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特許7468881シート処理装置、製本システム、制御プログラム及びシート処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】シート処理装置、製本システム、制御プログラム及びシート処理方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/16 20060101AFI20240409BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20240409BHJP
   B65H 31/28 20060101ALI20240409BHJP
   B42C 19/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65H45/16
B65H9/00 Z
B65H31/28
B42C19/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019181684
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021042074
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2019163344
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 本願の発明に係るシート処理装置の構成を備える製本システム「iSaddle System」を、株式会社デュプロが、平成30年10月2日から社内の展示室で来訪者に公開した。 製本システム「iSaddle System」を本願の発明に係るシート処理装置の構成を備える製本システムとする更新プログラムを、株式会社デュプロが、平成30年11月16日に販売会社に配布した。 本願の発明に係るシート処理装置の構成を備える製本システム「iSaddle System」を、株式会社デュプロが、平成31年2月20日、平成31年3月4日及び平成31年3月14日に、販売会社に販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】大木 豊
(72)【発明者】
【氏名】石黒 洋
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227250(JP,A)
【文献】特開2016-078949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/16
B65H 45/30
B65H 37/06
B65H 9/00
B65H 31/28
B42C 19/00
B42C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を搬送しながら前記シート材に搬送方向に沿った折り目を付ける折り目形成手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の上流側に位置し、前記搬送方向に直交する幅方向における前記折り目形成手段に対する前記シート材の位置を調整することで、前記シート材の前記幅方向における前記折り目を付ける位置を調整する折り位置調整手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の下流側に位置し、前記折り目形成手段で形成された前記折り目が重なるように複数の前記シート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積手段と、を備えるシート処理装置において、
前記折り目形成手段が前記シート材に前記折り目を付ける前記幅方向の位置を通る仮想直線を折り基準線としたときに、
前記折り基準線に対する前記シート材の幅方向の中央部の位置の前記幅方向でのずれ量が、先行のシート材と後続のシート材とで異なるように前記折り位置調整手段を制御し、
前記ずれ量が互いに異なる条件で前記折り目形成手段に搬送されて前記折り目が形成された複数の前記シート材を、前記蓄積手段に蓄積する制御を行う制御手段を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1のシート処理装置において、
前記制御手段は、後続のシート材ほど前記ずれ量を大きくするように前記折り位置調整手段を制御することを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
シート材を搬送しながら前記シート材に搬送方向に沿った折り目を付ける折り目形成手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の上流側に位置し、前記搬送方向に直交する幅方向における前記折り目形成手段に対する前記シート材の位置を調整することで、前記シート材の前記幅方向における前記折り目を付ける位置を調整する折り位置調整手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の下流側に位置し、前記折り目形成手段で形成された前記折り目が重なるように複数の前記シート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積手段と、を備えるシート処理装置において、
前記折り目形成手段が前記シート材に前記折り目を付ける前記幅方向の位置を通る仮想直線を折り基準線としたときに、
先行のシート材と後続のシート材とで、前記幅方向における前記シート材の一方の端部から他方の端部までの距離が一定で、前記一方の端部から前記折り基準線までの距離が異なるように前記折り位置調整手段を制御し、
前記一方の端部から前記折り基準線までの距離が互いに異なる条件で前記折り目形成手段に搬送されて前記折り目が形成された複数の前記シート材を前記蓄積手段に蓄積する制御を行う制御手段を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項3のシート処理装置において、
前記制御手段は、前記一方の端部から前記折り基準線までの距離が後続のシート材ほど短くなるように制御することを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシート処理装置において、
前記折り位置調整手段は、前記幅方向における前記シート材の一方の端部の位置を規制する第一規制部材を備え、前記幅方向における他方の側から搬送されてきた前記シート材を前記第一規制部材で突き当て、前記シート材が前記搬送方向に向かうように前記シート材を搬送する方向を変換する方向変換部であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のシート処理装置において、
前記折り位置調整手段は、前記幅方向における前記シート材の一方の端部の位置を規制する第一規制部材と、他方の端部の位置を規制する第二規制部材とを備え、
前記制御手段は、前記先行のシート材と前記後続のシート材とで、前記第一規制部材と前記第二規制部材との距離は変更せず、前記折り基準線に対する前記第一規制部材及び前記第二規制部材の位置を変更する制御を行うことを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のシート処理装置において、
前記蓄積手段は、前記シート材の前記折り目が頂点となるように鞍掛けする鞍掛部材を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
給紙手段から搬出される一冊分のシート材のうちの所定枚数のシート材を位置決めして搬出するシート位置決め手段と、
前記シート位置決め手段から搬出した前記シート材に折り目を付けるシート折り目形成手段と、
前記シート折り目形成手段から搬出した前記シート材を折り目が重なるように重ねて、前記一冊分のシート材を蓄積して一冊分のシート束を作成するシート蓄積手段と、
前記シート蓄積手段で蓄積した前記一冊分のシート束に対して綴じ処理を施すシート綴じ手段と、を備える製本システムにおいて、
前記シート位置決め手段と、前記シート折り目形成手段と、前記シート蓄積手段と、を備える構成として、請求項1乃至7の何れか一項に記載のシート処理装置の構成を備えることを特徴とする製本システム。
【請求項9】
請求項8の製本システムにおいて、
前記シート綴じ手段は、前記一冊分のシート束の前記折り目の部分を綴じる中綴じ処理を行う構成であることを特徴とする製本システム。
【請求項10】
シート材を搬送しながら前記シート材に搬送方向に沿った折り目を付ける折り目形成手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の上流側に位置し、前記搬送方向に直交する幅方向における前記折り目形成手段に対する前記シート材の位置を調整することで、前記シート材の前記幅方向における前記折り目を付ける位置を調整する折り位置調整手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の下流側に位置し、前記折り目形成手段で形成された前記折り目が重なるように複数の前記シート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積手段と、を備えるシート処理装置を制御する制御プログラムにおいて、
前記折り目形成手段が前記シート材に前記折り目を付ける前記幅方向の位置を通る仮想直線を折り基準線としたときに、
前記折り基準線に対する前記シート材の幅方向の中央部の位置の前記幅方向でのずれ量が、先行のシート材と後続のシート材とで異なるように前記折り位置調整手段を制御し、
前記ずれ量が互いに異なる条件で前記折り目形成手段に搬送されて前記折り目が形成された複数の前記シート材を前記蓄積手段に蓄積する制御を行うことを特徴とする制御プログラム。
【請求項11】
シート材を搬送しながら前記シート材に搬送方向に沿った折り目を付ける折り目形成手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の上流側に位置し、前記搬送方向に直交する幅方向における前記折り目形成手段に対する前記シート材の位置を調整することで、前記シート材の前記幅方向における前記折り目を付ける位置を調整する折り位置調整手段と、
前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の下流側に位置し、前記折り目形成手段で形成された前記折り目が重なるように複数の前記シート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積手段と、を備えるシート処理装置を制御する制御プログラムにおいて、
前記折り目形成手段が前記シート材に前記折り目を付ける前記幅方向の位置を通る仮想直線を折り基準線としたときに、
先行のシート材と後続のシート材とで、前記幅方向における前記シート材の一方の端部から他方の端部までの距離が一定で、前記一方の端部から前記折り基準線までの距離が異なるように前記折り位置調整手段を制御し、
前記一方の端部から前記折り基準線までの距離が互いに異なる条件で前記折り目形成手段に搬送されて前記折り目が形成された複数の前記シート材を前記蓄積手段に蓄積する制御を行うことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、製本システム及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート材に折り目を付ける折り目形成手段と、シート材における折り目形成手段が折り目を付ける位置を調整する折り位置調整手段と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積手段と、を備えるシート処理装置が知られている。
