(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】融着接続装置のロック解除システム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/255 20060101AFI20240409BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240409BHJP
【FI】
G02B6/255
G06F21/31
(21)【出願番号】P 2020563313
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2019050647
(87)【国際公開番号】W WO2020138093
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2018241308
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大木 一芳
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 英明
(72)【発明者】
【氏名】大西 隆治
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224076(JP,A)
【文献】特開2004-240637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0106606(US,A1)
【文献】特開2007-004373(JP,A)
【文献】特開2014-149559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024022(US,A1)
【文献】米国特許第6292896(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255
G02B 6/36- 6/40
G06F 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの融着接続を行う融着接続装置と、
第1情報端末と、
前記第1情報端末と通信網を介して通信可能なサーバと、を備え、
前記融着接続装置は、
前記第1情報端末と通信を行う通信部と、
所定のロック条件に応じて当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うとともに、前記通信部を介して前記第1情報端末から入力した解除指令に応じてロックを解除するロック処理部と、を有し、
前記サーバは、
前記融着接続装置の使用者から予め提供された認証情報を格納する格納部と、
前記第1情報端末から提供された認証情報と前記格納部に格納された認証情報とを照合する照合部と、
前記照合部における照合結果が良好である場合に、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを発行するパスワード発行部と、を有し、
前記第1情報端末は、
前記ワンタイムパスワードを認証するパスワード認証部と、
前記パスワード認証部における認証結果が良好である場合に、前記解除指令を前記融着接続装置に与える解除指令付与部と、を有し、
前記パスワード認証部は、当該第1情報端末が保有する日時
との日差若しくは時差を有するワンタイムパスワードを少なくとも1つ含む複数のワンタイムパスワードのいずれかと、前記パスワード発行部により発行されて入力されたワンタイムパスワードとが合致した場合に、前記
入力されたワンタイムパスワードを認証
し、認証結果が良好であるとする、融着接続装置のロック解除システム。
【請求項2】
光ファイバの融着接続を行う融着接続装置と、
第1情報端末と、
前記第1情報端末と通信網を介して通信可能なサーバと、を備え、
前記融着接続装置は、
前記第1情報端末と通信を行う通信部と、
所定のロック条件に応じて当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うとともに、前記通信部を介して前記第1情報端末から入力した解除指令に応じてロックを解除するロック処理部と、を有し、
前記サーバは、
前記融着接続装置の使用者から予め提供された認証情報を格納する格納部と、
前記第1情報端末から提供された認証情報と前記格納部に格納された認証情報とを照合する照合部と、
前記照合部における照合結果が良好である場合に、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを発行するパスワード発行部と、を有し、
前記第1情報端末は、
当該第1情報端末が保有する日時と前記サーバが保有する日時との時差を特定する時差特定部と、
前記ワンタイムパスワードを認証するパスワード認証部と、
前記パスワード認証部における認証結果が良好である場合に、前記解除指令を前記融着接続装置に与える解除指令付与部と、を有し、
前記パスワード認証部は、前記時差特定部により特定された時差を考慮して前記ワンタイムパスワードを認証する、融着接続装置のロック解除システム。
【請求項3】
前記通信網を介して前記サーバと通信可能であり、前記融着接続装置との間で予めペアリングを行った第2情報端末を更に備え、
前記第1情報端末は、前記融着接続装置との間でペアリングを行っておらず、
前記所定のロック条件は、前記第2情報端末と当該融着接続装置とが所定距離以上離れることである、
請求項1
または請求項2に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項4】
前記パスワード認証部は、前記第1情報端末が保有する日付に対して±1日の日差を有する前記ワンタイムパスワードを許容する、
請求項1または
請求項3に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項5】
前記第1情報端末は、当該第1情報端末が保有する日時と前記サーバが保有する日時との時差を特定する時差特定部を更に有し、
前記パスワード認証部は、前記時差特定部により特定された時差を考慮して前記ワンタイムパスワードを認証する、
請求項1または
請求項3に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の融着接続装置のロック解除システムを用いて、機能の少なくとも一部がロックされた前記融着接続装置の当該ロックを解除する、ロック解除方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の融着接続装置のロック解除システムにおいて、前記融着接続装置のロック解除の各ステップをコンピュータに実行させる解除プログラム。
