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特許7468909安全性および貯蔵安定性が向上した生分解性微粒球の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】安全性および貯蔵安定性が向上した生分解性微粒球の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20240409BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 31/445 20060101ALN20240409BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20240409BHJP
   A61K 31/27 20060101ALN20240409BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20240409BHJP
   A61P 23/02 20060101ALN20240409BHJP
   A61K 38/22 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K47/34
A61K45/00
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/24
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/44
A61K31/445
A61P25/28
A61K31/27
A61P35/00
A61P23/02
A61K38/22
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021181687
(22)【出願日】2021-11-08
(62)【分割の表示】P 2019566734の分割
【原出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2022023219
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2017-0163105
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519426014
【氏名又は名称】ジー2ジーバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G2GBIO, INC.
【住所又は居所原語表記】21 UIRYODANJI-GIL, OSONG-EUP, HEUNGDEOK-GU, CHEONGJU-SI, CHUNGCHEONGBUK-DO, 28161 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソル,ウニョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,クォンヒョク
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/083594(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)生分解性高分子単独、または生分解性高分子と薬物とを有機溶媒に溶解させて生分解性高分子の溶液を形成する段階;
(b)前記段階(a)で製造した生分解性高分子溶液を界面活性剤を含有した水溶液に均質に混合し、分散相として前記生分解性高分子溶液、および連続相として前記界面活性剤を含有した水溶液を含むエマルションを形成する段階;
(c)前記段階(b)で製造したエマルション中の前記分散相から有機溶媒を前記連続相側に抽出および蒸発して微粒球を生成する段階であって、このとき、前記抽出した有機溶媒を含む連続相の一部を除去して新たな連続相を供給する工程を含む段階;および
(d)前記段階(c)のエマルションから微粒球を回収する段階を含み、
前記段階(c)で連続相は連続または不連続に除去され、
連続相が不連続に除去される場合、除去される連続相は、前記段階(c)の全体連続相の体積に対して40%(v/v)~99%(v/v)の体積比であるか、または微粒球重量の1倍だけの連続相を除いた残り重量の連続相を除去するのであり、このとき、連続相の一部を除去して新たな界面活性剤を含む水溶液を供給する工程は、微粒球表面の硬化開始時点から10分~60分に開始されるものであり、
連続相が連続して除去される場合、除去される連続相の除去速度は、分当たり全体連続相の体積に対して2%(v/v)~200%(v/v)の速度であり、
前記段階(b)の界面活性剤を含有した水溶液は、(i)溶媒として水、または水、およびメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒を含む混合溶媒;および(ii)界面活性剤を含み、
前記混合溶媒のうちメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選ばれる1種以上は、全体混合溶媒の体積に対して0.1%(v/v)~40%(v/v)である、生分解性微粒球の製造方法。
【請求項2】
前記生分解性高分子は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)グルコースおよびポリカプロラクトンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項3】
前記ポリ(ラクチド-co-グリコリド)中のグリコール酸に対する乳酸のモル比(乳酸:グリコール酸)は、99:1~50:50である、請求項2に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコールおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項5】
前記段階(b)の前記界面活性剤は、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群より選ばれる一つ以上である、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項6】
前記段階(b)の前記界面活性剤は、前記界面活性剤を含む水溶液の全体体積を基準に、0.01w/v%~20w/v%である、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項7】
前記段階(c)で新たな連続相を供給することは不連続または連続して行われる、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項8】
前記段階(c)における前記連続相の除去と新たな連続相の供給が同時または異時に行われる、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項9】
前記段階(c)と(d)との間に、濾過および洗浄する段階をさらに含む、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項10】
前記段階(d)で生成された微粒球を乾燥させる段階をさらに含む、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項11】
前記段階(d)で生成された微粒球を容器に充填させる段階をさらに含む、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項12】
