(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】標的システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F41J 5/06 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
F41J5/06
(21)【出願番号】P 2020146910
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512198660
【氏名又は名称】株式会社エイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】永井 克己
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-025677(JP,A)
【文献】特開2010-224855(JP,A)
【文献】国際公開第2018/106179(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107990789(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が標的板に当たった位置を、前記物体が前記標的板に当たったときに生じる衝撃音を検出した音響信号に基づいて検出着弾位置として算出する検出着弾位置算出部と、
前記標的板上で指定される指定位置に前記物体が当たったとして求められる仮想的な着弾位置である仮想着弾位置を演算により求め、所定数の前記指定位置に対応する所定数の前記仮想着弾位置を求める仮想着弾位置演算部と、
前記検出着弾位置と所定数の前記仮想着弾位置との比較に基づいて、前記物体が前記標的板に当たった位置が含まれると特定される領域である特定対象領域の大きさを、前記特定対象領域に対して所定の割合の狭い領域に限定する特定対象領域限定部と
を備え、
前記特定対象領域限定部により前記特定対象領域を限定する処理を繰り返し行い、前記特定対象領域を狭めていくことによって、前記物体が前記標的板に当たった位置を特定する
標的システム。
【請求項2】
前記仮想着弾位置演算部は、前記特定対象領域の四隅を前記指定位置として前記仮想着弾位置を求め、
前記特定対象領域限定部は、前記特定対象領域を上下および左右に4分割した何れの領域に限定して、前記特定対象領域の大きさを1/4の領域に狭める処理を繰り返し行う
請求項1に記載の標的システム。
【請求項3】
前記特定対象領域限定部は、前記検出着弾位置と前記特定対象領域の四隅を前記指定位置として求められた前記仮想着弾位置とを比較して、前記検出着弾位置が、前記特定対象領域の中心に対して左右および上下のどちら側の領域に含まれるかを判定する
請求項2に記載の標的システム。
【請求項4】
前記特定対象領域限定部は、前記特定対象領域を狭い領域に限定した後に、その狭い領域に前記検出着弾位置が含まれているかを確認し、前記検出着弾位置が含まれていない場合には、その狭い領域の位置を調整する
請求項3に記載の標的システム。
【請求項5】
前記仮想着弾位置演算部は、複数の音響センサから出力される前記音響信号の検出時間差を、温度センサにより検出される現在の温度に従った補正を施して、前記検出着弾位置を算出する
請求項1に記載の標的システム。
【請求項6】
物体が標的板に当たった位置を、前記物体が前記標的板に当たったときに生じる衝撃音を検出した音響信号に基づいて検出着弾位置として算出し、
前記標的板上で指定される指定位置に前記物体が当たったとして求められる仮想的な着弾位置である仮想着弾位置を演算により求め、所定数の前記指定位置に対応する所定数の前記仮想着弾位置を求め、
前記検出着弾位置と所定数の前記仮想着弾位置との比較に基づいて、前記物体が前記標的板に当たった位置が含まれると特定される領域である特定対象領域の大きさを、前記特定対象領域に対して所定の割合の狭い領域に限定する
ステップを含み、
前記特定対象領域を限定する処理を繰り返し行い、前記特定対象領域を狭めていくことによって、前記物体が前記標的板に当たった位置を特定する
処理をコンピュータに実行させる標的システムのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、標的システム、およびプログラムに関し、特に、標的に向かって放たれた物体が、その標的に当たった位置を高精度かつ高速に特定することができるようにした標的システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製の弾丸(以下、BB(Ball Bullet)弾と称する)を低圧の圧縮空気などで発射する機構を備えたトイガンであるソフトエアガンを使用した射撃競技が行われている。例えば、射撃競技では、標的に向かって射撃されたBB弾が、その標的に着弾した位置である着弾位置に応じて得られるスコアが競われる。従って、射撃競技において、BB弾の着弾位置を正確に検出することは非常に重要なことである。
【0003】
そこで、本願出願人は、BB弾が標的板に着弾したときに発生する衝撃波を検出することで、BB弾の着弾位置や着弾速度、エネルギーなどを正確に算出することができる標的システムを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1で提案されている標的システムでは、BB弾の着弾位置を検出する前に、例えば、検出時間差データが所定間隔ごとに配列された配列データを予め用意する必要があった。そのため、このような配列データを予め用意することなく、着弾位置を高精度かつ高速に特定することができれば、より利便性を高めることができると考えられる。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、物体が標的に当たった位置を高精度かつ高速に特定することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の標的システムは、物体が標的板に当たった位置を、前記物体が前記標的板に当たったときに生じる衝撃音を検出した音響信号に基づいて検出着弾位置として算出する検出着弾位置算出部と、前記標的板上で指定される指定位置に前記物体が当たったとして求められる仮想的な着弾位置である仮想着弾位置を演算により求め、所定数の前記指定位置に対応する所定数の前記仮想着弾位置を求める仮想着弾位置演算部と、前記検出着弾位置と所定数の前記仮想着弾位置との比較に基づいて、前記物体が前記標的板に当たった位置が含まれると特定される領域である特定対象領域の大きさを、前記特定対象領域に対して所定の割合の狭い領域に限定する特定対象領域限定部とを備え、前記特定対象領域限定部により前記特定対象領域を限定する処理を繰り返し行い、前記特定対象領域を狭めていくことによって、前記物体が前記標的板に当たった位置を特定する。
【0008】
本開示の一側面のプログラムは、物体が標的板に当たった位置を、前記物体が前記標的板に当たったときに生じる衝撃音を検出した音響信号に基づいて検出着弾位置として算出し、前記標的板上で指定される指定位置に前記物体が当たったとして求められる仮想的な着弾位置である仮想着弾位置を演算により求め、所定数の前記指定位置に対応する所定数の前記仮想着弾位置を求め、前記検出着弾位置と所定数の前記仮想着弾位置との比較に基づいて、前記物体が前記標的板に当たった位置が含まれると特定される領域である特定対象領域の大きさを、前記特定対象領域に対して所定の割合の狭い領域に限定するステップを含み、前記特定対象領域を限定する処理を繰り返し行い、前記特定対象領域を狭めていくことによって、前記物体が前記標的板に当たった位置を特定する処理をコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示の一側面においては、物体が標的板に当たった位置が、物体が標的板に当たったときに生じる衝撃音を検出した音響信号に基づいて検出着弾位置として算出され、標的板上で指定される指定位置に物体が当たったとして求められる仮想的な着弾位置である仮想着弾位置が演算により求められ、所定数の指定位置に対応する所定数の仮想着弾位置が求められる。そして、検出着弾位置と所定数の仮想着弾位置との比較に基づいて、物体が標的板に当たった位置が含まれると特定される領域である特定対象領域の大きさが、特定対象領域に対して所定の割合の狭い領域に限定され、特定対象領域を限定する処理が繰り返し行われて、特定対象領域が狭められていくことによって、物体が標的板に当たった位置が特定される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一側面によれば、物体が標的に当たった位置を高精度かつ高速に特定することができる。
【0011】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本技術を適用した標的システムの第1の構成例を示す斜視図である。
【
図3】比較に基づいて対象領域を1/4に限定する処理をループさせることにより着弾位置を特定する着弾位置特定方法の基本的な考え方について説明する図である。
【
図4】音響センサから出力される波形を示す図である。
【
図5】検出時間差と、着弾位置から音響センサまでの距離との関係について説明する図である。
【
図6】1回目のループ時に設定される仮想着弾位置について説明する図である。
【
図7】1回目のループ時に比較に基づいて対象領域を1/4に限定する処理について説明する図である。
【
図8】2回目のループ時に設定される仮想着弾位置について説明する図である。
【
図9】2回目のループ時に比較に基づいて対象領域を1/4に限定する処理について説明する図である。
【
図10】着弾位置特定処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】着弾位置特定処理を説明するフローチャートである。
【
図12】仮想着弾位置座標演算処理を説明するフローチャートである。
【
図13】領域限定処理を説明するフローチャートである。
【
図14】標的システムの第2の構成例を示す斜視図である。
【
図15】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<標的システムの第1の構成例>
図1に示すように、標的システム10は、標的装置11、ディスプレイ12、およびPC(Personal Computer)13により構成されており、標的装置11の背面側にディスプレイ12が配置される。
