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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
C11D3/37
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019086109
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020180264
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】安齋 亮介
(72)【発明者】
【氏名】米川 怜史
(72)【発明者】
【氏名】野口 博章
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/001761(WO,A1)
【文献】特表平06-511266(JP,A)
【文献】特開2001-107095(JP,A)
【文献】国際公開第2018/026626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、界面活性剤と、増粘剤とを含む洗浄剤組成物であって、
下記に示す洗浄剤組成物の粘度測定試験において、
測定温度5℃における、前記洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sとなり、
測定温度5℃における、前記洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sとなり、
下記に示す洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、
測定温度5℃における、前記洗浄剤組成物の降伏値が1Pa以下であり、
前記増粘剤は、キサンタンガムであり、下記に示す増粘剤の粘度測定試験において、
回転数が1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであり、
回転数が10rpmのときの粘度が35~70mPa・sであり、
回転数が20rpmのときの粘度が25~50mPa・sであり、
回転数が100rpmのときの粘度が10~25mPa・sであり、
増粘剤の粘度測定試験において得られた、前記増粘剤の回転数が1rpmのときの粘度と、回転数が100rpmのときの粘度との比が、(回転数が100rpmのときの粘度(mPa・s))/(回転数が1rpmのときの粘度(mPa・s))=0.06~0.10となり、
前記増粘剤の含有量は、0.1~2.0質量%であり、
pHが6以上であり、
泡噴射器用であることを特徴とする洗浄剤組成物。
洗浄剤組成物の粘度測定試験:
E型粘度計により、回転数1rpm及び100rpmの条件で洗浄剤組成物の粘度の測定を開始し、
各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該洗浄剤組成物の粘度を、それぞれ、洗浄剤組成物の粘度測定試験における、回転数が1rpmのときの粘度及び回転数が100rpmのときの粘度とする。
洗浄剤組成物のせん断応力測定試験:
E型粘度計により、せん断速度3.83s-1、38.3s-1、76.6s-1及び383s-1の条件で洗浄剤組成物のせん断応力の測定を開始し、
測定開始から1分後に測定された洗浄剤組成物のせん断応力を各せん断速度におけるせん断応力とし、
x軸をせん断速度(s-1)の常用対数軸とし、y軸をせん断応力(Pa)の常用対数軸としたグラフに、測定されたせん断応力の値をプロットし、最小二乗法により近似直線を算出し、得られた近似直線のy軸の切片の値を降伏値とする。
増粘剤の粘度測定試験:
増粘剤の濃度が0.3質量%となるように増粘剤を水に溶解させ試験溶液を作製し、E型粘度計により測定温度20℃、回転数1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmの条件で当該試験溶液の粘度の測定を開始し、各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該試験溶液の粘度を、それぞれ、増粘剤の粘度測定試験における、回転数が1rpmのときの粘度、回転数が10rpmのときの粘度、回転数が20rpmのときの粘度、回転数が100rpmのときの粘度とする。
【請求項2】
上記の洗浄剤組成物の粘度測定試験において、
測定温度20℃における、前記洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sとなり、
測定温度20℃における、前記洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度が12~30mPa・sとなり、
上記の洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、
測定温度20℃における、前記洗浄剤組成物の降伏値は1Pa以下である請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
上記の洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、
測定温度5℃における、前記洗浄剤組成物の降伏値が0.1Pa以上である請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
偽塑性流体である請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記増粘剤は、y軸を粘度(mPa・s)の軸とし、x軸を回転数(rpm)の軸としたグラフにおいて、上記の増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度をプロットした際に、上記増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度が、下記式(1)~(3)を満たす範囲に含まれる請求項1~4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