前記薬物は、ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、エンテカビル、ラミブジン、ロチゴチン、ロピニロール、ブピバカイン、ロピバカイン、メロキシカム、ブプレノルフィン、フェンタニル、ニモジピン、グラニセトロン、トリアムシノロン、シタラビン、カルムスチン、タムスロシン、ポルマコキシブ、テストステロン、エストラジオール、リスペリドン、パリペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ゴセレリン、リュープロリド、トリプトレリン、ブセレリン、ナファレリン、デスロレリン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バプレオチド、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチドおよびこれらの塩から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【請求項13】
前記微粒球の残留溶媒の含有量は、600ppm以下である、請求項1に記載の生分解性微粒球の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2017年11月30日付韓国特許出願第10-2017-0163105号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれている。
【0002】
本発明は、生分解性微粒球の製造方法に関し、より詳細には、残留溶媒を顕著に低下させて安全性が高く、微粒球の形態変形が少なく、かつ貯蔵安定性が向上した生分解性微粒球を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生分解性高分子は、多様な公知技術によって微粒球(例えば、ナノメートル~ミリメートルの範囲、特に1~500μm、特に10~150μmの平均粒度を有する粒子)の形態で製造することができる。生分解性高分子微粒球は、それ自体で顔面シワ改善用パーティクルフィラーとして使用することができ、生物学的に活性であるか、または製薬学上活性薬剤を封入して薬剤またはその他活性薬剤の持続的な、または遅延された放出を提供する目的で有用に使われる。これら生分解性高分子微粒球の製造時、最も頻繁に使われる方法として、生分解性高分子または生分解性高分子と封入しようとする物質(薬剤またはその他活性薬剤)を公知の方法を用いて溶媒に溶解させ、界面活性剤を含有する水溶液に分散させたり、またはエマルション化させる。次いで溶媒を微粒球から除去した後微粒球生成物を得る。公知技術による微粒球の製造工程において生分解性高分子および活性薬剤の溶解には、ジクロロメタンまたはクロロホルムなどのような毒性溶媒がよく使われる。最終製品でこのような毒性溶媒の残留物は、これらの一般的な毒性および潜在的な発癌誘発作用のために好ましくない。また、生分解性高分子と活性薬剤を同時に均質に溶解させるために多様な種類の有機溶媒の混合物を使用する。この溶媒混合物は、水溶液中に分散してエマルションを形成し、次いで各溶媒の水溶液に対する溶解度や生分解性高分子に対する親和度などにより水溶液層に抽出および蒸発される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、公知技術による微粒球の製造時、このような有機溶媒の混合物を十分に除去することができず、その残留物が最終的に生成された微粒球の貯蔵期間の間、高分子の分解を促進するなど製品の安定性に悪影響を及ぼすことが明らかになった。したがって、毒性溶媒および有機溶媒混合物の残留量を減少させることによって製品の貯蔵寿命を増加させ得る生分解性高分子微粒球の製造方法の開発が求められている。
【0005】
本発明は、前記のような従来技術の問題を解決するために案出されたものであり、残留溶媒を効率的に下げて安全性が高く、製造された微粒球の変形の可能性が低く、貯蔵安定性が向上した生分解性微粒球を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
(a)生分解性高分子単独、または生分解性高分子と薬物との混合物を有機溶媒に溶解させて生分解性高分子溶液を形成する段階;
(b)前記段階(a)で製造した生分解性高分子溶液を界面活性剤を含有した水溶液に均質に混合し、分散相として前記生分解性高分子溶液および連続相として前記界面活性剤を含有した水溶液を含むエマルションを形成する段階;
(c)前記段階(b)で製造したエマルション中の前記分散相から有機溶媒を前記連続相側に抽出および蒸発して微粒球を生成する段階であって、このとき、前記抽出した有機溶媒を含む連続相の一部を除去して新たな界面活性剤を含有した水溶液を供給する工程を含む段階;および、
(d)前記段階(c)のエマルションから微粒球を回収する段階を含む、生分解性高分子微粒球の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
生分解性高分子自体の微粒球または生理活性薬剤を含有する生分解性高分子微粒球の製造において、微粒球内に残留する毒性溶媒または有機溶媒混合物の残留量を最小化することは非常に重要な要素である。本発明は、微粒球の製造工程でエマルションを形成した後、エマルション中の分散相から有機溶媒を水溶液形態の連続相に抽出する段階において連続相の一部を除去し、除去された連続相を代替する新たな水溶液を供給することによって、微粒球の形態変化を最小化しながら微粒球内の残留溶媒を迅速で容易に除去し、かつ微粒球内の生分解性高分子の加水分解による分子量減少を最小化でき、安全性が高く貯蔵安定性に優れる生分解性高分子微粒球を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の実施例1-1で製造した微粒球を形態学的特性の分析のために走査電子顕微鏡で撮影した写真図であり、これにより多くの微粒球が球形形態を完全に維持していることを確認した。
図1B】比較例1で製造した微粒球(微粒球の表面硬化より連続相溶媒の交換時期がはやい場合)を形態学的特性の分析のために走査電子顕微鏡で撮影した写真図であり、これにより微粒球が球形を維持できず、変形されたことを確認した。
図1C】比較例2で製造した微粒球(全体連続相溶媒をすべてを除去した場合)を形態学的特性の分析のために走査電子顕微鏡で撮影した写真図であり、これにより微粒球の粒子形態が変形されたことを確認した。
図1D】本発明による実施例5で製造した微粒球(連続相溶媒に適量のエチルアルコールが含まれた場合)を形態学的特性の分析のために走査電子顕微鏡で撮影した写真図であり、これにより多くの微粒球が球形形態を完全に維持していることを確認した。
図1E】比較例3で製造した微粒球(50%(v/v)以上のエチルアルコールが含まれた場合)を形態学的特性の分析のために走査電子顕微鏡で撮影した写真図であり、これにより急激なジクロロメタンの除去によって微粒球の形態が変形されたことを確認した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、生分解性高分子溶液を分散相とし、連続相として界面活性剤を含むエマルションを製造し、有機溶媒を分散相から連続相に抽出および蒸発して微粒球を製造する方法において、前記抽出および蒸発段階で分散相中の有機溶媒が抽出された連続相の一部をシステムの外に除去して新たな界面活性剤を含む水溶液を除去された連続相を代替するようにシステムに供給する工程を含み、残留溶媒を顕著に低くして安全性が高く、微粒球の形態変形が少なく、貯蔵安定性が向上した生分解性微粒球を製造する方法に関するものである。
【0010】
