(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】情報管理方法および車両運行履歴管理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021006351
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 晃平
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-069936(JP,A)
【文献】特開2020-166411(JP,A)
【文献】特開2013-061727(JP,A)
【文献】特開2018-192917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G07C 5/00
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両位置履歴情報を管理するための情報管理方法であって、
前記車両位置履歴情報は、車両位置を表す位置情報であって、時刻の異なる複数の前記位置情報を含んでおり、さらに、前記車両位置履歴情報は、記録領域に記録された情報であり、
前記記録領域は、位置情報領域と、インデックス領域と、を備え、
前記位置情報領域は、前記車両位置履歴情報を記録するように構成された複数の情報フレームを備えており、
前記複数の情報フレームは、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームまで連続して配置されたM個の情報フレームを備えており、
前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ個別のフレーム番号が割り当てられており、
前記Mは、2以上の整数であって、2の累乗に対応する値であり、
前記インデックス領域は、前記複数の情報フレームにおける参照順番を表す参照順番情報を記録するように構成された複数のインデックスフレームを備えており、
前記複数のインデックスフレームは、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームまで連続して配置されたM個のインデックスフレームを備えており、
前記複数のインデックスフレームの各々は、前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれの前記フレーム番号を記録するように構成されており、
前記参照順番情報は、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて記録された複数の前記フレーム番号の順番に基づき定められており、
当該情報管理方法は、
予め定められた基本取得時間にわたる第1区間で、予め定められた第1周期毎に、前記位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに対応する前記フレーム番号を、その順番にしたがって前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームのそれぞれに記録する初期設定ステップと、
前記第1区間において前記第1周期毎に、前記初期設定ステップで記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報を前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに記録する第1記録ステップと、
前記第1区間に続く第2区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更する第1インデックス変更ステップであって、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録し、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する、第1インデックス変更ステップと、
前記第2区間において前記第1周期の2倍である第2周期毎に、前記第1インデックス変更ステップで記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録する第2記録ステップと、
を備える、情報管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報管理方法であって、
前記第1インデックス変更ステップは、
前記第1インデックスフレームから前記第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録ステップ完了時の第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録し、さらに、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録ステップ完了時の第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録し、前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である、
情報管理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報管理方法であって、
前記第2区間に続く第3区間および第4区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更する第2インデックス変更ステップであって、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから前記第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録し、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する、第2インデックス変更ステップと、
前記第3区間および前記第4区間において前記第2周期の2倍である第3周期毎に、前記第2インデックス変更ステップで記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録する第3記録ステップと、
を備える、情報管理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の情報管理方法であって、
前記第2インデックス変更ステップは、
前記第1インデックスフレームから前記第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録ステップ完了時の第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録し、さらに、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録ステップ完了時の第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録し、前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である、
情報管理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の情報管理方法であって、
前記情報フレームに記録できるデータ容量は、前記インデックスフレームに記録できるデータ容量よりも大きい、
情報管理方法。
【請求項6】
車両運行履歴管理装置であって、
車両位置履歴情報を記録する記録領域を備える記録部と、
前記車両位置履歴情報を前記記録領域に記録するように構成された記録制御部と、
を備え、
前記車両位置履歴情報は、車両位置を表す位置情報であって、時刻の異なる複数の前記位置情報を含んでおり、
前記記録領域は、位置情報領域と、インデックス領域と、を備え、
前記位置情報領域は、前記車両位置履歴情報を記録するように構成された複数の情報フレームを備えており、
前記複数の情報フレームは、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームまで連続して配置されたM個の情報フレームを備えており、
前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、個別のフレーム番号が割り当てられており、
前記Mは、2以上の整数であって、2の累乗に対応する値であり、
前記インデックス領域は、前記複数の情報フレームにおける参照順番を表す参照順番情報を記録するように構成された複数のインデックスフレームを備えており、
前記複数のインデックスフレームは、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームまで連続して配置されたM個のインデックスフレームを備えており、
前記複数のインデックスフレームの各々は、前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれの前記フレーム番号を記録するように構成されており、
前記参照順番情報は、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて記録された複数の前記フレーム番号の順番に基づき定められており、
前記記録制御部は、
予め定められた基本取得時間にわたる第1区間で、予め定められた第1周期毎に、前記位置情報を取得するように構成された位置情報取得部と、
前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに対応する前記フレーム番号を、その順番にしたがって前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームのそれぞれに記録するように構成された初期設定部と、