y=bx・・・(1)
-0.60≦a・・・(2)
100≦b≦500・・・(3)
【請求項6】
前記増粘剤は、y軸を粘度(mPa・s)の常用対数軸とし、x軸を回転数(rpm)の常用対数軸としたグラフにおいて、上記の増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度をプロットし、最小二乗法により近似直線を求めた際に、前記近似直線の傾きが、-0.60以上となる請求項1~5のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤の含有量は、0.1~20.0質量%である請求項1~のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
さらに、アルカリ剤を含む請求項1~のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
前記アルカリ剤の含有量は、0.1~20.0質量%である請求項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店、ホテル等の厨房・浴室スーパーマーケット、食品工場における食品製造・加工・調理装置等の洗浄には、洗浄剤組成物が使用される。洗浄剤組成物には、汚れに浸透して乳化・分散させて汚れを除去する界面活性剤、化学反応によって汚れを分解するアルカリ剤等が用いられる。
【0003】
洗浄対象面に対して汚れが強固に付着している場合、洗浄剤組成物を汚れに対して長時間接触させることで洗浄対象面から汚れを剥離させやすくなる。
ここで、洗浄対象面が垂直面や傾斜面のような液体が流れ落ちやすい面である場合、液体の洗浄剤組成物を洗浄対象面に付着させても流れ落ちてしまうため、洗浄剤組成物と汚れとの接触時間が短くなってしまう。
このような場合には、洗浄剤組成物の粘度を高くすることによって洗浄剤組成物が洗浄対象面から流れ落ちにくいようにして、洗浄剤組成物と汚れとの接触時間を長くすることが望ましい。
しかし、洗浄対象面に対して、スプレー等で洗浄剤組成物を付着させる場合、粘度が高くなることによって、きれいな泡を形成しない、スプレーガンに洗浄剤組成物が詰まるといった問題が起こる可能性がある。
【0004】
特許文献1には、酸性多糖類を含有する水性溶液の高温における粘度低下を抑制するために、天然酸性多糖類を添加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-70503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄剤組成物を洗浄対象面に長時間接触させる方法としては、洗浄剤組成物を泡状にして洗浄対象面に噴射・付着させる方法も考えられる。
しかし、洗浄剤組成物を泡状にして噴射・付着させる場合、付着した泡の流れ落ち等が生じると、洗浄剤組成物が、洗浄対象面以外にも付着してしまい、安全面の問題が生じる。また、付着した泡が流れ落ちると、単位面積当たりの汚れに対する洗浄剤組成物の有効成分が減り、洗浄力の低下が生じる。
このような観点から特許文献1に記載の洗浄剤組成物の噴射性及び定着性は充分とは言えなかった。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、泡状に噴射しやすく、泡状にした際に付着した泡の流れ落ちが生じにくい、洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、洗浄剤組成物の粘度及び降伏値を所定の範囲にすると、洗浄剤組成物を泡状にした際に、泡状に噴射しやすく、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなることを見出し本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、水と、界面活性剤と、増粘剤とを含む洗浄剤組成物であって、下記に示す洗浄剤組成物の粘度測定試験において、測定温度5℃における、上記洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sとなり、測定温度5℃における、上記洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sとなり、下記に示す洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、測定温度5℃における、上記洗浄剤組成物の降伏値が1Pa以下であることを特徴とする。
洗浄剤組成物の粘度測定試験:
E型粘度計により、回転数1rpm及び100rpmの条件で洗浄剤組成物の粘度の測定を開始し、各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該洗浄剤組成物の粘度を、それぞれ、洗浄剤組成物の粘度測定試験における、回転数が1rpmのときの粘度及び回転数が100rpmのときの粘度とする。
洗浄剤組成物のせん断応力測定試験:
E型粘度計により、せん断速度3.83s-1、38.3s-1、76.6s-1及び383s-1の条件で洗浄剤組成物のせん断応力の測定を開始し、測定開始から1分後に測定された洗浄剤組成物のせん断応力を各せん断速度におけるせん断応力とし、x軸をせん断速度(s-1)の常用対数軸とし、y軸をせん断応力(Pa)の常用対数軸としたグラフに、測定されたせん断応力の値をプロットし、最小二乗法により近似直線を算出し、得られた近似直線のy軸の切片の値を降伏値とする。
【0010】
本発明の洗浄剤組成物が、回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであり、回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sとなるという特徴を有することは、本発明の洗浄剤組成物に加えるせん断応力が小さい場合には粘度が高いが、加えるせん断応力が大きい場合には、粘度が低いことを意味する。
