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特許7468913磁場センサに関する磁気共鳴データの位置の決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】磁場センサに関する磁気共鳴データの位置の決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240409BHJP
   A61B 5/245 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B5/245
A61B5/055 380
A61B5/055 370
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021552944
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 FI2020050138
(87)【国際公開番号】W WO2020178484
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】20195162
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】510063878
【氏名又は名称】アールト・ユニバーシティ・ファウンデイション・エスアール
【氏名又は名称原語表記】Aalto University Foundation sr
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ゼーフェンホーフェン,コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】マキネン,アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】イルモニエミ,リスト
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222(JP,A)
【文献】特開平5-184552(JP,A)
【文献】特開2007-181566(JP,A)
【文献】特表2007-503903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0018431(US,A1)
【文献】VESANEN et al.,Hybrid Ultra-Low Field MRI and Magnetoencephalography System Based on a Commercial Whole-Head Neuromagnetometer,Magnetic Resonance in Medicine,2013年,Volume 69, Issue 6,1795-1804
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/055、5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-イメージされターゲットボリュームの周囲の複数の位置に配置された複数のセンサを備える磁気共鳴イメージングシステムが、画像フレームに関す低磁場磁気共鳴イメージング(LF-MRI)データまたは超低磁場磁気共鳴イメージング(ULF-MRI)データを生成することと、
-前記磁気共鳴イメージングシステムが、決定された感度プロファイルに対する前記LF-MRIデータまたはULF-MRIデータのセンサ毎の一致であって、センサフレームにおける前記センサの感度プロファイルに対して比較される、個別のセンサによって記録されるLF-MRIデータまたはULF-MRIデータにおける情報の一貫性に対応する、センサ毎の一致を決定することと、
-前記磁気共鳴イメージングシステムが、前記センサ毎の一致が実現されるように、前記画像フレームと前記センサフレームとの間のマッピングを決定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記センサは、脳磁図(MEG)ソースの局所化のために構成され、
前記方法は、
前記センサが、1つまたは複数のMEGデータセットを取得することと、
前記決定されたマッピングに基づいて、前記MEGデータセットの電気的脳活動の少なくとも1つのソースを局所化することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサフレームは、前記LF-MRIデータまたはULF-MRIデータを生成することと、前記MEGデータを取得することとの間で維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マッピングは、前記画像フレームのボクセルのサブセットに基づく非線形最適化方法を使用して、反復的に決定される、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記マッピングは、前記画像フレームのボクセル位置と前記センサフレームの間のパラメータ化された伝達関数を解くことに基づいて決定される、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記センサ毎の一致は、前記LF-MRIデータまたはULF-MRIデータと、前記センサの感度プロファイルとの類似性を測定するための目的関数に基づいて決定される、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記センサ毎の一致は、少なくとも1つの基準に従って満たされる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記基準は、
前記目的関数のターゲット値、
-少なくとも1つの条件を満たす、前記目的関数の勾配、
-反復間における前記目的関数の値の変化十分に小さいこと
-マッピングのパラメータを決定するための所定の反復回数に達したこと
の1つまたは複数または組み合わせを備える、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記目的関数は、前記感度プロファイルおよび前記画像フレームのボクセルの大きさおよび位相の一致または類似性に基づいて、ターゲット値に到達するように決定される、請求項6、7、または8に記載の方法。
【請求項10】
前記一致は、次式の目的関数に基づいて決定され、
【数32】
ここで||・||は、ユークリッドベクトルノルムを示し、(・)は、共役転置を示し、Nvは、前記画像フレームのボクセルのサブセットであり、sは、感度ベクトルであり、pは、パラメータの座標ベクトルであり、uは、前記画像フレームのボクセルのサブセットの値を備えるボクセルベクトルであり、gは、目的関数であり、s (p )は、感度ベクトルであり、u は、単一センサ画像のボクセル値を含むボクセルベクトルである、