【0015】
ユーザは、例えば、PC13を手元に設置して、標的装置11およびPC13を信号ケーブル14により接続し、ディスプレイ12およびPC13を映像ケーブル15により接続する。なお、例えば、標的装置11およびディスプレイ12とPC13との接続に、ワイヤレス通信を利用してもよい。そして、ユーザは、PC13を操作して、射的を行う際の標的を表す標的画像16を、PC13の表示部に表示させるとともに外部出力を行って、ディスプレイ12に表示させる。
【0016】
その後、ユーザは、ソフトエアガン17の銃身を標的装置11に向け、その銃身に沿って固定されている照準器を覗き込んで、ディスプレイ12に表示される標的画像16に対して照準を合わせて射的を行うことができる。ソフトエアガン17から発射されたBB弾18は、標的装置11の標的板23(
図2参照)が撓むことによって衝突の勢いが吸収された後、標的装置11の手前側の下方に配置される捕集マット19に落下して、散らばることなく回収される。ここで、捕集マット19には、例えば、ボア生地やパイル生地などのように、BB弾18の落下の衝撃を吸収し、かつ、BB弾18が跳ね返らないような低反発性(ゆっくりと元の形状に戻る性質)を備えたものを使用することが好適である。
【0017】
そして、標的システム10は、標的装置11に向かって飛んできたBB弾18が標的板23(
図2参照)に着弾した着弾位置を検出することができる。これにより、標的システム10では、検出された着弾位置を示す着弾マークPを、ディスプレイ12に表示される標的画像16に重畳して表示することができ、ユーザは、BB弾18の着弾位置をディスプレイ12から目を離すことなく認識することができる。同時に、標的システム10では、PC13の表示部に表示されている標的画像16にも着弾マークPを重畳して表示することができ、ユーザは、BB弾18の着弾位置を手元のPC13で詳細に確認することができる。
【0018】
このように標的システム10は構成されており、ディスプレイ12に表示される標的画像16を標的として着弾位置の正確さを競う競技に使用することができる。
【0019】
図2に示す標的装置11の斜視図を参照して、標的装置11の構成例について説明する。
【0020】
図2に示すように、標的装置11は、固定部材21および22、標的板23、背面板24、支持部材25および26、音響センサ27-1乃至27-4、温度センサ28、並びに、コントロールユニット29を備えて構成される。
【0021】
固定部材21および22は、例えば、標的装置11を側面から見たときの断面形状がコ字状の部材であって、標的板23および背面板24が互いに一定の間隔を維持し、平面的な形状となるように固定する。即ち、固定部材21は、標的板23および背面板24の横幅とほぼ同じ長さであり、標的板23および背面板24の上辺を固定する。同様に、固定部材22は、標的板23および背面板24の横幅とほぼ同じ長さであり、標的板23および背面板24の下辺を固定する。
【0022】
標的板23は、ディスプレイ12に表示された標的画像を透過させる透明な部材であって、
図1のソフトエアガン17により標的画像に向かって発射されたBB弾18の衝突を撓むことによって受け止めることができる軟質なシート状の部材が用いられる。例えば、標的板23には、衝撃による変形に対する復元速度が緩やかな材質として、厚み1.5mmの軟質の塩化ビニル樹脂などを使用することが好ましい。また、標的板23は、ディスプレイ12の前方において略垂直となるように張った状態で全体的に平坦となるように、即ち、撓みが生じないように平面的に、上辺が固定部材21の前面側の側面に固定されるとともに、下辺が固定部材22の前面側の側面に固定される。
【0023】
背面板24は、標的板23と同様の透明で軟質なシート状の部材、例えば、厚み1.5mmの軟質の塩化ビニル樹脂などが使用され、標的板23の背面側(ユーザから見てディスプレイ12側)に配置される。即ち、背面板24は、標的板23と同様に平面的に、上辺が固定部材21の背面側の側面に固定されるとともに、下辺が固定部材22の背面側の側面に固定される。
【0024】
このように、固定部材21および22の前面側の側面に標的板23が固定されるとともに、固定部材21および22の背面側の側面に背面板24が固定される。これにより、標的板23と背面板24との間には、固定部材21の上面の幅および固定部材22の下面の幅に応じた間隔の空間30が設けられる。空間30は、左右側方が開口しており、後述するように音響センサ27による衝撃音の取得を安定的に行わせる効果を奏することができる。
【0025】
支持部材25および26は、全長に亘って側面にネジが形成された棒状の部材(いわゆる寸切りボルト)であり、標的板23および背面板24の縦幅よりも若干長くなるように形成される。また、標的装置11を正面から見て、支持部材25は、固定部材21の左側端部と固定部材22の左側端部とを支持し、支持部材26は、固定部材21の右側端部と固定部材22の右側端部とを支持する。
【0026】
例えば、支持部材25および26の上部のネジには、固定部材21を挟み込むように2個のナット(図示せず)が螺合され、支持部材25および26の下部のネジには、固定部材22を挟み込むように2個のナット(図示せず)が螺合される。これにより、固定部材21および22の両端部が支持される。ここで、図示しないナットの位置を調整することにより、固定部材21と固定部材22との間隔を調整して、標的板23および背面板24にある程度のテンションが掛かった状態にすることができる。また、固定部材21および22を、ナットを利用して支持する構造にすることで、容易に、支持部材25および26を取り外すことができ、例えば、固定部材22を軸として標的板23および背面板24を巻き取り可能とすることができる。このように、標的装置11をロール状に丸めた状態とすることで、可搬性や収納性などを向上させることができる。
【0027】
音響センサ27-1乃至27-4は、BB弾18(
図1)が標的板23に着弾したときに生じる衝撃音を取得し、それぞれ取得した衝撃音の振幅の変化に従った音響信号をコントロールユニット29に供給する。
【0028】
音響センサ27-1乃至27-4の配置については、標的板23の背面側であって、それぞれ標的板23の四隅に近く、衝撃音の取得に最適な位置となるように、標的板23および背面板24に挟まれた空間30内に固定される。例えば、音響センサ27-1は、固定部材21の下側を向く面の左端近傍に配置され、音響センサ27-2は、固定部材21の下側を向く面の右端近傍に配置される。また、音響センサ27-3は、固定部材22の上側を向く面の左端近傍に配置され、音響センサ27-4は、固定部材22の上側を向く面の右端近傍に配置される。なお、以下適宜、音響センサ27-1乃至27-4それぞれを区別する必要がない場合、単に、音響センサ27と称する。
【0029】
なお、本実施の形態では4個の音響センサ27-1乃至27-4を用いた構成について説明するが、音響センサ27の個数は4個に限定されるものではない。例えば、3個や6個、8個など、標的装置11のサイズまたは形状に応じて、着弾位置などを適切に測定可能な個数の音響センサ27を用いることができる。例えば、6個の音響センサ27を用いる場合には、四隅に加え、上辺中央および下辺中央にも音響センサ27が配置される。
【0030】
ここで、音響センサ27は、標的板23により前面側が閉鎖され、背面板24により背面側が閉鎖され、標的装置11の左右側方のみが開口している閉鎖的な空間30に配置される。例えば、空間30は、完全な密閉空間とされるのではなく開口部が適切に設けられた構成となっている。このように、空間30が、開口部によって部分的に開口された構成とすることで、完全に開放的なものではなく、かつ、完全に閉鎖的なものとも異なって、衝撃音を適切に反響させつつ、圧力の上昇が適度に抑制されるものとなっている。従って、標的装置11では、このような閉鎖的な空間30に対する空気の出入りが開口部を介して容易に行われることより、例えば、BB弾18が標的板23に衝突することによる空間30の内部における圧力の上昇が適度に抑制される。
【0031】
これにより、例えば、BB弾18の着弾によって標的板23が撓むことで空間30の容積が急激に減少しても、開口部を介して適切に空気が排出されることで、BB弾18が着弾した際の空間30内の圧力の上昇を適度に抑制することができる。このため、音響センサ27による衝撃音の取得を安定的に行うことができる。従って、標的装置11は、音響センサ27から出力される音響信号に基づいて求められる着弾位置や着弾速度のバラツキが抑制される結果、着弾位置や着弾速度の検出精度を向上させることができる。
【0032】
温度センサ28は、音響センサ27が配置される閉鎖的な空間30内の温度を検出し、その温度を示す温度信号をコントロールユニット29に供給する。例えば、標的システム10では、温度センサ28により検出された温度に基づいて、BB弾18の着弾位置を算出する際に用いられる音速が補正される。
【0033】
コントロールユニット29は、固定部材21の上側面の中央に対して取り付けられ、
図1のPC13に接続される信号ケーブル14が着脱可能に接続される。また、コントロールユニット29には、音響センサ27-1乃至27-4から出力される音響信号を入力するための信号線や、温度センサ28から出力される温度信号を入力するための信号線(いずれも図示せず)などが接続されている。そして、コントロールユニット29には、BB弾18が標的板23に着弾したときに音響センサ27から出力される音響信号に対して所定の信号処理を施すことにより、BB弾18が標的板23に着弾したときの着弾位置や着弾弾速などを検出するための検出信号を出力する信号処理基板が収納される。
【0034】
コントロールユニット29の信号処理基板による所定の信号処理では、音響信号を増幅して全波整流し、その振幅のピーク値を保持したピークホールド信号、および、ピークホールド信号を積分して得られる信号が基準値以上となったタイミングを示す衝撃音検出時刻信号を、検出信号として出力する。この検出信号が、コントロールユニット29から
図1のPC13に供給される。なお、コントロールユニット29の信号処理基板による信号処理については、上述の特許文献1で詳細に説明されている。
【0035】
<着弾位置特定方法>
図3乃至
図9を参照して、標的システム10においてBB弾18の着弾位置を特定する着弾位置特定方法について説明する。
【0036】
まず、
図3を参照して、標的システム10の着弾位置特定方法の基本的な考え方について説明する。
