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特許7468879ホット飲料を準備するためのコーヒーマシン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ホット飲料を準備するためのコーヒーマシン
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/54 20060101AFI20240409BHJP
   A47J 31/46 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A47J31/54 100
A47J31/46 115
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019128709
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2020039859
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】18189304.1
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517452338
【氏名又は名称】カップ・ウント・チーノ カッフェーシステム-フェアトリーブ ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディット ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CUP&CINO Kaffeesystem-Vertrieb GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Paderborner Strasse 33,33161 Hovelhof,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヨーゼフ パウル エピング
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-263028(JP,A)
【文献】特表2017-529912(JP,A)
【文献】特開2007-229293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00~31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホット飲料を準備するためのコーヒーマシン(1)であって、
ハウジングフレーム(2)と、
その内部に収納される、
抽出水を提供するためのウォーターモジュール(100)であって、前記ウォーターモジュール(100)は、第1加熱装置(120)を有し、前記第1加熱装置(120)は、真水インレット(12)を有する水タンク(122)を含むボイラー(121)および第1温度Tに水を加熱するための第1加熱エレメント(123)を有する、ところのウォーターモジュールと、
抽出水により所定の量のコーヒーを抽出するための抽出装置(220)および抽出されたコーヒーを注ぐためのディスペンスユニット(230)を有する抽出モジュール(200)であって、抽出水供給ライン(260)内に配置され、抽出装置(220)の上流側で第1温度Tに加熱された前記水を、前記第1温度T より高い温度である第2温度Tまで加熱するための第2加熱装置(250)をさらに有する、抽出モジュールと、
を備え、
前記抽出モジュール(200)内に収納された前記第2加熱装置(250)は、連続フローヒータとして設計された厚膜ヒータ(252)である、ことを特徴とするコーヒーマシン。
【請求項2】
前記ウォーターモジュール(100)内に収納されるのは、前記第1加熱装置(120)の下流側の第3加熱装置(130)である、ことを特徴とする請求項1に記載のコーヒーマシン。
【請求項3】
前記第3加熱装置(130)は、連続フローヒータとして設計された厚膜ヒータ(132)である、ことを特徴とする請求項2に記載のコーヒーマシン。
【請求項4】
前記第1加熱装置(120)によって調節可能な前記水の前記第1温度Tは、70℃と85℃との間である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項5】