また、本発明の洗浄剤組成物の降伏値が1Pa以下であるという特徴を有することは、洗浄剤組成物の粘度が低下するのに必要なせん断応力が、ある程度小さいことを意味する。
【0011】
後述するように本発明の洗浄剤組成物は、泡状にして使用されることになる。
本発明の洗浄剤組成物では、測定温度5℃における、回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであるが、これはせん断応力が加わっていないときの粘度が高いことを意味する。
本発明の洗浄剤組成物は、このような特徴を有するので、泡状にして噴射された後、洗浄対象面への定着性が良好になり、付着した泡の流れ落ちが生じにくい。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物では、測定温度5℃における、回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sであるが、これはせん断応力が加わったときの粘度が低いことを意味する。
また、本発明の洗浄剤組成物では、測定温度5℃における、降伏値が1Pa以下であるが、これは粘度が低下するのに必要なせん断応力が低いことを意味する。
本発明の洗浄剤組成物は、このような特徴を有するので、泡状にして噴射する際、洗浄剤組成物が詰まりにくくスムーズに噴射することができ、泡がきめ細かくなる。
【0013】
すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、5℃において、泡状にして噴射しやすく、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなる。
一般に、液体の粘度は低温になるほど増加する。常温でスプレー性に問題がなくても、低温時に増粘することにより、寒冷期などで、スプレー詰まりが発生することがある。よって、5℃のスプレー性は重要である。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物は、上記の洗浄剤組成物の粘度測定試験において、測定温度20℃における、上記洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sとなり、測定温度20℃における、上記洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度が12~30mPa・sとなり、上記の洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、測定温度20℃における、上記洗浄剤組成物の降伏値は1Pa以下であることが望ましい。
本発明の洗浄剤組成物がこのような特徴を有すると、20℃においても、泡状に噴射しやすく、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなる。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、測定温度5℃における、上記洗浄剤組成物の降伏値が0.1Pa以上であることが望ましい。
測定温度5℃における、降伏値が0.1Pa未満であると、壁面への定着性が低下しやすくなる。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、偽塑性流体であることが望ましい。
本発明の洗浄剤組成物が偽塑性流体である場合、本発明の洗浄剤組成物は、せん断応力を受け続けると粘度が次第に低下し、その後、静止すると粘度が次第に上昇するという性質を有することになる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物では、上記増粘剤は、
下記に示す増粘剤の粘度測定試験において、
回転数が1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであり、
回転数が10rpmのときの粘度が35~70mPa・sであり、
回転数が20rpmのときの粘度が25~50mPa・sであり、
回転数が100rpmのときの粘度が10~25mPa・sであり、
増粘剤の粘度測定試験において得られた、上記増粘剤の回転数が1rpmのときの粘度と、回転数が100rpmのときの粘度との比が、(回転数が100rpmのときの粘度(mPa・s))/(回転数が1rpmのときの粘度(mPa・s))=0.06~0.10となることが望ましい。
増粘剤の粘度測定試験:
増粘剤の濃度が0.3質量%となるように増粘剤を水に溶解させ試験溶液を作製し、E型粘度計により測定温度20℃、回転数1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmの条件で当該試験溶液の粘度の測定を開始し、各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該試験溶液の粘度を、それぞれ、増粘剤の粘度測定試験における、回転数が1rpmのときの粘度、回転数が10rpmのときの粘度、回転数が20rpmのときの粘度、回転数が100rpmのときの粘度とする。
本発明の洗浄剤組成物において、増粘剤が上記性質を有すると、泡状にした際に、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなる。
特に、液温が5~20℃においてスプレー性が良好になる。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物では、上記増粘剤は、y軸を粘度(mPa・s)の軸とし、x軸を回転数(rpm)の軸としたグラフにおいて、上記の増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度をプロットした際に、上記の増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度が、下記式(1)~(3)を満たす範囲に含まれることが望ましい。
y=bx・・・(1)
-0.60≦a・・・(2)
100≦b≦500・・・(3)
