(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】FPCB及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/16 20060101AFI20240409BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240409BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240409BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H05K1/16 B
H05K1/11 H
H05K1/11 A
H05K3/40 A
H05K3/40 D
H05K1/02 K
(21)【出願番号】P 2022558288
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 KR2021009050
(87)【国際公開番号】W WO2022025489
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0094041
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、サン オク
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-096887(JP,A)
【文献】特開2013-258393(JP,A)
【文献】特開平11-186039(JP,A)
【文献】特開2006-054207(JP,A)
【文献】特開2012-084393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/16
H05K 1/11
H05K 3/40
H05K 1/02
H01H 85/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン回路層を含むFPCBであって、
前記パターン回路層は、
パターンヒューズが埋め込まれ、
前記パターンヒューズは、
金属で製造され、螺旋状に形成される第1導線と、
金属で製造され、螺旋状に形成される第2導線と、を含み、且つ
前記第1導線及び前記第2導線が二重螺旋で形成され
、
前記第1導線は、
前記パターン回路層の下面に形成される第1下部導線と、
前記パターン回路層の上面に形成される第1上部導線と、
前記第1下部導線及び前記第1上部導線を互いに連結する第1ビア導線と、を含み、
前記第2導線は、
前記パターン回路層の下面に形成される第2下部導線と、
前記パターン回路層の上面に形成される第2上部導線と、
前記第2下部導線及び前記第2上部導線を互いに連結する第2ビア導線と、を含
み、
前記パターンヒューズは、
複数のマイクロピラーと
前記複数のマイクロピラーの間に設けられた充填剤と
を含み、
前記第1ビア導線および前記第2ビア導線は、前記複数のマイクロピラーの側壁に沿って形成される、FPCB。
【請求項2】
複数の前記第1下部導線および複数の前記第2下部導線を備え、
前記複数の第1下部導線の2つの前記第1下部導線は、前記複数のマイクロピラーの第1マイクロピラーの一端と他端にそれぞれ位置し、
前記複数の第2下部導線の2つの前記第2下部導線は、前記複数のマイクロピラーの前記第1マイクロピラーと異なる第2マイクロピラーの一端と他端にそれぞれ位置する、請求項1に記載のFPCB。
【請求項3】
前記第1上部導線および前記第2上部導線は、前記複数のマイクロピラーの上面に沿って形成される、請求項1または2に記載のFPCB。
【請求項4】
前記第1導線及び前記第2導線は、
四角形状を有して二重螺旋で形成される、請求項
1から3のいずれか一項記載のFPCB。
【請求項5】
前記第1下部導線、前記第2下部導線、前記第1上部導線及び前記第2上部導線は、
直線形状を有して形成される、請求項
1から4のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項6】
前記第1ビア導線及び前記第2ビア導線は、
前記パターン回路層に厚さ方向に、直線形状を有して形成される、請求項
1から5のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項7】
前記第1導線及び前記第2導線は、
開始端子及び終了端子がいずれも前記パターン回路層の上面又は下面のうち1つでのみ露出する、請求項
1から6のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項8】
前記第1導線の開始端子と前記第2導線の開始端子は、
それぞれ別途に形成され、
前記第1導線の終了端子と前記第2導線の終了端子も、
それぞれ別途に形成される、請求項
1から7のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項9】
前記第1導線の開始端子と前記第2導線の開始端子とは、
互いに連結されて形成され、
前記第1導線の終了端子と前記第2導線の終了端子とは、
互いに連結されて形成される、請求項
1から7のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項10】
前記第1導線及び前記第2導線は、
開始端子が電源バスバーに連結され、
終了端子がセンシングバスバーに連結される、請求項
1から9のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項11】
前記第1導線の終了端子は、
第1センシングバスバーに連結され、
前記第2導線の終了端子は、