請求項6ないし9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記センサは、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を備える、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
イメージされターゲットボリュームの周囲の複数の位置に配置された複数のセンサを備える磁気共鳴イメージングシステムであって、前記システムは、
-画像フレームに関する低磁場磁気共鳴イメージング(LF-MRI)データまたは超低磁場磁気共鳴イメージング(ULF-MRI)データを生成することと、
-決定された感度プロファイルに対する前記LF-MRIデータまたはULF-MRIデータのセンサ毎の一致であって、センサフレームにおける前記センサの感度プロファイルに対して比較される、個別のセンサによって記録されるLF-MRIデータまたはULF-MRIデータにおける情報の一貫性に対応する、センサ毎の一致を決定することと、
-前記センサ毎の一致が実現されるように、前記画像フレームと前記センサフレームとの間のマッピングを決定することと、
を実行するための手段を備える、磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項13】
前記センサは、脳磁図(MEG)ソースの局所化のために構成され、
前記システムは、
前記センサにより1つまたは複数のMEGデータセットを取得、前記決定されたマッピングに基づいて、前記MEGデータセットの電気的脳活動の少なくとも1つのソースを局所化するための手段
備える、請求項12に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項14】
前記センサフレームは、前記LF-MRIデータまたはULF-MRIデータを生成することと、前記MEGデータを取得することとの間で維持される、請求項13に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項15】
前記マッピングは、前記画像フレームのボクセルのサブセットに基づく非線形最適化方法を使用して、反復的に決定される、請求項12ないし14のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項16】
前記マッピングは、前記画像フレームのボクセル位置と前記センサフレームとの間のパラメータ化された伝達関数を解くことに基づいて決定される、請求項12ないし15のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項17】
前記センサ毎の一致は、前記LF-MRIデータまたはULF-MRIデータと、前記センサの感度プロファイルとの類似性を測定するための目的関数に基づいて決定される、請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項18】
前記センサ毎の一致は、少なくとも1つの基準に従って満たされる、請求項17に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項19】
前記基準は、
前記目的関数のターゲット値、
-少なくとも1つの条件を満たす、前記目的関数の勾配、
-反復間における前記目的関数の値の変化十分に小さいこと
-マッピングのパラメータを決定するための所定の反復回数に達したこと
の1つまたは複数または組み合わせを備える、請求項18に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項20】
前記目的関数は、前記感度プロファイルおよび前記画像フレームのボクセルの大きさおよび位相の一致または類似性に基づいて、ターゲット値に到達するように決定される、請求項17、18または19のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項21】
前記一致は、次式の目的関数に基づいて決定され、
【数33】
ここで||・||は、ユークリッドベクトルノルムを示し、(・)は、共役転置を示し、Nvは、前記画像フレームのボクセルのサブセットであり、sは、感度ベクトルであり、pは、パラメータの座標ベクトルであり、uは、前記画像フレームのボクセルのサブセットの値を備えるボクセルベクトルであり、gは、目的関数であり、s (p )は、感度ベクトルであり、u は、単一センサ画像のボクセル値を含むボクセルベクトルである、
請求項17ないし20のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項22】
前記センサは、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を備える、請求項12ないし21のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項23】
前記磁気共鳴イメージングシステムは、ハイブリッドMEG-MRIデバイスである、請求項12ないし22のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項24】
前記手段は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備え、前記少なくとも1つのプロセッサとともに構成された前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記磁気共鳴イメージングシステムを動作させる、請求項12ないし23のうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場センサに関する磁気共鳴データの位置を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
異なる座標系でのデータの位置を決定することは、医用イメージングで一般的な問題である。例えば、脳磁図(MEG)では、頭の外側にあるセンサのアレイを使用した磁場測定から推定された神経活動は、脳の構造と同じ座標で知られている必要がある。MEGの全体的な精度が向上するにつれて、磁場センサに関する脳伝導構造の正確な知識が、センサでの神経場のモデリングにとってますます重要になる。これとは別に、神経源を再構築するための制約を設定する場合、脳の解剖学的構造の正確な位置情報も不可欠である。この情報は通常、被験者の頭の磁気共鳴(MR)画像から取得される。脳の構造は他のデバイスで画像化されるため、MRI画像とMEGセンサアレイは、相互に位置合わせまたは同時登録する必要がある。
【0003】