【請求項8】
融着接続装置のロックを解除するシステムであって、
所定のロック条件に応じて融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うロック処理部と、
第1情報端末から提供された第1認証情報と前記融着接続装置の使用者から提供された第2認証情報とをサーバにて照合して前記照合の結果が良好である場合に発行される、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを受信する通信部と、
前記第1情報端末が保有する日時と前記サーバが保有する日時との日差若しくは時差を考慮して前記ワンタイムパスワードを認証するパスワード認証部と、
前記パスワード認証部における認証結果が良好である場合に、前記ロックされた融着接続装置の機能を解除する解除指令を前記融着接続装置に与える解除指令付与部と、
を備え、
前記ロック処理部は、前記解除指令に応じて前記ロックされた融着接続装置の機能を一時的に解除する、融着接続装置のロック解除システム。
【請求項9】
前記パスワード認証部は、前記第1情報端末が保有する日付に対して±1日の日差を有する前記ワンタイムパスワードを許容する、
請求項8に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項10】
前記第1情報端末が保有する日時と前記サーバが保有する日時との時差を特定する時差特定部を更に備え、
前記パスワード認証部は、前記時差特定部により特定された時差を考慮して前記ワンタイムパスワードを認証する、
請求項8に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項11】
前記第2認証情報は、前記使用者のクレジットカード番号、前記使用者の個人情報、及び、前記融着接続装置の融着接続作業に関する情報の少なくとも1つを含む、
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項12】
前記第2認証情報は、前記第1情報端末とは別の第2情報端末から前記サーバに送信される情報であって、前記第2情報端末が前記融着接続装置とペアリングされている状態で前記サーバに送信される、
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項13】
前記ロック処理部は、前記解除指令に応じて前記ロックされた融着接続装置の機能を1日から数日の間、一時的に解除する、
請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の融着接続装置のロック解除システム。
【請求項14】
ロック解除システムによって融着接続装置のロックを解除する方法であって、
所定のロック条件に応じて融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うステップと、
第1情報端末から提供された第1認証情報と前記融着接続装置の使用者から提供された第2認証情報とをサーバにて照合して、前記照合の結果が良好である場合に発行される、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを受信するステップと、
前記第1情報端末が保有する日時と前記サーバが保有する日時との日差若しくは時差を考慮して前記ワンタイムパスワードを認証するステップと、
前記ワンタイムパスワードの認証において認証結果が良好である場合に、前記ロックされた融着接続装置の機能を解除する解除指令を前記融着接続装置に与えるステップと、
前記解除指令に応じて前記ロックされた融着接続装置の機能を一時的に解除するステップと、
を備える、融着接続装置のロック解除方法。
【請求項15】
融着接続装置のロック解除プログラムであって、
第1情報端末から提供された第1認証情報と融着接続装置の使用者から提供された第2認証情報とをサーバにて照合して、前記照合の結果が良好である場合に発行される、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを受信するステップと、
前記第1情報端末が保有する日時と前記サーバが保有する日時との日差若しくは時差を考慮して前記ワンタイムパスワードを認証するステップと、
前記ワンタイムパスワードの認証において認証結果が良好である場合に、前記ロックされた融着接続装置の機能を一時的に解除する解除指令を前記融着接続装置に与えるステップと、
をコンピュータに実行させるロック解除プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、融着接続装置のロック解除システムに関する。
本出願は、2018年12月25日出願の日本出願第2018-241308号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光ファイバ同士を接続するための融着接続装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示は、融着接続装置のロック解除システムを提供する。この融着接続装置のロック解除システムは、光ファイバの融着接続を行う融着接続装置と、第1情報端末と、第1情報端末と通信網を介して通信可能なサーバと、を備える。融着接続装置は、第1情報端末と通信を行う通信部と、ロック処理部と、を有する。
ロック処理部は、所定のロック条件に応じて当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うとともに、通信部を介して第1情報端末から入力した解除指令に応じてロックを解除する。サーバは、融着接続装置の使用者から予め提供された認証情報を格納する格納部と、第1情報端末から提供された認証情報と格納部に格納された認証情報とを照合する照合部と、照合部における照合結果が良好である場合に、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを発行するパスワード発行部と、を有する。第1情報端末は、ワンタイムパスワードを認証するパスワード認証部と、パスワード認証部における認証結果が良好である場合に、解除指令を融着接続装置に与える解除指令付与部と、を有する。パスワード認証部は、当該第1情報端末が保有する日時とサーバが保有する日時との日差若しくは時差を考慮してワンタイムパスワードを認証する。
【0005】