【0019】
また、本発明の洗浄剤組成物では、上記増粘剤は、y軸を粘度(mPa・s)の常用対数軸とし、x軸を回転数(rpm)の常用対数軸としたグラフにおいて、上記の増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度をプロットし、最小二乗法により近似直線を求めた際に、上記近似直線の傾きが、-0.60以上となることが望ましい。
【0020】
増粘剤が上記範囲の性質を有する場合、本発明の洗浄剤組成物を泡状にして噴射する際に、応力がかかることで、洗浄剤組成物の粘度がより適度に低下し、泡状にしやすくなる。
また、本発明の洗浄剤組成物が洗浄対象面に付着した後、洗浄剤組成物の粘度がより適度に上昇し、付着した泡の流れ落ちが生じにくくなる。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物では、上記増粘剤は、キサンタンガム、ゲランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン及びカラギーナンからなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
これらの化合物は、本発明の洗浄剤組成物における増粘剤として適している。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物では、上記界面活性剤の含有量は、0.1~20.0質量%であることが望ましい。
界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、界面活性剤の量が少ないので充分な洗浄効果が得られにくくなる。
界面活性剤の含有量が20.0質量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなる。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物では、上記増粘剤の含有量は、0.1~2.0質量%であることが望ましい。
増粘剤の含有量が0.1質量%未満であると、粘度が低くなりすぎて、垂直面や傾斜面のような洗浄面に洗浄剤組成物が定着しにくくなり、流れ落ちやすくなる。
増粘剤の含有量が2.0質量%を超えると、粘度が高くなりすぎて、泡状にして噴射する際に、泡噴射器が詰まりやすくなる。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、アルカリ剤を含むことが望ましい。
本発明の洗浄剤組成物がアルカリ剤を含むことにより、油汚れに対する洗浄力が向上する。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物では、上記アルカリ剤の含有量は、0.1~20.0質量%であることが望ましい。
アルカリ剤の含有量が0.1質量%未満であると、アルカリ剤の量が少ないので充分な洗浄効果が得られにくくなる。
アルカリ剤の含有量が20.0質量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなる。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は、pHが6以上であることが望ましい。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物は、泡噴射器用であることが望ましい。
泡噴射器を用いることにより、本発明の洗浄剤組成物を泡状にして洗浄対象面に噴射・付着させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、粘度及び降伏値が上記の所定の範囲内である。
そのため、5℃において、本発明の洗浄剤組成物を泡状にして、洗浄対象面に噴射・付着させた際に、泡状に噴射しやすく、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、実施例1及び比較例1に係る洗浄剤組成物を用い、測定温度を5℃として洗浄剤組成物のせん断応力測定試験を行い、x軸をせん断速度(s-1)の常用対数軸とし、y軸をせん断応力(Pa)の常用対数軸としたグラフに、測定されたせん断応力の値をプロットし、最小二乗法により算出した近似直線を示すグラフである。
図2図2は、実施例1、比較例2、比較例9に係る洗浄剤組成物を用いたスプレー試験の泡定着性の評価の写真である。
図3図3は、実施例1及び比較例2に係る洗浄剤組成物を用いたスプレー試験における泡質の評価に係る写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の洗浄剤組成物について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物は、水と、界面活性剤と、増粘剤とを含む洗浄剤組成物であり、所定の粘度及び降伏値を有する。
まず、洗浄剤組成物の粘度及び降伏値について以下に説明する。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物は、下記に示す洗浄剤組成物の粘度測定試験において、測定温度5℃における、洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sである。測定温度5℃における、洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度は、150~450mPa・sとなることが望ましく、200~400mPa・sとなることがより望ましい。
【0033】
また、本発明の洗浄剤組成物は、下記に示す洗浄剤組成物の粘度測定試験において、測定温度5℃における、洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sである。測定温度5℃における、洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度は、20~30mPa・sとなることが望ましく、22~29mPa・sとなることがより望ましい。
