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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】縦型製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/20 20120101AFI20240409BHJP
   B65B 1/28 20060101ALI20240409BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65B9/20
B65B1/28
B65B57/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020163826
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056048
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康裕
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健太
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】実公昭34-13192(JP,Y2)
【文献】特開平11-321809(JP,A)
【文献】特開2003-072720(JP,A)
【文献】実開昭62-194501(JP,U)
【文献】実開昭58-151506(JP,U)
【文献】実開昭54-005578(JP,U)
【文献】実開昭52-118770(JP,U)
【文献】特開2002-211501(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第3914452(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/20
B65B 1/28
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材から成形した袋に製品を充填する縦型製袋充填包装機であって、
上下方向に延びる筒状の製品充填筒と、
前記製品充填筒の上端に取り付けられて、前記製品充填筒に製品を供給するホッパと、
前記製品充填筒の外周面に帯状包装材を沿わせて幅方向の両端部を重ね合わせることによって、当該帯状包装材を筒状に成形する製筒器と、
前記製筒器によって重ね合わされた帯状包装材の両端部をシールする縦シール装置と、
前記製品充填筒の下方に配置された一対のシールブロックで筒状に成形された帯状包装材を間欠的に挟んで、前記製品充填筒を通じて供給された製品を内包した袋の頂部及び底部に相当する部分をシールする横シール装置と、
前記ホッパを囲むように配置されて、前記製品充填筒内の上昇気流を排出するための空気流路を前記ホッパとの間に形成する流路部材と、
前記縦シール装置及び前記横シール装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記一対のシールブロックを互いに近接させながら下降させる近接下降動作と、
近接した前記一対のシールブロックを帯状包装材に沿って下降させる平行下降動作と、
前記一対のシールブロックで帯状包装材を挟んでシールするシール動作と、
前記一対のシールブロックを互いに離間させながら上昇させる離間上昇動作とを繰り返し実行し、
前記制御装置は、製品が前記ホッパを通過するタイミングで前記近接下降動作を実行することを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記制御装置は、前記近接下降動作を開始する直前に、前記ホッパへの製品の供給を要求する製品要求信号を、製品供給装置に出力することを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記ホッパ及び前記流路部材の間に形成された前記空気流路は、下端が最も狭いことを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記流路部材の側面に設けられた排気口を通じて、前記空気流路内の空気を吸引する吸引装置を備えることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項5】
請求項4に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記排気口から前記吸引装置に至る流路内に配置されて、前記吸引装置によって吸引される空気から異物を除去するフィルタを備えることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項6】
請求項4または5に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記吸引装置を前記空気流路に連通させる第1位置と、前記吸引装置を大気に連通させる第2位置とに切替可能な電磁弁を備え、
前記制御装置は、