【0003】
この種のシート処理装置の構成を備える製本システムとして、特許文献1には、シート材(用紙)の中央部に折り目を形成し、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積し、重ねたシート束に対して折り目の位置で中綴じ処理をして製本するものが記載されている。このような製本システムによって作成された冊子は、シート材の中央部同士を重ねているため、小口側のシート材の端部は略そろった状態となる。中綴じ後の冊子における小口側では、シート材の厚みに起因して折り曲げたシート束の内側のシート材ほど突き出す僅かなずれが生じるが、小口断裁工程によって小口側のシート材の端部は揃えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-254883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ユーザーニーズが多様化しており、小口側のシート材の端部が揃った冊子に限らず、シート材の小口側の端部を階段状にずらし、この階段状にずらした各ページの小口側の端部近傍を上方から一目で視認できる冊子を作成する製本(以下、「インデックス製本」という)を行いたい、という要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート材を搬送しながら前記シート材に搬送方向に沿った折り目を付ける折り目形成手段と、前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の上流側に位置し、前記搬送方向に直交する幅方向における前記折り目形成手段に対する前記シート材の位置を調整することで、前記シート材の前記幅方向における前記折り目を付ける位置を調整する折り位置調整手段と、前記折り目形成手段に対して前記搬送方向の下流側に位置し、前記折り目形成手段で形成された前記折り目が重なるように複数の前記シート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積手段と、を備えるシート処理装置において、前記折り目形成手段が前記シート材に前記折り目を付ける前記幅方向の位置を通る仮想直線を折り基準線としたときに、前記折り基準線に対する前記シート材の幅方向の中央部の位置の前記幅方向でのずれ量が、先行のシート材と後続のシート材とで異なるように前記折り位置調整手段を制御し、前記ずれ量が互いに異なる条件で前記折り目形成手段に搬送されて前記折り目が形成された複数の前記シート材を、前記蓄積手段に蓄積する制御を行う制御手段を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インデックス製本に用いるシート束を作成可能なシート処理装置を提供できる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る製本システムの斜視図。
図2図1の丁合装置の内部構造を示す模式図。
図3図1の方向変換装置、折り装置及び中綴じ装置とそれらの周辺を模式的に示す上面図。
図4】ストッパが前回用紙束を受けた位置にある状態のバッファ部の拡大正面図。
図5】ストッパが前回用紙束を受けた位置から上昇した状態のバッファ部の拡大正面図。
図6】第一移動機構ごとストッパを搬送方向上流側に移動させた状態のバッファ部の拡大正面図。
図7】今回用紙束を受ける位置にストッパを下降させた状態のバッファ部の拡大正面図。
図8】ストッパが今回用紙束を受けた状態のバッファ部の拡大正面図。
図9】バッファ部を上流側から見た拡大側面図。
図10図1の製本システムの制御系を示すブロック図。
図11】処理内容取得部が提供する基本設定画面の説明図。
図12】処理内容取得部が提供する用紙サイズ設定画面の説明図。
図13】処理内容取得部が提供する給紙設定画面の説明図。
図14】マルチサイズ冊子の斜視図。
図15】インデックス冊子の斜視図。
図16】インデックス製本を行うときの方向変換装置近傍の上面図。
図17】第三用紙束をバッファ部で停止させたときのバッファ部を搬送方向上流側から見た説明図。
図18】製本システムの製本処理のフローチャート。
図19】インデックス製本の設定開始時の設定画面の説明図。
図20】第三用紙束の折り目の位置を設定する画面の説明図。
図21】第二用紙束の折り目の位置を設定する画面の説明図。
図22】第一用紙束の折り目の位置を設定する画面の説明図。
図23】インデックス製本の製本イメージを表示する画面の説明図。
図24】第三用紙束の上にさらにカバー用紙を積載した状態のバッファ部を搬送方向上流側から見た説明図。
図25】表紙付きのインデックス冊子の斜視図。
図26】折り目を付ける位置から突き当て部材までの距離を変更する他の構成を備えた参考構成例のシート処理装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
図1は、実施形態に係る製本システム10の斜視図である。製本システム10は、文字や画像が印刷された用紙に丁合、折り、綴じ、断裁などの後処理を施す。製本システム10は、三つの丁合装置12(12A、12B、12C)(以下、特に区別しない場合には「丁合装置12」と呼ぶ)、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22、ベルトスタッカ24及び統合制御装置26を備える。丁合装置12の数は特に限定されない。
【0011】
三つの丁合装置12はそれぞれ、複数の給紙部を含む。それぞれの三つの丁合装置12は、複数の給紙部のそれぞれから用紙を給紙しながら用紙を重ね合わせる。三つの丁合装置12は直列に配置されており、上流側に配置された丁合装置12によって作成された用紙束に下流側に配置された丁合装置12によって作成された用紙束を重ね合わせることが可能となっている。
【0012】
方向変換装置14は、丁合装置12から搬入された用紙束または一枚の用紙を、搬送方向を90[°]方向変換し、折り装置16に搬出する。
【0013】
折り装置16は、方向変換装置14から搬入された用紙束または用紙に折り筋を付け、その折り筋に沿って用紙束または用紙を山折り状(すなわち断面形状が逆V字状)に折り畳んで折り目を付ける。折り装置16は、折り畳んだ用紙束を中綴じ装置18に搬出する。
【0014】
中綴じ装置18は、折り装置16から搬入された、山折り状に折りたたまれた用紙束を、製本すべき1冊の冊子を構成する1セットの用紙束となるまで蓄積させる。中綴じ装置18は、蓄積(作成)された1セットの用紙束を折り目で綴じて中綴じ折り冊子を作成する。以下、中綴じ折り冊子を単に「冊子」と呼ぶ。中綴じ装置18は、作成した冊子を小口断裁装置20に搬出する。
【0015】
小口断裁装置20は、中綴じ装置18から搬入された冊子の小口を断裁し、天地断裁装置22に搬送する。天地断裁装置22は、小口断裁装置20から搬送された冊子の天地を断裁し、ベルトスタッカ24に搬送する。ベルトスタッカ24は、天地断裁装置22から搬送された冊子を順次蓄積する。小口断裁装置20、天地断裁装置22及びベルトスタッカ24は、公知の技術を用いて構成すればよい。
【0016】
統合制御装置26は、情報処理装置28、ディスプレイ30及び入力装置32を有する。情報処理装置28は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)であり、各種演算処理を実行するCPU(中央処理装置)、各種制御プログラムを格納するROM(リードオンリーメモリ)、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM(ランダムアクセスメモリ)を有する。入力装置32は、キーボードまたはマウスを含む。ディスプレイ30としてタッチパネル式のディスプレイが採用されてもよい。この場合、ディスプレイ30が入力装置としても機能する。統合制御装置26は、製本システム10を統合的に制御する。
【0017】
図2は、丁合装置12の構成を示す図である。三つの丁合装置12はそれぞれ、複数の給紙部38と、垂直搬送機構44と、水平搬送機構46と、を備える。複数の給紙部38は、鉛直方向に並設される。給紙部38の並設方向は鉛直方向に限られない。以降では、三つの丁合装置12のそれぞれが十個の給紙部38を備える場合について説明するが、給紙部38の数は特には限定されない。
【0018】
複数の給紙部38は、棚40と、給紙機構42と、を含む。棚40には、複数枚の用紙が積載される。給紙機構42は、対応する棚40から一枚ずつ用紙を送り出す給紙を実行する。給紙機構42は、図示の例ではエアサクション式の給紙機構であるが、フリクション式の給紙機構であってもその他の給紙機構であってもよい。給紙機構42によって送り出された用紙は、垂直搬送機構44によって鉛直下方に搬送されながら重ね合わされる。
【0019】
水平搬送機構46は、後述の丁合中継搬送装置34を介して上流の丁合装置12から搬送された用紙束を下流の丁合装置12に搬送する。水平搬送機構46の下流側端部は垂直搬送機構44の下流側端部に合流しており、この合流地点にて、上流側から搬送された用紙束と、その丁合装置12で作成された用紙束とが重ね合わされる。
【0020】
第一丁合装置12Aと第二丁合装置12Bとの間、並びに、第二丁合装置12Bと第三丁合装置12Cとの間には、それぞれ、丁合中継搬送装置34が配置される。丁合中継搬送装置34は丁合中継搬送機構47を有する。丁合中継搬送機構47は、上流の丁合装置12で作成された用紙束を下流の丁合装置12に搬送する。丁合中継搬送機構47には、図示の例ではベルト搬送機構が採用されているが、例えばローラ搬送機構などが採用されてもよい。
【0021】
第一丁合装置12Aの下流側には、丁合後搬送装置36が設けられている。丁合後搬送装置36は丁合後搬送機構48を有する。丁合後搬送機構48は、第一丁合装置12Aから搬出された用紙束を搬送して方向変換装置14に搬出する。丁合後搬送機構48には、図示の例ではベルト搬送機構が採用されているが、例えばローラ搬送機構などが採用されてもよい。
【0022】
図3は、図1に示した製本システム10の方向変換装置14、折り装置16及び中綴じ装置18とそれらの周辺を模式的に示す上面図である。以下、方向変換装置14で搬送方向が変換された後の搬送方向(図3の左右方向)を単に「搬送方向」と呼び、この「搬送方向」に直交する水平方向を「幅方向」と呼ぶ。
【0023】
方向変換装置14は、第一ガイド56と、第二ガイド58と、を備える。第一ガイド56及び第二ガイド58は、幅方向に互いに間隔をあけて配置される。第一ガイド56は、第二ガイド58と幅方向で対向する第一ガイド面56aを有し、この第一ガイド面56aは法線方向が幅方向に一致する。第二ガイド58は、第一ガイド56と幅方向で対向する第二ガイド面58aを有し、この第二ガイド面58aは法線方向が幅方向に一致する。第一ガイド56及び第二ガイド58はそれぞれ、幅方向に移動可能に構成される。
【0024】
方向変換装置14は、幅方向における第一ガイド56と第二ガイド58との間隔(図3中の「W」)が、丁合装置12から搬入されてくる用紙束4aの幅方向の長さよりも広い状態で、第一ガイド56及び第二ガイド58を待機させる。そして方向変換装置14は、丁合装置12から搬入された用紙束4aを、不図示の搬送機構によって第一ガイド56と第二ガイド58との間に搬送する。第一ガイド56と第二ガイド58との間に搬送された用紙束4aは、第一ガイド面56aに当たって停止する。
【0025】
