えれば、反射光学素子の第1反射領域および第1透過領域のサイズが特定の範囲内に含まれることが可能となることにより、第1コンポーネントに進入する光と、第1コンポーネントから発せられて第2コンポーネントに進入する光量を確実にし、これにより、光学レンズの光束を確実にし、光学レンズの結像効果を確実にする。
【0014】
いくつかの実装において、第2コンポーネントは、少なくとも2つの光学素子を含む。少なくとも2つの光学素子は、互いに協働して、より良好な視野補正効果を実現し、これにより、光学レンズは、より高品質の画像を得ることができる。いくつかの実装において、第2コンポーネントにおける各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、言い換えれば、第2コンポーネントにおける各光学素子の物側面および像側面の設計においてより高度な自由度があり、これにより、所望の効果が設計を通してより便利に得られる。いくつかの実装において、第1コンポーネントにおける光学素子の物側面および像側面も、自由形状面であってよい。
【0015】
いくつかの実装において、光学レンズにおいて最大直径を有する光学素子の直径は、7mmから10mmの範囲であり、これにより、相対的に長い焦点距離および相対的に短い光学距離を有する光学レンズを実装するための設計要件が満たされ、半径方向における光学レンズのサイズ(すなわち、光軸方向に垂直な方向)が可能な限り低減され、光学レンズによって占有されるスペースが低減される。
【0016】
いくつかの実装において、光学レンズは、以下の関係式を満たす。
0.05≦IH/EFL≦0.15
ここで、IHは光学レンズの最大像高であり、EFLは光学レンズの有効焦点距離である。
【0017】
本願の実装において、光学レンズの有効焦点距離に対する光学レンズの像高の比率は、前述の関係式を満たすように規定されることにより、光学レンズが相対的に大きい像高を確実に有し、これにより、光学レンズは、相対的に良好な結像品質を有することができる。
【0018】
第2態様によれば、本願は、カメラモジュールをさらに提供する。カメラモジュールは、感光素子と、前述の光学レンズとを含む。感光素子は、光学レンズの像側に位置し、光学レンズの焦点面に位置する。感光素子は、光学レンズによって得られた画像の光信号を電気信号に変換できることにより、光学レンズによって得られた画像のさらなる処理を容易にし、これにより、相対的に良質な画像を得る。さらに、本願において、光学レンズは、相対的に長い焦点距離を有することができることにより、長距離撮影効果を実現し、相対的に短い総トラック長をゆうし、光学レンズの製作精度および製造コストは相対的に低い。したがって、本願におけるカメラモジュールは、相対的に良好な長距離撮影効果を実現することができ、相対的に短い総トラック長を有することにより、薄型電子デバイスにより良好に適用され、カメラモジュールの製作精度および製造コストを相対的に低くすることができる。
【0019】
第3態様によれば、本願は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、ハウジングと、前述のカメラモジュールとを含む。カメラモジュールの光軸方向は、電子デバイスの厚さ方向と同じである。本願において、カメラモジュールは、相対的に良好な長距離撮影効果を有し、相対的に短い総トラック長を有する。したがって、カメラモジュールを含む電子デバイスは、相対的に良好な長距離撮影効果を有する。さらに、カメラモジュールは、相対的に短い総トラック長を有し、カメラモジュールの光軸方向は、電子デバイスの厚さ方向と同じである。したがって本願における電子デバイスは、より小さい厚さで製造されてよく、これにより、電子デバイスは、長距離撮影効果を有しつつ、薄型化することができる。さらに、カメラモジュールの製作精度および製造コストは、相対的に低く、したがって、本願における電子デバイスの製造コストも、相対的に低くてよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願に係る電子デバイスの構造の概略図である。
【0021】
図2】本願に係る別の電子デバイスの構造の概略図である。
【0022】
図3a】本願の実施形態に係るカメラモジュールの概略分解図である。
【0023】
図3b】本願の実施形態に係るカメラモジュールの構造の概略図である。
【0024】
図4図3aに示す実装における反射光学素子の断面概略図である。
【0025】
図5】本願の第1実施形態に係る光学レンズの部分構造の概略図である。
【0026】
図6】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が、第1実施形態における光学レンズを通過した後に存在する軸上収差の概略図である。
【0027】
図7】555nmの波長を有する光が第1実施形態における光学レンズを通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図である。
【0028】
図8】異なる像高位置において、異なる波長の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する横色収差の概略図である。
【0029】
図9】第1実施形態における光学レンズの像面上の相対照度の分布曲線を示す。
【0030】
図10】本願の第2実施形態に係る光学レンズの部分構造の概略図である。
【0031】
図11】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が、第2実施形態における光学レンズを通過した後に存在する軸上収差の概略図である。
【0032】
図12】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が第2実施形態における光学レンズを通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図である。
【0033】
図13】異なる像高位置において、異なる波長の光が第2実施形態における光学レンズを通過した後に存在する横色収差の概略図である。
【0034】
図14】第2実施形態における光学レンズの像面上の相対照度の分布曲線を示す。
【0035】
図15】本願の第3実施形態に係る光学レンズの部分構造の概略図である。
【0036】
図16】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が、第3実施形態における光学レンズを通過した後に存在する軸上収差の概略図である。
【0037】
図17】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が第3実施形態における光学レンズを通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図である。
【0038】
図18】異なる像高位置において、異なる波長の光が第3実施形態における光学レンズを通過した後に存在する横色収差の概略図である。
【0039】
図19】第3実施形態における光学レンズの像面上の相対照度の分布曲線を示す。
【0040】
図20】本願の第4実施形態に係る光学レンズの部分構造の概略図である。
【0041】
図21】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が、第4実施形態における光学レンズを通過した後に存在する軸上収差の概略図である。
【0042】
図22】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が第4実施形態における光学レンズを通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図である。
【0043】
図23】異なる像高位置において、異なる波長の光が第4実装における光学レンズを通過した後に存在する横色収差を示す。
【0044】
図24】第4実施形態における光学レンズの像面上の相対照度の分布曲線を示す。
【0045】
図25】本願の第5実施形態に係る光学レンズの部分構造の概略図である。
【0046】
図26】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が、第5実施形態における光学レンズを通過した後に存在する軸上収差の概略図である。
【0047】
図27】それぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの波長を有する光が第5実施形態における光学レンズを通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図である。
【0048】
図28】異なる像高位置において、異なる波長の光が第5実装における光学レンズを通過した後に存在する横色収差の概略図である。
【0049】
図29】第5実施形態における光学レンズの像面上の相対照度の分布曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、添付図面を参照して、本願における実施形態の技術的解決手段を説明する。
【0051】
理解を容易ならしめるために、本願における技術用語を最初に説明し、後述する。
【0052】
焦点距離(focal length、f)は、光学系における光の収束または発散の測定値であり、無限遠の物体のクリアな像が光学素子または光学素子群を通して結像面上に形成される場合に存在する、光学素子または光学素子群の光学中心と結像面との間の垂直距離を指す。薄い透過光学素子では、焦点距離は透過光学素子の中心と結像面との間の距離である。厚い光学素子または光学素子群では、焦点距離は、有効焦点距離(effective focal length、EFL)、すなわち光学素子または光学素子群の後側主面と結像面との間の距離と等しい。
【0053】
アパーチャは、レンズを通過して機械本体の感光面に進入する光量を制御するために用いられる装置である。アパーチャは、通常、レンズに位置する。アパーチャのサイズは、f値によって表現される。
【0054】
アパーチャのf値は、レンズの焦点距離を、光の通過を可能にするために用いられるレンズの直径で除算することによって得られる相対値(相対的アパーチャの逆数)である。より小さいアパーチャのf値は、同じ単位時間に進入する光量がより大きいことを示す。より大きいアパーチャf値は、被写界深度がより小さいことを示し、撮影する背景のコンテンツがぼやけ、これは、望遠レンズの効果と同様である。
【0055】
後側焦点距離(Back Focal Length、BFL)は、光学レンズにおいて像側に最も近い光学素子と、光学レンズの結像面との間の距離である。
【0056】
正の焦点屈折力は、光学素子が正の焦点距離を有し、光を収束させる効果を有することを示す。
【0057】
負の焦点屈折力は、負の焦点屈折力と称されてもよく、光学素子が負の焦点距離を有し、光を発散させる効果を有することを示す。
【0058】
総トラック長(total track length、TTL)は、光学レンズにおいて物側に最も近い光学素子の物側面から結像面までの合計長さであり、カメラの高さを形成する主な要素である。
【0059】
アッベ数は、分散係数であり、異なる波長における光学材料の屈折率の差分比率であり、材料の分散度を表す。
【0060】
光学機器において、頂点として光学機器におけるレンズを用いることによって、かつ、測定対象物体の目標の像がレンズを通過し得る最大範囲の2つのエッジを用いることによって形成される角度は、視野(field of view、FOV)と称される。光学機器の視野範囲は、視野に基づいて決定される。より大きい視野は、より広い視野範囲およびより低い光学倍率を示す。
【0061】
光軸は、理想的な光学素子の中心を垂直に通過する線である。光軸に平行な光が凸状光学素子に入射する場合、理想的な凸状光学素子は、全ての光を光学素子後方の1点に収束させなければならず、全ての光が収束するこの点が焦点である。光が光軸に沿って伝搬する場合、光の透過方向は変化しない。
【0062】