第2センシングバスバーに連結される、請求項
1から10のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項12】
前記金属は、
銀、銅、金及びアルミニウムのうち少なくとも1つを含む、請求項
1から11のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項13】
前記パターン回路層の上面にカバーレイがさらに積層される、請求項
1から12のいずれか一項に記載のFPCB。
【請求項14】
ベースフィルムの上面に第1下部導線及び第2下部導線を形成するステップと、
前記第1下部導線及び前記第2下部導線の両端を露出させ、前記ベースフィルムの上面にマイクロピラーを積層するステップと、
前記第1下部導線及び前記第2下部導線の両端に
おいて、前記マイクロピラーの側壁に沿うようにそれぞれ第1ビア導線及び第2ビア導線を形成するステップと、
前記ベースフィルムの上面で、前記マイクロピラーが満たされていない空き空間に充填剤を注入するステップと、
前記マイクロピラーの上面に、前記第1ビア導線同士を連結する第1上部導線及び前記第2ビア導線同士を連結する第2上部導線を形成するステップと、を含む、FPCBの製造方法。
【請求項15】
前記マイクロピラーを積層するステップの後に、シード層を形成するステップを含む、請求項14に記載のFPCBの製造方法。
【請求項16】
前記第1下部導線及び前記第2下部導線を形成するステップにおいて、
前記第1下部導線及び前記第2下部導線は、
第1方向に平行に形成される、請求項
14または15に記載のFPCBの製造方法。
【請求項17】
前記第1上部導線及び前記第2上部導線を形成するステップにおいて、
前記第1上部導線及び前記第2上部導線は、
第2方向に平行に形成される、請求項
16に記載のFPCBの製造方法。
【請求項18】
前記第1方向及び前記第2方向は、
互いに異なる方向である、請求項
17に記載のFPCBの製造方法。
【請求項19】
前記第1下部導線及び前記第2下部導線を形成するステップにおいて、
前記第1下部導線及び前記第2下部導線は、
前記ベースフィルムの上面にエッチング又は印刷方法のうち少なくとも1つの方法で形成される、請求項
14から18のいずれか一項に記載のFPCBの製造方法。
【請求項20】
前記第1上部導線及び前記第2上部導線を形成するステップにおいて、
前記第1上部導線及び前記第2上部導線は、
前記マイクロピラーの上面にエッチング又は印刷方法の少なくとも1つの方法で形成される、請求項
14から19のいずれか一項に記載のFPCBの製造方法。
【請求項21】
前記第1上部導線及び前記第2上部導線を形成するステップの後に、
前記第1下部導線、前記第1ビア導線及び前記第1上部導線を含む第1導線と、前記第2下部導線、前記第2ビア導線及び前記第2上部導線を含む第2導線は、
開始部分に開始端子を形成し、終了部分に終了端子を形成する、請求項
14から20のいずれか一項に記載のFPCBの製造方法。
【請求項22】
前記第1導線及び前記第2導線は、
前記開始端子及び前記終了端子がいずれもパターン回路層の上面又は下面のうち1つでのみ露出する、請求項
21に記載のFPCBの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年07月28日付けの韓国特許出願第10-2020-0094041号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、FPCB及びその製造方法に関し、より詳細には、ヒューズをマウントする必要がなく、全体積が減少し、コストも節減することができるFPCB及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
PCB(Printed Circuit Board、印刷回路基板)は、TVはもちろん、コンピュータ、携帯電話、ディスプレイ、通信ネットワーク、半導体モジュールなど、多様な電子製品に広く使用されている。このようなPCBの一種として、特に柔軟性を有するFPCB(Flexible Printed Circuit Board、軟性印刷回路基板)が最近広範囲に使用されている。
【0004】
一般的にFPCBは、ポリイミドフィルム(Poly-Imide Film)に銅箔(Copper Foil)を積層して形成された銅箔積層板に、ドライフィルムをラミネートして露光、現像及びエッチング工程を経て導体パターンを形成させた後、最外郭の銅箔上にカバーレイを積層して製造される。このようなFPCBは、原材料の柔軟性を活用して複雑な製品ケース内に曲げられた状態で設置したり、繰り返して動く部位に使用されたりと、その特性上、小型化(デジタルカメラ、カムコーダなど)、屈曲性(プリンタヘッド、ハードディスクなど)、高密度配線(医療機器などの精密機器)、組立の合理化(計測器、自動車電装品、バッテリモジュールなど)のために多様に使用されている。
【0005】
このようなFPCBに、導線はエッチング等によって形成されるため、体積を大きく占めることなく、外部の衝撃で断線するという問題が多く発生しない。ところで、FPCBにおいてヒューズなどの素子は、FPCBを全て製造した後、FPCB上にマウント工程によって別途にマウントされる。したがって、FPCB全体の体積が増加し、コストも上昇するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ヒューズをマウントする必要がなく、全体の体積が減少し、コストも節減することができるFPCB及びその製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の課題は、前述した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の実施形態によるFPCBは、パターン回路層を含むFPCBにおいて、前記パターン回路層は、パターンヒューズが埋め込まれ、前記パターンヒューズは、金属で製造され、螺旋状に形成される第1導線と、金属で製造され、螺旋状に形成される第2導線と、を含み、且つ前記第1導線及び前記第2導線が二重螺旋で形成される。