【0037】
標的システム10は、最終的に求める目的となる着弾位置である目的着弾位置が含まれる領域として特定される特定対象領域の大きさを、より狭い領域(例えば、1/4の領域)に限定する領域限定処理を繰り返し行うことによって、BB弾18の着弾位置を特定する方法を採用することができる。
【0038】
例えば、領域限定処理では、音響センサ27により検出される音響信号から算出される着弾位置である検出着弾位置DPが含まれる領域が、特定対象領域を上下および左右に4分割した何れの領域であるかが判定される。この判定は、
図7および
図9を参照して後述するように、検出着弾位置DPと、特定対象領域の四隅の位置に着弾があったとして演算により求められる仮想的な着弾位置である4つの仮想着弾位置TP1乃至TP4との比較に基づいて行われる。
【0039】
また、標的システム10の着弾位置特定方法では、領域限定処理が初めて行われるとき、即ち、領域限定処理を繰り返した回数を示すループ回数nが0のとき、特定対象領域の大きさは、標的装置11の全面を覆う幅および高さに設定される。具体的には、
図3に示すように、領域限定処理が初めて行われるとき、特定対象領域の幅W[0]には、初期値areaW(=800mm)が設定され、特定対象領域の高さH[0]には、初期値areaH(=440mm)が設定される。
【0040】
そして、領域限定処理を繰り返すたびに特定対象領域の大きさを1/4の領域に限定する場合、n回目のループの領域限定処理が行われるときの特定対象領域の幅W[n]および高さH[n]には、それぞれ初期値の2のn乗分の1の値(areaW/2nおよびareaH/2n)が用いられる。
【0041】
即ち、
図3に示すように、1回目のループの領域限定処理が行われるとき、特定対象領域の幅W[1]は、初期値areaWの1/2(=400)に狭められ、特定対象領域の高さH[1]は、初期値areaHの1/2(=220)に狭められる。同様に、2回目のループの領域限定処理が行われるとき、特定対象領域の幅W[2]は、初期値areaWの1/4(=200)に狭められ、特定対象領域の高さH[2]は、初期値areaHの1/4(=110)に狭められる。以下、同様に、領域限定処理を繰り返すたびに、ループ回数nに基づいて、特定対象領域の幅W[n]および高さH[n]が狭められていく。
【0042】
また、標的システム10の着弾位置特定方法では、n回目のループの領域限定処理が行われるときの特定対象領域の範囲は、特定対象領域の左上端A1[n]と、特定対象領域の幅W[n]および高さH[n]とを用いて特定される。即ち、
図3に示すように、特定対象領域の範囲は、左上端A1[n]を示す座標(sumX[n] , sumY[n])、右上端A2[n]を示す座標(sumX[n]+W[n] , sumY[n])、左下端A3[n]を示す座標(sumX[n] , sumY[n]+H[n])、および右下端A4[n]を示す座標(sumX[n] +W[n] , sumY[n]+H[n])により特定される。
【0043】
例えば、領域限定処理が初めて行われる(ループ回数n=0)とき、特定対象領域の左上端A1[0]を示す座標(sumX[0] , sumY[0])は、例えば、標的装置11の左上端である装置原点(0 , 0)に設定される。従って、初めて行われる領域限定処理における特定対象領域の範囲は、左上端A1[0]を示す座標(0 , 0)、右上端A2[0]を示す座標(W[0] , 0)、左下端A3[0]を示す座標(0 , H[0])、および右下端A4[0]を示す座標(W[0] , H[0])により特定される。
【0044】
そして、領域限定処理を繰り返すたびに特定対象領域の大きさを1/4の領域に限定するのに伴って、特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標(sumX[n] , sumY[n])には、直前の特定対象領域において特定対象領域が1/4に限定された領域の左上端を示す座標が用いられる。
【0045】
従って、n回目のループの領域限定処理で特定対象領域が左上の1/4の領域に限定された場合、n+1回目のループの領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])には、左上の1/4の領域の左上端の座標(sumX[n] , sumY[n])が、そのまま用いられる。また、n回目のループの領域限定処理で特定対象領域が右上の1/4の領域に限定された場合、n+1回目のループの領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])には、右上の1/4の領域の左上端の座標(sumX[n]+W[n]/2 , sumY[n])が用いられる。
【0046】
同様に、n回目のループの領域限定処理で特定対象領域が左下の1/4の領域に限定された場合、n+1回目のループの領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])には、左下の1/4の領域の左上端の座標(sumX[n] , sumY[n]+H[n]/2)が用いられる。また、n回目のループの領域限定処理で特定対象領域が右下の1/4の領域に限定された場合、n+1回目のループの領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])には、右下の1/4の領域の左上端の座標(sumX[n]+W[n]/2 , sumY[n]+H[n]/2)が用いられる。
【0047】
このように、n+1回目のループの領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])には、n回目のループの領域限定処理で特定対象領域が限定される領域に応じて異なってくる。即ち、左上端A1[n+1]を示す座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])には、特定対象領域の幅W[n]の1/2の値W[n]/2と、特定対象領域の高さH[n]の1/2の値H[n]/2とが、限定される領域に応じて適宜加算され、領域限定処理を繰り返すたびに積算されることになる。
【0048】
図3に示す例では、初めて行われた領域限定処理において、検出着弾位置DPが含まれる領域が、幅W[0]および高さH[0]の特定対象領域の右上の1/4の領域であると判定される。従って、1回目のループの領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[1]を示す座標(sumX[1] , sumY[1])には、直前の特定対象領域の右上の1/4の領域の左上端を示す座標が用いられる。つまり、1回目のループの領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[1]を示す座標のX方向の値sumX[1]は、直前の特定対象領域の左上端A1[0]を示す座標のX方向の値sumX[0]に、直前の特定対象領域の幅W[0]の1/2の値W[0]/2を加算した値となる。
【0049】
ここで、初めて行われた領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[0]を示す座標のX方向の値sumX[0]は0であったことより、1回目のループの領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[1]を示す座標のX方向の値はW[0]/2となる。また、特定対象領域の左上端A1[1]を示す座標のY方向の値sumY[1]には、そのままsumY[0](=0)が用いられる。従って、1回目のループの領域限定処理における特定対象領域の範囲は、左上端A1[1]を示す座標(W[0]/2 , 0)、右上端A2[1]を示す座標(W[0]/2+W[1] , 0)、左下端A3[1]を示す座標(W[0]/2 , H[1])、および右下端A4[1]を示す座標(W[0]/2+W[1] , H[1])により特定される。
【0050】
また、
図3に示す例では、1回目の領域限定処理において、検出着弾位置DPが含まれる領域が、幅W[1]および高さH[1]の特定対象領域の左下の1/4の領域であると判定される。従って、2回目のループの領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[2]には、直前の特定対象領域の左下の1/4の領域の左上端を示す座標が用いられる。つまり、2回目のループの領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[2]を示す座標のY方向の値sumY[2]は、直前の特定対象領域の左上端A1[1]を示す座標のY方向の値sumY[1]に、直前の特定対象領域の高さH[1]の1/2の値H[1]/2を加算した値となる。
【0051】
ここで、1回目の領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[1]を示す座標のY方向の値sumY[1]は0であったことより、2回目のループの領域限定処理における特定対象領域の左上端A1[2]を示す座標のY方向の値はH[1]/2となる。また、特定対象領域の左上端A1[2]を示す座標のX方向の値sumX[2]には、そのままsumX[1](=W[0]/2)が用いられる。従って、2回目のループの領域限定処理における特定対象領域の範囲は、左上端A1[2]を示す座標(W[0]/2 , H[1]/2)、右上端A2[2]を示す座標(W[0]/2+W[2] , H[1]/2)、左下端A3[2]を示す座標(W[0]/2 , H[1]/2+H[2])、および右下端A4[2]を示す座標(W[0]/2+W[2] , H[1]/2+H[2])により特定される。
【0052】
以下、同様に、特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標(sumX[n] , sumY[n])に、直前の特定対象領域で1/4に限定された領域の左上端を示す座標が用いられ、特定対象領域の大きさを1/4の領域に限定する領域限定処理が繰り返して行われる。
【0053】
例えば、上述したように、特定対象領域の幅の初期値areaWが800mmであり、かつ、特定対象領域の高さの初期値areaHが440mであって、領域限定処理を繰り返すたびに1/4の領域に限定されるとする。この場合、例えば、領域限定処理を8回繰り返したときの特定対象領域の幅W[8]および高さW[8]は、それぞれ初期値の1/65536(4の8乗分の1)となり、その範囲に検出着弾位置DPが含まれていると特定される。従って、例えば、領域限定処理を10回繰り返した場合、特定対象領域の幅W[10]および高さW[10]により、検出着弾位置DPは1mm以下の精度で特定される。