本開示は、別の側面として、上記のロック解除システムに用いる融着接続装置を提供する。本開示は、更に別の側面として、上記のロック解除システムを用いて、機能の少なくとも一部がロックされた融着接続装置の当該ロックを解除するロック解除方法を提供する。本開示は、更に別の側面として、上記のロック解除システムにおいて、融着接続装置のロック解除の各ステップをコンピュータに実行させる解除プログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るロック解除システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すロック解除システムが適用される融着接続装置の外観を示す斜視図であり、風防カバーが閉じた状態を示す。
【
図3】
図3は、融着接続装置の外観を示す斜視図であり、風防カバーを開けた状態を示す。
【
図4】
図4は、
図2及び
図3に示す融着接続装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図2及び
図3に示す融着接続装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すロック解除システムを構成する各情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す各情報端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すロック解除システムを構成するサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、融着接続装置と一の情報端末との間でペアリング処理を行うためのシーケンス図である。
【
図11】
図11は、ロック処理の詳細を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、ペアリングされた情報端末を使用者が紛失等した場合に、当該使用者が融着接続装置のロックを解除するための方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載された融着接続装置は、例えば光ファイバを敷設する現場において使用される。敷設現場では、融着接続装置の使用者は、光ファイバの融着作業以外の作業も行うため、融着接続装置から離れることがあり、この際に融着接続装置が盗難にあってしまうことがある。このような盗難に備え、パスワードによるロック機構といったセキュリティ機能を融着接続装置に設けることが考えられる。しかしながら、パスワードのようなセキュリティ機能では、融着接続装置の盗難そのものを抑止することは難しく、また、パスワードを解除できれば転売されてしまう可能性もあり、盗難の抑止といった観点では更なる改良が望まれる。
【0008】
そこで、融着接続装置の盗難を抑止できる仕組みが検討されている。例えば、スマートフォンといった情報端末を融着接続装置と予めペアリングしておき、情報端末と融着接続装置とが所定距離以上離れた場合に融着接続装置の機能の少なくとも一部をロックして使用不能とすることが考えられる。この方法によれば、盗難に遭った融着接続装置が使用できなくなるので、十分な盗難抑止効果を期待できる。しかしながらこの場合、ペアリングした情報端末を融着接続装置の使用者が紛失等した場合においても融着接続装置がロックされて使用不能となり、融着接続装置による作業を中断せざるを得ない。その場合、工期内に融着接続作業ができなくなる。
【0009】
[本開示の効果]
本開示によれば、ペアリングした情報端末を紛失した場合であっても融着接続装置のロックを解除することができる。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。本開示の一態様に係る融着接続装置のロック解除システムは、光ファイバの融着接続を行う融着接続装置と、第1情報端末と、第1情報端末と通信網を介して通信可能なサーバと、を備える。融着接続装置は、第1情報端末と通信を行う通信部と、ロック処理部と、を有する。ロック処理部は、所定のロック条件に応じて当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うとともに、通信部を介して第1情報端末から入力した解除指令に応じてロックを解除する。サーバは、融着接続装置の使用者から予め提供された認証情報を格納する格納部と、第1情報端末から提供された認証情報と格納部に格納された認証情報とを照合する照合部と、照合部における照合結果が良好である場合に、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを発行するパスワード発行部と、を有する。第1情報端末は、ワンタイムパスワードを認証するパスワード認証部と、パスワード認証部における認証結果が良好である場合に、解除指令を融着接続装置に与える解除指令付与部と、を有する。パスワード認証部は、当該第1情報端末が保有する日時とサーバが保有する日時との日差若しくは時差を考慮してワンタイムパスワードを認証する。
【0011】
このシステムでは、融着接続装置が、所定のロック条件に応じて当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行う。このとき、融着接続装置の使用者は、第1情報端末を通じて、サーバに認証情報を提供することができる。サーバは、認証情報の照合結果が良好である場合に、安全性を考慮し、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを発行する。第1情報端末は、ワンタイムパスワードの認証結果が良好である場合に、解除指令を融着接続装置に与える。これにより、融着接続装置のロックが解除され、使用者は融着接続作業を続けて行うことができる。
【0012】
上記のシステムでは、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを用いている。しかしながら、融着接続装置は世界各地において使用されるものであり、サーバの所在地と融着接続装置及び第1情報端末の所在地とが遠く離れている場合も考えられる。そのような場合、それらの所在地間の日差によって、ワンタイムパスワードが有効に機能しないおそれがある。そこで、上記のシステムでは、第1情報端末が、当該第1情報端末が保有する日時とサーバが保有する日時との日差若しくは時差を考慮してワンタイムパスワードを認証する。これにより、所在地間の日差若しくは時差にかかわらず適切に解除指令を融着接続装置に与えることができ、世界中の何れの場所にいても融着接続装置のロックを確実に解除することができる。なお、ここでいう「日差」とは、タイムゾーンの相違に基づく日付のずれをいう。