【0010】
また、前記第1導線は、前記パターン回路層の下面に形成される第1下部導線と、前記パターン回路層の上面に形成される第1上部導線と、前記第1下部導線及び前記第1上部導線を互いに連結する第1ビア導線と、を含み、前記第2導線は、前記パターン回路層の下面に形成される第2下部導線と、前記パターン回路層の上面に形成される第2上部導線と、前記第2下部導線及び前記第2上部導線を互いに連結する第2ビア導線と、を含むことができる。
【0011】
また、前記第1導線及び前記第2導線は、四角形状を有して二重螺旋で形成されてもよい。また、前記第1下部導線、前記第2下部導線、前記第1上部導線及び前記第2上部導線は、直線形状を有して形成されてもよい。また、前記第1ビア導線及び前記第2ビア導線は、前記パターン回路層に厚さ方向に、直線形状を有して形成されてもよい。また、前記第1導線及び前記第2導線は、開始端子及び終了端子がいずれも前記パターン回路層の上面又は下面のうち1つでのみ露出することができる。
【0012】
また、前記第1導線の開始端子と前記第2導線の開始端子は、それぞれ別途に形成され、前記第1導線の終了端子と前記第2導線の終了端子も、それぞれ別途に形成されてもよい。また、前記第1導線の開始端子と前記第2導線の開始端子とは、互いに連結されて形成され、前記第1導線の終了端子と前記第2導線の終了端子とは、互いに連結されて形成されてもよい。
【0013】
また、前記第1導線及び前記第2導線は、開始端子が電源バスバーに連結され、終了端子がセンシングバスバーに連結されてもよい。また、前記第1導線の終了端子は、第1センシングバスバーに連結され、前記第2導線の終了端子は、第2センシングバスバーに連結されてもよい。また、前記金属は、銀、銅、金及びアルミニウムのうち少なくとも1つを含んでもよい。また、前記パターン回路層の上面にカバーレイがさらに積層されてもよい。
【0014】
前記課題を解決するための本発明の実施形態によるFPCBの製造方法は、ベースフィルムの上面に第1下部導線及び第2下部導線を形成するステップと、前記第1下部導線及び前記第2下部導線の両端を露出させ、前記ベースフィルムの上面にマイクロピラーを積層するステップと、前記第1下部導線及び前記第2下部導線の両端にそれぞれ第1ビア導線及び第2ビア導線を形成するステップと、前記ベースフィルムの上面で、前記マイクロピラーが満たされていない空き空間に充填剤を注入するステップと、前記マイクロピラーの上面に、前記第1ビア導線同士を連結する第1上部導線及び前記第2ビア導線同士を連結する第2上部導線を形成するステップと、を含む。
【0015】
また、前記第1下部導線及び前記第2下部導線を形成するステップにおいて、前記第1下部導線及び前記第2下部導線は、第1方向に平行に形成されてもよい。また、前記第1上部導線及び前記第2上部導線を形成するステップにおいて、前記第1上部導線及び前記第2上部導線は、第2方向に平行に形成されてもよい。また、前記第1方向及び前記第2方向は、互いに異なる方向であってもよい。また、前記第1下部導線及び前記第2下部導線を形成するステップにおいて、前記第1下部導線及び前記第2下部導線は、前記ベースフィルムの上面にエッチング又は印刷方法のうち少なくとも1つの方法で形成されてもよい。
【0016】
また、前記第1上部導線及び前記第2上部導線を形成するステップにおいて、前記第1上部導線及び前記第2上部導線は、前記マイクロピラーの上面にエッチング又は印刷方法のうち少なくとも1つの方法で形成されてもよい。また、前記第1上部導線及び前記第2上部導線を形成するステップの後に、前記第1下部導線、前記第1ビア導線及び前記第1上部導線を含む第1導線と、前記第2下部導線、前記第2ビア導線及び前記第2上部導線を含む第2導線は、開始部分に開始端子を形成し、終了部分に終了端子を形成することができる。
【0017】
また、前記第1導線及び前記第2導線は、開始端子及び終了端子がいずれもパターン回路層の上面又は下面のうち1つでのみ露出することができる。本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、少なくとも次のような効果がある。
FPCBにマウントなどの方法ではなく、TPV(Through Polymer Via)方法を用いて二重螺旋のパターンヒューズを形成するため、FPCBの全体積が減少し、コストも節減することができる。
【0019】
本発明による効果は、上記に例示された内容によって制限されず、さらに様々な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100が埋め込まれたFPCB1の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100が埋め込まれたFPCB1を製造する方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に第1下部導線1011及び第2下部導線1021が形成された様子を示す側面概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に第1下部導線1011及び第2下部導線1021が形成された様子を示す上面概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11にマイクロピラー103が形成された様子を示す