【0054】
次に、音響センサ27-1乃至27-4により検出される衝撃音から検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を算出する方法について説明する。
【0055】
図4には、音響センサ27-1乃至27-4が、BB弾18が標的板23に着弾することによって発生する衝撃音を検出して、コントロールユニット29に出力する音響信号の一例が示されている。
【0056】
例えば、BB弾18が標的板23に着弾すると、その着弾の衝撃音は、BB弾18の着弾位置から近い順に、音響センサ27-1乃至27-4によって検出される。従って、音響センサ27-1乃至27-4は、それぞれBB弾18の着弾位置からの距離に応じた時間差で、衝撃音を検出することになる。また、音響センサ27-1乃至27-4から出力される音響信号は、最初の振幅が最も大きく、時間の経過に従って振幅が減衰するような波形となる。
【0057】
コントロールユニット29の信号処理基板は、音響センサ27-1乃至27-4から出力される音響信号を増幅して全波整流し、それらの振幅のピーク値を保持したピークホールド信号を生成する信号処理を行う。そして、コントロールユニット29の信号処理基板は、それらのピークホールド信号を積分して得られる積分値が基準値以上となったタイミングで、音響センサ27-1乃至27-4が着弾を検出した時刻である着弾検出時刻T1乃至T4を示す着弾検出信号を、パーソナルコンピュータ13に出力する。例えば、着弾検出時刻T1乃至T4は、コントロールユニット29が内蔵するフリーランニングカウンタのカウント値である。
【0058】
そして、パーソナルコンピュータ13が実行する射的用のアプリケーションプログラムは、まず、着弾検出時刻T1乃至T4のうち、最初に衝撃音が検出されたタイミングを示す最小時刻Tminを特定する。その後、射的用のアプリケーションプログラムは、次の式(1)に示すように、着弾検出時刻T1乃至T4と最小時刻Tminとの差分である検出時間差Δt1乃至Δt4を算出する。なお、着弾検出時刻T1乃至T4のうち、最小時刻Tminとして特定された時刻との検出時間差(
図4の例では、Δt1)は0である。
【0059】
【0060】
このように算出される検出時間差Δt1乃至Δt4を用いて、次の式(2)に示すように、検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を求めることができる。
【0061】
【0062】
または、検出時間差Δt4を用いずに、検出時間差Δt1乃至Δt3を用いて、次の式(3)に示すように、検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を求めてもよい。
【0063】
【0064】
このように、射的用のアプリケーションプログラムは、音響センサ27-1乃至27-4により衝撃音が検出された着弾検出時刻T1乃至T4を取得すると、検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を算出することができる。
【0065】
次に、領域限定処理において、検出着弾位置DPとの比較に用いられる仮想着弾位置TP1乃至TP4を求める演算について説明する。
【0066】
例えば、
図5に示すように音響センサ27-1乃至27-4が配置されている平面上の任意の位置を指定し、その指定位置Tの座標(specX , specY)に着弾があったとして仮想着弾位置TP1乃至TP4が演算により求められる。
【0067】
ここで、音響センサ27-1の座標(X0 , Y0)は、最初の特定対象領域の左上端A1[0]の(sumX[0] , sumY[0])からX方向およびY方向の距離として設定することができる。また、音響センサ27どうしのX方向の間隔XsおよびY方向の間隔Ysに従って、音響センサ27-1の座標(X0 , Y0)を基準として、音響センサ27-2の座標(X0+Xs , Y0)、音響センサ27-3の座標(X0 , Y0+Ys)、および音響センサ27-4の座標(X0+Xs , Y0+Ys)が設定される。
【0068】
そして、これらの座標と、標的板23の表面から音響センサ27の中心までの間隔Z0とを用い、三平方の定理に基づいて、次の式(4)に示すように、指定位置Tから音響センサ27-1乃至27-4までの距離L1乃至L4を演算により求めることができる。
【0069】
【0070】
具体的には、
図2に示した標的装置11が、32インチワイドのディスプレイ12のサイズに合わせて設計されている場合、音響センサ27どうしのX方向の間隔Xsは595mmに設定され、音響センサ27どうしのY方向の間隔Ysは433.8mmに設定される。同様に、音響センサ27-1の座標(X0 , Y0)は(102.5mm , 3.1mm)に設定され、標的板23の表面から音響センサ27の中心までの間隔Z0は9.0mmに設定される。
【0071】
そして、射的用のアプリケーションプログラムは、このような設定に基づいて式(4)を演算することにより距離L1乃至L4を求め、それらのうちの最も短い距離を最小距離mとして特定する。その後、射的用のアプリケーションプログラムは、次の式(5)に示すように、距離L1乃至L4と最小距離mとの差分である距離差ΔL1乃至ΔL4を算出する。なお、距離L1乃至L4のうち、最小距離mとして特定された距離(
図5の例では、距離L1)との距離差は0である。
【0072】
【0073】
さらに、射的用のアプリケーションプログラムは、コントロールユニット29の信号処理基板が備えるフリーランニングカウンタのクロック数に基づいた1mm当たりのクロック数cpmを用いて、次の式(6)に示すように、距離差ΔL1乃至ΔL4をクロック数差分Δct1乃至Δct4に変換する。
【0074】
【0075】
ここで、最小距離mおよび空気中の音速kを用いて、距離L1乃至L4およびクロック数差分Δct1乃至Δct4は、
図5に示すような関係で表される。即ち、
図5に示す例では、距離L2はm+k×Δct2と表され、距離L3はm+k×Δct3と表され、距離L4はm+k×Δct4と表される。なお、
図5の例では、クロック数差分Δct1は0である。
【0076】
このように求められるクロック数差分Δct1乃至Δct4を用いて、次の式(7)に示すように、指定位置Tの座標(specX , specY)に着弾があったと仮定したときの仮想着弾位置TPを示す座標(pTX , pTY)を求めることができる。
【0077】
【0078】
または、クロック数差分Δct4を用いずに、クロック数差分Δct1乃至Δct3を用いて、次の式(8)に示すように、仮想着弾位置TPを示す座標(pTX , pTY)を求めてもよい。
【0079】
【0080】
そして、標的システム10では、検出着弾位置DPと、特定対象領域の四隅の位置に着弾があったとして演算により求められる仮想的な着弾位置である4つの仮想着弾位置TP1乃至TP4との比較に基づいて領域限定処理が行われる。
【0081】
次に、
図6乃至
図9を参照して、標的システム10の着弾位置特定方法において繰り返し行われる領域限定処理について説明する。
【0082】
図6に示すように、領域限定処理が初めて行われる(ループ回数n=0)とき、特定対象領域は、音響センサ27-1乃至27-4よりも広い範囲となるように、標的装置11の全面を覆う幅W[0]および高さH[0]に設定される。また、指定位置Tから音響センサ27-1乃至27-4までの距離L1乃至L4に基づいて、上述の式(4)乃至式(8)を演算することにより、仮想着弾位置TPの座標(pTX , pTY)が求められる。
【0083】
そして、領域限定処理が初めて行われるとき、指定位置Tの座標(specX , specY)として、特定対象領域の左上端A1[0]の(sumX[0] , sumY[0])、特定対象領域の右上端A2[0]の座標(sumX[0]+W[0] , sumY[0])、特定対象領域の左下端A3[0]の座標(sumX[0] , sumY[0]+H[0])、および、特定対象領域の右下端A4[0]の座標(sumX[0]+W[0] , sumY[0]+H[0])が指定される。
【0084】
これにより、
図7に示すように、指定位置Tの座標(specX , specY)として特定対象領域の左上端A1[0]の(sumX[0] , sumY[0])を指定して行われる演算により、仮想着弾位置TP1[0]の座標(pTX1[0] , pTY1[0])が求められる。また、指定位置Tの座標(specX , specY)として特定対象領域の右上端A2[0]の座標(sumX[0]+W[0] , sumY[0])を指定して行われる演算により、仮想着弾位置TP2[0]の座標(pTX2[0] , pTY2[0])が求められる。以下、同様に、仮想着弾位置TP3[0]の座標(pTX3[0] , pTY3[0])および仮想着弾位置TP4[0]の座標(pTX4[0] , pTY4[0])が求められる。
【0085】
そして、音響センサ27により検出される音響信号から算出される着弾位置である検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域が、幅W[0]および高さH[0]の特定対象領域を上下および左右に4分割した何れの領域であるかが判定される。
【0086】
例えば、検出着弾位置DPの座標のX方向の値pDXから、仮想着弾位置TP1[0]の座標のX方向の値pTX1[0]までの差分値(=pDX-pTX1[0])を、X方向左側の比較距離XL[0]とする。また、仮想着弾位置TP2[0]の座標のX方向の値pTX2[0]から、検出着弾位置DPの座標のX方向の値pDXまでの差分値(=pTX2[0]-pDX)を、X方向右側の比較距離XR[0]とする。同様に、検出着弾位置DPの座標のY方向の値pDYから、仮想着弾位置TP1[0]の座標のY方向の値pTY1[0]までの差分値(=pDY-pTY1[0])を、Y方向上側の比較距離YU[0]とする。また、仮想着弾位置TP3[0]の座標のY方向の値pTY3[0]から、検出着弾位置DPの座標のY方向の値pDYまでの差分値(=pTY3[0]-pDY)を、Y方向下側の比較距離YD[0]とする。
【0087】