【0034】
<洗浄剤組成物の粘度測定試験>
以下に、「洗浄剤組成物の粘度測定試験」について説明する。
まず、測定対象物となる洗浄剤組成物を、E型粘度計により、回転数1rpm及び100rpmの条件で粘度の測定を開始する。
各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該洗浄剤組成物の粘度を、それぞれ、洗浄剤組成物の粘度測定試験における、回転数が1rpmのときの粘度及び回転数が100rpmのときの粘度とする。
E型粘度計としては、例えば、東機産業株式会社製、型番:TVE-25Eを使用することができる。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物において、回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであり、回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sとなるという特徴を有することは、本発明の洗浄剤組成物に加えるせん断応力が小さい場合には粘度が高いが、加えるせん断応力が大きい場合には、粘度が低いことを意味する。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物は、泡状にして使用されることになる。
本発明の洗浄剤組成物では、測定温度5℃における、回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであるが、これはせん断応力が加わっていないときの粘度が高いことを意味する。
本発明の洗浄剤組成物は、このような特徴を有するので、泡状にして噴射された後、洗浄対象面への定着性が良好になり、付着した泡の流れ落ちが生じにくい。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物では、測定温度5℃における、回転数100rpmのときの粘度が15~30mPa・sであるが、これはせん断応力が加わったときの粘度が低いことを意味する。
そのため、本発明の洗浄剤組成物を、泡状にして噴射する際、スムーズに噴射することができ、泡がきめ細かくなる。
【0038】
なお、測定温度5℃における、回転数1rpmのときの粘度が500mPa・sを超えると、洗浄対象面に付着後の洗浄剤組成物の粘度が高くなるので、拭き取りにくくなる。また、泡噴射器で洗浄剤組成物を噴射することが困難になり、洗浄対象面まで洗浄剤が届きにくくなる。
測定温度5℃における、回転数100rpmのときの粘度が15mPa・s未満であると、壁面への付着性が低下しやすくなる。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物は、上記の洗浄剤組成物の粘度測定試験において、測定温度20℃における、洗浄剤組成物の回転数1rpmのときの粘度が100~500mPa・sであることが望ましく、150~450mPa・sとなることがより望ましく、200~400mPa・sとなることがさらに望ましい。
【0040】
また、本発明の洗浄剤組成物は、上記の洗浄剤組成物の粘度測定試験において、測定温度20℃における、洗浄剤組成物の回転数100rpmのときの粘度が12~30mPa・sであることが望ましく、18~28mPa・sとなることがより望ましく、18~25mPa・sとなることがさらに望ましい。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物がこのような特徴を有すると、20℃においても、泡状に噴射しやすく、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなる。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物は、下記に示す洗浄剤組成物のせん断応力測定試験において、測定温度5℃における、洗浄剤組成物の降伏値が1Pa以下である。
測定温度5℃における、洗浄剤組成物の降伏値は、0.1~1Paであることが望ましく、0.2~1Paであることがより望ましく、0.3~0.9Paであることがさらに望ましい。
<洗浄剤組成物の粘度測定試験>
以下に、「洗浄剤組成物のせん断応力測定試験」について説明する。
まず、E型粘度計により、せん断速度3.83s-1、38.3s-1、76.6s-1及び383s-1の条件で洗浄剤組成物のせん断応力の測定を開始しする。
測定開始から1分後に測定された洗浄剤組成物のせん断応力を各せん断速度におけるせん断応力とする。
次に、x軸をせん断速度(s-1)の常用対数軸とし、y軸をせん断応力(Pa)の常用対数軸としたグラフに、測定されたせん断応力の値をプロットし、最小二乗法により近似直線を算出し、得られた近似直線のy軸の切片の値を降伏値とする。
E型粘度計としては、例えば、東機産業株式会社製、型番:TVE-25Eを使用することができる。
せん断速度は、E型粘度計に用いるコーンロータの固有係数と回転数との積により設定することができる。
例えば、東機産業株式会社製のコーンロータ(型番:1°34´×R24)は、固有係数が3.83なので、せん断速度を3.83s-1、38.3s-1、76.6s-1及び383s-1とする場合には、回転数を1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmとすればよい。
【0043】
また、本発明の洗浄剤組成物では、測定温度5℃における、降伏値が1Pa以下であるが、これは粘度が低下するのに必要なせん断応力が低いことを意味する。
そのため、本発明の洗浄剤組成物を、泡状にして噴射する際、スムーズに噴射することができ、泡がきめ細かくなる。
【0044】
測定温度5℃における、降伏値が0.1Pa未満であると、壁面への付着性が低下しやすくなる。
【0045】
また、本発明の洗浄剤組成物は、測定温度20℃における、洗浄剤組成物の降伏値が1Pa以下であることが望ましく、0.15~1Paであることがより望ましく、0.18~0.9Paであることがさらに望ましい。
【0046】