物側は、光学素子が境界として用いられる場合に存在する、撮影対象シーンが位置する側である。
【0063】
像側は、光学素子が境界として用いられる場合に存在する、撮影対象シーンの像が位置する側である。
【0064】
物側面は、光学素子の、物側に近い面である。
【0065】
像側面は、光学素子の、像側に近い面である。
【0066】
光学素子は、境界として用いられ、この場合、撮影対象物が位置する側が物側であり、光学素子の、物側に近い面が物側面と称されてよい。光学素子は、境界として用いられ、この場合、撮影対象物の像が位置する側が像側であり、光学素子の、像側に近い面が像側面と称されてよい。
【0067】
軸上色収差は、縦色収差、位置色収差、または軸上収差とも称される。光軸に平行な光のビームは、レンズを通過した後に、異なる位置で収束する。この収差は、位置色収差または軸上色収差と称される。これは、レンズが様々な波長の光を異なる位置で結像し、結果として、異なる色の光の像の結像面が最終的な結像中に重なることができず、多色光が分散して分散を形成することによる。
【0068】
横色収差は、倍率色収差とも称される。異なる色の光に対する光学系の倍率の差は、倍率色収差と称される。光学系の倍率は、波長によって変化し、それに応じて像のサイズが変化する。
【0069】
ディストーション(distortion)は、光学系を用いることによって形成される物体の像の、物体に対する歪みの度合いを指す。ディストーションは、絞り球面収差の影響に起因して、視界の様々な領域の主光線が光学系を通過した後に、ガウシアン像面の交点高さが理想的な像高と等しくならないという事実に起因して生じるものであり、その高さと理想的な像高との間の差がディストーションである。したがって、ディストーションは、理想的な平面上で、軸外物点の結像位置のみを変化させる。結果として、像の形状は歪曲するが、像の精細度は影響を受けない。
【0070】
光学ディストーション(optical distortion)は、光学理論を用いることによって計算される変形度を指す。
【0071】
回折限界(diffraction limit)は、光学系を用いることによって理想的な物点が結像される場合に、回折の制限に起因して、理想的な像点は得ることができないが、フラウンホーファー回折像が得られることを意味する。光学系は、通常、円形のアパーチャを有し、したがって、フラウンホーファー回折像は、エアリーディスクである。このように、各物点の像は拡散スポットであり、2つの拡散スポットが互いに接近した後に、系の解像度を制限する2つの拡散スポットの間を区別することは難しい。より大きいサイズのスポットは、低い解像度を示す。
【0072】
複数の光学素子の軸上厚さ(TTL1)は、光学レンズの軸および第1光学素子の物側面の交点と、光学レンズの軸および最後の光学素子の像側面の交点との間の距離を指す。
【0073】
本願は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ビデオカメラ、ビデオレコーダ、カメラ、または、撮影またはビデオ記録機能を有する別の形式のデバイスであってよい。電子デバイスは、少なくとも1つの光学レンズを含み、光学レンズは、望遠レンズを含み、これにより、電子デバイスは、相対的に良好な長距離撮影効果を実現することができる。
図1は、本願の実施形態に係る電子デバイス1000の概略図である。本実施形態において、電子デバイス1000は、携帯電話である。本願において、電子デバイス1000が携帯電話である例を用いることによって、説明が提供される。
【0074】
電子デバイス1000は、カメラモジュール100と、カメラモジュール100と通信可能に接続された画像処理モジュール200とを含む。カメラモジュール100は、画像データを取得し、画像データを画像処理モジュール200に入力するように構成され、これにより、画像処理モジュール200は画像データを処理する。カメラモジュール100および画像処理モジュール200は、配線ルーティングなどの電気的接続方式でデータ伝送を実行することによって、通信可能に接続されてよく、または、結合などの方式でデータ伝送を実装してよい。カメラモジュール100および画像処理モジュール200は、代替的に、データ伝送が実装可能な別の方式で通信可能に接続されてよいことが理解されよう。
【0075】
画像処理モジュール200の機能は、一連の複合算術アルゴリズムオペレーションを用いることによって、デジタル画像信号を最適化し、最終的に、処理された信号を表示するために、ディスプレイに転送することである。画像処理モジュール200は、画像処理チップ、デジタル信号処理チップ(DSP)等であってよい。デジタル信号処理チップの機能は、カメラモジュール100の感光チップによって得られたデータをタイムリーに、中央処理装置に迅速に転送し、感光チップをリフレッシュすることである。したがって、DSPチップの質は、画質(例えば、彩度および精細度)に直接影響する。
【0076】
図1に示す実施形態において、カメラモジュール100は、電子デバイス1000の背面に配置されており、電子デバイス1000の背面カメラである。いくつかの実施形態においてカメラモジュール100は、代替的に、電子デバイス1000の前面に配置され、電子デバイス1000の正面カメラとして用いられることが理解されよう。正面カメラおよび背面カメラの両方は、自撮りのために用いられてよく、さらに、別の物体を撮影するために撮影者によって用いられてよい。
【0077】
本願において、電子デバイス1000は、ハウジング1001を含み、カメラモジュール100は、ハウジング1001内に配置される。具体的には、孔がハウジング1001上に配置される。カメラモジュール100がハウジング1001内に配置される場合、カメラモジュール100の一端は孔内に配置されることにより、電子デバイス1000外の光がカメラモジュール100に確実に進入可能となり、これにより、シーンを撮影する。本実装において、ハウジング1001は、リアカバープレートを含み、孔は、リアカバープレート上に配置され、これにより、カメラモジュール100は、電子デバイス1000の背面カメラとして用いられることができる。
【0078】
本願において、カメラモジュール100の光軸方向は、電子デバイス1000の厚さ方向と同じである。すなわち、本願において、カメラモジュール100の光軸方向は、ペリスコープレンズの光軸がプリズムを用いることによって変化した後に出現する折れ線とは異なる直線方向である。したがって、カメラモジュール100の長さは、電子デバイス1000の厚さに影響する重要な要素であり、カメラモジュール100は、別の方向に電子デバイス1000の過剰なスペースを占有しない。
【0079】
いくつかの実施形態において、複数のカメラモジュール100が存在し、「複数の」は、2またはそれ以上を意味する。異なるカメラモジュール100は、異なる撮影シナリオを満たすように、異なる機能を有してよい。例えば、いくつかの実装において、複数のカメラモジュールは、望遠カメラモジュールまたは広角カメラモジュールを含み、それぞれ、望遠撮影および広角撮影機能を実装する。図1に示す実施形態において、電子デバイス1000は、2つの背面カメラを含み、2つのカメラモジュール100は、それぞれ、一般的なカメラモジュールおよび望遠カメラモジュールである。一般的なカメラモジュールは、ルーティンの一般的な撮影に適用可能であり、望遠カメラモジュールは、遠くのシーンをクリアに撮影するために用いられることができる。いくつかの実装において、複数の異なるカメラモジュール100の全ては、画像処理モジュール200と通信可能に接続されてよく、画像処理モジュール200を用いることによって、各カメラモジュール100による撮影によって得られた画像データを処理する。
【0080】
図1に示す実施形態における電子デバイス1000のカメラモジュール100が設置される位置は、例に過ぎないことを理解されたい。いくつかの他の実施形態において、カメラモジュール100は、代替的に、携帯電話上の別の位置に設置されてよい。例えば、カメラモジュール100は、携帯電話の背面の上部中央または右上角に設置されてよい。代替的に、カメラモジュール100は、携帯電話の本体に配置されなくてよいが、携帯電話に対して可動または回転可能なコンポーネント上に配置されてよい。例えば、コンポーネントは、携帯電話の本体から伸張、後退、または回転してよい。カメラモジュール100が設置される位置は、本願において限定されない。
【0081】
図2は、本願に係る別の電子デバイスの構造の概略図である。いくつかの実施形態において、電子デバイス1000は、アナログ-デジタルモジュール(A/Dコンバータと称されてもよい)300をさらに含む。アナログ-デジタル変換モジュール300は、カメラモジュール100と画像処理モジュール200との間に接続される。アナログ-デジタル変換モジュール300は、カメラモジュール100によって生成された信号をデジタル画像信号に変換し、デジタル画像信号を画像処理モジュール200に伝送し、画像処理モジュール200を用いることによってデジタル画像信号を処理し、ディスプレイスクリーンまたはディスプレイを用いることによって像または画像を表示するように構成される。
【0082】
いくつかの実施形態において、電子デバイス1000は、メモリ400をさらに含む。メモリ400は、画像処理モジュール200と通信可能に接続される。デジタル画像信号を処理した後に、画像処理モジュール200は、画像をメモリ400に伝送し、これにより、後で画像を見ることが必要になった場合、画像はいつでもメモリから見出され、ディスプレイスクリーン上に表示することができる。いくつかの実施形態において、画像処理モジュール200は、さらに、処理されたデジタル画像信号を圧縮し、その後、処理されたデジタル画像信号をメモリ400に格納することにより、メモリ400のスペースを節約する。図2は、本願の実施形態に係る構造の概略図に過ぎないことに留意されたい。図2に示すカメラモジュール100、画像処理モジュール200、アナログ-デジタル変換モジュール300、およびメモリ400の位置、構造等は、例に過ぎない。
【0083】
図3aは、本願の実施形態に係るカメラモジュール100の概略分解図である。カメラモジュール100は、光学レンズ10および感光素子20を含む。感光素子20は、光学レンズ10の像側に位置し、カメラモジュール100が動作する場合、撮影対象シーンは、光学レンズ10を通過し、その後、感光素子20上で結像される。具体的には、カメラモジュール100の動作原理は以下の通りである。撮影対象シーンによって反射した光が光学レンズ10を通過して光学像を生成し、光学像は、感光素子20の面上に投影される。感光素子20は、光学像を電気信号、すなわちアナログ画像信号に変換し、変換によって得られたアナログ画像信号をアナログ-デジタル変換モジュール300に伝送することにより、アナログ-デジタル変換モジュール300を用いることによって、アナログ画像信号を、画像処理モジュール200に伝送するためのデジタル画像信号に変換する。
【0084】
感光素子20は、半導体チップであり、面は、数十万から数百万のフォトダイオードを含む。光によって照射された場合、感光素子20は、電荷を生成し、アナログ-デジタル変換モジュール300を用いることによって、デジタル信号への変換を実行する。感光素子20は、電荷結合素子(charge coupled device、CCD)または相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide semiconductor、CMOS)であってよい。電荷結合素子CCD、すなわち感光素子20は、高感度の半導体材料で形成され、光を電荷に変換し、アナログ-デジタル変換モジュール300を用いることによってデジタル信号への変換を実行することができる。CCDは、多数の感光ユニットを、通常はメガピクセル単位で含む。CCDの面が光によって照射された場合、各感光ユニットは、感光ユニットを照射する光信号を電気信号に変換し、全ての感光ユニットによって生成された信号が追加されることにより、完全な画像を形成する。相補型金属酸化膜半導体CMOSは、主に、シリコンおよびゲルマニウムで形成された半導体であり、これにより、N型(負に帯電した)半導体およびP型(正に帯電した)半導体がCMOS上で共存する。2つの相補効果によって生成された電流は、処理チップによって像として記録および解釈されてよい。