前記第2加熱装置(250)によって調節可能な前記水の前記温度Tは、80℃と98℃との間である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項6】
前記第2加熱装置(250)は、所定の温度プロファイルに従い前記水を前記調節可能な第2温度Tに加熱するように設定されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項7】
前記第3加熱装置(130)によって調節可能な前記水の第3温度Tは、70℃と98℃との間である、ことを特徴とする請求項2に記載のコーヒーマシン。
【請求項8】
前記第3加熱装置(130)によって加熱された前記水は、バイパス水として抽出装置(220)へ供給され、前記抽出装置(220)の抽出チャンバ(240)の下流側の流れは、前記抽出装置(220)内で抽出された前記コーヒーと一緒にされ、前記ディスペンスユニット(230)によって注がれる、ことを特徴とする請求項2または7に記載のコーヒーマシン。
【請求項9】
前記第3加熱装置(130)によって加熱された前記水は、ドレインライン(18)によって他のディスペンスユニットへ供給され、ティーまたは類似の注入飲料の準備のために、冷水と混合される、ことを特徴とする請求項2、7、および8のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項10】
前記抽出装置(220)はサポートを有し、その内部にフィルタを有するポルタフィルタが受設可能であり、前記ポルタフィルタの内部に所定の量のコーヒーが充填可能であり、前記抽出装置(220)は前記抽出チャンバ(240)の開閉を繰り返すために移動可能な方法で支持された抽出ピストンを有する、ことを特徴とする請求項8に記載のコーヒーマシン。
【請求項11】
手によって少なくとも部分的に移動可能である動作レバーであって、前記動作レバーの一方向への移動によって、前記抽出チャンバ(240)内の前記抽出ピストンが抽出位置へ押圧される、ところの動作レバー
をさらに備える請求項10に記載のコーヒーマシン。
【請求項12】
複数の抽出モジュール(200)を含む、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項13】
前記ウォーターモジュール(100)は、前記第1加熱装置(120)および前記第3加熱装置(130)の制御用の個別の制御装置、および水の運搬および計量用の装置を有する、ことを特徴とする請求項2、7、8、および9のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項14】
前記抽出モジュール(200)は、前記第2加熱装置(250)の制御用の個々の制御装置、ならびに抽出水の運搬、計量、および抽出用の装置を有する、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【請求項15】
中央制御ユニットは、前記第1、前記第2および前記第3加熱装置(120、250、130)、並びに、運搬、計量および抽出用の装置を制御するために含まれている、ことを特徴とする請求項2、7、8、9、および13のいずれか一項に記載のコーヒーマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ホット飲料を用意するためのコーヒーマシンに関し、特に、ダイナミックな熱管理用の加熱システムを有するコーヒーマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ホット飲料を準備するための既知のコーヒーマシンは、抽出水および/またはスチームを与えるための温水ユニットを有する加熱システムを含む。暖かい抽出水は、抽出装置またはコーヒーマシン内に設けられた各抽出ユニットに対してインレット側に供給され、アウトレット側において完全に抽出されたコーヒーが注がれる。この目的のために、概して水は、ポンプまたは類似の装置によって水タンクから運搬され、ひとつ以上の加熱装置内で所望の温度に加熱される。抽出水の最小流量体積のみを与える単純なフローヒータの他に、加熱エレメントとして周知なのはボイラーであり、それはより大量の抽出水を所望の温度まで加熱可能である。それによって抽出水は、多かれ少なかれ、大きい抽出水タンク内で完全に加熱され、その後、ひとつの抽出ユニット、または、複数の抽出ユニット内に供給される。これは、特にカフェやバーでプロフェッショナルが使用するためのコーヒーマシンの場合に関連があり、したがって、数百から千杯分のコーヒーが提供され、不規則に一日中分配されるような増加した作業負荷に対して取り付けられる。