前記近接下降動作の実行中に前記電磁弁を前記第1位置にし、
前記平行下降動作、前記シール動作、及び前記離間上昇動作の実行中に前記電磁弁を前記第2位置にすることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状包装材から成形した袋に製品を充填する縦型製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筒状に成形された帯状フィルムの重ね合わされた端部をシールする縦シール装置と、筒状に成形された帯状フィルムのうちの袋の頂部及び底部に相当する部分をシールする横シール装置と、底部がシールされた袋に向けて製品を落下させる製品充填筒とを備える縦型製袋充填包装機が知られている。
【0003】
上記構成の縦型製袋充填包装機において、筒状の帯状フィルムが横シール装置によってシールされる際に、内部の空気が排出されて製品充填筒に上昇気流を生じさせる。この上昇気流によって、製品充填筒内の製品が舞い上がったり、落下速度が低下すると、袋に充填される製品の量が不足したり、横シール装置によるシール部分に製品が噛み込むという課題がある。
【0004】
このような課題を解決する方法として、例えば特許文献1には、製品充填筒の内部に複数の空気流路を設け、当該空気流路に対する空気の吸引及び吹出しを制御することによって、製品充填筒内で空気を循環させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-62070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法を採用する場合、製品充填筒内に複数の空気流路を形成すると共に、横シール装置の動作に合わせて空気の吸引及び吹出しを細かく制御する必要がある。その結果、装置が大型化及び複雑化するという新たな課題を生じる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シンプルな装置構成で袋に製品を適切に充填可能な縦型製袋充填包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、帯状包装材から成形した袋に製品を充填する縦型製袋充填包装機であって、上下方向に延びる筒状の製品充填筒と、前記製品充填筒の上端に取り付けられて、前記製品充填筒に製品を供給するホッパと、前記製品充填筒の外周面に帯状包装材を沿わせて幅方向の両端部を重ね合わせることによって、当該帯状包装材を筒状に成形する製筒器と、前記製筒器によって重ね合わされた帯状包装材の両端部をシールする縦シール装置と、前記製品充填筒の下方に配置された一対のシールブロックで筒状に成形された帯状包装材を間欠的に挟んで、前記製品充填筒を通じて供給された製品を内包した袋の頂部及び底部に相当する部分をシールする横シール装置と、前記ホッパを囲むように配置されて、前記製品充填筒内の上昇気流を排出するための空気流路を前記ホッパとの間に形成する流路部材と、前記縦シール装置及び前記横シール装置の動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記一対のシールブロックを互いに近接させながら下降させる近接下降動作と、近接した前記一対のシールブロックを帯状包装材に沿って下降させる平行下降動作と、前記一対のシールブロックで帯状包装材を挟んでシールするシール動作と、前記一対のシールブロックを互いに離間させながら上昇させる離間上昇動作とを繰り返し実行し、前記制御装置は、製品が前記ホッパを通過するタイミングで前記近接下降動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シンプルな装置構成で袋に製品を適切に充填可能な縦型製袋充填包装機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】縦型製袋充填包装機の全体斜視図である。
図2】縦型製袋充填包装機の側面図である。
図3】ホッパ及び流路部材の分割図である。
図4】ホッパ及び流路部材の組立図である。
図5】ボックスモーション動作のタイムチャートである。
図6図5の(A)~(D)のタイミングにおける一対のシールブロック及び製品の位置関係を示す図である。
図7】変形例に係る縦型製袋充填包装機に取り付けられる電磁弁の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る縦型製袋充填包装機1を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0012】
図1は、縦型製袋充填包装機1の全体斜視図である。図2は、縦型製袋充填包装機1の側面図である。縦型製袋充填包装機1は、帯状フィルムFw(帯状包装材)を袋Bpに成形すると共に、成形した袋Bpに製品を充填する装置である。縦型製袋充填包装機1は、フィルム搬送装置10と、送り装置20と、製品充填筒30と、縦シール装置40と、横シール装置50と、制御装置60とを主に備える。
【0013】