本発明の洗浄剤組成物がこのような特徴を有すると、20℃においても、泡状に噴射しやすく、泡がきめ細かくなる。
【0047】
本発明の洗浄剤組成物は、偽塑性流体であることが望ましい。
本発明の洗浄剤組成物が偽塑性流体である場合、本発明の洗浄剤組成物は、せん断応力を受け続けると粘度が次第に低下し、その後、静止すると粘度が次第に上昇するという性質を有することになる。
【0048】
次に、本発明の洗浄剤組成物の各組成について以下に説明する。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩(AES)、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホメチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミノスルホベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキル型四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0049】
本発明の洗浄剤組成物では、界面活性剤の含有量は、0.1~20.0質量%であることが望ましく、1.5~10.0質量%であることがより望ましい。
界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、界面活性剤の量が少ないので充分な洗浄効果が得られにくくなる。
界面活性剤の含有量が20.0質量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなる。
【0050】
(増粘剤)
本発明の洗浄剤組成物の増粘剤は、下記に示す増粘剤の粘度測定試験において以下の性質を示すことが望ましい。
回転数が1rpmのときの粘度が100~500mPa・sである。
回転数が10rpmのときの粘度が35~70mPa・sである。
回転数が20rpmのときの粘度が25~50mPa・sである。
回転数が100rpmのときの粘度が10~25mPa・sである。
増粘剤の回転数が1rpmのときの粘度と、回転数が100rpmのときの粘度との比が、(回転数が100rpmのときの粘度(mPa・s))/(回転数が1rpmのときの粘度(mPa・s))=0.06~0.10である。
【0051】
<増粘剤の粘度測定試験>
まず、増粘剤の濃度が0.3質量%となるように増粘剤を水に溶解させ試験溶液を作製する。
【0052】
次に、作製した試験溶液1mLを用いて、E型粘度計により測定温度20℃、回転数1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmの条件で当該試験溶液の粘度の測定を開始する。
E型粘度計としては、例えば、東機産業株式会社製、型番:TVE-25Eを使用することができる。
【0053】
次に、測定開始から1分後に各回転数における試験溶液の粘度を測定する。
回転数1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmの条件で得られた各粘度を、それぞれ、増粘剤の粘度測定試験における、回転数が1rpmのときの粘度、回転数が10rpmのときの粘度、回転数が20rpmのときの粘度、回転数が100rpmのときの粘度とする。
【0054】
本発明の洗浄剤組成物の増粘剤は、上記の増粘剤の粘度測定試験において以下の性質を示すことがより望ましい。
ずなわち、回転数が1rpmのときの粘度は、100~450mPa・sであることが望ましく、100~300mPa・sであることがより望ましい。
回転数が10rpmのときの粘度は、35~60mPa・sであることが望ましく、35~50mPa・sであることがより望ましい。
回転数が20rpmのときの粘度は、25~45mPa・sであることが望ましく、25~40mPa・sであることがより望ましい。
回転数が100rpmのときの粘度は、10~20mPa・sであることが望ましく、10~15mPa・sであることがより望ましい。
【0055】
また、本発明の洗浄剤組成物において、増粘剤の回転数が1rpmのときの粘度と、回転数が100rpmのときの粘度との比は、(回転数が1rpmのときの粘度(mPa・s))/(回転数が100rpmのときの粘度(mPa・s))=0.06~0.09であることが望ましく、0.07~0.09であることがより望ましい。
【0056】
増粘剤が上記性質を有する場合、本発明の洗浄剤組成物を泡状にして噴射する際に、洗浄剤組成物の粘度が適度に低下し、泡状にしやすくなる。
また、本発明の洗浄剤組成物が洗浄対象面に付着した後、洗浄剤組成物の粘度が適度に上昇し、付着した泡の流れ落ちが生じにくくなる。
【0057】
また、本発明の洗浄剤組成物では、上記増粘剤の粘度測定試験において得られた各回転数における粘度(mPa・s)をy軸に、回転数(rpm)をx軸にプロットした際に、下記式(1)~(3)を満たす範囲に含まれることが望ましい。
y=bx・・・(1)
-0.60≦a・・・(2)
100≦b≦500・・・(3)
なお、式(2)におけるaの範囲は、-0.60~-0.30であることがより望ましく、-0.60~-0.40であることがさらに望ましい。
また、式(3)におけるbの範囲は、100~400であることがより望ましく、100~300であることがさらに望ましい。
【0058】
また、本発明の洗浄剤組成物では、増粘剤は、y軸を粘度(mPa・s)の常用対数軸とし、x軸を回転数(rpm)の常用対数軸としたグラフにおいて、上記の増粘剤の粘度測定試験により得られた粘度をプロットし、最小二乗法により近似直線を求めた際に、上記近似直線の傾きが、-0.60以上となることが望ましく、-0.60~-0.40になることがより望ましい。
【0059】
増粘剤が上記性質を有する場合、本発明の洗浄剤組成物を泡状にして噴射する際に、洗浄剤組成物の粘度がより適度に低下し、泡状にしやすくなる。
また、本発明の洗浄剤組成物が洗浄対象面に付着した後、洗浄剤組成物の粘度がより適度に上昇し、付着した泡の流れ落ちが生じにくくなる。
【0060】