そして、X方向左側の比較距離XL[0]とX方向右側の比較距離XR[0]との大小関係を比較した比較結果、および、Y方向上側の比較距離YU[0]とY方向下側の比較距離YD[0]との大小関係を比較した比較結果に基づいて、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域が判定される。
【0088】
例えば、X方向左側の比較距離XL[0]がX方向右側の比較距離XR[0]以下であり、かつ、Y方向上側の比較距離YU[0]がY方向下側の比較距離YD[0]以下である場合(XL[0]≦XR[0] & YU[0]≦YD[0])、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域は、特定対象領域の左上の領域であると判定される。同様に、X方向左側の比較距離XL[0]がX方向右側の比較距離XR[0]より大きく、かつ、Y方向上側の比較距離YU[0]がY方向下側の比較距離YD[0]以下である場合(XL[0]>XR[0] & YU[0]≦YD[0])、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域は、特定対象領域の右上の領域であると判定される。
【0089】
また、X方向左側の比較距離XL[0]がX方向右側の比較距離XR[0]以下であり、かつ、Y方向上側の比較距離YU[0]がY方向下側の比較距離YD[0]より大きい場合(XL[0]≦XR[0] & YU[0]>YD[0])、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域は、特定対象領域の左下の領域であると判定される。同様に、X方向左側の比較距離XL[0]がX方向右側の比較距離XR[0]より大きく、かつ、Y方向上側の比較距離YU[0]がY方向下側の比較距離YD[0]より大きい場合(XL[0]>XR[0] & YU[0]>YD[0])、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域は、特定対象領域の右下の領域であると判定される。
【0090】
これに基づき、
図7に示す例では、X方向左側の比較距離XL[0]がX方向右側の比較距離XR[0]より大きく、かつ、Y方向上側の比較距離YU[0]がY方向下側の比較距離YD[0]以下であることより、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域は、特定対象領域の右上の領域であると判定される。
【0091】
従って、1回目のループの領域限定処理において用いられる特定対象領域は、直前の特定対象領域の右上の1/4の領域に限定され、その領域の4隅の座標A1[1]乃至A4[1]は、
図3を参照して上述したように特定される。
【0092】
つまり、
図8に示すように、1回目のループの領域限定処理(ループ回数n=1)では、特定対象領域は、
図6に示した特定対象領域の右上の1/4の領域に限定され、上述したのと同様に領域限定処理が行われる。
【0093】
即ち、指定位置Tの座標(specX , specY)として、
図8に示す特定対象領域の左上端A1[1]の(sumX[1] , sumY[1])を指定して、
図9に示すように、仮想着弾位置TP1[1]の座標(pTX1[1] , pTY1[1])が求められる。同様に、仮想着弾位置TP2[1]の座標(pTX2[1] , pTY2[1])、仮想着弾位置TP3[1]の座標(pTX3[1] , pTY3[1])、および仮想着弾位置TP4[1]の座標(pTX4[1] , pTY4[1])が求められる。
【0094】
そして、音響センサ27により検出される音響信号から算出される着弾位置である検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域が、幅W[1]および高さH[1]の特定対象領域を上下および左右に4分割した何れの領域であるかが判定される。
【0095】
図9に示す例では、X方向左側の比較距離XL[1]がX方向右側の比較距離XR[1]以下であり、かつ、Y方向上側の比較距離YU[1]がY方向下側の比較距離YD[1]より大きいことより、検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)が含まれる領域は、特定対象領域の左下の領域であると判定される。
【0096】
従って、2回目のループの領域限定処理において用いられる特定対象領域は、直前の特定対象領域の左下の1/4の領域に限定され、その領域の4隅の座標A1[2]乃至A4[2]は、
図3を参照して上述したように特定される。以下、同様に、領域限定処理が繰り返して行われる。
【0097】
そして、このような領域限定処理を、上述したように10回繰り返すことにより、検出着弾位置DPを1mm以下の精度で特定することができる。
【0098】
<着弾位置特定処理装置の構成例>
【0099】
図10は、パーソナルコンピュータ13が射的用のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される着弾位置特定処理装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0100】
図10に示すように、着弾位置特定処理装置51は、着弾認識部52、検出着弾位置算出部53、演算設定処理部54、仮想着弾位置演算部55、特定対象領域限定部56、および演算判定処理部57を備えて構成される。
【0101】
例えば、着弾認識部52は、コントロールユニット29から着弾検出信号が出力されたタイミングで、BB弾18が標的板23に着弾したと判定し、コントロールユニット29から供給される着弾検出信号により示される着弾検出時刻T1乃至T4を認識する。そして、着弾認識部52は、音響センサ27-1乃至27-4によりBB弾18の衝撃音が検出された着弾検出時刻T1乃至T4のうちの最小値を、最初に衝撃音が検出されたタイミングを示す最小時刻Tminとして特定する。これに基づき、着弾認識部52は、上述した式(1)に従って、検出時間差Δt1乃至Δt4を算出する。そして、着弾認識部52は、検出時間差Δt1乃至Δt4を検出着弾位置算出部53に供給するとともに、仮想着弾位置の演算を開始するように演算設定処理部54に対する指示を行う。
【0102】
検出着弾位置算出部53は、着弾認識部52から供給される検出時間差Δt1乃至Δt4を用い、上述した式(2)または式(3)に従って、検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を算出し、特定対象領域限定部56に供給する。
【0103】
また、検出着弾位置算出部53には、
図2の温度センサ28により検出される現在の温度を示す温度信号がコントロールユニット29を介して供給される。そして、検出着弾位置算出部53は、検出着弾位置DPを算出するのに先立って、次の式(9)に示すように、検出時間差Δt1乃至Δt4に対して温度補正係数kを用い、音速の温度変化に伴う補正を行う。このような補正を行うことによって、温度変化に起因した測定精度の低下を抑制することができ、検出着弾位置算出部53は、検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を正確に算出することができる。
【0104】
【0105】
演算設定処理部54には、着弾位置特定処理装置51において着弾位置を特定する処理を行うのに必要となる各種の初期値が記憶されている。そして、演算設定処理部54は、着弾認識部52から仮想着弾位置の演算を開始するように指示されると、仮想着弾位置演算部55に対する初期値の設定を行う。例えば、演算設定処理部54は、特定対象領域の幅の初期値areaWおよび高さの初期値areaHや、初めて行われる領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[0]の座標(sumX[0] , sumY[0])となる装置原点(0 , 0)などを設定する。また、演算設定処理部54は、領域限定処理を繰り返した回数を示すループ回数nをクリア(n=0)する。
【0106】
仮想着弾位置演算部55は、上述の式(4)乃至式(8)を演算することにより、仮想着弾位置TPの座標(pTX , pTY)を求めて、特定対象領域限定部56に供給する仮想着弾位置座標演算処理を繰り返して行う。仮想着弾位置演算部55は、初めて行う仮想着弾位置座標演算処理(n=0)では、演算設定処理部54により設定された初期値に基づいて処理を行い、それ以降の着弾位置座標演算処理(n≧1)では、特定対象領域限定部56による特定対象領域限定処理の結果に基づいて処理を行う。
【0107】
即ち、上述の
図6および
図8を参照して説明したように、仮想着弾位置演算部55は、指定位置Tの座標(specX , specY)として、特定対象領域の左上端A1[n]の(sumX[n] , sumY[n])、右上端A2[n]の座標(sumX[n]+W[n] , sumY[n])、左下端A3[n]の座標(sumX[n] , sumY[n]+H[n])、および、右下端A4[n]の座標(sumX[n]+W[n] , sumY[n]+H[n])を指定する。これにより、仮想着弾位置演算部55は、それぞれの指定位置Tの座標(specX , specY)に対応する4つの仮想着弾位置TP1[n]乃至TP4[n]の座標(pTX1[n] , pTY1[n])乃至座標(pTX4[n] , pTY4[n])を演算により求めることができる。
【0108】
特定対象領域限定部56は、仮想着弾位置演算部55から供給される仮想着弾位置TPの座標(pTX , pTY)、および、仮想着弾位置演算部55から供給される4つの仮想着弾位置TP1[n]乃至TP4[n]の座標(pTX1[n] , pTY1[n])乃至(pTX4[n] , pTY4[n])に基づいて、特定対象領域を1/4の領域に限定する領域限定処理を行う。
【0109】
即ち、上述の
図7および
図9を参照して説明したように、まず、特定対象領域限定部56は、X方向左側の比較距離XL[n]およびX方向右側の比較距離XR[n]を求め、それらの大小関係を比較する。そして、特定対象領域限定部56は、X方向左側の比較距離XL[n]がX方向右側の比較距離XR[n]より大きい場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より右側の領域に含まれると判定することができる。一方、特定対象領域限定部56は、X方向左側の比較距離XL[n]がX方向右側の比較距離XR[n]以下である場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より左側の領域に含まれると判定することができる。