従来の同時登録手順には、MEGワークフローとデータ解析を複雑にするいくつかの考えられるエラーソースを伴う手動の手順が含まれる。同時登録の不正確さは、神経磁気問題の導体モデルとソースモデルの両方を歪め、脳活動の局所化にエラーを引き起こす。合計の同時登録エラーは、最大10mmになり得、ソースモデリングの仮定によっては、逆推定が大幅に悪化し得る。体系的な方法で同時登録の精度を向上させるには、これまで外部機器が必要であり、ワークフローがさらに複雑になっていた。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。いくつかの特定の実施形態は、従属請求項に定義される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、イメージされたターゲットボリュームの周囲の位置に配置されたセンサを備える磁気共鳴イメージングシステムが、画像フレームに関する低磁場磁気共鳴イメージング、LF-MRI、または超低磁場磁気共鳴イメージング、ULF-MRIのデータを生成することと、磁気共鳴イメージングシステムが、決定された感度プロファイルとのデータのセンサ毎の一致を決定することと、磁気共鳴イメージングシステムが、センサ毎の一致が実現されるように、画像フレームとセンサフレームとの間のマッピングを決定することと、を含む方法が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、イメージされたターゲットボリュームの周囲の位置に配置されたセンサを備える磁気共鳴イメージングシステムであって、前記システムは、画像フレームに関する低磁場磁気共鳴イメージング、LF-MRI、または超低磁場磁気共鳴イメージング、ULF-MRIのデータを生成することと、決定された感度プロファイルとのデータのセンサ毎の一致を決定することと、センサ毎の一致が実現されるように、画像フレームとセンサフレームの間のマッピングを決定することと、を実行するための手段を備える、磁気共鳴イメージングシステムが提供される。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、一組のコンピュータ可読命令をその上に格納した非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、イメージされたターゲットボリュームの周囲の位置に配置されたセンサを備える磁気共鳴イメージングシステムに、少なくとも、画像フレームに関する低磁場磁気共鳴イメージング、LF-MRI、または超低磁場磁気共鳴イメージング、ULF-MRIのデータを生成することと、決定された感度プロファイルとデータのセンサ毎の一致を決定することと、センサ毎の一致が実現されるように、画像フレームとセンサフレームとの間のマッピングを決定することと、を実行させる非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、請求項1ないし8の少なくとも1つに記載の方法を実行させるように構成されたコンピュータプログラムが提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様は、添付の請求項によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の少なくともいくつかの実施形態による磁気共鳴イメージングシステムを示している。
図2】本発明の少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。
図3】本発明の少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。
図4】本発明の少なくともいくつかの実施形態による、画像フレームのセンサフレームへのマッピングの例を示している。
図5】較正エラーを決定および修正するための方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
【0012】
脳磁図(MEG):頭の外側の磁場測定から脳の電気的活動を特定する方法。
【0013】
磁気共鳴イメージング(MRI):イメージされた物質の核スピンを制御し、それらの磁場を測定することに基づいて、物体の3次元画像を形成する医用イメージング技術。
【0014】
MRI信号:歳差運動する核スピンの磁場または磁場に関連する量。
【0015】
測定シーケンス:画像再構成のためのデータを提供するためにスピンに影響を与える磁場パルスのセット。
【0016】
画像再構成:スピンの磁場データを3次元画像に変換する方法。
【0017】
イメージングファントムまたはターゲットボリューム:MRIシステムの視野内に配置された物体。物体は、測定時にMRI信号を提供する。
【0018】
視野:ボリュームに対して磁場勾配を生成することによってMRI画像が撮影されるイメージングボリューム。
【0019】
ラーモア周波数:測定時にスピンが歳差運動する周波数で、静磁場の大きさに正比例する。
【0020】
センサ:測定サイトでの磁場または関連する量の読み取り値を出力する測定デバイス。
【0021】
感度プロファイル:センサと磁場にさらされたターゲットボリュームの核スピンとの間の結合の強さ。感度プロファイルは、特定のセンサの位置とMRIシステムによって印加された磁場の関数である。センサアレイ内のセンサの感度プロファイルは、センサフレーム内のセンサの形状、位置、方向、および磁場の方向などのセットアップの他のプロパティによって決定される。
【0022】
ボクセル:特定の位置と数値を有するMRI画像グリッドのボリューム要素。
【0023】
画像座標系または画像フレーム:ボクセル位置が分かっている座標系。
【0024】
センサ座標系またはセンサフレーム:センサの感度(感度プロファイル)が既知またはモデル化可能な座標系。
【0025】
マッピング:画像座標系からセンサ座標系に点の座標をマッピングする関数
【0026】
センサ(sensorwise)の一致:対応するセンサ固有のモデルのセット(センサフレームの感度プロファイル)と比較した、複数のセンサによって個別に記録されたデータ内の情報の一貫性。
【0027】
ハイブリッドMEG-MRIデバイス:両方のモダリティで同じセンサを使用してMRIおよびMEG測定を実行できるデバイス、例えば、MRIシステム。
【0028】
イメージされたターゲットボリュームの周囲の位置に配置されたセンサを備える磁気共鳴イメージングによって、低磁場磁気共鳴イメージング、LF-MRI、または超低磁場磁気共鳴イメージング、ULF-MRIのデータを生成すること関連して、データと感度プロファイルのセンサ毎の一致が決定される。LF-MRIまたはULF-MRI画像フレームとセンサフレームとの間のマッピングは、少なくとも1つの基準に従ってセンサ毎の一致が実現されるように決定される。このようにして、画像フレームおよびセンサフレームは、1つまたは複数の後続のイメージングセッションで人を正確にイメージングするために較正され得る。
【0029】
図1は、本発明の少なくともいくつかの実施形態による磁気共鳴イメージングシステム10を示している。MRIシステムは、MRIシステムのイメージングボリューム内に配置されたターゲットボリューム1のMRI画像を取得するように構成される。MRIシステム10は、低磁場磁気共鳴イメージング、LF-MRI、または超低磁場磁気共鳴イメージング、ULF-MRI、システムである。LF-MRIシステムでは、0.3T未満のオーダの磁場がイメージングボリュームに発生する。ULF-MRIシステムでは、10~100μTのオーダの磁場がイメージングボリュームに発生する。LF-MRIおよびULF-MRIによって生成される磁場および対応するラーモア周波数は、センサの感度プロファイルが安定し、センサの感度プロファイルが十分な精度でモデル化されるように、十分に低くする必要がある。