【0013】
上記のシステムは、通信網を介してサーバと通信可能であり融着接続装置との間で予めペアリングを行った第2情報端末を更に備えてもよい。第1情報端末は、融着接続装置との間でペアリングを行っておらず、所定のロック条件は、第2情報端末と当該融着接続装置とが所定距離以上離れることであってもよい。このシステムでは、第2情報端末が融着接続装置との間で予めペアリングを行い、第2情報端末と当該融着接続装置とが所定距離以上離れた場合に、当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行う。これにより、盗難に遭った融着接続装置が使用できなくなるので、十分な盗難抑止効果を期待できる。また、ペアリングした第2情報端末を融着接続装置の使用者が紛失した場合、当該使用者は、ペアリングを行っていない第1情報端末を通じてサーバに認証情報を提供し、ワンタイムパスワードを得ることができる。故に、使用者は融着接続作業を続けて行うことができる。
【0014】
上記のシステムにおいて、パスワード認証部は、第1情報端末が保有する日付に対して±1日の日差を有するワンタイムパスワードを許容してもよい。或いは、第1情報端末は、当該第1情報端末が保有する日時とサーバが保有する日時との時差を特定する時差特定部を更に有してもよく、パスワード認証部は、時差特定部により特定された時差を考慮してワンタイムパスワードを認証してもよい。例えばこれらの方式により、第1情報端末及びサーバの保有日時の日差若しくは時差にかかわらず、融着接続装置のロックを確実に解除することができる。
【0015】
本開示の一態様に係る融着接続装置は、上記何れかのロック解除システムに用いられる融着接続装置である。この融着接続装置は、第1情報端末と通信を行う通信部と、ロック処理部と、を有する。ロック処理部は、所定のロック条件に応じて当該融着接続装置の機能の少なくとも一部のロックを行うとともに、通信部を介して第1情報端末から入力した解除指令に応じてロックを解除する。
【0016】
本開示の一態様に係るロック解除方法は、上記何れかの融着接続装置のロック解除システムを用いて、機能の少なくとも一部がロックされた融着接続装置の当該ロックを解除する方法である。
【0017】
本開示の一態様に係るロック解除プログラムは、上記何れかの融着接続装置のロック解除システムにおいて、融着接続装置のロック解除の各ステップをコンピュータに実行させる解除プログラムである。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る融着接続装置のロック解除システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
図1は、一実施形態に係るシステム1Aの構成を概略的に示す図である。このシステム1Aは、融着接続装置10と、少なくとも2つの情報端末20と、サーバ40とを備える。融着接続装置10は、光ファイバの融着接続を行う装置である。情報端末20は、例えばスマートフォンなどの携帯型無線通信端末である。融着接続装置10は、例えば無線接続により情報端末20と通信可能に構成されている。一の情報端末20(第2情報端末)と融着接続装置10との間では、予めペアリング(図中の破線矢印P)が行われている。他の情報端末20(第1情報端末)と融着接続装置10との間では、予めペアリングは行われていない。ペアリングの詳細については後述する。
【0020】
サーバ40は、システム全体を統括する管理サーバであって、各情報端末20と情報通信網50を介して通信可能なコンピュータである。情報通信網50は、例えばインターネットである。サーバ40は地球上の或る地域に所在し、融着接続装置10及び各情報端末20は、サーバ40の所在地域に対して時差を有する別の地域に所在する。
【0021】
図2及び
図3は、融着接続装置10の外観を示す斜視図である。
図2は風防カバーが閉じている状態の外観を示し、
図3は風防カバーが開けられて融着接続装置10の内部構造が見える状態の外観を示す。融着接続装置10は、光ファイバ同士を融着接続するための装置であり、
図2及び
図3に示すように、箱状の筐体2を備えている。この筐体2の上部には、光ファイバ同士を融着するための融着部3と、融着部3で融着された光ファイバの融着接続部に被せられたファイバ補強スリーブを加熱収縮させる加熱器4とが設けられている。融着接続装置10は、筐体2の内部に配置されたカメラ(図示せず)によって撮像された光ファイバ同士の融着接続状況を表示するモニタ5を備えている。さらに、融着接続装置10は、融着部3への風の進入を防止するための風防カバー6を備えている。
【0022】
融着部3は、一対の光ファイバホルダ3aを載置可能なホルダ載置部と、一対のファイバ位置決め部3bと、一対の放電電極3cとを有している。融着対象の光ファイバそれぞれは光ファイバホルダ3aに保持固定され、当該光ファイバホルダはそれぞれホルダ載置部に載置固定される。ファイバ位置決め部3bは、光ファイバホルダ3a同士の間に配置され、光ファイバホルダ3aのそれぞれに保持された光ファイバの先端部を位置決めする。放電電極3cは、ファイバ位置決め部3b同士の間に配置され、アーク放電によって光ファイバの先端同士を融着するための電極である。
【0023】
風防カバー6は、融着部3を開閉自在に覆うように筐体2に連結されている。風防カバー6の側面6aのそれぞれには、融着部3へ(すなわち光ファイバホルダ3aのそれぞれへ)光ファイバを導入するための導入口6bが形成されている。
【0024】
図4は、融着接続装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図5は、融着接続装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、融着接続装置10は、機能的には、通信部11、認証処理部12、表示部13、応答処理部14、判定部15、ロック処理部16、及び放電データ生成部17を備える。融着接続装置10は、
図5に示すように、その制御部として、CPU10a、RAM10b、ROM10c、入力装置10d、無線通信モジュール10e、補助記憶装置10f、及び出力装置10g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素が当該コンピュータの記憶装置に格納されるプログラム等により動作することにより、融着接続装置10の各機能が実現される。また、融着接続装置10は、制御部以外としては、各種の融着接続機構10hを含む。