【0003】
既知のものは、安定した温度の一定性を達成するために、および、大量の水を加熱しかつその温度に維持することによって生じるエネルギー消費量を減少させるために、プロフェッショナルのコーヒーマシン内で複数のボイラーを使用する。それにより第2のボイラーは、比較的少量の体積の水を格納することができ、第2の温度である抽出温度に抽出水を加熱するために抽出装置に直接割り当てられる。
【0004】
ボイラーとして設計される加熱装置は、概して、加熱コイルとして設計される加熱エレメントを下側領域に有しており、それによって、温度の階層化がボイラー内で形成される。水源からボイラーに供給されるのは、ボイラーの下側または中央領域内に配置されたインレットを介して、ポンプによって供給される冷水である。加熱済みの抽出水は、抽出水のアウトレットポートを介して上側領域から分配されるか、または、それぞれ抽出される。
【0005】
ホットな抽出水の製造に加え、システムの付与は、ホット飲料の準備に所望され、特に、コーヒースペシャルティに所望される。スチームは例えば泡ミルク用に使用可能である。組み込まれたボイラーが加熱済み抽出水に加え、スチームを製造するためにセットアップされるところの既知のシステムがある。しかし、従来のコーヒーマシンは、一方で加熱済み抽出水、他方でスチームを与えるのに別々の装置を使用する。
【0006】
いずれにしても、加熱済み抽出水は、ある距離の経路に沿って加熱装置から抽出装置まで流れ、その結果、タイプに応じて、先行する抽出プロセスの時間および頻度のポイント、実際の抽出プロセス用および達成すべき抽出品質用の抽出水の温度が変動する。抽出品質は、抽出温度に大きく依存し、その結果、理想的な抽出温度は、例えば、エスプレッソ、ミルクコーヒー、カプチーノなどコーヒースペシャルティに依存して異なるが、特に、一定でなくてはならない。したがって、一方で、コーヒーマシンは抽出水の温度変動を最小化するために大きな熱安定性を通じて自分自身を差別化し、それは、水の連続的分配によって知覚可能である。他方で、特に、スイッチオフした後にコーヒーマシンの動作を再開する場合、要求温度に対する急速な反応および適応が生じるように、最小の熱イナーシャが与えられるべきである。
【0007】
国際公開第2017/068522号には、ティーおよび他の飲料を提供するためのスチームおよび温水とともに、コーヒー用の分配装置を有するプロフェッショナル用コーヒーマシンが開示されている。ボイラーが与えられ、そこで供給された冷水が加熱され、かつ、加熱された水がスチームと平衡になり、それがさらなる使用のために抽出される。少なくともひとつの熱変換器が、ボイラー内で加熱された水と熱接触し、その結果、水は第1の温度に加熱され、さらなる温度制御加熱エレメントによって、下流側で選択可能な抽出温度までさらに加熱される。ボイラーと熱接触する付与可能な第2の熱交換器を介して、他の温度を有する水がティーの準備用に与えられる。
【0008】
米国特許第6,701,068号には、コーヒーマシン用のマルチステージ加熱セットアップが開示されており、そこでは、第1および第2の加熱装置が加熱されるべき抽出水の流路に沿って与えられる。特に、第2加熱装置によって、第1加熱装置から下流側の温度ロスが補償されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の目的は、ティー等の準備だけでなくコーヒースペシャルティの準備用に、抽出水のできるだけ最適な温度を、独立に調節可能に保証するホット飲料の準備用のコーヒーマシンを提供することである。それにより一定の温度が設定可能であるか、または、温度プロファイルまたは各温度コースが生成可能である。それにより、抽出水が抽出プロセス中に定義された方法で加熱される。特に、異なるスペシャルティ使用に十分な計量でホットな抽出水を調節可能な最適温度に迅速かつ高信頼で加熱することができる、プロフェッショナル仕様のコーヒーマシンが提供されるべきである。
【0010】