【0085】
光学レンズ10は、結像品質および結像効果に影響する。クリアな像が、シーンの光が光学レンズ10を通過した後に、結像面上に形成され、シーンの像は、結像面上に位置する感光素子20によって記録される。結像面は、光学レンズ10を用いることによってシーンが結像された後に得られる像が位置する平面である。本願において、光学レンズ10は、物側から像側へと配置された複数のコンポーネントを含む。各コンポーネントは、少なくとも1つの光学素子を含み、全てのコンポーネントにおける光学素子は、同軸に配置される。全てのコンポーネントにおける光学素子は、互いに協働することにより、相対的に良好な結像効果で像を形成する。物側は、撮影対象シーンが位置する側であり、像側は、結像面が位置する側である。
【0086】
本願において、光学レンズ10は、固定焦点レンズまたはズームレンズであってよい。固定焦点レンズは、各コンポーネントにおける光学素子が相対的に固定された位置にあることにより、光学レンズ10の焦点距離が確実に固定されることを意味する。ズームレンズは、各コンポーネントにおける光学素子または複数のコンポーネントにおける光学素子が、互いに対して移動可能であり、異なる光学素子の相対位置が変化することにより、光学レンズ10の焦点距離を変化させることを意味する。
【0087】
いくつかの実施形態において、光学レンズ10は、感光素子20に対して軸方向に移動可能であり、これにより、光学レンズ10は、感光素子20に接近する、またはこれから離れて移動する。光学レンズ10がズームレンズであり、光学レンズ10の焦点距離が変化する場合、光学レンズ10は、これに対応して、感光素子20に対して軸方向に移動し、これにより、感光素子20は、常に光学レンズの結像面上に位置することにより、光学レンズ10は、任意の焦点距離で、良好な結像を確実に実行することができる。いくつかの実装において、光学レンズ10における光学素子間の距離が変化することにより、光学レンズ10の焦点距離を変化させる場合、光学レンズ10における光学素子と感光素子20との間の距離も変化してよく、これにより、感光素子20は光学レンズ10の結像面上に位置することが理解されよう。この場合、光学レンズ10と感光素子20との間の距離は不変であってよい。
【0088】
図3bは、本願の実施形態に係るカメラモジュール100の構造の概略図である。本実施形態において、カメラモジュール100は、固定ベース50(ホルダ)、熱線フィルタ30、および回路基板60などの構造をさらに含む。光学レンズ10は、レンズバレル10aをさらに含む。光学レンズ10の全てのコンポーネントにおける光学素子は、レンズバレル10a内に固定され、レンズバレル10a内に固定された光学素子は、同軸に配置される。
【0089】
感光素子20は、ボンディング、パッチ等によって回路基板60に固定され、アナログ-デジタル変換モジュール300、画像処理モジュール200、メモリ400等も、ボンディング、パッチ等によって回路基板60に固定され、これにより、感光素子20、アナログ-デジタル変換モジュール300、画像処理モジュール200、メモリ400等は、回路基板60を用いることによって通信可能に接続される。いくつかの実施形態において、固定ベースは、回路基板60に固定される。回路基板60は、フレキシブルプリント回路(flexible printed circuit、FPC)またはプリント回路基板(printed circuit board、PCB)であってよく、電気信号を伝送するように構成される。FPCは、片側フレキシブルボード、両側フレキシブルボード、マルチレイヤフレキシブルボード、剛性フレキシブルボード、ハイブリッド構造を有するフレキシブルプリント回路等であってよい。カメラモジュール100に含まれる他の構成要素は、本明細書において1つずつ詳細に説明しない。
【0090】
いくつかの実装において、熱線フィルタ30は、回路基板60に固定され、光学レンズ10と感光素子20との間に位置してよい。光学レンズ10を通過する光は、熱線フィルタ30を照射し、熱線フィルタ30を用いることによって感光素子20に伝送される。熱線フィルタは、感光素子20上に投影される不要な光を排除し、感光素子20が擬色またはリップルを生成するのを防止することにより、感光素子20の実効分解能および色再現を向上させてよい。いくつかの実施形態において、熱線フィルタ30は、代替的に、光学レンズ10の、像側に面する端部に固定されてよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、固定ベース50は、回路基板60に固定され、光学レンズ10、熱線フィルタ30、感光素子20の全ては、固定ベース50内に収容され、感光素子20、熱線フィルタ30、および光学レンズ10は、回路基板60上に連続的に積層され、これにより、光学レンズ10を通過する光は、熱線フィルタ30を照射可能となり、熱線フィルタ30を用いることによって感光素子20に伝送可能となる。光学レンズ10のレンズバレル10aは、固定ベース50に接続され、固定ベース50に対して移動可能であることにより、光学レンズ10と感光素子20との間の距離を変化させる。具体的には、本願のいくつかの実施形態において、固定ベース50は、固定バレル51を含む。内ネジは、固定バレル51の内壁上に配置され、外ネジは、レンズバレル10aの外壁上に配置され、レンズバレル10aは、固定バレル51にネジ留めされる。駆動部40の駆動部材は、レンズバレル10aを回転するように駆動し、これにより、レンズバレル10aは、固定バレル51に対して軸方向に移動し、それに応じて、光学レンズ10における光学素子は、感光素子20に接近する、またはこれから離れて移動する。レンズバレル10aは、代替的に、別の方式で固定ベース50に接続され、固定ベース50に対して移動してよいことが理解されよう。例えば、レンズバレル10aは、スライドを用いることによって固定ベース50に接続される。いくつかの実施形態において、光学レンズ10における各光学素子は、レンズバレル10a内に配置され、レンズバレル10aに対して移動可能であり、これにより、異なる光学素子が互いに対して移動可能であることにより、焦点調整を実行する。
【0092】
さらに、図3aを参照すると、本願において、光学レンズ10における複数のコンポーネントは、物側から像側へと連続的に配置された第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2を含む。全てのコンポーネントにおける光学素子は、同軸に配置され、全てのコンポーネントにおける光学素子の軸は、直線である、言い換えれば、光学素子は、同じ方向に配置される。本願において、全てのコンポーネントにおける光学素子の軸の位置は、カメラモジュール100の光軸方向である。したがって、本願における全てのコンポーネントにおける光学素子は、電子デバイス1000の厚さ方向に配置される。各光学素子は、物側に面する物側面および像側に面する像側面を含む。本願における各光学素子は、正の焦点屈折力または負の焦点屈折力を有する光学素子であることが理解されよう。平面鏡が光学素子間に挿入される場合、平面鏡は、本願における光学レンズ10において、光学素子として考慮されない。例えば、第1コンポーネントS1は、第1光学素子および第2光学素子の2つの光学素子を含む。平面鏡が第1光学素子と第2光学素子との間に挿入される場合、第1コンポーネントS1が3つの光学素子を含むことは考慮しなくてよく、平面鏡は、第1コンポーネントS1における第3光学素子として考慮されなくてよい。
【0093】
本願において、第1コンポーネントS1は正の焦点屈折力を有し、第2コンポーネントS2は負の焦点屈折力を有し、これにより、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2の光角が一致することにより、相対的に良好な長距離撮影効果を有する光学レンズ10が得られる。本願において、第1コンポーネントS1における1つの光学素子は、反射光学素子であり、光は、反射光学素子において複数回反射することができる。光学レンズ10に進入する光は、反射光学素子を用いることによって軸方向に折り曲げられ、これにより、光学レンズ10は、相対的に長い焦点距離を有することにより、長距離撮影効果を実現し、光学レンズ10の総トラック長を低減することができる。
【0094】
図4は、図3aに示す実装における反射光学素子の断面概略図である。本実装において、反射光学素子の物側面は、第1反射領域111と、第1反射領域111の周りに配置された第1透過領域112とを含む。像側面は、第2透過領域113と、第2透過領域113を囲む第2反射領域114とを含む。光軸方向における、像側面への第1透過領域112の投影は、第2反射領域114に位置する。光は、第1透過領域112および第2透過領域113から発することができ、第1反射領域111および第2反射領域114において反射することができる。具体的には、いくつかの実装において、反射膜層が、物側面上の、第1反射領域111に対応する領域に形成され、これにより、光は、第1反射領域111において反射することができる。反射膜層は、像側面上の、第2反射領域114に対応する領域に形成され、これにより、光は、第2反射領域114において反射することができる。反射膜層は、コーティング、スパッタリング、または蒸着などの方式で、または反射膜を直接取り付ることによって、形成されてよい。
【0095】
光は、第1透過領域112を通して入射し、その後、光路aに沿って第2反射領域114を照射し、その後、光は、第2反射領域114において反射し、その後、光路bに沿って第1反射領域111を照射し、その後、光は、第1反射領域111において反射し、その後、光路cに沿って第2透過領域を照射し、第2投影領域から発せられる。言い換えれば、本実装において、光は、反射光学素子を用いることによって2回折り曲げられることができることにより、光路a、光路b、および光路cに沿ってそれぞれ照射する光学素子を形成する。通常、第1コンポーネントS1における全ての光学素子が透過光学素子である場合、第1コンポーネントS1が所望の光屈折効果を実現して長い焦点距離を有する所望の光学レンズ10を得るために、少なくとも3つの光学素子が必要とされる。光は、それぞれ、3つの光学素子において光路aの方向、光路bの方向、および光路cの方向に伝送され、これにより、光は、第1コンポーネントS1における3つの光学素子を用いることによって、第1コンポーネントS1から所望の角度で発せられる。しかしながら、本願の本実装において、3つの光学素子によって実現される効果は、1つの反射光学素子を用いることによって実現可能である。したがって、光学レンズ10は、所望の長距離撮影効果を実現し、光学レンズ10における複数の光学素子の軸上厚さTTL1は、相対的に小さい。光学レンズ10の総トラック長TTLは、光学レンズ10の背面焦点距離BFLと、光学レンズ10における複数の光学素子の軸上厚さTTL1との和である。光学レンズ10の長距離撮影効果が同じ場合、光学レンズ10の背面焦点距離BFLは基本的に同じである。本願において、光は、反射光学素子を用いることによって複数回折り曲げられ、したがって、複数の光学素子の軸上厚さTTL1を相対的に小さくすることができ、さらに、光学レンズ10は、相対的に短い総トラック長を有し、薄型電子デバイスにより適したものとなることができる。さらに、本願において、光学レンズ10に進入する光は、反射光学素子を用いることによって軸方向に折り曲げられ、光路の折り曲げを実装するためにプリズムは必要とされない。プリズムが光路の折り曲げを実行するために用いられるペリスコープレンズと比較すると、光学レンズ10の製作精度および製造コストは、相対的に低い。さらに、プリズムが光路の折り曲げを実行するために用いられるペリスコープレンズと比較すると、本願の光学レンズ10は、反射光学素子を用いることによって光を軸方向に折り曲げる。したがって、光学レンズ10の総トラック長が短縮され、光学レンズ10は、別の方向において相対的に小さいスペースを占有する。