【0030】
MRIシステム10は、センサ2、分極コイル3、およびMRIコイル4を備える。MRIコイルは、イメージングボリュームに磁場を生成するように構成されている。このようにして、ターゲットボリュームに存在する核は、磁場から吸収されたエネルギに基づいて生成された振動電磁信号を生成し得る。電磁信号は、無線周波数信号であり得る。電磁信号は、例えば、超低周波数範囲、超低周波数帯域または低周波数帯域または中周波数帯域、または国際電気通信連合、ITU、無線規則によって定義された他の周波数帯域の周波数を有し得る。MRIコイルは、イメージングボリュームに対して主磁場を生成するための主コイルと、生成された主磁場を変化させるための勾配コイルとを備え得る。予備分極コイルは、イメージされたターゲットボリューム1を10~100mTのオーダの磁場で予備分極するために提供され得る。MRIシステムは、上記よりも多くのコイルを有し得ることを理解されたい。例えば、MRIシステムは、歳差運動を開始するための振動反転パルスを生成するためのB1コイルを有し得る。
【0031】
MRIシステム10は、コンピュータ6または対応する制御ユニットの制御下にあるセンサおよびコイルを制御するためのMRI電子機器5を備え得る。MRI電子機器は、1つまたは複数の測定を実行するように構成され得る。MRI電子機器は、MRI測定シーケンスを決定し、MRI測定シーケンスを実行するようにコイルを制御するように構成され得る。代替的または追加的に、MRI電子機器は、MEG測定を実行するためにセンサを制御するように構成され得る。
【0032】
コンピュータ6は、MRIシステム10によって実行される測定を制御し、測定によって生成されたデータを取得するために、MRI電子機器およびデータ取得コンポーネントに接続され得る。コンピュータは、メモリに接続された1つまたは複数のプロセッサコアを備え得る。プロセッサコアは、メモリに格納されたコンピュータプログラム命令などのコンピュータプログラム命令を実行し得る。メモリは、非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。
【0033】
MRIシステム10は、センサからMRI信号およびMEG信号を取得するように構成されたデータ取得コンポーネント7を備え得る。センサから取得された信号は、データ取得システムによってコンピュータ可読形式に処理され得る。コンピュータ可読形式は、コンピュータ可読ファイル形式であり得る。MEGおよびMRI信号は、データ取得コンポーネントによってデータセットに処理され、コンピュータ可読ファイル形式でそれぞれのファイルに保存され得る。
【0034】
MRIシステム10は、画像再構成のためのデータを取得するためのセンサ2を備え得る。データは、MRIおよび/またはMEG信号に基づいて生成されたデータセットを備え得る。MRIおよび/またはMEG信号は、1つまたは複数の測定を実行するMRIシステム10によって取得され得る。MRI信号は、MRI測定シーケンスを実行することによって取得され得る。MEG信号は、MEG測定を実行することによって取得され得る。MRIシーケンスは、ターゲットボリュームの核スピンに影響を及ぼしてターゲットボリュームの核に振動電磁信号を生成させる磁場パルスのセットをMRIシステムによって生成することを備え得る。このようにして、画像再構成のためのデータは、取得され得る。
【0035】
センサ2は、センサ座標系で表現された形状、位置、および向きを有し得る。一例では、センサの位置は、ターゲットボリューム1の周りに固定され得る。形状は、センサによって形成された配置の形状であり得、各センサは、位置および向きを有し得る。センサの配置は、センサの感度プロファイルがターゲットボリューム1に向けられるように、ターゲットボリュームの周りに形成され得る。
【0036】
センサは、感度プロファイルを有し得る。センサの感度プロファイルは、センサとターゲットボリュームのスピンとの間の結合の強さを定義する。感度プロファイルは、特定のセンサの位置と、MRIシステムによってターゲットボリュームに印加された磁場の関数である。センサの感度プロファイルは、センサの形状、位置、向きによって決まる。センサの感度プロファイルは、センサのピックアップループ内の単位電流によって生成される磁場から導き出され得る。感度プロファイルは、ターゲットボリューム1に存在する静磁場に垂直なピックアップループの磁場の成分で構成される。
【0037】
一例では、センサは、ターゲットボリューム1の周りにセンサアレイを形成し得る。センサアレイは、センサの位置および向きからなる形状を有し得る。形状の例は、センサがヘルメットの形でセンサアレイに配置されていることである。
【0038】
一実施形態では、センサ2は、超伝導量子干渉デバイス、SQUIDを備え得る。SQUIDは、1つまたは複数のMRIシーケンスによってイメージされたターゲットボリュームから少なくともMRI信号を受信するように構成される。
【0039】
一実施形態では、センサ2は、超伝導量子干渉デバイス、SQUIDを備え得る。SQUIDは、1つまたは複数のMEG測定によってターゲットボリュームから少なくともMEG信号を受信するように構成される。このようにして、センサは、MEGソースの局所化を提供し得る。したがって、SQUIDは、イメージされたターゲットボリューム、すなわち、この場合は頭部の外側の磁場測定から電気的脳活動を局所化するための手段を提供し得る。
【0040】
SQUIDは、ジョセフソン接合を含む超伝導ループに基づいて、非常に微妙な磁場を測定するための高感度磁力計である。SQUIDループは、例えば、直径が1mm未満など、小さくなり得る。小さなSQUIDループは、より大きな超伝導ピックアップコイルを介して磁気源と結合し得る。磁気源は、脳の活動または進行中の核磁気モーメントまたは他の任意の磁場源に関連する脳内の電流であり得る。したがって、SQUIDによって得られる信号、すなわち、SQUID信号、例えば、MRI信号またはMEG信号は、そのピックアップコイルを通る磁束に比例し得る。ピックアップコイルは、直径約2cmであり、それによって感度の大部分が比較的小さなボリュームに集中し得る。SQUIDの詳細については、J.Luomahaara、P.T.Vesanen、J.Penttila、J.O.Nieminen、J.Dabek、J.Simola、M.Kiviranta、L.Gronberg、C.J.Zevenhoven、R.J.Ilmoniemi、J.Hassel、「MEGとMRIを組み合わせた全平面SQUIDとピックアップコイル」、Supercond.Sci.Technol、vol.24、no.7、p.075020、2011に記載されている。
【0041】