これらの目的は、請求項1に記載の発明特定事項を通じて本願発明に従って達成される。また、有利な特徴が従属項、以下の詳細な説明および図面から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明に従うホット飲料の準備用のコーヒーマシンは、ハウジングフレームを有し、その中に、ウォーターモジュールおよび抽出モジュールが収納されている。また、スチームの生成および分配用のスチームモジュールがハウジングフレーム内に配置されうる。個々のモジュールはコーヒーマシンのハウジングフレーム内に一体化されており、かつ、互いに電気的接続および流体接続が可能である。個々のモジュールは、それぞれに割り当てられた制御装置および/または中央制御ユニットによって制御可能である。コーヒーマシンは、制御可能な加熱装置を有するダイナミックな熱管理用の加熱システムを有する。それは、抽出モジュール内およびウォーターモジュール内に部分的に収納されている。
【0012】
抽出水を提供するためのウォーターモジュールは、第1加熱装置を有し、それは、真水インレットおよび第1温度Tに加熱された水を提供するための第1加熱エレメントを含むボイラーを有する。ウォーターモジュールは、その一部が、モジュラー形式で設計されており、ウォーターモジュールハウジング内に収納される。第1加熱エレメントに加え、さらなる装置、例えば、ラインシステム、ポンプ、加熱され計量済みの抽出水を与えるための計量装置およびセンサーが含まれる。抽出水は、第1ステージで、第1温度Tに加熱される。第1温度Tは、好適には、70℃と85℃との間の範囲に属する。第1温度Tは特に、高い品質を有する特別のコーヒースペシャルティの準備用の最適温度よりわずかに低い。
【0013】
本願発明に従い、第1加熱装置はボイラーとして設計され、水タンクはニーズに合った充満容積を備え、ポンプを介して、水(好適には、冷水)が下側領域に好適に配置された水インレットを通じて供給される。水の充満の程度、または、それぞれの水のレベルは、センサーによって判定可能であり、パラメータとして制御システムで利用可能である。ホット飲料メーカーと結合したボイラーは周知であり、スタンダードな部品なので低コストで使用可能である。例えば、ボイラーの加熱エレメントは、ひとつのステージまたは複数ステージの加熱コイルとして設計可能であり、それは水タンクの内部に配置され、特に、高い効率によって差別化される。ボイラーは、ある体積の水を第1温度Tに加熱し、さらなる使用のためにこの水を格納するようにセットアップされる。ボイラー内で加熱された水の温度は、ひとつ以上の温度センサーおよび制御装置、または、中央制御ユニットによって制御可能である。後者は、制御法にしたがって加熱エレメントに作用する。
【0014】
抽出モジュールは、抽出水でコーヒーの予め定義された量のコーヒーを抽出するための抽出装置および抽出済みコーヒーを注ぐためのディスペンスユニット、ならびに、第1の温度Tに加熱された水を第2温度Tに加熱するために、抽出水供給ライン内に配置された第2加熱装置を有する。抽出モジュールは、抽出モジュールハウジング内に、抽出装置およびディスペンスユニットに加え、所定の温度の圧力のもとで抽出水を計量して、所定のコーヒー量を受け取るための抽出チャンバを有する抽出ユニット内に供給するための装置を有する。その際に、いわゆる抽出圧力が、抽出処理中、すなわち、抽出中に変化する。概して、抽出圧力は、約9バールである。ひとつの実施形態において、抽出装置はサポートを有し、その中に、フィルタを有するポルタフィルタが収納可能であり、ポルタフィルタの中で所定量のグラウンドコーヒーを充填可能である。抽出装置は、抽出チャンバの開閉を繰り返すために、移動可能に収納された抽出ピストンを有する。抽出水供給ラインを介して、加熱済み抽出水は、抽出チャンバ内に供給可能であり、第2加熱装置は、個別の要求に従い、第2温度Tまで抽出水を加熱するために抽出水供給ライン内に配置されている。好適には、第2温度Tは、抽出されるべきコーヒースペシャルティ用の最適温度に対応し、それは好適には80℃と98℃との間である。それは、抽出プロセス中の温度変化に対しても与えられる。例えば、グラウンドコーヒー粉末を保護するべく優しい方法でより低い温度で抽出プロセスを開始し、その後、対応する最適温度まで温度プロファイルに従って温度を上昇させるために、第2加熱装置によって、抽出水内の温度プロファイルが作成される。
【0015】
また、抽出装置は、バイパス供給ラインを有し、それを介して決定可能な量の加熱水が、バイパス水として供給可能であり、抽出チャンバ内に充填されたグラウンドコーヒーの量を超えて導かれ、抽出チャンバの下流側でこのチャンバの外から来る抽出済みコーヒーと一緒にされる。バイパス水の温度は、第2加熱装置によって同様に個別に調節可能である。バイパス水は特に、アメリカンコーヒーの準備に関連している。
【0016】