【0025】
通信部11は、各情報端末20との間で通信を行う部分である。通信部11は、例えば、IEEE802.11(登録商標:Wi-Fi)若しくはIEEE802.15.1(登録商標:Bluetooth)に準拠した無線通信を情報端末20との間で行う。
【0026】
認証処理部12は、通信部11を介して情報端末20との間でペアリング処理等の認証作業を行う部分である。認証処理部12は、情報端末20からペアリング情報を含むメッセージ信号(例えばテキストファイル)として送信され通信部11により受信された信号からペアリング情報を抽出し、例えばペアリング情報となる4桁の数字情報を取得する。認証処理部12は、この取得した4桁の数字情報を表示部13に受け渡し、その数字を所定時間、モニタ等に表示させると共に、情報端末20との間で「ペアリングをする/しない」の選択画面を表示部13により表示させる。認証処理部12は、表示部13から、情報端末20との間で「ペアリングをする」旨の選択情報を受け取った場合には、その旨のメッセージ信号を生成し、通信部11を介して、情報端末20に送信する。また、認証処理部12は、ペアリング処理の際に、情報端末20の個体を識別する識別ID(例えば情報端末20の電話番号又はメールアドレス等)を取得する。
【0027】
表示部13は、例えば上述したモニタ5を含んで構成され、情報端末20との間でのペアリング処理の際に必要となる4桁の数字や情報端末20との間でペアリングをする/しない等の選択画面を、認証処理部12からの指示情報に基づいて表示する。表示部13は、認証処理部12が取得したペアリング情報の4桁の数字に基づいて当該4桁の数字をモニタ5等に表示させると共に、情報端末20との間で「ペアリングをする/しない」の選択画面を表示する。表示部13は、情報端末20との間で「ペアリングをする」が選択された場合には、選択する旨の情報を認証処理部12に受け渡す。
【0028】
応答処理部14は、情報端末20との間でペアリング処理(認証)が完了した後に、情報端末20から所定の周期で送られてくるメッセージ信号(状況確認情報)に対して、所定の応答、例えば1つの受信メッセージに対して1つの送達確認信号の返信を、通信部11を介して、下位のプロトコルレベルにて情報端末20に対して行う。
【0029】
判定部15は、情報端末20との間での無線通信による通信状況に基づいて、ペアリングした情報端末20と融着接続装置10とが所定距離以上離れているか否かを判定する部分である。判定部15は、ペアリング処理後に情報端末20から所定周期で無線送信されてくるメッセージ信号の存在やファイル内のペアリング番号を確認し、メッセージ信号が所定周期毎に送られてきていることが確認できた場合やペアリング番号が合致した場合、受け取ったメッセージ信号を削除する処理を行う。一方、判定部15は、所定周期での確認処理を行った際にメッセージ信号が存在しない(送信がなかった)又はペアリング番号が不一致だった場合には、ペアリングした情報端末20と融着接続装置10とが所定距離以上離れたと判定する。なお、判定部15は、メッセージ信号の非存在又はペアリング番号の不一致が規定回数(例えば3回)連続して発生した場合に、所定距離以上離れたと判定してもよい。これにより、ペアリングした情報端末20と融着接続装置10とが所定距離以上離れたことをより高精度に判定することができる。
【0030】
ロック処理部16は、所定のロック条件に合致した場合に、融着接続装置10の各機能の全部又はその一部をロックし、使用不能とする部分である。より詳細には、ロック処理部16は、当該場合に、融着接続装置10の融着接続機能(アーク放電によるファイバ同士の融着やファイバ補強スリーブの加熱等の融着接続機構10h)の全部又は一部を電子的にロックして、使用不能とさせる。所定のロック条件とは、例えば、ペアリングした情報端末20と融着接続装置10とが所定距離以上離れていると判定部15が判定した場合である。また、ロック処理部16は、ペアリングした情報端末20とは別の、ペアリングしていない情報端末20からの解除指令に基づいて、融着接続装置10の機能のロックを一時的に解除する。一時的な解除期間は、例えば1日から数日である。ロック処理部16は、ロックを一時的に解除した後、上述した所定の期間が経過すると、ロック解除を取り消す処理を行い、再度ロック状態とする。
【0031】
放電データ生成部17は、日々の作業前点検において放電テストを行った際の放電パワーに関する情報(データ)を生成する。この放電パワーに関する情報の生成は、作業前点検を行う毎に行われる。すなわち、作業日1日につき1個の情報が生成される。この情報は、ペアリングされた情報端末20に通信部11を介して提供される。
【0032】
図6は、各情報端末20の機能的な構成を示すブロック図である。
図7は、各情報端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、本実施形態ではペアリングした情報端末20の役割と、ペアリングしていない他の情報端末20の役割とが互いに異なる。しかし、これらの情報端末20は共通のソフトウェアを内蔵しており、
図6に示された情報端末20の各機能は該共通のソフトウェア(コンピュータプログラム)により実現される。
【0033】
図6に示すように、各情報端末20は、通信部21、認証処理部22、表示部23、認証情報入力部24、パスワード認証部25、解除指令付与部26、及び時差特定部27を備える。また、
図7に示すように、情報端末20は、CPU20a、RAM20b、ROM20c、入力装置20d、無線通信モジュール20e、補助記憶装置20f、及び出力装置20g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。情報端末20は、これらの構成要素が当該コンピュータの記憶装置に格納されるプログラム等により動作することによって、
図6に示す各機能を実現する。このプログラムは外部のサーバ装置などから各情報端末20のコンピュータにインストールすることができる。これらのプログラムはCD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの記録媒体に格納された状態で配布されてもよいし、通信ネットワークを介して配布されてもよい。融着接続装置10等に用いられるプログラムも同様であってもよい。
【0034】