第一ガイド56及び第二ガイド58は、それらの間に搬送された用紙束4aを位置決めする。第一ガイド56及び第二ガイド58は特に、処理工程の下流側の折り装置16において用紙束4aの幅方向の所望の位置に折り目が付けられるように、その用紙束4aを位置決めする。具体的には第一ガイド56及び第二ガイド58は、これらの間に搬送された用紙束4aを、折り目が付けられるべき位置が折り装置16に基づく折り基準線Lと重なるように位置決めする。本実施形態では、方向変換装置14から折り装置16に直線的に用紙束4aが搬送され、用紙束4aに折り筋が形成され、この折り筋の位置に折り目が付けられる。したがって、折り装置16において折り目が付けられる幅方向位置を通る仮想直線が折り基準線Lとなる。例えば用紙束4aの幅方向における中央に折り目を付ける場合は、第一ガイド面56aと第二ガイド面58aとの幅方向における距離「W」が用紙幅と実質的に等しく、かつ、第一ガイド面56aと第二ガイド面58aとの幅方向の中央を折り基準線Lが通るように、第一ガイド56及び第二ガイド58の少なくとも一方を移動させる。
【0026】
折り装置16は、筋付け機構60と折り機構63とを備える。筋付け機構60は、用紙束4aに折り筋を付ける。筋付け機構60は、用紙搬送路を挟んで配置される上ローラ61と、下ローラ62と、を含む。上ローラ61には、外周に環状の溝が形成されている。下ローラ62には、外周に環状の突起が形成されている。上ローラ61及び下ローラ62は、上ローラ61の溝に下ローラ62の突起が入り込むように配置されている。上ローラ61と下ローラ62との間に用紙束4aが搬入されることで、上に凸となる折り筋が用紙束4aに付けられる。折り筋が付いた用紙束4aは、不図示の搬送機構により、折り機構63に搬送される。
【0027】
折り機構63は、一対のローラからなる折りローラ対64を備える。折りローラ対64の二つのローラは、軸方向が鉛直方向(図3の手前奥方向)を向き、かつ、幅方向に並ぶように配置される。折りローラ対64は、折り筋に沿って用紙束4aを挟み込むことで、用紙束4aに折り目を付ける。これにより用紙束4aは、山折り用紙束4bとなる。山折り用紙束4bは、不図示の搬送機構により、中綴じ装置18に搬出される。
【0028】
中綴じ装置18は、綴じ部搬送機構65、バッファ部70、綴じ部80及び折り畳み部90を備える。バッファ部70、綴じ部80、折り畳み部90は、搬送方向に沿ってこの順に上流側から設けられる。
【0029】
綴じ部搬送機構65は、折り装置16からバッファ部70に搬入された山折り用紙束4bを、綴じ部80、そして折り畳み部90へと搬送する。綴じ部搬送機構65は、中綴じ装置18の上流側端部に配置される二つの上流側ローラ66と、中綴じ装置18の下流側端部に配置される二つの下流側ローラ67と、上流側ローラ66及び下流側ローラ67に巻き回される二つの搬送ベルト68と、を備える。不図示のモータに駆動されて二つの下流側ローラ67が回転することにより、搬送ベルト68が回転する。搬送ベルト68の外周には外側に突出する爪69が設けられており、山折り用紙束4bは爪69によって後端が押されて下流側に搬送される。
【0030】
バッファ部70は、折り装置16から搬入された山折り用紙束4bを、製本すべき1冊の冊子を構成する1セットの用紙束となるまで蓄積する。バッファ部70については、図4図9を用いて詳述する。
【0031】
綴じ部80は、山折り用紙束4bを折り目上にて綴じる。折り畳み部90は、山折り用紙束4bを折り畳んで冊子4cとする。冊子4cは、不図示の搬送機構によって小口断裁装置20へと搬送される。綴じ部80及び折り畳み部90は、公知の技術を用いて構成すればよい。
【0032】
図4図8は、バッファ部70を幅方向から見た正面図である。図9は、バッファ部70を搬送方向上流側(図4図8の右側)から見た側面図である。バッファ部70は、折り装置16から搬入された山折り用紙束4bを蓄積させる鞍71と、搬入されてくる山折り用紙束4bを受けて停止させるストッパ72と、ストッパ72を移動させる第一移動機構73及び第二移動機構74と、蓄積された山折り用紙束4bの後端を揃えるジョガー76と、を備える。図4図8では、山折り用紙束4bを半透明で図示している(図4図8において山折り用紙束4bに対して奥側に位置する部材(78)を実線で示している)。また、図4図8では、山折り用紙束4bのうち、バッファ部70に既に蓄積されている山折り用紙束4bを蓄積山折り用紙束4b’と称する。
【0033】
図4は、前回搬送されてきた蓄積山折り用紙束4b’(以下、「前回用紙束」とも呼ぶ)を受けた位置にストッパ72がある状態を示す。図5は、前回用紙束を受けた位置からストッパ72を上昇させた状態を示す。図6は、第一移動機構73ごとストッパ72を搬送方向に、図示の例では搬送方向上流側に移動させた状態を示す。図7は、今回搬送されてくる山折り用紙束4b(以下、「今回用紙束」とも呼ぶ)を受ける位置にストッパ72を下降させた状態を示す。図8は、ストッパ72が今回用紙束を受けた状態を示す。図9は、今回用紙束を受ける位置にストッパ72を下降させた状態を示し、図7の状態に対応する。
【0034】
鞍71は、第一鞍部材77と、第一鞍部材77の上方に設けられる第二鞍部材78と、を備える。第一鞍部材77は、搬送方向に延在する斜め上を向いた第一傾斜ガイド面77aを有し、この第一傾斜ガイド面77aは下側ほど幅方向に互いに離れる一対のガイド面である。第二鞍部材78は、搬送方向に延在する斜め上を向いた第二傾斜ガイド面78aを有し、この第二傾斜ガイド面78aは断面形状が逆V字状のガイド面である。バッファ部70に搬入された蓄積山折り用紙束4b’は、これらのガイド面によって、山折り状態を保ったまま鞍71上に積載されたり、鞍71上を搬送されたりする。
【0035】
ストッパ72は、折り装置16からバッファ部70に搬入されてくる山折り用紙束4bを受ける部材である。ストッパ72は、第一移動機構73に後述のように取り付けられる。
【0036】
第一移動機構73は、ストッパ72を昇降させるよう構成されている。第一移動機構73は特に、今回用紙束を受ける位置に、言い換えると搬送されてくる今回用紙束が突き当たる位置にストッパ72を下降させたり、既に鞍71に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’に接触しない位置にストッパ72を上昇させたりするように構成されている。第二移動機構74は、第一移動機構73ごとストッパ72を搬送方向に移動させるように構成されている。
【0037】
本実施形態のバッファ部70は、後端が揃うように山折り用紙束4bを蓄積させる。したがって、第二移動機構74は、搬送されてくる山折り用紙束4bの搬送方向の用紙サイズに応じた位置にストッパ72を移動させる。
【0038】
具体的には、今回用紙束の用紙サイズが前回用紙束の用紙サイズよりも大きい場合、第一移動機構73により、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’に接触しない位置にストッパ72を上昇させ、第二移動機構74により、第一移動機構73ごとストッパ72を搬送方向下流側に移動させ、第一移動機構73により、今回用紙束を停止させる位置にストッパ72を下降させる。
【0039】
また、今回用紙束の用紙サイズが前回用紙束の用紙サイズよりも小さい場合、図4図7に示されるように、第一移動機構73により、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’に接触しない位置にストッパ72を上昇させ、第二移動機構74により、第一移動機構73ごとストッパ72を搬送方向上流側に移動させ、第一移動機構73により、今回用紙束を停止させる位置にストッパ72を下降させる。
【0040】
ここで、今回用紙束の用紙サイズが既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の用紙サイズよりも小さい場合、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の上方にストッパ72を移動させることになる。この場合、第一移動機構73は、今回用紙束を停止させる位置に下降させたストッパ72を、当該位置において、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の上面に押し付ける。これにより、今回用紙束が搬送されてきたときに、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’が今回用紙束に引きずられて動くことを抑止できる。
【0041】
ストッパ72は、図9に示されるように、所定の長さの幅方向の範囲で蓄積山折り用紙束4b’の上面と接触するように構成される。言い換えると、ストッパ72は、実質的に非点接触の状態で蓄積山折り用紙束4b’の上面と接触するように構成される。これにより、点接触する場合と比べて、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’をより確実に押さえることができる。本実施形態では、蓄積山折り用紙束4b’は鞍71によって山折り状態で蓄積されるため、その上面は斜め上を向いた状態に傾斜している。そこでストッパ72は、所定の長さの幅方向の範囲で蓄積山折り用紙束4b’の上面と接触するように、鞍71の各ガイド面ひいては蓄積山折り用紙束4b’の上面に平行な傾斜面(接触面)72aを有する。図示の例では、ストッパ72は下側ほど搬送方向に互いに離れるように傾斜した二つの傾斜面72aを有し、この二つの傾斜面72aが、蓄積山折り用紙束4b’の折り目を挟んだ両側で、蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触している。
【0042】
また、ストッパ72は、第一移動機構73に対して、ストッパ72が蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触したときにその反力を受けて変位可能に取り付けられる。つまり、ストッパ72は、第一移動機構73に対して上下方向に遊びを持った状態に取り付けられる。これにより、ストッパ72を鞍71に既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の上面に押し付けるときに、強く押し付けすぎることにより蓄積山折り用紙束4b’の上面に傷を付けてしまうことを抑止できる。
【0043】
第一移動機構73は、好ましくは、前回用紙束を停止させた位置からストッパ72を上昇させる場合、ストッパ72を用紙搬送方向下流側に移動させながら上昇させるよう構成される(図5参照)。これにより、既に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の上面にストッパ72が擦れて蓄積山折り用紙束4b’の上面に傷が付くのを抑止できる。加えて、前回用紙束の先端(搬送方向下流側の用紙束の端面)「4ba」にストッパ72が擦れて前回用紙束先端面4baが傷つくことを抑止できる。
【0044】
また、第一移動機構73は、好ましくは、今回用紙束を停止させる位置にストッパ72を下降させる場合、少なくともストッパ72が既にバッファ部70に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触するときは、ストッパ72を鉛直下方に移動させるように構成される。これにより、既にバッファ部70に蓄積されている蓄積山折り用紙束4b’の上面にストッパ72が擦れて蓄積山折り用紙束4b’の上面に傷が付くのを抑止できる。
【0045】
第一移動機構73は、さらに好ましくは、ストッパ72を下降させるときと上昇させるときとで、ストッパ72が同一の軌道を描くようにストッパ72を移動させるよう構成される。これにより、第一移動機構73を比較的単純な構成にできる。
【0046】