本願発明に従い、抽出モジュール内に収納された第2加熱装置は、連続フローヒータとして設計された厚膜ヒータである。第2加熱装置は、一方では、加熱エレメントによって生成された熱エネルギーを第1加熱装置内ですでに加熱済みの抽出水に転送し、第2加熱装置を通じて流し、他方では、小さい質量を有するような方法でセットアップされ、その結果、それは迅速かつ高信頼な方法で制御可能であり、かつ、休息時間の後に再度作動可能である(すなわち、スリープ制御曲線または短い反応時間を有する)。連続フローヒータとして設計された第2加熱エレメントにおいて、加熱されるべき水は、提供されたフロー経路に沿って加熱エレメントと熱接触する。第2加熱装置は、厚膜ヒータとして設計された、電気抵抗ヒータを有する。この目的のため、加熱エレメントは、ある層厚を有する基板上に、好適には、セラミック基板上にマウントされ、その結果、このエレメントは、制限された熱容量を有する。この種の厚膜ヒータは、制御パフォーマンスにおける比較的最小の遅延によって、自分自身を差別化し、その結果、流水への一定の熱伝達が達成される。代替的に、第2加熱装置は、PTC加熱抵抗として設計可能である。他の例は、第2加熱エレメントが、ある熱容量を有するボイラーとして設計されることである。
【0017】
抽出モジュール内の第2加熱エレメントの構成を通じて、この装置と抽出モジュールの抽出チャンバとの間の短い結合パスが達成可能であり、その結果、抽出水の流路に沿った温度ロスが最小化される。
【0018】
第1加熱装置から取られた水が第2加熱装置内で個別に加熱される第2温度Tは、製造されるべきコーヒースペシャルティに応じた最適な温度に一致し、それは概して80℃と98℃との間の温度であり、好適には、85℃と95℃との間の温度である。したがって、一方では、非常に高い抽出水の温度においてビター粉末が抽出されるべきコーヒーから多めにリリースされ、他方では、非常に低い抽出水の温度で、フレーバーな粉末が十分に抽出されず、その結果、味が不満足となるということが考えられる。
【0019】
ひとつの実施形態において、ウォーターモジュール内に収納されるものは、付加的に、第1加熱装置の下流側の第3加熱装置である。その結果、バイパス水としての使用および/またはティーの準備用にTの温度に加熱された水は、ウォーターモジュールに割り当てられたさらなる第3加熱装置へ導かれる。
【0020】
したがって、ボイラー内に格納されかつ第1ステージで加熱された水は、個々にさらに加熱され、抽出水として抽出モジュールへの抽出水供給ラインを介して利用可能にされるだけでなく、その代わり、対応して与えられる温水ラインを介して、ボイラーの外へ導かれ、バイパス供給ラインおよび/またはティーまたは他の注入飲料の準備用の他のアプリケーションに対して供給される。第3加熱装置は、ウォーターモジュールに割り当てられ、ウォーターモジュールに結合されたウォーターモジュールハウジング内に収納される。本願発明に従い、第3加熱装置は、加熱されるべき水に対して画定された流路を有する連続フローヒータとして設計された厚膜ヒータである。さらなる装置が、組み込まれたラインシステム内に配置されてよく、その装置は、制御された水の運搬および計量に必要である。好適には、これらの装置は、第1加熱装置から下流側でかつ第3加熱装置から上流側に配置される。この方法で加熱された第3加熱装置によって調節可能な水の温度Tは、好適には、70℃と98℃との間である。温度制御された水は、ラインシステムを介して抽出モジュール、またはバイパス水のようなコーヒーマシンの複数の抽出モジュールへ供給可能であり、抽出モジュールまたは複数の抽出モジュールへ別々の供給ラインが与えられる。したがって、複数の抽出モジュールが異なるように設計されてもよい。また、水は、ティーまたは他の注入飲料の準備用に加熱水のディスペンスユニットへ供給されてもよく、それは適当な方法で冷水と混合されうる。したがって、例えば、緑茶の準備用に約70℃の最適温度が与えられ、ブラックティーまたはハーブティー用に約95℃の最適温度が与えられる。
【0021】
コーヒーマシンのひとつの実施形態において、ウォーターモジュールが個々に制御装置を有することが予定される。この個々の制御装置によって、第1加熱装置および第3加熱装置、ならびに水の運搬および計量用の装置の制御が可能となる。また、抽出モジュールは、第2加熱装置および、運搬、計量および抽出装置を制御するために個別の制御装置を有してよい。さらに、中央制御ユニットが第1、第2および/または第3加熱装置、および、運搬、計量および抽出装置を制御するように予定される。