【0110】
同様に、特定対象領域限定部56は、Y方向上側の比較距離YU[n]およびY方向下側の比較距離YD[n]を求め、それらの大小関係を比較する。そして、特定対象領域限定部56は、Y方向上側の比較距離YU[n]がY方向下側の比較距離YD[n]より大きい場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より下側の領域に含まれると判定することができる。一方、特定対象領域限定部56は、Y方向上側の比較距離YU[n]がY方向下側の比較距離YD[n]以下である場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より上側の領域に含まれると判定することができる。
【0111】
そして、特定対象領域限定部56は、仮想着弾位置TPが、特定対象領域の中心より右側の領域に含まれると判定した場合、次の領域限定処理(n=n+1)で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のX方向の値sumX[n+1]を更新(sumX[n+1]=sumX[n]+W[n]/2)する。一方、仮想着弾位置TPが、特定対象領域の中心より右側の領域に含まれない(左側に含まれる)と判定された場合、次の領域限定処理(n=n+1)で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のX方向の値sumX[n+1]は更新されず、そのままsumX[n]が用いられる。
【0112】
同様に、特定対象領域限定部56は、仮想着弾位置TPが、特定対象領域の中心より下側の領域に含まれると判定した場合、次の領域限定処理(n=n+1)で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のY方向の値sumY[n+1]を更新(sumY[n+1]=sumY[n]+H[n]/2)する。一方、仮想着弾位置TPが、特定対象領域の中心より下側の領域に含まれない(上側に含まれる)と判定された場合、次の領域限定処理(n=n+1)で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のY方向の値sumY[n+1]は更新されず、そのままsumY[n]が用いられる。
【0113】
また、特定対象領域限定部56は、後述する
図13のフローチャートを参照して説明するように、更新した左上端A1[n+1]により特定される1/4に限定された特定対象領域に、仮想着弾位置TPが含まれているか否かの判定を行う。これにより、領域限定処理を繰り返すことで、特定対象領域を確実に収束させることができる。
【0114】
このように、特定対象領域限定部56は、上述したような比較に基づいた領域限定処理を行うことによって特定対象領域を1/4の領域に限定して、その1/4の領域の左上端の座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])を、領域限定処理の結果として演算判定処理部57に供給する。
【0115】
演算判定処理部57は、特定対象領域限定部56により領域限定処理が繰り返された回数を示すループ回数nをインクリメント(n=n+1)して、ループ回数nが規定回数(例えば、上述した10回)未満であるか否かを判定する。そして、演算判定処理部57は、ループ回数nが規定回数未満であると判定した場合、特定対象領域限定部56から供給される座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])を、次の領域判定処理における特定対象領域の左上端A1[n+1]を示すものとして、仮想着弾位置演算部55に供給する。
【0116】
一方、演算判定処理部57は、ループ回数nが規定回数未満でない(規定回数を超えた)と判定した場合、特定対象領域限定部56から供給される座標(sumX[n+1] , sumY[n+1])を、目的着弾位置QPを示す座標(pQX , pQY)として後段に出力する。例えば、目的着弾位置QPを示す座標(pQX , pQY)は、
図1に示した着弾マークPの表示を行う表示処理部に供給され、着弾マークPが表示されるとともに、その位置に応じた得点が計算されて表示される。
【0117】
以上のように構成される着弾位置特定処理装置51では、比較に基づいて特定対象領域を1/4の領域に限定する処理が繰り返し行われ、特定対象領域が狭められていくことによってBB弾18の着弾位置が特定される。これにより、例えば、音響センサ27による衝撃音だけに基づいて着弾位置を算出するような構成と比較して、より高精度に着弾位置を求めることができる。
【0118】
即ち、音響センサ27による衝撃音だけに基づいて着弾位置を算出する場合には、検出時間差Δtを算出した時点で誤差が発生し、検出時間差Δtから最小距離mを求める際にも誤差が発生してしまい、誤差が累積してしまう。特に、標的板23の中心から離れるにしたがって誤差が大きくなる傾向が強かった。
【0119】
これに対し、着弾位置特定処理装置51では、上述したように比較を繰り返してBB弾18の着弾位置が特定するため、このような誤差の累積が発生することがなく、正確に着弾位置を求めることができる。
【0120】
また、着弾位置特定処理装置51は、音響センサ27の配置が、着弾位置を求めるための計算式に影響を与えることがないため、音響センサ27を自由に配置することができ、汎用性を高めることができる。
【0121】
さらに、着弾位置特定処理装置51は、上述した特許文献1で提案されている標的システムと比較して、配列データを予め用意する必要がなく、着弾位置を高精度かつ高速に特定することができる。また、着弾位置特定処理装置51は、配列データにより精度が制限されることがないため、着弾位置の精度を限界なく向上させることができる。
【0122】
なお、標的システム10では、音響センサ27-1乃至27-4の配置位置よりも広範囲を覆うように標的板23を設け、領域限定処理が初めて行われるときの特定対象領域を、音響センサ27-1乃至27-4よりも外側の領域を含むように設定することができる。これにより、標的システム10は、音響センサ27-1乃至27-4の配置位置の外側でも標的板23に着弾したBB弾18の着弾位置を検出することが可能となる。
【0123】
<着弾位置特定処理>
図11乃至
図13のフローチャートを参照して、着弾位置特定処理装置51がBB弾18の着弾位置を特定する処理について説明する。
【0124】
図11には、着弾位置特定処理を説明するフローチャートが示されている。
【0125】
例えば、パーソナルコンピュータ13が射的用のアプリケーションプログラムを実行すると処理が開始され、ステップS11において、着弾認識部52は、BB弾18の着弾があったか否かを判定する。例えば、コントロールユニット29から着弾検出信号が出力されない状態では、着弾認識部52は、ステップS11において、BB弾18の着弾がないと判定し、コントロールユニット29から着弾検出信号が出力されるまで処理を待機する。
【0126】
一方、コントロールユニット29から着弾検出信号が出力されたタイミングで、着弾認識部52は、ステップS11において、BB弾18の着弾があったと判定し、処理はステップS12に進む。
【0127】
ステップS12において、着弾認識部52は、コントロールユニット29から出力された着弾検出信号により示される着弾検出時刻T1乃至T4を認識する。そして、着弾認識部52は、仮想着弾位置の演算を開始するように演算設定処理部54に対する指示を行う。
【0128】
ステップS13において、着弾認識部52は、ステップS12で認識した着弾検出時刻T1乃至T4(フリーランニングカウンタのカウント値)のうちの最小値を、最初に衝撃音が検出されたタイミングを示す最小時刻Tminとして特定する。
【0129】
ステップS14において、着弾認識部52は、上述した式(1)に従って、検出時間差Δt1乃至Δt4を算出して、検出着弾位置算出部53に供給する。
【0130】
ステップS15において、検出着弾位置算出部53は、ステップS14で着弾認識部52から供給された検出時間差Δt1乃至Δt4に対し、温度センサ28により検出される現在の温度を示す温度信号を用いて、上述した式(9)に示すように、音速の温度変化に伴う補正を施す。
【0131】
ステップS16において、検出着弾位置算出部53は、ステップS15で音速の温度変化に伴う補正を施した検出時間差Δt1乃至Δt4に基づいて、上述した式(2)または式(3)に従って、検出着弾位置DPを示す座標(pDX , pDY)を算出し、特定対象領域限定部56に供給する。
【0132】
ステップS17において、演算設定処理部54は、ステップS12で着弾認識部52により仮想着弾位置の演算の開始が指示されたのに従って、仮想着弾位置演算部55に対して、特定対象領域の幅の初期値areaWおよび高さの初期値areaHを設定する。
【0133】
ステップS18において、演算設定処理部54は、仮想着弾位置演算部55に対して、
特定対象領域の左上端A1[0]の座標(sumX[0] , sumY[0])となる初期値として、装置原点(0 , 0)を設定する。
【0134】
ステップS19において、演算設定処理部54は、ステップS25の領域限定処理を繰り返した回数を示すループ回数nをクリア(n=0)する。
【0135】
ステップS20において、演算判定処理部57は、ループ回数nが10回未満であるか否かを判定する。そして、演算判定処理部57が、ループ回数nが10回未満であると判定した場合、処理はステップS21に進む。
【0136】
ステップS21乃至S24において、仮想着弾位置演算部55は、指定位置Tの座標(specX , specY)に着弾があったとしたときの仮想着弾位置TPの座標(pTX , pTY)を演算により求める仮想着弾位置座標演算処理(
図11のフローチャートの処理)を行う。
【0137】
例えば、ステップS21では、指定位置Tの座標(specX , specY)として、特定対象領域の左上端A1[n]の(sumX[n] , sumY[n])を指定して仮想着弾位置TP1[n]の座標(pTX1[n] , pTY1[n])を求める第1の仮想着弾位置座標演算処理が行われる。また、ステップS22では、指定位置Tの座標(specX , specY)として、特定対象領域の右上端A2[n]の座標(sumX[n]+W[n] , sumY[n])を指定して仮想着弾位置TP2[n]の座標(pTX2[n] , pTY2[n])を求める第2の仮想着弾位置座標演算処理が行われる。同様に、ステップS23では仮想着弾位置TP3[n]の座標(pTX3[n] , pTY3[n])を求める第3の仮想着弾位置座標演算処理が行われ、ステップS24では仮想着弾位置TP4[n]の座標(pTX4[n] , pTY4[n])を求める第4の仮想着弾位置座標演算処理が行われる。