例えば第一移動機構73を、ストッパ72の姿勢を維持したまま、かつ、ストッパ72の各部位が同一半径の円弧軌道を描くように、ストッパ72を移動させるように構成してもよい。より具体的には、第一移動機構73は、ストッパ72の各部位が描く各円弧軌道の中心が、傾斜面72aが第一傾斜ガイド面77a、第二傾斜ガイド面78a及びそれらの延長面上にあるときの各部位と実質的に同じ高さ位置に位置するように構成されてもよい。この場合、第一移動機構73を比較的単純な構成にできる。例えば、第一移動機構73を、主に、モータと、モータの回転をストッパ72に伝える接続部材とで構成できる。また、ストッパ72は、上昇する際は用紙搬送方向下流側に移動しながら上昇し、下降する際は少なくとも蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触する瞬間は実質的に鉛直下方に下降する(円弧軌道の接線は鉛直下方を向く)ため、上述したようにストッパ72が蓄積山折り用紙束4b’の上面や先端に擦れてそれらに傷が付くのを抑止できる。
【0047】
ストッパ72の各部位が描く各円弧軌道の中心について、傾斜面72aが上述の延長面上にあるときの各部位と「実質的に」同じ高さ位置とは、ストッパ72の傾斜面72aが蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触する瞬間にストッパ72が実質的に鉛直下方に下降する高さ位置を意味する。このため、必ずしも傾斜面72aが上述の延長面上にあるときの各部位と同じ高さ位置であることを意味しない。また、ストッパ72の傾斜面72aが蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触する瞬間にストッパ72が「実質的に」鉛直下方に下降するとは、ストッパ72が蓄積山折り用紙束4b’の上面に擦れることが問題とならない程度に、ストッパ72が鉛直下方に対して傾斜している方向に下降することを許容することを意味する。このため、必ずしもストッパ72の傾斜面72aが蓄積山折り用紙束4b’の上面に接触する瞬間にストッパ72が鉛直下方に下降することを意味しない。
【0048】
ジョガー76は、山折り用紙束4bがバッファ部70に搬入されてストッパ72で停止されるたびに、山折り用紙束4bの後端を押して山折り用紙束4bの後端をそれ以前に搬入された蓄積山折り用紙束4b’の後端に揃える。
【0049】
1冊分の蓄積山折り用紙束4b’がバッファ部70に蓄積されると、第一移動機構73は蓄積山折り用紙束4b’の移動を阻害しない位置にストッパ72を移動させ、綴じ部搬送機構65は蓄積山折り用紙束4b’を綴じ部80に搬送する。
【0050】
図10は、製本システム10の制御系を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSI(大規模集積回路)などにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0051】
製本システム10はさらに、第一丁合制御部150A、第二丁合制御部150B、第三丁合制御部150C(以下、特に区別しない場合には「丁合制御部150」と呼ぶ)、整合制御部152、折り制御部154、綴じ制御部156、小口断裁制御部158及び天地断裁制御部160を備える。第一丁合制御部150A、第二丁合制御部150B、第三丁合制御部150C、整合制御部152、折り制御部154、綴じ制御部156、小口断裁制御部158及び天地断裁制御部160は、それぞれ、第一丁合装置12A、第二丁合装置12B、第三丁合装置12C、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22に搭載されて各装置を制御するサブシステム制御部である。
【0052】
統合制御装置26は、処理内容取得部200と、スタート指示取得部202と、を有する。処理内容取得部200は、ディスプレイ30に各種の設定画面を表示し、冊子に含める用紙の用紙サイズや、給紙部に積載する用紙についての設定等の入力を取得する。例えば処理内容取得部200は、後述の図11の基本設定画面や図13の給紙設定画面に入力された情報を取得する。
【0053】
丁合装置12の棚40のそれぞれに、用紙サイズを検知する用紙サイズセンサが設けられてもよい。この場合、丁合制御部150が、用紙サイズセンサの検知結果を取得して用紙サイズを特定し、特定した用紙サイズを統合制御装置26に出力し、処理内容取得部200が、丁合制御部150が出力した用紙サイズを取得すればよい。
【0054】
スタート指示取得部202は、ディスプレイ30にスタートボタンを表示させる。ユーザーは、スタートボタンをクリックすることにより製本処理の開始を指示できる。スタート指示取得部202は、スタートボタンがクリックされると、製本処理の開始要求を取得する。サブシステム制御部は、統合制御装置26のスタート指示取得部202が製本処理の開始要求を取得すると、各装置の制御部に、スタート信号や、各装置を作動させるための作動信号を送信する。
【0055】
第一丁合制御部150A~第三丁合制御部150Cはそれぞれ、第一丁合装置12A~第三丁合装置12Cを制御する。具体的には丁合制御部150は、丁合装置12の給紙機構42、垂直搬送機構44及び水平搬送機構46などの各機構の作動を制御する。
【0056】
整合制御部152は、整合用紙サイズ取得部204及びガイド制御部206を備える。整合用紙サイズ取得部204は、統合制御装置26から用紙サイズを取得する。
【0057】
ガイド制御部206は、第一ガイド56及び第二ガイド58の移動を制御する。ガイド制御部206は、第一ガイド56と第二ガイド58との間隔が、整合用紙サイズ取得部204が取得した用紙束4aの幅方向の長さよりも広い状態に、第一ガイド56及び第二ガイド58を待機させる。第一ガイド56と第二ガイド58との間に用紙束が搬送されると、ガイド制御部206は、第一ガイド56と第二ガイド58との間隔が用紙束4aの幅方向の長さとなるように、第一ガイド56及び第二ガイド58の少なくとも一方を移動させる。
【0058】
折り制御部154は、折り装置16の各機構の作動を制御する。
【0059】
綴じ制御部156は、綴じ用紙サイズ取得部220、バッファ制御部222、綴じ制御部224、折り畳み制御部226及び綴じ部搬送制御部228を備える。綴じ用紙サイズ取得部220は、統合制御装置26から用紙サイズを取得する。バッファ制御部222は、第一移動機構73、第二移動機構74及びジョガー76の作動を制御する。バッファ制御部222は特に、綴じ用紙サイズ取得部220が取得した山折り用紙束4bの搬送方向のサイズに応じた位置にストッパ72を移動させるように、第一移動機構73及び第二移動機構74を制御する。
【0060】
綴じ制御部224は、綴じ部80による綴じ処理を制御する。折り畳み制御部226は、折り畳み部90による折りたたみ処理を制御する。綴じ部搬送制御部228は綴じ部搬送機構65による山折り用紙束4bの搬送を制御する。
【0061】
小口断裁制御部158、天地断裁制御部160はそれぞれ、小口断裁装置20の各機構、天地断裁装置22の各機構の作動を制御する。
【0062】
図11図13は、処理内容取得部200が提供する設定画面を示す。
図11は、基本設定画面を示す。基本設定画面では、用紙サイズや製本スタイルなどの基本設定を行う。マルチサイズチェックボックス302は、冊子に異なる用紙サイズの用紙を含めるときにチェックされる。一覧表示欄304には、冊子に含める用紙種別の一覧が表示される。用紙サイズ追加アイコン306をクリックすると、図12で後述する用紙サイズ設定画面が表示され、冊子に含める用紙種別の用紙サイズを設定できる。上移動アイコン308、下移動アイコン310、または削除アイコン312をクリックすると、一覧において選択した用紙種別を上に移動、下に移動、または削除できる。ユーザーは、一覧に表示される用紙種別の表示順が出来上がりの冊子を構成する用紙種別の順になるように設定する。プレビュー欄314には、設定した各用紙サイズの用紙を重ねた状態を示す模式図が表示される。
【0063】
図12は、用紙サイズ設定画面を示す。用紙サイズ設定画面は、上述したように基本設定画面の用紙サイズ追加アイコン306をクリックすると表示される。用紙サイズ欄320には定型の用紙サイズが表示される。これをクリックして用紙サイズを選択する。また、用紙サイズプレビュー欄322の数字(点線で囲んだ箇所)をクリックするとテンキーが表示され、任意のサイズを入力できる。
【0064】
図13は、給紙設定画面を示す。給紙部名欄330には、給紙部を識別する番号が表示される。ここでは「1」~「30」の番号が表示されている。「1」~「10」の番号は第一丁合装置12Aの十個の給紙部に対応する。「11」~「20」の番号は第二丁合装置12Bの十個の給紙部に対応する。「21」~「30」は、第三丁合装置12Cの十個の給紙部に対応する。以降、「1」~「30」の番号が振られた給紙部を、給紙部「1」~「30」と呼ぶ。
【0065】
用紙種別欄332には、丁合装置12の棚40のそれぞれに積載されているあるいは積載される予定の用紙の用紙種別を設定する。デフォルトでは、各棚の用紙種別には、図11の基本設定画面で設定した用紙種別が当該設定画面で設定した順に、すなわち設定画面の一覧表示欄304に表示されている順に、適当に割りあてられる。必要に応じてユーザーは、用紙種別の境界を示す境界バー336を選択した上で、給紙設定上移動アイコン338または給紙設定下移動アイコン340をクリックして境界バー336を上または下に移動させることにより、適当に割りあてられた用紙種別を変更する。例えば、図示の例では、「Sheet 3」と「Sheet 4」の間(給紙部「8」と給紙部「9」との間)の境界バー336が選択されており、給紙設定上移動アイコン338を一回クリックすると給紙部「9」と給紙部「10」との間に境界バー336が移動し、給紙部「8」の用紙種別が「Sheet 3」に、給紙部「9」の用紙種別が「Sheet 4」にそれぞれ変更される。このようにして、給紙設定画面では、図11の基本設定画面で設定した各用紙種別の用紙が丁合装置12のどの給紙部に積載されているかあるいは積載される予定であるかを設定する。
【0066】
グループ設定チェックボックス334には、給紙部のグループ分けの設定が入力される。具体的には、番号が小さい給紙部から順に、グループ設定チェックボックス334がチェックされた給紙部から次にチェックされた給紙部の一つ下の給紙部までが同じグループとなる。図示の例では、給紙部は以下の六つのグループに分けられている。
・給紙部「1」、「2」
・給紙部「3」、「4」
・給紙部「4」、「5」
・給紙部「5」、「6」
・給紙部「7」、「8」
・給紙部「9」、「10」、「11」、「12」
【0067】
丁合装置12は、同一のグループに属する給紙部から給紙される用紙を重ねて送り出すよう構成される。
したがって、上述のようにグループ分けされている場合、以下の制御が行われる。
丁合装置12は、まず給紙部「1」、「2」の各給紙部から給紙して重ね合わせて用紙束を作成し、それを方向変換装置14に送り出す。次に、給紙部「3」、「4」の各給紙部から給紙して重ね合わせて用紙束を作成し、それを方向変換装置14に送り出す。次に、給紙部「5」、「6」の各給紙部から給紙して重ね合わせて用紙束を作成し、それを方向変換装置14に送り出す。次に、給紙部「7」、「8」の各給紙部から給紙して重ね合わせて用紙束を作成し、それを方向変換装置14に送り出す。次に給紙部「9」~「12」の各給紙部から給紙して重ね合わせて用紙束を作成し、それを方向変換装置14に送り出す。中綴じ装置18では、これら五つの用紙束が積載され、冊子が作成される。
【0068】
処理内容取得部200は、用紙サイズに基づいて給紙部を自動でグループ分けする。具体的には、処理内容取得部200は、同一の用紙種別の用紙が積載される隣接する給紙部を同じグループに設定し、異なる用紙種別の用紙が積載される給紙部を異なるグループに設定する。したがって、処理内容取得部200は、同一の用紙種別の用紙が積載される隣接する給紙部のうちの一番下の給紙部のグループ設定チェックボックス334を自動でチェックする。ここでの「隣接する」には、丁合装置を跨って隣接する場合も含まれる。具体的には、給紙部「10」と給紙部「11」との組み合わせや、給紙部「20」と給紙部「21」との組み合わせは、隣接する給紙部の組み合わせに該当する。
【0069】