側面概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11にマイクロピラー103が形成された様子を示す上面概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022が形成された様子を示す側面概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に充填剤104が注入された様子を示す側面概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に充填剤104が注入された様子を示す上面概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る第1上部導線1013及び第2上部導線1023が形成された様子を示す上面概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る第1導線101及び第2導線102に開始端子1014、1024及び終了端子1015、1025が形成された様子を示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100にバスバー21、22が連結された様子を示す概略図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る第1導線101及び第2導線102に開始端子105及び終了端子106が形成された様子を示す斜視図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係るパターンヒューズ100aにバスバー21a、22aが連結された様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の利点及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳しく後述されている実施形態を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で実現されることができ、単に本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識の有する者に発明の範囲を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるだけである。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。
【0022】
他の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に共通して理解可能な意味として使用されることができる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、特に明確に定義されていない限り、理想的又は過度に解釈されない。
【0023】
本明細書で使用される用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文脈において特に断らない限り、複数形も含む。本明細書で使用される「含む(comprises及び/又はcomprising)」は、言及された構成要素のほかに1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100が埋め込まれたFPCB1の斜視図である。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、FPCB1にマウントなどの方法ではなく、TPV(Through Polymer Via)方法を用いて二重螺旋のパターンヒューズ100を形成するため、FPCB1の全体積が減少し、コストも節減することができる。
【0026】
このために、本発明の一実施形態に係るFPCB1は、パターン回路層10を含むFPCB1において、前記パターン回路層10は、パターンヒューズ100が埋め込まれ、前記パターンヒューズ100は、金属で製造され、螺旋状に形成される第1導線101と、金属で製造され、螺旋状に形成される第2導線102と、を含み、且つ前記第1導線及び前記第2導線102が二重螺旋で形成される。
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100は、第1導線101及び第2導線102を含む。第1導線101は金属で製造され、FPCB1のパターン回路層10に埋め込まれる。そして、第2導線102も金属で製造され、FPCB1のパターン回路層10に埋め込まれる。このような第1導線101及び第2導線102はいずれも螺旋状に形成され、特に二重螺旋で形成される。
【0028】
具体的に、第1導線101は、第1下部導線1011、第1上部導線1013、及び第1ビア導線1012を含む。第1下部導線1011はパターン回路層10の下面に直線形状を有して形成され、第1上部導線1013はパターン回路層10の上面に直線形状を有して形成される。そして、第1ビア導線1012は、前記第1下部導線1011及び前記第1上部導線1013を互いに連結し、パターン回路層10に厚さ方向に直線形状を有して形成される。このように、第1下部導線1011、第1上部導線1013、及び第1ビア導線1012がそれぞれ直線形状を有することにより、第1導線101は四角形状を有することができる。そして、このような第1下部導線1011、第1ビア導線1012及び第1上部導線1013が順に連結され、繰り返して形成されることにより、第1導線101が螺旋状に形成されることができる。
【0029】