本発明の一例は、(a)生分解性高分子単独または生分解性高分子と薬物の混合物を有機溶媒に溶解させて生分解性高分子溶液を形成する段階;(b)前記段階(a)で製造した生分解性高分子溶液を界面活性剤を含有した水溶液に均質に混合し、分散相として前記生分解性高分子溶液および連続相として前記界面活性剤を含有した水溶液を含むエマルションを形成する段階;(c)前記段階(b)で製造したエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相側に抽出および蒸発して微粒球を生成する段階であって前記抽出した有機溶媒を含む連続相の一部を除去して新たな界面活性剤を含有した水溶液を供給する工程を含む段階;および(d)前記段階(c)のエマルションから微粒球を回収する段階を含む生分解性高分子微粒球の製造方法に関するものである。
【0011】
以下、本発明の生分解性高分子微粒球の製造方法を具体的に説明する。
【0012】
本願で使われた用語「溶媒抽出および蒸発法」は、生分解性高分子または生分解性高分子と薬物を有機溶媒に溶解させて製造された生分解性高分子溶液を、界面活性剤を含む水溶液形態の連続相に添加してエマルションを作り、このエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を形成し、前記連続相から微粒球を回収して生分解性高分子微粒球を製造する方法をいう。
【0013】
本発明の製造方法は、(a)生分解性高分子単独または生分解性高分子と薬物の混合物を有機溶媒に溶解させて生分解性高分子溶液を形成する段階を含む。
【0014】
前記段階(a)は、生分解性高分子を有機溶媒に溶解させて生分解性高分子溶液を形成する方法、または生分解性高分子および薬物を同時に有機溶媒混合物に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を形成する方法で行うことができる。
【0015】
前記生分解性高分子の重量平均分子量は特に制限されないが、その下限が5,000以上、好ましくは10,000以上であり得、その上限は500,000以下、好ましくは200,000以下であり得る。
【0016】
前記生分解性高分子の種類は特に制限されないが、好ましくはポリエステルが使用され得、特にポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)グルコース、ポリカプロラクトンおよびこれらの混合物からなる群より選ばれ得、さらに好ましくはポリラクチド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)とポリカプロラクトンが使用され得る。
【0017】
前記生分解性高分子としてポリ(ラクチド-co-グリコリド)を使用する場合、前記共重合体内の乳酸に対するグリコール酸のモル比は、99:1~50:50であり得、好ましくは50:50,75:25、または85:15であり得る。本発明で使用できる市販の生分解性高分子の例としては、エボニック社のResomer系であるRG502H、RG503H、RG504H、RG502、RG503、RG504、RG653H、RG752H、RG752S、RG755S、RG756S、RG858S、R202H、R203H、R205H、R202S、R203S、R205S、コービオン社のPDL 02A、PDL 02、PDL 04、PDL 05、PDLG 7502A、PDLG 7502、PDLG 7507、PDLG 5002A、PDLG 5002、PDLG 5004A、PDLG 5004、PDLG 5010、PL 10、PL 18、PL 24、PL 32、PL 38、PDL 20、PDL 45、PC02、PC04、PC12、PC17、PC24などが挙げられる。具体的な一実施例において、本発明による微粒球を製造するために、Resomer R203H、RG502H、RG653H、RG752H、RG757S、RG858S、R202HおよびR205S、Purasorb PC04を使用して微粒球を製造した。
【0018】
前記段階(a)で使用される薬物の種類は特に制限されず、例えば、痴呆治療剤;パーキンソン病治療剤;抗癌剤;抗不安剤、抗うつ剤、神経安定剤および精神神経用剤などのような抗精神病薬物;高脂血症治療剤、高血圧治療剤、低血圧治療剤、抗血栓剤、血管弛緩剤および不整脈治療剤などのような心血管系治療剤;てんかん治療剤;抗潰瘍剤などのような胃腸関係治療剤;リュウマチ治療剤;鎮痙剤;結核治療剤;筋弛緩剤;骨粗鬆症治療剤;勃起不全治療剤;止血剤;性ホルモン剤などのようなホルモン剤;糖尿治療剤;抗生剤;抗真菌剤;抗ウイルス剤;解熱鎮痛消化剤;自律神経調整剤;コルチコステロイド;利尿剤;抗利尿剤;鎮痛剤;麻酔剤;抗ヒスタミン剤;抗原虫剤;抗貧血剤;抗喘息剤;痙攣防止剤;解毒剤;抗片頭痛剤;抗嘔吐剤;抗パーキンソン剤;抗てんかん剤;抗血小板剤;鎮咳去たん剤;気管支拡張剤;強心剤;免疫調整剤;タンパク質薬物;遺伝子薬物;およびこれらの混合物から選ばれ得、好ましくは痴呆治療剤、パーキンソン病治療剤、抗癌剤、抗精神病薬物、高脂血症治療剤、高血圧治療剤、てんかん治療剤、胃腸関係治療剤、リュウマチ治療剤、鎮痙剤、結核治療剤、筋弛緩剤、不整脈治療剤、骨粗鬆症治療剤、勃起不全治療剤、止血剤、抗ウイルス剤、ホルモン剤、抗生剤、糖尿治療剤、抗真菌剤、抗血栓剤、解熱鎮痛消化剤およびこれらの混合物からなる群より選ばれ得る。
【0019】
前述した薬物の種類のうち特に制限されないが、好ましくはドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、エンテカビル、ラミブジン、ロチゴチン、ロピニロール、ブピバカイン、ロピバカイン、メロキシカム、ブプレノルフィン、フェンタニル、ニモジピン、グラニセトロン、トリアムシノロン、シタラビン、カルムスチン、タムスロシン、ポルマコキシブ、テストステロン、エストラジオール、リスペリドン、パリペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ゴセレリン、リュープロリド、トリプトレリン、ブセレリン、ナファレリン、デスロレリン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バプレオチド、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチドおよびこれらの塩およびこれらの混合物からなる群より選ばれ得る。
【0020】
前記段階(a)で生分解性高分子の溶解に使用する溶媒は水と混和されない性質を有することが好ましい。有機溶媒の水と混和されない性質を用いることによって、後述する段階(b)で、連続相で生分解性高分子溶液を均質に混合してエマルションを形成し得る。このような生分解性高分子を溶解させる溶媒の種類は特に制限されないが、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコールまたはこれらの混合溶媒からなる群から1種以上が選ばれ得、さらに好ましくはジクロロメタン、エチルアセテートまたはこれらの混合溶媒を使用し得る。
【0021】
本発明の製造方法は、(b)前記段階(a)で製造した生分解性高分子溶液を、界面活性剤を含む水溶液に均質に混合し、前記生分解性高分子溶液を分散相として、界面活性剤を含む水溶液を連続相として含むエマルションを形成する段階を含む。
【0022】
前記段階(b)で生分解性高分子溶液と界面活性剤を含む水溶液を均質に混合する方法は特に制限されないが、好ましくは高速ミキサ、インラインミキサ、メンブレンエマルション法、マイクロフルイディクスマルション法などを用いて行い得る。
【0023】
前記段階(b)のように、前記生分解性高分子溶液および界面活性剤を含む水溶液を含むエマルションを形成する場合、生分解性高分子溶液は前記水溶液内で均質に分散して液滴形態の分散相を形成する。
【0024】
したがって、前記段階(b)で使用される連続相として界面活性剤を含む水溶液は生分解性高分子溶液または分散相中の有機溶媒と混和されない性質を有するものである。
【0025】