前記第1区間において前記第1周期毎に、前記初期設定部により記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて、前記位置情報取得部で取得された前記位置情報を前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに記録するように構成された第1記録処理部と、
前記第1区間に続く第2区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更するように構成された第1インデックス変更部であって、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録し、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録するように構成された、第1インデックス変更部と、
前記第2区間において前記第1周期の2倍である第2周期毎に、前記第1インデックス変更部により記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録するように構成された第2記録処理部と、
を備える、車両運行履歴管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両運行履歴管理装置であって、
前記第1インデックス変更部は、
前記第1インデックスフレームから前記第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録し、さらに、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録するように構成され、前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である、
車両運行履歴管理装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の車両運行履歴管理装置であって、
前記第2区間に続く第3区間および第4区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更するように構成された第2インデックス変更部であって、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから前記第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録し、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録するように構成された第2インデックス変更部と、
前記第3区間および前記第4区間において前記第2周期の2倍である第3周期毎に、前記第2インデックス変更部により記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録するように構成された第3記録処理部と、
を備える、車両運行履歴管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両運行履歴管理装置であって、
前記第2インデックス変更部は、
前記第1インデックスフレームから前記第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録し、さらに、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録するように構成され、前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である、
車両運行履歴管理装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9のうちいずれか一項に記載の車両運行履歴管理装置であって、
前記情報フレームに記録できるデータ容量は、前記インデックスフレームに記録できるデータ容量よりも大きい、
車両運行履歴管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報管理方法および車両運行履歴管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されて利用される車載装置が知られている。車載装置は、位置情報を受信するためのGPS(Global Positioning System)受信機を有するものがある。
そのような車載装置は、例えば、車両運行履歴管理装置として利用されるものがある。車両運行履歴管理装置は、GPS衛星から受信した位置情報(以下、GPSデータともいう)を使用して、車両運行の経路に関する車両位置履歴情報(以下、GPSログデータともいう)を保存する機能を有する。
【0003】
車載装置は、車載装置の内部記録部(例えば、内部メモリなど)へのGPSデータの記録により、複数のGPSデータを含むGPSログデータを保存する。また、車載装置は、無線通信網を用いたデータアップロードにより、内部記録部のGPSログデータを外部装置(例えば、サーバ装置など)に送信して、GPSログデータを外部装置に保存することも可能である。これにより、車載装置の利用者は、車載装置からGPSログデータが削除された場合でも、外部装置のGPSログデータに基づいて、事後的に車両運行経路を確認することができる。
【0004】
GPSログデータとして記録するGPSデータの記録密度を高くする(換言すれば、GPSデータの取得周期を短くする)ことで、車両運行経路をより詳細に記録することができる。しかし、GPSログデータの記録密度が高くなるに従い、単位時間あたりのデータ量が増加するため、内部記録部に記録可能な車両運行経路の最大時間が短くなる。
【0005】
これに対して、内部記録部の限界容量までGPSログデータを記録した場合に、GPSログデータの記録密度を低く変更することで、保存可能な車両運行経路の最大時間を拡大する技術が提案されている(特許文献1)。具体的には、内部記録部に記録されたGPSログデータにおいて、2個のGPSデータごとに1個のGPSデータを間引く処理(削除する処理)を行い、内部記録部の空き容量を確保する。その後は、2個のGPSデータを取得する毎に1個のGPSデータを記録する。なお、GPSログデータの記録密度を低く変更することは、換言すれば、GPSデータの取得周期を長く変更すること、に対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、内部記録部に記録されたGPSログデータの記録密度を変更する場合、GPSログデータの管理が煩雑となる可能性がある。
つまり、例えば、GPSログデータの記録密度を低く変更するために、複数の記録領域における一部のGPSデータを削除した結果、一連のGPSログデータに対応する複数の記録領域が離散した状態となる場合がある。この場合、複数の記録領域における一連のGPSログデータの記録場所(換言すれば、記録順序)がランダム(不規則)に変更される場合には、GPSログデータの管理が煩雑になる可能性がある。
【0008】
あるいは、一連のGPSログデータに対応する複数の記録領域を、離散した状態から連続した状態に並べ替える場合には、内部記録部の記録領域における複数のGPSデータの移動処理(換言すれば、並べ替え処理)が複雑となる場合がある。このとき、複数のGPSデータの移動処理に要する時間が長くなる可能性がある。また、移動処理に必要な作業領域(一次的なデータ記録領域)の大型化が必要となる可能性がある。
【0009】
そこで、本開示は、複数の位置情報を含む車両位置履歴情報の記録密度を変更するにあたり、車両位置履歴情報の管理が煩雑となることを抑制できる情報管理方法および車両運行履歴管理装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一局面における方法は、車両位置履歴情報を管理するための情報管理方法である。情報管理方法は、位置情報取得ステップと、初期設定ステップと、第1記録ステップと、第1インデックス変更ステップと、第2記録ステップと、を備える。
【0011】
前記車両位置履歴情報は、車両位置を表す位置情報である。前記車両位置履歴情報は、時刻の異なる複数の前記位置情報を含んでいる。さらに、前記車両位置履歴情報は、記録領域に記録された情報である。
【0012】
前記記録領域は、位置情報領域と、インデックス領域と、を備える。
前記位置情報領域は、前記車両位置履歴情報を記録するように構成された複数の情報フレームを備えている。前記複数の情報フレームは、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームまで連続して配置されたM個の情報フレームを備えている。前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ個別のフレーム番号が割り当てられている。前記Mは、2以上の整数であって、2の累乗に対応する値である。前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、個別のフレーム番号が割り当てられてもよい。例えば、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、0番から(M-1)番のフレーム番号が割り当てられてもよい。あるいは、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、始点が0番以外の数字となるM個の連続したフレーム番号が割り当てられてもよい。始点が0番以外の数字となるM個の連続したフレーム番号は、例えば、1番からM番までの複数のフレーム番号や、2番から(M+1)番までの複数のフレーム番号などが挙げられる。