MRIシステム10は、MRIおよびMEG画像の画像再構成を実行するように構成され得る。MRI画像の再構成は、センサ2から得られたMRI信号に基づいて実行され得、イメージされたターゲットボリュームからのMRI信号に基づいて3次元MRI画像を提供し得る。3次元MRI画像は、センサ2から得られたMRI信号に基づいてMRI画像を再構成することによって得られたボクセルを備え得る。再構成されたMRI画像は、画像フレームで定義される。MEG画像の再構成は、センサから得られたMEG信号に基づいて実行され得る。再構成されたMEG画像は、センサフレームで定義される。MEG画像およびMRI画像は、3次元画像間のマッピングによって同じ座標系で再構成し得る。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、センサは、脳磁図、MEG、ソースの局所化のために構成される。センサは、同じセンサ形状によってMRI信号とMEG信号を測定するように構成され得る。したがって、センサフレームは、LF-MRIデータまたはULF-MRIデータの生成とMEGデータの取得との間で維持され得る。一例では、センサの位置が維持され、センサの相互の位置および測定システムの他の部分がMRI測定とMEG測定との間で変化しない場合、センサフレームが維持され得る。ソースの局所化の例では、ソースは、ソースの磁場フォワードモデルに基づいて局所化され得る。磁場フォワードモデルは、MRI画像から導出された頭部の解剖学的構造とオーム導体の準静的マクスウェル方程式を備える。すべての可能なソースのフィールドを知っていると、ソースの事前情報も想定して、ソースの局所化の逆問題を解決し得る。
【0043】
一例では、ターゲットボリューム1は、均質なボリューム、すなわち、ファントムであり得、ターゲットボリュームがMRIシステムによって生成された磁場にさらされたときに、ターゲットボリュームが磁場および生成された電磁波からエネルギを吸収する能力は、ターゲットボリューム全体で類似し得る。ファントムは、LF-MRIまたはULF-MRI画像フレームおよびセンサフレームの空間較正に使用され得る。較正後、MRIシステムは、人、例えば、人の頭をイメージングするために使用され得る。イメージングは、MRIまたはMEGであり得る。較正は、較正後にMRIシステムによって得られたイメージングデータが、空間較正に基づいて局所化され得ることを提供する。
【0044】
一実施形態では、MRIシステムは、ハイブリッドMEG-MRIデバイスである。ハイブリッドMEG-MRIデバイスを使用すると、同じセンサアレイを使用して両方のモダリティを測定するときに、同時登録のないワークフローを実現し得る。個々の被験者ごとにMRIをMEGアレイに個別に登録する代わりに、MRIがMEGと同じ座標系で自動的に再構成されるようにハイブリッドデバイスを較正し得る。
【0045】
ハイブリッドMEG-MRIデバイスは、ULF-MRIを利用し得、測定中の磁場は10~100μTのオーダである。ULF MRIは、無線またはマイクロ波周波数、組織感受性、または化学シフトの影響を含む高磁場関連の幾何学的歪みの影響を受けず、金属の存在下でのイメージングを可能にすることが実証されている。さらに、超低磁場と周波数では、磁場は、イメージングの対象とは無関係に準静的マクスウェル方程式でモデル化され得る。
【0046】
図2は、本発明の少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。この方法は、図1で説明されているMRIシステムによって実行され得る。この方法は、画像フレームとセンサフレームの較正のためのマッピングを提供する。較正は、較正後にMRIシステムによって取得されたイメージングデータ、MEGデータセットまたはMRIデータセットが、空間較正に基づいて局所化され得ることを提供する。
【0047】
フェーズ202は、画像フレームに関して、低磁場磁気共鳴イメージング、LF-MRI、または超低磁場磁気共鳴イメージング、ULF-MRIのデータを生成することを含む。
【0048】
フェーズ204は、決定された感度プロファイルとのデータのセンサ毎の一致を決定することを含む。
【0049】
フェーズ206は、一致が基準に達したときに、画像フレームとセンサフレームとの間のマッピングを決定することを含む。
【0050】
少なくともいくつかの実施形態によると、画像フレームとセンサフレームの較正のマッピングは、r=f(q)を満たす。ここで、rは、センサフレーム内の点の座標であり、qは、画像フレーム内の同じ点の座標である。マッピングf(q)は、MRIシステムの空間符号化磁場に対してセンサフレームがどのように配置および方向付けられているかによって異なる。
【0051】
センサが脳磁図、MEGのためにも構成される一実施形態によれば、決定されたマッピングは、MEGフォワードモデルの生成に使用され得る。このようにして、画像フレームとセンサフレームの較正を利用して、MEG測定に基づいて脳活動を局所化し得る。
【0052】
一実施形態によれば、フェーズ206は、ボクセルのサブセットに基づく非線形最適化方法を使用してマッピングを繰り返し決定することを含む。
【0053】
非線形最適化手法の例は、例えば、Broyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno(BFGS)などの準ニュートンアルゴリズムを含む。
【0054】
一例では、サブセットは、ボクセルの一部であり得る。ボクセルのサブセットがターゲットボリュームから均等にボクセルを備えるように、ボクセルをダウンサンプリングし得る。
【0055】
一実施形態によれば、フェーズ206は、画像フレームのボクセル位置とセンサフレームの間のパラメータ化された伝達関数に基づいてマッピングを決定することを含む。パラメータ化は、マッピングを見つけるタスクをパラメータ空間上の非線形最適化問題に変換するために使用され得る。パラメータ化は、最適化の性能と目的関数の「ランドスケープ」(局所極値の可能性)に影響を与え得る。
【0056】
パラメータ化は、f(q)=Aq+bというアフィンなものであり得る。ここで、Aは、すべての行列要素が自由パラメータと見なされる3行3列の行列であり、bは、3つの要素も自由パラメータと見なされるベクトルである。
【0057】
一実施形態によれば、フェーズ204は、LF-MRIデータまたはULF-MRIデータと、センサの感度プロファイルとの類似性を測定する目的関数に基づいて一致が評価されることを含む。
【0058】
一実施形態によれば、フェーズ206は、基準が以下の1つまたは複数または組み合わせであり得ることを含む。
目的関数のターゲット値
少なくとも1つの条件を満たす目的関数の勾配
反復間の目的関数の値の変化十分に小さいこと、及び
マッピングのパラメータを決定するための所定の反復回数に達したこと
【0059】
基準の例は、下記を含む。
目的関数のターゲット値が既知の値に十分に近い値であり得ること
勾配、十分に小さいこと、
目的関数の値の変化、十分に小さいこと、及び
単一の反復または複数の反復を含む反復の数に達したこと
【0060】