前記段階(b)で使用される界面活性剤の種類は特に制限されず、生分解性高分子溶液が連続相である水溶液相内で安定した液滴の分散相の形成を助けるものであればいずれも使用し得る。前記界面活性剤は、好ましくは、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群より選ばれ得、最も好ましくはポリビニルアルコールを使用し得る。
【0026】
前記段階(b)において、界面活性剤を含有した水溶液中の界面活性剤の含有量は界面活性剤を含む水溶液の全体体積を基準に、0.01%(w/v)~20%(w/v)、好ましくは0.1%(w/v)~5%(w/v)であり得る。界面活性剤の含有量が0.01%(w/v)未満の場合は、水溶液内に液滴形態の分散相またはエマルションが形成されていなくてもよく、界面活性剤の含有量が20%(w/v)を超える場合は、過量の界面活性剤によって水溶液内に微粒子が形成された後、界面活性剤を除去することに困難があり得る。
【0027】
さらに、好ましい様態として、前記段階(b)で使用される連続相は、水と界面活性剤の他に、エマルション状態の分散相から有機溶媒の抽出速度を調整するためにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選ばれる1種以上をさらに含む混合溶媒であり得る。前記メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選ばれる1種以上は、全体連続相の体積に対して0.1%(v/v)~40%(v/v)で含まれることが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法は、(c)前記段階(b)で形成されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相側に抽出および蒸発して微粒球を生成する段階であって、このとき、前記抽出した有機溶媒を含む連続相の一部を除去して新たな界面活性剤を含有した水溶液を供給する工程を行う段階を含む。
【0029】
前記段階(c)において、液滴形態の生分解性高分子溶液(分散相)および連続相を含むエマルションを有機溶媒の沸騰点未満の温度で一定時間、例えば、2時間~48時間維持または攪拌すると、分散相である液滴形態の生分解性高分子溶液から連続相に有機溶媒が抽出され得る。連続相から抽出された有機溶媒の一部は表面から蒸発され得る。液滴形態の生分解性高分子溶液から有機溶媒が抽出および蒸発され、前記液滴形態の分散相は固形化されて微粒球を形成し得る。
【0030】
従来の溶媒抽出および蒸発法を用いた微粒球の製造方法では、前記液滴形態の分散相から有機溶媒を十分に除去するために時々長い時間熱を加え、前記熱によって生分解性高分子の加水分解が起きて分子量が減少する問題がある。
【0031】
しかし、本発明では、前記段階(c)で分散相から抽出された有機溶媒が含まれた連続相の一部を除去し、この除去された連続相を代替できる新たな界面活性剤を含む水溶液を供給することによって分散相に存在する有機溶媒が連続相に十分に抽出および蒸発されるようにすることによって効率的に有機溶媒の残留量を最小化することができる。
【0032】
本発明では連続相を除去して新たな連続相として界面活性剤を含む水溶液を供給する工程の間にも分散相から溶媒抽出の過程は持続的に行われるように連続相の一部だけ除去して新たに供給するという特徴がある。好ましくは、前記連続相の交換時期は生成される微粒球の表面が硬化し始める時点から5分超過、さらに好ましくは10分~60分に交換した方が良い。前記時点より連続相をはやく交換する場合には微粒球が球形を維持できず変形される問題が発生する。
【0033】
前記段階(c)において連続相の一部を除去して新たな界面活性剤を含む水溶液を供給する方法は、連続相の一部を先に除去し、除去されただけの新たな連続相に前記水溶液を追加で供給する方法であり得る。
【0034】
不連続に連続相を除去する場合、前記連続相は全体連続相水溶液の体積に対して、40%(v/v)~99%(v/v)または微粒球重量の2倍の連続相を除いた残り重量の連続相を除去した方が良い。前記範囲を超える場合、例えば、除去量が99%(v/v)超過または微粒球重量の1倍だけの連続相を除いた残りの連続相を除去する場合、過度に連続相である水溶液が除去され、生成された微粒球の形態が変形され得、全体連続相の35%(v/v)以下の連続相を除去する場合、有機溶媒の除去が効果的でない短所がある。
【0035】
連続相の一部を除去するときフィルタなどを用いて分散相を形成する初期形成された微粒球は維持させ、ペリスタルティックポンプなどを用いて連続相だけ除去するという特徴がある。
【0036】
また他の方法としては連続相の一部を除去すると同時に新たな水溶液を連続して供給する方法を用いることができる。
【0037】
前記連続相の除去時、分当たり全体連続相の体積に対して2%(v/v)~200%(v/v)程度の速度で除去され得る。
【0038】
前記段階(c)で追加的に供給される新たな連続相として界面活性剤を含む水溶液は、水または水に炭素数1~4の脂肪族アルコール、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選ばれる1種以上の溶媒が一定量含有された水溶液(混合溶媒)を用いることができる。好ましくは、水溶液に含まれる前記メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選ばれる1種以上の溶媒はエチルアルコールであり得る。また、全体追加される連続相の体積に対して0.1%(v/v)~40%(v/v)で含まれることが好ましい。
【0039】
本発明の段階(c)の連続相置換方法によって抽出された有機溶媒を持続的に除去することによって効率的に有機溶媒を抽出できるようにして残留溶媒を最小化することができる。
【0040】
本発明の段階(c)で有機溶媒を追加的に効率的に除去するために連続相の温度を一定に維持できるように一定時間熱を加え得る。
【0041】
本発明の製造方法は、(d)前記段階(c)のエマルションから微粒球を回収する段階を含む。微粒球を回収する方法は、様々な公知技術を用い得、濾過または遠心分離などの方法を用い得る。
【0042】
本発明の製造方法は、前記段階(c)と段階(d)との間に、濾過および洗浄により残留する界面活性剤を除去し、再び濾過させて微粒球を回収し得る。
【0043】
残存する界面活性剤を除去するための洗浄段階は、通常水を用いて行い得、前記洗浄段階は、数回にわたり繰り返し得る。
【0044】
本発明の製造方法は、前記段階(d)以後または前記濾過および洗浄段階以後、収得された微粒球を通常の乾燥方法を用いて乾燥させて最終的に乾燥された微粒球を得ることができる。
【0045】
好ましい様態として、本発明の製造方法は、前記段階(d)以後または前記段階(c)と(d)との間に含まれ得る濾過および洗浄段階以後、収得された微粒球を懸濁液に懸濁させて適切な容器、例えば使い捨て注射器などに充填して最終製品を得ることができる。
【0046】
以上のような本発明の製造方法により生分解性微粒球を製造する場合、生分解性微粒球内の残留溶媒を効率的に除去しながらも微粒球内の生分解性高分子の加水分解による分子量減少を最小化でき、安全性が高く貯蔵安定性に優れる生分解性高分子微粒球を製造できる長所を有する。
【0047】
好ましくは、本発明による方法によって微粒球を製造する場合、製造後乾燥された微粒球中の残留溶媒の含有量は1000ppm以下、さらに好ましくは600ppm以下であることを特徴とする。
【0048】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するに過ぎず、本発明の内容は下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例
【0049】
〔実施例1〕