また、ユーザーの入力により、同一の用紙種別の用紙が積載される隣接する給紙部を、別々のグループに分けることもできる。上述したように、折り装置16の筋付け機構60では用紙束に折り筋を付けるが、用紙束が所定の閾値厚さ以上だと、的確に折り筋を付けることができない場合がある。そこでユーザーは、用紙束の厚さが閾値厚さ未満となるように、同一の用紙種別の用紙が積載される隣接する給紙部を適宜別々のグループに分ければよい。図示の例では、給紙部「7」のグループ設定チェックボックス334をチェックすることにより、用紙種別が「Sheet 3」の用紙が積載されている給紙部を、給紙部「5」及び「6」のグループと給紙部「7」及び「8」のグループに分けている。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、異なる用紙サイズを含む冊子を作成できるように、各給紙部による用紙の送り出しを設定できる。また、異なる用紙サイズの用紙を的確に、具体的には後端が揃うように、重ねることができる。つまり、本実施形態によれば、異なる用紙サイズを含む冊子を作成できる。
【0071】
以上、本実施形態に係る製本システム10について説明した。この実施形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0072】
〔変形例1〕
実施形態では、前回用紙束の用紙サイズと今回用紙束の用紙サイズが異なる場合に、用紙サイズに応じた位置にストッパ72を移動させる場合について説明したが、これに限定されない。前回用紙束とは先端位置が異なる位置に今回用紙束を停止させる場合であれば、前回用紙束と今回用紙束の用紙サイズが同じであっても、実施形態の技術思想を適用できる。
【0073】
〔変形例2〕
実施形態では、処理内容取得部200が用紙サイズに基づいて給紙部を自動でグループ分けする場合について説明したが、これには限定されない。ユーザーの入力のみにより、給紙部がグループ分けされてもよい。この場合、処理内容取得部200は、異なる用紙サイズの用紙が積載される給紙部を同一のグループに設定することを禁止してもよい。具体的には、処理内容取得部200は、同一の用紙種別の用紙が積載される隣接する給紙部のうちの一番下の給紙部のグループ設定チェックボックス334を、チェック不可能にしてもよい。
【0074】
〔変形例3〕
実施形態では、それぞれの給紙部38に対して、その棚40に積載されるあるいは積載される予定の用紙の用紙種別であって用紙サイズが設定された用紙種別を設定する場合について説明したが、これには限定されない。例えば、それぞれの給紙部38に対して、その棚40に積載されるあるいは積載される予定の用紙の用紙サイズを直接設定してもよい。
【0075】
上述したように、本実施形態の製本システム10は、一つの冊子に異なる用紙サイズの用紙を含める製本(以下、「マルチサイズ製本」という)を行うことができる。
図14は、製本システム10を用いてマルチサイズ製本を行って製本した冊子(マルチサイズ冊子100)の一例を模式的に示した斜視図である。
マルチサイズ製本では、サイズが異なる用紙束4a同士は、丁合装置12から方向変換装置14への用紙の供給タイミングを異ならせる。そして、第一ガイド面56aと第二ガイド面58aとの距離「W」(図3参照)が各サイズの用紙束4aの幅方向の長さに合うように、且つ、第一ガイド面56aと第二ガイド面58aとの幅方向の中央を折り基準線Lが通るように、折り装置16に搬出する前の用紙束4aの位置決めを行う。具体的には、それぞれの用紙束4aの幅方向の長さに応じて、用紙束4aの位置決め時の第一ガイド56と第二ガイド58との両方の位置を変更する。このとき、第一ガイド面56aから折り基準線Lまでの距離と、第二ガイド面58aから折り基準線Lまでの距離とが、実質的に同じ距離となるように、用紙束4aの位置決め時の第一ガイド56と第二ガイド58との位置を折り基準線Lを挟んで逆方向に変更する。そして、サイズ毎に折り装置16での折り処理を行い、バッファ部70で重ねる。それぞれ幅方向の中央部に折り目が形成されたサイズの異なる用紙を重ねた用紙束に対して綴じ処理を施すことで、図14に示すように複数種類のサイズの用紙を纏めたマルチサイズ冊子100を作成するマルチサイズ製本を行うことができる。
【0076】
〔インデックス製本〕
本実施形態の製本システム10は、小口側の用紙の端部を階段状にずらし、この階段状にずらした各ページの小口側の端部近傍を上方から一目で視認できる冊子を作成する製本(以下、「インデックス製本」という)を行うことができる。
図15は、製本システム10を用いてインデックス製本を行って製本した冊子(インデックス冊子300)の一例を模式的に示した斜視図である。
【0077】
図16は、インデックス製本を行うときの方向変換装置14近傍の上面図である。
図16は、同サイズの三つの用紙束4a(4a1~4a3)でインデックス製本を行う場合を示している。インデックス製本を行うときの用紙束4aの数は、三つに限らず、二以上であればよい。
【0078】
図16(a)は、三つの用紙束4aのうち最初に搬送する第一用紙束4a1の搬送時の説明図、図16(b)は、三つの用紙束4aのうち二番目に搬送する第二用紙束4a2の搬送時の説明図、図16(c)は、三つの用紙束4aのうち最後に搬送する第三用紙束4a3の搬送時の説明図である。
インデックス製本を行うときには、用紙束4aの位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の距離を一定(用紙束4aの幅方向の長さ「W0」)としたまま、第一ガイド56の第一ガイド面56aから折り基準線Lまでの距離(L1~L3)を異ならせるように、位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の位置を折り基準線Lに対して同方向に変更する。このように、用紙束4a毎に位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の位置を変更することで、用紙束4aの位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の幅方向の中央部(図中一点鎖線で示す仮想線。以下、「ガイド中央線GC」という。)と折り基準線Lとの距離(d1~d3)を、用紙束4a毎に異ならせる。
【0079】
第一用紙束4a1の搬送時には、図16(a)に示すように、第一ガイド面56aから折り基準線Lまでの距離が用紙束4aの幅方向の長さの半分(W0/2)よりも少し短い距離「L1」となるように二つのガイド部材(56、58)の動作を制御する。これにより、第一用紙束4a1の位置決め時のガイド中央線GCの位置が、折り基準線Lに対して幅方向に、図16(a)中の距離「d1」だけずれた位置となる。二つのガイド部材(56、58)で位置決めをした第一用紙束4a1を折り装置16に搬出し、折り装置16で折り目をつける。このとき、第一用紙束4a1の折り目は、幅方向の中央部に対して距離「d1」だけずれた位置となる。折り目を付けた第一用紙束4a1は、折り目が頂点となるようにバッファ部70の鞍71に掛けた状態で停止させる。
【0080】
第二用紙束4a2の搬送時には、図16(b)に示すように、第一ガイド面56aから折り基準線Lまでの距離が上述した距離「L1」よりもさらに短い距離「L2」となるように二つのガイド部材(56、58)の動作を制御する。これにより、第二用紙束4a2の位置決め時のガイド中央線GCの位置が、折り基準線Lに対して図16(b)中の距離「d2(d2>d1)」だけずれた位置となる。二つのガイド部材(56、58)で位置決めをした第二用紙束4a2を折り装置16に搬出し、折り装置16で折り目をつける。このとき、第二用紙束4a2の折り目は、幅方向の中央部に対して距離「d2」だけずれた位置となる。折り目を付けた第二用紙束4a2は、折り目が頂点となるように、且つ、先に停止している第一用紙束4a1と折り目が重なるように、バッファ部70の鞍71に掛けた状態で停止させる。
【0081】
第三用紙束4a3の搬送時には、図16(c)に示すように、第一ガイド面56aから折り基準線Lまでの距離が上述した距離「L2」よりもさらに短い距離「L3」となるように二つのガイド部材(56、58)の動作を制御する。これにより、第三用紙束4a3の位置決め時のガイド中央線GCの位置が、折り基準線Lに対して図16(c)中の距離「d3(d3>d2)」だけずれた位置となる。二つのガイド部材(56、58)で位置決めをした第三用紙束4a3を折り装置16に搬出し、折り装置16で折り目をつける。このとき、第三用紙束4a3の折り目は、幅方向の中央部に対して距離「d3」だけずれた位置となる。折り目を付けた第三用紙束4a3は、折り目が頂点となるように、且つ、先に停止している第一用紙束4a1及び第二用紙束4a2と折り目が重なるように、バッファ部70の鞍71に掛けた状態で停止させる。
【0082】
図17は、第三用紙束4a3をバッファ部70で停止させたときのバッファ部70を搬送方向上流側から見た説明図である。
幅方向の中央部に対する折り目のずれ量が互いに異なる三つの用紙束4aを、折り目が重なるようにバッファ部70で蓄積することで、図17に示すように、用紙束4aの端部が階段状となるように重なったインデックス用紙束4dを作成する。
インデックス用紙束4dを綴じ部80に送って折り目上で綴じる中綴じを施し、折り畳み部90で折り畳み、必要に応じて天地断裁装置22で天地を断裁することで、図15に示すインデックス冊子300を作成することができる。
【0083】
本実施形態では、インデックス用紙束4dを中綴じしてインデックス冊子300を作成するため、図15に示すように、綴じ針301は冊子の背の部分に位置する。綴じ処理としては中綴じに限らず、インデックス用紙束4dの折り目近傍で平綴じしてもよい。また、綴じ処理を行わず、インデックス用紙束4dの状態で出力してもよい。
【0084】
図18は、本実施形態の製本システム10の製本処理のフローチャートである。
図18を用いて、図16に示すインデックス製本の制御フローを説明する。
ユーザーがインデックス製本の設定を行い、スタートを押すと、ガイド部材(56、58)の位置を第一用紙束4a1(シート材)に対応した位置に移動させる(S1)。具体的には、第一ガイド56を図16(a)の位置とし、第二ガイド58は図16(a)に示す位置よりも丁合装置12側の位置とする。
【0085】
次に、丁合装置12から第一用紙束4a1を方向変換装置14に搬入する(S2)と、第一用紙束4a1は第一ガイド面56aに突き当たり、二つのガイド部材(56、58)の間で停止する。次に、第二ガイド58を図16(a)に示す位置まで、一回または複数回移動させて第一用紙束4a1の幅方向の位置決めを行う(S3)。次に、第一用紙束4a1を方向変換装置14から搬出し(S4)、折り装置16での折り処理を行い(S5)、バッファ部70に重ねる蓄積処理を行う(S6)。
【0086】
第一用紙束4a1をバッファ部70に重ねた状態では一冊分の蓄積は済んでいないため(S7で「No」)、再びガイド部材(56、58)を移動し(S1)、第一用紙束4a1(先行のシート材)のときとは異なる第二用紙束4a2(後続のシート材)に対応した位置とする。具体的には、第一ガイド56を図16(b)の位置とし、第二ガイド58は図16(b)に示す位置よりも丁合装置12側の位置とする。このガイド部材移動時の二つのガイド部材(56、58)の位置は、第一用紙束4a1のときよりも丁合装置12側の位置となる。
【0087】
次に、第二用紙束4a2を方向変換装置14に搬入し(S2)、幅方向の位置決めを行う(S3)。
このとき、幅方向における用紙束4aの中央部(ガイド中央線GCの位置)に対する折り目の位置(折り基準線Lの位置)のずれ量が、先行の第一用紙束4a1では「d1」であったのに対して、後続の第二用紙束4a2では「d1」よりも大きい値の「d2」となる。