帯状フィルムFwは、製品を包装する袋の材料となる帯状の包装材である。帯状フィルムFwは、熱を加えることによって溶着することが可能な膜状の部材であって、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、アルミ裏打紙、アルミ蒸着紙などが挙げられる。製品は、例えば、飴、豆菓子、スナック等の粒状の食品を指す。但し、製品の具体例はこれらに限定されず、袋Bpに包装されて出荷されるあらゆる物を含む。
【0014】
フィルム搬送装置10は、巻取ロール11に巻き取られた帯状フィルムFwを、送り装置20に搬送する装置である。フィルム搬送装置10は、巻取ロール11と、複数の固定ガイドロール12a~12hと、テンション機構13と、製筒器14とを主に備える。
【0015】
巻取ロール11は、モータ(図示省略)の駆動力が伝達されて、帯状フィルムFwを繰り出す向きに回転する。固定ガイドロール12a~12hは、巻取ロール11から製筒器14に至る帯状フィルムFwの送り経路に配置されて、送り経路に沿って搬送される帯状フィルムFwを案内する。テンション機構13は、送り経路に沿って搬送される帯状フィルムFwに、適切なテンションを付与する。
【0016】
製筒器14は、帯状フィルムFwの幅方向の両端部を重ね合わせることによって、帯状フィルムFwを筒状に成形する。また、製筒器14は、筒状に成形した帯状フィルムFwを、製品充填筒30に向けて下方に送り出す。製筒器14によって筒状に成形された帯状フィルムFwは、製品充填筒30の外周面に沿って下方に移動する。
【0017】
巻取ロール11から製筒器14に至る帯状フィルムFwの送り経路に対面して、日付印字装置15及び日付検査装置16が配置されている。日付印字装置15は、フィルム搬送装置10によって搬送される帯状フィルムFwの所定の位置に、日付(例えば、製造年月日、消費期限、賞味期限など)を印字する。日付検査装置16は、日付印字装置15によって日付が適切に印字されたかを検査する。
【0018】
送り装置20は、フィルム搬送装置10によって搬送された帯状フィルムFwを、上下方向に延びる送り経路に沿って搬送する。より詳細には、送り装置20は、製品充填筒30を挟んで対向する一対の送りベルト21、22を備える。一対の送りベルト21、22は、モータ(図示省略)の駆動力が伝達されて、製品充填筒30の外周面を覆う帯状フィルムFwを、横シール装置50に向けて下方に送る。本実施形態において、送り装置20による帯状フィルムFwの送り方向は、下方向である。
【0019】
製品充填筒30は、上端及び下端が開放された筒状の部材である。製品充填筒30は、製筒器14と横シール装置50との間において、筒状に成形された帯状フィルムFwの送り方向に沿って上下方向に延設されている。製品充填筒30は、不図示の組合せ計量器(製品供給装置)から上端開口を通じて供給された製品を、縦シール装置40及び横シール装置50によって成形された袋Bpに下端開口を通じて充填する。
【0020】
図3は、ホッパ31及び流路部材32の分割図である。図4は、ホッパ31及び流路部材32の組立図である。図1図4に示すように、製品充填筒30の上端には、ホッパ31と、流路部材32とが配置されている。
【0021】
ホッパ31は、断面積が上方に向かって広がる円錐台形状(漏斗形状)の部材である。ホッパ31の上面及び下面は、開口している。ホッパ31の下面は製品充填筒30に対面し、下面より断面積が大きいホッパ31の上面は組合せ計量器に対面している。そして、ホッパ31は、組合せ計量器から落下した製品を受けて製品充填筒30に供給する。
【0022】
流路部材32は、断面積が上方に向かって広がる円錐台形状(漏斗形状)の部材である。流路部材32の上面及び下面は、開口している。そして、流路部材32は、所定の間隔を隔ててホッパ31を囲むように配置されている。ホッパ31及び流路部材32の間には、横断面がリング形状で上方に延びる空気流路が形成されている。そして、空気流路の下端は、製品充填筒30の内部に連通している。一方、空気流路の上端は、リング形状の蓋33によって閉塞されている。
【0023】
流路部材32の側面の傾斜角(鉛直方向に対する側面のなす角度)は、ホッパ31の側面の傾斜角より大きく設定されている。そのため、空気流路の横断面の面積は、上方に向かって徐々に大きくなる。換言すれば、ホッパ31及び流路部材32の間の形成された空気流路は、下端が最も狭くなっている。
【0024】
流路部材32の側面には、排気口34a、34bが形成されている。排気口34a、34bは、流路部材32の周方向に等間隔(本実施形態では、180°間隔)で配置されている。但し、排気口34a、34bの数は、2つに限定されず、3つ以上でもよい。そして、排気口34a、34bには、ホース(流路)を通じてバキューム(吸引装置)35が取り付けられている。すなわち、バキューム35を駆動することによって、製品充填筒30内の空気がホッパ31及び流路部材32の間の空気流路、排気口34a、34b、及びホースを通じて排気される。
【0025】