連続相の交換時間が異なる微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド)Mw:18,000~28,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0050】
メンブレン乳化装置および前記乳化装置と連結されている調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を15分間維持した。本段階では連続相10mL(分散相の製造に使用した高分子とドネペジルベース総重量の2倍)を残し、残りの連続相450mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0051】
〔実施例1-1〕
連続相の交換時間が異なる微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0052】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は、25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相455mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0053】
〔実施例1-2〕
連続相の交換時間が異なる微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0054】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を60分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相455mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0055】
〔実施例2〕
連続相の交換量が異なる微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相230mL(全体連続相の50%体積)を除去して新たな連続相溶液230mLを追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0056】
〔実施例3〕
エチルアセテート(Ethyl acetate)を使用した微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、エチルアセテート(製造メーカー:シグマアルドリッチ、米国)10.5gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相530mLを20μmメンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて300rpmで攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相525mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0057】
〔実施例4〕
RG502Hを用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer RG502H(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)50:50;Mw:7,000~17,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)7.8gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相1750mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を3000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り7mL流速で注入した。分散相の注入が終わると調製容器内の懸濁液を200rpm速度で攪拌しながら温度25℃で30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相1745mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0058】
〔実施例4-1〕
RG653Hを用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer RG653H(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)65:35;Mw:24,000~38,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)17.5gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は2%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相880mLを直径30μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて180rpmで攪拌した。
【0059】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相875mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0060】
〔実施例4-2〕
RG752H高分子を用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer RG752H(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)75:25,Mw:4,000~15,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)10.0gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相500mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を3000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り15mL流速で注入した。分散相の注入が終わると調製容器内の懸濁液を200rpm速度で攪拌しながら温度25℃で30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相495mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0061】
〔実施例4-3〕
RG757Sを用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer RG757S(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)75;25;Mw:110,000~180,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)26.9gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は4%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相1400mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を5000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り10mL流速で注入した。分散相の注入が終わると調製容器内の懸濁液を150rpm速度で攪拌しながら温度25℃で30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相1395mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0062】