【0013】
前記インデックス領域は、複数のインデックスフレームを備えている。前記複数のインデックスフレームは、参照順番情報を記録するように構成されている。前記参照順番情報は、前記複数の情報フレームにおける参照順番を表す。
【0014】
前記複数のインデックスフレームは、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームまで連続して配置されたM個のインデックスフレームを備えている。前記複数のインデックスフレームの各々は、前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれの前記フレーム番号を記録するように構成されている。
【0015】
前記参照順番情報は、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて記録された複数の前記フレーム番号の順番に基づき定められている。
前記位置情報取得ステップでは、予め定められた基本取得時間にわたる第1区間で、予め定められた第1周期毎に、前記位置情報を取得する。
【0016】
前記初期設定ステップでは、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに対応する前記フレーム番号を、その順番にしたがって前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームのそれぞれに記録する。
【0017】
前記第1記録ステップでは、前記第1区間において前記第1周期毎に、前記初期設定ステップで記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて、前記位置情報を記録する。前記第1記録ステップでは、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報を前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに記録する。
【0018】
前記第1インデックス変更ステップでは、前記第1区間に続く第2区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更する。前記第1インデックス変更ステップでは、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録する。前記第1インデックス変更ステップでは、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する。
【0019】
前記第2記録ステップでは、前記第2区間において第2周期毎に、前記第1インデックス変更ステップで記録された前記参照順番情報に基づいて、前記情報フレームに前記位置情報を記録する。前記第2周期は、前記第1周期の2倍である。前記第2記録ステップでは、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録する。
【0020】
この情報管理方法においては、位置情報の記録区間が第1区間から第2区間に移行するにあたり、位置情報領域において情報フレームに記録された位置情報の移動処理(換言すれば、並べ替え処理)を行う必要が無い。
【0021】
このため、情報管理方法は、車両位置履歴情報の記録密度を変更する(換言すれば、位置情報の取得周期を変更する)にあたり、位置情報領域における車両位置履歴情報の管理が煩雑となることを抑制できる。
【0022】
また、情報管理方法は、車両位置履歴情報の記録密度を変更するにあたり、複数の位置情報を移動する処理が不要となる。このため、情報管理方法は、複数の位置情報の移動処理に要する時間が長くなることを抑制できる。また、情報管理方法は、位置情報の移動処理に必要な作業領域(一次的なデータ記録領域)の大型化を抑制できる。
【0023】
なお、参照順番情報は、複数のインデックスフレームの各々に記録されたフレーム番号の全体によって特定される。
次に、前記第1インデックス変更ステップでは、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録ステップ完了時の第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録してもよい。前記第1インデックス変更ステップでは、さらに、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録ステップ完了時の第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録してもよい。前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である。
【0024】
このようにして、複数のインデックスフレームにおけるフレーム番号を変更する処理は、第1インデックス変更ステップを実現するための一例である。
上述の情報管理方法は、第2インデックス変更ステップと、第3記録ステップと、を備えてもよい。
【0025】
前記第2インデックス変更ステップでは、前記第2区間に続く第3区間および第4区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更する。前記第2インデックス変更ステップでは、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録する。前記第2インデックス変更ステップでは、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する。
【0026】
前記第3記録ステップでは、前記第3区間および前記第4区間において第3周期毎に、前記第2インデックス変更ステップで記録された前記参照順番情報に基づいて、前記情報フレームに前記位置情報を記録する。前記第3周期は、前記第2周期の2倍である。前記第3記録ステップでは、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録する。
【0027】
この情報管理方法によれば、さらに長期間にわたる車両位置履歴情報を記録できる。これにより、記録領域の大きさに制限がある場合でも、より長期間にわたる車両位置を記録することができる。
【0028】
この情報管理方法によれば、さらに、位置情報の記録区間が第2区間から第3区間に移行するにあたり、車両位置履歴情報の管理が煩雑となることを抑制できる。また、情報管理方法は、さらに、位置情報の記録区間が第2区間から第3区間に移行するにあたり、複数の位置情報の移動処理に要する時間が長くなることを抑制できる。また、情報管理方法は、位置情報の移動処理に必要な作業領域の大型化を抑制できる。
【0029】
前記第2インデックス変更ステップでは、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録ステップ完了時の第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録してもよい。前記第2インデックス変更ステップでは、さらに、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録ステップ完了時の第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録してもよい。前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である。
【0030】
このようにして、複数のインデックスフレームにおけるフレーム番号を変更する処理は、第2インデックス変更ステップを実現するための一例である。
前記情報フレームに記録できるデータ容量は、前記インデックスフレームに記録できるデータ容量よりも大きくてもよい。
【0031】
情報フレームの記録容量が大きい場合には、複数の情報フレームに記録された位置情報の並べ替えを行うにあたり、より大きな作業領域を必要とし、処理時間が長くなる可能性がある。これに対して、上述の情報管理方法は、複数の情報フレームに記録された位置情報の並べ替えが不要となるため、迅速に記録領域の空き領域を拡張することができる。
【0032】
本開示の他の一局面における車両運行履歴管理装置は、記録部と、記録制御部と、を備える。前記記録部は、車両位置履歴情報を記録する記録領域を備える。前記記録制御部は、前記車両位置履歴情報を前記記録領域に記録するように構成されている。
【0033】
前記車両位置履歴情報は、車両位置を表す位置情報である。前記車両位置履歴情報は、時刻の異なる複数の前記位置情報を含んでいる。
前記記録領域は、位置情報領域と、インデックス領域と、を備える。
【0034】
前記位置情報領域は、前記車両位置履歴情報を記録するように構成された複数の情報フレームを備えている。前記複数の情報フレームは、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームまで連続して配置されたM個の情報フレームを備えている。前記第0情報フレームから第(M-1)情報フレームは、それぞれ個別のフレーム番号が割り当てられている。前記Mは、2以上の整数であって、2の累乗に対応する値である。前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、個別のフレーム番号が割り当てられてもよい。例えば、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、0番から(M-1)番のフレーム番号が割り当てられてもよい。あるいは、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームは、それぞれ、始点が0番以外の数字となるM個の連続したフレーム番号が割り当てられてもよい。始点が0番以外の数字となるM個の連続したフレーム番号は、例えば、1番からM番までの複数のフレーム番号や、2番から(M+1)番までの複数のフレーム番号などが挙げられる。