【0022】
温度または各温度プロファイルの正確な調節に加え最適な抽出プロセスに重要なものは、抽出水の量の正確な計量であり、それは、それぞれの加熱エレメントに対して調節されうる。この目的のために、さまざまな制限器がライン内および抽出水を実行する加熱システム内に配置されうる。その装置は、準備されるべきコーヒースペシャルティに応じて、直径に関して変化するか、または、対応して調節可能である。したがって、エスプレッソの準備のための制限直径は約0.4mmから0.6mmであり、クリーム入りコーヒーおよび/またはアメリカンコーヒーの準備のための制限直径は約0.7mmから0.9mmであり、バイパス水として使用するための制限直径は約0.5mmから0.8mmであるのが特に好適である。
【0023】
ひとつの実施形態において、本願発明に従うコーヒーマシンは、ポルタフィルタマシンとコンパチブルな方法で設計可能であり、その場合、抽出装置内にはサポートが与えられ、その内部に所定の量のコーヒーが充填可能なフィルタを有するポルタフィルタを受設可能である。抽出装置は、抽出チャンバの開閉を繰り返すように移動可能な方法でサポートされた抽出ピストンを有する。手で少なくとも部分的に動作可能な動作レバーが与えられ、動作レバーの一方向への移動によって、抽出チャンバ内の抽出ピストンが圧縮位置および/または抽出位置に押される。また、流体システムを有する調節手段が与えられ、それは少なくともひとつの第1シリンダ/ピストン構成を有し、一方向への動作レバーの動きによって圧力が流体システム内に生じるように、動作レバーは第1シリンダ/ピストン構成のピストンおよび調節手段と動作的に結合する。抽出チャンバ内の第2シリンダ/ピストン構成内に配置された抽出ピストンは、圧縮ピストンおよび/または抽出ピストン内に押される。
【0024】
本願発明の実施形態が添付する図面を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本願発明に従うダイナミックな熱管理用の加熱システムを有するホット飲料の準備用のコーヒーマシンの略示図である。
図2図2は、本願発明に従うコーヒーマシンのウォーターモジュールの略示図である。
図3図3は、本願発明に従うコーヒーマシンの抽出モジュールの略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本願発明に従うコーヒーマシン1の略示図を示し、それは、ウォーターモジュール100、少なくともひとつの抽出モジュール200、および、さまざまな実施形態のスチームモジュール300を有し、それらはハウジングフレーム2内に一体化されている。これらのモジュールは、図1に少なくとも部分的に示すように、互いに電気的に接続されかつ流体結合されている。ウォーターモジュール100はウォーターモジュールハウジング110の、抽出モジュール200は抽出モジュールハウジング210の、スチームモジュール300はスチームモジュールハウジング310の各ケース(図示せず)内のハウジング内に収納されており、それぞれは、運搬、計量および/または抽出および/または制御用の対応する装置を有する。
【0027】
コーヒーマシン1のさらなる詳細は示されていない。特に、コーヒーの準備にさらに必要な、コーヒーまたはコーヒー粉末の格納および/またはグラインド用の装置、運搬イクイップメント、ならびに、中央制御ユニットおよび作動手段および制御手段は示されていない。同様に、流体結合をリンスおよび/または真空引きするようにセットアップされるコーヒーマシン1のリンスシステムも同様に示されていない。
【0028】
図1には、好適に冷水が、水源または各水供給システムから、好適に制御可能なバルブ16を介して水ポンプ14によって真水供給ライン12を介してウォーターモジュール100へ供給されることが示されている。供給される水の量は、流量計(図示せず)により登録可能であり、捕捉された値は、ウォーターモジュールの制御ユニットおよび/または中央制御ユニットに転送可能である。図示されるドレインライン18を介して、ウォーターモジュール内で加熱された水がディスペンスユニット(図示せず)に対して、計量されて供給可能であり、ティーまたは他の注入飲料の準備のためにライン11を介して供給される所定の量の冷水と組みあわせ可能である。
【0029】