〔実施例4-4〕
RG858Sを用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer RG858S(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)85:15;Mw:190,000~240,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)38.9gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は2.5%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相2000mLを直径20μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて250rpmで攪拌した。
【0063】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相1995mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0064】
〔実施例4-5〕
R202Hを用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R202H(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド)Mw:10,000~18,000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gをジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)7.8gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相390mLを直径50μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて250rpmで攪拌した。
【0065】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相385mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0066】
〔実施例4-6〕
R205Sを用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R205S(製造メーカー:Evonik、ドイツ;ポリ(D,L-ラクチド)Mw:58000-89000)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)17.5gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相880mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて100rpmで攪拌した。
【0067】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相875mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0068】
〔実施例4-7〕
PC04を用いた微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC04(製造メーカー:Corbion、オランダ;ポリカプロラクトン;Mw:28000-38000)5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)20.0gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相700mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0069】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相695mLを残し、残りの連続相455mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0070】
〔実施例5〕
エチルアルコールが混合された連続相を使用した微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)と30%(v/v)エチルアルコールが含まれた水溶液を使用し、直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpmで攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相455mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0071】
〔実施例6〕
連続相を連続追加して除去する工程が追加された微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、調製容器に連続相460mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を2000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り10mL流速で注入し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると連続相を分当り13.8mL(全体連続相の3%)ずつ除去し、同時に同量の速度で新たな連続相を調製容器に1時間追加した。この後、調製容器の温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0072】
〔実施例6-1〕
連続相を連続追加して除去する工程が追加された微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、調製容器に連続相460mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を2000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り10mL流速で注入し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると連続相を分当り27.6mL(全体連続相の6%)ずつ除去し、同時に同量の速度で新たな連続相を調製容器に1時間追加した。この後、調製容器の温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0073】
〔実施例6-2〕
連続相を連続追加して除去する工程が追加された微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、調製容器に連続相460mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を2000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り10mL流速で注入し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると連続相を分当り27.6mL(全体連続相の6%)ずつ除去し、同時に同量の速度で新たな連続相を調製容器に0.5時間追加した。この後、調製容器の温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0074】