同様に、第2導線102は、第2下部導線1021、第2上部導線1023、及び第2ビア導線1022を含む。第2下部導線1021はパターン回路層10の下面に直線形状を有して形成され、第2上部導線1023はパターン回路層10の上面に直線形状を有して形成される。そして、第2ビア導線1022は、前記第2下部導線1021及び前記第2上部導線1023を互いに連結し、パターン回路層10に厚さ方向に直線形状を有して形成される。このように、第2下部導線1021、第2上部導線1023、及び第2ビア導線1022がそれぞれ直線形状を有することにより、第2導線102は四角形状を有することができる。そして、このような第2下部導線1021、第2ビア導線1022、及び第2上部導線1023が順に連結され、繰り返して形成されることにより、第2導線102が螺旋状に形成されることができる。
【0030】
このような第1導線101及び第2導線102は、それぞれ別途に形成されるものではなく、互いに重なり合った状態で螺旋状に形成される、すなわち、二重螺旋で形成される。そして、このような第1導線101及び第2導線102を製造する前記金属は、電気伝導度の高い銀、銅、金及びアルミニウムのうち少なくとも1つを含むことができ、特に成形が容易で価格が安くて経済的な銅を含むことが好ましい。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100が埋め込まれたFPCB1を製造する方法のフローチャートである。
【0032】
本発明の一実施形態に係るFPCB1を製造する方法は、ベースフィルム11の上面に第1下部導線1011及び第2下部導線1021を形成するステップと、前記第1下部導線1011及び前記第2下部導線1021の両端を露出させ、前記ベースフィルム11の上面にマイクロピラー103を積層するステップと、前記第1下部導線1011及び前記第2下部導線1021の両端にそれぞれ第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022を形成するステップと、前記ベースフィルム11の上面で、前記マイクロピラー103が満たされていない空き空間に充填剤104を注入するステップと、前記マイクロピラー103の上面に、前記第1ビア導線1012同士を連結する第1上部導線1013及び前記第2ビア導線1022同士を連結する第2上部導線1023を形成するステップと、を含む。
【0033】
以下、
図2のフローチャートに示す各ステップについて、
図3~
図10を参照して具体的に説明する。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に第1下部導線1011及び第2下部導線1021が形成された様子を示す側面概略図であり、
図4は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に第1下部導線1011及び第2下部導線1021が形成された様子を示す上面概略図である。
【0035】
まず、ベースフィルム11を設け、
図3に示すように、このようなベースフィルム11の上面に第1下部導線1011及び第2下部導線1021を形成する(S201)。ベースフィルム11は、シリコンを含むフィルムであってもよい。そして、第1下部導線1011及び第2下部導線1021を形成するとき、前記ベースフィルム11の上面にエッチング又は印刷方法のうち少なくとも1つの方法を使用して形成することができる。
【0036】
第1下部導線1011及び第2下部導線1021は、それぞれ複数で形成され、いずれも第1方向に平行に形成されることができる。そして、第1方向は、例えば、
図4に示すように、ベースフィルム11に一定の傾斜を有してもよい。また、第1下部導線1011と第2下部導線1021とは互いに交互に形成されてもよい。これにより、追って第1導線101及び第2導線102は二重螺旋で形成されることができる。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11にマイクロピラー103が形成された様子を示す側面概略図であり、
図6は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11にマイクロピラー103が形成された様子を示す上面概略図である。
【0038】
第1下部導線1011及び第2下部導線1021が形成されると、
図5に示すように、このような第1下部導線1011及び第2下部導線1021の両端を露出させ、ベースフィルム11の上面にマイクロピラー103を積層する(S202)。このとき、マイクロピラー103は複数で形成され、
図6に示すように、全て前記第1方向とは異なる第2方向に平行に形成されることができる。そして、追って第1上部導線1013及び第2上部導線1023が前記マイクロピラー103に沿って形成される。したがって、1つのマイクロピラー103の両端には、互いに異なる第1下部導線1011の一端がそれぞれ位置するか、又は互いに異なる第2下部導線1021の一端がそれぞれ位置することができる。
【0039】
マイクロピラー103を積層するために、厚いフォトレジストを先に積層した後にパターニングすることができる。このようなマイクロピラー103は紫外線により架橋され、残りの部分は洗浄されることにより、パターニングが容易なエポキシベースのSU-8ネガ型フォトレジストであることができる。
【0040】
一方、図面には示されていないが、マイクロピラー103を積層した後に、マイクロピラー103を活性化するために別途のシード層が形成されてもよい。このようなシード層を形成するために、物理的気相蒸着(Physical Vapor Deposition、PVD)方法を使用するか、又は原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)方法を使用することができる。そして、シード層は、電気伝導性を有して金属によく付着し、低い加工温度を有する窒化チタン(TiN)を含むことができる。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022が形成された様子を示す側面概略図である。