また、先行の第一用紙束4a1と後続の第二用紙束4a2とで、幅方向における第一ガイド面56aから第二ガイド面58aまでの距離が「W0」で一定で、第一ガイド面56aから折り目の位置(折り基準線Lの位置)までの距離が異なる。具体的には、第一ガイド面56aから折り目の位置(折り基準線Lの位置)までの距離が先行の第一用紙束4a1では「L1」であったのに対して、第二用紙束4a2では「L1」よりも小さい値の「L2」となる。
【0088】
次に、第二用紙束4a2を方向変換装置14から搬出し(S4)、折り処理を行って(S5)、バッファ部70に重ねる(S6)。
このとき、バッファ部70には、中央部に対する折り目の位置が互いに異なり、且つ、幅方向の一方の端部から折り目までの距離も互いに異なる、第一用紙束4a1と第二用紙束4a2と第三用紙束4a3とが蓄積された状態となる。
【0089】
第二用紙束4a2をバッファ部70に重ねた状態でも一冊分の蓄積は済んでいない(S7で「No」)。このため、再びガイド部材(56、58)を移動し(S1)、第一用紙束4a1のときとも、第二用紙束4a2(先行のシート材)のときとも異なる第三用紙束4a3(後続のシート材)に対応した位置とする。具体的には、第一ガイド56を図16(c)の位置とし、第二ガイド58は図16(c)に示す位置よりも丁合装置12側の位置とする。このガイド部材移動時の二つのガイド部材(56、58)の位置は、第二用紙束4a2のときよりもさらに丁合装置12側の位置となる。
【0090】
次に、第三用紙束4a3を方向変換装置14に搬入し(S2)、幅方向の位置決めを行う(S3)。
このとき、幅方向における用紙束4aの中央部(ガイド中央線GCの位置)に対する折り目の位置(折り基準線Lの位置)のずれ量が、先行の第二用紙束4a2では「d2」であったのに対して、後続の第三用紙束4a3では「d2」よりもさらに大きい値の「d3」となる。
また、先行の第二用紙束4a2と後続の第三用紙束4a3とで、幅方向における第一ガイド面56aから第二ガイド面58aまでの距離が「W0」で一定で、第一ガイド面56aから折り目の位置(折り基準線Lの位置)までの距離が異なる。具体的には、第一ガイド面56aから折り目の位置(折り基準線Lの位置)までの距離が先行の第二用紙束4a2では「L2」であったのに対して、第三用紙束4a3では「L2」よりもさらに小さい値の「L3」となる。
【0091】
次に、第三用紙束4a3を方向変換装置14から搬出し(S4)、折り処理を行って(S5)、バッファ部70に重ねる(S6)。
このとき、バッファ部70には、図17に示すように、中央部に対する折り目の位置が互いに異なり、且つ、幅方向の一方の端部から折り目までの距離も互いに異なる、第一用紙束4a1と第二用紙束4a2と第三用紙束4a3とが蓄積された状態となる。
【0092】
第三用紙束4a3をバッファ部70に重ねた状態で一冊分の蓄積済みとなるため(S7で「Yes」)、バッファ部70に蓄積されたインデックス用紙束4dをバッファ部70から搬出し(S8)、綴じ部80に送る。綴じ処理を行う場合には(S9で「Yes」)、綴じ部80で中綴じを施し(S10)、折り畳み部90で折り畳む(S11)。次に、小口断裁装置20に搬送し、必要に応じて(S12で「Yes」)小口断裁処理(S13)を行い、天地断裁装置22に搬送する。そして、必要に応じて(S14で「Yes」)天地断裁装置22で天地を断裁する(S15)ことで、図15に示すインデックス冊子300を作成する。
小口断裁の必要な場合としては、例えば、インデックス用紙束4dの最も外側のシート材(第三用紙束4a3)が複数枚のシートからなり、折り畳むことで小口側の端部が揃わない場合がある。また、最も外側のシート材の枚数に関わらず、冊子のサイズを調整するために小口断裁を行ってもよい。
【0093】
図18に示すフローチャートでは、先行するシート材の蓄積処理後(S6)に一冊分の蓄積済みか否かの判断を行い(S7)、否であれば(S7で(No))後続のシート材に合わせてガイド部材を移動させる(S1)フローとなっている。
後続のシート材に合わせてガイド部材を移動させる制御としては、先行するシート材を方向変換装置14から排出(S4)後に、排出したシート材が一冊分を作成する最後のシート材か否かの判断を行い、否であれば、後続のシート材に合わせてガイド部材を移動させる制御としてもよい。この制御であれば、先行のシート材の折り処理及び蓄積処理と並行して、後続のシート材のガイド部材の移動及び方向変換装置14への搬入等を行うことができ、処理時間の短縮を図ることができる。
【0094】
次に、インデックス製本の設定について説明する。
本実施形態では、図11を用いて説明したマルチサイズ製本の設定画面を用いてインデックス製本の設定を行う。インデックス製本の設定画面としては、マルチサイズ製本の設定画面とは別に、インデックス製本用の設定画面を表示する構成としてもよい。
図19図23は、インデックス製本の設定画面の説明図である。これらの設定画面中の「Sheet 1」、「Sheet 2」及び「Sheet 3」は、図15図17中の第一用紙束4a1、第二用紙束4a2及び第三用紙束4a3にそれぞれ対応する。以下の説明では、一例として用紙束4aの用紙サイズがA4である場合について説明するが、他の用紙サイズであっても同様にインデックス製本を行うことができる。
【0095】
図19は、インデックス製本の設定開始時の設定画面の説明図である。
マルチサイズチェックボックス302にチェックを入れてマルチサイズモードとし、一覧表示欄304にA3サイズのタブを三つ作成する。これにより、プレビュー欄314に「Sheet 1」から「Sheet 3」までのイメージが生成される。図19では、用紙の幅方向の一方(図中の左側)の端部から破線で示す折り目までの距離を示す数値が用紙幅(420.0[mm])の半分の長さである「210.0[mm]」となっている。用紙の幅方向の中央部に折り目を付ける場合は、この数値が用紙幅の半分の値となる。図19図23に示す設定画面中の用紙の幅方向の一方の端部から折り目までの長さは、第一ガイド面56aから折り基準線Lまでの距離となる。
【0096】
図20は、第三用紙束4a3の折り目の位置を設定する画面の説明図である。
上移動アイコン308や下移動アイコン310を操作して、一覧表示欄304の「Sheet 3」を選択する。
次に、プレビュー欄314の用紙の幅方向の一方の端部から折り目までの距離を示す数値(図19中の「210.0mm」)をクリックすると、折り目の位置を入力できるテンキーが表示される。このテンキーで「160」と入力することで、プレビュー欄314における「Sheet 3」を示すイメージの幅方向の一方の端部から折り目までの距離を示す数値が、図20に示すように「160.0mm」となる。この「Sheet 3」の幅方向の一方の端部から折り目までの距離である「160.0mm」は、図16(c)に示す距離「L3」の値となる。
【0097】
図21は、第二用紙束4a2の折り目の位置を設定する画面の説明図である。
上移動アイコン308や下移動アイコン310を操作して、一覧表示欄304の「Sheet 2」を選択する。
次に、プレビュー欄314の用紙の幅方向の一方の端部から折り目までの距離を示す数値をクリックし、折り目の位置を入力できるテンキーで「180」と入力する。これにより、プレビュー欄314における「Sheet 2」を示すイメージの幅方向の一方の端部から折り目までの距離を示す数値が、図21に示すように「180.0mm」となる。この「Sheet 2」の幅方向の一方の端部から折り目までの距離である「180.0mm」は、図16(b)に示す距離「L2」の値となる。
【0098】
図22は、第一用紙束4a1の折り目の位置を設定する画面の説明図である。
上移動アイコン308や下移動アイコン310を操作して、一覧表示欄304の「Sheet 1」を選択する。
次に、プレビュー欄314の用紙の幅方向の一方の端部から折り目までの距離を示す数値をクリックし、折り目の位置を入力できるテンキーで「160」と入力する。これにより、プレビュー欄314における「Sheet 1」を示すイメージの幅方向の一方の端部から折り目までの距離を示す数値が、図22に示すように「200.0mm」となる。この「Sheet 1」の幅方向の一方の端部から折り目までの距離である「200.0mm」は、図16(a)に示す距離「L1」の値となる。
【0099】
図23は、インデックス製本の製本イメージを表示する画面の説明図である。
プレビュー欄314の二つのタブ(「Paper」と「Finished Size」)のうちの「Paper」のタブが選択された状態で、図19図22の設定画面で、第一用紙束4a1~第三用紙束4a3の折り目の位置を設定した後、「Finished Size」のタブを選択することで図23に示す製本イメージを確認することができる。
製本イメージを確認後、製本システムの製本スタート操作を行うことで、インデックス製本を開始することができる。
【0100】
上述したインデックス製本の設定に基づいて作成されたインデックス冊子300の各段差の幅「dW」(図15参照)は、「20[mm]」で一定となっている。このように段差の幅を一定にするには、次のように設定する。
冊子となったときに最も内側のページを形成する第一用紙束4a1の折り目の位置の設定で、一方の端部から折り目までの距離は、用紙幅(420[mm])の半分(210[mm])の値から所望の段差の幅「dW」(20[mm])の半分(10[mm])を引いた値(210[mm]-10[mm]=200[mm])に設定する。次に、冊子となったときに一つ外側のページを形成する第二用紙束4a2の折り目の位置の設定で、一方の端部から折り目までの距離は、一つ内側のページを形成する第一用紙束4a1の一方の端部から折り目までの距離(200[mm])から所望の段差の幅「dW」(20[mm])を引いた値(180[mm])に設定する。同様に、外側のページを形成する用紙束4aほど、一方の端部から折り目までの距離が所望の段差の幅「dW」(20[mm])分短くなるように設定することで、作成したインデックス冊子300の段差の幅「dW」を一定にすることができる。
【0101】
ここでは、図20図22で示すように、一方の端部から折り目までの距離が用紙幅の半分の長さよりも短い値を入力する設定について説明したが、用紙幅の半分の長さよりも長い値を入力することができる。この場合、第一用紙束4a1の折り目の位置の設定で、一方の端部から折り目までの距離は、用紙幅(420[mm])の半分(210[mm])の値に所望の段差の幅「dW」(20[mm])の半分(10[mm])を加えた値(210[mm]+10[mm]=220[mm])に設定する。次に、冊子となったときに一つ外側のページを形成する第二用紙束4a2の折り目の位置の設定で、一方の端部から折り目までの距離は、一つ内側のページを形成する第一用紙束4a1の一方の端部から折り目までの距離(220[mm])に所望の段差の幅「dW」(20[mm])を加えた値(240[mm])に設定する。同様に、外側のページを形成する用紙束4aほど、一方の端部から折り目までの距離が所望の段差の幅「dW」(20[mm])分長くなるように設定することで、作成したインデックス冊子300の段差の幅「dW」を一定にすることができる。
【0102】
インデックス製本の設定としては、ユーザーが所望の段差の幅「dW」を設定することにより、入力された段差の幅「dW」を有するインデックス用紙束4dが形成されるように、各々の用紙束4aの折り目位置が自動設定されるようにしてもよい。この場合、さらに、インデックス冊子300形成後に段差が露出する面を、表裏のどちら側とするか、を設定可能としてもよい。
【0103】
図24は、上述した第一用紙束4a1~第三用紙束4a3までをバッファ部70に蓄積した後に、さらに、カバー用紙4fを積載した状態のバッファ部70を搬送方向上流側から見た説明図である。
カバー用紙4fは、幅方向の中央部で折り目を付けており、幅方向の端部から折り目までの長さが、第三用紙束4a3の幅方向の端部から折り目までの長さが長い方よりも長い。すなわち、カバー用紙4fは、第一用紙束4a1~第三用紙束4a3を形成する用紙とはサイズが異なり、幅方向の長さが長い用紙である。