【0035】
前記インデックス領域は、複数のインデックスフレームを備えている。前記複数のインデックスフレームは、参照順番情報を記録するように構成されている。前記参照順番情報は、前記複数の情報フレームにおける参照順番を表す。
【0036】
前記複数のインデックスフレームは、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームまで連続して配置されたM個のインデックスフレームを備えている。前記複数のインデックスフレームの各々は、前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれの前記フレーム番号を記録するように構成されている。
【0037】
前記参照順番情報は、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて記録された複数の前記フレーム番号の順番に基づき定められている。
前記記録制御部は、位置情報取得部と、初期設定部と、第1記録処理部と、第1インデックス変更部と、第2記録処理部と、を備える。
【0038】
前記位置情報取得部は、予め定められた基本取得時間にわたる第1区間で、予め定められた第1周期毎に、前記位置情報を取得するように構成されている。
前記初期設定部は、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに対応する前記フレーム番号を、その順番にしたがって前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームのそれぞれに記録するように構成されている。
【0039】
前記第1記録処理部は、前記第1区間において前記第1周期毎に、前記初期設定部により記録された前記参照順番情報に基づいて、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームにかけて、前記位置情報を記録するように構成されている。前記第1記録処理部は、前記位置情報取得部で取得された前記位置情報を前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに記録するように構成されている。
【0040】
前記第1インデックス変更部は、前記第1区間に続く第2区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更するように構成されている。前記第1インデックス変更部は、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録する。前記第1インデックス変更部は、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する。
【0041】
前記第2記録処理部は、前記第2区間において前記第1周期の2倍である第2周期毎に、前記第1インデックス変更部により記録された前記参照順番情報に基づいて、前記情報フレームに前記位置情報を記録するように構成されている。前記第2記録処理部は、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録する。
【0042】
この車両運行履歴管理装置は、上述の情報管理方法と同様の効果を奏する。つまり、この車両運行履歴管理装置は、車両位置履歴情報の記録密度を変更する(換言すれば、位置情報の取得周期を変更する)にあたり、位置情報領域における車両位置履歴情報の管理が煩雑となることを抑制できる。
【0043】
また、この車両運行履歴管理装置は、車両位置履歴情報の記録密度を変更するにあたり、複数の位置情報を移動する処理が不要となるため、複数の位置情報の移動処理に要する時間が長くなることを抑制できる。また、この車両運行履歴管理装置は、位置情報の移動処理に必要な作業領域(一次的なデータ記録領域)の大型化を抑制できる。
【0044】
次に、前記第1インデックス変更部は、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録するように構成されてもよい。前記第1インデックス変更部は、さらに、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録するように構成されてもよい。前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である。
【0045】
上述の車両運行履歴管理装置は、第2インデックス変更部と、第3記録処理部と、を備えてもよい。
前記第2インデックス変更部は、前記第2区間に続く第3区間および第4区間のために、前記インデックス領域の前記参照順番情報を変更するように構成されてもよい。前記第2インデックス変更部は、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後も記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録してもよい。前記第2インデックス変更部は、記録済みの前記位置情報のうち前記参照順番情報の変更後は記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号を、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録するように構成されてもよい。
【0046】
前記第3記録処理部は、前記第3区間および前記第4区間において第3周期毎に、前記第2インデックス変更部により記録された前記参照順番情報に基づいて、前記情報フレームに前記位置情報を記録するように構成されてもよい。前記第3周期は、前記第2周期の2倍である。前記第3記録処理部は、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに前記位置情報を記録するように構成されてもよい。
【0047】
前記第2インデックス変更部は、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録してもよい。前記第2インデックス変更部は、さらに、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第2記録処理部による前記位置情報の記録完了時に第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録するように構成されてもよい。前記nは1~M/2までの整数であり、前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である。
【0048】
前記情報フレームに記録できるデータ容量は、前記インデックスフレームに記録できるデータ容量よりも大きくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】第1実施形態におけるドライブレコーダの構成を模式的に表した構成図である。
【
図2】履歴情報管理処理の処理内容を表したフローチャートである。
【
図3】記録部における車両位置履歴情報の記録領域の概念を表した説明図である。
【
図4】インデックス領域の更新状態を表した説明図である。
【
図5】位置情報領域の更新状態を表した説明図である。
【
図6】他の実施形態におけるドライブレコーダの構成を模式的に表した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0051】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
第1実施形態の車両用ドライブレコーダ1(以下、単にドライブレコーダ1ともいう)は、車両に搭載されるように構成されている。
【0052】
ドライブレコーダ1は、車両周囲の映像を記録するように構成されている。ドライブレコーダ1は、GPS(Global Positioning System)データ(以下、位置情報ともいう)を使用してGPSログデータ(以下、車両位置履歴情報ともいう)を保存するように構成されている。車両位置履歴情報は、車両位置を表す位置情報であって、時刻の異なる複数の位置情報を含んでいる。換言すれば、車両位置履歴情報は、車両運行経路を表す情報に対応する。
【0053】
図1に模式的に示すように、ドライブレコーダ1は、本体部3と、カメラ5と、GPSモジュール7と、通信モジュール9と、を備える。
本体部3は、ドライブレコーダ1の主要部である。本体部3は、位置履歴情報記録処理、映像記録処理などの各種処理を実行するように構成されている。
【0054】
カメラ5は、車両の周囲を撮影するように車両に配置されている。カメラ5は、撮影した映像に関する映像データを本体部3に送信するように構成されている。カメラ5の撮影方向は、1方向に限られることは無く、複数方向の映像を撮影する構成であってもよい。
【0055】
GPSモジュール7は、GPS衛星から受信した位置情報を本体部3に送信するように構成されている。ドライブレコーダ1が車両に搭載されることで、位置情報は、車両の位置を表す。位置情報の履歴データは、車両位置履歴情報に対応する。
【0056】