通信部21は、例えば、端末に内蔵される無線LANモジュールなどの無線通信モジュール20eから構成され、融着接続装置10との間で無線通信により各種信号の送受信を行う。通信部21は、融着接続装置10の無線規格に対応するように、例えばIEEE802.11若しくはIEEE802.15.1に準拠した通信を行う。融着接続装置10との間で無線通信を行うことができれば、他の帯域や通信規格であってもよい。また、通信部21は、インターネット等の情報通信網50を介して、サーバ40との間で各種信号の送受信を行う。そのために、通信部21は上述した無線LANモジュールを兼用してもよく、或いは各情報端末20が別の通信モジュールを備えてもよい。
【0035】
認証処理部22は、融着接続装置10との間でペアリング処理等の認証作業を行う。一例では、認証処理部22は、ペアリング処理を行うためのペアリング情報である4桁の数字を含むメッセージ信号を、通信部21を介して融着接続装置10に送信する。また、認証処理部22は、融着接続装置10からの、「ペアリングをする」旨の情報が含まれたメッセージ信号を受け取った場合には、融着接続装置10との間でのペアリング処理を完了させる。認証処理部22は、上述したペアリング処理の際に、情報端末20の個体を識別する識別ID(例えば情報端末20の電話番号やメールアドレス等)を、通信部21を介して融着接続装置10に送信する。
【0036】
表示部23は、ペアリング情報である4桁の数字を表示するほか、例えば融着接続装置10の放電データ生成部17から提供された放電パワーに関する情報を表示する。これにより、作業者は、日々の作業前点検における放電パワーを、記録用紙等に記録しておくことができる。
【0037】
ここで、各情報端末20の残りの機能を説明する前に、サーバ40の機能について説明する。
図8は、サーバ40の機能的な構成を示すブロック図である。
図9は、サーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8に示すように、サーバ40は、機能的には、格納部41、照合部42、パスワード発行部43、及び通信部44を備える。サーバ40は、
図9に示すように、その制御部として、CPU40a、RAM40b、ROM40c、通信モジュール40d、及び補助記憶装置40e等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素が当該コンピュータの記憶装置に格納されているプログラム等により動作することにより、サーバ40の各機能が実現される。
【0038】
格納部41は、融着接続装置10の使用者から予め提供される認証情報を格納する部分である。認証情報としては、例えば、使用者のクレジットカード番号や、他人が使用者に無断で知得することが難しい各種情報(出身地等)などが挙げられる。或いは、認証情報は、融着接続装置10が過去に行った融着接続作業に関する情報、例えば日々の放電パワーに関する情報であってもよい。これらの認証情報は、例えばペアリングされた情報端末20からサーバ40に予め(若しくは日毎に)提供される。
【0039】
例えば融着接続装置10の使用者がペアリングされた情報端末20を紛失した場合、当該使用者は、別の(ペアリングされていない)情報端末20を使ってサーバ40に認証情報を送信する。照合部42は、ペアリングされていない別の情報端末20から提供された認証情報と、格納部41に格納された認証情報とを照合する。そして、照合部42は、これらの認証情報が互いに一致した(若しくは認証条件に合致した)場合に、照合結果が良好であると判断する。
【0040】
パスワード発行部43は、照合部における照合結果が良好である場合に、ワンタイムパスワードを発行する。このワンタイムパスワードは、少なくとも日付をアルゴリズムに含むものであり、本来的には、その日に限り有効なものである。一例では、日付に加えて時刻情報をアルゴリズムに含んでもよい。ワンタイムパスワードは、例えば複数桁の数字、文字、記号等からなる情報である。また、一例では、日付に加えて融着接続装置10の識別情報(シリアル番号等)をアルゴリズムに含んでもよい。
【0041】
通信部44は、インターネット等の情報通信網50を介して各情報端末20との間で通信を行う部分である。通信部44は、情報通信網50を介して、融着接続装置10の使用者から提供される認証情報を受信する。また、通信部44は、パスワード発行部43により発行されたワンタイムパスワードを、情報通信網50を介して、ペアリングされていない情報端末20に送信する。
【0042】
再び
図6を参照して、各情報端末20の残りの機能を説明する。認証情報入力部24は、ペアリングされた情報端末20を融着接続装置10の使用者が紛失した場合に、当該使用者から、サーバ40に送信するための認証情報の入力を受け付ける部分である。認証情報入力部24は、例えば、
図7に示された入力装置20dによって実現される。
【0043】
パスワード認証部25は、ワンタイムパスワードを認証するための部分である。パスワード認証部25は、作業者により入力されたワンタイムパスワードが正当なものであるか否かを判断する。パスワード認証部25は、情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との日差若しくは時差を考慮して、ワンタイムパスワードを認証する。「日差若しくは時差を考慮して」とは、情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時とが異なる場合であっても、それが情報端末20とサーバ40との所在地域の相違に起因するものであれば、日付若しくは時間に係るワンタイムパスワードの不整合を無視して当該ワンタイムパスワードを認証することを意味する。
【0044】
一例として、パスワード認証部25は、情報端末20が保有する日付に対して±1日の日差を有するワンタイムパスワードを許容してもよい。具体的には、パスワード認証部25は、情報端末20が保有する日付に対応する1つのワンタイムパスワードと、情報端末20が保有する日付に対して+1日及び-1日の日差をそれぞれ有する2つのワンタイムパスワードとを用意し、これら3つのワンタイムパスワードの何れか一つと、入力されたワンタイムパスワードとが互いに合致した場合に、当該ワンタイムパスワードが正当なものであると認証する。地球上のあらゆる地域において、日差は最大で1日である。従って、このような方式によれば、情報端末20とサーバ40との所在地域の相違に起因する日差を考慮して、ワンタイムパスワードを認証することができる。
【0045】