なお、製品充填筒30から排気される空気には、製品(例えば、スナック菓子)の粉や粉末状の調味料(例えば、食塩、青のり)が含まれる。そこで、排気口34a、34bからバキューム35に至るホース内に、着脱可能なフィルタ36が配置されている。これにより、排気される空気から異物(前述した製品の粉や調味料)が除去されて、縦型製袋充填包装機1の外部に異物が排出されるのを防止できる。
【0026】
図3及び図4に示すように、製品充填筒30の上面には、縦型製袋充填包装機1のフレームに支持された天板37が配置されている。天板37には、製品充填筒30に対面する位置に貫通孔が形成されている。そして、流路部材32は、製品充填筒30に対面する位置において、天板37に支持されている。
【0027】
また、天板37の上面には、流路部材32を囲むように配置される台座38が取り付けられる。台座38は、下面が開放された箱型の部材である。また、台座38の上面には、製品充填筒30に対面する位置に貫通孔が形成されている。そして、台座38の貫通孔にホッパ31が挿入されると、流路部材32の内側にホッパ31が進入する。
【0028】
縦シール装置40は、製品充填筒30に対面する位置に配置されている。より詳細には、縦シール装置40は、送り装置20による帯状フィルムFwの送り方向において、製筒器14より下流側で且つ横シール装置50より上流側に配置されている。
【0029】
縦シール装置40は、帯状フィルムFwの重ね合わされた端部を挟むように配置された一対のシールブロック41、42を備える。一対のシールブロック41、42は、モータ(図示省略)の回転が伝達されて接離する。一対のシールブロック41、42それぞれには、ヒータが内蔵されている。そして、一対のシールブロック41、42は、帯状フィルムFwの重ね合わされた端部を挟んで加熱することによって、幅方向の両端部を溶着(シール)する。これにより、帯状フィルムFwは、筒状に成形される。
【0030】
横シール装置50は、筒状に成形された帯状フィルムFwを所定の間隔毎に溶着(シール)することによって、帯状フィルムFwを袋Bpに成形する。より詳細には、横シール装置50は、袋Bpの底部に相当する部分と、袋Bpの頂部に相当する部分とをシールすると共に、連続する2つの袋の境界部分を切断する。横シール装置50は、一対のシールブロック51、52を備える。
【0031】
一対のシールブロック51、52は、縦シール装置40によって筒状に成形された帯状フィルムFwを挟んで対向配置されている。一対のシールブロック51、52それぞれには、ヒータが内蔵されている。一対のシールブロック51、52は、帯状フィルムFwを挟んで接離すると共に、帯状フィルムFwに沿って昇降する。一対のシールブロック51、52は、単一のモータによって接離及び昇降されてもよいし、接離モータによって接離され、昇降モータによって昇降されてもよい。
【0032】
より詳細には、一対のシールブロック51、52は、開き位置(図6(A)参照)、近接位置(図6(B)、(C)参照)、及びシール位置(図6(D)参照)の間で、互いに接離することができる。なお、一対のシールブロック51、52の水平方向の距離は、開き位置>近接位置>シール位置である。
【0033】
より詳細には、開き位置は、一対のシールブロック51、52が帯状フィルムFwに接触しない位置である。近接位置は、帯状フィルムFwが括れる程度に、一対のシールブロック51、52を帯状フィルムFwに接触させた位置である。但し、近接位置のシールブロック51、52は、所定の間隔を隔てて離間している。シール位置は、一対のシールブロック51、52が帯状フィルムFwを挟んで当接した位置である。シール位置の一対のシールブロック51、52が帯状フィルムFwを挟んで加熱することによって、帯状フィルムFwが溶着される。
【0034】
また、一対のシールブロック51、52は、上端位置(図6(A)参照)及び下端位置(図6(C)、(D)参照)の間で昇降することができる。下端位置は、帯状フィルムFwをシールする位置である。上端位置は、下端位置より上方の位置である。
【0035】
縦型製袋充填包装機1は、フィルム搬送装置10、送り装置20、縦シール装置40、横シール装置50が連動して動作することによって、帯状フィルムFwから袋Bpを成形して製品を充填する処理を、間欠的に繰り返し実行する。縦型製袋充填包装機1の動作は、制御装置60によって制御される。
【0036】
制御装置60は、例えば、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び演算手段の作業領域となるRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。
【0037】
但し、制御装置60の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0038】
まず、制御装置60は、フィルム搬送装置10及び送り装置20を駆動して、1つの袋Bpの高さに相当する分だけ、帯状フィルムFwを送り方向に送る。次に、制御装置60は、縦シール装置40を駆動して、帯状フィルムFwの重ね合わされた端部を一対のシールブロック41、42で挟んでシールすることによって、帯状フィルムFwを筒状に成形する。
【0039】