〔実施例6-3〕
連続相を連続追加して除去する工程が追加された微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、調製容器に連続相460mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を2000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り10mL流速で注入し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると連続相を分当り920mL(全体連続相の200%)ずつ除去し、同時に同量の速度で新たな連続相を調製容器に10分間追加した。この後、調製容器の温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0075】
〔実施例7〕
リバスチグミン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)4.0gおよびリバスチグミンベース(製造メーカー:Hwail Pharm社、韓国)1.0gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)10.0gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、連続相500mLを直径30μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相495mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0076】
〔実施例7-1〕
デスロレリン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)4.4gおよびデスロレリンアセテート(製造メーカー:Chengdu Kaijie Biopharm、中国)0.6gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)15.7gとメチルアルコール(製造メーカー:シグマアルドリッチ、米国)7.5gに混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、連続相790mLを直径30μmの多孔性メンブレンが含まれた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を分当り5mL注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて180rpmで攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相785mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0077】
〔実施例7-2〕
ブピバカイン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)4.5gおよびブピバカインベース(製造メーカー:Dishman、インド)0.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)12gに混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、調製容器に連続相600mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を4000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り12mL流速で注入した。分散相の注入が終わると調製容器内の懸濁液を300rpm速度で攪拌しながら温度25℃で30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相595mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0078】
〔比較例1〕
連続相の交換時間が異なる微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0079】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を5分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相455mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0080】
〔比較例2〕
連続相の交換量が異なる微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0081】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相をすべて除去して(実際の微粒球量の50%である2.5mLは微粒球に水和された状態で残留)、新たな連続相溶液460mLを追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0082】
〔比較例2-1〕
連続相の交換量が異なる微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相460mLを直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmで攪拌した。
【0083】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相161mL(全体連続相の35%体積)を除去して新たな連続相溶液161mLを追加した。温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0084】
〔比較例3〕
エチルアルコールが混合された連続相を使用した微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)と50%(v/v)エチルアルコールが含まれた水溶液を使用し、直径40μmの多孔性メンブレンを取り付けた乳化装置に連結すると同時に準備した分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpmで攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると調製容器で攪拌状態を30分間維持した。本段階では連続相5mLを残し、残りの連続相455mLを除去した後同量の新たな連続相溶液を追加した。温度を40℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0085】
〔比較例4〕
連続相を連続追加して除去する工程が追加された微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer R203H(製造メーカー:Evonik、ドイツ)3.5gおよびドネペジルベース(製造メーカー:Neuland Laboratories、インド)1.5gを、ジクロロメタン(製造メーカー:J.T Baker、米国)9.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解させた後使用した。連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)が含まれた水溶液を使用し、調製容器に連続相460mLを入れて高速ミキサ(L4RT,Silverson、英国)を2000rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り10mL流速で注入し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると連続相を分当り4.6mL(全体連続相の1%)ずつ除去し、同時に同量の速度で新たな連続相を調製容器に1時間追加した。この後、調製容器の温度を45℃で3時間維持して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を3次蒸溜水で3回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0086】