また、別の例として、パスワード認証部25は、情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との時差を考慮して、ワンタイムパスワードを認証してもよい。具体的には、パスワード認証部25は、情報端末20が保有する日時から上記の時差を差し引いた日時に対応するワンタイムパスワードを用意し、このワンタイムパスワードと、使用者により入力されたワンタイムパスワードとが互いに合致した場合に、当該ワンタイムパスワードが正当なものであると認証する。なお、情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との時差は、後述する時差特定部27により特定され得る。
【0046】
解除指令付与部26は、融着接続装置10の機能の少なくとも一部がロックされた場合に、ペアリングされていない情報端末20からそのロックを解除するための部分である。解除指令付与部26は、パスワード認証部25における認証結果が良好である場合に、解除指令信号を生成し、通信部21を介してその解除指令信号を融着接続装置10に送信する。融着接続装置10側では、解除指令信号を受信するとロック処理を解除する。これにより、融着接続装置10のロックを情報端末20側から解除することができる。
【0047】
時差特定部27は、融着接続装置10の位置情報を取得し、当該情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との時差を特定する。時差特定部27は、例えば全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)等を含んで構成され、GPS等による位置情報を取得する。なお、時差特定部27は、融着接続装置10の位置情報を常時或いは定期的に取得してもよい。また、時差特定部27は、予めサーバ40の所在地域(タイムゾーン)に関する情報を記憶している。特定された時差情報は、パスワード認証部25におけるワンタイムパスワードの判断に利用される。
【0048】
次に、ペアリングの詳細について、
図10を参照して説明する。
図10は、本実施形態のシステム1Aにおいて、融着接続装置10と一の情報端末20との間でペアリング処理を行うためのシーケンス図である。
【0049】
図10に示すように、まず一の情報端末20において、ペアリングのためのアプリケーションが使用者により起動される(ステップS1)。情報端末20では、このアプリケーションが起動されると、ペアリング用の画面が表示され、その画面にペアリング用の4桁の数字が表示部23により所定時間(例えばペアリング待機時間として10秒)表示される(ステップS2)。情報端末20は、ステップS2の画面表示と略同時に、相互認証するためのペアリング情報を含むメッセージ信号(例えばTXTファイル)の融着接続装置10へのアップロード(送信)を通信部21により行う(ステップS3)。このメッセージ信号はテキストファイルに限られるものではない。
【0050】
続いて、ペアリング情報を含むメッセージ信号を通信部11により受け取った融着接続装置10側では、メッセージ信号に含まれるペアリングのための4桁の数値情報を認証処理部12が抽出し、モニタ等に4桁の数字を表示する。また、融着接続装置10は、情報端末20との間でペアリングする/しない等の選択画面を認証処理部12によりモニタに表示させる(ステップS4)。そして、融着接続装置10の使用者(情報端末20の使用者と同じ)がペアリングする/しないの何れかの選択項目を選択する(ステップS5)。融着接続装置10は、ペアリングをする旨の選択を認証処理部12により受け付けた場合には、ペアリングをする旨のメッセージ信号(ペアリング選択結果情報)を生成して、通信部11を介して情報端末20へ送信する(ステップS6)。融着接続装置10は、ペアリングしない旨の選択を受け付けた場合には、認証処理部12により処理を終了する(ステップS7)。
【0051】
続いて、ペアリングする旨の情報(ペアリング選択結果情報)を受け取った情報端末20は、ペアリング期間の設定を行う。情報端末20は、例えば、表示部23により、ペアリング期間(10分間、1時間、1日、30日など)を選択画面としてディスプレイに表示し、作業者が選択した希望期間を設定する(ステップS8)。また、情報端末20は、かかる希望期間に関する情報(ペアリング設定情報)をペアリングされた融着接続装置10へ送信する(ステップS9)。情報端末20は、融着接続装置10より受け取ったシリアル番号等の情報を、サーバ40に送信してもよい(ステップS10)。以上の処理により、ペアリングが開始される(ステップS11)。
【0052】
次に、融着接続装置10における融着接続機構のロック処理について説明する。
図11は、ロック処理の詳細を示すシーケンス図である。まず、情報端末20では、所定の検知間隔が経過すると(ステップS21)、融着接続装置10が近くに存在しているか否かのメッセージ信号(状況確認情報、例えばTXTファイル)を融着接続装置10へ送信する(ステップS22)。この信号には、ペアリング番号を含むペアリング情報が含まれている。このメッセージ信号はテキストファイルに限られるものではない。
【0053】
続いて、これを受け取った融着接続装置10では、かかる信号からペアリング番号を抽出し、ロック処理部16がファイル内のペアリング番号を確認する(ステップS23)。そして、ロック処理部16は、ペアリング番号が予め自機に記憶されている番号と一致する場合には、受信したメッセージ信号(状況確認情報)を削除する(ステップS24)。ステップS24でペアリング番号が一致しない場合には、ステップS23に戻る。融着接続装置10では、この確認作業を予め定められた所定の周期で行い、ペアリング番号の不一致、若しくは、情報端末20からのメッセージ信号の未受信(非確認)が所定回数連続しているかどうかを確認する(ステップS25)。
【0054】
続いて、融着接続装置10では、判定部15が、ステップS25での判定で、ペアリング番号の不一致、若しくは、情報端末20からのメッセージ信号の未受信(非確認)が所定回数連続していると判断した場合には、融着接続装置10が当該情報端末20から所定距離以上離れている状態にあると判断し、ステップS26に進む。そして、ロック処理部16は、融着接続装置10の融着機能をロックする(ステップS26)。これにより、融着接続装置10が盗難等された場合に、その使用を不能にすることができる。
【0055】
ところで、上記のシーケンスでは、融着接続装置10が盗難された場合に限らず、ペアリングされた情報端末20を使用者が紛失した場合においても、ロック処理部16により融着接続装置10の融着機能がロックされてしまう。そこで、本実施形態のシステム1Aでは、ペアリングされていない別の情報端末20を使用して、一時的なロックの解除ができるようになっている。