本発明の洗浄剤組成物において、増粘剤は、キサンタンガム、ゲランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン及びカラギーナンからなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
これらの中ではキサンタンガムであることが望ましい。
これらの化合物は、本発明の洗浄剤組成物における増粘剤として適している。
【0061】
本発明の洗浄剤組成物のpHは、6以上であることが望ましく、11以上であることがより望ましく、13以上であることがさらに望ましい。
特に洗浄剤組成物のpHが11以上であると、油汚れに対する洗浄力を向上させることができる。
pHの測定は、市販のpHメーター等を用いて行えばよいが、例えば、堀場製作所製、D-21型を用いて測定することができる。
【0062】
本発明の洗浄剤組成物は、その他の成分として、アルカリ剤、溶剤、キレート剤、可溶化剤、安定化剤、色素、香料、防腐剤等を含んでいてもよい。
【0063】
本発明の洗浄剤組成物がアルカリ剤を含む場合、油汚れに対する洗浄力が向上する。
アルカリ剤としては、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩又は炭酸水素塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、ケイ酸塩(メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、セスキケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム等)、アルカノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)が望ましい。
これらのアルカリ剤は、水和物となっていてもよい。
これらの中で、アルカリ金属水酸化物であることが望ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより望ましい。
これらのアルカリ剤は組み合わせて使用してもよい。
【0064】
アルカリ剤の含有量は、0.1~20.0質量%であることが望ましく、0.1~10.0質量%であることがより望ましく、5.0~9.8質量%であることがさらに望ましい。
アルカリ剤の含有量が0.1質量%未満であると、アルカリ剤の量が少ないので充分な洗浄効果が得られにくくなる。
アルカリ剤の含有量が20.0質量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなる。
【0065】
溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。
溶剤の含有量は特に限定されないが、1.0~5.0質量%であることが好ましい。
【0066】
キレート剤としては、ヒドロキシカルボン酸系、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩系等が挙げられ、これらを併用してもよい。これらの中では、ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤、及び、アミノカルボン酸系のキレート剤が好ましい。
キレート剤の含有量は特に限定されないが、0.1~2.0質量%であることが好ましい。
【0067】
ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸又はこれらの塩が挙げられる。
【0068】
アミノカルボン酸系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
【0069】
ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられる。
上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。
【0070】
リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0071】
上記キレート剤における塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
また、キレート剤とキレート剤の塩がアルカリ洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤がアルカリ洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
【0072】
可溶化剤としては、デカン酸、2-エチルヘキサン酸又はこれらの塩等が挙げられる。
可溶化剤の含有量は特に限定されないが、1.0~3.0質量%であることが好ましい。
【0073】
安定化剤としては、トコフェロール酢酸エステル、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
安定化剤の含有量は特に限定されないが、1.0~2.0質量%であることが好ましい。
【0074】
本発明の洗浄剤組成物の使用方法としては、泡状にして洗浄対象面に噴射・付着させる方法が挙げられる。
これまで説明してきたように、本発明の洗浄剤組成物は、泡状にして洗浄対象面に噴射・付着させた際に、付着した泡の流れ落ちが生じにくく、泡がきめ細かくなる。
そのため、洗浄対象面を好適に洗浄することができる。
【0075】
また、本発明の洗浄剤組成物を使用する場合には、泡噴射器を用いることが望ましい。
すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、泡噴射器用であってもよい。
泡噴射器としては、例えば、ハンドポンプ、フォーマー、スプレーボトル、スプレーガン等が挙げられる。
【実施例
【0076】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
(増粘剤)
増粘剤として、8種のキサンタンガム(キサンタンガム1~キサンタンガム8)を準備した。