通信モジュール9は、予め定められた通信プロトコルに基づいて、無線通信網を介して各種情報を送受信するように構成されている。通信モジュール9は、例えば、本体部3から外部機器(例えば、外部サーバ、管理装置、通信端末装置など)に対して車両位置履歴情報を送信するための通信処理を実行する。通信モジュール9は、外部機器から本体部3に対して情報あるいは指令を送信するための通信処理を実行してもよい。無線通信網は、例えば、携帯電話通信、LTE通信、Bluetooth(登録商標)通信、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)通信などを用いた通信網が挙げられる。通信モジュール9は、ドライブレコーダ1から離れた場所に設置された外部機器との間で情報の送受信を行う。
【0057】
本体部3は、制御部11と、記録部13と、位置情報取得部15と、通信部17と、記録媒体装着部19と、運行ログ生成部21と、書き込みフレーム判定部23と、運行ログ復元情報生成部25と、を備える。
【0058】
制御部11は、本体部3に備えられる各部を制御するように構成されている。制御部11は、図示しないCPU、ROM、RAM、NVRAMを備える。CPUは、ROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を実行するように構成される。RAMは、CPUによる処理実行時に、作業領域として使用される。NVRAMは、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであり、CPUによる処理実行時に参照される各種データを記憶する。制御部11が実行する処理は、CPUがROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を実行することにより実現される。
【0059】
制御部11は、例えば、カメラ5から受信した映像データを、記録媒体装着部19に装着された記録媒体(図示省略)に記録するように構成される。制御部11は、位置情報(以下、GPSデータともいう)を記録部13に記録する処理を実行する。
【0060】
記録部13は、データ記録用の内蔵RAM(図示省略)を備える。記録部13は、各種情報を記録する記録領域を備えている。各種情報は、映像データ、車両位置履歴情報などを含む。車両位置履歴情報の記録領域は、位置情報領域と、インデックス領域と、を備える。なお、位置情報領域およびインデックス領域については、後述する。
【0061】
位置情報取得部15は、制御部11からの制御指令に従い、GPSモジュール7から位置情報を取得するように構成されている。
通信部17は、制御部11からの制御指令に従い、通信モジュール9との間で各種情報の送受信を行うように構成されている。通信部17は、予め定められた通信プロトコルに基づいて、通信モジュール9および無線通信網を介して各種情報を送受信する。
【0062】
記録媒体装着部19は、記録媒体(図示省略)を離脱可能に装着するためのスロットを備えている。記録媒体は、メモリカードなどであってもよい。記録媒体装着部19は、制御部11からの制御指令に基づいて、記録媒体へのデータの書き込み動作を行うように構成されている。さらに、記録媒体装着部19は、制御部11からの制御指令に基づいて、記録媒体からのデータの読み出し動作を行うように構成されている。記録媒体は、映像データの記録に利用してもよい。記録媒体は、車両位置履歴情報の記録に利用してもよい。
【0063】
運行ログ生成部21は、制御部11からの制御指令に基づいて、記録部13に記録された位置情報を用いて、車両位置履歴情報を生成するように構成されている。詳細には、運行ログ生成部21は、位置情報領域に記録された複数の位置情報と、インデックス領域に記録された参照順番情報と、を用いて、車両位置履歴情報を生成する。運行ログ生成部21は、記録部13で複数の位置情報がランダムに記録されている場合に、参照順番情報に基づいて、複数の位置情報を時系列に並べ替えることで、車両位置履歴情報を生成する。運行ログ生成部21は、外部機器などで利用可能なデータ形式の車両位置履歴情報を生成することができる。
【0064】
書き込みフレーム判定部23は、制御部11からの制御指令に基づいて、記録部13の位置情報領域における複数の情報フレームのうち、位置情報を書き込む対象の情報フレームを判定するように構成されている。書き込みフレーム判定部23は、後述する数式(4)および(5)に関する情報を保持している。
【0065】
運行ログ復元情報生成部25は、制御部11からの制御指令に基づいて、記録部13のインデックス領域および位置情報領域に記録されている情報をそのまま複写して記録するように構成されている。換言すれば、運行ログ復元情報生成部25は、記録部13に記録された情報をそのままバックアップすることができる。運行ログ復元情報生成部25は、バックアップした参照順番情報および複数の位置情報を用いて、複数の位置情報を時系列に並べ替えることで、外部機器などで利用可能なデータ形式の車両位置履歴情報を復元する。運行ログ復元情報生成部25は、記録部13の情報をそのまま複写して記録するため、複数の位置情報を並べ替える処理を省略でき、短時間で記録部13の情報をバックアップすることができる。
【0066】
ドライブレコーダ1は、図示しない表示部、入力部を備えてもよい。表示部は、液晶ディスプレイ等を用いて構成してもよい。表示部は、制御部11に制御されて、カメラ5の撮影画像を表示してもよい。あるいは、表示部は、各種操作画面を表示してもよい。
【0067】
入力部は、利用者からの操作を受け付けて、対応する操作信号を制御部11に送信してもよい。入力部は、例えば、利用者が押下操作可能なメカニカルキーを備えてもよい。入力部は、表示部に隣接して配置されるタッチパネルを備えてもよい。
【0068】
[1-2.履歴情報管理]
次に、
図2を用いて、制御部11が実行する履歴情報管理処理について説明する。
履歴情報管理処理は、記録部13に記録される車両位置履歴情報を管理するための処理である。具体的には、履歴情報管理処理は、記録部13の記録領域において、車両位置履歴情報を記録するための空き領域が無くなるか所定量以下になると、記録済みの記録領域における位置情報の一部を削除して空き領域を確保して、新たな位置情報を記録するための処理である。
【0069】
制御部11は、履歴情報管理処理を開始すると、まず、S110(Sはステップを表す)で、インデックス変数nおよび段階変数xの初期化を行う。インデックス変数nおよび段階変数xは、いずれも、制御部11での内部処理に用いられる内部変数である。インデックス変数nは、インデックス領域のインデックス番号を表す内部変数である。段階変数xは、車両位置履歴情報の記録密度に関する変更段階(換言すれば、位置情報の取得周期に関する変更段階)を表す内部変数である。履歴情報管理処理の開始直後は、段階変数x=1であり、その後、後述するS170で否定判定されて記録密度が変更されると、後述するS190で段階変数xが1加算されてx=2となる。その後、さらに記録密度が変更されるに従い、段階変数xが1加算される。
【0070】
制御部11は、S110では、インデックス変数nおよび段階変数xのそれぞれに初期値を設定する。本実施形態では、インデックス変数nの初期値および段階変数xの初期値は、いずれも1である(n=1、x=1)。
【0071】
第x段階(x=1)での位置情報取得時間TCxは、数式(1)に基づいて設定される。
【0072】
【0073】
TCaは基本取得時間である。基本取得時間TCaは、第1段階(x=1)において、記録部13に記録される車両位置履歴情報の最大時間に対応する。位置情報取得時間TCxは、第x段階において、記録部13に記録される車両位置履歴情報の最大時間に対応する。
【0074】
ここで、
図3を用いて、記録部13の記録領域のうち、車両位置履歴情報の記録領域について説明する。上述のとおり、記録領域は、位置情報領域と、インデックス領域と、を備える。
【0075】
図3では、第1段階(x=1)から第3段階(x=3)までの各段階における位置情報領域およびインデックス領域を表している。
位置情報領域は、車両位置履歴情報を記録するように構成された複数の情報フレームを備える。複数の情報フレームは、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームまで連続して配置されたM個の情報フレームを備えている。Mは、情報フレームの個数を表しており、2以上の整数であって、2の累乗に対応する値である。例えば、Mが2のm乗の場合には、Mは数式(2)で表すことができる。
【0076】
【0077】
図3では、位置情報領域が、第0情報フレームF0から第15情報フレームF15までの16個(M=16=2
4。m=4。)の情報フレームを備えている場合について記載している。情報フレームは、車両位置履歴情報に含まれる位置情報を記録するように構成されている。第1段階では、第0情報フレームF0から第15情報フレームF15のそれぞれに、位置情報D1~D16が記録されている。
【0078】
インデックス領域は、参照順番情報を記録するように構成された複数のインデックスフレームを備える。参照順番情報は、複数の情報フレームにおける各情報フレームの参照順番を表す。複数のインデックスフレームは、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームまで連続して配置されたM個のインデックスフレームを備える。本実施形態では、インデックス領域は、第1インデックスフレームI1から第16インデックスフレームI16まで連続して配置された16個(M=16)のインデックスフレームを備えている。
【0079】
複数のインデックスフレームの各々は、参照対象となる情報フレームのフレーム番号を記録している。複数のインデックスフレームは、第1インデックスフレームI1から第16インデックスフレームI16にかけて記録したフレーム番号の順番によって、参照順番情報を記録するように構成されている。参照順番情報は、複数の情報フレームの参照順番を表している。