また、制御装置60は、横シール装置50にボックスモーション動作を実行させることによって、筒状に成形された帯状フィルムFwのうち、第1袋の頂部に相当する部分と、第1袋の直後の第2袋の底部に相当する部分とを、シールブロック51、52で挟んでシールする。また、制御装置60は、横シール装置50が備えるカッタを出没させることにより、帯状フィルムFwを第1袋及び第2袋の境界で切断する。
【0040】
次に、図5及び図6を参照して、ボックスモーション動作と、組合せ計量機からの製品の供給タイミングとの関係を説明する。図5は、ボックスモーション動作のタイムチャートである。図6は、図5の(A)~(D)のタイミングにおける一対のシールブロック51、52及び製品の位置関係を示す図である。
【0041】
なお、制御の開始時点において、一対のシールブロック51、52は、開き位置で且つ上端位置に位置している。また、シールされた帯状フィルムFwの底には、製品が到達している。さらに、バキューム35は、常に空気を吸引しているものとする。
【0042】
まず、図6(A)及び図6(B)に示すように、制御装置60は、開き位置及び上端位置の一対のシールブロック51、52を、互いに近接させながら下降させる(以下、この動作を「近接下降動作」と表記する。)。これにより、一対のシールブロック51、52は、円弧を描きながら近接位置に向けて移動し、下端位置に到達する前に(すなわち、上端位置及び下端位置の間で)近接位置に到達する。これにより、一対のシールブロック51、52によって帯状フィルムFwが扱かれるので、積み重なった製品が帯状フィルムFwの底に落とし込まれる。
【0043】
一方、近接下降動作で帯状フィルムFwを扱くことによって、帯状フィルムFw内の空気が上方に移動する(すなわち、帯状フィルムFw内で上昇気流が発生する。)。この上昇気流は、製品充填筒30、ホッパ31及び流路部材32の間の空気流路、排気口34a、34b、及びホースを通じて、バキューム35によって吸引される。
【0044】
また、制御装置60は、近接下降動作を開始する直前(または、近接下降動作の開始と同時)に、組合せ計量機に製品要求信号を出力する。製品要求信号は、ホッパ31への製品の供給を要求する信号である。なお、制御装置60及び組合せ計量機は、信号線によって接続されているものとする。
【0045】
製品要求信号を受信した組合せ計量機は、予め計量された製品をホッパ31に供給する。その結果、図6(B)に示すように、組合せ計量機から供給された製品は、近接下降動作中にホッパ31を通過する。なお、製品充填筒30内の上昇気流は、ホッパ31の外側に設けられた空気流路を通じて排気されるので、製品の落下速度の低下が抑制される。
【0046】
次に、図6(B)及び図6(C)に示すように、制御装置60は、近接位置の一対のシールブロック51、52を、帯状フィルムFwに沿って平行に下降させる(以下、この動作を「平行下降動作」と表記する。)。これにより、一対のシールブロック51、52が帯状フィルムFwを扱きながら、下端位置まで移動する。また、ホッパ31を通過した製品は、平行下降動作中に製品充填筒30及び帯状フィルムFw内を落下する。
【0047】
次に、図6(C)及び図6(D)に示すように、制御装置60は、近接位置で且つ下端位置の一対のシールブロック51、52を、さらに近接させる(以下、この動作を「シール動作」と表記する。)。これにより、シール位置に到達した一対のシールブロック51、52が帯状フィルムFwを挟んで加熱することによって、帯状フィルムFwをシールする。その結果、製品を収容した袋Bp1の頂部及び次の袋Bp2の底部がシールされる。
【0048】
なお、制御装置60は、帯状フィルムFwが確実にシールされるまで、一対のシールブロック51、52をシール位置に維持する。また、製品充填筒30及び帯状フィルムFw内を落下している製品は、一対のシールブロック51、52がシール位置に留まっている間に、次の袋Bp2の底部に到達する。
【0049】
次に、図6(D)及び図6(A)に示すように、制御装置60は、シール位置で且つ下端位置の一対のシールブロック51、52を、互いに離間させながら上昇させる(以下、この動作を「離間上昇動作」と表記する。)。これにより、一対のシールブロック51、52が離間位置で且つ上端位置に到達する。そして、制御装置60は、近接下降動作、平行下降動作、シール動作、及び離間上昇動作を、この順に繰り返し実行する。その結果、各々に製品が充填された複数の袋Bp1、Bp2、・・・が順番に製造される。
【0050】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0051】
上記の実施形態によれば、ホッパ31を囲むように流路部材32を配置することによって、ホッパ31及び流路部材32の間に形成された空気流路を通じて、製品充填筒30内の上昇気流が排気される。そして、強い上昇気流が発生する近接下降動作を、製品がホッパ31を通過するタイミングで実行することによって、シンプルな装置構成で製品の落下速度の低下を効率的に抑制することができる。その結果、袋に製品を適切に充填することができる。
【0052】