【0096】
いくつかの実装において、第1コンポーネントS1における反射光学素子は、代替的に、透過光学素子であってよく、第1コンポーネントS1は、反射光学素子の物側面および像側面上に位置する反射光学素子およびリフレクタを含む。光は、反射光学素子の物側面から入射し、その後、像側面から発して、像側に位置するリフレクタによって反射する。像側に位置するリフレクタによって反射した後に、光は、反射光学素子の像側面から入射して物側面から発せられ、その後、物側に位置するリフレクタを照射する。その後、物側に位置するリフレクタによって反射した後に、光は、再び反射光学素子に入射することにより、反射光学素子における光を複数回反射させる。したがって、光学レンズ10は、相対的に良好な長距離撮影効果を実現し、相対的に短い総トラック長を有する。
【0097】
本願のいくつかの実装において、光学レンズ10は、以下の関係式を満たす。
0.25≦OBS≦0.5
ここで、OBSは、反射光学素子の物側面の直径に対する第1反射領域111の直径の比率である。
【0098】
反射光学素子の物側面の直径に対する第1反射領域111の直径の比率は、前述の関係式で規定され、言い換えれば、反射光学素子の第1反射領域111および第1透過領域112のサイズが特定の範囲内に含まれることが可能となることにより、第1コンポーネントS1に進入する光と、第1コンポーネントS1から発せられて第2コンポーネントS2に進入する光量を確実にし、これにより、光学レンズ10の光束を確実にし、光学レンズ10の結像効果を確実にする。
【0099】
いくつかの実装において、第1反射領域111は、第2透過領域に向かって屈曲する凹状自由形状面であり、第2反射領域114および第2透過領域113の両方は、第1反射領域111から離れる方向に突出する凸状自由形状面であることにより、第1透過領域112から進入する光が第2反射領域114において反射可能となり、その後、第1反射領域111を照射し、その後、第1反射領域111において反射した光は、その後、第2透過領域113から発せられ、これにより、規定された要件を満たすことを確実にする。さらに、第1コンポーネントS1の焦点屈折力は、第1反射領域111、第2反射領域114、および第2透過領域113の曲率を調整することによって調整可能であることにより、相対的に良好な長距離撮影効果を有する光学レンズ10を得て、光学レンズ10の総トラック長を可能な限り低減する。本願の別の実装において、光学レンズ10の第1透過領域112、第1反射領域111、第2反射領域114、および第2透過領域113は、代替的に、他の形でよいことが理解されよう。
【0100】
本願のいくつかの実装において、光学レンズ10は、以下の関係式を満たす。
0.25≦TTL/EFL≦0.5
ここで、TTLは光学レンズ10の総トラック長であり、EFLは光学レンズ10の有効焦点距離であり、TTL/EFLは光学レンズ10の望遠比率である。本願において、様々な位置で出現するEFL、TTL、およびTTL/EFLは、同じ意味を表し、以後、EFL、TTL、またはTTL/EFLが出現した場合、詳細は説明しないことに留意されたい
【0101】
本願の本実施形態において、光学レンズ10の有効焦点距離(EFL)および総トラック長(total track length、TTL)が前述の関係式を満たす場合、光学レンズ10は、相対的に長い有効焦点距離および相対的に短い総トラック長を有し、言い換えれば、光学レンズ10は、相対的に良好な長距離撮影効果を実現することができ、相対的に短い長さを有し、薄型化要件が存在する電子デバイス1000、例えば携帯電話への適用により適したものとすることができる。本願において、光学レンズ10の光軸は、カメラモジュール100の光軸である。光学レンズ10の光軸は、光学レンズ10の中心線である。光学レンズ10の光軸に入射する光が光軸に沿って伝送された後に、方向は変化しない。本願において、光学レンズ10の光軸方向は、電子デバイス1000の厚さ方向と同じであり、したがって、光学レンズ10の長さは、電子デバイス1000の厚さに影響する重要な要素である。したがって、光学レンズ10が相対的に短い長さを有する場合、電子デバイス1000は、相対的に小さい厚さを有することにより、電子デバイス1000に対する現在の薄型化要件を満たしてよい。本願のいくつかの実装において、電子デバイス1000は、携帯電話、タブレット、カメラ、またはノートブックコンピュータなどのタイプの電子製品であり、ディスプレイスクリーンを含む。電子デバイス1000の厚さ方向は、ディスプレイスクリーンの方向に垂直である。
【0102】
本願のいくつかの他の実装において、TTL/EFLは、僅かに0.25より小さくてよく、例えば0.23または0.2であってよく、またはTTL/EFLは、僅かに0.5より大きく、例えば0.55または0.6であってよいことが理解されよう。
【0103】
本願のいくつかの実施形態において、光学レンズ10における各光学素子は、プラスチック材料、ガラス材料、または別の複合材料で形成されてよい。複雑な形状の様々な光学素子の構造は、プラスチック材料を用いることによって容易に形成することができる。ガラス材料で形成された光学素子の屈折率n1は、以下の関係式を満たす。1.50≦n1≦1.90。プラスチック製光学素子の屈折率の範囲(1.55から1.65まで)と比較すると、屈折率は、より広い範囲から選択されてよく、より優れた性能を有する、より薄型のガラス製光学素子を得ることは、より容易である。これは、光学レンズ10における複数の光学素子の軸上厚さTTL1を低減することに役立ち、複雑な形状の光学素子の構造を形成することは容易ではない。したがって、本願のいくつかの実施形態において、製造コスト、効率、および光学的効果を考慮して、異なる光学素子の具体的な適用材料が、要件に基づいて適切に選択される。本願のいくつかの実施形態において、光学レンズ10における全ての光学素子は、プラスチック材料で形成されることにより、光学レンズ10の製造コストおよび製造の困難さを低減する。本願のいくつかの実装において、ガラス製光学素子が、さらに、光学レンズ10に配置されることにより、さらに、光学レンズ10における複数の光学素子の軸上厚さTTL1を低減することが理解されよう。例えば、第1コンポーネントS1における反射光学素子は、ガラス製光学素子として配置される。
【0104】
本願において、各コンポーネントにおける各光学素子のパラメータ(材料、軸上厚さ、および面パラメータを含む)は、適切に設定されることにより、各コンポーネントに構成される焦点屈折力を適切に割り当て、これにより、各コンポーネントの焦点距離および屈折率などの光学パラメータを最適化する。したがって、光学レンズ10は、高い結像性能を得て、相対的に小さい長さのサイズを有することにより、薄型電子デバイス1000への要件を満たす。具体的には、本願のいくつかの実装において、光学レンズ10は、以下の関係式を満たす。
0.3≦|f/f|≦0.8
ここで、fは第1コンポーネントS1の焦点距離であり、fは光学レンズ10の総焦点距離である。
【0105】
光学レンズ10の総焦点距離に対する第1コンポーネントS1の焦点距離の比率は、前述の関係式で規定される。言い換えれば、光学レンズ10における第1コンポーネントS1の焦点屈折力および第2コンポーネントS2の焦点屈折力は、ある程度適切に割り当てられ、これにより、光学レンズ10は、良好な長距離撮影効果を得ることができ、光学レンズ10の長さを低減可能となり、光学レンズ10が薄型電子デバイス1000に適した場合を実装する。具体的には、本願の実装において、光学レンズ10の総焦点距離に対する第1コンポーネントS1の焦点距離の比率は、相対的に大きい。言い換えれば、第1コンポーネントS1は、相対的に高い焦点屈折力を有し、主に、光学レンズ10の焦点距離を増加させ、より良好な長距離撮影効果を実現するために用いられる。
【0106】
本願の実装において、第1コンポーネントS1に含まれる光学素子は、特定の厚さを有する厚い光学素子または複数の光学素子を含む光学素子群であることに留意されたい。したがって、本願の実装において、第1コンポーネントS1の焦点距離fは、第1コンポーネントS1の有効焦点距離EFL1であり、光学レンズ10の総焦点距離fは、光学レンズ10の有効焦点距離EFLである。
【0107】
本願において、第2コンポーネントS2における全ての光学素子は、透過光学素子である。光は、第1コンポーネントS1から発せられ、その後、第2コンポーネントS2に入射し、第2コンポーネントS2における各光学素子は、第1コンポーネントS1から発せられた光を補正および調整することにより、より良好な結像品質を有する画像を得る。本願のいくつかの実装において、第2コンポーネントS2は、少なくとも2つの光学素子を含む。少なくとも2つの光学素子は、互いに協働して、より良好な視野補正効果を実現し、これにより、光学レンズ10は、より高品質の画像を得ることができる。いくつかの実装において、第2コンポーネントS2における各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、言い換えれば、第2コンポーネントS2における各光学素子の物側面および像側面の設計においてより高度な自由度があり、これにより、所望の効果が設計を通してより便利に得られる。いくつかの実装において、第1コンポーネントS1における光学素子の物側面および像側面も、自由形状面であってよく、これにより、所望の効果が設計を通してより便利に得られる。
【0108】
いくつかの実装において、各光学素子の像側面および物側面の両方が非球面である場合、各光学素子の像側面および物側面は、以下の数式を満たす。
【数1】
ここで、zは非球面のベクトル高さであり、rは非球面の半径座標であり、cは非球面の頂点曲率であり、Kは二次曲面定数であり、aは非球面係数であり、ρは標準化された軸方向座標である。
【0109】
前述の関係式に基づいて、異なる非球面を有する光学素子が得られ、これにより、異なる光学素子が異なる光学的効果を実現することができ、異なる非球面を有する光学素子が、良好な撮影効果を実現するように協働する。
【0110】
いくつかの実装において、第1コンポーネントS1または第2コンポーネントS2におけるいくつかの光学素子の物側面または像側面は、代替的に、平面または球面であってよいことが理解されよう。
【0111】
本願の実装において、光学レンズ10において最大直径を有する光学素子の直径は、7mmから10mmの範囲であり、これにより、相対的に長い焦点距離および相対的に短い光学距離を有する光学レンズ10を実装するための設計要件が満たされ、半径方向における光学レンズ10のサイズ(すなわち、光軸方向に垂直な方向)が可能な限り低減され、光学レンズ10によって占有されるスペースが低減される。光は、反射光学素子において複数回反射する必要があり、したがって、反射光学素子は、相対的に大きい直径を有する必要がある。通常、反射光学素子は、光学レンズ10における全ての光学素子において、最大直径を有する光学素子であり、言い換えれば、反射光学素子の直径は、7mmから10mmの範囲にあることにより、反射光学素子を用いることによって光路が軸方向に確実に折り曲げ可能となることにより、相対的に小さい厚さを有する光学レンズ10を得て、反射光学素子の過度に大きい直径に起因して半径方向における光学レンズ10のサイズが増大する場合を回避し、これにより、半径方向において、光学レンズ10によって占有されるスペースを低減する。
【0112】
いくつかの実装において、光学レンズ10は、さらに、以下の関係式を満たす。
0.05≦IH/EFL≦0.15
ここで、IHは光学レンズ10の最大像高であり、EFLは光学レンズ10の有効焦点距離である。
【0113】
本願の実装において、光学レンズ10の有効焦点距離に対する光学レンズ10の像高の比率は、前述の関係式を満たすように規定されることにより、光学レンズ10が相対的に大きい像高を確実に有し、これにより、光学レンズ10は、相対的に良好な結像品質を有することができる。
【0114】