一実施形態によれば、フェーズ206は、感度プロファイルおよびボクセル値の大きさおよび位相の一致または類似性に基づいて、ターゲット値に到達するための目的関数を決定することを含む。目的関数の形式は、ボクセル値と感度プロファイルとの間の関係がどのようにモデル化されるかに依存し得る。
【0061】
ターゲット値は、十分な較正を示すために事前に決定され得る限界であり得る。一方、ターゲット値は、目的関数の最大値または最小値であり得る。
【0062】
一実施形態によれば、フェーズ204は、一致が、以下の式に従って、目的関数に基づいて決定されることを含む。
【0063】
【数1】
式(1)
ここで||・||は、ユークリッドベクトルノルムを、(・)は、共役転置を示し、Nは、ボクセルのサブセット、sは、感度ベクトル、pは、パラメータの座標ベクトル、uは、ボクセルのサブセットの値を含むボクセルベクトル、gは、目的関数である。
【0064】
少なくともいくつかの実施形態によれば、図2による方法は、例えば、図1に記載されているように、低磁場または超低磁場での磁気共鳴イメージングが可能な測定システムによって実行され得る。図1および図2の両方を参照すると、システムは、測定システムの相互および他の部分に対する相対的な位置が測定中に変化しない複数のセンサ2を備える。システムは、センサの感度プロファイルが安定し、十分な精度でモデル化できるように、十分に低い磁場と対応するラーモア周波数を発生させるように構成され得る。システムは、センサ2によってMRIおよびMEG信号を取得するための測定方法を実行するように構成され得る。システムは、明確に定義された相対位置を有するボクセルからなるMRI画像を作成するための1つまたは複数の再構成方法を実行するように構成され得る。センサの形状およびセンサフレーム内のセンサの位置を考慮して、センサの感度プロファイルおよび/または感度プロファイルのモデルは、既知であるか、または決定され得る。システムは、MRI電子機器5の十分な安定性と、較正とデータ取得との間の形状を有し得ることを理解されたい。
【0065】
図3は、本発明の少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。この方法は、MRI画像座標系とセンサ座標系の較正を提供する。この方法は、図1で説明されているMRIシステムによって実行され得る。較正は、較正後にMRIシステムによって取得された画像データ、MEGデータセットまたはMRIデータセットが、空間較正に基づいて局所化され得ることを提供する。この方法は、フェーズ300で開始し得る。フェーズ300では、センサ座標系におけるセンサの相対的な位置および向きが決定されるか、または知られ得る。さらなるフェーズ300は、MRI測定シーケンスおよび較正が実行される再構成方法を決定することを含み得る。さらに、フェーズ300は、視野内に、例えば、水溶液からなる均質または均質に近いイメージングファントムを設定することを含み得る。さらなるフェーズ300は、ファントムについて決定された測定シーケンスを実行すること、および各センサを並列に使用してMRI信号を記録することを含み得る。さらなるフェーズ300は、MRI測定シーケンスを実行し、各センサについて個別にファントムの画像を再構成することを含み得る。さらなるフェーズ300は、センサ座標系と画像座標系との間のマッピングのための初期パラメータを決定し、センサとMRIボクセルの相対位置を決定するためにフェーズ302から314で較正アルゴリズムを実行することを含み得る。
【0066】
較正アルゴリズムは、以下の入力情報を備え得る。a)センサ座標系におけるセンサの形状、位置および方向、b)センサ座標系における感度プロファイルのモデル、c)各センサの較正ファントムのMRIデータ、例えば、MRI画像。各MRI画像は、ボクセル位置でサンプリングされた対応する感度プロファイルを表示する。
【0067】
較正アルゴリズムのフェーズは、フェーズ204に従って、LF-MRIデータまたはULF-MRIデータとセンサの感度プロファイルの類似性を測定するための目的関数に基づいて、決定された感度プロファイルとのデータのセンサ毎の一致を決定するフェーズ302を含み得る。一例では、LF-MRIデータまたはULF-MRIデータは、対応するデータに基づいて再構成されたLF-MRI画像またはULF-MRI画像を備え得る。ボクセル位置がセンサ座標系におけるそれらの真の位置と一致するとき、目的関数は、目的関数のターゲット値、例えば、最小値または最大値に到達し得る。図3のフェーズ304から316は、図2のフェーズ206を実施する例を示している。フェーズ304は、マッピングパラメータの開始値を決定することを含む。フェーズ306は、目的関数の値が目的関数のターゲット値、例えば、最小または最大に到達したかどうかを決定することを含み、そうでない場合は、座標系を較正するためのマッピングパラメータを決定するためのフェーズ308に続く。フェーズ306では、目的関数の値は、現在のマッピングを使用して取得され得るか、またはフェーズ304において最初に決定されたものであり得る。目的関数の値がターゲット値、例えば、目的関数の最小値または最大値に達した場合、LF-MRIまたはULF-MRI画像フレームとセンサフレームとの間のマッピングが決定され、MRI画像座標系およびセンサ座標系が較正され、方法はフェーズ316で終了すると決定され得る。
【0068】
フェーズ308は、現在のパラメータに対応するマッピングを用いて、ボクセル位置をセンサ座標系にマッピングすることを含む。
【0069】
フェーズ310は、目的関数を評価することによって、マッピングされたボクセル位置でサンプリングされた画像および感度プロファイルモデルの類似性を測定することを含む。
【0070】
フェーズ312は、例えば、非線形オプティマイザを使用して、目的関数に対してより大きな(またはより小さな)値を与える新しいマッピングパラメータを決定することを含む。フェーズ312の後、方法は、フェーズ306に進み、そこで、目的関数は、現在のマッピングパラメータとしてフェーズ312で決定された新しいパラメータを使用して評価され得る。
【0071】
図4は、画像フレームからセンサフレームへのマッピングを示している。このマッピングは、マッピングの一例であり、例えば、図2のフェーズ206のマッピングである。画像フレーム402のボクセル408は、MRIシステムによって実行されるMRI測定によって決定され得る。ボクセル408は、画像フレーム402内の空間情報を符号化し得る。画像フレームとセンサフレーム404との間のマッピング406は、画像フレームのボクセルがセンサフレームおよびセンサフレームのボクセル410にマッピングされ得ることを提供する。センサフレーム404は、センサ412の形状、位置、および向きに基づいて定義され得る。センサと画像フレーム402との間のマッピングは、較正後にMRIシステムによって取得された画像データ、例えば、MRIデータセットまたはMEGデータセットを局所化するために使用され得る。
【0072】