また、上記の実施形態によれば、組合せ計量機に製品要求信号を出力することによって、製品がホッパ31を通過するタイミングを制御装置60がコントロールすることができる。但し、近接下降動作中に製品がホッパ31を通過するように、縦型製袋充填包装機1及び組合せ計量機の動作タイミングを予め調整しておいてもよい。これにより、製品要求信号の送受信を省略しても、製品がホッパ31を通過するタイミングで近接下降動作を実行することができる。
【0053】
また、上記の実施形態によれば、ホッパ31及び流路部材32の間の空気流路を、下端が最も狭くなるように構成することによって、空気の流れが阻害されないので、上昇気流をスムーズに排気することができる。
【0054】
また、上記の実施形態によれば、バキューム35で吸引することによって空気流路内が負圧になるので、製品充填筒30内の上昇気流をホッパ31及び流路部材32の間に誘引することができる。これにより、製品の落下速度の低下をさらに抑制することができる。但し、バキューム35を省略して、製品充填筒30内の上昇気流を空気流路から自然排気してもよい。この場合、蓋33は省略されて、空気流路の上端から排気すればよい。
【0055】
また、上記の実施形態によれば、排気口34a、34bからバキューム35に至る流路に、着脱可能なフィルタ36を設けたので、排気に含まれる異物が縦型製袋充填包装機1の外部に排出されるのを防止できる。その結果、縦型製袋充填包装機1の周辺に散乱した異物を清掃する手間を省くことができる。
【0056】
[変形例]
図7は、変形例に係る縦型製袋充填包装機1に取り付けられる電磁弁39の概略図である。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。変形例に係る縦型製袋充填包装機1は、排気口34a、34bからバキューム35に至る流路上に電磁弁39を設けた点で、上記の実施形態と相違する。
【0057】
電磁弁39は、制御装置60の制御に従って、位置A(第1位置)と、位置B(第2位置)とに切替可能に構成されている。図7(A)に示すように、位置Aは、バキューム35を排気口34a、34b(すなわち、空気流路)に連通させ、バキューム35と大気との間を遮断する位置である。図7(B)に示すように、位置Bは、バキューム35を大気に連通させ、バキューム35と排気口34a、34bとの間を遮断する位置である。
【0058】
電磁弁39の初期位置は、位置Aである。また、電磁弁39は、制御装置60から制御電圧が印加されることによって、位置Aから位置Bに切り替えられる。さらに、電磁弁39は、制御装置60からの制御電圧の印加が停止することによって、再び位置Bから位置Aに切り替えられる。
【0059】
そして、変形例に係る制御装置60は、近接下降動作の実行中に電磁弁39に制御電圧を印加する。これにより、電磁弁39が位置Bに切り替えられて、空気流路内の空気がバキューム35によって吸引される。その結果、製品がホッパ31を通過するタイミングで、製品充填筒30内の上昇気流が空気流路を通じて排気される。
【0060】
一方、変形例に係る制御装置60は、平行下降動作、シール動作、及び離間上昇動作の実行中に、電磁弁39への制御電圧の印加を停止する。電磁弁39が位置Aに切り替えられて、バキューム35による空気流路内の排気が停止する。
【0061】
ホッパ31を通過して製品充填筒30内を落下する製品は、バキューム35による吸引の有無に拘わらず、製品充填筒30内の上昇気流の影響を受ける。むしろ、バキューム35で吸引することによって、製品充填筒30内の上昇気流が強くなって、製品の落下速度が低下する可能性もある。そこで上記の変形例のように、製品がホッパ31を通過した後はバキューム35による積極的な吸引を停止することによって、製品の落下速度の低下をさらに抑制することができる。
【0062】
なお、バキューム35の立ち上がりに要する期間(駆動を開始してから吸引が安定するまでの期間)は、縦型製袋充填包装機1のタクトタイムと比較して長いので、バキューム35自体の駆動を開始及び停止することによって、前述の作用効果を得るのは困難である。そこで、排気口34a、34bからバキューム35に至る流路に電磁弁39を設けることによって、シンプルな構成で前述の作用効果を実現することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…縦型製袋充填包装機、10…フィルム搬送装置、11…巻取ロール、12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h…固定ガイドロール、13…テンション機構、14…製筒器、15…日付印字装置、16…日付検査装置、20…送り装置、21,22…送りベルト、30…製品充填筒、31…ホッパ、32…流路部材、33…蓋、34a,34b…排気口、35…バキューム、36…フィルタ、37…天板、38…台座、39…電磁弁、40…縦シール装置、41,42,51,52…シールブロック、50…横シール装置、60…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7