本願のいくつかの実施形態において与えられた関係式および範囲に基づいて、第1コンポーネントS1における反射光学素子および第2コンポーネントS2における透過光学素子の組み合わせを用いることによって、光学レンズ10は、長距離撮影および短い光学距離の要件を満たすことができ、相対的に高い結像性能を得ることができる。さらに、ペリスコープレンズと比較すると、半径方向(すなわち、光軸方向に垂直な方向)における光学レンズ10のサイズは、過度に増大しておらず、電子デバイス1000の厚さ方向に垂直な方向において光学レンズ10によって占有されるスペースが増大する場合が回避される。
【0115】
本願の実施形態のいくつかの具体的で非限定的な例が、図5から図24を参照してより詳細に後述される。
【0116】
図5は、本願の第1実施形態に係る光学レンズ10の部分構造の概略図である。本実施形態において、光学レンズ10は、2つのコンポーネントを含む。2つのコンポーネントは、それぞれ、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2である。第1コンポーネントS1は、第1光学素子11を含み、第2コンポーネントS2は、第2光学素子12および第3光学素子13を含む。第1光学素子11、第2光学素子12、および第3光学素子13は、物側から像側へと連続的に配置され、全ての光学素子は、同軸に配置される。第1光学素子11は、反射光学素子であり、第2光学素子12および第3光学素子13の両方は、一般的な光学素子である。
【0117】
本実装において、第1光学素子11は、正の焦点屈折力を有し、第2光学素子12および第3光学素子13の両方は、負の焦点屈折力を有する。第1光学素子11、第2光学素子12、および第3光学素子13の全ては、プラスチック材料で形成されることにより、光学レンズ10の製造コストを低減する。
【0118】
本願の第1実施形態における設計パラメータを、表1に示す。
【表1】
第1実施形態における光学レンズ10の設計パラメータ
【0119】
表における符号の意味は、以下の通りである。
【0120】
符号fは、光学レンズ10の焦点距離である。
【0121】
符号fは、第1コンポーネントS1の焦点距離である。
【0122】
符号fは、第2コンポーネントS2の焦点距離である。
【0123】
EFLは、光学レンズ10の有効焦点距離である。本実装において、fおよびEFLの値は同じである。
【0124】
TTLは、光学レンズ10の総トラック長であり、TTLは、光学レンズ10の背面焦点距離BFLと、光学レンズ10における複数の光学素子の軸上厚さTTL1との和である。
【0125】
IHは、光学レンズ10の最大像高である。
【0126】
maxは、光学レンズ10において最大直径を有する光学素子の直径、すなわち、本実装における第1光学素子11の直径である。
【0127】
本願において、f、f、f、TTL、EFL、OBS、IH、およびDmaxなどの符号は、同じ意味を表し、これらの符号が後で再び出現した場合、詳細は説明しないことに留意されたい。
【0128】
表1における設計パラメータに基づいて、各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータ、ならびに各光学素子の物側面および像側面の表面係数は、表1における設計パラメータを実装するように、これに対応して設計される必要がある。表2は、本願の本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータを示し、表3は、本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を示す。
【表2】
第1実装における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数
【0129】
表における符号の意味は、以下の通りである。
【0130】
R1は、近軸位置における第1光学素子11の物側面上の第1透過領域112の曲率半径であり、無限は、曲率半径が無限であること、言い換えれば、第1光学素子11の物側面上の第1透過領域112は、平面であることを示す。近軸位置は、光学素子の光軸に近い領域である。本実装において、近軸位置における第1透過領域112の曲率半径は、近軸位置に伸張する第1透過領域112の部分の曲率半径である。
【0131】
R2は、近軸位置における第1光学素子11の像側面上の第2反射領域114の曲率半径である。本実装において、近軸位置における第2反射領域114の曲率半径は、近軸位置に伸張する第2反射領域114の部分の曲率半径である。
【0132】
R3は、近軸位置における第1光学素子11の物側面の第1反射領域111の曲率半径である。
【0133】
R4は、近軸位置における第1光学素子11の像側面上の第2透過領域113の曲率半径である。
【0134】
R5は、近軸位置における第2光学素子12の物側面の曲率半径である。
【0135】
R6は、近軸位置における第2光学素子12の像側面の曲率半径である。
【0136】
R7は、近軸位置における第3光学素子13の物側面の曲率半径である。
【0137】
R8は、近軸位置における第3光学素子13の像側面の曲率半径である。
【0138】
符号a1は、第1光学素子11の物側面上の第1透過領域112と、第1光学素子11の像側面上の第2反射領域114との間の軸上距離である。
【0139】
符号a2は、第1光学素子11の像側面上における第2反射領域114と、第1光学素子11の物側面上の第1反射領域111との間の軸上距離である。
【0140】
符号a3は、第1光学素子11の物側面上の第1反射領域111と、第1光学素子11の像側面上の第2透過領域113との間の軸上距離である。
【0141】
符号a4は、第1光学素子11の像側面上の第2透過領域113と、第2光学素子12の物側面との間の軸上距離である。
【0142】
符号a5は、第2光学素子12の像側面と、第3光学素子13の物側面との間の軸上距離である。
【0143】
符号d1は、第1光学素子11の軸上厚さである。
【0144】
符号d2は、第2光学素子12の軸上厚さである。
【0145】
符号d3は、第3光学素子13の軸上厚さである。
【0146】
符号n1は、第1光学素子11の屈折率である。
【0147】
符号n2は、第2光学素子12の屈折率である。
【0148】
符号n3は、第3光学素子13の屈折率である。
【0149】
本願において、別段の説明がされない限り、符号は同じ意味を表し、その符号が後で再び出現した場合、詳細は説明しないことに留意されたい。
【0150】
正または負の曲率半径は、光学面が物側または像側に向かって突出することを示すことに留意されたい。光学面(物側面または像側面を含む)が物側に向かって突出する場合、光学面は正の曲率半径を有する。光学面(物側面または像側面を含む)が像側に向かって突出する場合、これは、光学面が物側面上で凹状であり、光学面が負の曲率半径を有することと等価である。
【0151】
本実装において、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2の各々における各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、光学素子の表面係数は、非球面係数である。本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を、表3に示す。
【表3】
第1実装における光学レンズ10の非球面係数
【0152】
本明細書において、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、およびA6などの符号は、非球面係数を表す。表における各パラメータは、科学的表記方法を用いることによって表現されていることに留意されたい。例えば、3.423E-4は3.423×104を意味し、-7.50E-02は、-7.50×10-2を意味する。本願において、別段の説明がない限り、K、A2、A3、A4、A5、およびA6などの符号が後で再び出現した場合、符号は本明細書において用いられるものと同じ意味を表し、詳細は後で説明しないことに留意されたい。
【0153】
本実施形態において、第1光学素子11から第3光学素子13の全ての面タイプは、均等な非球面であり、以下の非球面数式を用いることによって定義されてよい。
【数2】
【0154】
本実装において、
【数3】
ここで、zは非球面のベクトル高さであり、rは非球面の半径座標であり、cは非球面の頂点曲率であり、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、およびA6は非球面係数である。
【0155】
表2および表3における設計パラメータに基づいて、表4に示す基本パラメータを有する光学レンズ10が設計されることにより、光学レンズ10が相対的に良好な結像品質を有し、長い焦点距離および短い光学距離を有するという要件を満たす。
【表4】
第1実施形態における光学レンズ10の基本パラメータ
【0156】
図6から図9は、第1実施形態における光学レンズ10の光学性能を表す図である。
【0157】
具体的には、図6は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する軸上収差の概略図である。図6において、垂直座標は、標準化された瞳孔座標を表し、水平座標は、軸方向における収差をミリメートル単位で表す。本実施形態において、軸上収差が非常に小さな範囲内で制御されていることが、図6から認識されよう。
【0158】
図7は、波長が555nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図であり、光が光学レンズ10を通過した後に存在する像の変形と、理想的な形状との間の差を表すために用いられる。図7の左の図において、実線は、555nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する子午線方向の像面湾曲の概略図であり、破線は、555nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する矢状方向の像面湾曲の概略図である。図7の右の図は、555nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する光学ディストーションの概略図である。本実施形態において、像面湾曲およびディストーションは、光学系において視覚的に識別可能な範囲(2%と等しいおよびこれより小さい範囲は、視覚的に識別不可能である)内で制御されていることが、図から認識されよう。
【0159】
図8は、異なる像高位置において、異なる波長の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する横色収差の概略図である。図8において、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で結像偏差を表す。カーブaは、波長が620nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表し、カーブbは、波長が550nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表す。異なる帯域の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像の間で、異なる像高位置において、相対的に小さい結像偏差が存在する、言い換えれば、様々な波長の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する結像偏差は、基本的に、光学レンズ10の結像品質に影響しないことが、図から認識されよう。
【0160】
図9は、第1実施形態における光学レンズ10の像面上の相対照度の分布曲線を示す。図9において、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で相対照度を表す。本実装における光学レンズの像面上の異なる領域において、相対的に均等な分布が存在すること、すなわち、本実装における光学レンズ10は、相対的に均一な明度を有する像を得ることができ、したがって、相対的に良好な像を得ることができることが、図から認識されよう。