【0104】
図25は、表紙付きのインデックス冊子300の斜視図であり、図25(a)は表紙を閉じた状態を示し、図25(b)用紙を開いた状態を示す。
図24に示すように、カバー用紙4fを追加したインデックス用紙束を、綴じ部80で中綴じを施し、折り畳み部90で折り畳み、必要に応じて、小口断裁装置20での小口断裁や天地断裁装置22での天地断裁を行う。これにより、図25に示すような、表紙付きのインデックス冊子300を作成することができる。
【0105】
上述したインデックス製本では、先行のシート材と後続のシート材とのように、折り目が付けられるタイミングが異なるシート材として、複数枚の用紙を束ねた用紙束4a(4a1~4a3)である場合について説明した。本発明を適用する製本システム10等が折り目を付けて束ねるシート材は、用紙束に限らず、一枚の用紙でもよい。上述した実施形態では、三つの用紙束4a(4a1~4a3)のうちの少なくとも一つの用紙束4aの代わりに一枚の用紙を搬送し、折り目を付け、他の用紙(または用紙束)と折り目が重なるようにバッファ部70で蓄積する構成としてもよい。また、上述したマルチサイズ製本や他の一般的な製本においても同様に、複数の用紙束4aのうちの少なくとも一つの用紙束4aの代わりに一枚の用紙を搬送し、折り目を付け、他の用紙(または用紙束)と折り目が重なるようにバッファ部70で蓄積する構成としてもよい。
【0106】
上述したように、本実施形態の製本システム10は、方向変換装置14の二つのガイド部材(56、58)の動作を制御することによって、中央部に折り目を付けた同じサイズの用紙束を纏める一般的な製本のみだけでなく、上述したマルチサイズ製本やインデックス製本を実行することができる。
上述したインデックス製本では、方向変換装置14に搬入されてくるタイミングが異なる用紙束4a毎に、用紙束4aの位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の位置を異ならせることで、製本後の小口側の端部に段差を形成する構成を実現している。製本後の小口側の端部に段差を形成する構成としては、位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の位置を異ならせる構成に限らず、この二つのガイド部材の位置に対する折り基準線Lの位置を変更する構成としてもよい。この構成の場合、方向変換装置14に対して折り装置16を幅方向に移動させる構成となり、折り目の位置を変更するために移動させる機構が大きくなる。これに対して、上述した実施形態では、位置決め時の二つのガイド部材(56、58)の位置を異ならせるのみでよく、折り目の位置を変更させるために移動させる機構を小さくすることができる。
【0107】
また、本実施形態の製本システム10では、折り位置調整手段として、二つのガイド部材(56、58)とその駆動機構を備える方向変換装置14に対して用紙束4aの搬送方向下流側に折り目形成手段である折り装置16が配置されている。本発明に係るシート処理装置の折り位置調整手段と折り目形成手段との位置関係としてはこれに限るものではない。例えば、突き当て部材にシート材を突き当てて、折ナイフや折りローラ等を用いてシート材の突き当て方向の任意の位置に折り目を付ける構成でもよい。この構成では、先行のシート材と後続のシート材とで、折り目を付ける位置から突き当て部材までの距離を変更することで、折り目に直交する方向における、シート材の一方の端部から折り目までの距離や、シート材の中央部から折り目までの距離を変更することができる。
先行のシート材と後続のシート材とで、折り目を付ける位置から突き当て部材までの距離を変更する構成としては、突き当て部材の位置を変更できる折り目形成手段で折り目を形成し、折り目を付けたシート材を下流側に搬送し、折り目の位置が異なるシート材同士を折り目が重なるように束ねて、綴じ処理を行う構成が考えられる。
【0108】
次に、先行のシート材と後続のシート材とで、折り目を付ける位置から突き当て部材までの距離を変更する他の構成を備えた参考構成例について説明する。
図26は、先行のシート材と後続のシート材とで、折り目を付ける位置から突き当て部材までの距離を変更する他の構成を備えた参考構成例のシート処理装置500の概略構成図である。
図26に示すシート処理装置500は、綴じ処理部501と折り処理部510とを備える。
図26中の矢印「α」は、綴じ処理部501の上流側の供給部から折り処理部510までのシート材S(S1~S3)の搬送方向を示す。
不図示の供給部からシート処理装置500に供給されたシート材Sは、第一突き当て部材502または第二突き当て部材504に突き当たり、綴じ処理部501に蓄積される。
綴じ処理部501で一冊分のシート材Sが蓄積されると、綴じ処理部501の綴じ機構503が、一冊分のシート材Sが蓄積されたシート束SBに対して綴じ針505を打ち込み綴じ処理を行う。
【0109】
綴じ処理後、第一突き当て部材502は図26中の矢印で示す方向に退避し、第二突き当て部材504は上方に退避することで、シート束SBは折り処理部510に向けて搬送可能となる。折り処理部510に搬送されたシート束SBは、折り処理突き当て部材511で突き当たる。この後、折ナイフ512が図26中の矢印「β」で示すように上昇し、シート束SBの綴じ針505が打ち込まれた綴じ位置に折ナイフ512の先端が突き当たり、さらに、折りローラ対513のニップ部に綴じ位置を押し込むことで、折り目の位置に綴じ処理を施した中綴じ処理を行うことができる。
【0110】
図26に示すシート処理装置500の綴じ処理部501は、突き当て部材として、シート材Sの搬送方向に対する位置が固定で、突き当たる部分がシート材Sの搬送経路の下方から突き出す構成の第一突き当て部材502と、シート材Sの搬送方向に対する位置が可変で、突き当たる部分がシート材Sの搬送経路の上方から突き当たる構成の第二突き当て部材504と、を備える。
シート束SBを形成するシート材Sのサイズが同一で、全てのシート材Sの先端を第一突き当て部材502に突き当てて、綴じ処理を行うと冊子を形成する小口側のシート材Sの端部が一般的な製本処理を行うことができる。
【0111】
次に、シート処理装置500におけるインデックス製本処理について説明する。
供給部から供給されてくるタイミングが異なるシート材Sのうち、最初に搬送されてきた第一シート材S1を第一突き当て部材502に突き当てて停止させ、次に搬送されてくる第二シート材S2が到達する前に第二突き当て部材504を第一シート材S1の上面に接触または近接する位置に下降させ、搬送されてきた第二シート材S2を第二突き当て部材504に突き当てて停止させる。次に、搬送されてくる第三シート材S3が到達する前に第二突き当て部材504を上昇させ、搬送方向上流側に移動し、第二シート材S2の上面に接触または近接する位置に下降させる。そして、搬送されてきた第三シート材S3を第二突き当て部材504に突き当てて停止させる。このように突き当て部材の位置を異ならせた複数のシート材Sによって作成されたシート束SBは図26に示すように、搬送方向の上流側の端部と下流側の端部とがともに階段状にずれた状態となる。この状態のシート束SBに対して綴じ処理を行い、綴じ位置が折り目となるように、折り処理部510で折り処理を行うことで、図15に示すようなインデックス冊子300を作成することができる。
【0112】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0113】
〔態様1〕
用紙束4a等のシート材に折り目を付ける折り装置16等の折り目形成手段と、シート材における折り目を付ける位置を調整する方向変換装置14等の折り位置調整手段と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してインデックス用紙束4d等のシート束を作成するバッファ部70等の蓄積手段と、を備える製本システム10等のシート処理装置において、折り目に直交する方向(幅方向等)におけるシート材の中央部に対する折り目の位置のずれ量(ガイド中央線GCに対する折り基準線Lのずれ量「d1」~「d3」等)が、第一用紙束4a1等の先行のシート材と第二用紙束4a2等の後続のシート材とで異なるように折り位置調整手段を制御し、蓄積手段で、中央部に対する折り目の位置が互いに異なる複数のシート材を蓄積する制御を行う統合制御装置26等の制御手段を備えることを特徴とするものである。
このシート処理装置によれば、中央部に対する折り目の位置が互いに異なる複数のシート材を、折り目が重なるように重ねて蓄積してシート束を作成することで、蓄積手段で作成されたシート束のシート材の小口側の端部を階段状にずらすことが可能となる。このようにシート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束に綴じ処理を施すことで、インデックス製本ができる。よって、態様1に係るシート処理装置は、インデックス製本に用いるシート束を作成できるという優れた効果がある。
【0114】
〔態様2〕
態様1に係るシート処理装置において、制御手段は、後続のシート材ほどずれ量を大きくする(d3>d2>d1)ように折り位置調整手段を制御することを特徴とするものである。
このシート処理装置によれば、蓄積手段で、後続のシート材ほどシート束の外側となるように蓄積する場合、シート材の中央部に対する前記折り目の位置のずれ量を後続のシート材ほど大きくすることで、シート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束を作成する構成を実現できる。
なお、先行したシート材を折り畳んだ状態で蓄積し、折り畳んだシート材の内側に、後続のシート材を折り畳んだ状態で挿入する蓄積手段を備える構成では、後続のシート材ほどずれ量を小さくするように制御する。これにより、シート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束を作成する構成を実現できる。
【0115】
〔態様3〕
用紙束4a等のシート材に折り目を付ける折り装置16等の折り目形成手段と、シート材における折り目を付ける位置を調整する方向変換装置14等の折り位置調整手段と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してインデックス用紙束4d等のシート束を作成するバッファ部70等の蓄積手段と、を備える製本システム10等のシート処理装置において、第一用紙束4a1等の先行のシート材と第二用紙束4a2等の後続のシート材とで、折り目に直交する方向(幅方向)におけるシート材の一方の端部(右側の端部)から他方の端部(左側の端部)までの距離が一定(W0等)で、一方の端部から折り目の位置までの距離(「L1」と「L2」等)が異なるように折り位置調整手段を制御し、蓄積手段で、一方の端部から折り目の位置までの距離が互いに異なる複数のシート材を蓄積する制御を行う統合制御装置26等の制御手段を備えることを特徴とするものである。
このシート処理装置によれば、一方の端部から折り目の位置までの距離が互いに異なる複数のシート材を、折り目が重なるように重ねて蓄積してシート束を作成することで、蓄積手段で作成されたシート束のシート材の小口側の端部を階段状にずらすことが可能となる。このようにシート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束に綴じ処理を施すことで、インデックス製本ができる。よって、態様3に係るシート処理装置は、インデックス製本に用いるシート束を作成できるという優れた効果がある。
【0116】
〔態様4〕
態様3に係るシート処理装置において、制御手段は、一方の端部から折り目の位置までの距離が後続のシート材ほど短くなる(L3<L2<L1)ように制御することを特徴とするものである。