【0080】
情報フレームに記録できるデータ容量は、位置情報のデータサイズに応じて定められている。インデックスフレームに記録できるデータ容量は、フレーム番号を表すためのデータサイズに応じて定められている。本実施形態では、位置情報のデータサイズは、フレーム番号を表すためのデータサイズよりも大きい。このため、情報フレームに記録できるデータ容量は、インデックスフレームに記録できるデータ容量よりも大きい。本実施形態では、1地点あたりの位置情報のデータサイズは、10~100バイトの範囲内で設定されている。1つのフレーム番号を表すためのデータサイズは、1~8バイトの範囲内で設定されている。
【0081】
第1段階では、複数のインデックスフレームの各々は、第1インデックスフレームI1から第16インデックスフレームI16にかけて、第0情報フレームF0から第15情報フレームF15のそれぞれのフレーム番号を記録するように構成されている。このときの参照順番情報は、第0情報フレームF0から第15情報フレームF15までをこの順で参照する順番を表している。
【0082】
制御部11は、次のS120で、取得周期Txを設定し、時間経過の計測を開始する。取得周期Txは、GPSモジュール7を介して位置情報を取得する周期に対応する。取得周期Txは、数式(3)に基づいて設定される。xは、1以上の整数である。
【0083】
【0084】
取得周期Txは、第x段階ごとに異なる値が設定される。第x段階の更新が進むに従い(換言すれば、xが大きくなるに従い)、位置情報取得時間TCxに大きい値が設定されて、取得周期Txに大きい値が設定される。
【0085】
制御部11は、次のS130で、時間経過を計測しつつ、位置情報の取得タイミングであるか否かを判定し、肯定判定するとS140に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返すことで待機する。制御部11は、取得周期Txが経過する毎に、S130で肯定判定する。
【0086】
制御部11は、次のS140で、GPSモジュール7を介して位置情報を取得する。
制御部11は、次のS150で、位置情報を書き込む情報フレームのフレーム番号Nを特定する。制御部11は、書き込みフレーム判定部23に対して制御指令を送信し、書き込みフレーム判定部23が数式(4)および(5)を用いて演算したフレーム番号Nを受け取るように構成されている。なお、制御部11は、書き込みフレーム判定部23から数式(4)および(5)に関する情報を読み出して、制御部11が、数式(4)および(5)を用いてフレーム番号Nを演算するように構成してもよい。
【0087】
【0088】
【0089】
数式(4)は、第x段階の全期間を基本取得時間TCaごとの対象区間に分けた場合において、M個のインデックスフレームのうち、第P番目の対象区間に含まれる第nインデックスフレームInを特定するための式である。
【0090】
このうち、Pは、第x段階の全期間を基本取得時間TCaごとに区切った対象区間のうち、対象のインデックス変数nが含まれる対象区間の番号を表している。第x段階における対象区間の数x(以下、区間数MPxともいう)は、数式(6)を用いて算出される。
【0091】
【0092】
例えば、第1段階(x=1)では、区間数MP1=1である。つまり、第1段階では、全期間である位置情報取得時間TC1(=1×TCa)を基本取得時間TCaごとに区切って得られる対象区間は1個である。このため、第1段階での対象区間は、第1対象区間のみであり、Pが取りうる値は1のみである。第2段階(x=2)では、区間数MP2=2である。つまり、第2段階では、全期間である位置情報取得時間TC2(=2×TCa)を基本取得時間TCaごとに区切って得られる対象区間は2個である。このため、第2段階での対象区間は、第1対象区間および第2対象区間であり、Pが取りうる値は1または2である。第3段階(x=3)では、区間数MP3=4である。つまり、第3段階では、全期間である位置情報取得時間TC3(=4×TCa)を基本取得時間TCaごとに区切って得られる対象区間は4個である。このため、第3段階での対象区間は、第1対象区間から第4対象区間であり、Pが取りうる値は1,2,3,4である。
【0093】
数式(5)は、第x段階での対象区間Pに含まれる第nインデックスフレームInが参照する情報フレームのフレーム番号を特定するための演算式である。数式(5)は、2(x-m-1)の指数(x-m-1)が0未満の場合には、2(x-m-1)を「0」として演算する。
【0094】
制御部11は、次のS160で、S150で特定されたフレーム番号Nの情報フレームに、位置情報を書き込む処理を行う。これにより、フレーム番号Nの情報フレームに位置情報が記録される。
【0095】
制御部11は、次のS170で、インデックス変数nがM以下であるか否かを判定し、肯定判定するとS180に移行し、否定判定するとS190に移行する。制御部11は、S170で、M個の位置情報を取得して、M個の情報フレームの全てに位置情報が記録されたか否かを判定している。制御部11は、M個の情報フレームに空き領域がある場合(換言すれば、M個の位置情報を取得していない場合)にはS170で肯定判定する。制御部11は、M個の情報フレームの全てに位置情報が記録された場合(換言すれば、M個の位置情報を取得した場合)にはS170で否定判定する。
【0096】
制御部11は、S170で肯定判定すると、S180で、インデックス変数nを1加算する(n=n+1)。この後、制御部11は、再びS130を実行する。制御部11は、S170で否定判定されるまで、S130~S180までの処理を繰り返し実行することで、M個の位置情報を記録部13に記録する。これにより、記録部13に、第x段階の全期間における車両位置履歴情報が記録される。
【0097】
制御部11は、S170で否定判定すると、S190で、段階変数xを1加算する(x=x+1)。これにより、記録密度に関する段階が更新される。例えば、第1段階から第2段階への更新や、第2段階から第3段階への更新が行われる。
【0098】
制御部11は、次のS200で、インデックス領域における参照順番情報の一部を変更する。制御部11は、第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々におけるフレーム番号を変更する。詳細には、制御部11は、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、前記第1記録ステップ完了時の第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録する。
【0099】
本実施形態では、制御部11は、S200で、第1インデックスフレームI1から第8インデックスフレームI8の各々におけるフレーム番号を変更する。各インデックスフレームに記録するフレーム番号は、上述の数式(5)を用いて特定してもよい。
【0100】
制御部11は、次のS210で、数式(7)を用いてインデックス変数nを設定する。これにより、この後の処理では、第1インデックスフレームではなく、第((M/2)+1)インデックスフレームを起点として、位置情報の記録が実行される。
【0101】
【0102】
この後、制御部11は、再びS120を実行する。これにより、制御部11は、次の段階に移行して、位置情報の記録を実行する。
なお、制御部11は、第2段階以後(x≧2)は、S130~S180までの処理を繰り返し実行することで、まず、第((M/2)+1)インデックスフレームが参照するフレーム番号Nの情報フレームに、位置情報を記録する。続いて、制御部11は、第((M/2)+1)インデックスフレームから第Mインデックスフレームの各々に記録されているフレーム番号に基づいて、情報フレームに位置情報を記録する。
【0103】
ここで、第1段階から第2段階を経て第3段階に移行したときの、インデックスフレームの更新状態を、
図4を用いて説明する。
図4では、最上段に第1段階の完了時のインデックス領域を表しており、中段に第2段階の完了時のインデックス領域を表しており、最下段に第3段階の完了時のインデックス領域を表している。
【0104】
第1段階から第2段階に移行する場合には、各インデックスフレームに記録されたフレーム番号(F0~F15)は、
図4の最上段に点線の矢印で示すように移動する。この結果、第2段階の完了時に、各インデックスフレームに記録されるフレーム番号Nは、
図4の中段に示すようになる。第2段階において、各インデックスフレームに記録されるフレーム番号Nは、上述の数式(4)および(5)に基づいて設定されている。
【0105】
第2段階から第3段階に移行する場合にも、同様に、各インデックスフレームに記録されたフレーム番号(F0~F15)が移動することで、第3段階の完了時のインデックス領域は、
図4の最下段に示すようになる。
【0106】
次に、第1段階から第2段階を経て第3段階に移行したときの、位置情報領域の更新状態を、
図5を用いて説明する。
図5では、最上段に第1段階の完了時の位置情報領域を表しており、その後、下の段に移動するに従い、時間が経過したときの位置情報領域の更新状態を表している。
【0107】
第1段階の完了状態から第2段階の初期状態に移行したときには、制御部11は、インデックス領域の参照順番情報を変更する。つまり、制御部11は、16個の情報フレームF0~F15に記録された位置情報D1~D16のうち、半分の位置情報を参照順番情報の変更後も記録を保持し、他の半分の位置情報を参照順番情報の変更後は保持しない。
図5では、保持する位置情報は、フレーム番号が0または偶数の情報フレームに記録された位置情報であり、保持しない位置情報は、フレーム番号が奇数の情報フレームに記録された位置情報である。