図5は、較正エラーを決定および修正するための方法を示している。この方法は、図1で説明されているMRIシステムによって実行され得る。この方法は、決定された較正エラーが修正され得ることを提供する。
【0073】
フェーズ502は、画像フレームおよびセンサフレームの少なくとも2つの較正値を決定することを含む。較正値は、さまざまな時点で決定され得る。較正値は、図2および図3の少なくとも1つに従って方法を実行することによって取得され得る。一例では、この方法は、図2のフェーズ206の後、または図3のフェーズ316で実行され得、ここで、画像フレームとセンサフレームとの間のマッピングが較正値を提供する。
【0074】
フェーズ504は、決定された較正値が異なるかどうかを決定することを含む。較正値間の差は、各較正値の目的関数の値を決定することに基づいて決定され得る。較正値が異なる場合、方法は、フェーズ506に進み得る。較正値に違いがない場合、方法は、フェーズ516で終了し得る。
【0075】
フェーズ506は、マッピングされたボクセル位置で評価された感度プロファイルが少なくとも正確に近いと仮定して、単一センサ画像をボクセルごとに1つの均一感度画像に結合することを含む。
【0076】
単一センサ画像は、センサの感度プロファイルおよびボクセル位置での磁化に基づいて決定され得る。
【0077】
均一感度画像は、センサの感度プロファイルβ(r)および式(12)で説明されている感度ベクトルsに基づいて決定され得る。次に、均一な均一感度画像M(p)は、次の式で表され得る。
【0078】
【数2】
式(2)
ここで、Mは、均一感度画像のボクセル値であり、pは、現在の較正パラメータであり、s(p)は、感度ベクトルであり、uは、単一センサ画像のボクセル値を含むボクセルベクトルである。
【0079】
フェーズ508は、感度プロファイルの適合を含む。各感度プロファイルは、感度プロファイルを適合させるために不均一性で乗算され得る。このようにして、較正エラーは、修正され得る。推定された一般的な不均一性をプロファイルに追加して、例えば、フェーズ306~312において較正で使用される均一な画像の大きさの仮定に準拠し得る。
【0080】
フェーズ510は、フェーズ306に従って、目的関数の値がターゲット値、例えば、目的関数の最小値または最大値に到達したかどうかを決定することを含み得る。ターゲット値、例えば、最小値または最大値に達した場合、方法は、フェーズ516で終了し得る。そうでなければ、方法は、例えば、図3のフェーズ308~312を実行することによって、1つまたは複数のさらなる較正値が決定されるフェーズ502に進み得る。
【0081】
少なくともいくつかの実施形態によるMRIシステムによって実行される処理の例が、イメージングシーケンスを実行することによってMRIシステムのセンサによって取得される信号の信号モデルに基づいて説明される。ターゲットボリューム内の時間変化する核磁化
【数3】
の場合、センサのアレイのピックアップコイル(これからはjでインデックス付けされる)を通過した結果得られる磁束は、次式のようにモデル化され得る。
【0082】
【数4】
式(3)
【0083】
ここで、LPFは、ローパスフィルタリングを表し、
【数5】
は、複素感度プロファイルであり、
【数6】
は、磁化の初期位相である。ここで、
【数7】
は、空間符号化の勾配による位相である。
【0084】
MRIシステムは、取得時間tmで発生位相
【数8】
に対応するデータ点の有限セットΨj,mから画像再構成を実行し得、ここで、インデックスmは、画像化シーケンス中のすべての取得をカバーする。画像は、画像ボクセルに割り当てられた数値として再構成され得、3次元ボクセル配列内のその位置は、トリプルインデックスq∈Zで識別され得る。さらに、ボクセル位置間の任意の点は、異なるq間の値をとる座標ベクトルq∈Rで表され得る。一方、空間内の位置
【数9】
は、センサアレイの形状を表すために使用されるアレイフレーム座標を使用して決定され得る。位置ベクトル
【数10】
がアレイ座標系と同じ原点を有していると仮定すると、これらの座標は、
【数11】
の配列座標軸
【数12】
への投影である。
【0085】
直接直交フーリエイメージングを想定すると、位相φencは、
【数13】
の均一な勾配を使用して取得全体で符号化されるため、逆離散フーリエ変換(IDFT)を使用して画像を再構成し得る。次に、符号化された位相は、
【数14】
として記述され得る。ここで、q=f-1(r)およびkは、3次元離散フーリエ変換(DFT)の正規化された空間周波数に対応する。
【0086】
上で定義された座標表現に表記を変更すると、式3で得られたデータポイントは、次の式で与えられる。
【0087】
【数15】
式(4)
【0088】
ここで、変数は変更されており、f(q)のヤコビアンはJ(q)で表される。ここで、Ψj,mは、感度加重画像のフーリエ変換からサンプリングされた値に対応する。
【0089】
【数16】
式(5)
【0090】
IDFTを使用して式(4)のデータを再構築すると、qを中心とするnでインデックス付けされたボクセルの値が得られる。
【0091】
【数17】
式(6)
ここで、SRFは、空間応答関数である。
【0092】
【数18】
式(7)
合計は、ツリー次元DFTのすべての空間周波数に亘って行われる。SRFは、ディリクレカーネルとしても知られる周期的なsinc関数であり得る。
【0093】
次に、画像データと式(5)および式(6)の信号モデルとの整合性に基づいて、較正の例を説明する。
【0094】
較正タスクは、Uj,nの信号方程式が成り立つようにマッピングfを決定することである。このために、理想的に均一な磁化強度
【数19】
を有するファントムの画像がMRIシステムによって取得される。しかしながら、予備分極電界強度Bが均一でない可能性があるため、この理想的な状況は、実際には達成され得ない。式(5)を近似するために、SRFは、k空間データに窓関数を適用することによって変更される。ハン窓ΠHann(k)を使用すると、変更されたSRFは、次式のようになる。
【0095】
【数20】
式(8)
【0096】
ハン窓処理の後、SRFのサイドローブは減衰するが、メインローブは、最小限にしか広がらない。ハン窓処理は、位相φ(f(q))およびヤコビアンJ(q)が、現在有効なボクセルボリュームであるSRFのメインローブ内で均一であると近似され得ることも提供する。メインローブがファントムに完全に含まれているボクセル(内部ボクセル)のみを考慮すると、
【数21】
もこれらの各ボクセル内で均一に近似され得る。これにより、内部ボクセルの次の式の近似が可能になる。
【0097】
【数22】
式(9)
ここで、φ0,n=-φ(f(q))は、初期ボクセルフェーズである。式(9)は、感度βをSRFと畳み込み、Uj,nを正確にモデル化することを示している。畳み込みは単純にβ(f(q))として評価され得、ボクセル値の近似は、次式のようになる。
【0098】
【数23】
式(10)
【0099】
結論として、内部ボクセル値Uj,nは、係数
【数24】