【0042】
マイクロピラー103が積層された後、第1下部導線1011及び第2下部導線1021の両端にそれぞれ第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022を形成することができる(S203)。上述したように、マイクロピラー103の両端には、互いに異なる第1下部導線1011の一端がそれぞれ位置するか、又は互いに異なる第2下部導線1021の一端がそれぞれ位置することができる。したがって、第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022を形成すると、
図7に示すように、第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022はマイクロピラー103の両端の側壁に沿って形成されることができる。
【0043】
第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022を形成するために、マイクロピラー103に銅などの金属を無電解めっきすることができる。そして、このような金属の腐食を防止するために、イオン化傾向の低い金又は銀などの金属をさらに電解めっきすることもできる。
【0044】
このような第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022も金属で製造され、追って第1上部導線1013及び第2上部導線1023が形成されると、それぞれ下部導線1011、1021及び上部導線1021、1022を連結するため、パターン回路層10の下面と上面とを電気的に連結する貫通電極の役割を果たす。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に充填剤104が注入された様子を示す側面概略図であり、
図9は、本発明の一実施形態に係るベースフィルム11に充填剤104が注入された様子を示す上面概略図である。
【0046】
図8及び
図9に示すように、ベースフィルム11の上面で、マイクロピラー103が満たされていない空き空間に充填剤104を注入する(S204)。このような充填剤104は、電気絶縁性を有するエポキシモールディング化合物(Epoxy Molding Composition、EMC)であってもよい。これにより、マイクロピラー103が絶縁体の内部にカプセル化することができる。
【0047】
図10は、本発明の一実施形態に係る第1上部導線1013及び第2上部導線1023が形成された様子を示す上面概略図である。
【0048】
マイクロピラー103の上面に、第1ビア導線1012同士を連結する第1上部導線1013及び第2ビア導線1022同士を連結する第2上部導線1023を形成する(S205)。そして、第1上部導線1021及び第2上部導線1023を形成するとき、前記マイクロピラー103の上面にエッチング又は印刷方法のうち少なくとも1つの方法を使用して形成することができる。
【0049】
第1上部導線1013及び第2上部導線1023はいずれもマイクロピラー103に沿って形成される。すなわち、第1上部導線1013は、第1ビア導線1012が形成されたマイクロピラー103の上面に、前記第1ビア導線1012同士を連結して形成されてもよく、第2上部導線1023は、第2ビア導線1022が形成されたマイクロピラー103の上面に、前記第2ビア導線1022同士を連結して形成されてもよい。このとき、第1上部導線1013及び第2上部導線1023は、それぞれ第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022と連結されるために、第1ビア導線1012及び第2ビア導線1022よりも広い幅で形成されてもよい。
【0050】
上述したように、1つのマイクロピラー103の両端には、互いに異なる第1下部導線1011の一端がそれぞれ位置するか、又は互いに異なる第2下部導線1021の一端がそれぞれ位置することができる。したがって、第1上部導線1013は、互いに異なる第1下部導線1011とそれぞれ第1ビア導線1012を介して連結され、第2上部導線1023は、互いに異なる第2下部導線1021とそれぞれ第2ビア導線1022を介して連結されることにより、第1導線101と第2導線102が螺旋状に形成されることができる。
【0051】
第1上部導線1013及び第2上部導線1023はそれぞれ複数で形成され、いずれもマイクロピラー103に沿って形成されるため、前記第2方向に平行に形成されることができる。このような第2方向は、前記第1方向と異なる方向であることが好ましい。例えば、第2方向は、
図10に示すように、前記第1方向と一定の傾斜を有することができる。また、第1上部導線1013と第2上部導線1023とは互いに交互に形成されてもよい。これにより、FPCB1のパターン回路層10に、二重螺旋の第1導線101及び第2導線102を含むパターンヒューズ100が埋め込まれて形成されることができる。さらに、このようなパターンヒューズ100が形成された後に、前記ベースフィルム11を除去することができる。
【0052】
一方、図面には示されていないが、FPCB1の回路パターンを保護するために、マイクロピラー103の上面にカバーレイ(Cover Lay)を積層することもできる。このようなカバーレイはポリイミド系素材のフィルムであってもよい。
【0053】