【0138】
ステップS25において、特定対象領域限定部56は、特定対象領域を1/4の領域に限定する領域限定処理(
図12のフローチャートの処理)を行う。領域限定処理では、ステップS16で算出された検出着弾位置DPの座標(pDX , pDY)と、ステップS21乃至S24で求められた仮想着弾位置TP1[n]乃至TP4[n]の座標(pTX1[n] , pTY1[n])乃至(pTX4[n] , pTY4[n])とを用いた比較に基づいて、特定対象領域が1/4の領域に限定される。
【0139】
ステップS26において、演算判定処理部57は、ステップS25の領域限定処理が繰り返された回数を示すループ回数nをインクリメント(n=n+1)し、その後、処理はステップS20に戻る。
【0140】
そして、ステップS20においてループ回数nが10回未満でないと判定されるまで、上述と同様の処理が繰り返して行われ、ループ回数nが10回未満でない(10回を超えた)と判定されると、処理はステップS27に進む。
【0141】
ステップS27において、演算判定処理部57は、特定対象領域限定部56が領域限定処理を10回繰り返して求めた幅W[10]および高さW[10]の特定対象領域の左上端A1[10]を示す座標(sumX[10] , sumY[10])を、目的着弾位置QPを示す座標(pQX , pQY)として後段に出力する。
【0142】
図12には、
図11のステップS21乃至S24において行われる仮想着弾位置座標演算処理を説明するフローチャートが示されている。
【0143】
ステップS31において、仮想着弾位置演算部55は、仮想着弾位置座標を求めるのに必要な各種の初期設定を行う。例えば、仮想着弾位置演算部55は、音響センサ27-1の座標(X0 , Y0)や、音響センサ27どうしのX方向の間隔XsおよびY方向の間隔Ys、標的板23の表面から音響センサ27の中心までの間隔Z0、1mm当たりのクロック数cpmなどを設定する。ここで、指定位置Tの座標(specX , specY)として、ステップS21では特定対象領域の左上端A1[n]の座標(sumX[n] , sumY[n])が設定され、ステップS22では特定対象領域の右上端A2[n]の座標(sumX[n]+W[n] , sumY[n])が設定される。同様に、ステップS23では特定対象領域の左下端A3[n]を示す座標(sumX[n] , sumY[n]+H[n])が設定され、ステップS24では特定対象領域の右下端A4[n]を示す座標(sumX[n] +W[n] , sumY[n]+H[n])が設定される。
【0144】
ステップS32において、仮想着弾位置演算部55は、上述した式(4)を演算することにより、指定位置Tから音響センサ27-1乃至27-4までの距離L1乃至L4を求める。
【0145】
ステップS33において、仮想着弾位置演算部55は、ステップS32で求めた距離L1乃至L4うち、最も短い距離を最小距離mとして特定する。
【0146】
ステップS34において、仮想着弾位置演算部55は、上述した式(5)を演算することによって、ステップS33で特定した最小距離mと距離L1乃至L4との差分である距離差ΔL1乃至ΔL4を求める。
【0147】
ステップS35において、仮想着弾位置演算部55は、上述した式(6)を演算することによって、距離差ΔL1乃至ΔL4をクロック数差分Δct1乃至Δct4に変換する。
【0148】
ステップS36において、仮想着弾位置演算部55は、上述した式(7)または式(8)を演算することによって、指定位置Tの座標(specX , specY)に着弾があったと仮定したときの仮想着弾位置TPを示す座標(pTX , pTY)を求める。即ち、ステップS21では仮想着弾位置TP1[n]の座標(pTX1[n] , pTY1[n])が求められ、ステップS22では仮想着弾位置TP2[n]の座標(pTX2[n] , pTY2[n])が求められる。同様に、ステップS23では仮想着弾位置TP3[n]の座標(pTX3[n] , pTY3[n])が求められ、ステップS24では仮想着弾位置TP4[n]の座標(pTX4[n] , pTY4[n])が求められる。
【0149】
その後、仮想着弾位置演算部55は、仮想着弾位置TPを示す座標(pTX , pTY)を特定対象領域限定部56に供給して、仮想着弾位置座標演算処理は終了される。
【0150】
図13には、
図11のステップS25において行われる領域限定処理を説明するフローチャートが示されている。
【0151】
ステップS41において、特定対象領域限定部56は、X方向左側の比較距離XL[n](=pDX-pTX1[n])が、X方向右側の比較距離XR[n](=pTX2[n]-pDX)より大きいか否かを判定する。
【0152】
ステップS41において、X方向左側の比較距離XL[n]が、X方向右側の比較距離XR[n]より大きいと判定された場合、処理はステップS42に進む。即ち、この場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より右側の領域に含まれると判定されたことになる。
【0153】
ステップS42において、特定対象領域限定部56は、次の領域限定処理(n=n+1)で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のX方向の値sumX[n+1]を更新した後、処理はステップS43に進む。即ち、現在の特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のX方向の値sumX[n]に、現在の特定対象領域の幅W[n]の半分を加算(sumX[n+1]=sumX[n]+W[n]/2)する。
【0154】
一方、ステップS41において、X方向左側の比較距離XL[n]が、X方向右側の比較距離XR[n]より大きくない(以下である)と判定された場合、処理はステップS43に進む。即ち、この場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より左側の領域に含まれると判定されたことになり、次の領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のX方向の値sumX[n+1]には、そのままsumX[n]が用いられる。
【0155】
ステップS43において、特定対象領域限定部56は、ステップS42で更新された特定対象領域の左上端A1[n+1]が、検出着弾位置DPよりも右側にある(pDX<sumX[n+1])か否かを判定する。即ち、ステップS42で現在の特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のX方向の値sumX[n]に、現在の特定対象領域の幅W[n]の半分を加算して更新した結果、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれなくなっていないかを確認する。例えば、ステップS42での加算量が多すぎて、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれない場合には、特定対象領域が収束しなくなるため、このような確認が必要となる。
【0156】
ステップS43において、特定対象領域限定部56が、ステップS42で更新された特定対象領域の左上端A1[n+1]が、検出着弾位置DPよりも右側にあると判定した場合、処理はステップS44に進む。
【0157】
ステップS44において、特定対象領域限定部56は、ステップS42で更新された特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のX方向の値sumX[n+1]を調整した後、処理はステップS45に進む。例えば、特定対象領域限定部56は、現時点でのX方向の値sumX[n+1]から特定対象領域の幅W[n]の半分を減算する(sumX[n+1]=sumX[n+1]-W[n]/2)ことによって、X方向の値sumX[n+1]を調整する。
【0158】
一方、ステップS43において、特定対象領域限定部56が、ステップS42で更新された特定対象領域の左上端A1[n+1]が、検出着弾位置DPよりも右側にない(左側にある)と判定した場合、処理はステップS45に進む。
【0159】
ステップS45において、特定対象領域限定部56は、ステップS44で調整された特定対象領域の左上端A1[n+1]に幅W[n]を加算した右上端A2[n+1]が、検出着弾位置DPよりも左側にある(pDX>sumX[n+1]+W[n])か否かを判定する。即ち、ステップS44で特定対象領域の左上端A1[n+1]を調整した結果、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれなくなっていないかを確認する。例えば、ステップS44での減算量が多すぎて、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれない場合には、特定対象領域が収束しなくなるため、このような確認が必要となる。
【0160】
ステップS45において、特定対象領域限定部56が、ステップS44で調整された特定対象領域の左上端A1[n+1]に幅W[n]を加算した右上端A2[n+1]が、検出着弾位置DPよりも左側にあると判定した場合、処理はステップS46に進む。
【0161】
ステップS46において、特定対象領域限定部56は、ステップS42で調整された特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のX方向の値sumX[n+1]を再調整した後、処理はステップS47に進む。例えば、特定対象領域限定部56は、現時点でのX方向の値sumX[n+1]から特定対象領域の幅W[n]の半分を加算する(sumX[n+1]=sumX[n+1]+W[n]/2)ことによって、X方向の値sumX[n+1]を再調整する。
【0162】