【0056】
図12は、ペアリングされた情報端末20を使用者が紛失等した場合に、当該使用者が融着接続装置10のロックを解除するための方法を示すシーケンス図である。まず、準備として、ペアリング若しくはペアリング期間中に、ペアリングされた情報端末20から認証情報がサーバ40に送信される(ステップS31)。或いは、認証情報はペアリングされた情報端末20とは別の情報端末からサーバ40に送信されてもよい。前述したように、認証情報は、例えば使用者のクレジットカード番号や、他人が使用者に無断で知得することが難しい各種情報(出身地等)である。或いは、認証情報は、融着接続装置10が過去に行った融着接続作業に関する情報、例えば日々の放電パワーに関する情報である。サーバ40に送信された認証情報は、サーバ40の格納部41において保存される。
【0057】
続いて、ペアリングされた情報端末20を使用者が紛失した場合、使用者は、ペアリングされていない別の情報端末20を通じてワンタイムパスワードの発行要求をサーバ40に対して行う(ステップS32)。サーバ40は、この発行要求を受けると、認証情報の入力を、情報端末20を通じて使用者に要求する(ステップS33)。認証情報の入力要求は、例えば情報端末20の表示部23に表示される。使用者は、この表示を確認すると、認証情報入力部24を通じて認証情報を情報端末20に入力する(ステップS34)。使用者は、これらの認証情報を、例えば入力装置20dを介して情報端末20に入力する。なお、認証情報が過去に行った融着接続作業に関する情報である場合、例えば過去数日間(一例では3日間)の情報を入力することとしてもよい。
【0058】
続いて、情報端末20は、使用者による操作に基づき、通信部21を介して認証情報をサーバ40に送信する(ステップS35)。サーバ40は、受信した認証情報と、格納部41に保存された認証情報とを照合する(ステップS36)。そして、照合結果が良好である場合、パスワード発行部43が、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを発行する(ステップS37)。このワンタイムパスワードは、通信部44を介して情報端末20に送信される。
【0059】
続いて、情報端末20が出力装置20gを通じてワンタイムパスワードを使用者に提示する。そして、使用者は、提示されたワンタイムパスワードを、情報端末20の入力装置20dを通じて、アプリケーションに入力する。情報端末20は、パスワード認証部25において、入力されたワンタイムパスワードの認証処理を行う(ステップS38)。パスワード認証部25は、サーバ40から送信されるワンタイムパスワードが正当なものであるか否かを判断する。このとき、パスワード認証部25は、前述したように、情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との日差若しくは時差を考慮して、ワンタイムパスワードを認証する。
【0060】
パスワード認証部25による認証結果が良好である場合、情報端末20は、解除指令付与部26において解除指令信号を生成し、通信部21を通じて解除指令信号を融着接続装置10に送信する(ステップS39)。融着接続装置10のロック処理部16は、解除指令信号を受けて融着接続機能のロックを一時的に解除する(ステップS40)。これにより、使用者は融着接続作業を続けて行うことができる。
【0061】
以上に説明した本実施形態のシステム1Aによって得られる効果について説明する。このシステム1Aでは、少なくとも日付をアルゴリズムに含むワンタイムパスワードを用いている。これにより、パスワードの安全性を高め、融着接続機能のロックが不正に解除される事態を低減できる。しかしながら、融着接続装置10は世界各地において使用されるものであり、サーバ40の所在地のタイムゾーンと融着接続装置10及び情報端末20の所在地のタイムゾーンとが互いに異なる場合も考えられる。そのような場合、それらの所在地間の日差によって、ワンタイムパスワードが有効に機能しないおそれがある。そこで、本実施形態のシステム1Aでは、情報端末20が、当該情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との日差若しくは時差を考慮してワンタイムパスワードを認証する。これにより、所在地間の日差若しくは時差にかかわらず適切に解除指令を融着接続装置10に与えることができ、世界中の何れの場所にいても融着接続装置10のロックを確実に解除することができる。
【0062】
また、本実施形態のように、所定のロック条件は、ペアリングされている情報端末20と融着接続装置10とが所定距離以上離れることであってもよい。これにより、盗難に遭った融着接続装置10が使用できなくなるので、十分な盗難抑止効果を期待できる。また、ペアリングした情報端末20を融着接続装置10の使用者が紛失した場合、当該使用者は、ペアリングを行っていない情報端末20を通じてサーバ40に認証情報を提供し、ワンタイムパスワードを得ることができる。故に、使用者は融着接続作業を続けて行うことができる。
【0063】
また、本実施形態のように、パスワード認証部25は、情報端末20が保有する日時に対して±1日の日差を有するワンタイムパスワードを許容してもよい。或いは、情報端末20は、当該情報端末20が保有する日時とサーバ40が保有する日時との時差を特定する時差特定部27を更に有し、パスワード認証部25は、時差特定部27により特定された時差を考慮してワンタイムパスワードを認証してもよい。例えばこれらの方式により、ペアリングされていない情報端末20及びサーバ40の保有日時の日差若しくは時差にかかわらず、融着接続装置10のロックを確実に解除することができる。
【0064】
以上、本実施形態に係るロック解除システムについて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1A…システム、2…筐体、3…融着部、3a…光ファイバホルダ、3b…ファイバ位置決め部、3c…放電電極、4…加熱器、5…モニタ、6…風防カバー、6a…側面、6b…導入口、10…融着接続装置、11…通信部、12…認証処理部、13…表示部、14…応答処理部、15…判定部、16…ロック処理部、17…放電データ生成部、20…情報端末、21…通信部、22…認証処理部、23…表示部、24…認証情報入力部、25…パスワード認証部、26…解除指令付与部、27…時差特定部、40…サーバ、41…格納部、42…照合部、43…パスワード発行部、44…通信部、50…情報通信網。