また、ウォーターモジュール100と結合可能なのは、抽出モジュール200と結合するためのラインシステムである。ラインシステムは、第1ライン20、その途中の例えば制限器22およびチェックバルブ24を有し、それによって抽出モジュール200がバイパス水として加熱された抽出水によって満たされ、それは、アメリカンコーヒーの準備に使用される。ラインシステムはさらに、ウォーターモジュール100を抽出モジュール200に接続する流体結合用の第2ライン26を有し、図示する実施形態において、制御可能バルブ28が配置され、それを介して抽出モジュール200は、加熱済み抽出水によって満たすことができる。少なくともひとつの抽出モジュール200が所定の量のコーヒーを抽出し、少なくともひとつのディスペンスユニットにおいて新鮮に抽出されて注がれるように設定されている。例えば、コーヒースペシャルティを準備するために、抽出モジュール200内に配置された抽出チャンバ240は、ライン26を通じて計量され、加熱されかつ加圧された抽出水で満たされる。
【0030】
スチームモジュール300が、コーヒーマシン1に割り当てられ、かつ、別個のユニットとしてハウジングフレーム2内に配置される。スチームモジュールは、水、好適には真水で満たされ、スチームアウトレット330へスチームを分配するように設定され、例えば、ミルク泡の準備用にバルブ320によって制御される。
【0031】
図2は、本願発明に従うコーヒーマシン1のウォーターモジュール100を示す。ウォーターモジュール100はモジュラー形式で組み立てられ、好適に含まれる装置およびエレメントは、ウォーターモジュールハウジング110内に配置され、かつ、互いに電気的に接続されかつ流体結合されている。
【0032】
本実施形態は、ボイラー121として設計された第1加熱装置120を有する。ボイラー121は、水タンク122を有し、その充満体積は、コーヒーマシン1によって準備されるべきコーヒーの杯数に適応している。ボイラー121の下方領域には好適に真水インレット12が配置され、それを介して真水が、水ポンプ14およびバルブ16によって計量されて供給されうる。さらに略示的に示されるのは、例えば、単一または複数ステージの加熱コイルとして設計された、第1加熱装置120の第1加熱エレメント123であり、それは、水タンク122内に充満した水を第1温度Tに暖める。温度Tは、好適には、コーヒー飲料の最適な抽出に必要な温度よりわずかに低く、概して、85℃と95℃との間である。ボイラー120に配置されるのは、温度センサ(図示せず)であってよく、それは、水タンク122内に格納された水の加熱を記録し、ウォーターモジュールの制御装置および/または第1加熱装置120およびウォーターモジュールのさらなる装置を対応して制御する中央制御ユニットへ温度値を転送する。水タンク122内にさらに与えられるのは、充填レベルを登録するためのセンサ(図示せず)である。第1加熱装置120内で抽出水を加熱することにより、エレメントを詰まらせる真水内に含まれる石灰かすが沈殿し、結果としてラインシステム内および第1加熱装置120から下流の装置内には存在しないという利点があることがわかる。
【0033】
第1温度Tに加熱された第1加熱装置120内の水は、さらなる使用のために利用可能である。したがって、ボイラー121の上部領域内に配置された第2ライン26を介して、温度Tに加熱された水は、抽出モジュール200へ供給され、抽出水としてそこで直接使用される。これは、図3を参照してさらに詳細に説明される。複数の抽出モジュール200の場合、ラインシステムは、複数の抽出モジュール200に対してウォーターモジュール100を流体結合するように対応して構成される。
【0034】
ティーの準備用の水の分配用に流体結合したドレインライン18および/または抽出モジュール200へ流体結合するための第1ライン20は、同様にボイラー121の上部領域内に配置される。本願発明に従い、ボイラー121から取られた加熱された水は、ボイラー121の下流側から第3加熱装置130へ供給される。第3加熱装置130は、連続フローヒータとして設計され、好適には、厚膜ヒータ132として設計される。この目的のために、第3加熱装置130は、セラミックヒータ132として設計された電気抵抗ヒータを有する。加熱エレメントは、セラミック基板上にマウントされ、加熱すべき水に対して熱接触する流路が利用可能となる。さらなる使用(バイパス水として、または、ティーまたは他の注入飲料の準備)のために、最適な温度に調節可能な第3加熱装置130は、水を温度Tまで加熱する。第1加熱装置120と第3加熱装置130との間の流体結合内に配置可能であるのは、制限器133であり、それは、水の流量を制御する。対応する情報が制御装置および/または中央制御ユニットに転送されうる。したがって、流量および供給される水の温度の関数として第3加熱装置130をアクティブにするか非アクティブにするための制御が与えられる。