一方、ステップS45において、特定対象領域限定部56が、ステップS44で調整された特定対象領域の左上端A1[n+1]に幅W[n]を加算した右上端A2[n+1]が、検出着弾位置DPよりも左側にない(右側にある)と判定した場合、処理はステップS47に進む。即ち、この場合、X方向については、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれていることが確認されたことになる。
【0163】
ステップS47において、特定対象領域限定部56は、Y方向上側の比較距離YU[n](=pDY-pTY1[n])が、Y方向下側の比較距離YD[n](=pTY2[n]-pDY)より大きいか否かを判定する。
【0164】
ステップS47において、Y方向上側の比較距離YU[n]が、Y方向下側の比較距離YD[n]より大きいと判定された場合、処理はステップS48に進む。即ち、この場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より下側の領域に含まれると判定されたことになる。
【0165】
ステップS48において、特定対象領域限定部56は、次の領域限定処理(n=n+1)で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のY方向の値sumY[n+1]を更新した後、処理はステップS49に進む。即ち、現在の特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のY方向の値sumY[n]に、現在の特定対象領域の高さH[n]の半分を加算(sumY[n+1]=sumY[n]+H[n]/2)する。
【0166】
一方、ステップS47において、Y方向上側の比較距離YU[n]が、Y方向下側の比較距離YD[n]より大きくない(以下である)と判定された場合、処理はステップS49に進む。即ち、この場合、仮想着弾位置TPは、特定対象領域の中心より上側の領域に含まれると判定されたことになり、次の領域限定処理で用いられる特定対象領域の左上端A1[n+1]を示す座標のY方向の値sumY[n+1]には、そのままsumY[n]が用いられる。
【0167】
ステップS49において、特定対象領域限定部56は、ステップS48で更新された特定対象領域の左上端A1[n+1]が、検出着弾位置DPよりも下側にある(pDY<sumY[n+1])か否かを判定する。即ち、ステップS48で現在の特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のY方向の値sumY[n]に、現在の特定対象領域の高さH[n]の半分を加算して更新した結果、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれなくなっていないかを確認する。例えば、ステップS48での加算量が多すぎて、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれない場合には、特定対象領域が収束しなくなるため、このような確認が必要となる。
【0168】
ステップS49において、特定対象領域限定部56が、ステップS48で更新された特定対象領域の左上端A1[n+1]が、検出着弾位置DPよりも下側にあると判定した場合、処理はステップS50に進む。
【0169】
ステップS50において、特定対象領域限定部56は、ステップS48で更新された特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のY方向の値sumY[n+1]を調整した後、処理はステップS51に進む。例えば、特定対象領域限定部56は、現時点でのY方向の値sumY[n+1]から特定対象領域の高さH[n]の半分を減算する(sumY[n+1]=sumX[n+1]-H[n]/2)ことによって、Y方向の値sumY[n+1]を調整する。
【0170】
一方、ステップS49において、特定対象領域限定部56が、ステップS48で更新された特定対象領域の左上端A1[n+1]が、検出着弾位置DPよりも下側にない(上側にある)と判定した場合、処理はステップS51に進む。
【0171】
ステップS51において、特定対象領域限定部56は、ステップS50で調整された特定対象領域の左上端A1[n+1]に高さH[n]を加算した左下端A3[n+1]が、検出着弾位置DPよりも上側にある(pDY>sumY[n+1]+H[n])か否かを判定する。即ち、ステップS50で特定対象領域の左上端A1[n+1]を調整した結果、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれなくなっていないかを確認する。例えば、ステップS50での減算量が多すぎて、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれない場合には、特定対象領域が収束しなくなるため、このような確認が必要となる。
【0172】
ステップS51において、特定対象領域限定部56が、ステップS50で調整された特定対象領域の左上端A1[n+1]に高さH[n]を加算した左下端A3[n+1]が、検出着弾位置DPよりも上側にあると判定した場合、処理はステップS52に進む。
【0173】
ステップS52において、特定対象領域限定部56は、ステップS42で調整された特定対象領域の左上端A1[n]を示す座標のY方向の値sumY[n+1]を再調整した後、処理はステップS53に進む。例えば、特定対象領域限定部56は、現時点でのY方向の値sumY[n+1]から特定対象領域の高さH[n]の半分を加算する(sumY[n+1]=sumY[n+1]+H[n]/2)ことによって、Y方向の値sumY[n+1]を再調整する。
【0174】
一方、ステップS51において、特定対象領域限定部56が、ステップS50で調整された特定対象領域の左上端A1[n+1]に高さH[n]を加算した左下端A3[n+1]が、検出着弾位置DPよりも上側にない(下側にある)と判定した場合、処理はステップS53に進む。即ち、この場合、1/4に限定した後の特定対象領域に検出着弾位置DPが含まれていることが確認されたことになる。
【0175】
ステップS53において、特定対象領域限定部56は、ステップS41乃至S52の処理において最終的に求められた特定対象領域の左上端A1[n+1]の座標(sumX[n+1] , sumY[n+])を演算判定処理部57に供給する。そして、演算判定処理部57は、特定対象領域の幅W[n]および高さH[n]を更新(W[n+1]=W[n]/2、H [n+1]=H [n]/2)した後、領域限定処理は終了される。
【0176】
以上のように、比較に基づいて特定対象領域を1/4の領域に限定する処理を繰り返し行い、特定対象領域を狭めていくことによってBB弾18の着弾位置を特定することで、誤差が累積することなく、より高精度に着弾位置を求めることができる。
【0177】
<標的システムの第2の構成例>
図14は、標的システム10の第2の構成例を示す図である。
図14において、
図1の標的システム10と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0178】
図14に示す標的システム10Aは、標的装置11およびディスプレイ12を囲うように配置される筐体20を備える点で、
図1の標的システム10と異なる構成となっている。即ち、標的システム10Aは、筐体20の内部に標的装置11およびディスプレイ12が組み込まれるように構成されており、筐体20は、その前方側に設けられる前方開口部以外を板状の部材で囲うような構造となっている。
【0179】
即ち、標的システム10Aでは、筐体20の前方開口部を介して標的画像16が視認され、ソフトエアガン17から発射されたBB弾18は、筐体20の前方開口部から筐体20の内部に入り込み、標的装置11に着弾する。
【0180】
このように、筐体20を用いて標的装置11およびディスプレイ12を一体型で構成することにより、標的システム10Aの設置を容易に行うことができる。また、標的装置11およびディスプレイ12の位置関係が固定されることになり、その位置関係が変化した場合に必要となる調整などの手間を省くことができる。さらに、標的装置11およびディスプレイ12の位置関係が固定されることより、着弾位置の検出精度を向上させることもできる。
【0181】
また、標的システム10Aでは、標的装置11を構成する固定部材21および22(
図2)を筐体20に対して固定することができ、支持部材25および26を省いた構成とすることができる。また、上述したように標的装置11をロール状に丸めることはないので、背面板24として、軟質および硬質の部材のどちらを用いてもよい。
【0182】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、単一のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0183】
また、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラムが記録されたプログラム記録媒体からインストールされる。
【0184】
図15は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0185】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0186】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0187】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0188】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0189】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0190】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0191】
11 標的装置, 12 ディスプレイ, 13 PC, 14 信号ケーブル, 15 映像ケーブル, 16 標的画像, 17 ソフトエアガン, 18 BB弾, 19 捕集マット, 20 筐体, 21および22 固定部材, 23 標的板, 24 背面板, 25および26 支持部材, 27-1乃至27-4 音響センサ, 28 温度センサ, 29 コントロールユニット, 30 空間, 51 着弾位置特定処理装置, 52 着弾認識部, 53 検出着弾位置算出部, 54 演算設定処理部, 55 仮想着弾位置演算部, 56 特定対象領域限定部, 57 演算判定処理部