図5では、位置情報を保持する情報フレームは、位置情報が記載されており、位置情報を保持しない情報フレームは、空欄で表している。位置情報を保持しない情報フレームは、第2段階で、新たに取得された位置情報が記録される。
【0108】
第2段階の初期状態から基本取得時間TCaが経過して第2段階の完了状態に移行したときには、制御部11は、新たに取得した位置情報D17、D19、D21、D23、D25、D27、D29、D31を、空欄の情報フレームF1、F3、F5、F7、F9、F11、F13、F15に記録する。
【0109】
ここで、第1段階での位置情報の取得周期Tx(以下、第1周期T1ともいう)は、数式(3)にx=1、M=16を代入して、T1=CYa/16となる。第2段階での位置情報の取得周期Tx(以下、第2周期T2ともいう)は、数式(3)にx=2、M=16を代入して、T2=CYa/8となる。このように、第2段階では、第1段階に比べて、位置情報の取得周期(換言すれば、取得時間間隔)が長くなっており(T1<T2)、位置情報の記録密度が低下している。しかし、第2段階では、第1段階に比べて、長期間の位置情報を記録できる。つまり、第2段階では、第1段階に比べて、位置情報の記録密度を低下させつつ、長期間にわたる車両位置履歴情報を記録している。
【0110】
第2段階の完了状態では、
図3の中段に示すように、インデックス領域に記録された参照順番情報に基づいて、位置情報領域の位置情報を参照することで、車両位置履歴情報を得ることができる。第2段階の全期間(位置情報取得時間TC2)は、第1区間CY1および第2区間CY2にわたっており、第1段階の全期間(位置情報取得時間TC1)である第1区間CY1の2倍の期間に相当する。第1区間CY1および第2区間CY2は、いずれも基本取得時間TCaと同じ長さに相当する。
【0111】
図5において、第2段階の完了状態から第3段階の初期状態に移行したときには、制御部11は、インデックス領域の参照順番情報を変更する。つまり、制御部11は、16個の情報フレームF0~F15に記録された16個の位置情報のうち、半分の位置情報を参照順番情報の変更後も保持し、他の半分の位置情報を参照順番情報の変更後は保持しない。
図5では、位置情報を保持する情報フレームは、位置情報が記載されており、位置情報を保持しない情報フレームは、空欄で表している。位置情報を保持しない情報フレームは、第3段階で、新たに取得された位置情報が記録される。
【0112】
第3段階の初期状態から基本取得時間TCaが経過して第3段階の中間状態に移行したときには、制御部11は、新たに取得した位置情報D33、D37、D41、D45を、空欄の情報フレームF2、F6、F10、F14に記録する。
【0113】
さらに、第3段階の中間状態から基本取得時間TCaが経過して第3段階の完了状態に移行したときには、制御部11は、新たに取得した位置情報D49、D53、D57、D61を、空欄の情報フレームF3、F7、F11、F15に記録する。
【0114】
ここで、第2段階での位置情報の取得周期Tx(換言すれば、第2周期T2)は、上述のように、T2=CYa/8となる。第3段階での位置情報の取得周期Tx(以下、第3周期T3ともいう)は、数式(3)にx=3、M=16を代入して、T3=CYa/4となる。このように、第3段階では、第2段階に比べて、位置情報の取得周期(換言すれば、取得時間間隔)が長くなっており(T2<T3)、位置情報の記録密度が低下している。しかし、第3段階では、第2段階に比べて、長期間の位置情報を記録できる。つまり、第3段階では、第2段階に比べて、位置情報の記録密度を低下させつつ、長期間にわたる車両位置履歴情報を記録している。
【0115】
第3段階の完了状態では、
図3の最下段に示すように、インデックス領域に記録された参照順番情報に基づいて、位置情報領域の位置情報を参照することで、車両位置履歴情報を得ることができる。第3段階の全期間は、第1区間CY1から第4区間CY4にわたっており、第1段階の全期間である第1区間CY1の4倍の期間に相当する。第3区間CY3および第4区間CY4は、いずれも基本取得時間TCaと同じ長さに相当する。
【0116】
このように、制御部11は、S130で肯定判定して、S140を実行することで、基本取得時間TCaにわたる第1区間CY1で、第1周期T1ごとに、位置情報を取得する。このときの制御部11は、本開示における位置情報取得部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における位置情報取得ステップの一例に相当する。
【0117】
制御部11は、S180でインデックス変数nを変更しつつ、S150を繰り返し実行することで、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームのそれぞれに、所定のフレーム番号を記録する。制御部11は、第1段階(x=1)には、前記第0情報フレームから前記第(M-1)情報フレームのそれぞれに対応する前記フレーム番号を、その順番にしたがって前記第1インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームのそれぞれに記録する。このときの制御部11は、本開示における初期設定部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における初期設定ステップの一例に相当する。
【0118】
制御部11は、段階変数xが2以上の時(x≧2)には、まず、S200およびS210を実行して、インデックス変数nをn=(M/2+1)に設定し、そのあと、S180でインデックス変数nを変更しつつ、S150を繰り返し実行する。これにより、制御部11は、第1インデックスフレームから第Mインデックスフレームのそれぞれに、所定のフレーム番号を記録する。
【0119】
つまり、制御部11は、第2段階(x=2)には、まず、所定のフレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録する。このときの所定のフレーム番号は、第1段階で記録済みの前記位置情報のうち第2段階でも記録を保持する前記位置情報に対応する前記フレーム番号である。次に、制御部11は、所定のフレーム番号を、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する。このときの所定のフレーム番号は、第1段階で記録済みの前記位置情報のうち第2段階では記録を保持しない前記位置情報に対応する前記フレーム番号である。
【0120】
詳細には、制御部11は、第2段階(x=2)には、まず、第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、第1段階の完了時に第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録する。前記nは1~M/2までの整数である。さらに、制御部11は、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、第1段階の完了時に第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録する。前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である。
【0121】
このときの制御部11は、本開示における第1インデックス変更部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における第1インデックス変更ステップの一例に相当する。
【0122】
また、制御部11は、第3段階(x=3)には、まず、第2段階で記録済みの前記位置情報のうち第3段階でも記録を保持する前記位置情報に対応するフレーム番号を、前記第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームの各々に対して順番に記録する。次に、制御部11は、第2段階で記録済みの前記位置情報のうち第3段階では記録を保持しない前記位置情報に対応するフレーム番号を、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームの各々に対して順番に記録する。
【0123】
詳細には、制御部11は、第3段階(x=3)には、まず、第1インデックスフレームから第(M/2)インデックスフレームまでのそれぞれにおいて、第2段階の完了時に第((n×2)-1)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第nインデックスフレームに記録する。前記nは1~M/2までの整数である。さらに、制御部11は、第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームまでのそれぞれにおいて、第2段階の完了時に第((k×2)-M)インデックスフレームに記録されていた前記フレーム番号を、第kインデックスフレームに記録する。前記kは(M/2+1)~Mまでの整数である。
【0124】
このときの制御部11は、本開示における第2インデックス変更部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における第2インデックス変更ステップの一例に相当する。
【0125】
制御部11は、S180でインデックス変数nを変更しつつ、S160を繰り返し実行することで、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームのそれぞれに、S140で取得された位置情報を記録する。制御部11は、第1段階(x=1)には、第1区間CY1において第1周期T1毎に、参照順番情報に基づいて、第0情報フレームから第(M-1)情報フレームにかけて、位置情報を記録する。このときの制御部11は、本開示における第1記録処理部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における第1記録ステップの一例に相当する。