このシート処理装置によれば、蓄積手段で、後続のシート材ほどシート束の外側となるように蓄積する場合、シート材の一方の端部から折り目の位置までの距離が後続のシート材ほど短くなることで、シート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束を作成する構成を実現できる。
なお、先行したシート材を折り畳んだ状態で蓄積し、折り畳んだシート材の内側に、後続のシート材を折り畳んだ状態で挿入する蓄積手段を備える構成では、後続のシート材ほど一方の端部から折り目の位置までの距離が後続のシート材ほど長くなるように制御する。これにより、シート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束を作成する構成を実現できる。
【0117】
〔態様5〕
態様1乃至4の何れか一の態様に係るシート処理装置において、折り位置調整手段は、折り目に直交する方向におけるシート材の一方の端部の位置を規制する第一ガイド56等の第一規制部材と、他方の端部の位置を規制する第二ガイド58等の第二規制部材とを備え、制御手段は、前記先行のシート材と後続のシート材とで、第一規制部材と第二規制部材との距離(W0)は変更せず、折り目の位置に対する第一規制部材及び第二規制部材の位置を変更する制御を行うことを特徴とする。
これによれば、シート材に対する折り目の位置を変更するために位置を変更する機構が、第一規制部材及び第二規制部材であり、折り目の位置を変更させるために移動させる機構を小さくすることができる。
【0118】
〔態様6〕
態様1乃至5の何れか一の態様に係るシート処理装置において、蓄積手段は、シート材の折り目が頂点となるように鞍掛けする鞍71等の鞍掛部材を備えることを特徴とする。
これによれば、蓄積手段で折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積する構成を実現できる。
【0119】
〔態様7〕
丁合装置12等の給紙手段から搬出される一冊分の用紙束4a等のシート材のうちの所定枚数のシート材(第一用紙束4a1、第二用紙束4a2及び第三用紙束4a3)を位置決めして搬出する方向変換装置14等のシート位置決め手段と、シート位置決め手段から搬出したシート材に折り目を付ける折り装置16等のシート折り目形成手段と、シート折り目形成手段から搬出したシート材を折り目が重なるように重ねて、一冊分のシート材を蓄積してインデックス用紙束4d等の一冊分のシート束を作成するバッファ部70等のシート蓄積手段と、シート蓄積手段で蓄積した一冊分のシート束に対して綴じ処理を施す綴じ部80等のシート綴じ手段と、を備える製本システム10等の製本システムにおいて、シート位置決め手段と、シート折り目形成手段と、シート蓄積手段と、を備える構成として、態様1乃至6の何れかの態様に係るシート処理装置の構成を備えることを特徴とするものである。
これによれば、インデックス製本を実行可能な製本システムを実現することができる。
【0120】
〔態様8〕
態様7に係る製本システムにおいて、シート綴じ手段は、一冊分のシート材の折り目の部分を綴じる中綴じ処理を行う構成であることを特徴とする。
これによれば、中綴じを行う製本システムで、インデックス製本を実行できる。
【0121】
〔態様9〕
給紙手段から搬出されるシート材Sの搬送方向の先端部に突き当たる第一突き当て部材502または第二突き当て部材504等の突き当て部材で突き当たったシート材を蓄積し、一冊分のシート材を蓄積したシート束SBの所定の位置に綴じ処理を行う綴じ処理部501等の蓄積綴じ手段と、蓄積綴じ手段によって綴じられたシート束の綴じ処理が施された位置が折り目となるように折り処理を施す折り処理部510等の綴じ後折り手段と、を備えるシート処理装置500において、搬送方向における突き当て部材が突き当たる位置を、先行のシート材と後続のシート材とで異ならせる制御を行うことを特徴とする。
これによれば、折り処理前に綴じ処理を行う中綴じシート処理装置で、インデックス製本を実行できる。
【0122】
〔態様10〕
用紙束4a等のシート材に折り目を付ける折り装置16等の折り目形成手段と、シート材における折り目を付ける位置を調整する方向変換装置14等の折り位置調整手段と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してシート束を作成するバッファ部70等の蓄積手段と、を備える製本システム10等のシート処理装置を制御する制御プログラムにおいて、折り目に直交する方向(幅方向等)におけるシート材の中央部に対する折り目の位置のずれ量(ガイド中央線GCに対する折り基準線Lのずれ量「d1」~「d3」等)が、第一用紙束4a1等の先行のシート材と第二用紙束4a2等の後続のシート材とで異なるように折り位置調整手段を制御し、中央部に対する折り目の位置が互いに異なる複数のシート材を蓄積手段に蓄積する制御を行うことを特徴とするものである。
このような制御プログラムをシート処理装置の制御部(統合制御装置26等)にインストールすることで、中央部に対する折り目の位置が互いに異なる複数のシート材を、折り目が重なるように重ねて蓄積してインデックス用紙束4d等のシート束を作成することができ、蓄積手段で作成されたシート束のシート材の小口側の端部を階段状にずらすことが可能となる。このようにシート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束に綴じ処理を施すことで、インデックス製本ができる。よって、態様10に係る制御プログラムを用いることで、シート処理装置によってインデックス製本に用いるシート束を作成することが可能となるという優れた効果がある。
【0123】
〔態様11〕
用紙束4a等のシート材に折り目を付ける折り装置16等の折り目形成手段と、シート材における折り目を付ける位置を調整する方向変換装置14等の折り位置調整手段と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してシート束を作成するバッファ部70等の蓄積手段と、を備える製本システム10等のシート処理装置を制御する制御プログラムにおいて、第一用紙束4a1等の先行のシート材と第二用紙束4a2等の後続のシート材とで、折り目に直交する方向におけるシート材の一方の端部から他方の端部までの距離(W0等)が一定で、一方の端部から折り目の位置までの距離(「L1」と「L2」等)が異なるように折り位置調整手段を制御し、一方の端部から折り目の位置までの距離が互いに異なる複数のシート材を蓄積手段に蓄積する制御を行うことを特徴とするものである。
このような制御プログラムをシート処理装置の制御部(統合制御装置26等)にインストールすることで、一方の端部から折り目の位置までの距離が互いに異なる複数のシート材を、折り目が重なるように重ねて蓄積してインデックス用紙束4d等のシート束を作成することができ、蓄積手段で作成されたシート束のシート材の小口側の端部を階段状にずらすことが可能となる。このようにシート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束に綴じ処理を施すことで、インデックス製本ができる。よって、態様11に係る制御プログラムを用いることで、インデックス製本に用いるシート束を作成できるという優れた効果がある。
【0124】
〔態様12〕
用紙束4a等のシート材における折り目を付ける位置を調整するガイド部材移動(S1)等の折り位置調整工程と、シート材に折り目を付ける折り処理(S5)等の折り目形成工程と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積処理(S6)等の蓄積工程と、を備える製本方法等のシート処理方法において、折り位置調整工程では、折り目に直交する方向(幅方向等)におけるシート材の中央部に対する折り目の位置のずれ量(ガイド中央線GCに対する折り基準線Lのずれ量「d1」~「d3」等)を、第一用紙束4a1等の先行のシート材と第二用紙束4a2等の後続のシート材とで異ならせ、蓄積工程では、中央部に対する折り目の位置が互いに異なる複数のシート材を蓄積してインデックス用紙束4d等のシート束を作成することを特徴とするものである。
このシート処理方法では、中央部に対する折り目の位置が互いに異なる複数のシート材を、折り目が重なるように重ねて蓄積してシート束を作成することができ、蓄積手段で作成されたシート束のシート材の小口側の端部を階段状にずらすことが可能となる。このようにシート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束に綴じ処理を施すことで、インデックス製本ができる。よって、態様12に係るシート処理方法では、インデックス製本に用いるシート束を作成することが可能となるという優れた効果がある。
【0125】
〔態様13〕
用紙束4a等のシート材における折り目を付ける位置を調整するガイド部材移動(S1)等の折り位置調整工程と、シート材に折り目を付ける折り処理(S5)等の折り目形成工程と、折り目が重なるように複数のシート材を重ねて蓄積してシート束を作成する蓄積処理(S6)等の蓄積工程と、を備える製本方法等のシート処理方法において、折り位置調整工程では、第一用紙束4a1等の先行のシート材と第二用紙束4a2等の後続のシート材とで、折り目に直交する方向におけるシート材の一方の端部から他方の端部までの距離(W0等)を一定としつつ、一方の端部から折り目の位置までの距離(「L1」と「L2」等)を異ならせ、蓄積工程では、一方の端部から折り目の位置までの距離が互いに異なる複数のシート材を蓄積してインデックス用紙束4d等のシート束を作成することを特徴とするものである。
このシート処理方法では、一方の端部から折り目の位置までの距離が互いに異なる複数のシート材を、折り目が重なるように重ねて蓄積してシート束を作成することができ、蓄積手段で作成されたシート束のシート材の小口側の端部を階段状にずらすことが可能となる。このようにシート材の小口側の端部が階段状にずれたシート束に綴じ処理を施すことで、インデックス製本ができる。よって、態様13に係るシート処理方法では、インデックス製本に用いるシート束を作成できるという優れた効果がある。
【符号の説明】
【0126】
4a :用紙束
4c :冊子
4d :インデックス用紙束
10 :製本システム
12 :丁合装置
14 :方向変換装置
16 :折り装置
18 :中綴じ装置
20 :小口断裁装置
22 :天地断裁装置
24 :ベルトスタッカ
26 :統合制御装置
28 :情報処理装置
30 :ディスプレイ
32 :入力装置
34 :丁合中継搬送装置
36 :丁合後搬送装置
38 :給紙部
56 :第一ガイド
56a :第一ガイド面
58 :第二ガイド
58a :第二ガイド面
60 :筋付け機構
61 :上ローラ
62 :下ローラ
63 :折り機構
64 :折りローラ対
65 :部搬送機構
66 :上流側ローラ
67 :下流側ローラ
68 :搬送ベルト
69 :爪
70 :バッファ部
71 :鞍
72 :ストッパ
72a :傾斜面
73 :第一移動機構
74 :第二移動機構
76 :ジョガー
77 :第一鞍部材
77a :第一傾斜ガイド面
78 :第二鞍部材
78a :第二傾斜ガイド面
80 :綴じ部
90 :折り畳み部
100 :マルチサイズ冊子
150 :丁合制御部
152 :整合制御部
154 :折り制御部
156 :綴じ制御部
158 :小口断裁制御部
160 :天地断裁制御部
200 :処理内容取得部
202 :スタート指示取得部
204 :整合用紙サイズ取得部
206 :ガイド制御部
220 :綴じ用紙サイズ取得部
222 :バッファ制御部
224 :綴じ制御部
226 :折り畳み制御部
228 :部搬送制御部
300 :インデックス冊子
301 :綴じ針
GC :ガイド中央線
L :折り基準線
図1
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