【0161】
本実施形態において提供される光学レンズ10において、焦点距離fは24.5mmであり、総トラック長TTLは7.4mmであり、TTL1の長さは4.11mmである。したがって、光学レンズ10は、良好な結像品質および長い焦点距離(fが相対的に大きい)を有することにより、長距離撮影効果を実現し、相対的に短い光学距離(TTL1およびTTLの両方)が相対的に小さい、言い換えれば、本実装における光学レンズ10は相対的に短い長さを有し、これにより、光学レンズ10を含む電子デバイス1000は、相対的に小さい厚さを有することができる。
【0162】
図10は、本願の第2実施形態に係る光学レンズ10の構造の概略図である。本実施形態において、光学レンズ10は、2つのコンポーネントを含む。2つのコンポーネントは、それぞれ、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2である。第1コンポーネントS1は、第1光学素子11を含み、第2コンポーネントS2は、第2光学素子12および第3光学素子13を含む。第1光学素子11、第2光学素子12、および第3光学素子13は、物側から像側へと連続的に配置され、全ての光学素子は、同軸に配置される。第1光学素子11は、反射光学素子であり、第2光学素子12および第3光学素子13の両方は、一般的な光学素子である。
【0163】
本実装において、第1光学素子11は、正の焦点屈折力を有し、第2光学素子12および第3光学素子13の両方は、負の焦点屈折力を有する。第1光学素子11、第2光学素子12、および第3光学素子13の全ては、プラスチック材料で形成されることにより、光学レンズ10の製造コストを低減する。
【0164】
本願の第2実施形態における設計パラメータを、表5に示す。表5における符号の意味については、表1を参照されたい。
【表5】
第2実施形態における光学レンズ10の設計パラメータ
【0165】
表5における設計パラメータに基づいて、各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータ、ならびに各光学素子の物側面および像側面の表面係数は、表5における設計パラメータを実装するように、これに対応して設計される必要がある。表6は、本願の本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータを示し、表7は、本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を示す。
【表6】
第2実装における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数
【0166】
表における符号の意味については、表2を参照されたい。
【0167】
本実装において、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2の各々における各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、光学素子の表面係数は、非球面係数である。本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を、表7に示す。
【表7】
第2実装における光学レンズ10の非球面係数
【0168】
本実施形態において、第1光学素子11から第3光学素子13の全ての面タイプは、均等な非球面であり、以下の非球面数式を用いることによって定義されてよい。
【数4】
【0169】
本実装において、
【数5】
ここで、zは非球面のベクトル高さであり、rは非球面の半径座標であり、cは非球面の頂点曲率であり、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、およびA6は非球面係数である。
【0170】
表6および表7における設計パラメータに基づいて、表8に示す基本パラメータを有する光学レンズ10が設計されることにより、光学レンズ10が相対的に良好な結像品質を有し、長い焦点距離および短い光学距離を有するという要件を満たす。
【表8】
第2実施形態における光学レンズ10の基本パラメータ
【0171】
図11から図14は、第2実施形態における光学レンズ10の光学性能を表す図である。
【0172】
具体的には、図11は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する軸上収差の概略図である。図11において、垂直座標は、標準化された瞳孔座標を表し、水平座標は、軸方向における収差をミリメートル単位で表す。本実施形態において、軸上収差が非常に小さな範囲内で制御されていることが、図11から認識されよう。
【0173】
図12は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図であり、光が光学レンズ10を通過した後に存在する像の変形と、理想的な形状との間の差を表すために用いられる。図12の左の図において、実線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する子午線方向の像面湾曲の概略図であり、破線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する矢状方向の像面湾曲の概略図である。図12の右の図は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する光学ディストーションの概略図である。本実施形態において、像面湾曲およびディストーションは、光学系において視覚的に識別可能な範囲(2%と等しいおよびこれより小さい範囲は、視覚的に識別不可能である)内で制御されていることが、図から認識されよう。
【0174】
図13は、異なる像高位置において、異なる波長の光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する横色収差の概略図である。図13において、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で結像偏差を表す。カーブaは、波長が620nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表し、カーブbは、波長が550nmの光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表す。異なる帯域の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像の間で、異なる像高位置において、相対的に小さい結像偏差が存在する、言い換えれば、様々な波長の光が第2実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する結像偏差は、基本的に、光学レンズ10の結像品質に影響しないことが、図から認識されよう。
【0175】
図14は、第2実施形態における光学レンズ10の像面上の相対照度の分布曲線を示す。図14において、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で相対照度を表す。本実装における光学レンズの像面上の異なる領域において、相対的に均等な分布が存在すること、すなわち、本実装における光学レンズ10は、相対的に均一な明度を有する像を得ることができ、したがって、相対的に良好な像を得ることができることが、図から認識されよう。
【0176】
本実施形態において提供される光学レンズ10において、焦点距離fは24.5mmであり、総トラック長TTLは7.4mmであり、TTL1の長さは6.29mmである。したがって、光学レンズ10は、良好な結像品質および長い焦点距離(fが相対的に大きい)を有することにより、長距離撮影効果を実現し、相対的に短い光学距離(TTL1およびTTLの両方)が相対的に小さい、言い換えれば、本実装における光学レンズ10は相対的に短い長さを有し、これにより、光学レンズ10を含む電子デバイス1000は、相対的に小さい厚さを有することができる。
【0177】
図15は、本願の第3実施形態に係る光学レンズ10の構造の概略図である。本実施形態において、光学レンズ10は、2つのコンポーネントを含む。2つのコンポーネントは、それぞれ、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2である。第1コンポーネントS1は、第1光学素子11を含み、第2コンポーネントS2は、第2光学素子12および第3光学素子13を含む。第1光学素子11、第2光学素子12、および第3光学素子13は、物側から像側へと連続的に配置され、全ての光学素子は、同軸に配置される。第1光学素子11は、反射光学素子であり、第2光学素子12および第3光学素子13の両方は、一般的な光学素子である。
【0178】
本実装において、第1光学素子11は、正の焦点屈折力を有し、第2光学素子12および第3光学素子13の両方は、負の焦点屈折力を有する。第1光学素子11、第2光学素子12、および第3光学素子13の全ては、プラスチック材料で形成されることにより、光学レンズ10の製造コストを低減する。
【0179】
本願の第3実施形態における設計パラメータを、表9に示す。表9における符号の意味については、表1を参照されたい。
【表9】
第3実施形態における光学レンズ10の設計パラメータ
【0180】
表9における設計パラメータに基づいて、各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータ、ならびに各光学素子の物側面および像側面の表面係数は、表9における設計パラメータを実装するように、これに対応して設計される必要がある。表10は、本願の本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータを示し、表11は、本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を示す。
【表10】
第3実装における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数
【0181】
表における符号の意味については、表2を参照されたい。
【0182】
本実装において、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2の各々における各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、光学素子の表面係数は、非球面係数である。本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を、表11に示す。
【表11】
第3実装における光学レンズ10の非球面係数
【0183】
本実施形態において、第1光学素子11から第3光学素子13の全ての面タイプは、均等な非球面であり、以下の非球面数式を用いることによって定義されてよい。
【数6】
【0184】
本実装において、
【数7】
ここで、zは非球面のベクトル高さであり、rは非球面の半径座標であり、cは非球面の頂点曲率であり、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、およびA6は非球面係数である。
【0185】
表10および表11における設計パラメータに基づいて、表12に示す基本パラメータを有する光学レンズ10が設計されることにより、光学レンズ10が相対的に良好な結像品質を有し、長い焦点距離および短い光学距離を有するという要件を満たす。
【表12】
第3実施形態における光学レンズ10の基本パラメータ
【0186】
図16から図19は、第3実施形態における光学レンズ10の光学性能を表す図である。
【0187】
具体的には、図16は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する軸上収差の概略図である。図14において、垂直座標は、標準化された瞳孔座標を表し、水平座標は、軸方向における収差をミリメートル単位で表す。本実施形態において、軸上収差が非常に小さな範囲内で制御されていることが、図14から認識されよう。