【0035】
特に、バイパス水の提供に関して水量の正確な計量が必要である。この計量は、コーヒーの準備用の抽出時間に調節されるべきであり、その結果、抽出コーヒーおよびバイパス水が時間間隔の間に一緒に準備されたカップ内に注がれる。これは、例えば、調節可能であるか、その直径が対応して選択可能である制限器133によって達成される。直径は、それほど大きくないので、バイパス水の放水はインパクトを生じさせない。しかし、直径が小さすぎると、バイパス水が長時間のスパンにわたって分配され、それによりコーヒーの抽出時間が延びるという問題が生じる。バイパス水の流路は第1ライン20によって生じ、その途中に、例えば、制限器22およびチェックバルブ24が配置される。
【0036】
図3には、本願発明に従うコーヒーマシン1の抽出モジュール200が示されている。抽出モジュール200もまたモジュール形式で構成されている。このモジュールは、抽出モジュールハウジング210内に配置された、加圧され、計量された抽出水による所定の量のコーヒーを抽出するための少なくともひとつの抽出装置220および新鮮に抽出されたコーヒーを注ぐためのディスペンスユニット230を有する。特に、抽出装置220は、抽出ユニット内に、抽出チャンバ240を有し、その中に所定量のコーヒーが受け取られ、抽出水供給ライン260を介して計量された抽出水が導入されうる。
【0037】
また、抽出モジュール200は、加圧された状態で所定の温度に抽出水を加熱するための装置を有する。最終的に抽出チャンバ240内に導入される抽出水は、第1加熱装置120によって第1温度Tまで加熱され、流体結合ラインまたは第2ライン26および抽出水供給ライン260を介して、第2加熱装置250によってさらに加熱され、抽出チャンバ240へ供給される。
【0038】
図示される実施形態において、平行な流路262、264が抽出チャンバ240の上流側でかつ第2加熱装置250の下流側に与えられることが予定される。平行な流路262、264内に配置されるのは、それぞれひとつのバルブ265、266およびひとつの制限器267、268である。制限器267、268によって選択的に与えられるのは、エスプレッソおよびクリーム入りコーヒーまたはアメリカンコーヒーの準備のための計量された水である。エスプレッソの準備のためには、クリーム入りまたはアメリカンコーヒーの準備のための量よりも少量の抽出水が要求される。したがって、制限器267、268のジェット直径は、その直径に関して異なってよい。
【0039】
抽出モジュール200に割り当てられかつ抽出モジュールハウジング210内に収納されるのは、第2加熱装置250であり、それは連続フローヒータである厚膜ヒータ252として設計される。第2加熱装置250は、内部に与えられる流路に沿って流れる抽出水を調節可能な温度Tに加熱するように設定される。第2加熱装置250内に含まれる加熱エレメントは、電気抵抗ヒータまたは厚膜ヒータ252として設計され、入力要求に従い、抽出モジュール200の制御装置および/または中央制御ユニットによって制御可能である。この目的のために与えられるのは、第2加熱装置250を参照する少なくともひとつの温度センサ(図示せず)であり、それは、アウトレット側および/またはインレット側の温度測定値を検出し、その値を抽出モジュールの制御装置および/または中央制御ユニットへ転送する。したがって、制御システムは、温度測定値の関数として電気抵抗ヒータへ印加される電流を制御することができる。抽出モジュール200内の第2加熱装置250の構成は、第2加熱装置250から下流側の抽出チャンバ240ヘの加熱済み抽出水の入口までの短い流路をもたらし、その結果、最適な温度に温度制御され、加熱された抽出水は大きな温度変動なく抽出チャンバ240内に導かれる。この方法で加熱された抽出水は、抽出チャンバ240内で受け取ったグラウンドコーヒーまたはコーヒー粉末を通じて抽出水をガイドしまたは加圧することにより、コーヒー飲料を抽出するよう、および、新鮮に抽出されたコーヒースペシャルティとしてディスペンスユニット230において注ぐよう抽出装置220内で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【文献】国際公開第2017/068522号
【文献】米国特許第6,701,068号明細書
図1
図2
図3