〔実験例1〕
電子顕微鏡による微粒球の形態学的分析
本実験は製造された微粒球の形態学的特性の分析のために実施した。詳しい実験プロセスは、下記のとおりである。微粒球5mgをカーボンテープが付着したアルミニウムスタブに置きION-COATER(COXEM、韓国)を用いて白金コートした。アルミニウムスタブを走査電子顕微鏡(COXEM EM-30,韓国)に取り付けて加速電圧15kVで微粒球形態学特性を観察した。
【0087】
図1Aおよび図1Bに示すとおり、比較例1は連続相の交換時期が微粒球表面の硬化時期よりは早いため、微粒球が球形を維持できず変形したのに対し、実施例1-1は多くの微粒球が球形形態を完全に維持していることを確認した。したがって、微粒球の交換は表面が硬化した時点より後であり、適切には5分を超えて交換しなければならないと判断される。
【0088】
図1Cで確認できるように、全体連続相のすべてを除去した場合、連続相交換過程の間粒子形態の変形が起き得ることを確認した。したがって、実施例1-1のように連続相をすべて除去するよりは一定量の連続相を残して除去する場合に粒子形態が保存されることを確認した。
【0089】
図1D図1Eに示すように、連続相にエチルアルコールが含まれた場合、特に、実施例5はエチルアルコールがジクロロメタン溶解度を増加させて除去を容易にすると予測された。これに対し、比較例3は50%(v/v)以上のエチルアルコールが連続相に添加された場合、急激なジクロロメタンの除去が行われ、微粒球形態の変形を招くことを確認した。
【0090】
〔実験例2〕
残留有機溶媒の分析
凍結乾燥して製造が完了した微粒球内の残留溶媒量の測定により微粒球の安定性および貯蔵安定性を確認するために次のような試験を実施した。
【0091】
残留ジクロロメタンおよびエチルアセテート測定のために凍結乾燥した微粒球100mgを体積測定フラスコに入れてジメチルホルムアミド10mLを添加した後、その溶液を希釈して5mLバイアルに移してヘッドスペースサンプラーが備えられたガスクロマトグラフに入れて残留溶媒を測定した。このとき用いたカラムはDB-624(製造メーカー:アジレント、米国)(30mx0.53mm、3μm)を用い、試料注入量は1μLであり、水素炎イオン化検出器の温度は250℃に設定して測定した。
【0092】
残留メチルアルコール測定のために凍結乾燥した微粒球100mgを体積測定フラスコに入れ、N-メチルピロリドン5mLを添加した後、その溶液を希釈して5mLバイアルに移し、ヘッドスペースサンプラーが備えられたガスクロマトグラフに入れて残留溶媒を測定した。このとき用いたカラムはDB-624(製造メーカー:アジレント、米国)(30mx0.53mm、3μm)を用い、試料注入量は1μLであり、水素炎イオン化検出器の温度は250℃に設定して測定した。
【0093】
残留エチルアルコール測定のために凍結乾燥した微粒球100mgを体積測定フラスコに入れてN-メチルピロリドン5mLを添加した後、その溶液を希釈して5mLバイアルに移し、ヘッドスペースサンプラーが備えられたガスクロマトグラフに入れて残留溶媒を測定した。このとき用いたカラムはDB-624(製造メーカー:アジレント、米国)(30mx0.53mm、3μm)を用い、試料注入量は1μLであり、水素炎イオン化検出器の温度は240℃に設定して測定した。
【0094】
【表1】
【0095】
表1に示すように実施例1、実施例1-1および比較例1は、連続相の交換時間による残留ジクロロメタン量の変化を示しており、連続相の交換時間が15分以後に残留ジクロロメタン基準が600ppm以下を維持することを確認した。
【0096】
実施例1-1、実施例2、比較例2の結果から確認できるように連続相を不連続に交換する場合、連続相の除去量に比例して残留溶媒が減少することを確認した。ただし、比較例2のようにすべての連続相を除去した場合、微粒球に圧力が加えられて形態変形を招くと見られる。のみならず、比較例2-1のように交換する連続相の体積が充分でない場合、効率的にジクロロメタンが除去されずジクロロメタンが多く残留することを確認した。残留ジクロロメタンを限定する場合、微粒球内に残留するジクロロメタンは1000ppmまで除去することが保管安定性を向上させる。好ましくは残留ジクロロメタンは600ppm以下を維持した方が良い。
【0097】
実施例5および比較例3のように連続相にエチルアルコールが含まれた場合、ジクロロメタン溶解度を増加させて残留ジクロロメタンの除去を容易にすることが確認された。表1に示すように連続して連続相を添加して除去した実施例6、実施例6-1、実施例6-2、実施例6-3のように短期間の間ジクロロメタン濃度が低くなって残留ジクロロメタンの除去に有利であることが示された。ただし、比較例4のように交換する連続相の量が全体連続相の1%(v/v)以下である場合、ジクロロメタンの除去に効率的でないことが確認された。
【0098】
表1に示すように、実施例3、実施例5、実施例7-1および比較例3のようにジクロロメタンではない他の有機溶媒を使用する場合も効率的に残留溶媒除去が行われることを確認した。
【0099】
〔実験例3〕
加速貯蔵安定性の分析
製造された微粒球の貯蔵安定性を確認するため、苛酷貯蔵条件で保存した微粒球性能を比較確認するために下記の試験を実施した。
【0100】
本発明による実施例1-1の微粒球と、比較例1の微粒球各1gを5mLバイアルに入れて40℃インキュベーターに14日間保管した後、粒度分析装置(Microtrac Bluewave,Japan)で平均粒度を測定した。インキュベーターから取り出した微粒球50mgを3次蒸溜水1mLと混合してボルテックスミキサで20秒間混合した後、超音波発生器に1分間入れて分散させた。微粒球分散液を粒度分析装置に入れて20秒間測定した。
【0101】
粒度大きさの均一性の指標としてのスパン値は、下記の数式1で算出した。
【0102】
【数1】
【0103】
【表2】
【0104】
表2に示すように、実施例1-1の粒度は40℃に貯蔵した後にも類似の水準の粒度を維持することを確認した。
【0105】
これに対し、比較例1は貯蔵温度40℃で微粒球が硬化して全体微粒球が一つの塊で固くなっており、3次蒸溜水で懸濁した微粒球の粒度を測定した結果、平均粒度が増大したことを確認した。これは実施例1-1と比較例1に残っている残留ジクロロメタンが微粒球の貯蔵安定性を低下させる原因であると判断された。
【0106】
さらに残留溶媒が効率的に除去された実施例1-1のSpan Valueは、貯蔵前後の比較により3%の増加変化を示したことに対し、残留溶媒の除去が円滑でなかった比較例1の場合、貯蔵後のSpan Valueが貯蔵前のSpan Valueより286%増加し、残留溶媒が微粒球形態学的特性に悪影響を及ぼしたと判断された。したがって、貯蔵安定性が確保された微粒球は、貯蔵温度40℃で14日間貯蔵した時のSpan Valueの変化は100%以下の特性を帯びて、好ましくはSpan Value変化が初期Span Valueを基準に50%以下であることが適切であると判断された。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E