図11は、本発明の一実施形態に係る第1導線101及び第2導線102に開始端子1014、1024及び終了端子1015、1025が形成された様子を示す斜視図である。
【0054】
第1上部導線1013及び第2上部導線1023を形成した後に、第1導線101及び第2導線102の開始部分に開始端子1014、1024を形成し、終了部分に終了端子1015、1025を形成する。このとき、第1導線101及び第2導線102は、このような開始端子1014、1024及び終了端子1015、1025がいずれもパターン回路層10の上面又は下面のうち1つでのみ露出する。
【0055】
そして、本発明の一実施形態によれば、第1導線101及び第2導線102は、開始端子1014、1024及び終了端子1015、1025がいずれも別途に形成される。すなわち、
図11に示すように、第1導線101の開始部分には第1開始端子1014が形成され、第2導線102の開始部分には第2開始端子1024が別途に形成される。また、第1導線101の終了部分には、第1終了端子1015が形成され、第2導線102の終了部分には、第2終了端子1025が別途に形成される。
【0056】
図12は、本発明の一実施形態に係るパターンヒューズ100にバスバー21、22が連結された様子を示す概略図である。仮に、第1開始端子1014、第2開始端子1024、第1終了端子1015、及び第2終了端子1025のうち少なくとも1つがパターン回路層10の他の面で露出すると、バスバー21、22に連結されるためにはFPCB1の上面及び下面を互いに反転するように折り曲げなければならない。すると、FPCB1を折り曲げる工程をさらに追加しなければならないだけでなく、折り曲げられた部分の耐久性が低下して寿命が短縮するという問題もある。
【0057】
第1導線101の第1開始端子1014と第2導線102の第2開始端子1024とは、
図12に示すように、1つの電源バスバー21に連結される。ところで、本発明の一実施形態によれば、第1開始端子1014と第2開始端子1024はいずれもパターン回路層10の同じ面に露出するため、電源バスバー21に連結されるときにFPCB1の上面及び下面が互いに反転するように折り曲げられる必要がない。
【0058】
また、第1導線101の第1終了端子1015と第2導線102の第2終了端子1025とは、それぞれ互いに異なるセンシングバスバー221、222に連結される。ところで、第1終了端子1015と第2終了端子1025いずれもパターン回路層10の同じ面に露出するため、センシングバスバー22に連結されるときにFPCB1の上面及び下面が互いに反転するように折り曲げられる必要がない。
【0059】
図13は、本発明の他の実施形態に係る第1導線101及び第2導線102に開始端子105及び終了端子106が形成された様子を示す斜視図である。
【0060】
本発明の他の実施形態によれば、第1導線101及び第2導線102は、開始端子105及び終了端子106がそれぞれ互いに連結されて形成される。すなわち、
図13に示すように、第1導線101の開始部分に形成された第1開始端子と、第2導線102の開始部分に形成された第2開始端子とが互いに連結されて形成される。また、第1導線101の終了端部に形成された第1終了端子と、第2導線102の終了部分に形成された第2終了端子とが互いに連結されて形成される。特に、
図13に示すように、第1開始端子及び第2開始端子が1つの開始端子105として一体に形成されてもよく、第1終了端子及び第2終了端子が1つの終了端子106として一体に形成されてもよい。ただし、これに制限されず、別途に形成された後に別途の結合部(図示せず)を介して互いに結合されるか、又は溶接や接着剤などを介して互いに連結されることもできる。また、第1導線101及び第2導線102は、このような開始端子105及び終了端子106がいずれもパターン回路層10の上面又は下面のうち1つでのみ露出する。
【0061】
図14は、本発明の他の実施形態に係るパターンヒューズ100aにバスバー21a、22aが連結された様子を示す概略図である。
【0062】
第1導線101及び第2導線102の開始端子105は互いに連結されて形成されるため、
図14に示すように、1つの電源バスバー21aに連結される。ところで、第1開始端子と第2開始端子はいずれもパターン回路層10の同じ面に露出した後に互いに連結されるため、電源バスバー21aに連結されるときにFPCB1aの上面及び下面が互いに反転するように折り曲げられる必要がない。
【0063】
また、第1導線101及び第2導線102の終了端子106も互いに連結されて形成されるため、1つのセンシングバスバー22aに連結される。ところで、第1終了端子と第2終了端子もいずれもパターン回路層10の同じ面に露出した後に互いに連結されるため、センシングバスバー22aに連結されるときにFPCB1aの上面及び下面が互いに反転するように折り曲げられる必要がない。
【0064】
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものと理解すべきである。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される様々な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0065】
1:FPCB
2:バスバー
10:パターン回路層
11:ベースフィルム
21:電源バスバー
22:センシングバスバー
100:パターンヒューズ
101:第1導線
102:第2導線
103:マイクロピラー
104:充填剤
1011:第1下部導線
1012:第1ビア導線
1013:第1上部導線
1014:第1開始端子
1015:第1終了端子
1021:第2下部導線
1022:第2ビア導線
1023:第2上部導線
1024:第2開始端子
1025:第2終了端子