各キサンタンガムを用い、以下の手順で、増粘剤の粘度測定試験を行った。
まず、濃度が0.3質量%となるように各キサンタンガムを水に溶解させ試験溶液を作製した。
当該試験溶液1mLをE型粘度計(東機産業株式会社製、型番:TVE-25E)により測定温度20℃、回転数1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmの条件で当該試験溶液の粘度の測定を開始した。
各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該試験溶液の粘度を、それぞれ、回転数が1rpmのときの粘度、回転数が10rpmのときの粘度、回転数が20rpmのときの粘度、回転数が100rpmのときの粘度とした。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
(実施例1~24)及び(比較例1~13)
表2~表4に示す組成の実施例1~24に係る洗浄剤組成物及び比較例1~13に係る洗浄剤組成物を作製した。
なお、表2~表4中の数値は「質量%」を意味する。
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
(洗浄剤組成物の粘度測定試験)
各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物を用い、E型粘度計(東機産業株式会社製、型番:TVE-25E)により、測定温度を5℃として、回転数1rpm及び100rpmの条件で各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物の粘度の測定を開始した。
各回転数において、測定開始から1分後に測定された当該洗浄剤組成物の粘度を、それぞれ、回転数が1rpmのときの粘度及び回転数が100rpmのときの粘度とした。
また、測定温度を20℃とし、同様の試験を行った。
結果を表2~4に示す。
【0084】
(洗浄剤組成物のせん断応力測定試験)
各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物を用い、E型粘度計(東機産業株式会社製、型番:TVE-25E)及びコーンロータ(東機産業株式会社製、型番:1°34´×R24)を用い、測定温度を5℃として、回転数を1rpm、10rpm、20rpm及び100rpmにおけるせん断応力の測定を開始した、
測定開始から1分後に測定された洗浄剤組成物のせん断応力を各せん断速度におけるせん断応力とした。
なお、コーンロータの固有係数は、3.83なので、測定されたせん断応力は、それぞれ、せん断速度が3.83s-1、38.3s-1、76.6s-1及び383s-1のときのせん断応力となる。
次に、x軸をせん断速度(s-1)の常用対数軸とし、y軸をせん断応力(Pa)の常用対数軸としたグラフに、測定されたせん断応力の値をプロットし、最小二乗法により近似直線を算出し、得られた近似直線のy軸の切片の値を、測定温度5℃における各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物の降伏値とした。
結果を表2~4に示す。
【0085】
実施例1及び比較例1に係る洗浄剤組成物を用い、洗浄剤組成物のせん断応力測定試験を行い、算出された近似直線を図1に示す。
図1は、実施例1及び比較例1に係る洗浄剤組成物を用い、測定温度を5℃として洗浄剤組成物のせん断応力測定試験を行い、x軸をせん断速度(s-1)の常用対数軸とし、y軸をせん断応力(Pa)の常用対数軸としたグラフに、測定されたせん断応力の値をプロットし、最小二乗法により算出した近似直線を示すグラフである。
【0086】
また、測定温度を20℃とし、同様の試験を行い、測定温度20℃における各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物の降伏値を算出した。
結果を表2~4に示す。
【0087】
(スプレー試験)
5℃又は20℃の各実施例に係る洗浄剤組成物及び各比較例に係る洗浄剤組成物をスプレーガンに充填し、モデル洗浄対象面であるステンレス板に、約15cmの距離から洗浄剤組成物を泡状にして噴射し、スプレー性、泡定着性及び泡質の評価を行った。
なお、スプレーガンは、キャニオン株式会社製「T-95」、キャニオン株式会社製「T-8100」及び株式会社ライフプラテック製「TS-01F」を用いた。
評価基準は以下の通りである。
【0088】
(スプレー性の評価基準)
スプレー性の評価基準は以下の通りである。結果を表2~4に示す。
A:勢いよく吐出される。
B:わずかに液詰まりが起きて吐出される。
C:液詰まりが起きて吐出されず、対象面に届かない。
【0089】
(泡定着性の評価基準)
垂直に立てたステンレス板に泡状の洗浄剤組成物を付着させた後、泡の先端が15cm垂れるまでの時間を測定し泡定着性を評価した。
泡定着性の評価基準は以下の通りである。結果を表2~4に示す。
A:60秒以上
B:40秒以上、60秒未満
C:40秒未満
【0090】
実施例1、比較例2、比較例9に係る洗浄剤組成物を用いたスプレー試験において、各洗浄剤組成物をステンレス板に付着させた後、20秒経過後の写真を図2に示す。
図2は、実施例1、比較例2、比較例9に係る洗浄剤組成物を用いたスプレー試験における泡定着性の評価に係る写真である。
【0091】
(泡質の評価基準)
垂直に立てたステンレス板に泡状の洗浄剤組成物を付着させた直後に写真をとり、泡のきめ細かさを観察した。評価基準は以下の通りである。
A:最も大きい気泡の径が1.0mm以下である。
B:最も大きい気泡の径が1.0mmを超える。
この評価基準の代表例として、実施例1及び比較例2に係る洗浄剤組成物を用いたスプレー試験における泡質を評価するための写真を図3に示す。
図3は、実施例1及び比較例2に係る洗浄剤組成物を用いたスプレー試験における泡質の評価に係る写真である。
【0092】
表2~4に示すように、各実施例に係る洗浄剤組成物は、粘度及び降伏値が所定の範囲内であるので、スプレー性、泡定着性及び泡質が良好な評価となった。
図1
図2
図3