【0126】
制御部11は、第2段階(x=2)には、第2区間CY2において第2周期T2毎に、参照順番情報に基づいて、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、位置情報を記録する。制御部11は、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに対して、前記位置情報を記録する。このときの制御部11は、本開示における第2記録処理部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における第2記録ステップの一例に相当する。
【0127】
制御部11は、第3段階(x=3)には、第3区間CY3および第4区間CY4において第3周期T3毎に、参照順番情報に基づいて、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号の順番に従い、位置情報を記録する。制御部11は、前記第((M/2)+1)インデックスフレームから前記第Mインデックスフレームにかけて記録されている前記フレーム番号に対応する前記情報フレームに対して、前記位置情報を記録する。このときの制御部11は、本開示における第3記録処理部の一例に相当する。このときの制御部11の処理は、本開示における第3記録ステップの一例に相当する。
【0128】
[1-3.効果]
以上説明したように、本実施形態の車両用ドライブレコーダ1は、位置情報の記録区間が第1区間CY1から第2区間CY2に移行するにあたり、記録部13の記録領域において、インデックス領域に記録されたフレーム番号の移動処理を行うことで、参照順番情報を更新する。このように参照順番情報を更新することで、ドライブレコーダ1は、位置情報の記録区間が第1区間CY1から第2区間CY2に移行するにあたり、位置情報領域において情報フレームに記録された位置情報の移動処理(換言すれば、並べ替え処理)を行う必要が無い。
【0129】
このため、ドライブレコーダ1は、車両位置履歴情報の記録密度を変更する(換言すれば、位置情報の取得周期を変更する)にあたり、位置情報領域における車両位置履歴情報の管理が煩雑となることを抑制できる。
【0130】
また、ドライブレコーダ1は、車両位置履歴情報の記録密度を変更するにあたり、複数の位置情報を移動する処理が不要となる。このため、ドライブレコーダ1は、複数の位置情報の移動処理に要する時間が長くなることを抑制できる。また、ドライブレコーダ1は、位置情報の移動処理が不要となるため、位置情報の移動処理に必要な作業領域(一次的なデータ記録領域)の大型化を抑制できる。
【0131】
次に、ドライブレコーダ1は、第2区間CY2における位置情報が記録された後、第2区間CY2に続く第3区間CY3および第4区間CY4のために、インデックス領域の参照順番情報を変更する。このため、ドライブレコーダ1は、第1区間CY1および第2区間CY2にわたる車両位置履歴情報のみならず、さらに長期間にわたる車両位置履歴情報を記録できる。これにより、ドライブレコーダ1は、記録領域の大きさに制限がある場合でも、より長期間にわたる車両位置を記録することができる。
【0132】
ドライブレコーダ1によれば、さらに、位置情報の記録区間が第2区間CY2から第3区間CY3に移行するにあたり、記録部13の記録領域において、インデックス領域に記録されたフレーム番号の移動処理を行うことで、参照順番情報を更新する。これにより、ドライブレコーダ1は、位置情報の記録区間が第2区間CY2から第3区間CY3に移行するにあたり、情報フレームに記録された位置情報の移動処理(換言すれば、並べ替え処理)を行う必要が無い。このため、ドライブレコーダ1は、車両位置履歴情報の管理が煩雑となることを抑制でき、さらに、複数の位置情報の移動処理に要する時間が長くなることを抑制できる。
【0133】
ドライブレコーダ1は、情報フレームに記録できるデータ容量が、インデックスフレームに記録できるデータ容量よりも大きい構成である。これに対して、ドライブレコーダ1は、複数の情報フレームに記録された位置情報の並べ替えが不要となるため、迅速に記録領域の空き領域を拡張することができる。
【0134】
[1-4.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
車両用ドライブレコーダ1が、本開示における車両運行履歴管理装置の一例に相当し、記録部13が、本開示における記録部の一例に相当し、制御部11が、本開示における記録制御部の一例に相当する。
【0135】
S140を実行する制御部11が、本開示における位置情報取得部の一例に相当する。第1段階でS150を繰り返し実行する制御部11が、本開示における初期設定部の一例に相当し、このときの制御部11の処理が、本開示における初期設定ステップの一例に相当する。第1段階でS160を繰り返し実行する制御部11が、本開示における第1記録処理部の一例に相当し、このときの制御部11の処理が、本開示における第1記録ステップの一例に相当する。
【0136】
第2段階で、S200およびS210を実行した後、S150を繰り返し実行する制御部11が、本開示における第1インデックス変更部の一例に相当し、このときの制御部11の処理が、本開示における第1インデックス変更ステップの一例に相当する。第2段階でS160を繰り返し実行する制御部11が、本開示における第2記録処理部の一例に相当し、このときの制御部11の処理が、本開示における第2記録ステップの一例に相当する。
【0137】
第3段階で、S200およびS210を実行した後、S150を繰り返し実行する制御部11が、本開示における第2インデックス変更部の一例に相当し、このときの制御部11の処理が、本開示における第2インデックス変更ステップの一例に相当する。第3段階でS160を繰り返し実行する制御部11が、本開示における第3記録処理部の一例に相当し、このときの制御部11の処理が、本開示における第3記録ステップの一例に相当する。
【0138】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0139】
(a)上記実施形態のドライブレコーダ1では、本体部3が、制御部11と、記録部13と、位置情報取得部15と、通信部17と、記録媒体装着部19と、運行ログ生成部21と、書き込みフレーム判定部23と、運行ログ復元情報生成部25と、を備えるように構成されている。しかし、本開示の車両運行履歴管理装置は、このような構成に限られることはない。
【0140】
例えば、
図6に示す第2ドライブレコーダ101のように、本体部が第1本体部103と第2本体部104とに分離可能な構成であってもよい。第1本体部103は、制御部11と、位置情報取得部15と、記録媒体装着部19と、第1USB通信部112と、を備える。第2本体部104は、記録部13と、通信部17と、運行ログ生成部21と、書き込みフレーム判定部23と、運行ログ復元情報生成部25と、第2USB通信部114と、位置情報受信部115と、を備える構成であってもよい。
【0141】
第1本体部103と第2本体部104とは、互いに接続ケーブル106を介して接続されている。接続ケーブル106は、例えば、USBケーブル106で実現してもよい。第1USB通信部112と第2USB通信部114とが、接続ケーブル106を介して各種情報を送受信することで、第1本体部103と第2本体部104との間で情報の送受信が可能となる。第1本体部103および第2本体部104の全体が、第1実施形態の本体部3に対応する。
【0142】
第2ドライブレコーダ101は、制御部11が履歴情報管理処理を実行することで、車両用ドライブレコーダ1と同様の効果を奏する。
(b)複数の情報フレームは、第0~第15情報フレームの16個に限られることは無く、第1~第16情報フレームの16個でもよいし、第2~第17情報フレームの16個であってもよい。つまり、情報フレームのフレーム番号の開始番号は、0に限られない。また、複数の情報フレームの個数は、16個(M=16)に限られることはなく、2以上の整数であって、2の累乗に対応する値であれば、任意の値を採ることができる。
【0143】
(c)記録部は、上述の記録部13のような内蔵型の記録部でもよい。また、記録部は、外付け型の記録部(SDカードなど)でもよい。さらに、記録部は、内蔵型記録部と外付け型記録部との両者を備える構成でもよい。
【0144】
(d)M個の情報フレームは、第0~第(M-1)情報フレームのM個に限られることは無く、第1~第M情報フレームのM個でもよいし、第2~第(M+1)情報フレームのM個であってもよい。また、フレーム番号は、情報フレームのそれぞれに個別に割り当てられていればよく、情報フレームの名称としての番号とフレーム番号とが同一番号でなくてもよい。
【0145】
(e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0146】
1…車両用ドライブレコーダ、3…本体部、5…カメラ、7…GPSモジュール、9…通信モジュール、11…制御部、13…記録部、15…位置情報取得部、17…通信部、19…記録媒体装着部、21…運行ログ生成部、23…書き込みフレーム判定部、25…運行ログ復元情報生成部、101…第2ドライブレコーダ、103…第1本体部、104…第2本体部、106…接続ケーブル、106…USBケーブル、112…第1USB通信部、114…第2USB通信部、115…位置情報受信部。