【0188】
図17は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図であり、光が光学レンズ10を通過した後に存在する像の変形と、理想的な形状との間の差を表すために用いられる。図17の左の図において、実線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する子午線方向の像面湾曲の概略図であり、破線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する矢状方向の像面湾曲の概略図である。図17の右の図は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する光学ディストーションの概略図である。本実施形態において、像面湾曲およびディストーションは、光学系において視覚的に識別可能な範囲(2%と等しいおよびこれより小さい範囲は、視覚的に識別不可能である)内で制御されていることが、図から認識されよう。
【0189】
図18は、異なる像高位置において、異なる波長の光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する横色収差の概略図である。図18において、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で結像偏差を表す。カーブaは、波長が620nmの光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表し、カーブbは、波長が550nmの光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表す。異なる帯域の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像の間で、異なる像高位置において、相対的に小さい結像偏差が存在する、言い換えれば、様々な波長の光が第3実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する結像偏差は、基本的に、光学レンズ10の結像品質に影響しないことが、図から認識されよう。
【0190】
図19は、第3実施形態における光学レンズ10の像面上の相対照度の分布曲線を示す。図19において、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で相対照度を表す。本実装における光学レンズの像面上の異なる領域において、相対的に均等な分布が存在すること、すなわち、本実装における光学レンズ10は、相対的に均一な明度を有する像を得ることができ、したがって、相対的に良好な像を得ることができることが、図から認識されよう。
【0191】
本実施形態において提供される光学レンズ10において、焦点距離fは15mmであり、総トラック長TTLは7.5mmであり、TTL1の長さは5.15mmである。したがって、光学レンズ10は、良好な結像品質および長い焦点距離(fが相対的に大きい)を有することにより、長距離撮影効果を実現し、相対的に短い光学距離(TTL1およびTTLの両方)が相対的に小さい、言い換えれば、本実装における光学レンズ10は相対的に短い長さを有し、これにより、光学レンズ10を含む電子デバイス1000は、相対的に小さい厚さを有することができる。
【0192】
図20は、本願の第4実装に係る光学レンズ10の構造の概略図である。本実施形態において、光学レンズ10は、2つのコンポーネントを含む。2つのコンポーネントは、それぞれ、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2である。第1コンポーネントS1は、第1光学素子11を含み、第2コンポーネントS2は、第2光学素子12、第3光学素子13、および第4光学素子14を含む。第1光学素子11、第2光学素子12、第3光学素子13、および第4光学素子14は、物側から像側へと連続的に配置され、全ての光学素子は、同軸に配置される。第1光学素子11は、反射光学素子であり、第2光学素子12、第3光学素子13、および第4光学素子14の全ては、一般的な光学素子である。
【0193】
本実装において、第1光学素子11は、正の焦点屈折力を有し、第2光学素子12、第3光学素子13、および第4光学素子14の全ては、負の焦点屈折力を有する。第1光学素子11、第2光学素子12、第3光学素子13、および第4光学素子14の全ては、プラスチック材料で形成されることにより、光学レンズ10の製造コストを低減する。
【0194】
本願の第4実装における設計パラメータを、表13に示す。表13における符号の意味については、表1を参照されたい。
【表13】
第4実装における光学レンズ10の設計パラメータ
【0195】
表13における設計パラメータに基づいて、各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータ、ならびに各光学素子の物側面および像側面の表面係数は、表13における設計パラメータを実装するように、これに対応して設計される必要がある。表14は、本願の本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータを示し、表15は、本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を示す。
【表14】
第4実装における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数
【0196】
表において、R9は、近軸位置における、第4光学素子14の物側面の曲率半径を表し、R10は、近軸位置における、第4光学素子14の像側面の曲率半径を表し、a6は、第4光学素子14の像側面と第4光学素子14の物側面との間の軸上距離を表し、d4は、第4光学素子14の軸上厚さを表し、n4は、第4光学素子14の屈折率を表し、v4は、第4光学素子14のアッベ数を表す。表における他の符号の意味については、表2を参照されたい。
【0197】
本実装において、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2の各々における各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、光学素子の表面係数は、非球面係数である。本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を、表15に示す。
【表15】
第4実装における光学レンズ10の非球面係数
【0198】
本明細書において、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、A6、およびA7などの符号は、非球面係数を表す。
【0199】
本実施形態において、第1光学素子11から第4光学素子14の全ての面タイプは、均等な非球面であり、以下の非球面数式を用いることによって定義されてよい。
【数8】
【0200】
本実装において、
【数9】
ここで、zは非球面のベクトル高さであり、rは非球面の半径座標であり、cは非球面の頂点曲率であり、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、A6、およびA7は非球面係数である。
【0201】
表14および表15における設計パラメータに基づいて、表16に示す基本パラメータを有する光学レンズ10が設計されることにより、光学レンズ10が相対的に良好な結像品質を有し、長い焦点距離および短い光学距離を有するという要件を満たす。
【表16】
第4実装における光学レンズ10の基本パラメータ
【0202】
図21から図24は、第4実装における光学レンズ10の光学性能を表す図である。
【0203】
具体的には、図21は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第4実装における光学レンズ10を通過した後に存在する軸上収差の概略図である。図21において、垂直座標は、標準化された瞳孔座標を表し、水平座標は、軸方向における収差をミリメートル単位で表す。本実施形態において、軸上収差が非常に小さな範囲内で制御されていることが、図21から認識されよう。
【0204】
図22は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第4実装における光学レンズ10を通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図であり、光が光学レンズ10を通過した後に存在する像の変形と、理想的な形状との間の差を表すために用いられる。図22の左の図において、実線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する子午線方向の像面湾曲の概略図であり、破線は、555nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する矢状方向の像面湾曲の概略図である。図22の右の図は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第4実装における光学レンズ10を通過した後に存在する光学ディストーションの概略図である。本実施形態において、像面湾曲およびディストーションは、光学系において視覚的に識別可能な範囲(2%と等しいおよびこれより小さい範囲は、視覚的に識別不可能である)内で制御されていることが、図から認識されよう。
【0205】
図23は、異なる像高位置において、異なる波長の光が第4実装における光学レンズ10を通過した後に存在する横色収差を示す。図23において、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で結像偏差を表す。カーブaは、波長が620nmの光が第4実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表し、カーブbは、波長が550nmの光が第4実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表す。異なる帯域の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像の間で、異なる像高位置において、相対的に小さい結像偏差が存在する、言い換えれば、様々な波長の光が第4実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する結像偏差は、基本的に、光学レンズ10の結像品質に影響しないことが、図から認識されよう。
【0206】
図24は、第4実施形態における光学レンズ10の像面上の相対照度の分布曲線を示す。図24において、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で相対照度を表す。本実装における光学レンズの像面上の異なる領域において、相対的に均等な分布が存在すること、すなわち、本実装における光学レンズ10は、相対的に均一な明度を有する像を得ることができ、したがって、相対的に良好な像を得ることができることが、図から認識されよう。
【0207】
本実施形態において提供される光学レンズ10において、焦点距離fは25mmであり、総トラック長TTLは7.5mmであり、TTL1の長さは7.2mmである。したがって、光学レンズ10は、良好な結像品質および長い焦点距離(fが相対的に大きい)を有することにより、長距離撮影効果を実現し、相対的に短い光学距離(TTL1およびTTLの両方)が相対的に小さい、言い換えれば、本実装における光学レンズ10は相対的に短い長さを有し、これにより、光学レンズ10を含む電子デバイス1000は、相対的に小さい厚さを有することができる。
【0208】