と測定ノイズを除いて、プロファイルβ (f(q))に対応する。マッピングfが非線形でない限り、ヤコビアンは、均一である。内部ボクセルのみを使用する場合、ファントムの形状は、較正に使用されるボクセル信号モデルでは役割を果たさない。信号モデルの一貫性を保証するマッピングを検索するために、fは、特定のパラメータセットp∈RNpでパラメータ化され得る。次に、マッピングは、最適化タスクによって決定され得る。この目的のために、Nボクセルのサブセットは、ファントム内で選択され得、それらのインデックスは、v, . . . ,vNvで表され得る。ボクセルごとに、ボクセルベクトル
【数25】
が形成される。ここで、[u=Uj,vmおよびNは、ピックアップコイルの数である。言い換えると、各ベクトルuは、N単一チャネル画像のvth ボクセルの値からなる。ベクトルuを連結することにより、MRIデータの選択は、
【数26】
の単一のベクトルとして表され得る。
【0100】
【数27】
式(11)
【0101】
ベクトルuと同様に、感度ベクトルは次式のように表現され得る。
【0102】
【数28】
式(12)
ここで、m番目のサブベクトルのj番目の要素は、
【数29】
である。
【0103】
感度ベクトルsの空間情報とイメージされたデータuとの整合性は、以下の式に従って最適化することによって決定され得る。
【0104】
【数30】
式(13)
ここで、gは、目的関数であり、
【数31】
とボクセル位相φ0,nの両方に影響されず、できればuのノイズによって偏らないような最適なものを選び、pは、パラメータの座標ベクトルである。目的関数は、様々な方法で選択され得る。しかしながら、未知の要因が空間較正の時点でボクセル位相に影響を与え得るという事実を考慮しながら、感度プロファイルの位相で空間情報を利用することが重要である。式(3)に目的関数の例を示す。
【0105】
一実施形態は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、イメージされたターゲットボリュームの周りの位置に配置されたセンサを備える磁気共鳴イメージングシステムに、本明細書に記載された1つまたは複数の動作および/または方法を実行させるコンピュータ可読命令のセットをその上に格納した非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0106】
一実施形態は、本明細書に記載の方法に従って1つまたは複数の動作を引き起こすように構成されたコンピュータプログラムに関する。コンピュータまたはMRIシステムの対応する制御ユニットによって実行される場合、方法に従った1つまたは複数の動作を実行し得る。
【0107】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されず、関連技術に当業者によって認識されるであろうそれらの均等物に拡張されることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0108】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態では」または「実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0109】
本明細書で使用される場合、複数のアイテム、構造要素、構成要素、および/または材料が、便宜上、共通のリストに提示され得る。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバが個別の一意のメンバとして個別に識別されているかのように解釈する必要がある。したがって、そのようなリストの個々のメンバは、反対の指示なしに、共通のグループでの提示のみに基づいて、同じリストの他のメンバと事実上同等であると解釈されるべきではない。さらに、本発明の様々な実施形態および例は、その様々な構成要素の代替物と共に本明細書で参照され得る。そのような実施形態、例、および代替案は、互いに事実上同等であると解釈されるべきではなく、本発明の別個の自律的な表現と見なされるべきであることが理解される。
【0110】
さらに、記載された特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられ得る。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状などの例など、多数の特定の詳細が提供される。しかしながら、関連技術の当業者は、本発明が、1つまたは複数の特定の詳細なしで、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施できることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を曖昧にすることを避けるために、周知の構造、材料、または操作は、詳細に示されていないか、または説明されていない。
【0111】
上述の実施例は、1つまたは複数の特定の用途における本発明の原理を例示したものであるが、当業者であれば、発明的能力を発揮することなく、また本発明の原理および概念から逸脱することなく、形態、使用方法および実施の詳細において多数の変更を行うことができることは明らかであろう。したがって、以下に記載される請求の範囲による場合を除いて、本発明が限定されることを意図するものではない。
【0112】
この文書では、「備える」および「含める」という動詞は、引用されていない特徴の存在を除外または要求しないオープンな限定として使用されている。従属請求項に記載されている特徴は、特に明記しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本文書全体での「a」または「an」、すなわち、単数形の使用は、複数を除外しないことを理解されたい。
【0113】
産業上の利用可能性
【0114】
本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態は、MRIイメージングシステムの較正に適用可能である。
【0115】
頭字語リスト
BFGS Broyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno
DFT 離散フーリエ変換
IDFT 逆離散フーリエ変換
ITU 国際電気通信連合
LF-MRI 低磁場磁気共鳴イメージング
LPF ローパスフィルタリング
MEG 脳磁図
MR 磁気共鳴
MRI 磁気共鳴イメージング
SRF 空間応答関数
SQUID 超伝導量子干渉デバイス
ULF-MRI 超低磁場磁気共鳴イメージング
【符号の説明】
【0116】
1 ターゲットボリューム
2 センサ
3 分極コイル
4 MRIコイル
5 MRI電子機器
6 コンピュータ
7 データ取得コンポーネント
10 MRIシステム
202から206 図2の方法のフェーズ
300から316 図3の方法のフェーズ
402 画像フレーム
404 センサフレーム
406 マッピング
408 画像フレームのボクセル
410 センサフレームのボクセル
412 センサ
502から516 図5のフェーズ
図1
図2
図3
図4
図5