図25は、本願の第5実装に係る光学レンズ10の構造の概略図である。本実施形態において、光学レンズ10は、2つのコンポーネントを含む。2つのコンポーネントは、それぞれ、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2である。第1コンポーネントS1は、第1光学素子11を含み、第2コンポーネントS2は、第2光学素子12、第3光学素子13、第4光学素子14、および第5光学素子15を含む。第1光学素子11、第2光学素子12、第3光学素子13、第4光学素子14、および第5光学素子15は、物側から像側へと連続的に配置され、全ての光学素子は、同軸に配置される。第1光学素子11は、反射光学素子であり、第2光学素子12、第3光学素子13、第4光学素子14、および第5光学素子15の全ては、一般的な光学素子である。
【0209】
本実装において、第1光学素子11および第4光学素子14は、正の焦点屈折力を有し、第2光学素子12、第3光学素子13、および第5光学素子15の全ては、負の焦点屈折力を有する。第1光学素子11、第2光学素子12、第3光学素子13、第4光学素子14、および第5光学素子15の全ては、プラスチック材料で形成されることにより、光学レンズ10の製造コストを低減する。
【0210】
本願の第5実装における設計パラメータを、表17に示す。表17における符号の意味については、表1を参照されたい。
【表17】
第5実装における光学レンズ10の設計パラメータ
【0211】
表17における設計パラメータに基づいて、各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータ、ならびに各光学素子の物側面および像側面の表面係数は、表17における設計パラメータを実装するように、これに対応して設計される必要がある。表18は、本願の本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数などのパラメータを示し、表19は、本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を示す。
【表18】
第5実装における光学レンズ10における各光学素子の曲率半径、厚さ、屈折率、およびアッベ数
【0212】
表において、R11は、近軸位置における、第5光学素子15の物側面の曲率半径を表し、R12は、近軸位置における、第5光学素子15の像側面の曲率半径を表し、a7は、第5光学素子15の像側面と第5光学素子15の物側面との間の軸上距離を表し、d5は、第5光学素子15の軸上厚さを表し、n5は、第5光学素子15の屈折率を表し、v5は、第5光学素子15のアッベ数を表す。表における他の符号の意味については、表14を参照されたい。
【0213】
本実装において、第1コンポーネントS1および第2コンポーネントS2の各々における各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面であり、光学素子の表面係数は、非球面係数である。本実施形態における光学レンズ10における各光学素子の表面係数を、表19に示す。表における符号の意味については、表15を参照されたい。
【表19】
第5実装における光学レンズ10の非球面係数
【0214】
本実施形態において、第1光学素子11から第5光学素子15の全ての面タイプは、均等な非球面であり、以下の非球面数式を用いることによって定義されてよい。
【数10】
【0215】
本実装において、
【数11】
ここで、zは非球面のベクトル高さであり、rは非球面の半径座標であり、cは非球面の頂点曲率であり、Kは二次曲面定数であり、A2、A3、A4、A5、A6、およびA7は非球面係数である。
【0216】
表18および表19における設計パラメータに基づいて、表20に示す基本パラメータを有する光学レンズ10が設計されることにより、光学レンズ10が相対的に良好な結像品質を有し、長い焦点距離および短い光学距離を有するという要件を満たす。
【表20】
第5実装における光学レンズ10の基本パラメータ
【0217】
図26から図29は、第5実装における光学レンズ10の光学性能を表す図である。
【0218】
具体的には、図26は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第5実装における光学レンズ10を通過した後に存在する軸上収差の概略図である。図26において、垂直座標は、標準化された瞳孔座標を表し、水平座標は、軸方向における収差をミリメートル単位で表す。本実施形態において、軸上収差が非常に小さな範囲内で制御されていることが、図26から認識されよう。
【0219】
図27は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第5実装における光学レンズ10を通過した後に存在する像面湾曲および光学ディストーションの概略図であり、光が光学レンズ10を通過した後に存在する像の変形と、理想的な形状との間の差を表すために用いられる。図27の左の図において、実線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する子午線方向の像面湾曲の概略図であり、破線は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が光学レンズ10を通過した後に存在する矢状方向の像面湾曲の概略図である。図27の右の図は、波長がそれぞれ650nm、610nm、555nm、510nm、および470nmの光が第5実装における光学レンズ10を通過した後に存在する光学ディストーションの概略図である。本実施形態において、像面湾曲およびディストーションは、光学系において視覚的に識別可能な範囲(2%と等しいおよびこれより小さい範囲は、視覚的に識別不可能である)内で制御されていることが、図から認識されよう。
【0220】
図28は、異なる像高位置において、異なる波長の光が第5実装における光学レンズ10を通過した後に存在する横色収差の概略図である。図28において、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で結像偏差を表す。カーブaは、波長が620nmの光が第5実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表し、カーブbは、波長が550nmの光が第5実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像と、波長が470nmの光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像との間の、異なる像高位置における結像偏差を表す。異なる帯域の光が第1実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する像の間で、異なる像高位置において、相対的に小さい結像偏差が存在する、言い換えれば、様々な波長の光が第5実施形態における光学レンズ10を通過した後に存在する結像偏差は、基本的に、光学レンズ10の結像品質に影響しないことが、図から認識されよう。
【0221】
図29は、第5実施形態における光学レンズ10の像面上の相対照度の分布曲線を示す。図29において、水平座標は、ミリメートル(mm)単位で実像高を表し、垂直座標は、ミリメートル(mm)単位で相対照度を表す。本実装における光学レンズの像面上の異なる領域において、相対的に均等な分布が存在すること、すなわち、本実装における光学レンズ10は、相対的に均一な明度を有する像を得ることができ、したがって、相対的に良好な像を得ることができることが、図から認識されよう。
【0222】
本実施形態において提供される光学レンズ10において、焦点距離fは27.2mmであり、総トラック長TTLは7.1mmであり、TTL1の長さは6.72mmである。したがって、光学レンズ10は、良好な結像品質および長い焦点距離(fが相対的に大きい)を有することにより、長距離撮影効果を実現し、相対的に短い光学距離(TTL1およびTTLの両方)が相対的に小さい、言い換えれば、本実装における光学レンズ10は相対的に短い長さを有し、これにより、光学レンズ10を含む電子デバイス1000は、相対的に小さい厚さを有することができる。
【0223】
前述の説明は、本願の特定の実装に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願において開示した技術的範囲内で当業者が容易に考え出す変形または置換はいずれも、本願の保護範囲内に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
[項目1]
複数のコンポーネントを備える光学レンズであって、前記複数のコンポーネントは、物側から像側まで配置された第1コンポーネントおよび第2コンポーネントを含み、前記第1コンポーネントは、正の焦点屈折力を有し、前記第2コンポーネントは、負の焦点屈折力を有し、各コンポーネントは、少なくとも1つの光学素子を含み、各光学素子は、前記物側に面する物側面および前記像側に面する像側面を含み、前記第1コンポーネントにおける1つの光学素子は、反射光学素子であり、光は、前記反射光学素子において複数回反射し、前記第2コンポーネントにおける全ての光学素子は、透過光学素子であり、前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.25≦TTL/EFL≦0.5
TTLは、前記光学レンズの総トラック長であり、EFLは、前記光学レンズの有効焦点距離である、
光学レンズ。
[項目2]
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.3≦|f /f|≦0.8
は、前記第1コンポーネントの焦点距離であり、fは、前記光学レンズの総焦点距離である、
項目1に記載の光学レンズ。
[項目3]
前記反射光学素子の物側面は、第1反射領域と、前記第1反射領域の周りに配置された第1透過領域とを含み、像側面は、第2透過領域と、前記第2透過領域を囲む第2反射領域とを含み、光軸方向における前記像側面上の前記第1透過領域の投影は、前記第2反射領域に位置し、光は、前記第1透過領域を通って入射し、その後、前記第2反射領域において反射し、前記第1反射領域において反射し、その後、前記第2透過領域から発せられる、項目1または2に記載の光学レンズ。
[項目4]
前記第1反射領域は、前記第2透過領域に向かって屈曲する凹状自由形状面であり、前記第2反射領域および前記第2透過領域の両方は、前記第1反射領域から離れる方向に突出する凸状自由形状面である、項目3に記載の光学レンズ。
[項目5]
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.25≦OBS≦0.5
OBSは、前記反射光学素子の前記物側面の直径に対する前記第1反射領域の直径の比率である、
項目3に記載の光学レンズ。
[項目6]
前記第2コンポーネントは、少なくとも2つの光学素子を含み、前記第2コンポーネントにおける各光学素子の物側面および像側面の両方は、非球面である、項目1に記載の光学レンズ。
[項目7]
前記光学レンズで最大直径を有する光学素子の直径は、7mmから10mmの範囲である、項目1に記載の光学レンズ。
[項目8]
前記光学レンズは、以下の関係式を満たし、
0.05≦IH/EFL≦0.15
IHは、前記光学レンズの最大像高であり、EFLは、前記光学レンズの前記有効焦点距離である、
項目1に記載の光学レンズ。
[項目9]
感光素子と、項目1から8のいずれか一項に記載の光学レンズとを備えるカメラモジュールであって、前記感光素子は、前記光学レンズの像側に位置し、前記光学レンズの焦点面上に位置する、カメラモジュール。
[項目10]
ハウジングと、項目9に記載のカメラモジュールとを備える電子デバイスであって、
前記カメラモジュールは、前記ハウジングに配置され、前記カメラモジュールの光軸は、前記電子デバイスの厚さ方向と同じである、
電子デバイス。
図1
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図3a
図3b
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